第10回ガウディ賞2018*結果発表 ― 2018年01月29日 19:17
カルラ・シモンの『夏、1993』が独占、予想通りの結果でした!
★1月28日、ガウディ賞の授賞式が2000人収容のフォーラム・オーディトリアムで開催されました。終わってみれば予想通りカルラ・シモンの『夏、1993』が大賞を独占、俳優・技術部門はノミネーション16個のアグスティ・ビリャロンガの「Incerta glòria」が大方を攫いました。カタルーニャ独立問題で中央政府とカタルーニャ州の関係はギクシャクしており、間もなく行われるプチデモン前州首相再任の選挙手続きが憲法裁判所の「映像中継での議会出席は不可」として差し止めになりました(1月27日)。ベルギーから帰国すれば拘束されるから、まったく出口の見えない泥沼戦争になっています。というわけでガウディ賞のガラも政治色の強いものとなりました。下の写真は、出席が恒例となっている州首相の席に、独立派のシンボルの黄色いリボンを置いて抗議の意思を示しました。
(州議会ロジェル・トレント議長、カタルーニャ映画アカデミー会長イゾナ・パソラ、
アダ・コラウ)
★プチデモン前州首相からはビデオでメッセージが届いたそうです。空っぽの席に出席者から大きな拍手が送られました。「ガウディ賞の授賞式に州首相が欠席したのは初めてのことです。映画界の人々が現在起きていることを共有しているとは思いません。亡命から戻って家に帰れますように」と独立派のシンボル・カラーである黄色いブラウスを着たアカデミー会長イゾナ・パソラが挨拶した。出席者には黄色いドレスやショールなどが多かったとか。
★カテゴリー22のうち主な結果は以下の通りです。
◎作品賞(カタルーニャ語)
Brava 監督ロセル・アギラル
◎Estiu 1993 (Verano 1993)『夏、1993』 監督カルラ・シモン
Incerta glòria (Incierta gloria) 監督アグスティ・ビリャロンガ
La película de nuestra vida 監督エンリケ・バロ
(作品賞受賞『夏、1993』の関係者一同)
◎作品賞(カタルーニャ語以外)
Júlia ist 言語スペイン語 監督エレナ・マルティン
La llamada 『ホーリー・キャンプ!』同西語 監督ハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシ
◎Tierra firme 同英語・西語 監督カルロス・マルケス=マルセ
The Bookshop (La librería) 同英語 監督イサベル・コイシェ
◎監督賞
アグスティ・ビリャロンガ Agustí Villaronga (Incerta glòria)
◎カルラ・シモン Carla Simón (Estiu 1993)
カルロス・マルケス=マルセ Carlos Marques-Marcet (Tierra firme)
イサベル・コイシェ Isabel Coixet (The Bookshop )
(スピーチを用意すると受賞できないと縁起を担いでしてこなかったカルラ・シモン)
◎脚本賞・編集賞
◎Estiu 1993 (Verano 1993)『夏、1993』
◎主演男優賞
◎ダビ・ベルダゲル「Tierra firme」
◎主演女優賞
◎ヌリア・プリムス「Incerta glòria」
◎助演男優賞
◎オリオル・プラ 「Incerta glòria」
◎助演女優賞
◎ブルナ・クシ『夏、1993』
◎オリジナル音楽賞・美術賞
◎「The Bookshop」 (「La librería」)
◎撮影賞・衣装賞・録音賞・視覚効果賞・メイクアップ&ヘアー賞・プロダクション賞
◎「Incerta glòria」
◎アニメーション賞
◎「Tadeo Jones 2:El secreto del Rey Midas」監督:エンリケ・ガト&ダビ・アロンソ
◎ドキュメンタリー賞
◎「La Chana」監督:Lucija Stojevic
★ガウディ栄誉賞
◎メルセデス・サンピエトロ
*メルセ(メルセデス)・サンピエトロは、1947年、バルセロナ生れの71歳、映画・舞台・TV女優、短編を監督している。1970年舞台デビュー、同時にTVシリーズに出演する。映画デビューはハイメ・チャバリの「A un dios desconocidos」(77)、他ピラール・ミロの「El pajaro de la felicidad」(93)やモンチョ・アルメンダリスの「Cilencio roto」(01)や「Obaba」(05)などに出演。アルゼンチンのアドルフォ・アリスタラインの「Lugales comunes」(02)でサンセバスチャン映画祭銀貝女優賞、ゴヤ賞主演女優賞を受賞している。その他数々の国際映画祭の受賞歴がある。公開作品ではスペイン最後のガローテ刑をテーマにした、マヌエル・ウエルガの『サルバドールの朝』(06)でサルバドールの母親を演じた。前会長マリサ・パレデスの後を受けて、2003年から2006年までスペイン映画アカデミー会長を務めた。駆け足紹介です。
★観客賞はハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシの『ホーリー・キャンプ!』が受賞した。助演女優賞にノミネートされていたアンナ・カスティーリョは白のすけすけドレスで出席、初めてガウディ賞ガラに出席した二人の監督も、「この映画は女性たちに捧げたミュージカルです」とハビエル・アンブロッシ。
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