マルセロ・ピニェイロ、レトロスペクティブ賞ガラ*マラガ映画祭2024 ⑨ ― 2024年03月18日 17:04
アルゼンチンの監督マルセロ・ピニェイロにレトロスペクティブ賞
★3月8日金曜日、日刊紙マラガ・オイがコラボするレトロスペクティブ賞―マラガ・オイが、アルゼンチンの監督、脚本家、製作者のマルセロ・ピニェイロに与えられました。総合司会者はセリア・ベルメホでした。本賞は映画功労賞の意味合いがありベテラン・シネアストが受賞する賞です。1953年ブエノスアイレス生れのピニェイロは、70歳を超えていますが勿論現役です。プレゼンターは撮影監督のアルフレッド・マヨ、監督で製作者のヘラルド・エレーロ、Netflix ラテンアメリカ担当の副会長フランシスコ・ラモス、俳優のホアキン・フリエル、作家で脚本家のクラウディア・ピニェイロの5名でした。
★プレゼンター各氏の温かい紹介スピーチを会場で聞き入っていた受賞者は、セリア・ベルメホに促されて颯爽と登壇すると、クラウディア・ピニェイロの手からトロフィーを受けとりました。40代で監督デビューした受賞者は、「まず何よりも、私を受賞者に選んでくださったフェスティヴァルに御礼を申し上げたい。以前にこの賞を誰が受賞したか知ったとき、この賞の価値に気づきました。私は多くの素晴らしい人々に支えられて幸運でした、例えば映画や演劇の先生、脚本家、撮影監督、プロデューサー、俳優、私の映画を輝かせてくれた沢山の人々です。皆さんにありがとうを言いたい」と拍手に囲まれながらエモーショナルに締めくくった。
(右端にクラウディア・ピニェイロ)
★当ブログでは2回にわたってキャリア&フィルモグラフィー紹介をしていますが、系統だった記事ではないので補足します。アルゼンチンのラプラタ大学で映画を専攻、1983年、ルイス・プエンソと制作会社シネマニアを設立、アルゼンチンに初めてオスカー像をもたらした『オフィシャル・ストーリー』(85)の製作を手掛けました。アルゼンチン映画アカデミー設立メンバーの一人で副会長に就任している。1993年、「Tango feroz: la leyenda de Tanguito」で監督デビュー、監督第1作に与えられる銀のコンドル賞オペラ・プリマ賞を受賞した。監督デビューが遅かったこともあり、映画作家としては寡作です。しかし評価は高く多くが映画祭や映画賞を受賞している。フィルモグラフィーは以下の通り:
1995年「Caballos salvajes」監督・脚本(共同アイダ・ボルトニク)
サンダンス映画祭1996オナラブルメンション、レリダ映画祭1997観客賞
1997年「Cenizas del paraíso」監督・脚本(共同アイダ・ボルトニク)
ゴヤ賞1998スペイン語外国映画賞、ハバナFF1997脚本賞、レリダFF1998観客賞
2000年「Plata quemada」監督・脚本(共同マルセロ・フィゲラス)
邦題は『炎のレクイエム』『逃走のレクイエム』『燃やされた現ナマ』
ゴヤ賞2001スペイン語外国映画賞、銀のコンドル脚色賞
2001年「Historias de Argentina en Vivo」監督
2002年「Kamchatka」監督・脚本(共同マルセロ・フィゲラス)
カルタヘナ映画祭2003脚本賞、バンクーバーFF2003ポピュラー賞、
ハバナ映画祭2003脚本賞・サンゴ賞3席
2005年「El método」監督・脚本(共同マテオ・ヒル)
ゴヤ賞2006脚本賞、シネマ・ライターズ・サークル賞、フランダース映画祭観客賞
2009年「Las viudas de los jueves」監督・脚本(共同マルセロ・フィゲラス)
『木曜日の未亡人』DVDタイトル
2013年「Ismael」監督・脚本(共同マルセロ・フィゲラス、ベロニカ・フェルナンデス)
2021~23年「El reino」TVシリーズ、監督・脚本(共同クラウディア・ピニェイロ)
邦題『彼の王国』Netflix配信、銀のコンドル2022オリジナル脚本賞、
イベロアメリカ・プラチナ賞2022 TVミニシリーズ部門作品賞
★クラウディア・ピニェイロとは、彼女のベストセラー小説 “Las viudas de los jueves”(2005年刊)を映画化した。公開には至らなかったが『木曜日の未亡人』(09)の邦題で2010年DVD化された。最近ではTVミニシリーズ「El reino」(8話)の共同執筆者でもあり、また今回のマラガ映画祭セクション・オフシアルの審査委員長を務めている。また本シリーズには主演男優賞を受賞したホアキン・フリエルが重要な役どころで出演している。アップが受賞結果と前後したので3月8日段階では 分からなかったが、監督お気に入りのようです。
(監督と脚本家クラウディア・ピニェイロ)
(ヘラルド・エレーロ、監督、ホアキン・フリエル)
★アルフレッド・マヨは「Caballos salvajes」「Cenizas del paraíso」「Plata quemada」「Kamchatka」「El método」とヒット作を手掛けているスペインの撮影監督です。マドリード出身のヘラルド・エレーロは監督と同じ1953年生れ、スペインだけでなく多くのラテンアメリカの監督とタッグを組んでいる。ピニェイロとは、「Plata quemada」や「El método」を製作している。
*「El método」の作品紹介は、コチラ⇒2013年12月19日
*『逃走のレクイエム』の作品紹介は、コチラ⇒2022年06月16日
ハビエル・カマラにマラガ-スール賞ガラ*マラガ映画祭2024 ⑥ ― 2024年03月06日 18:12
プレゼンターは作家エルビラ・リンド―ハビエル・カマラにマラガースール賞
(エモーショナルな受賞スピーチをしたハビエル・カマラ)
★3月4日、セルバンテス劇場でハビエル・カマラ(リオハ1967)のマラガ・スール賞のガラが開催されました。ガラに先立って地中海を臨むマラガの遊歩道アントニオ・バンデラス通りに受賞者の手形入りのモノリス記念碑の除幕式がありました。マラガ出身のバンデラスは本祭に資金提供をしているマラガ名誉市民です。除幕式にはマラガ市長フランシスコ・デ・ラ・トーレ、マラガ文化市議会議員マリアナ・ピネダ、コラボの日刊紙「スール」編集長アナ・ペレス≂ブライアン、総ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルが参加しました。
(自身の手形入り記念碑の前のハビエル・カマラ、3月4日)
(左から、フアン・アントニオ・ビガル、受賞者、マラガ市長デ・ラ・トーレ、
市議会議員マリアナ・ピネダ、スール編集長アナ・ぺレス≂ブライアン)
★ガラの進行役はリカルド・フランコ賞ガラと同じマラガ出身の女優ノエミ・ルイス、トロフィーのプレゼンターはジャーナリスト、作家、脚本家、女優と幾つもの顔をもつエルビラ・リンド、監督フェリックス・サブロソ、パロマ・フアネス、リカルド・フランコ賞2008の受賞者でもあるキャスティングディレクターのルイス・サン・ナルシソの4人が登壇しました。日本では『めがねのマノリート』で認知度が高いエルビラ・リンドがプレゼンターには少し驚きましたが、彼女が脚本を手掛けたホルヘ・トレグロッサの「La vida inesperada」(仮題「予期せぬ人生」)主演の繋がりでしょうか。俳優として更なる成功を求めてニューヨークに渡るも現実は厳しく期待したようにはならない。従兄役のラウル・アレバロが共演している。マラガ映画祭2014のクロージング作品だった。
(左から、エルビラ・リンド、ハビエル・カマラ、フェリックス・サブロソ、
パロマ・フアネス、ルイス・サン・ナルシソ)
★エルビラ・リンドは、市井の人物を演じるカマラを「私たちは一目で友人になった。やがていとこになり、今では姉弟です。生れながらの演技者、詩人、語りて、アーティスト。あなたのような人材が必要であり、人生を捧げて庶民を体現するコメディアンである」と称賛した。フェリックス・サブロソは「彼の創造的な成熟と生命力は、その芸術的プロセスに影響を与えたシネアストの一人」と評し、才能だけでなく彼のやさしさを強調した。ルイス・サン・ナルシソは「ハビエルについては議論されていないが賞賛されている」と語り、女優のパロマ・フアネスは、「彼は偉大な俳優だが、それ以上に人間的」と断言した。
(エルビラ・リンド、ハビエル・カマラ、フェリックス・サブロソ)
★受賞者は、「ありがとう、ありがとう、ありがとう、この町が私に与えてくれた沢山の愛情に圧倒されています。度々私を招いて賞を授与してくれました」と感謝の言葉を述べた。スペインの小さな町で俳優になるための勉強をしている若い世代に向けて「マドリードやマラガのような都会にやってきた人々を励ましたい。この仕事には皆さんのような才能が必要です。私たちは計り知れない才能を秘めている若い世代を引き受けねばなりません」と変革を訴えたようです。トロフィーを俳優、映画製作者を目指しているすべての人々に捧げました。リオハの片田舎から20歳で大都会マドリードにやってきた受賞者らしいスピーチでした。
「監督も私もマラガには本当に感謝しています」とハビエル・カマラ
★セルバンテス劇場内のロッシーニ・サロンで、恒例のフアン・アントニオ・ビガルによるインタビューがありました。マラガでの受賞歴は、2004年パブロ・ベルヘルの『トレモリノス73』と2008年ナチョ・G・ベリリャの『シェフズ・スペシャル』の銀のビスナガ男優賞、プラス今回のマラガ―スール賞の3賞です。そういえば『トレモリノス73』のパブロ・ベルヘルの姿はなく、多分オスカー賞にノミネートされている『ロボット・ドリームズ』のプロモーションで国内にいないのでしょう。
★カマラは「コメディ役者としてやってきたが、マラガは『トレモリノス73』以来ずっと私を支えてきてくれたと思っています。パブロ・ベルヘルも、役者の私も本当にマラガには感謝しています。本映画祭は常に才能ある人々を支えてくれています」とインタビューに答えている。ベルヘルにとってはデビュー作、カマラもアルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』(02)のベニグド役でゴヤ賞主演男優賞にノミネートこそされたが、コメディ俳優の本領を発揮できたとは言い難かった。
(フアン・アントニオ・ビガルのインタビューを受けるハビエル・カマラ)
★現在台頭してきた女性映画製作者について「彼女たちの声に耳を傾け、サポートすべき」と指摘した。また見向きもされない才能が隠れているので、それを探す必要性を語り、映画製作は複雑だが、特権を持つ人々が古いままではいけない、新しい才能に対して両手を広げることも重要と力を込めていた。おしゃべり好きな受賞者は「準備万端整えてセットに出向きます。口出しをしてはいけないときは黙っていますが、それが私には難しい」と冗談をとばした。
★スペイン映画での演技者の成長過程や共に作品を作り上げていく監督たちの貢献については「できる限りよくなるように仕事をしているし、監督たちが私を成長させてくれる。成長にはプロフェッショナルだけでなく個人的なものも必要である」と断言している。カマラは映画俳優を夢見ていたわけではなく舞台俳優を目指していた。しかし落ちこぼれを経験して、ある教師から本格的に演技学校で学ぶように忠告された。しかし演技学校に入ると、舞台は彼の目には小宇宙に見え、自分のやりたいことができるように感じられなかったとも語っている。
★カマラをお茶の間の人気者にした長寿TVシリーズ「7 vidas」(99~06)の撮影休憩中に、共演中のベテラン女優アンパロ・バロ(1937~2015)に、リハーサルではナーバスになるが、あなたはどうですかと聞いたら、「もっともっと多くなるのよ、ハビエル」と言われた。経験を積めば積むほど、それだけ責任も重くなる。「その通りです、この大女優の言葉を肝に銘じています」と締めくくった。
(アンパロ・バロと、TVシリーズ「7 vidas」から)
★ハビエル・カマラのフィルモグラフィー紹介として、ダビ・トゥルエバの『「ぼくの戦争」を探して』でアップしておりますが、それ以降の話題作はセスク・ゲイの『しあわせな人生の選択』(15)、ゴヤ賞2016助演男優賞受賞、コロンビア映画になりますがフェルナンド・トゥルエバの『あなたと過ごした日に』(20)を紹介しています。
*『「ぼくの戦争」を探して』の主な記事は、コチラ⇒2014年11月21日
*『しあわせな人生の選択』の記事は、コチラ⇒2016年01月09日/2017年08月04日
*『あなたと過ごした日に』の主な記事は、コチラ⇒2020年06月14日
マラガ才能賞&リカルド・フランコ賞授与式*マラガ映画祭2024 ⑤ ― 2024年03月05日 10:02
アナ・アルバルゴンサレスにリカルド・フランコ賞
(メンデス=レイテからトロフィーを受け取るアナ・アルバルゴンサレス)
★3月2日セルバンテス劇場で、特別賞の一つ、リカルド・フランコ賞の授与式がありました。プレゼンターはマラゲーニャのノエミ・ルイス、登壇した列席者はスペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス≂レイテ、フアン・ルイス・イボラ監督、製作者のイソナ・パソラほか。カルロス・サウラ、ビセンテ・アランダ、ヘラルド・ベラ、アグスティ・ビリャロンガの美術や衣装デザインを手掛けたアナ・アルバルゴンサレスに光が当たった。サウラ以下監督すべてが既に鬼籍入りしており、30年以上というキャリアに感慨無量です。
(受賞スピーチをする受賞者)
ピラール・パロメロ監督にマラガ才能賞
★3月3日セルバンテス劇場で、マラガ才能賞―マラガ・オピニオンの授与式が賑やかに行われました。受賞者ピラール・パロメロの母親も登壇するというちょっとしたサプライズ、親孝行娘に母親も大喜びでした。プレゼンターはセリア・ベルメホ、デビュー作『スクールガールズ』(20)出演者のナタリア・デ・モリーナ、ソエ・アルナウ、アンドリア・ファンドス、第2作「La maternal」(22)のカルラ・キルス、マラゲーニョの応援団アントニオ・デ・ラ・トーレ、若い監督を見守る製作者バレリー・デルピエール、母親、兄弟も登壇するという賑やかさでした。
(ピラール・パロメロ監督と母親)
(壇上に並んだデルピール左端、デ・モリーナ右端、デ・ラ・トーレなどの応援団)
(総ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルのインタビューを受ける監督)
★3月4日には大賞マラガ・スール賞のハビエル・カマラが予定されています。
ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞*マラガ映画祭2024 ② ― 2024年03月01日 20:57
ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞―ロラ・エレーラの軌跡
(権力や性的虐待を避けることが「最重要」と語る受賞者、2024年2月)
★ロラ・エレーラ(バジャドリード1935)、舞台、テレビ、映画女優として68年のキャリアを誇る現役女優です。20歳でマドリードのコメディ劇場でエドガー・ウォーレス作品で舞台女優としてのキャリアをスタートさせる。個性の強い奮闘する女性を得意としている。1979年、マドリードのマルキナ劇場でミゲル・デリーベスの ”Cinco horas con Mario”(翻訳タイトル『マリオとの五時間』*)の一人舞台で好評を博し、40年間のロングランという成功をおさめる。カルメン・ソティリョ役で美術サークル金のメダルを受章、2006年には勤労功労勲章金のメダルも受章した。さらに2022年にはこのカルメン役で生れ故郷バジャドリード金のメダルを受賞している。
*ストーリーは心臓発作で急死した夫マリオの通夜に、23年間連れ添った妻カルメンが彼の無理解、利己主義を亡骸にえんえんと独白するが、最後には自らの不実にも直面するという人間の孤独を描いたベストセラー小説。
(生れ故郷のバジャドリード金のメダルを受賞、2022年2月)
★現在でもマギー・ミラの演出で、息子ダニエル・ディセンタ・エレーラとフアンマ・ゴメスの「Adictos」の舞台に立っており、国内を巡業している。また第41回演劇祭(1月21日、22日、マラガのセルバンテス劇場)にも参加している。
(3人の女性が織りなす「Adictos」のポスター、中央がエレーラ)
★60年代後半からフランコ独裁政権が終わる1976年まではもっぱらTVシリーズに専念し、コメディ「Las viudas」(77、7話)で金のTP賞(TP de Oro)1978の女優賞、「El señor Villanueva y su gente」と「La barraca」の2作で金のTP 1980女優賞を受賞している。コメディ・ミュージカル「Un paso adelante」(02~05)82話に出演してフォトグラマス・デ・プラタ2003のTV部門女優賞を受賞、金のTPにノミネートされるなどした。本賞は「テレプログラマ」誌が与える賞で1972年に始まり2011年に終了しており、直前の2010年に生涯功労賞を受賞している。2016年に銀幕からは遠ざかっているが、TVシリーズには「UPA Next」(22~23、8話)他に出演しているが、本命は舞台女優。
★さて映画デビューは1970年、ハイメ・デ・アルミニャンの「La Lola, dicen que no vive sola」、マリアノ・オソーレスの「La graduada」(71)、エロイ・デ・ラ・イグレシアの「La semana del asecino」(72)、ジル・カレテロの「Abortar en Londres」(77)、ホセ・マリア・グティエレスの「Arriba Azaña」(78)、1981年には、元夫のダニエル・ディセンタ(俳優、声優2014没)と出演したホセフィナ・モリーナのドキュメンタリー「Función de noche」でコロンビアのカルタヘナ・デ・インディアス映画祭の女優賞を受賞している。本作には二人の間にできた息子ダニエル・ディセンタ・エレーラと娘ナタリア・ディセンタ(女優)も出演している。
★以下に主なフィルモグラフィーを年代順に紹介しておきます。
1982「La próxima estacion」 監督アントニオ・メルセロ
1987「En penumbra」 同ホセ・ルイス・ロサーノ
1996「El amor perjudica seriamente la salud」コメディ 同マヌエル・ゴメス・ペレイラ
2002「Primer y último amor」コメディ 同アントニオ・ヒネネス・リコ
2006「Por qué se frotan las patitas」コメディ・ミュージカル 同アルバロ・ベヒネス
2016「Pasaje al amanecer」 同アンドレウ・カストロ、銀幕最後の作品
★ロラ・エレーラは政治的には左派で「自由が大切であると教えられて育った」と語り、「ナディア・カルビーニョ**が劇場にもっとも足を運んでくれた政治家」と語っている。エレーラの家系は母親が95歳、叔母が105歳と長命であり、88歳で旅立つには未だ早いということでしょうか。もはや怖いものなしのチャーミングな女性です。
**第2次サンチェス内閣の第1副首相(任期2021年7月~2023年月)だった。経済学者でもあり、現職は欧州投資銀行総裁を務めている。
第16回ガウディ賞2024授賞式*受賞結果 ― 2024年02月11日 15:59
作品賞は「Creatura」と『ミツバチと私』と女性監督がトロフィー
★2月4日、第16回ガウディ賞2024の授賞式がバルセロナの国際会議センターで開催されました。開始は4日の22:00からでしたが、終了は翌日の午前1時半でした。受賞者全員が舞台に勢揃いしてお開きになりましたが、さっさと帰宅した人、夜が明けるまで粘った人もいたのでした。総合司会者はコメディアンのマリア・ロビラ(Oye Shermanオジェ・シェルマン)とアナ・ポロ(Oye Poloオジェ・ポロ)の二人、オーディオビジュアル界の男女不平等を訴えました。ガウディ栄誉賞2024の受賞者であるロザ・ベルジェスや作品賞(カタルーニャ語映画部門)受賞者のエレナ・マルティン監督なども性的暴行に反対するスピーチをして、今年のガウディ賞はフェミニスト色の濃いガラを印象づけました。
(左から、総合司会者のマリア・ロビラ、アナ・ポロ)
(午前2時まで帰宅しなかった受賞者全員)
★大賞に当たる作品賞には、カタルーニャ語部門とカタルーニャ語以外と2部門あり、前者はエレナ・マルティン(監督賞を含めて6部門受賞)の「Creatura」、後者はエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン(新人監督賞も含めて3部門受賞)の『ミツバチと私』、共に女性の手に渡りました。しかし負けず劣らず気を吐いたのがダビ・トゥルエバの「Saben aquell」で、主演男優・主演女優賞を含めて7部門受賞、従ってこの3作で全25部門の3分の2を制覇したことになります。
*ノミネーションと受賞結果は以下の通りです。(*印は作品紹介作品)
*第16回ガウディ賞2024ノミネーションと受賞結果*
◎作品賞(カタルーニャ語)
「Saben aquell」 監督ダビ・トゥルエバ *
「Els encantats」 同エレナ・トラぺ *
「La imatge permanent」 同ラウラ・フェレス *
「Creatura」 同エレナ・マルティン *
(製作者と感極まるエレナ・マルティン)
(レッドカーペットに勢ぞろいしたクルー)
◎作品賞(カタルーニャ語以外)
「Un amor」(『ひとつの愛』) 監督イサベル・コイシェ *
「El maestro que prometió el mar」 同パトリシア・フォント
「Upon entry」 同フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス *
「20.000 especies de abejas」(『ミツバチと私』)
同エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン *
(左から5人目が監督、右隣が製作者バレリー・デルピエール)
◎監督賞
イサベル・コイシェ 「Un amor」
ダビ・トゥルエバ 「Saben aquell」
アグスティ・ビリャロンガ 「Loli tormenta」 *
エレナ・マルティン 「Creatura」
(監督賞に選ばれて共演のオリオル・プラと抱き合う監督)
◎新人監督賞
アレハンドロ・マリン 「Te estoy amando locamente」
フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス 「Upon entry」
ラウラ・フェレス 「La imatge permanent」 *
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 「20.000 especies de abejas」
◎主演男優賞
エンリク・アウケル 「El maestro que prometió el mar」
アルベルト・アンマン「Upon entry」
オリオル・プラ 「Creatura」
ダビ・ベルダゲル「Saben aquell」
(「Saben aquell」のクルー、後列4人目が監督)
◎主演女優賞
ブルナ・クシ 「Upon entry」
ライア・コスタ 「Un amor」
パトリシア・ロペス・アルナイス 「20.000 especies de abejas」
カロリナ・ジュステ 「Saben aquell」
(左から、ペドロ・カサブランク、監督、受賞者)
◎助演男優賞
ダニエル・ブリュール 「La contadora de películas」 監督ローン・シェルフィグ
ウーゴ・シルバ 「Un amor」
ペドロ・カサブランク 「Saben aquell」
アレックス・ブレンデミュール 「Creatura」
◎助演女優賞
アイナ・クロテト 「Els encantats」
アネ・ガバライン 「20.000 especies de abejas」
アナ・トレント 「Sobre todo de noche」 監督ビクトル・イリアルテ
クララ・セグラ 「Creatura」
◎新人俳優賞
アイナラ・エレハルデ 「Els encantats」
アリシア・ファルコ 「Las buenas compañías」 監督シルビア・ムント *
ラ・ダニ(ダニ・F.ポソ)「Te estoy amando locamente」
クラウディア・マラジェラダ 「Creatura」
◎アニメーション賞
「Dispararon al pianista」 監督フェルナンド・トゥルエバ、ハビエル・マリスカル *
「Hanna i els monstres」 同ロレナ・アレス
「Heavies tendres」 同ジョアン・トマス
「Robot dreams」(『ロボット・ドリームズ』) 同パブロ・ベルヘル *
(製作者サンドラ・タピアと監督)
(サンドラ・タピア、監督、アルフォンソ・デ・ビラリョンガ)
◎ドキュメンタリー賞
「Muyeres」 監督マルタ・ラジャナ
「Alteritats」 同アルバ・クロス、ノラ・ハダッド Haddad
「Hermano caballo」 同マルセル・バレナ
「Mientras seas tu, el aqui y el ahora」
同カルメ・エリアス、クラウディア・ピント *
(カルメ・エリアスとクラウディア・ピント)
◎オリジナル脚本賞
エレナ・マルティン「Creatura」
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン「20.000 especies de abejas」
イサ・カンポ、アンドレア・ケラルト、ビクトル・イリアルテ 「Sobre todo de noche」
フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス 「Upon entry」
(左がフアン・セバスティアン・バスケス)
(後列2人目主演男優賞ノミネートのアルベルト・アンマン、
隣が助演女優賞ノミネートのブルナ・クシ)
◎脚色賞
アルベルト・バル 「El maestro que prometió el mar」
ダビ・トゥルエバ、アルベルト・エスピノサ 「Saben aquell」
パブロ・ベルヘル 「Robot dreams」
イサベル・コイシェ、ラウラ・フェレロ 「Un amor」
(ラウラ・フェレロ欠席のため、一人で登壇したイサベル・コイシェ)
◎編集賞
アナ・ファフ Pfaff 「Sobre todo de noche」
ベルナト・アラゴネス 「La contadora de películas」
ラウル・バレラス 「20.000 especies de abejas」
アリアドナ・リバス 「Creatura」
◎オリジナル音楽賞
アンドレア・モティス 「Saben aquel」
クララ・アギラル 「Creatura」
マリア・アルナル、ノラ・ハダッド・カサデバル 「Alteritats」
アルフォンソ・デ・ビラリョンガ 「Robot dreams」
(フェロス賞に続いての受賞)
◎撮影賞
アラナ・メヒア・ゴンサレス 「Creatura」
アグネス・ピケ・コルベラ 「La imatge permanent」
ベト・ロウリッヒ 「Un amor」
ジナ・フェレル 「20.000 especies de abejas」
◎プロダクション賞
ドレス・メリーナス 「Creatura」
エリサ・シルベント、パトリシア・ペレイラ 「La contadora de películas」
エバ・タボアダ 「Un amor」
エドゥアルド・バジェス 「Saben aquell」
◎短編映画賞
「Blow!」 監督ネウス・バリュス
「La herida luminosa」 同クリスティアン・アビレス
「Tots els meus colors」 同アンナ・ソラナス、マルク・リバ
「El bus」 同サンドラ・レイナ
(左端バレリー・デルピエール、一人おいてサンドラ・レイナ監督)
◎テレビ・ムービー賞(ノミネート2作)
「Miró」 監督オリオル・フェレル
「Quico Sabate, sense destí」 同シルビア・ケル
◎美術賞
ジョセップ・ロセル 「El maestro que prometió el mar」
シルビア・ステインブレチェトSteinbrecht 「Creatura」
イサスクン・ウルキホ・アリホ 「20.000 especies de abejas」
マルク・ポウ 「Saben aquell」
◎衣装デザイン賞
イシス・ベラスコ 「Te estoy amando locamente」
マリア・アルメンゴル 「El maestro que prometió el mar」
マルセ・パロマ 「La contadora de películas」
ララ・ウエテ 「Saben aquell」
(受賞者欠席につき代理が受けとった)
◎メイクアップ&ヘアー賞
ダナエ・ガテル、アレックス・サルバト 「Creatura」
パトリシア・レイェス 「El maestro que prometió el mar」
パトリシア・レイェス、ヘスス・マルトス 「La contadora de películas」
ケイトリン・アチソン、ナチョ・ディアス、ベンハミン・ペレス 「Saben aquell」
◎視覚効果賞
クリスティナ・ガルモン 「Creatura」
ダビ・マルティ、モンセ・リベ 「Secaderos」2022年 監督ロシオ・メサ
Wesley Barnard、ミリアム・ピケル 「Saben aquell」
ベルナト・アラゴネス 「La contadora de películas」
◎録音賞
アルベルト・ガイ、エンリケ・G・ベルメホ、カルロス・ヒメネス 「Un amor」
エバ・バリニョ、コルド・コレリャ、シャンティ・サルバドール
「20.000 especies de abejas」
レオ・ドルガン、オリオル・ドナト、ライア・カサノバス 「Creatura」
シャビ・マス、エドゥアルド・カストロ、ヤスミナ・プラデラス 「Saben aquell」
(ヤスミナ・プラデラス)
◎ヨーロッパ映画賞(5作品)
「Aftersun」(『aftersun/アフターサン』)2022、英国 監督シャーロット・ウェルズ
「El triángulo de la tristeza」(『逆転のトライアングル』)2022、スウェーデン
同リューベン・オストルンド
「Las ocho montañas」(『帰れない山』)2022、イタリア
同フェリックス・フォン・グルーニンゲン、シャーロット・ヴァンダーメールシュ
「Close」(『CLOSE/クロース』)2022、ベルギー 同ルカス・ドント
「La sociedad de la nieve」(『雪山の絆』)2023、スペイン
同フアン・アントニオ・バヨナ *
(出演者サンティ・バカ、製作者サンドラ・エルミダ、監督)
◎観客特別賞
「El maestro que prometió el mar」
(パトリシア・フォント監督)
(左から3人目が主演男優賞ノミネートのエンリク・アウケル)
◎ミケル・プルテー栄誉賞(Miquel Porter)
ロザ・ベルジェスRosa(Roser)Vergés(バルセロナ1955)、バルセロナ派女性監督のパイオニア的存在であるロサ・ベルジェスが受賞した。代表作はゴヤ賞1991新人監督賞受賞の「Boom, Boom」(90)、他にカタルーニャ自治州映画賞、フォトグラマス・デ・プラタ作品賞などを受賞、「Tic Tac」(97)でシカゴ児童映画祭作品賞、イタリアのジッフォーニ児童映画祭ゴールデン・グリフォン賞などを受賞、「Iris」ではマラガ映画祭2004正式出品、本ガウディ賞の前身でもある2002年設立のバルセロナ映画賞2005の監督・脚本賞にノミネートされている。
(ゴヤ賞1991新人監督賞の「Boom, Boom」ポスター)
★スペインの映画賞でもカタルーニャ語映画に特化しているガウディ賞は、フォルケ賞、フェロス賞、先ほど受賞結果が発表になったゴヤ賞とはノミネーションからして異なっています。新人監督賞にノミネートされた「La imatge permanent」のラウラ・フェレスは、本賞以外どの映画賞にも名前が見当たりません。しかし作品紹介した折に、有望新人監督の一人と紹介しましたように2作目が待たれる監督です。昨年鬼籍入りしたアグスティ・ビリャロンガの遺作「Loli tormenta」も監督賞候補になりました。カタルーニャ映画アカデミー会員は数も少なく賞が僅差で左右されますので、ノミネートされることに意味があります。
(映画業界の低賃金年収12.000ユーロは国家の問題と語る、
カタルーニャ映画アカデミー会長ジュディス・コレル)
(珍しいツーショット、フアン・アントニオ・バヨナとダビ・トゥルエバ)
(カタルーニャ語以外の作品賞プレゼンター、
マリサ・パレデスとエドゥアルド・フェルナンデス)
第11回フェロス賞2024*結果発表 ― 2024年01月30日 09:49
映画部門『ミツバチと私』とTVシリーズ部門「Mesias」が作品賞
★1月26日、第11回フェロス賞2024の授賞式がマドリードのパラシオ・デ・ビスタレグレで開催されました。総合司会者はコリア・カスティーリョとブライス・エフェの重量級コンビが務めました。映画は「20.000 especies de abejas」(邦題『ミツバチと私』)がドラマ部門の作品賞と助演女優賞の2冠、これは想定内の受賞でしたが、「Robot Dreams」(邦題『ロボット・ドリームズ』)がコメディ部門の作品賞、オリジナル音楽賞、ポスター賞の3冠を受賞、ノミネート3個を全部ゲットして、これは少し予想外でした。セリフなしのアニメーション、その魅力的な登場人物(?)や観客の心をとらえた音楽のお蔭でしょう。
(コリア・カスティーリョとブライス・エフェ)
(『ミツバチと私』のキャストとクルー)
★TVシリーズのドラマ部門は、ロス・ハビスの「La mesías」が作品・脚本・主演男優・助演男優・主演女優・助演女優賞と6冠、もらえる賞のすべてを独占しましたが、その後遺症が気になります。コメディ部門の作品賞はぺポン・モンテロの「Poquita fe」が受賞しました。
(「La mesías」のキャストとクルー)
★ビクトル・エリセの「Cerrar los ojos」(邦題『瞳をとじて』)は、ノミネーション最多の10個でしたが、結局無冠に終わりました。勿論、日本のシネマニアはフェロス賞など眼中にないから痛くも痒くもありません。イサベル・コイシェの「Un amor」(邦題『ひとつの愛』)も7個ノミネーションで無冠、オスカー賞ノミネートに踏みとどまった「La sociedad de la nieve」(邦題『雪山の絆』)のフアン・アントニオ・バヨナが監督賞、他にハリー・イートンが予告編賞を受賞しました。受賞者欠席で共演者のサンティアゴ・バカとアルフォンシナ・カロシオが代理で受けとりました。このアルゼンチン出身の若い二人は昨年のシッチェス映画祭にも監督と参加していましたから次回作に起用するのかもしれません。既に世界の100,000,000人以上が観たということですから3月10日のオスカー賞が待たれます。脚本賞は「Upon Entry (La llegada)」の監督と脚本を手掛けたアレハンドロ・ロハスとフアン・セバスティアン・バスケスの手に渡りました。
★演技部門では、管理人の予想が的中して主演女優賞に「Que nadie duerma」のマレナ・アルテリオ、主演男優賞に「Saben aquell」のダビ・ベルダゲルが受賞、助演部門では「Te estoy amando locamente」のラ・ダニ、「20.000 especies de abejas」のパトリシア・ロペス・アルナイスが受賞、彼女はゴヤ賞では主演にノミネートされています。本作の主役はベルリン映画祭2023の銀熊主演賞を受賞した当時9歳のソフィア・オテロですが、スペインでは子役はノミネートから外されることが多く、これは賢明な判断だと思います。ラ・ダニは出演映画もノーチェックでしたが、ゴヤ賞は新人男優賞にノミネートされています。
★過去のフェロス栄誉賞受賞者は、ホセ・サクリスタン、チチョ・イバニェス・セラドール、昨年はペドロ・アルモドバルが受賞して会場を盛り上げました。今年は女優でTV 司会者のモニカ・ランダル(ランドールとも表記)が受賞しました。受賞者は御年81歳、「昨年はペドロ・アルモドバル、今年は私が受賞しました。同じではありません、私たちの美は異なっていますから」とユーモアたっぷりのスピーチをしました。1963年デビュー、銀幕からは引退していましたが、ダビ・ベルダゲルが主演男優賞を受賞したトゥルエバの「Saben aquell」に本人役で出演しています。TV司会者、舞台は現役です。マカロニウエスタン全盛期には多くの作品で活躍した女優です。
第11回フェロス賞2024結果発表(*は紹介作品)
◎作品賞(ドラマ)
「Un amor」(邦題『ひとつの愛』) 同イサベル・コイシェ *
「Cerrar los ojos」(邦題『瞳をとじて』) 同ビクトル・エリセ *
「La sociedad de la nieve」(邦題『雪山の絆』) 同J. A. バヨナ *
「Upon Entry (La llegada)」 同アレハンドロ・ロハス&
フアン・セバスティアン・バスケス *
「20.000 especies de abejas」(邦題『ミツバチと私』)
製作ララ・イサギーレ、バレリー・デルピエール
監督エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン
(受賞スピーチをするララ・イサギーレ)
(真夜中の12時過ぎなのにソフィアも登壇、左が監督)
◎作品賞(コメディ)
「Bajo terapia」 監督ヘラルド・エレーロ *
「Las chicas están bien」 同イチャソ・アラナ
「Mamacruz」 同パトリシア・オルテガ
「Te estoy amando locamente」 同アレハンドロ・マリン
「Robot Dreams」(アニメーション、邦題『ロボット・ドリームズ』)
製作アンヘル・ドゥランデス、イボン・コルメンサナ、イグナシ・エスタペ、
サンドラ・タピア 監督パブロ・ベルヘル
(ベルヘル監督も製作に参加、右隣が音楽エディターのユウコ夫人)
◎監督賞
イサベル・コイシェ 「Un amor」
ビクトル・エリセ 「Cerrar los ojos」
エレナ・マルティン・ヒメノ 「Creatura」 *
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 「20.000 especies de abejas」
J. A. バヨナ 「La sociedad de la nieve」
◎主演女優賞
ライア・コスタ 「Un amor」
キティ・マンベール「Mamacruz」
マリア・バスケス 「Matria」 監督アルバロ・ガゴ
カロリナ・ジュステ 「Saben aquell」 同ダビ・トゥルエバ *
マレナ・アルテリオ 「Que nadie duerma」 監督アントニオ・メンデス・エスパルサ *
◎主演男優賞
アルベルト・アンマン 「Upon Entry (La llegada)」
エンリク・アウケル 「El maestro que prometió el mar」 監督パトリシア・フォント
ホヴィク・ケウチケリアン 「Cerrar los ojos」
マノロ・ソロ 「Cerrar los ojos」
ダビ・ベルダゲル 「Saben aquell」 監督ダビ・トゥルエバ
(受賞者欠席のためダビ・トゥルエバ監督がトロフィーを受けとった)
(ダビ・トゥルエバ監督と主演者のカロリナ・ジュステ)
◎助演女優賞
アネ・ガバライン 「20.000 especies de abejas」
ルイサ・ガバサ 「El maestro que prometió el mar」
アイタナ・サンチェス≂ヒホン 「Que nadie duerma」
アナ・トレント 「Cerrar los ojos」
パトリシア・ロペス・アルナイス 「20.000 especies de abejas」
(昨年のTVシリーズ『インティミダ』助演女優賞に続いての受賞)
◎助演男優賞
ルイス・ベルメホ 「Un amor」
ホセ・コロナド 「Cerrar los ojos」
オリオル・プラ 「Creatura」
ウーゴ・シルバ 「Un amor」
ラ・ダニ 「Te estoy amando locamente」 監督アレハンドロ・マリン
(登壇から退場するまでエモーショナルなスピーチをした受賞者)
◎脚本賞DANA
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 「20.000 especies de abejas」
イサベル・コイシェ、ラウラ・フェレロ 「Un amor」
ビクトル・エリセ 「Cerrar los ojos」
エレナ・マルティン・ヒメノ 「Creatura」
フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス 「La llegada」
(黄色の帽子がフアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス)
◎オリジナル音楽賞
フェデリコ・フシド 「Cerrar los ojos」
セルティア・モンテス 「Que nadie duerma」
マイケル・ジアッキーノ 「La sociedad de la nieve」
ニコ・カサル 「Te estoy amando locamente」
アルフォンソ・デ・ビラリョンガ 「Robot Dreams」
(観客の心をふるわせた作曲家アルフォンソ・デ・ビラリョンガ)
◎ポスター賞
「20.000 especies de abejas」
「Cerrar los ojos」
「O corno」(監督ハイオネ・カンボルダ)*
「Hermana Muerte」(『ブラックサン』監督パコ・プラサ)
「Robot Dreams」 ホセ・ルイス・アグレダ
(イラストレーター、ホセ・ルイス・アグレダ)
◎予告編賞
「20.000 especies de abejas」
「Cerrar los ojos」
「Saben aquell」
「Te estoy amando locamente」
ハリー・イートン 「La sociedad de la nieve」
(受賞者欠席のため共演者サンティアゴ・バカとアルフォンシナ・カロシオが受けとった)
(左から、サンティアゴ・バカ、バヨナ監督、アルフォンシナ・カロシオ)
◎TVシリーズ作品賞(ドラマ)
「El cuerpo en llamamas」(Netflix)
「El hijo zurdo」(Movistar Plus+)
「Rapa 2」(Movistar Plus+)
「Selftape」(Filmin)
「La mesías」(Movistar Plus+)製作ドミンゴ・コラル、フラン・アラウホ、
スサナ・エレラス、ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ
(6冠制覇の受賞者たち)
◎TVシリーズ作品賞(コメディ)
「Citas Barcelona」(TV3, Amazon Prime Video)
「Esto no es Suecia」(RTVE Play y 3Cat)
「El otro lado」(Movistar Plus+)
「Poquita fe」(Movistar Plus+)
製作フラン・アラウホ、イグナシオ・コラレス、ペペ・リポル
監督(クリエイター)ぺポン・モンテロ、フアン・マイダガン
(右側がぺポン・モンテロ監督)
◎TVシリーズ主演女優賞
ウルスラ・コルベロ 「El cuerpo en llamamas」
マカレナ・ガルシア 「La mesías」
エスペランサ・ペドレーニョ 「Poquita fe」
アナ・ルハス 「La mesías」
ロラ・ドゥエニャス 「La mesías」
◎TVシリーズ主演男優賞
ハビエル・カマラ 「Rapa 2」
ラウル・シマス 「Poquita fe」
パトリック・クリアド 「Las noches de Tefía」(Atresplayer)
キム・グティエレス 「El cuerpo en llamamas」
ロジェール・カザマジョール 「La mesías」(欠席)
◎TVシリーズ助演女優賞
アマイア・ロメロ 「La mesías」
タマラ・カセリャス 「El hijo zurdo」
フリア・デ・カストロ 「Poquita fe」
カルメン・マチ 「La mesías」
イレネ・バルメス 「La mesías」
◎TVシリーズ助演男優賞
アンドレウ・ブエナフエンテ 「El otro lado」
チャニ・マルティン 「Poquita fe」
ビエル・ロッセル・ペルフォート 「La mesías」
ホセ・マヌエル・ポガ 「El cuerpo en llamamas」
アルベルト・プラ 「La mesías」
(受賞者欠席のため共演者4人がトロフィーを受けとった)
◎TVシリーズ脚本賞
ラウラ・サルミエント、エドゥアルド・ソラ、カルロス・ロペス、
ホセ・ルイス・マルティン 「El cuerpo en llamamas」
ラファエル・コボス 「El hijo zurdo」
ベルト・ロメロ、ラファエル・バルセロ、エンリク・パルド 「El otro lado」
ペポン・モンテロ、フアン・マイダガン 「Poquita fe」
ハビエル・アンブロッシ、ハビエル・カルボ、ナチョ・ビガロンド、
カルメン・ヒメネス 「La mesías」
(左から、カルメン・ヒメネス、ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ)
◎フェロス感動賞(フィクション)
「Sobre todo de noche」 監督ビクトル・イリアルテ、製作バレリー・デルピエール他
(受賞者ビクトル・イリアルテ、製作者のバレリー・デルピエール)
◎フェロス感動賞(ノンフィクション)
「La Singla」 製作ナジャ・スミス、パオラ・サインス・デ・バランダ
監督パロマ・サパタ
*難聴のフラメンコダンサー、アントニア・シングラのドキュメンタリー
(受賞スピーチするパロマ・サパタと製作者たち)
◎フェロス栄誉賞
モニカ・ランダル(女優、テレビ司会者)1942年バルセロナ生れ。マラガ映画祭2018のビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞を受賞した折にキャリア&フィルモグラフィーの紹介をしています。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2018年03月30日
★フェロス賞はスペイン映画ジャーナリスト協会AICEが主催する映画賞、マリア・ゲーラ会長の挨拶スピーチには、カルロス・ベルムトによる3人の女性へのセクハラ告発の問題も含まれていた。これに対してAICEは全面的に被害者を支援するとの表明があった。この件については詳細が分かりませんので後にアップするとして今回は触れません。3時間にも及ぶお祭り気分も吹き飛んでしまいます。
(性被害を告発するマリア・ゲーラAICE会長)
(煌びやかなベストドレッサーたち)
第29回ホセ・マリア・フォルケ賞2024・結果発表 ― 2023年12月22日 10:44
作品賞は『ミツバチと私』と「La mesías」が受賞
★12月16日(現地22:00、rtve play2)ホセ・マリア・フォルケ賞の授賞式が2年ぶりにマドリード(Palacio Municipal de IFEMA)に戻ってきました。総合司会はマカレナ・ゴメス & パブロ・チアペリャが務めました。音楽アーティストには、アナ・ゲーラ、アナ・メナ、フラン・ペレア、Taburete タブレテ、Viccoビッコなどが登場、会場を感動で盛り上げました。マカレナはダンスも披露、TVシリーズの長寿コメディ「La que se avecina」(2007~23)で共演しているパブロと乗り切りました。20:00からレッドカーペットに候補者や招待客が続々登場、ガラは22:00開始され2時間近い長丁場になり、宵っ張りのスペイン人も疲れたことでしょう。
(総合司会者マカレナ・ゴメス、パブロ・チアペリャ)
★映画部門の製作者に与えられる作品賞は、エスティバリス・ウレソラ・ソラグレンのデビュー作「20.000 especies de abejas」がビクトル・エリセの「Cerrar los ojos」とフアン・アントニオ・バヨナの「La sociedad de la nieve」を抑えて勝利しました。ダビ・トゥルエバの「Saben aquell」で主演のコメディアンを演じたダビ・ベルダゲルが男優賞、20年前からアメリカで仕事をしているアントニオ・メンデス・エスパルサが、初めてスペインを舞台にして撮った「Que nadie duerma」の主役マレナ・アルテリオが女優賞、結局のところ大先輩二人は手ぶらで帰ることになりました。もっともエリセ監督は欠席のようでした。作品賞受賞作は「Premio al Cine y a la Educación en Valores」の分野も制し、このトランスジェンダーの子供時代を繊細に描いたデビュー作が、来年のゴヤ賞の本命となる可能性が出てきました。
*フォルケ賞の解説とノミネーションの記事は、コチラ⇒2023年11月18日
(受賞スピーチをするエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン)
(TVシリーズ作品賞を受賞したロス・ハビスと仲間たち)
★TV部門の作品賞は下馬評通りハビエル・アンブロッシ & ハビエル・カルボの「La mesías」が受賞、狂信的な両親によって世間から孤立した家族の痛みとトラウマを描いた作品が3賞を独占、つまりこの狂信的な母親を演じたロラ・ドゥエニャスが女優賞、人生の意味を模索する長男に扮したロジェール・カザマジョールが男優賞を受賞ということで、TV部門のすべての賞を攫ってしまいました。
(コンチャ・ベラスコにオマージュを捧げたクリスティナ・カスターニョ)
★ガラ後半に主催者EGEDA会長エンリケ・セレソが登場、金のメダル受賞者プロデューサーのエドゥアルド・カンポイにトロフィーを手渡しました。またセレソ会長は去る12月2日に鬼籍入りしたコンチャ・ベラスコと12月8日明け方心停止のため46歳の若さで旅立ったイツィアル・カストロを偲びました。司会者をフォローしたクリスティナ・カスターニョは子供のときから母親に「歌えて演技も司会も何でもできるコンチャのような女優になりなさい」と言われていたと名女優を讃えた。観客賞を受賞したハビエル・フェセルの「Campeonex」が最後の出演となったイツィアル・カストロも、多分今回のガラにも出席してファンを楽しませてくれるはずだったと思います。受賞者は以下の通りです。
(EGEDA会長エンリケ・セレソ)
(金のメダルを受賞したエドゥアルド・カンポイ)
*第29回ホセ・マリア・フォルケ賞2024受賞結果*
◎作品賞(フィクション)副賞30,000ユーロ
「Cerrar los ojos」(邦題『瞳をとじて』で2024年2月9日公開)
「La sociedad de la nieve」(邦題『雪山の絆』でNetflix 2024年1月5日配信開始)
「Upon entry (La llegada)」
「20.000 especies de abejas」(邦題『ミツバチと私』で2024年1月5日公開)
*製作:Especies de abejas, AIE / Gariza Films / Inicia Films, SL. 製作者:バレリー・デルピエール、ララ・イサギーレ・ガリスリエタ
*プレゼンターは、ナタリア・デ・モリーナとエドゥアルド・ノリエガ
(受賞スピーチをするバレリー・デルピエールと監督、
出演者パトリシア・ロペス・アルナイス、 アネ・ガバラインなど)
(監督が手にしているのが教育と価値観分野のトロフィー、フォトコール)
◎長編アニメーション賞
「Dispararon al pianista」(公開済み)
「El sueño de la sultana」(11月17日公開)
「Momias」(Movistar+)
「Robot dreams」(『ロボット・ドリームズ』)監督:パブロ・ベルヘル
*製作:Lokis Films, AIE / Lea Films du Worso, Noodies Production / Arcadia Motion Pictures, SL.
製作者:アンヘル・ドゥランデス、イボン・コルメンサナ、イグナシ・エスタペ、
パブロ・ベルヘル、サンドラ・タピア
(パブロ・ベルヘル監督、音楽担当ハヤミ・ユウコ、製作者サンドラ・タピアなど)
◎長編ドキュメンタリー賞 副賞6,000ユーロ
「El caso Padilla」(プライムビデオ)
「Iberia Naturaleza Infinita」(未)
「Samsara」(12月20日公開)
「Juan Mariné. Un siglo de cine」(未)監督:マリア・ルイサ・プジョール
*102歳でゴヤ賞2024栄誉賞を受賞するフアン・マリネの人物像を描いている。
(監督と映画講義財団のホルヘS. ボネ会長、フォトコール)
(フアン・マリネ)
◎男優賞 副賞3,000ユーロ
アルベルト・アンマン 「Upon entry (La llegada)」(Filmin)
ホヴィク・ケウチケリアン 「Un amor」(11月10日公開)
マノロ・ソロ 「Cerrar los ojos」(公開済み)
ダビ・ベルダゲル 「Saben aquell」(公開済み)監督:ダビ・トゥルエバ
◎女優賞 副賞3,000ユーロ
ブランカ・ポルティリョ 「Teresa」(11月24日公開)
ライア・コスタ 「Un amor」(11月10日公開)
マリア・バスケス 「Matria」(Movistar+)
マレナ・アルテリオ 「Que nadie duerma」(11月17日公開)
*監督:アントニオ・メンデス・エスパルサ
(ガザ爆撃をやめて休戦を願わざるをえないとスピーチした受賞者)
◎TVシリーズ賞(フィクション)副賞6,000ユーロ
「30 monedas」(シーズン2)(HOB Max)ホラー・ミステリー
脚本:アレックス・デ・ラ・イグレシア、ホルヘ・ゲリカエチェバリア
「El cuerpo en llamas」(シーズン1)(Netflix『燃えさかる炎』)犯罪ドラマ
発案:ラウラ・サルミエント・パラレス、監督:ホルヘ・トレグロサ & ラウラ・マニャ
「Poquita fe」(シーズン1)(Movistar+)コメディ
発案:フアン・マイダガン & ペポン・モンテロ
「La mesías」(シーズン1)(Movistar+)
発案:ロス・ハビス(ハビエル・アンブロッシ & ハビエル・カルボ)
*作品紹介は、コチラ⇒2023年07月19日
(ママとパパにも感謝を捧げたロス・ハビス)
◎TVシリーズ男優賞 副賞3,000ユーロ
アルベルト・プラ 「La mesías」(Movistar+)
ハビエル・カマラ 「Rapa」(Movistar+)
ラウル・シマス 「Poquita fe」(Movistar+)
ロジェール・カザマジョール 「La mesías」(Movistar+)
(今は亡きアグスティ・ビリャロンガ監督にトロフィーを捧げた受賞者)
◎TVシリーズ女優賞 副賞3,000ユーロ
アナ・ルハス 「La mesías」(Movistar+)
エスペランサ・ペドレーニョ 「Poquita fe」(Movistar+)
ウルスラ・コルベロ 「El cuerpo en llamas」(Netflix)
ロラ・ドゥエニャス 「La mesías」(Movistar+)
(両監督から祝福を受けるロラ・ドゥエニャス)
(両監督に「幸せにしてくれてありがとう」とスピーチしたロラ・ドゥエニャス)
◎短編賞 副賞3,000ユーロ
「Actos por partes」
「París 70」
「Aunque es de noche」(16分)
*監督:ギジェルモ・ガルシア・ロペス
製作者:Damien Megherbi、ダビ・カサス・リエスコ、マリナ・ガルシア・ロペス、他
*マドリードにあるヨーロッパ最大のスラム「ラ・カニャーダ・レアル」では、電力の供給がない4度目の冬を迎えている。住宅問題が何であれ、ここに住んでいる人々は生きることを拒否されている。13歳のトニはナセルと友達になるが・・・。監督ほかトニを演じたアントニオ・フェルナンデスとナセル・ロクニも登壇した。
(ラ・カニャーダ・レアルにトロフィーを捧げた)
◎ラテンアメリカ映画賞 副賞6,000ユーロ
「La pecera」(12月1日Filmin)
「Los colonos」チリ(未)監督;フェリペ・ガルベス
「Puan」アルゼンチン(公開済み)
「La memoria infinita」チリ(2024年1月12日公開)
*監督:マイテ・アルベルディ、製作:Micromundo Producciones / Fabula Producciones, LTDA.
◎Premio al Cine y a la Educación en Valores(教育と価値観の映画賞)
「Campeonex」(公開済み)
「Chinas」(公開済み)
「Te estoy amando locamente」(Movistar+)
「20.000 especies de abejas」(Movistar+)
*監督エスティバリス・ウレソラ・ソラグレンと製作者バレリー・デルピエール、ララ・イサギーレ・ガリスリエタが登壇した。
◎観客賞
「Campeonex』監督:ハビエル・フェセル
(フェセル監督は脚本家で夫人のアテネア・マタ左端と一緒に登壇した)
★会場を楽しませてくれたミュージシャンやコメディアンは、こんな歌手、タレントでした。どこの映画賞も年々華やかになってきて、今年はこちらのほうが長かったのではないでしょうか。
(アナ・ゲーラ、”Chica,yeyé” )
(アナ・メナ、”Limosna de Amores” と ”A Tu Vera” の2曲)
(Tabureteのウィリー・バルセナス)
(Vicco)
(コメディアン、司会者のパス・パディリャ)
(サンティアゴ・セグラ監督)
ゴヤ栄誉賞に撮影監督フアン・マリネ*ゴヤ賞2024 ① ― 2023年12月03日 15:20
103歳の撮影監督フアン・マリネにゴヤ賞栄誉賞
★第38回ゴヤ賞2024は、カスティーリャ・イ・レオン州のバジャドリード市(会場フェリア・デ・バジャドリード)で2月10日(土)開催です。スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテが主宰する(副会長ラファエル・ポルテラ、スシ・サンチェス)。ノミネーションは11月30日と間もなくですが、10月6日に栄誉賞は撮影監督フアン・マリネ(バルセロナ1920)、10月30日に総合司会者は女優、歌手、監督のアナ・ベレン(ゴヤ栄誉賞2017の受賞者)と監督、脚本家、製作者のロス・ハビスことハビエル・アンブロッシ&ハビエル・カルボの3名、と強力打線がアナウンスされておりました。アナ・ベレンは紹介不要ですが、目下舞台やTVシリーズに出演中、ロス・ハビスはフェロス賞のTVシリーズ(ドラマ部門)に最多ノミネーションと紹介したばかりの「La mesías」を手掛けている新進気鋭のシネアスト、二人の作品賞受賞は間違いないでしょう。
(左から、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ、
アナ・ベレン、ロス・ハビス、10月30日)
★スペイン映画アカデミーは、今回のゴヤ栄誉賞に撮影監督、フィルム修復家、スペイン映画界の伝説的な正真正銘の映画研究者フアン・マリネを選びました。「スペイン映画史において80数年にもわたるそのキャリア、フィルム保存や修復への努力、自らの仕事を通じて、スペイン映画史における光の重要性に確かな意義をもたせた」と授賞理由を発表した。監督や俳優のように華々しく表舞台には現れないが、まず1920年12月31日生れに驚かされる(まだ102歳だが受賞時には103歳になる)。映画界に足を踏み入れたのが14歳、「スペイン内戦を生きのび、私の人生イコール映画だと誓って断言できます」と受賞者。
★若い頃に一緒に仕事をした多くの監督名をつらつら眺めるに、当然のことながらほとんどが鬼籍入りしていました。例えばスペイン映画史を紐解けば必ず登場するエドガル・ネビリェ、チャップリンの友人で貴族出の外交官でもあった彼は、ハリウッドの映画界と関係の深った監督で、故国の若いシネアストたちをハリウッドに紹介した人物、またホセ・ルイス・サエンス・エレディア、アントニオ・デル・アモ、ホセ・マリア・フォルケ、ペドロ・ラサガ、ペドロ・マソ・・・と、アシスタント時代を含めると140作以上手掛けている。1990年、フアン・ピケル・シモンの「La grieta」(「The Rift」、『新リバイアサン リフト』)が最後に手掛けた映画でした。彼とも10作以上撮っている。2014年にはプリミティボ・ペレスがドキュメンタリー「Juan Mariné: La aventura de hacer cine」を撮っている。
(マリネのビオピック「Juan Mariné: La aventura de hacer cine」)
★最初の撮影はIMDbに記載はないが、シンジケート全国労働総同盟に加入していたことで、1936年11月に殺害されたアナーキストのブエナベントゥラ・ドゥルティのバルセロナでの埋葬を撮っている。当時彼はエンリケ・リステルの戦争カメラマンだった。内戦中にはフランスのサン=シプリアンやアルジュレス=シュル=メールの強制収容所に入れられ、セビーリャのフランコ派の強制収容所であったラ・リコナダ捕虜収容所に収監されたときは、セビーリャの多くの人々から愛されていたサッカーのレフェリーであった父親のお陰で出所できたということです。10代で「内戦を生きのびた」世代の一人です。
★その後、カタルーニャ参謀本部のカメラマンになり、バルセロナのプロダクションで写真撮影助手として働いていた。内戦が終結すると以前のようにハリウッド映画「The Great Ziegfeld」(36『巨星ジーグフェルド』)を観に映画館に行けるようになった。これは1932年に亡くなったブロードウェイの興行主フローレンツ・ジーグフェルドの伝記映画で、そのインパクトが彼を映画界に引き入れた1作になったと語っている。
★最初の長編映画は、1947年のアントニオ・デル・アモの「Cuatro mujeres」で、その後13作もタッグを組んでいる。紹介記事によるとオーソン・ウェルズが自宅に逗留してロスのカリフォルニア大学で講義するよう誘ったがハリウッドには関心を向けなかったという。彼はスペインで最初にカラー撮影をしたことでも知られている。マルガリータ・アレクサンドレ&ラファエル・マリア・トレシーリャの「La gata」(56)である。新しい撮影技術やフィルム修復の考案者でもあった。例えば光学コピー機、あるいは彼の手で設計されたネガ洗浄機などである。2020年、彼の生誕100周年には、スペイン・フィルモテカで彼が修復した作品、自身の「Orgullo」、「La gata」、「La gran familia」(『ばくだん家族』)、「Supersonic Man」、その他サイレント時代のフローリアン・レイの「La aldea maldita」(30)、本物の闘牛士ペピン・マルティン・バスケスが主演したルイス・ルシアのトレロ映画「Currito de la cruz」(49)などが上映された。
★パンデミアになる2020年までマドリード共同体映画学校の映画修復の指導者として毎日通っていた。地下に専用の部屋を持っていて、指導を受けていた生徒たちによると「サブ≂マリネ」と呼ばれていたそうです。以下に主な受賞歴を列挙しておきます。
*主な受賞歴*
1966年:ナショナル・シンジケート・オブ・スペクタクル賞
(撮影部門、「Los guardiamarinas」)
1990年:金のメダル(スペイン文化スポーツ省の美術功績賞)
1994年:映画国民賞(スペイン文化スポーツ省)
2001年:セグンド・デ・チョモン栄誉賞(スペイン映画アカデミー)
2015年:エスピガ麦の穂栄誉賞(Seminci 第60回バジャドリード映画祭)
2017年:シッチェス映画祭栄誉賞
2024年:第38回ゴヤ栄誉賞
(3人揃って栄誉賞を受賞したフアン・ディエゴ、フェルナンド・トゥルエバと、
Seminci 2015、カルデロン劇場にて)
★簡単にご紹介するつもりが、その経歴の波乱万丈に魅せられ、結局スペイン映画史の資料をあさる自体になりました。願わくば来年2月10日の授賞式には元気な姿で登壇してほしいものです。ゴヤ賞2024ノミネーションも出揃い、次回にアップする予定です。フォルケ賞、フェロス賞に多くが重なりますが、ノーチェック作品で賞に絡みそうな話題作を紹介したいと思います。
第11回フェロス賞2024*ノミネーション発表 ― 2023年11月28日 10:02
授賞式はマドリードに戻って1月26日に決定
★2年連続でサラゴサ開催だったフェロス賞がマドリードに戻ってきました。3回目の開催はないとサラゴサ市のサラ・フェルナンデス副市長がアナウンスしていた通りになりました。フェロス栄誉賞は目下のところ未発表です。フェロス賞は2013年スペイン映画ジャーナリスト協会(AICE)が創設、翌年1月に第1回がマドリードで開催されました。ゴヤ賞の前哨戦という立ち位置は、選考母体が米国のゴールデン・グローブ賞に類似していますが、フェロス賞とTV部門のないゴヤ賞とはカテゴリーが大分異なります。当ブログと偶然にも同じ年に誕生したスペイン映画賞ですが、第2回から記事をアップしています。
*第10回フェロス賞2023の記事は、コチラ⇒2023年02月01日
★11月23日、AICE現会長マリア・ゲーラ、俳優のミゲル・ベルナルドーとラウラ・ガランがDAMAのマドリード本部に集まりノミネーション・リストを発表しました。映画部門の最多ノミネーションは「Cerrar los ojos」の9個、「20.000 especies de abejas」の7個、TVシリーズ部門は「La Mesías」の11個、同一カテゴリー内の助演女優賞にアマイア・ロメロ、イレネ・バルメス、カルメン・マチの3人が選ばれています。続く「Poquita fe」の6個、「El cuerpo en llamas」の5個、ノミネーションの数と受賞とは必ずしも一致しない。以下ノミネーション・リストの初出に監督名、邦題のあるものはそれぞれ追加しました。
(マリア・ゲーラ、ラウラ・ガラン、ミゲル・ベルナルドー)
*第11回フェロス賞2024ノミネーション*(*は作品紹介をしている)
◎作品賞(ドラマ)
「20.000 especies de abejas」 監督エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン *
「Un amor」(『ひとつの愛』) 同イサベル・コイシェ *
「Cerrar los ojos」 同ビクトル・エリセ *
「La sociedad de la nieve」(『雪山の絆』) 同J. A. バヨナ *
「Upon Entry (La llegada)」
同アレハンドロ・ロハス&フアン・セバスティアン・バスケス *
◎作品賞(コメディ)
「Bajo terapia」 監督ヘラルド・エレーロ *
「Las chicas están bien」 同イチャソ・アラナ
「Mamacruz」 同パトリシア・オルテガ
「Robot Dreams」(アニメーション『ロボット・ドリームズ』)同パブロ・ベルヘル
「Te estoy amando locamente」 同アレハンドロ・マリン
◎監督賞
J. A. バヨナ 「La sociedad de la nieve」
イサベル・コイシェ 「Un amor」
ビクトル・エリセ 「Cerrar los ojos」
エレナ・マルティン・ヒメノ 「Creatura」 *
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 「20.000 especies de abejas」
◎主演女優賞
マレナ・アルテリオ 「Que nadie duerma」 監督アントニオ・メンデス・エスパルサ
ライア・コスタ 「Un amor」
キティ・マンベール「Mamacruz」
マリア・バスケス 「Matria」 同アルバロ・ガゴ *
カロリナ・ジュステ 「Saben aquell」 同ダビ・トゥルエバ
◎主演男優賞
アルベルト・アンマン 「Upon Entry (La llegada)」
エンリク・アウケル 「El maestro que prometió el mar」 監督パトリシア・フォント
ホヴィク・ケウチケリアン 「Cerrar los ojos」
マノロ・ソロ 「Cerrar los ojos」
ダビ・ベルダゲル 「Saben aquell」
◎助演女優賞
アネ・ガバライン 「20.000 especies de abejas」
ルイサ・ガバサ 「El maestro que prometió el mar」
パトリシア・ロペス・アルナイス 「20.000 especies de abejas」
アイタナ・サンチェス≂ヒホン 「Que nadie duerma」
アナ・トレント 「Cerrar los ojos」
◎助演男優賞
ラ・ダニ 「Te estoy amando locamente」
ルイス・ベルメホ 「Un amor」
ホセ・コロナド 「Cerrar los ojos」
オリオル・プラ 「Creatura」
ウーゴ・シルバ 「Un amor」
◎脚本賞
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 「20.000 especies de abejas」
イサベル・コイシェ、ラウラ・フェレロ 「Un amor」
ビクトル・エリセ 「Cerrar los ojos」
エレナ・マルティン・ヒメノ 「Creatura」
フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス 「Upon Entry (La llegada)」
◎オリジナル音楽賞
フェデリコ・フシド 「Cerrar los ojos」
セルティア・モンテス 「Que nadie duerma」
アルフォンソ・デ・ビラリョンガ 「Robot Dreams」
マイケル・ジアッキーノ 「La sociedad de la nieve」
ニコ・カサル 「Te estoy amando locamente」
◎ポスター賞
「20.000 especies de abejas」
「Cerrar los ojos」
「O corno」(監督ハイオネ・カンボルダ)*
「Hermana Muerte」(『ブラックサン』監督パコ・プラサ)
「Robot Dreams」
◎予告編賞
「20.000 especies de abejas」
「Cerrar los ojos」
「Saben aquell」
「La sociedad de la nieve」
「Te estoy amando locamente」
◎TVシリーズ作品賞(ドラマ)
「El cuerpo en llamamas」(Netflix)
「El hijo zurdo」(Movistar Plus+)
「La mesías」(Movistar Plus+)
「Rapa 2」(Movistar Plus+)
「Selftape」(Filmin)
◎TVシリーズ作品賞(コメディ)
「Citas Barcelona」(TV3, Amazon Prime Video)
「Esto no es Suecia」(RTVE Play y 3Cat)
「El otro lado」(Movistar Plus+)
「Poquita fe」(Movistar Plus+)
◎TVシリーズ主演女優賞
ウルスラ・コルベロ 「El cuerpo en llamamas」
ロラ・ドゥエニャス 「La mesías」
マカレナ・ガルシア 「La mesías」
エスペランサ・ペドレーニョ 「Poquita fe」
アナ・ルハス 「La mesías」
◎TVシリーズ主演男優賞
ハビエル・カマラ 「Rapa 2」
ロジェール・カザマジョール 「La mesías」
ラウル・シマス 「Poquita fe」
パトリック・クリアド 「Las noches de Tefía」(Atresplayer)
キム・グティエレス 「El cuerpo en llamamas」
◎TVシリーズ助演女優賞
アマイア・ロメロ 「La mesías」
イレネ・バルメス 「La mesías」
タマラ・カセリャス 「El hijo zurdo」
フリア・デ・カストロ 「Poquita fe」
カルメン・マチ 「La mesías」
◎TVシリーズ助演男優賞
アンドレウ・ブエナフエンテ 「El otro lado」
チャニ・マルティン 「Poquita fe」
アルベルト・プラ 「La mesías」
ビエル・ロッセル・ペルフォート 「La mesías」
ホセ・マヌエル・ポガ 「El cuerpo en llamamas」
◎TVシリーズ脚本賞
ラウラ・サルミエント、エドゥアルド・ソラ、カルロス・ロペス、
ホセ・ルイス・マルティン 「El cuerpo en llamamas」
ラファエル・コボス 「El hijo zurdo」
ハビエル・アンブロッシ、ハビエル・カルボ 「La mesías」
ベルト・ロメロ、ラファエル・バルセロ、エンリク・パルド 「El otro lado」
ペポン・モンテロ、フアン・マイダガン 「Poquita fe」
★TVシリーズ作品賞9作品のうち5作をMovistar Plus+が手掛けている。日本では多くが字幕入りで鑑賞できないシリーズ部門は、次から受賞作だけアップでいいかもしれない。
第68回バジャドリード映画祭2023*結果発表 ― 2023年11月25日 19:05
新星ラウラ・フェレスのデビュー作「La imatge permanent」に金の穂
★10月28日、バジャドリード映画祭がバルセロナ出身のラウラ・フェレスの長編デビュー作「La imatge permanent」を金賞(Espiga de Oro)に選んで閉幕しました。スペインが初めて受賞したのは2007年のヘラルド・オリバレス監督の「14 kilómetros」にも驚きますが、今回が68回目という長い歴史のある映画祭で「女性監督の受賞は初めて」の記事に感慨深いものがありました。作品&監督キャリア紹介は後述しますが、1989年にバルセロナのエル・プラット・デ・リョブレガット生れの34歳、監督、脚本家です。その若さにも驚きましたが、予告編を見ただけでもそのエネルギーとユニークさに引きこまれました。キャストはおおむね本作が初出演というからそれも楽しみ、演技賞はさておき少し荒削りの感もありますが、ゴヤ賞新人監督賞ノミネートは間違いないと予想します。
(金の穂賞のトロフィーを手にしたラウラ・フェレス、10月28日ガラ)
★バジャドリード映画祭は、今年で68回目というスペインでも老舗の国際映画祭です。1956年Semana del Cine Religioso de Valladolid(バジャドリード宗教映画週間)としてスタート、その後名称が何回か変わり、1973年Semana Internacional de Cineとなり現在に至っています。バジャドリード映画祭よりSEMINCIの名で親しまれていますが、SeminciでなくSem-In -Ciに拘る人々もいるわけです。本祭のディレクターは今年からセビーリャ映画祭の総ディレクターだったホセ・ルイス・シエンフエゴスに変わり、彼が初めて統率する映画祭でもありました。本祭はレッドカーペットでなくグリーンカーペットの映画祭としても知られています。
(ホセ・ルイス・シエンフエゴス新ディレクターの祝福を受けるラウラ・フェレス)
★国際映画祭ですが、スペイン映画関係の受賞者をピックアップしますと、栄誉賞にブランカ・ポルティリョ、彼女はパウラ・オルティスの「Teresa」でテレサ・デ・ヘススに扮しフォルケ賞2024女優賞にノミネートされており、本祭でもアウト・オブ・コンペティションですが上映されました。同じフォルケ賞でノミネートされているマレナ・アルテリオ主演の「Que nadie duerma」(監督アントニオ・メンデス・エスパルサ)もコンペティション部門で上映されており、フォルケ賞も作品賞以上に混戦が予想されます。
(栄誉賞のトロフィーを手にしたブランカ・ポルティリョ)
「La imatge permanent」
(西題「La imagen permanente」英題「The Permanent Picture」)
製作:Fasten Films(スペイン)/ Le Bureau(フランス)/ ICAA / ICEC / TV3
/ Volta Producción
監督:ラウラ・フェレス
脚本(共同):ラウラ・フェレス、カルロス・ベルムト、ウリセス・ポッラ
撮影:アグネス・ピケ・コルベラ
編集:アイナ・カジェハ
音響:ダニ・フォントロドナ
音楽:フェルナンド・モレシ・ハベルマン、セルヒオ・ベルトラン
製作者:アドリア・モネス・ムルランス、ガブリエル・ドゥモン、ガブリエル・カプラン、他
データ:製作国スペイン=フランス、2023年、スペイン語・カタルーニャ語、ドラマ、94分、長編デビュー作、撮影地エル・プラット・デ・リョブレガット(バルセロナ、監督の生地)、配給La Aventura(スペイン)、公開スペイン11月17日
映画祭・受賞歴:ロカルノ映画祭2023コンペティション部門でプレミア(8月6日)、ケンブリッジ映画祭(10月22日)、テッサロニキ映画祭(11月9日)、第68回バジャドリード映画祭コンペティション部門、作品賞を受賞。
ストーリー:スペイン南部の片田舎で暮らしていた10代の母親アントニアは、赤ん坊を残して真夜中に出奔する。50年後、はるか彼方の北の町では、引っ込み思案のキャスティング・ディレクターのカルメンが、次のプロジェクトのためのヒロイン探しに逡巡していたとき、偶然アントニアと出会います。新しい街に越してきて共通の繋がりを発見するという女性に出会ったとき、その衝動性がカルメンの孤独に侵入してきます。映画は20世紀のアンダルシアで始まり、現在のバルセロナで繰り広げられる。「時間がすべての傷を癒してくれると誰が言いましたか?」これはスペイン内戦後、アンダルシアからカタルーニャに移住してきた人々の歌や物語の一部です。自分の経験を共有してくれる人を探す物語。
アンダルシアからカタルーニャに移住してきた人々のルーツを探る
★長編デビュー作「La imatge permanent」は、アンダルシア出身の監督の母方の祖母にインスパイアされた作品で、ディアスポラの不安を探求している。自身の家族史のなかにフィクションを滑りこませ、キャスティング・ディレクターとしての自身の過去を、スペイン内戦後にアンダルシアの田舎から北の都会に移住してきた家族の伝承として掘り下げる。農村から都市への切り替えの影響を受けている人々への頌歌、それが理解できない世間知らずの為政者への風刺、監督は「憂鬱なコメディ」と称している。内向的なカルメンには監督が投影されている。監督は「この映画の最も重要な要素の一つは時間です」と、時間がテーマの一つのようです。「批評家週間」のネクスト・ステップ・イニシアチブ、トリノ・フィルム・ラボの支援を受け、マラガ映画祭のワーク・イン・プログレスプロジェクトに選ばれていました。
★ラウラ・フェレスは、1989年生れ、監督、脚本家。バルセロナのESCAC(カタルーニャ映画視聴覚上級学校)卒、最終課程で制作した「A perro flaco」(14)がバジャドリード映画祭スペイン短編の夕べ部門にノミネート、他にモントリオール映画祭2015などで上映された。2017年、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」短編部門にドキュメンタリー「Los desheredados」(18分、The Disinherited)がノミネート、ライカ・シネ・ディスカバリー賞を受賞、後にSeminciでも上映され、翌年のゴヤ賞2018短編ドキュメンタリー映画部門で製作者のバレリー・デルピエールと受賞した。ガウディ賞は短編賞、ポルトガルのビラ・ド・コンデ短編映画祭のヨーロピアン短編賞、アルカラ・デ・エナレス短編映画祭では脚本賞、父親のペレ・フェレスが男優賞を受賞するなどした。本短編はドキュメンタリーとフィクションを行ったり来たりするような手法で父親の会社の倒産を描いている。ゴヤ賞ガラには父親と出席した。金の穂受賞作には俳優として出演している。
(父親ペレ・フェレスと監督、ゴヤ賞2018ガラ)
★第11回フェロス賞2024のノミネーションが発表になっています。2年連続でサラゴサ開催でしたが、マドリードに戻って、1月26日開催です。
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