TCMユース賞の新設*サンセバスチャン映画祭2021 ②2021年07月25日 17:11

        対象は「ニューディレクターズ」と「ホライズンズ・ラティノ」の2部門

    

      

              (対象になる両部門のポスター)

 

★どの映画祭でも賞の数は増える傾向ですが、サンセバスチャン映画祭SSIFFは、第69回からTCM ユース賞Premio TCM de la Juventudの新設を発表しました。ニューディレクターズ部門の監督、ホライズンズ・ラティノ部門は長編2作目までが対象者です。審査員(75名)の投票方式、メンバーは1日平均3作を鑑賞しなければならない。スペインのTCM最高責任者ギジェルモ・ファレ(スペイン、フランス、アフリカなどでワーナーメディアのエンターテインメント・チャンネルの責任者)は、「TCM とワーナーメディアからSSIFF とのコラボを託された」とコメント、最終日の925日に発表される。

TCMTurnar Classic Moviesターナー・クラシック・ムービーズ)は、ワーナーメディア傘下のワーナー・ブラザースが運営する映画専門チャンネル。

 

★セクション・オフィシアル部門の9 作品以外のミネーションは未発表です。

シガニ―・ウィーバーが公式ポスターの主役*サンセバスチャン映画祭2021 ①2021年07月20日 16:46

         セクション・オフィシアルのノミネーションの一部が発表されました

        

         

      (第69SSIFF公式ポスターの主役になったシガニー・ウィーバー)

 

1ヵ月前に第69回サンセバスチャン映画祭の公式ポスターがお披露目されていましたが、このほどセクション・オフィシアル部門のノミネーション9作品が発表になりました。フランスのローラン・カンテ1999年ニューディレクターズ部門受賞者)、本祭の常連ともいえるイギリスのテレンス・デイビス、金貝賞部門は初めてというクラウディア・リョサクレール・シモンイネス・バリオヌエバの女性監督などです。まだ一部なので全作品が決まった段階でアップします。

 

 

           (アナウンスされたコンペティション部門の9作品)

 

★サンセバスチャン映画祭は、2018年から写真とイラストを組み合わせたグラフィック・ポスターを制作して、映画祭の公式ポスターのスターを発表してきました。イザベル・ユペールペネロペ・クルスウィレム・デフォー、そして4人目となる今年はシガニー・ウィーバーが選ばれました。マシュー・ブルックスのモノクロ写真をデザイナーのエバ・ビリャールのスタジオがデザインしたものです。本祭総指揮のディレクターであるホセ・ルイス・レボルディノスは、フェスティバルの運営委員会のメンバーであるヨシェアン・フェルナンデスを伴ってイベント会場タバカレアで発表いたしました。「第69回となるフェスティバルの主役に、シガニ―・ウィーバーのような映画の架空のキャラクターで大衆に愛されている、類いまれな女優を選ぶことができ嬉しく思います」とスピーチした。本祭のセクション・オフィシアル部門を含めて8部門のポスターも一斉に発表になり、デザインのすべてがエバ・ビリャール・スタジオの制作であることも発表されました。

 

     

      (公式ポスターを発表するレボルディノス、フェルナンデス、622日)

 

シガニー・ウィーバー(ニューヨーク州マンハッタン1949)は、2016年のドノスティア栄誉賞受賞者としてご紹介しておりますが、ざっとおさらいいたしますと、来セバスチャンは今回が4回目になるそうです。1979年リドリー・スコットの『エイリアン』、1999年のスコット・エリオットの『マップ・オブ・ザ・ワールド』2016J.A. バヨナの『怪物はささやく』とキャリア全体が認められドノスティア賞を受賞した年でした。他に代表作品としてマイク・ニコルズの『ワーキング・ガール』、アン・リーの『アイス・ストーム』J, キャメロンの『アバター』など。

ドノスティア栄誉賞&キャリア紹介記事は、コチラ20160722

 

      

     (ドノスティア栄誉賞のトロフィーを手にしたシガニー、2016923日)

 

★今回からジェンダーの基準を区別せず、銀貝賞の女優賞と男優賞を止め、銀貝賞主演俳優賞同助演俳優賞にしたことも発表されました。レボルディノスは「ベルリン映画祭で友人たちが始めた道を進むことにしました。・・・フェミニスト運動のなかで進行中の議論を綿密に追跡していますが、私たちに確信はありません。しかし進化を続け、より公平で平等な社会の構築を支援するつもりです」とコメントした。

 

★開催されるには開催されますが、パンデミックが収束したわけではありませんから、公共衛生面の制限があります。巨大スクリーンでの上映がウリのベロドロモは2年連続で中止、オープニングとクロージングのパーティもありません。回顧展「韓国映画の黄金期」が当初より本数を減らして、1950年代後半から1960年代のモノクロ、シン・サンオク監督のクライムドラマ『地獄花』(58)を含む10作が選ばれています。

 

        

            (韓国映画の黄金期として選ばれた10作品)

 

★主なセクション別の公式ポスターをアップしておきます。

 

   

                     (ホライズンズ・ラティノ部門のポスター)

   

      

             (ニューディレクターズ部門のポスター)

   

   

   (サバルテギ-タバカレラ部門のポスター)

 

アルゼンチン映画 『明日に向かって笑え!』*8月6日公開2021年07月17日 16:26

           ダリン父子がドラマでも父子を共演したコメディ

     

          

                             (スペイン語版ポスター)

 

セバスティアン・ボレンステインLa odisea de los giles(英題「Heroic Losers」)が明日に向かって笑え!の邦題で劇場公開されることになりました。いつものことながら邦題から原題に辿りつくのは至難のわざ、直訳すると「おバカたちの長い冒険旅行」ですが、無責任国家や支配階級に騙されつづけている庶民のリベンジ・アドベンチャー。リカルド・ダリンとアルゼンチン映画界の重鎮ルイス・ブランドニが主演のコメディ、2年前の2019815日に公開されるや興行成績の記録を連日塗り替えつづけた作品。本当は笑ってる場合じゃない。公開後ということで、9月にトロント映画祭特別上映、サンセバスチャン映画祭ではアウト・オブ・コンペティション枠で特別上映された。ダリンの息チノ・ダリンがドラマでも息子役を演じ、今回は二人とも製作者として参画しています。

 

      

         (ドラマでも親子共演のリカルド・ダリンとチノ・ダリン)

 

La odisea de los giles」の作品紹介は、コチラ20200118

ボレンステイン監督キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20160430

リカルド・ダリンの主な紹介記事は、コチラ20171025

チノ・ダリンの紹介記事は、コチラ20190115

 

★公式サイトと当ブログでは、固有名詞のカタカナ起しに違いがありますが(長音を入れるかどうかは好みです)、大きな違いはありません。リカルド演じるフェルミンの友人、自称アナーキストのバクーニン信奉者ルイス・ブランドニ、フェルミンの妻ベロニカ・リナス(ジナス)、実業家カルメン・ロルヒオ役のリタ・コルテセ、などのキャリアについては作品紹介でアップしています。悪徳弁護士フォルトゥナト・マンツィ役アンドレス・パラ、銀行の支店長アルバラド役ルチアノ・カゾー、駅長ロロ・ベラウンデ役ダニエル・アラオスなど、いずれご紹介したい。

 

     

            (監督と打ち合わせ中のおバカちゃんトリオ)

 

★原作(La noche de la Usina)と脚本を手掛けたエドゥアルド・サチェリは、大ヒット作『瞳の奥の秘密』09)でフアン・ホセ・カンパネラとタッグを組んだ脚本家、ボレンステイン監督とは初顔合せです。大学では歴史を専攻しているので時代背景のウラはきちんととれている。

『瞳の奥の秘密』の作品紹介は、コチラ20140809

 

★作品紹介の段階では、受賞歴は未発表でしたが、おもな受賞はアルゼンチンアカデミー賞2019(助演女優賞ベロニカ・リナス)、ゴヤ賞2020イベロアメリカ映画賞、ホセ・マリア・フォルケ賞2020ラテンアメリカ映画賞、シネマ・ブラジル・グランプリ受賞、ハバナ映画祭2019、アリエル賞2020以下ノミネート多数。

 

      

     (ゴヤ賞2020イベロアメリカ映画賞のトロフィーを手にした製作者たち)

 

ネット配信、ミニ映画祭、劇場公開、いずれかで日本上陸を予測しましたが、一番可能性が低いと思われた公開になり、2年後とはいえ驚いています。公式サイトもアップされています。当ブログでは原題でご紹介しています。

  

13県の公開日202186日から順次全国展開、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマカリテ、ほか。新型コロナウイリスの感染拡大で変更あり、お確かめを。

映画国民賞2021はホセ・サクリスタン*授賞式はサンセバスチャンFF2021年07月13日 16:54

              教育文化スポーツ省が選考母体の国民賞

  

           

 

ホセ・サクリスタン映画国民賞受賞の報せに、すぐ思い出したのが2015年の受賞者フェルナンド・トゥルエバだった。「今さら貰っても・・・」と、受賞を拒んだのでした。選考母体の教育文化スポーツ省の大臣も「断れるかな」と恐る恐る電話したというから笑える。授賞にはタイミングというものがあるということです。当時トゥルエバ監督の最新作は3年前の『二人のアトリエ~ある彫刻家とモデル』と大分前、『美しき虜』(98)の続編である「La reina de España」は、まだ準備中でクランクインもしていなかった。文化の重要性を軽視して文化予算を削り、チケット代に21%の消費税をかける政府に怒りを露わにしていた時期だった。結局は妻で製作者のクリスティナ・ウエテにとりなされて受けっとったのでしたが。

国民賞の沿革、トゥルエバ受賞の記事は、コチラ20150717

 

ホセ・サクリスタン(マドリードのチンチョン1937)が未だだったとは実に意外というか驚きでした。おそらく本人がニュースを知った最後の一人だったろうと言う。というのも彼はフェルナンド・コロモの新作Cuidado con lo que deseasの撮影でセゴビアの森の中にいて連絡が取れなかった。妻のアンパロ・パスクアルが制作チームのメンバーを通じて彼を捜しだし受賞を知らせたという。しかし数年、最有力候補者の一人だったそうですから、ホセ・マヌエル・ロドリゲス・ウリベス文化大臣の電話を敬遠したのではないかと忖度する人もいるそうですw。お祝いに数分中断しただけで何事もなかったように撮影は続行された。

 

      

   (フェロス賞2015に揃って出席したサクリスタンとアンパロ・パスクアル)

 

★撮影が終わって帰宅したサクリスタンは「賞はどれも歓迎です。それを祝う最良の方法は仕事をすることです。私にとってそれが重要だからです。この職業を続けてエンジョイできるようにするためです」と、エルパイスのの記者に電話で語った。仕事あっての人生というわけです。映画も芝居も引退の気はさらさらないが、83歳の俳優にとって撮影の手順は日増しに厳しくなっているようです。「早起きとか、待ち時間の長さ、寒さ暑さ・・・舞台のほうがずっと落ちつける」と弱音もチラリ。

 

★最初電話が繋がらなかった大臣も最終的には繋がった。「私たちは、ベルランガの年にスペイン映画史で最も偉大な俳優を選びたかった。電話で話せましたよ、勿論。渓谷の麓で撮影中の彼を見つけだしてね。ありがとう、ペペ、本当に。大いなる愛をこめて!」だそうです。遅かったのはベルランガの年を待っていたからというわけ。2021年はベルランガ生誕100周年、コロナに負けずイベントも目白押し、ペペはホセの愛称です。

 

★受賞の理由にはサクリスタンが「ルイス・ガルシア・ベルランガやフェルナンド・フェルナン・ゴメスなどスペイン映画史上に残るシネアストと仕事をしてきたこと、また若い監督カルロス・ベルムトやイサキ・ラクエスタ、ハビエル・レボーリョなどアクティブな監督とコラボしていることを審査員たちは挙げている。彼の多様性、60年代のコメディ、70年代後半からの社会派のスリラーまで幅の広いことも挙げている。本賞は映画部門の受賞だが、映画のみならず演劇、周囲を驚かせた90年代の「ラマンチャの男」や「マイ・フェア・レディ」のようなミュージカル出演も視野に入れたということです。

 

★受賞者のキャリア&フィルモグラフィーについては何回か登場させておりますが、1960年舞台でスタート、1965年のフェルナンド・パラシオスのコメディLa familia y uno másで映画デビューした。60年代は、アルフレッド・ランダホセ・ルイス・ロペス・バスケスのトリオの一人として、おびただしい数のコメディに起用されている。フランコ体制末期の1975年、ハイメ・カミーノ1936年の長い休暇』で生物学者を演じた。内戦勃発でカタルーニャ地方の山間避暑地に閉じ込められた人々を敗者の視点で描いた作品。翌年のベルリン映画祭に出品され国際映画批評家連盟賞を受賞した。日本では1984年に開催された「スペイン映画の史的展望 195577」で上映されている。1977年にはホセ・ルイス・ガルシのデビュー作Asignatura pendiente(仮題「未合格科目」)で主役に抜擢された。

 

★そして転機になったのが、ペドロ・オレアのホモセクシュアルをテーマにしたUn hombre llamado Flor de Otoño(仮題「秋の花と呼ばれた或る男」)主演だった。サンセバスチャン映画祭1978銀貝男優賞、ほかサンジョルディ男優賞など受賞、続いてマリオ・カムス『蜂の巣』82)でACE1984とフォトグラマス・デ・プラタ賞1983を受賞、ピラール・ミロEl pájaro de la felicidad93)などシリアス・ドラマに起用された。オレア作品は、マラガ映画祭2018「金の映画」に選ばれ、監督と一緒にマラガを訪れている。

マラガ映画祭2018「金の映画」の紹介記事は、コチラ20180422

    

    

 (昼は弁護士、夜は女性歌手に変身する「Un hombre llamado Flor de Otoño」のポスター)

    

       

        (マラガに連れ立って参加したオレア監督とサクリスタン)

 

★どの作品も大好きで誇りを感じており、私の人生の一部になっていると語るが、「デビュー作で受けたような衝撃をその後一度も感じたことはありません。アルベルト・クロサスが私を見たときの視線のことで、その夜は眠れませんでした。デビュー作は私の心の中で特別な場所を占めています」と。アルベルト・クロサスというのは、「La familia y uno más」の主役で、フアン・アントニオ・バルデム『恐怖の逢びき』55)で主役の大学教師を演じた俳優です。俳優も監督も鬼籍入りしています。

 

2005年から2011まで舞台に専念していたが、ダビ・トゥルエバMadrid, 1987で銀幕に復帰、フォルケ賞2013男優賞を受賞した。続いてハビエル・レボーリョEl muerto y ser felizで、余命幾ばくもない雇われ殺し屋を飄々と演じて、サンセバスチャン映画祭2012の二度目となる銀貝男優賞、初となるゴヤ賞2013主演男優賞、ガウディ賞主演男優賞、銀幕カムバック後は受賞ラッシュとなった。

ゴヤ賞・フォルケ賞受賞でキャリア紹介、コチラ20130818

  

      


        (ゴヤ賞2013主演男優賞の受賞スピーチをするペペ)

 

★他にイサキ・ラクエスタのコメディMurieron por encima de sus posibilidades14)、他に当ブログ紹介作品では、カルロス・ベルムト『マジカル・ガール』14、フェロス賞2015助演男優賞)、キケ・マイジョのアクション・スリラーToro16)でのマフィアのボス役、ポル・ロドリゲスのブラック・コメディQuatretondeta16)では、妻に先だたれ認知症の兆候が出はじめた寡役、パウ・ドゥラのコメディFormentera Lady18)では、バレアレス諸島のフォルメンテラ島を舞台に、老いた元ヒッピーを演じた。

Quatretondeta」の作品紹介は、コチラ20160422

Formentera Lady」の作品紹介は、コチラ20180417

    

     

      (サクリスタンを配した「Formentera Lady」のポスター)

 

★『Alta mar アルタ・マール:公海の殺人』(22話出演、ネットフリックス配信)のようなTVシリーズを含めると150作を超えるから、いくら紹介してもこれで充分という気になれない。役者稼業は死ぬまで続けるというから終りがない。目下撮影中のフェルナンド・コロモの「Cuidado con lo que deseas」は、今年1119日公開が予告されている。

 

★上記の受賞以外に、バジャドリード映画祭2013栄誉賞、マラガ映画祭2014レトロスペクティブ賞、フェロス栄誉賞(2014)、ヒホン映画祭2015ナチョ・マルティネス賞、スペイン俳優組合2015栄誉賞、メリダ映画祭ケレス賞、アルゼンチンの銀のコンドル賞(19932011)、シネマ・ライターズ・サークル賞2020金のメダル、などなど。授賞式は69回サンセバスチャン映画祭2021917日~25)です。セクション・オフィシアル部門以下8部門のポスターは発表されましたが、ノミネーションは未だです。シガニー・ウィバーがポスターの顔になりました。


ジョディ・フォスターに栄誉パルムドール*プレゼンターはアルモドバル2021年07月09日 11:18

     2年ぶりのカンヌ映画祭、アルモドバルがジョデイ・フォスターにトロフィーを

 

     

  

2年ぶりの第74回カンヌ映画祭20212ヵ月遅れで開幕した。開幕宣言は、栄誉パルムドール受賞者ジョデイ・フォスター、栄誉パルムドールのプレゼンターのペドロ・アルモドバル、審査員委員長スパイク・リー(去年と同じ)、2019年のパルムドール受賞のポン・ジュノ4人でした。

 

          

         (アルモドバルとジョデイ・フォスター、202176日)

 

ジョディ・フォスター(ロスアンゼルス1962)は、「『タクシードライバー』がパルムドールを受賞したのは45年前、私のキャリアを変えてくれたカンヌにとても感謝しています」。だから彼女にとってここに戻ってくることはとても重要。「未来が私たちに期待していることを皆さんと一緒に見られるよう望んでいます」と完璧なフランス語でスピーチした。彼女はロスにあるフランス人学校のリセに在籍、バカロレアの国家試験に合格している。マーティン・スコセッシの『タクシードライバー』(76)に娼婦役で出演したのはなんと13歳でした。

   

           

           (トロフィーを披露するジョディ・フォスター)

 

★フォスターにとって、この1年で多くの映画館が閉鎖され、時には耐えがたい苦しみに直面している人々が増えているとしても、すべてが映画への愛に絞られる。「映画館が閉鎖されているけれども、映画は常に存続していきます。今年、映画は私の救命具でした」と語った。また52年間のキャリアを通して思うのは「映画は人を感動させ、人と繋がり、変化させる。だから映画に対する感謝をなくすことは決してない」と締めくくった。

 

★プレゼンターのペドロ・アルモドバルは、女優が2019年にロスアンゼルスで『ペイン・アンド・グローリー』をプレゼンスしたときのことを思い出したが、それよりずっと以前から彼女を身近に感じていた。それはBugsy Maloneの可愛い歌姫役で、『タクシードライバー』より数ヵ月前に制作された映画でした。アルモドバルは「女性の映画人が珍しかった時代に、彼女は役選びにも賢明だった。弱さを隠すことなく強さを見せる女性像の創造を知っていた」と、この類いまれな才能の受賞者を彼流に絶賛した。アラン・パーカーのデビュー作は、『ダウンタウン物語』の邦題で翌年公開された。禁酒法時代のニューヨークはダウンタウンを舞台に、抗争を繰りひろげる二大ギャング団を描いたミュージカル。全員子役が大人に扮して出演、マシンガンから飛びだすのは弾丸ではなくパイ、最後はみんなパイだらけになって終わる。フォスターはボスの情婦でキャバレーの妖艶な歌姫になった。

 

★コロナが収束したわけではないので、メイン会場には、ワクチン2回接種の証明書のある人、あるいは48時間ごとのPCR検査(無料)合格者とガードは厳しい。結果が分かるには最低でも6時間ほど必要だからどうなるのか。レッドカーペットに登場したシャネルやプラダのドレスに身を包んだマスク無しのセレブたちは、合格してるということですね。因みにフォスターのドレスはジバンシィだそうです。パートナーの写真家で監督のアレクサンドラ・ヘディソンも出席、アツアツぶりの映像が配信されています。

 

★オープニング作品はレオス・カラックスのミュージカルAnnette アネット2021、英語、140分)は、5分間のスタンディングオベーションだった由、監督よりスタンダップ・コメディアンを演じたアダム・ドライバーに注目が集まったとか。本作はアマゾン・オリジナル作品、ネットフリックスとの話合いは平行線でノミネーションはNO、一方でアマゾン・プライム・ビデオ、アップルTVYES、観客の一人としては違和感を覚えるが、将来的に問題を残すのではないか。ピンクのダブルの背広上下にサングラス、スニーカーで現れた審査委員長のスパイク・リーは「ストリーミングのプラットホームは共存する」とインタビューに応えて、新型コロナが世界を、映画産業をも変えてしまったことを印象づけた。

タマラ・カセリャスとフリア・デ・パスの「Ama」*マラガ映画祭2021 ㉔2021年07月07日 13:26

        タマラ・カセリャスが「Ama」主演で銀のビスナガ女優賞を受賞

 

      

 

フリア・デ・パス監督のデビュー作Amaは、主役のタマラ・カセリャス銀のビスナガ女優賞をもたらしました。本作は2019年にESCAC(カタルーニャ映画視聴覚上級学校、マラガ映画祭が注目している映画学校)の卒業制作として撮られた同名の短編がベースになっています。当時フリアは「あまり良い状態ではなかった」とマラガのEFEインタビューに応えている。監督はまだ25歳、母親に借金をして製作したようですが、マラガで母親に最大級のプレゼントを贈ることができました。ハリウッドや男性シネアストたちが、長年にわたって作り続けてきたスーパー家父長制の映画は害をもたらし続けている。監督は、あってはならない「母性神話」の打ち壊しに挑戦しました。何故なら「母性は一つでなく、母親の数だけあり、それぞれ違っていていい」と監督。

    

       

(タマラ・カセリャス、子役レイレ・マリン・バラ、監督、マラガFF2021フォトコール)

 

     

 Ama2021

製作:La Dalia Films / Ama Movie AIE

監督:フリア・デ・パス・ソルバス

脚本:フリア・デ・パス・ソルバス、ヌリア・ドゥンホ・ロペス

撮影:サンドラ・ロカ

音楽:マルティン・ソロサバル

編集:オリオル・ミロン

美術:ラウラ・ロスタレ

衣装デザイン:クリスティナ・マルティン

メイクアップ:メルセデス・ルハン、タニア・ロドリゲス

プロダクション・マネージメント:リチャード・ファブレガ、マメン・トルトサ

音響:ヤゴ・コルデロ、ほか

視覚効果:ギレム・ラミサ・デ・ソト(短編)

製作者:(エグゼクティブ)シルビア・メレロ、ホセ・ルイス・ランカニョ

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ドラマ、90分、撮影地バレンシアのアリカンテ、撮影期間20203月から6月、パンデミックで中断、2021年完成させた。配給&販売Filmax、スペイン公開2021716

映画祭・受賞歴:第24回マラガ映画祭2021セクション・オフィシアル部門、銀のビスナガ女優賞受賞(タマラ・カセリャス)、AICE(スペイン映画ジャーナリスト協会)が選ぶフェロス・プエルタ・オスクラ賞を受賞。

 

キャスト:タマラ・カセリャス(ぺパ)、レイレ・・マリン・バラ(娘レイラ)、エステファニア・デ・ロス・サントス(ロサリオ)、アナ・トゥルピン(アデ)、マヌエル・デ・ブラス(カルロス)、チェマ・デル・バルコ、パブロ・ゴメス=パンド(レイラの父ディエゴ)、マリア・グレゴリオ、バシレイオス・パパテオチャリス、カルメン・イベアス、エリン・ガジェゴ、シルビア・サンチェス、ほか

 

ストーリー:母性神話に縛られて孤独のなかにいる多くの女性たちの物語。さまざまな警告の末に、アデは友人のぺパを家から追い出してしまう。6歳になる娘のレイラと一緒に道路に佇んでいるぺパを目にしたのが最後だった。もう助けてくれる人は誰もいない、ぺパとレイラは生きるための場所を見つけるために闘わねばならない。困難に直面しながらも探求に取りかかる。それは遠い昔の今では存在しない関係との和解に耐えることでもあるだろう。母と娘の新たな絆を創りだすだろうが、それは間違いを許容するもので理想化とは異なるものだろう。あってはならない母性神話に挑戦する女性たちの物語。

 

       

            (路頭に迷うぺパと娘レイラ、映画から)

 

監督紹介フリア・デ・パス・ソルバスは、1995年バルセロナ生れの監督、脚本家。バルセロナのESCAC(カタルーニャ映画視聴覚上級学校)で映画演出を専攻する(201218)。2012年、短編「Atrapado」、助監督、キャスティング監督などをしながら、2017年に共同監督(11名)として撮った長編La filla dalgú19)は、マラガ映画祭2019モビスター+賞を全員で受賞した。2018ESCACの卒業制作である短編Ama1919分)は、アルカラ・デ・エナレス短編映画祭にノミネートされた。今回、初の単独監督として本作「Ama」で長編デビューした。テーマは不平等、特に女性が受けている社会的地位の格差、フィクションとドキュメンタリーの接続点を求めている。鼻ピアスに耳の後ろから剃り上げたライオン・ヘアー、エイミー・ワインハウス風のアイライン、このタフでぶっ飛んだ監督は、映画祭に旋風を巻き起こした。

 

    

    (「まだ私は25歳の青二才です」と応えるデ・パス監督、プレス会見)

 

★短編Ama」の登場人物で重なるのはぺパ、ディエゴ、レイラ(別の子役エンマ・エルナンデス・ぺレス)、アデ(ロランダ・パテルノイ)と多くない。監督とぺパ役のタマラ・カセリャスは長編デビューに4年の歳月を掛けたという。映画はこんな風に始まる。ディスコで踊り明かした若い女性が帰宅する、既に新しい一日が始まっており、テーブルでお絵描きをしていた小さな女の子が迎える、女性は動じる風もなくおはようと言う。娘の育児放棄に耐えきれない友人から家を追い出されてしまう。

 

     

               (短編「Ama」のポスター)

 

★監督は「これまでのぺパの人生を説明しない方針にした。町中を子連れで放浪するぺパを無責任な母親と呼ぶこともできます」。しかし監督は、ぺパを理解するためのモラルやアリバイを提供しない。またぺパを裁かないし、観客に許しを求めない。このような状況に至るまでの経済的社会的なリソースを提供しないシステムを描くだけです。母性は存在してはならない神話であってそれは一つでなく、母親の数だけあり、それぞれ違っていていい」と監督。製作者のホセ・ルイス・ランカニョは、「芸術的品質、若くて才能あふれる制作チームの努力、何よりも映画が語る物語の力強さのため」と、製作意図に挙げている。

 

     

      (マラガ入りした監督、タマラ・カセリャス、レイレ・マリン・ベラ)

 

★ぺパを演じて、銀のビスナガ女優賞受賞タマラ・カセリャス(カセジャス)は、セビーリャ生れの35歳、舞台女優を目指し、セビーリャのViento Sur Teatroの演劇学校で学ぶ。その後18歳でバルセロナに移り、バルセロナの演劇学校Nancy Tuñonで学んでいる。2010年映画デビュー、2015年アルバル・アンドレス・エリアスの短編「4 días de octubre」(ESCAC Films)に出演、ハビエル・チャカルテギのコメディ「La estación」(18)、ホセチョ・デ・リナレスの「Desaparecer」(18ESCAC Films)で長編デビュー。他に上記の短編&長編の「Ama」、デ・パス監督との接点はESCACのようです。

 

      

        (銀のビスナガを手に喜びを全開するタマラ・カセリャス)

 

★ウェイトレスの仕事を終えて映画祭に馳せつけたタマラは、「私はぺパのように感じたことはないとはいえ、もし彼女が傷ついていると信じれば、すべての家族に言えることですが、まさかそんなことだったとは気づかなかったと言うのです」と語っている。事件後に親戚やご近所さんがメディアに語る定番ですね。またタマラは映画が絶えず深層に潜めているライトモチーフ、放棄または怠慢について「それぞれモードは異なりますが、それは私たち二人が感じている何かです」と。この映画には私にとって父や母が何であるかの分析があり、映画を見れば感動すると語っている。

    

     

           (自分とは違うぺパを演じたタマラ、映画から)

 

★ぺパが遊びまわっているあいだ、娘レイラの世話を押しつけられている友人アデ(アナ・トゥルピン)は、二人が彼ら自身の人生を見つけるために敢えて路頭に送り出す。レイラを演じたレイレ・マリン・ベラは自然体で、本当に難しいシーンをカバーしてくれたと監督は少女を絶賛している。タマラと同郷の先輩ロサリオ役のエステファニア・デ・ロス・サントスは幼女の祖母役、セクション・オフィシアル部門のアウトコンペティションで上映された、ビセンテ・ビジャヌエバのコメディ「Sevillanas de Brrooklyn」で活躍しています。短編「Ama」にもディエゴ役で出演していたパブロ・ゴメス=パンドは、幼女の父親役です。

 

        

  (意見の異なる友人アデとぺパ)

 

      

         (撮影中のレイラ、ぺパ、ロサリオ、20203月)

 

   

                    (新たな絆を模索するレイラとぺパ)

 

★マラガFF ESCAC出身のシネアストを重視している。2017年のカルラ・シモン(『悲しみに、こんにちは』)、2018年のエレナ・トラぺ(「Las distancias」)が金のビスナガを受賞している。2020年のピラール・パロメロ(「Las niñas」)はサラゴサ出身で卒業生ではないが、ゴヤ賞2020新人監督賞のベレン・フネス(「La hija de un ladorón」)もESCACで学んでいる。4作とも作品紹介をしていますが、今のスペインはマドリードよりバルセロナが熱い。マラガFFESCACが女性監督の採石場と称される所以です。1994年バルセロナ自治大学の付属校としてバルセロナで設立、2003年に本部をバルセロナ州テラサ(タラサ)に移した。活躍中の卒業生は、J.A. バヨナマル・コルキケ・マイジョオスカル・ファウラハビエル・ルイス・カルデラなど数えきれない。生徒に非常に厳しい要求をする学校として有名ですが、それなりの成果をあげているということでしょう。

 

★マラガ映画祭はとっくの昔に終幕しましたが、ゴヤ賞2022の新人監督賞、主演女優賞のノミネートを視野に入れて紹介いたしました。デ・パス監督の次回作は、児童虐待をテーマにした短編、目下準備中ということです。

クラウディア・ピントの「Las consecuencias」*マラガ映画祭2021 ㉓2021年07月01日 20:31

      クラウディア・ピント、第2作「Las consecuencias」で批評家審査員特別賞

   

       

 

クラウディア・ピントはベネズエラ出身ですが、本作Las consecuenciasはスペイン=オランダ=ベルギー合作の映画です。ご存知の通り故国ベネズエラは政情不安が続いて映画製作どころではありません。主演女優のフアナ・アコスタはコロンビアのカリ生れ、共演者アルフレッド・カストロはチリ出身、今回助演女優賞を受賞したマリア・ロマニジョスカルメ・エリアスソニア・アルマルチャはスペイン、エクトル・アルテリオはアルゼンチン、とキャスト陣も国際的です。音楽監督、撮影監督、編集はデビュー作と同じ布陣、監督と共同で脚本を執筆したビンセント・バリエレ以下、音響、美術などスタッフは概ねベネズエラ・サイドが担当しています。

 

         

       (本作をプレゼンするクラウディア・ピント、525日マドリード)

 

 

Las consecuencias2021

製作:Sin Rodeos Films / Las Consecuencias AIE / N279 Entertaiment(オランダ)/

        Potemkino(ベルギー)/ Erase Una Vez Films(スペイン)

     協賛:TVE / TV3 / A Punto Media / バレンシア州TV

監督:クラウディア・ピント・エンペラドール

脚本:クラウディア・ピント・エンペラドール、エドゥアルド・サンチェス・ルへレス

撮影:ガボ(ガブリエル)・ゲーラ

音楽:ビンセント・バリエレ

編集:エレナ・ルイス

美術:フロリス・ウィレム・ボス

音響:ダーク・ボンベイ

キャスティング:アナ・サインス=トロパガ、パトリシア・アルバレス・デ・ミランダ

衣装デザイン:マノン・ブロム

メイクアップ&ヘアー:アランチャ・フェルナンデス(ヘアー)、サライ・ロドリゲス(メイク)

製作者:ジョルディ・リョルカ・リナレス(エグゼクティブ/プロデューサー)、

        エルス・ヴァンデヴォルスト(オランダ)、クラウディア・ピント・エンペラドール、

        アンヘレス・エルナンデス、ヤデラ・アバロス他

 

データ:製作国スペイン=オランダ=ベルギー、スペイン語、2021年、サイコ・スリラー、96分、撮影地カナリア諸島のラ・ゴメラ、ラ・パルマ、バレンシア州のアリカンテ、ベニドルム、撮影期間2019518日~627日、スペイン公開2021917日。販売Film Factory


映画祭・受賞歴:第24回マラガ映画祭セクション・オフィシアル部門プレミアム(611日)、銀のビスナガ批評家審査員特別賞、同助演女優賞(マリア・ロマニジョス)受賞

 

キャスト:フアナ・アコスタ(ファビオラ)、アルフレッド・カストロ(父)、カルメ・エリアス(母)、マリア・ロマニジョス(娘ガビ)、エクトル・アルテリオ、ソニア・アルマルチャ、クリスティアン・チェカ、エンリケ・ヒメノ・ペドロス、他

 

ストーリー:最近夫をダイビング中の事故で亡くしたファビオラは、思春期の娘ガビと一緒に人生をやり直そうと家族の住むカナリア諸島に浮かぶ小さな火山島へ、長らく疎遠だった父親と連れ立って旅に出る。家族は再会するが、ファビオラは家族になにか秘密があるように感じる。確かな証拠があるわけではないが、彼女の直感はすべてが見た目通りでないといっている。しかし彼女は見つかるかもしれないものへの怖れと、その答えを知る必要があるのかどうかで引き裂かれている。他人の私事に何処まで踏み込めるでしょうか。愛する人を守るための嘘は何処までなら許されるのでしょうか。母性への恐れから生まれたエモーショナルなサイコ・スリラー。怖れ、愛、嫉妬、そして火山島の風景も重要なテーマの一つ。

 

         

              (小さな火山島を目指すファビオラと父親、映画から)

   

  

      文化の混合は物語を豊かにし、映画を普遍的なものにする

     

監督紹介クラウディア・ピント・エンペラドール1977年カラカス生れ、監督、脚本家、製作者。1998年、カラカスのアンドレス・ベジョ・カトリック大学で視聴覚社会情報学を専攻、卒業する。現在はスペインのバレンシアに移って映画製作をしている。短編「Una voz tímida en un concierto hueco」(01)、「El silencio de los sapos」(06)、「Todo recto」(07)、長編デビュー作La distancia más larga13、ベネズエラ=スペイン合作)など。

   

La distancia más largaについては、モントリオール映画祭2013で優れたラテンアメリカ映画に贈られるグラウベル・ローシャ賞受賞を皮切りに国際映画祭で17賞している。映画賞はイベロアメリカ・プラチナ賞2015オペラ・プリマ賞、ゴヤ賞2015イベロアメリカ映画賞部門ノミネート。映画祭受賞歴はモントリオールのほか、ウエルバ・ラテンアメリカ2013観客賞、パナマ2015観客賞、クリーブランド女性監督賞、ヘルシンキ・ラテンアメリカ観客賞、トリエステ・イベロアメリカ批評家特別賞などを受賞。ハバナ、トゥールーズ・ラテンアメリカ、ヒホン、各映画祭にノミネートされた。

La distancia más larga」紹介は、コチラ2013090520150207

   

               

                  (数々の受賞歴を配したデビュー作のポスター)

 

2作目が本作「Las consecuensias」である。サンセバスチャン映画祭の合作フォーラムに参加、ユーリマージュ賞Eurimages(欧州評議会文化支援基金、1989年設立)を受賞した。「このフォーラムに参加して、オランダやベルギーのシネアストと交流したことは、私にとって非常に興味深いものでした。文化と見解の混合は物語を豊かにし、映画を普遍的なものにします。それは私の望んだことでもあったのです」と語っている。2006年からTVシリーズの監督と映画製作を両立させている。

 

 

    8年ぶりの長編2作目――「彼らは愛する方法を知りません」と監督

 

8年ぶりの新作というのも驚きですが、ピント監督によると「製作には多額の資金が必要ですから、それが私にとって本当に重要な何かをもっているかどうか自問します。新作は母性への怖れから生まれました。というのも丁度妊娠していて完成できるか分かりませんでした。間違ったことをして娘を危険に晒してしまう母親はどうなるのだろう。娘がドアを閉めて沈黙してしまうとしたら最悪です。物語は娘が危険に晒されていると想像している母親と娘の闘いを描きますが、母親に確信はなく、それは不確実な怖れから生まれてきます」とRTVEスペイン国営放送で語っています。

 

     

  (撮影中のフアナ・アコスタ、マリア・ロマニジョス、監督、アルフレッド・カストロ)

 

★家族の秘密が語られますが、「私たちは敷物の下に隠しているものについては表立って話しません。多くの場合、他人を守るためには沈黙は金なのです。こうして秘密は正当化されます。まだ傷は癒えていません。正しいことをしたいと思っていますが、その方法が分かりません、彼らは愛する方法を知らないのです」と監督。キャスティングについて「フアナ(・アコスタ)はとても勇気のある女優と言わざるを得ません。彼女のことはよく知りませんでしたが、素晴らしい女優、とてもラッキーでした。彼女はこの島の人だと直ぐに私に気づかせたのです。外観だけでなく印象的なオーラを放っていました。私は『あなたと一緒にやりたい、二人なら何でもできる』と言いました」とアコスタの第一印象を語っています。

 

キャスト紹介:主役ファビオラ役のフアナ・アコスタは、1976年コロンビアのカリ生れ、監督と同世代の女優、昨年のマラガ映画祭にベルナベ・リコEl inconvenienteで現地入り、主役のキティ・マンベールが女優賞を受賞している。デビューはコロンビアのTVシリーズでしたが、2000年ごろからスペインに軸足をおいている。シリアス・ドラマ(Tiempo sin aireAnna)からコメディ(Jefe)まで演技の幅は広い。既にキャリア&フィルモグラフィーを紹介をしています。受賞歴はアレックス・デ・ラ・イグレシアの「Perfectos desconocidos」でフォトグラマス・デ・プラタ2018女優賞、ジャック・トゥールモンド・ビダルの「Anna」の主演でコロンビアのマコンド賞2016、ウエルバ映画祭2019ウエルバ市賞などを受賞している。まだゴヤ賞はノミネートもない。

 

★2003年、彼女の一目惚れで始まったエルネスト・アルテリオとの間に一人娘がいますが、2018年にパートナーを解消、正式には結婚していなかった。新恋人はパリ在住のフランスの実業家チャールズ・アラゼット、幼児を含む4人の子供がいる。本作出演のエクトル・アルテリオは実父です。

フアナ・アコスタのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20180711

 

       

                        (ファビオラと父親、映画から)

   


   (オシドリ夫婦といわれていた頃のフアナとエルネスト・アルテリオ、20172月)

 

★父親役のアルフレッド・カストロは、1955年チリのサンティアゴ生れ、俳優、舞台演出家。1982TVシリーズでスタート、既に50本以上に出演しているチリを代表する俳優。人間の暗部を掘り起こす登場人物を演じつづけ、チリ国内だけでなくラテンアメリカ各国で活躍している。今年のマラガでは、フアン・パブロ・フェリックスKarnawal(アルゼンチン)もセクション・オフィシアル部門にノミネートされ、予想通り銀のビスナガ助演男優賞を受賞している。

 

        

        (銀のビスナガ男優賞受賞のプレス会見、613日)

 

パブロ・ラライン映画(『トニー・マネロ』『ザ・クラブ』『No)出演が有名だが、ラテンアメリカに初の金獅子賞をもたらしたベネズエラのロレンソ・ビガスとタッグを組んだ『彼方から』15)に主演している。『ザ・クラブ』でイベロアメリカ・フェニックス2015主演男優賞、マルセラ・サイドのLos perros17)でイベロアメリカ・プラチナ2018男優賞など受賞歴多数。俳優に贈られるマラガ―スール賞がラテンアメリカから選ばれるとしたら、カストロを一番にあげておきたい。

2018年のギレルモ・デル・トロ、今年のアメナバルの監督受賞は異例です)

   

Karnawal」の紹介記事は、コチラ20210613

『ザ・クラブ』『No』の紹介記事は、コチラ20150222同年1018

『彼方から』の紹介記事は、コチラ20160930

Los perros」の紹介記事は、コチラ20170501

 

  

(カナリア諸島のラ・ゴメラの浜辺に佇むアルフレッド・カストロ)

 

       

     (父と娘、アコスタとカストロ、中央はロマニジョス、映画から)

 

★母親役のカルメ・エリアスは、1951年バルセロナ生れ、舞台俳優を目指し、ニューヨークのリー・ストラスバーグ演劇学校でメソッド演技法を学んでいる本格派。ハビエル・フェセルの『カミーノ』のオプス・デイの敬虔だが頑迷な信者を演じきって、ゴヤ賞2009主演女優賞、ほかサンジョルディ賞、トゥリア賞、スペイン俳優組合の各女優賞を受賞している。今年のガウディ栄誉賞を受賞している。クラウディア・ピントのデビュー作「La distancia más larga」で死出の旅に出る主役マルティナを好演し、第2作にも起用された。カルロス・ベルムトの『シークレット・ヴォイス』(18)では歌えなくなった歌手の冷静なマネージャー役だった。

ガウディ栄誉賞でキャリア&フィルモグラフィーを紹介、コチラ20210329

 

    

        (ファビオラの母、ファビオラ、ファビオラの娘、映画から)

    

   

       (ゴヤ賞2009主演女優賞のトロフィーを手に喜びのカルメ・エリアス)

 

★ファビオラの娘ガビを演じたマリア・ロマニジョスは、2004年マドリード生れ、Teatro Cuerta ParedCine Primera Toma の学校で演技を学んでいる。2019年本作起用がアナウンスされ映画デビューした。先述したようにデビュー作で銀のビスナガ助演女優賞を受賞している。モビスター+のTVシリーズ、フェルナンド・ゴンサレス・モリナParaíso7話)にも抜擢され、続いてフェリックス・ビスカレットのスリラーDesde la sombraでは、パコ・レオンやレオノル・ワトリングと共演している。まだ17歳、小柄で、172センチという長身のアコスタと並ぶと幼さが残る。目下のところ上昇気流に乗っているようだが、願わくば今回の受賞が吉となりますように。

 

         

                (銀のビスナガ助演女優賞のトロフィーを手にしたマリア)

 

    

 (クロージングに出席したアコスタとロマニジョス、612日)

 

スタッフ紹介:オランダのエルス・ヴァンデヴォルストは、『アイダよ、何処へ?』でオスカー賞2021国際長編映画賞にノミネートされた製作者。他『ジグザグキッドの不思議な旅』(12)、『素敵なサプライズ』(15)、『ドミノ 復讐の咆哮』(19)などが公開されている。カタルーニャのジョルディ・リョルカ・リナレスは『少年は残酷な弓を射る』の製作者、ヤディラ・アバロスはメキシコ出身だがスペインでTVシリーズ『エリーテ』や、エドゥアルド・カサノバの『スキン あなたに触らせて』などを手掛けている。

 

★撮影監督のガボ・ゲーラは、彼女の映画では「風景が重要な意味をもっています。前作のジャングルの撮影も過酷でしたが、今回は危険に晒されることが度々だった」と語っている。ラパルマ島で最も壮観な場所で撮影したが、困難が付きまとった。アコスタは「入り江のなかでも最も遠いところを選び、そこに到達するにはかなりのオデュッセイアでした」と。潮の流れに翻弄され、数時間中断することもあり、毎日が冒険だったようです。監督も「本当に美しい風景を手に入れましたが、それなりの代償を払いました。しかし払っただけのことはありました。物語の厳しさと風景の美しさのコントラストの映画でもあるからです」と。

 

          

                         (本作撮影中のピント監督)

 

        

    (撮影地のカナリア諸島ラ・ゴメラ島、フォト:サウル・サントス)

 

写真提供のサウル・サントスは、1979年ラパルマ島フエンカリエンテ生れ、世界最高を誇る『ナショナルジオグラフィック』誌の表紙を飾る写真家として、国際的に有名です。


ロジェール・カザマジョールに男優賞*マラガ映画祭2021 ㉒2021年06月24日 15:38

       男優賞受賞者ロジェール・カザマジョールはビリャロンガ映画でデビュー

 

       

 

★銀のビスナガ男優賞受賞のロジェール・カザマジョールは、バルセロナ派の監督作品出演が多く、今までなかなか賞に恵まれませんでした。スペインの映画賞はゴヤ賞を含めてマドリード派に偏っており、ガウディ賞の存在意義があるわけです。両市は犬猿の仲、バルセロナ独立運動以来、溝は深まるばかりです。今回アンダルシアの映画祭でカタルーニャ語映画に金のビスナガが受賞した意味は深い。受賞作アグスティ・ビリャロンガEl ventre del marEl vientre del mar)」では、特に監督もキャスト紹介もしませんでした。主演の一人カザマジョールが男優賞を受賞したので改めて紹介することにしました。彼はスペイン内戦後のカタルーニャの村の暗部を描いた『ブラック・ブレッド』10で主役アンドレウ少年の父親ファリオルを好演、ガウディ賞2011助演男優賞を受賞しています。TVシリーズ、短編を含めるとIMDbには57作とあり、カタルーニャ映画では認知度のある演技派の一人です。特にビリャロンガの信頼が篤く、キャリア&フィルモグラフィーで一目瞭然できます。

 

     

   (共演者オスカル・カポジャ、監督、カザマジョール、マラガFF 2021フォトコール

 

            キャリア&フィルモグラフィー

 

ロジェール・カザマジョールRoger Casamajor Esteban1976年リェイダ/レリダ県セオ・デ・ウルヘル(カタルーニャ州)生れ、俳優(舞台・映画・TV)。カタルーニャ語とスペイン語のバイリンガルだが、母語はカタルーニャ語。表記がルジェ・カザマジョール(「El mar」)、ロジャー・カサメジャー(「Pans Labyrinth」)、ロジェール・カサマジョール(「Pa negre」「Todo lo saben」)、ロジェ・カサマジョール(TVH/アチェ』)など定まっていないが、一応カタルーニャ語読みにしておきます。Somhiteatre 劇団の俳優としてアンドラ公国でキャリアをスタートさせており、カタルーニャ中を巡業している。リェイダ県はアンドラ公国と国境を接しており、カタルーニャ語が公用語の一つである。その後演技修業のためバルセロナに移り、演劇学校や1913年設立の演劇学院Instituto del Teatroで演技を学んでいる。

 

      

      (銀のビスナガ男優賞のトロフィーを手に満面の笑みのカザマジョール)

 

★アグスティ・ビリャロンガのEl mar/The Seaで映画デビュー、スペイン内戦下のマジョルカ島で子供時代を過ごした二人の少年が、10年後に結核のサナトリウムで再会して始まるドラマ。ベルリン映画祭2000に出品され、ビリャロンガが第1回目のマンフレート・ザルツゲーバー賞を受賞している。横道に剃れるが、この賞はベルリン映画祭のフォーラム、パノラマ部門の設立者でLGBTをテーマにした映画に授与されるテディ賞の生みの親、マンフレート・ザルツゲーバーの功績に敬意を表して2000年に創設された賞。既存の価値観にとらわれない作品に贈られる賞。彼は俳優で監督でもあり、20世紀ドイツのLGBT活動の推進者、擁護者であった。本作は東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2001『エル・マール~海と殉教』の邦題で上映されたが、その後『海へ還る日』と改題された。

 

以下に主な出演作を列挙しておきます。短編、TVシリーズは割愛。

2000El mar/The Sea」(『エル・マール~海と殉教』)アグスティ・ビリャロンガ監督、

   カタルーニャ語、ベルリン映画祭2000出品、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2001上映

2001Salvajesカルロス・モリネロ監督

2002Lilla de lholandesSigfrid Monlron監督、カタルーニャ語、

   ムルシア・スペイン映画週間出品、フランシスコ・ラバル賞受賞

2002Guerrerosダニエル・カルパルソロ監督

2002Estrella del surルイス・ニエト監督

2004Nubes de veranoフェリペ・ベガ監督

2006Pans Labyrinth」(『パンズ・ラビリンス』ギレルモ・デル・トロ監督、

   カンヌ映画祭出品、公開2007

2010Henri 4ヨ・バイヤーJo Baier監督

2010Pa negre/Pan negro/Black Bread」(『ブラック・ブレッド』

   アグスティ・ビリャロンガ監督、サンセバスチャン映画祭出品、

   ガウディ賞2011助演男優賞受賞、公開2012

2016El elegido」(『ジャック・モルナール、トロツキー暗殺』

   アントニオ・チャバリアス監督、 Netflix配信

2017Incerta gloria」アグスティ・ビリャロンガ監督、

2018Todo lo saben」(『誰もがそれを知っている』アスガー・ファルハディ監督、

   公開2019

2020La vanpira de Barcelonaリュイス・ダネス監督、カタルーニャ語、

   シッチェス映画祭出品

2021El ventre del marEl vientre del mar)」アグスティ・ビリャロンガ監督、

   カタルーニャ語、マラガ映画祭出品、銀のビスナガ男優賞受賞

2021Tros」(ポスト・プロダクション)

 

割愛したTVシリーズ「H/アチェ」(2019、シーズン15話にブルーノ役で出演)がNetflixで配信されている。その他、カタルーニャTVシリーズに多数出演している。脇役が多いので見過ごしされがちだが、比較的字幕入りで鑑賞できる作品も多いほうかもしれない。

   

『誰もがそれを知っている』の作品紹介は、コチラ2018050820190623

La vanpira de Barcelona」の記事は、コチラ20210324

El ventre del marEl vientre del mar)」の紹介は、コチラ20210509

 


       

(共演したブルノ・ベルゴンジニとカザマジョール、『エル・マール~海と殉教』より

   


マクシミリアン・ド・ベテュヌに扮した「Henri 4」より

  

     

(マリベル・ベルドゥの弟ペドロに扮したカザマジョール、『パンズ・ラビリンス』より)

   

        

          (カザマジョールとフランセスク・コロメル『ブラック・ブレッド』より)

 

  

 (ガウディ賞2021作品賞受賞の「La vanpira de Barcelona」から

   

   

(水夫役オスカル・カポジャと医師役カザマジョール、「El ventre del mar」より

 

マラガ映画祭<落穂ひろい>*マラガ映画祭2021 ㉑2021年06月20日 15:07

         Zonazineセクションのオープニング作品「Lucas」が作品賞

 

      

 

Zonazine部門というのはコンペティションの次に重要なセクションであるが、今年のオープニング作品のアレックス・モントーヤLucasがスペイン語映画の作品賞観客賞、主役のルカスを演じた新人ホルヘ・モトス男優賞3冠を制した(全て銀賞です)。2021年、スリラードラマ、92分。

 

         

      (Zonazine部門の作品賞銀のビスナガを受賞したアレックス・モントーヤ)

 

         

     (男優賞銀のビスナガを受賞して言葉をつまらせる新人ホルヘ・モトス)

 

ストーリー:最近父親を失ったばかりの若者ルカスと小児性愛者のアルバロ(ホルヘ・カブレラ)の関係を描いたスリラー仕立てのドラマ。父親の死によって自分の居場所が崩壊した若者に、罪のない写真と引き換えにお金を払うとアルバロが近寄ってくる。アルバロは偽のプロフィールを制作してソーシャルネットで利用したい欲望をもっているが、若い女の子と一緒にお喋りするだけだともちかける。今の状況に苛立っていたルカスは、彼の要求を受け入れる。

 

   

                    (ルカス役のホルヘ・モトス、映画から)

   

      

          (アルバロ役のホルヘ・カブレラ、映画から)

 

監督紹介アレックス・モントーヤは、1973年バレンシア生れの監督、脚本家、製作者、編集者。15歳のときから短編を撮っており10編以上に及ぶ。マラガFFの監督紹介によると、内外の映画祭受賞歴が170賞とある。本作は長編第2作目、2012年に製作した短編Lucas28分)がベースになっている。マラガ映画祭2013で監督賞を受賞、ゴヤ賞2014の短編ドラマ部門にノミネートされた(キャストは別の俳優が演じている)。202149日にインスティトゥト・セルバンテスのVimeoチャンネルで48時間限定でオンライン上映されている。

 

     

                (短編「Lucas」のポスター)

 

★長編デビュー作Asamblea18)は、アリカンテ映画祭2019審査員賞、主演のフランセスク・ガリードが男優賞を受賞、バレンシア・オーディオビジュアル賞の音響賞を受賞したほか、監督賞、撮影賞などにノミネートされた。2020年にスペインでリスナーの多いFilminでオンライン上映、好評につきその後の公開に繋がった。第2作目である本作はオープニング作品に選ばれ64日に上映された。以来メディア各社の取材攻勢に追われていたが、銀のビスナガ受賞となって慌ただしさも増したようだ。スペイン公開も間もなくの525日に決定した。

 

       

        (長編デビュー作「Asamblea」のインタビューを受ける監督)

 

★テーマの今日性、ルカス役の初々しい好青年ぶりもあいまって今後が期待できそう。ホルヘ・モトスは上映後のプレス会見で「台本を読んで直ぐにルカスを演じたいと思った」と語っていた。一方アルバロ役のホルヘ・カブレラは「登場人物を裁かないように、また理性を可能なかぎり避けながら、あるレベルまで彼と繋がれるように彼の人間性に頼ることにした」とコメント、小児性愛者という難役に挑戦した。マラガ入りしてプレス会見にも出席していたイレネ・アヌラは、モントーヤの「Asamblea」や短編Vampiro16)でメデジン映画祭女優賞、サンダンス映画祭出品のCómo conocí a tu padre08)でイベロアメリカ短編映画祭女優賞をそれぞれ受賞している。

 

   

 (左から、二人のホルヘ、モントーヤ監督、イレネ・アヌラ、64日のプレス会見)

 

  

  

  

                      (作品賞受賞後のプレス会見、6月13日)

 

★今年のマラガは全体像が間際まで見えてこなかった。コンペティション作品でさえ半分もご紹介できなかった。アグスティ・ビリャロンガが大賞を独占、他作品が脇に押しやられてしまった感が否めない。審査委員長のノラ・ナバスとビリャロンガ監督は旧知の仲、大ヒット作『ブラック・ブレッド』(10)主演で、サンセバスチャン映画祭、ゴヤ賞、フォルケ賞とスペイン映画賞の主要な女優賞をゲットしていた。知らんぷりはできず、何かの賞に絡むと予想していましたが、ベテラン監督作品が6回もコールされるとは思いませんでした。というのもマラガは新人の登竜門的役目をもっているからでした。2022年は通常の3月開催がアナウンスされています。いよいよ第69回サンセバスチャン映画祭2021のニュースが聞こえてきました。こちらは通常に戻って9月開催です。

  

第24回マラガ映画祭2021受賞結果マラガ映画祭2021 ⑳*2021年06月18日 13:47

    金のビスナガはアグスティ・ビリャロンガとフアン・パブロ・フェリックス

 

  

     (セクション・オフィシアル部門とZONAZINE部門の受賞者たち)

 

     

           (総合司会者サンティアゴ・セグラ)

 

★第24回マラガ映画祭2021セクション・オフィシアル以下全部門の受賞結果が発表になりました。総合司会はサンティアゴ・セグラ、他にマラガ出身の大スター、本祭の代表者でもあるアントニオ・バンデラスも登場、アントニオ・レシネスアナ・フェルナンデスフアナ・アコスタなどがアシストしました。コンペティション審査委員長ノラ・ナバス(女優、スペイン映画アカデミー副会長)、エレナ・S・サンチェス(ジャーナリスト、TV司会者)、カルレス・トラス(監督、2016金のビスナガ受賞者)、ラファエル・コボス(脚本家、2019リカルド・フランコ賞受賞者)、バレリー・デルピエール(製作者、20172020金のビスナガ受賞者)の5名は、スペイン映画にアグスティ・ビリャロンガの「El ventre del marEl vientre del mar)」、イベロアメリカ映画にフアン・パブロ・フェリックスの「Karnawal」を金のビスナガに選んで終幕いたしました。作品賞以外は全て銀賞です。

 

      

 (マリア・カサド、フアン・アントニオ・ビガル、マラガ市長、アントニオ・バンデラス)

 

★マラガ映画祭はセクション・オフィシアルの他に、ZONAZINE、ドキュメンタリー、短編ドキュメンタリー、シネマ・キッチン、審査員スペシャル・メンションなど様々あり、それぞれスペインとイベロアメリカに分かれ、ビスナガの名前が付いた賞の数は数えきれない。その他に企業が与えるモビスター+賞とか、アンダルシア州のシネマ・ライターズ連盟が与えるASECAN賞などもあります。授賞式もコンペティションとZONAZINE部門は入りまじって区別しにくい。以下はセクション・オフィシアルに限定してアップいたします。

   

 

                セクション・オフィシアル部門の受賞結果

 

金のビスナガ(作品賞・スペイン映画)

El ventre del marEl vientre del mar)」監督アグスティ・ビリャロンガ

  

 

  

    

         

   (製作者二人と監督が登壇しました)

 

金のビスナガ(作品賞・イベロアメリカ映画)

Karnawal(アルゼンチン)監督フアン・パブロ・フェリックス

   

     

   

              (エグゼクティブ・プロデューサーのエドソン・シドニー)

      

   

 (監督、製作者シドニー、アルフレッド・カストロ、マルティン・ロペス・ラッチ)

 

    

 (マランボを披露したロペス・ラッチ)

 

◎審査員特別賞(銀のビスナガ)

Destello Brao監督アイノア・ロドリゲス

   

   

      

        (受賞スピーチをするアイノア・ロドリゲス監督)

 

監督賞(銀のビスナガ)

アグスティ・ビリャロンガEl ventre del marEl vientre del mar)」

   

    

 

女優賞 HOTEL AC MALAGA PALACIO(銀のビスナガ)

タマラ・カセリャス(「Ama」監督フリア・デ・パス・ソルバス

      

   

                 

    

 

男優賞 STARVIEW STYLE(銀のビスナガ)

ロジェール・カザマジョールEl ventre del marEl vientre del mar)」

 

   

 

助演女優賞(銀のビスナガ)

マリア・ロマニジョス(「Las concecuencias」監督クラウディア・ピント

    

    

 

助演男優賞(銀のビスナガ)

アルフレッド・カストロKarnawal

 

      

 

脚本賞(銀のビスナガ)

アグスティ・ビリャロンガアレサンドロ・バリッコEl ventre del mar

 

     

 

音楽賞(銀のビスナガ)

マルクスJ. G. R.El ventre del marEl vientre del mar)」

 

     

 

撮影賞 XIAOMI(銀のビスナガ)

ジョセプ・マリア・シビトブライ・トマスEl ventre del mar)」

   

    

                (ブライ・トマス)

 

編集賞(銀のビスナガ)

ホセ・ルイス・ピカドDestello Bravío」)

 

    

             

審査員スペシャル・メンション

La ciudad de las fierasコロンビア=エクアドル(監督ヘンリー・リンコン

 

 

 

批評家審査員特別賞(銀のビスナガ)

Las concecuenciasクラウディア・ピント

  

 

  

        

              (クラウディア・ピント監督)

 

 

観客賞(銀のビスナガ)Chavalas監督カロル・ロドリゲス・コラス

   

  

 

     

        (カロル・ロドリゲス・コラス、主演した女優が揃って登壇しました)

 

 

★以上がセクション・オフィシアル部門の銀のビスナガです。アグスティ・ビリャロンガのEl ventre del marが作品・監督・脚本・音楽・撮影・男優賞とカタルーニャ語映画が6冠を独占、これは貰いすぎではないでしょうか。何かの賞に絡むと予想していたフアン・パブロ・フェリックスの「Karnawal」がまさかの作品賞、アルフレッド・カストロは予想通り助演男優賞を手にしました。受賞を念じて最後まで残っていたようです。最終日の13日には受賞作を纏めて再上映、また受賞者のプレス会見もあって、盛りだくさんの11日間が終了いたしました。来年2022年は通常に戻って、318日から27日の10日間になります。あくまでコロナのご機嫌しだいです。

 

 

★オープニングとクロージング両方のガラに出席した人はそれぞれ衣装代が嵩んだことでしょう。今年は肩紐がないビスチェドレスが人気、パンツルック、パンタロンも多い印象でした。以下はベストドレッサーというわけではありませんが、受賞者、授賞式に中心的役割をしたひと、プレゼンターを少しアップしておきます。

 

   

 (マラガの顔アントニオ・バンデラスと批評家審査員特別賞のプレゼンタ―を務めた

   マリア・カサド、ドレスは灰色がかった青のプロノビアス社のデザイン)


   

   

       (審査委員長ノラ・ナバス、アベリャネダのデザイン)


   

  

  (司会アシストのフアナ・アコスタ、オスカル・デ・ラ・レンタのデザイン)


 

 

 (司会アシストのアナ・フェルナンデス、フェルナンド・クラロのビスチェドレス)


  

     

           (女優賞受賞のタマラ・カセリャス)

  

   

          (司会アシストのアントニオ・レシネス)