ダニ・デ・ラ・トーレの冒険映画「Live is Life」*マラガ映画祭2021 ⑰2021年06月11日 11:56

      監督の原点、1980年代映画のオマージュ、5人の少年の冒険映画

    

      

 

★特別賞の授賞式に追われて、肝心の作品紹介が後手になっていました。映画祭4日めに第1回上映があったダニ・デ・ラ・トーレの長編3Live is Lifeの紹介です。デビュー作『暴走車ランナウェイ・カー』、第2『ガン・シティ~動乱のバルセロナ』で本邦でも比較的知名度のある監督です。第3作は夏休みに再会した5人の少年の冒険と、その家族に目を注ぎます。監督は「私の原点である80年代の映画へのオマージュです」と語っています。少し大人っぽくなった5人の少年たちと現地入り、上映日のプレス会見にも揃って登壇しました。

『暴走車ランナウェイ・カー』作品&監督キャリア紹介は、コチラ20160122

 

      

 (プレス会見に登壇した監督と出演者たち、マラガ映画祭2021

  

   

        (監督以下主演者の少年たち、マラガFFフォトコール、66日)

 

 

 Live is Life2020

製作:4 Cats Pictures / Atresmedia Cine / Live is Life AIE

監督:ダニ・デ・ラ・トーレ

脚本:アルベルト・エスピノサ

撮影:ホス・インチャウステギ

音楽:マヌエル・リベイロ

編集:フアン・ガリニャネス

キャスティング:エバ・レイラ、ヨランダ・セラーノ

メイクアップ:クリスティナ・アセンホ、ペドロ・ラウル・デ・ディエゴ、アントニオ・ナランホ

セット装置:ヌリア・グアルディア

プロダクション・マネージメント:フェデリコ・ロサディリャス

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2020年、アドベンチャードラマ、109分、撮影地ガリシアのリベイラ・サクラを中心に、ルゴ県のパントン、ソベル、キロガ、モンフォルテ・デ・レモス、他オウレンセ、エスゴス、バルセロナなど。クランクイン2019年、期間7週間、配給ワーナー・ブラザース・エンターテインメント(スペイン)、販売Film Factory、マラガ映画祭2021プレミア、スペイン公開2021813

 

キャスト:ラウル・デル・ポソ(マサ)、ダビ・ロドリゲス(スソ)、アドリアン・バエナ(ロドリ)、ハビエル・カセリャス(ガリガ)、フアン・デル・ポソ(アルバロ)、マルク・マルティネス、シルビア・ベル(以上初出演)、カルロス・アルベルト・アロンソ(プール付きハウスのオーナー)、ルア・カルテロン(ロドリの姉妹)、他

 

ストーリー1985年の夏、ロドリはカタルーニャを離れて、いつものように両親が住んでいるガリシアの町に、仲間と再会するために戻ってくる。しかし今年は5人の仲間にとって別の夏休みになりそうだ。現実世界の問題が彼らを襲い、揺るぎないと思われていた彼らの関係が脅威にさらされようとしている。5人はそれぞれ友情にしがみつき、仲間の連帯を守るため、ある冒険を計画する。土地の伝説によると、山の頂上に生え、願いを叶えてくれる魔法の花があるという。聖ヨハネの夜、5人は夜陰に紛れて魔法の花探索に出発する。何故なら彼らの唯一の願いは、苦しんでいる友人の問題を解決し、一緒にいられることだけなのだ。Live is Life」が歌われた夏の思い出は永遠だ。自分探しの少年たちの旅、子供が大人を、子供であることを止めようとしない大人を発見する感動と希望に満ちたロードムービー。

 

      

             (主演の 5 人の少年たち、映画から)

   

 

      初めて映画に連れて行ってくれた、敬愛する母親へのオマージュ

 

★「監督として私がここにいられるのは、1980年代の家族と冒険の映画です」と語るガリシアの監督ダニエル・デ・ラ・トーレ(モンフォルテ・デ・レモス1975)は、前2作とは打って変わって、家族と少年の冒険物語をテーマに選びました。最初、監督に提案された脚本は、「とても気に入ったのですが、長いあいだ決めかねていました。というのも今までの私のコードとは違っていたからです。複雑なのに非常に感傷的な部分があり、それをどういうふうに処理するか迷っていました」。監督の肩を押したのは脚本を読んだ母親が映画化を勧めたからで、それから間もなく母は旅立ちました。「私のなかで何かが起きたのです。それでイエスを出しました。だからこれは母親へのオマージュでもあります。私を最初に映画に連れて行ってくれたのが彼女でした」と映画化の経緯を語っている。

 

          

             (撮影中のダニ・デ・ラ・トーレ監督)

 

★「夏の少年たちの生活、他の都市、例えばバルセロナやマドリードからやってくる子供と、ガリシアの子供という異なった世界の子供が集まる物語を作りたかった。子供から大人への移行、例えば1980年代のスピルバーグやゼメキスの映画に影響を受けています」と監督。『E.T.』(82)とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)を指しているのでしょうか。

 

★プレス会見では「80年代のハリウッド映画『グーニーズ』とインスピレーションを共有しています」と語っている。1985年製作のリチャード・ドナーの作品、伝説の海賊が隠した財宝を探して窮地に陥っている家族を助けようとする4人の少年たちの冒険映画のことです。新作は観客を楽しませ、ノスタルジーを呼び起こそうとする冒険は、成熟への道、友情の大切さ、少年それぞれの個人的な成長を、アクション、伝説を取り込んで、決して忘れることのない夏を描いている。そのために当時のシンボリックな要素を盛り込んだとコメントした。それを担ったのがエスピノサ、「彼がキーパーソンで、彼の創造のプロセスは、エモーショナルで魔法にかけられたようだった」と脚本家を讃えた。 

   

★さまざまなバックグランドをもつ5人の少年は、アクセントや話し方などを考えて、1000人以上の子供たちの中から選んだという。マサ、アルバロ役のラウル&フアン・デル・ポソは双子の兄弟ということです。ロケ地に私の生まれ育ったルゴ県のリベイラ・サクラを選んだのは、自身の少年時代を追体験する必要があったからだと明かしている。1980年代にワープするため、少年たちには今日のテクノロジー機器から切り離したようです。ゲームやスマホなしの生活体験はどうだったのでしょうか。

 

         

                     (クランクイン当時の監督と5人の少年)

   

   

     (マラガ入りした現在の5人、デル・ポソの髪も伸びたようです)     

  

★また会見では「この映画には明らかに楽観的なメッセージがあるのは分かっています。さまざまな障害にもかかわらず目標は達成される。夢のためには希望を捨てずに根気よくポジティブに活動すれば達成できるというメッセージです」。最初簡単で単純な仕事のようにみえたのに「これまでで最も困難な仕事でしたが貴重な体験ができ、人生最高の仕事の一つです」と述べた。最後に監督は「複雑な思春期を過ごしたが、映画の中に自由を見つけ、いわば映画は避難場所、物語に没頭することが好きだった」と告白、「成長して自分に自身がもてるようになった、それを映画で達成したいと思っている」と締めくくった。今日では珍しくなった飾らない人柄が魅力的です。

 

★脚本を執筆したアルベルト・エスピノサは、1973年バルセロナ生れ、劇作家、脚本家、監督、俳優、日刊紙「カタルーニャ新聞」の記者など多才な顔をもつ。1994年の戯曲Los Pelonesが、2003アントニオ・メルセロによってPlanta 4 aのタイトルで映画化され、自身も脚本を手掛けた。マラガ映画祭審査員特別メンション、モントリオール映画祭で観客賞、メルセロが監督賞受賞、ゴヤ賞2004にもノミネートされた。2010年にリリースされ内外の映画祭の受賞歴をもつHéroes以来、10年ぶりに長編映画に戻ってきた。この間はTVシリーズを主に執筆している。両作とも子供のグループが主人公の映画でした。

    

         

                (アルベルト・エスピノサ)


フリア・フアニスのリカルド・フランコ賞ガラ*マラガ映画祭2021 ⑯2021年06月09日 16:15

     フィルム編集者フリア・フアニス、映画愛を語ったリカルド・フランコ賞の夕べ

 

      

 

6822時、リカルド・フランコ賞の授賞式がセルバンテス劇場でありました。壇上には、友人や映画仲間が馳せつけました。この賞は映画産業を裏から支えるシネアストに贈られる賞です。今年はナバラ州の小さな村、人口100人ほどのアレリャーノ生れのフィルム編集者フリア・フアニに、30年にわたるキャリアを讃えてビスナガのトロフィーが手渡されました。

 

★フリア・フアニスは、マラガ映画祭とコラボレーションを組んでいる映画アカデミー、30年にわたって自分を支えてくれた製作者、監督、すべての映画人に感謝の言葉を述べた。リカルド・フランコについては、マドリードで働きはじめた最初の映画でその存在を知ったが、フィルム編集者として一緒に仕事をすることはなかったと、その早世を思いやった。

 

     

       (ビスナガのトロフィーを手に受賞スピーチをするフリア・フアニス)

 

★フリアは映画愛を、特に思考やエモーションを強調し、フィルム編集に重要なのはテクニックではなく、創造するプロセスだと主張した。「編集では、直感や生活体験、物事を感じる力がとても大切です。だからあなたが好きならば、おそらく観客も気に入るのです」。オーディオビジュアルの世界がすべてではないのは分かっていますが、新しい言語を取り上げるのは、映画が将来的にも持続して欲しいからです。映像を通して現実に惑わせられないためにも、学校での教育も必要だと述べた。とにかくみんな映画館に出かけてください、「映画は私たちに新しい命を吹き込みます」と締めくくった。

 

★女優エウラニア・ラモンは「フリアは映画のためだけに生きているのではなく、彼女がとてつもなく大きい映画なのです」、監督のアルベルト・モライスは「フリアはスペイン映画の編集者のなかでも最高の存在です。映画のすべてのタイプに精通し、それは他の学問分野にも及んでいる。だから彼女はアーティストでシネアストなのです」とスピーチした。モライス監督とは「La madre」(16)でタッグを組んでいる。

 

          

         (フリアとその映画仲間たち、セルバンテス劇場、68日)

 

 

      映画は「私を興奮させ、物事に敏感にさせ、学ぶことは大きい」

 

★授賞式の前に行われた映画祭恒例のミーティングで、本祭のディレクターを務めるフアン・アントニオ・ビガルは、フィルム編集者だけでなく、短編作家、ドキュメンタリー監督、コラージュ展、ビデオアートなどの芸術作品を手掛ける「多面的な」活躍に触れた。フリアは「これらの仕事は映画と映画のあいだに行い、今日のような危機を迎えて更に新しいことに挑戦しており、それは新しい言語の発見に繋がっている」と語った。

     

      

    (J. A.ビガルからインタビューを受けるフリア・フアニス、ロッシーニ・サロン)

 

★撮影現場はアクティブだが、編集室の作業は「落ちついて、緊張することはありません。私は他人に怒りをぶつけることはいたしません。監督と自分の意見が一致したときはハッピーです。二人の意見が割れたときは自分の考えを言いますが、最終的な決定は監督が下します」と。映画製作者は「すべてを知っている必要がある」とも。

 

            

★大学では医学を学んだが医師の道は選ばなかった。もし選んでいたら良い医者になったろうと思いますが、映画ほど好きではなかったのです。「映画産業とは無縁の家族で学校もありませんでしたが、それでも週末には映画館に行きました。最初に映画を見たのは2歳のときで、幼いころから映画を見てよかったことは夢をもつことができたことでした。夜中には夢で映画の中に入り込んでいました。しかし映画を作れるなんて思いもしませんでした。偶然にも自分の夢に専念することができた」とその幸運を語った。

 

★彼女が興味をもっている映画は、実験的な映画である。これはアクション映画を手掛ける妨げになっているわけではなく、ただ興味を感じないからだと締めくくった。

フリア・フアニスのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20210507

 

★映画祭も折り返し点を過ぎ、セクション・オフィシアル作品の第1回上映はほぼ終わったようです。海外からの招待客も映画祭を盛り上げているようです。作品紹介が後回しになっていますが、観客の反応を見て受賞に絡みそうな作品に絞ってアップします。


オリベル・ラシェのマラガ才能賞ガラ*マラガ映画祭2021 ⑮2021年06月08日 14:23

        オリベル・ラシェ、感謝を込めてガリシアのポピュラーソングを仲間と歌う

       

  

 

★映画祭4日め66日、特別賞の一つマラガ才能賞―マラガ・オピニオンの授賞式がセルバンテス劇場でありました。今年のマラガはレベル1ということで移動が緩和されているせいか、授賞式にはオリベル・ラシェのほか『ファイアー・ウィル・カム』でゴヤ新人女優賞を受賞したベネディクタ・サンチェスも出席、監督に促されてガリシアのポピュラー・ソングに合わせて、カンヌ映画祭でも披露したダンスを踊ったようです。楽器はパンデロという大型のタンバリンのみ、監督と友人ダビデ・サルバドダニエル・パルドのトリオ、アラブの影響を受けている曲ということでガリシア語とアラビア語で歌った。「気分が良くてハッピーだったら、みんなで歌おうよ」、ガリシアの故郷オス・アンカレスからマラガに来る車中でリハーサルしながら来たそうです(一部分ですがYuoTubeで愉しめます。あの物静かなラシェが別人のようです)。ガリシアからアンダルシアという道程は、ほぼスペインを縦断したことになります。

 

       

   (トロフィーを手に受賞スピーチをするオリベル・ラシェ、後方右が友人たち)

  

『ファイアー・ウィル・カム』の監督は、自分の映画は谷間に暮らす人々とその家族から生まれたと吐露しました。「至高を求めて作品を作っています。何故なら私の心底は少しも変わっていないからです。私の第一歩は小さなものでしたが、生命をもっていると思います」、またマラガ映画祭が自分の仕事を評価してくれたことを感謝した。この10年間でたくさんの賞を頂きましたが、いつも同じということではなかった。成功や失敗の概念は時代によって異なっていたからです。自分は常に周辺で暮らす人間だが、マラガに来られて素晴らしかった、とスピーチしたようです。

             

          

       (監督とベネディクタ・サンチェス、マラガFFのフォトコール)

 

 

     多面体のラシェ――映像作家、社会文化活動家、そして農村開発促進者

 

★授賞式に先だって、セルバンテス劇場のロッシーニ・サロンで恒例のミーティングが行われた。インタビュアーのフアン・アントニオ・ビガルは「マラガ才能賞は映画製作に関わる若い才能がこれからも創作活動を続けられるよう後押しする賞」と定義した。流行の言葉で言うなら持続可能な創作への招待状です。オリベル・ラシェがもつ「独特の世界観と、芸術的表現におけるコミットメント」を讃えた。ラシェ監督は現在田舎暮らし、次回作の脚本の完成も終盤に来ている。並行して撮影地探しのためモロッコとモーリタニアを行き来しており、撮影資金を得るためのリストを作り始めたと語った。同時進行でTVシリーズの準備をしており、現在の住居でもある、かつて祖父母が暮らしていた家のあるオス・アンカレスでの撮影が予定されている。

 

★アンカレスの社会文化的なプロジェクトについては、自然、ルーツ、家族の価値観、田舎暮らしのシンプルさが自分の映画にとって重要な要素であり、それとリンクしていること、「私の映画はシンプルさの集合体から生れ、複雑な世界のなかで小さな存在に感じますが、気分は良くなる」、親密な眼差しをもったラシェの仕事は、「自然と結びつきながら円環を閉じることで社会的な証言者の価値」をもっているとインタビュアー、「あなたの映画には、小さなときからアンカレスの野原で遊んでいた少年の雰囲気が残っている」ともビガルは言い添えた。ガジェゴの監督は、自分の映画は小さいときからの美と脆さを捉えようとしている、「自然を観察していると、自分が小さく思える」と応えた。

    

      

   (ビガルのインタビューを受ける監督、セルバンテス劇場のロッシーニ・サロンにて)

 

        「見るひとをその本質と結びつける」物語を語りたい

 

★ラシェは映画は、見るひとを本質的なものと結びつけ、彼らが求める視点を手助けできる物語を語るべきであると考えている。「映像作家の自由は視聴者が最も高く評価する」と強調した。自身を映像作家、風景作家と定義し、映像を心行くまで愉しむこと、反対に疵を引っかくようなことに興味があるとも語った。

 

★ミーティングとは別に多くのメディアからコメントを求められている。どの映画祭もマラガも含めて覇権主義的だが、雨の多い荒々しい北の国から来ると、温暖なマラガは美しく人々がゆったり接してくれるのが気に入ったようです。現在のスペイン映画についての質問には、コメントできない。と言うのも実際にそれほどたくさん観てるわけではないからだと。『ファイアー・ウィル・カム』の成功以来、行く先々で人々から「次回作はどんな映画?」と訊かれるが、「私は監督だったことを忘れていました」と。そろそろキッチンのコンロに火入れをしなければならない時期に来ている。上述したように次回作の脚本は脱稿しているようです。ゆっくりペースの監督、完成するのは何年先かなぁ。下記写真提供のCADENA SERは、マドリードに本部を置くラジオ局。

 

        

      (地中海に臨むグラン・ミラマル・ホテルで寛ぐ監督、CADENA SER提供)

 

監督キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20210501


アメナバルにマラガ―スール賞のガラ*マラガ映画祭2021 ⑭2021年06月06日 17:19

            アントニオ・バンデラス海岸遊歩道に手形入りのモニュメント

 

   

 

★開幕3日め65日、映画祭最高のマラガ―スール賞アレハンドロ・アメナバルに授与されました。授賞式に先だって、アントニオ・バンデラス海岸遊歩道に建てられた受賞者の手形入りモニュメントの除幕式がありました(マラガ―スール賞受賞者だけの栄誉)。例年通りマラガ市長フランシスコ・デ・ラ・トーレ、市議会代表のエリア・ロサダ、スール紙の副編集長ハビエル・ロシオ、映画祭ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルが出席しました。本賞は日刊紙「スール」がコラボしています。スペインでは通りや公共施設に所縁のある人物の名前を付けるのは珍しくありませんが、バンデラスの名前がついた通りがあるとは知りませんでした。彼はマラガ市の名誉市民、シネアスト以外に投資家としても成功しており、多額の寄付金をして市に貢献しています。

        

  
   (モニュメントに刻まれた自身の手形に合わせるアメナバル、202165日)

       

   

        (モニュメントの除幕式に出席した受賞者と関係者)

 

2200からのガラに先だって午後、恒例のミーティングが映画祭ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルの司会で行われました。監督、脚本家、ミュージシャンとそのキャリアは説明するまでもありませんが、ビガルは「もしシネアストでなかったら、あなたはミュージシャンになっていたでしょうね」と切り出しました。アメナバルは映画界入りのきっかけは「私の短編を見たホセ・ルイス・クエルダが長編映画の脚本を書くよう勧めたことが始りだった」と応えている。つまりデビュー作『テシス 次は私が殺される』(96)が観客、批評家の両方から受け入れられた。「ゴヤ賞レベルで評価されたことが励みになった」と監督、国内だけでなく国際的にもサプライズだったデビュー作でした。

 

          

           (ビガルの司会によるミーティング、同日午後)

 

 

           「私は常に歴史に導かれてきた」とアメナバル

 

★国際的な最初の成功は『アザーズ』(01)で「海外勢とタッグを組んだプロジェクトで多くを学び、鍛えられた。ミックスされることで成長できる」と。『海を飛ぶ夢』(04)では米アカデミー外国語映画賞でオスカー賞監督となった。しかし『アレクサンドリア』(09)のような歴史物では多額の資金が必要で、国際的なプロジェクトを組まざるを得なかった」と。また歴史は常に彼を導いてきた。そしてスペイン語映画に回帰した最新作スペイン内戦をテーマにした『戦争のさなかで』に辿りつく。

 

★今年秋にはTVミニシリーズLa fortuna6話)が放映される。将来に目を向けると、プラットフォームは深みと密度の高い物語を伝えることができると考えている。「どの形式が理想的かは分からないが、プラットフォームの登場とスペインのフィクションの増加により、より複雑な映画が製作できるようになることを期待している」と語っている。「私は長編映画のほうが好きです。映画館で愉しむのか、あるいはお茶の間でかは分かりませんけど」と監督。

 

★同日午後10時、セルバンテス劇場で授賞式が始まった。その多才なキャリアを讃えての授賞、プレゼンターはTVミニシリーズ「La fortuna」の主演者、アナ・ポルボロサアルバロ・メルでした。「物語を語り続けるための推進力としてこの賞を受け取りたい」、「この賞が初めてのマラガ賞受賞です」とスピーチした。本祭はスペイン語・ポルトガル語に特化した映画祭のため、英語映画がつづいていたアメナバルには縁が薄く、ノミネートされたことはなかったわけです。

キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20210515

 

     

              (トロフィーを手にしたアメナバル)

 
 

マラガが開幕しました*マラガ映画祭2021 ⑬2021年06月05日 12:53

        63日、予定通り第24回マラガ映画祭2021が開幕しました

 

         

          (VIPが宿泊する5つ星ホテル「ミラマル」の正面玄関)

   

     

     (憲法広場に設置されたセクション・オフィシアル作品の宣伝ポスター)

 

★運悪くPCの不具合が発生して紹介が中断してしまいました。これも性悪ウイルスのせいかもしれません。マラガは新型コロナウイリスのレベル1ということで、昨年よりはかなり緩和されていますが、赤絨毯なし、マスク着用、招待客以下関係者の抗原検査、客席は3分の1の200隻と厳しさは同じです。オープニング作品のセクン・デ・ラ・ロサのミュージカルコメディEl coverが上映されましたが、肝心の監督がコロナに罹り欠席となりました。舞台挨拶にはプロデューサーのキコ・マルティネスとホセ・ラモン・デル・リオ、主演のアレックス・モネールマリナ・サラスカロリナ・ジュステマリア・エルバスが登壇しました(写真下)。今のところ適当な写真が入手できていませんが、映画祭がアップしたものから選んでみました。

   


      

       

              (オープニング上映のEl cover) 

 

   

★同日には、ペトラ・マルティネスビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞の授賞式とプレス会見が行われた。映画祭総指揮ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルの司会でプレス会見が行われ、「『マリアの旅』は自分の人生に重なる」とインタビューに応えたようです。

ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス『マリアの旅』の紹介は、コチラ20201027

 

      

         (トロフィーを手に喜びのペトラ・マルティネス、63日)

   

       

                  (ビガルのインタビューを受けるペトラ・マルティネス)

 

 

64日、マリアノ・バロッソレトロスペクティブ賞――マラガ・オイの授賞式と、フアン・アントニオ・ビガルの司会でプレス会見が行われました(映画祭本部がおかれているセルバンテス劇場のサロン<ロッシーニ>にて)。同席したのはキューバ出身の脚本家アレハンドロ・エルナンデス、当日紹介された Nunca quise ser un outsider. Conversaciones con Mariano Barroso (マラガ祭出版局)の著者。彼はバロッソ監督やマヌエル・マルティン・クエンカ監督などとタッグを組んでスペインで活躍しているキューバ才能流出組の一人。

 

   

              (トロフィーを手に喜びのマリアノ・バロッソ、63日)

 

   

(左から、アレハンドロ・エルナンデス、バロッソ監督、フアン・アントニオ・ビガル)



ウルグアイの新人ホアキン・マウアド*マラガ映画祭2021⑫2021年05月30日 17:25

                       3人の姉弟が封印されていた過去へと辿る旅

 

    

   

★今年のセクション・オフィシアル作品はアウトコンペティション4作を含めて23作、ラテンアメリカ諸国からは8作がノミネートされました。ウルグアイ映画は市場が小さいこともあって隣国アルゼンチンとの合作が多い。ホアキン・マウアドAños luzも本祭ではウルグアイ単独として登場していますが、実際はアルゼンチンの制作会社「Pensilvania Films」が資金を提供しています。長編映画デビューは2017年のEl sereno」ですが、これはオスカル・エステベスとの共同監督ですから、単独作としては今作がデビュー作です。

 

Años luz(「Light Years」)2021

製作:Anfinbia Cine(ウルグアイ)/ Benuca Films / Pensilvania Films(アルゼンチン)

監督:ホアキン・マウアド

脚本:ホアキン・マウアド、ガブリエル・ゴメス・ビリャヌエバ

撮影:ディエゴ・パベス

編集:カレン・アントゥネス

音楽:マテオ・エルナンデス、ラウタロ・マンシリャ

美術:フェデリコ・カプラ、Liudmila Gaddjuk

メイクアップ:ホアキン・エスピノ

プロダクション・マネージメント:クレメンティナ・ゴンサレス

助監督:オルタ・クリスチャン、アンドレス・ファイラチェ

製作者:アリナ・カプラン、フェルナンド・モンテス・デ・オカ

 

データ:製作国ウルグアイ、アルゼンチン、スペイン語、2021年、ドラマ、81分、撮影地モンテビデオ、マラガ映画祭2021でプレミア。

 

キャスト:ガブリエラ・フレイレ(ベレン、29歳)、フェデリコ・レペット(マテオ、32歳)、ビルジニア・ファリアス(マリア・ホセ、35歳)、アントニオ・ディ・マッテオ(ダビ)、アドリアナ・アルドゲイン(イネス)、リス・モッタ(マイア)、ほか

 

ストーリー:長らく離れて暮らしていたマテオ、ベレン、マリア・ホセの3人姉弟は、子供のときから大人になるまで暮らしていた家の売却をするために再会を余儀なくされている。一つには父親の古い車で生れ故郷に向かう旅でもあるが、その前途には彼ら自身が封印してきた家族間の軋轢を解決しなければならない旅でもあった。三人は未だに埋めがたい対立に直面するなかで予期しない真実にも出会う。本作は見かけほど壊れていなかった、まだ愛が残っていたある家族の問題が語られる。

 

  

   

    

★監督紹介:ホアキン・マウアド1990年モンテビデオ生れ、監督、脚本家、製作者。2014年ウルグアイ映画学校(ECU)の監督科を卒業。キューバのアン・アントニオ・デ・ロス・バニョスの映画TV学校でも学ぶ。2016アリナ・カプランと制作会社Anfinbia Cineを設立する。カプランは、ウルグアイやアルゼンチンのコメディ、アクション、アドベンチャー作品をプロデュースしている。2012年「Malos hábitos、「Mi amigo verde」(13)、「La casa de Nico」(14)、「Obnubilante」(15)、ほか10本ほど短編を撮る。2017年、オスカル・エステベスとの共同監督で長編「El sereno」を製作した。本作「Años luz」が単独監督デビュー作。

            

                  

                                (ホアキン・マウアド)

    

      

                                (El serenoのポスター)

 

★ウルグアイ映画は国際映画祭に出品される数も少なく、ましてや日本語字幕入りとなるとほんの数えるほどになる。当ブログでもアルバロ・ブレッヒナーLa noche de 12 años18)が12年の長い夜』の邦題でNetflixが配信したことで紹介できた。ブレッヒナーはウルグアイ出身ですが現在はスペインに住んでいます。どうしても映画市場が狭いので海外流出組が多くなるようです。2作目Mr.Kaplan14、独西合作)では、アリナ・カプランがプロダクションマネージャーをしていました。

アルバロ・ブレッヒナーのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20180827

 

セクション・オフィシアル作品19作*マラガ映画祭2021 ⑪2021年05月27日 16:50

          マドリードでセクション・オフィシアルのプレゼンテーションを開催

 

   

  (マラガ映画祭2021のプレゼンテーション、525日ドマリードのCBAにて)

 

525日、マラガからマドリードのシルクロ・デ・ベジャス・アルテスCBAに舞台を移して、映画祭代表ディレクターのフアン・アントニオ・ビガル、選考委員会メンバーであるフェルナンド・メンデス=レイテが出席して、セクション・オフィシアルにノミネートされた23作の監督、製作者などが参加してプレゼンが行われました。移動が制限されているので集まれたのはスペイン側だけでしたが、17名が参加、出席できなかったシネアストはオンラインまたはビデオレターで参加しました。CBA1880年に設立された非営利団体の民間文化センターです。

  

★参加者15名のうち、セクン・デ・ラ・ロサ「El cover」の製作者キコ・マルティネス、オスカル・アイバル「El sustituto」の製作者ヘラルド・エレーロ、アウトコンペ上映のビセンテ・ビジャヌエバ「Sevillanas de Brooklyn」の製作者で共同脚本家のナチョ・ラカサの3人以外は監督でした。以下列挙すると、カロル・ロドリゲス、エセキエル・モンテス、マカレナ・アストルガ、アグスティ・ビリャロンガ、アイノア・ロドリゲス、フリア・デ・パス、ウーゴ・マルティン・クエルボ、ダニ・デ・ラ・トーレ、クラウディア・ピント、カルロス・テロン、アナ・ムルガレン、Judith Colell ジュディス・コレルの15名。小さい写真でほとんど識別できませんが・・・

 

★オンライン参加はルカス・トゥルトゥルTurturro、フアン・パブロ・フェリックス、ハビエル・フエンテス=レオン、ヘンリー・リンコンの4名、ビデオレター参加は、カルロス・キュアロン、Djin Sganzerla、ホアキン・マウアド、ハビエル・フェセルの4名でした。以下にタイトル、国名、監督名、製作年、ジャンル、上映時間などの順で列挙しておきます。

 

             セクション・オフィシアル19

   

1)El cover」スペイン=ポルトガル、セクン・デ・ラ・ロサ2020年、コメディ、90

*オープニング作品、作品紹介は、コチラ20210518

 

 

 

2)「15 horas」ドミニカ共和国=スペイン、Judith Colell ジュディス・コレル、2020年、80

バルセロナ出身の監督、スペイン映画アカデミー副会長を務めた。(201115)、代表作は2010年の「Elisa K

 

 

  

3)「Años luz」ウルグアイ、ホアキン・マウアド2021年、ドラマ、81

1990年モンテビデオ生れ、監督、脚本家、製作者。ウルグアイ映画学校、キューバの映画TV学校で学ぶ。2017年「El sereno」でデビュー。本作は離れ離れに暮らしていた3人の姉兄が、亡父の残した古い家を売却するため、子供時代を過ごした故郷で再会する物語。

作品紹介は、コチラ⇒2021年05月30日

   

  

 

4)「Ama」スペイン、フリア・デ・パス・ソルバス2020年、ドラマ、90

監督、脚本家、バルセロナのカタルーニャ映画視聴覚上級学校ESCACで学ぶ。母親たちの孤独をフィクションとドキュメンタリーの中間の手法で語る、長編デビュー作。

  

 

  

 

5)「Amalgama」メキシコ、カルロス・キュアロン2020年、コメディ、92

作品紹介は、コチラ2021050513

 

    

 

6)「Cómo mueren las reinas」アルゼンチン、ルカス・トゥルトゥル)、2021年、83

長編映画デビュー作、1983年ブエノスアイレス生れ、ドキュメンタリーを多数撮っている

 

  

 

7)「Chavalas」スペイン、カロル・ロドリゲス・コラス2020年、91

長編映画デビュー作、Cornella生れ、バルセロナに移住、写真家としてキャリアをスタートさせる。短編を多数撮っている。離れがたい4人の女の子の友情が語られる。

 

  

 

8)「Con quién viajas」スペイン、ウーゴ・マルティン・クエルボ2021年、87

長編映画デビュー作、1987年マドリード生れ、2005年広告会社で働き始めるが、翌年録音助手として映画界入りする。本作は見知らぬ同士の4人の旅人が1台の車でムルシアに向かう話。面白そうなので作品紹介を予定しています。

  

 

  

 

9)「Destello bravío」スペイン、アイノア・ロドリゲス、コメディ、2021年、98

作品紹介は、コチラ20210513

   

 

  

 

10)「El sustituto」スペイン、オスカル・アイバル2020年、117

バルセロナ生れ、監督、脚本家、代表作はサンティアゴ・セグラを起用した「El gran Vázquez」(10)、本作はリカルド・ゴメス主演のアクション・アドベンチャー。

 

   

 

11)「El ventre del mar / El vientre del mar」スペイン、アグスティ・ビリャロンガ

  2021年、78分、カタルーニャ語スペイン語字幕入り上映。

作品紹介は、コチラ20210509

 

   

 

12)「Homble muerto no sabe vivir」スペイン、エセキエル・モンテス2021年、105

長編映画デビュー作、マラガ生れ、監督、製作者、短編多数、「Este amor es de otro planeta」(19)ほかをプロデュースしている。第2作が進行中。

 

   

 

13)「Karnawal」アルゼンチン=ブラジル=メキシコ=チリ=ノルウェー=ボリビア、

  フアン・パブロ・フェリックス、2020年、97

アルゼンチン生れ、監督、脚本家、TVシリーズを多数手掛けている。本作はグアダラハラ映画祭2020で監督賞と主演のアルフレッド・カストロが男優賞、カストロはトゥールーズ映画祭でも男優賞を受賞している。

 

  

 

14)「La casa del caracol」スペイン=ペルー=メキシコ、マカレナ・アストルガ

     2020年、103分、サイコスリラー

作品紹介は、コチラ20210509

 

   

 

15)「La ciudad de las fieras」コロンビア=エクアドル、ヘンリー・リンコン2021年、93

監督、脚本家、製作者。2016年「Pasos de héroe」でデビュー、本作は2作目。

 

   

 

16)La consecuencias」スペイン=オランダ=ベルギー、

  クラウディア・ピント・エンペラドール2021年、96分、第2作目

ベネズエラ生れ、監督、脚本家、製作者。デビュー作「La distancia más larga」(13)は、第1回イベロアメリカ・プラチナ賞2015で初監督賞を受賞他、受賞歴多数、TVシリーズも手掛けている。

デビュー作&監督キャリア紹介は、コチラ2013090520150207

 

   

 

17)「Las mujeres famililias」ペルー=コロンビア、ハビエル・フエンテス=レオン

     2020年、99

作品紹介は、コチラ20210513

 

    

 

18)Live is life」スペイン、ダニ・デ・ラ・トーレ2020年、109

1975年ガリシアのルゴ生れ、監督、脚本家、製作者。代表作El desconocido」(『暴走車 ランナウェイ・カー』)、「La sombra de la Ley」(『ガン・シティ~動乱のバルセロナ』)など。新作は1985年半ばのガリシアを舞台にした5人の少年の冒険物語。

作品紹介は、コチラ⇒2021年06月11日

 

 

 

19)「Mulher oceano / Mujer océano」ブラジル、Djin Sganzerla2020年、99

ポルトガル語、スペイン語字幕入り上映。1977年リオデジャネイロ生れ、女優、監督、製作者。本作は東京に移住したブラジルの作家が、日本の経験をベースに新作を書こうとする。

 

    

 

             アウトコンペティション4

  

20)「García y García」スペイン、アナ・ムルガレン2021年、コメディ、98

*クロージング作品。作品紹介は、コチラ20210521

    

      

                 

 

21)「Historias lamentables」スペイン、ハビエル・フェセル2020年、コメディ、129

代表作『だれもが愛しいチャンピオン』『モルタデロとフィレモン』などヒット作多数。今年のビスナガ特別栄誉賞受賞者。

 

      

 

22)「Operación Camarón」スペイン、カルロス・テロン2020年、コメディ、105

1978年サラマンカ生れ、監督、製作者(短編でゴヤ賞受賞)、TVシリーズを多数手掛けている。

   

 

     

23)Sevillanas de Brooklyn」スペイン、ビセンテ・ビジャヌエバ2020、コメディ、97

2011年長編デビュー、2017年の「TOC TOC」は100万人が観たというヒット作

 

 

 

★以上23作です(うち女性監督が8人)。例年に比べてスペイン映画、コメディが多い印象ですが、これも新型コロナウイルスの影響かもしれません。次回からデビュー作を中心に作品紹介を予定しています。

マラガ映画祭の全容が発表されました*マラガ映画祭2021 ⑩2021年05月25日 17:28

         セクション・オフィシアル作品19作、コンペ外4作はオールコメディ

 

        

       (マラガ映画祭2021の発表会、524日、セルバンテス劇場にて)

 

★開幕を目前にした524日、マラガ映画祭総裁(マラガ市長フランシスコ・デ・ラ・トーレ)、映画祭総ディレクター(フアン・アントニオ・ビガル)以下協賛企業、メディア関係者一同が勢揃いして映画祭本部のセルバンテス劇場で、コンペティション部門、アウトコンペティション、審査員、特別栄誉賞、金の映画賞などの発表があり、やっと全体像が見えてきました。スペイン語、ポルトガル語に特化した映画祭ですが、70ヵ国2321本(うち715本が女性監督)の応募の中から厳選したそうです。マラガ市長は文化と映画祭への重要な取組と支援について、すべてのスポンサー、協力者に感謝の言葉を述べました。

 

★総代表ビガルは、新型コロナウイリスのワクチン接種者の増加で状況は改善されたとはいえ、従来の映画祭に戻ることはできないと考えている。パンデミックによって出来している混乱状況や制限に適応して開催することが宣言された。つまり、昨年通り、セルバンテス劇場正面のレッドカーペットは敷かない、メディアのための大規模なフォトコールは、招待者や関係者が宿泊するミラマル・ホテルの庭園で観客を入れずにする、ソーシャル・ディスタンスを守り、マスク着用などの衛生管理の対策を立てて映画祭に臨むことをアピールした。70ヵ国約2300本以上の応募があったことは、本祭の国際的位置づけを示しているとも語った。

 

★セクション・オフィシアルの審査員は、委員長にノラ・ナバス(女優、スペイン映画アカデミー副会長)、カルレス・トラス(監督、「Callback2016金のビスナガ賞)、ラファエル・コボス(脚本家、2019リカルド・フランコ賞)、バレリー・デルピエール(製作者、『悲しみに、こんにちは』2017、「Las niñas2020の金のビスナガ賞)、エレナ・S・サンチェス(ジャーナリスト、TV司会者)の5名。全てのシネアストを既にご紹介しています。

カルレス・トラスの「Callback」作品紹介は、コチラ20160503

エレナ・S・サンチェスの紹介記事は、コチラ20150514

 

★特別賞(6賞)は、ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞以外は既に発表になっておりました。繰り返しますと、

マラガ―スール賞(本映画祭とスール紙が与える大賞)アレハンドロ・アメナバル

コチラ20210515

 

レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)マリアノ・バロッソ

コチラ20210422

 

マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)オリベル・ラシェ

コチラ20210501

 

リカルド・フランコ賞(映画アカデミーとのコラボ)フリア・フアニス(フィルム編集者)

コチラ20210507

 

ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞 ペトラ・マルティネス(女優)

主演作『マリアの旅』でキャリア紹介、コチラ202010271129

 

     

          (『マリアの旅』主演のペトラ・マルティネス)

 

ビスナガ栄誉賞 ハビエル・フェセル

昨年の受賞者ですが、パンデミックで授賞式が延期されていました。授与式には最新作である「Historias lamentables」(20)が上映される予定。

 

       

        (『だれもが愛しいチャンピオン』の監督ハビエル・フェセル)

 

金の映画は、1951年にルイス・ガルシア・ベルランガフアン・アントニオ・バルデムが共同監督したEsa pareja feliz(「The Happy Couple」公開は1953年)というクラシックコメディが選ばれました。主演はフェルナンド・フェルナン・ゴメス、皆さん鬼籍入りしています。今年はベルランガ生誕100周年の年で想定内の選択でした。ほかにも開催中にベルランガ映画のオマージュのイベントが多数準備されているようです。

     

      

           (金の映画Esa pareja feliz」のポスター

 

★既にセクション・オフィシアル(コンペティション&アウトコンペティション部門)は、五月雨式に発表されておりましたが、次回全23作(アウトコンペ4作を含む)を列挙することにします。

 

スタンダップコメディ 『ダニ・ロビラの嫌悪感』*ネットフリックス配信2021年05月24日 17:44

            生れ故郷マラガで「Odio, Dani Rovira」と題してライブ

 

        

     

ダニ・ロビラHodgkin(ホジキンリンパ腫)という癌の診断を受けたのは、2020318日、スペイン政府が新型コロナウイリス蔓延のためロックダウンを宣言した4日後だったという。1週間後SNSで告知すると、友人知人はいうに及ばず見知らぬ人々からの励ましを受けて勇気づけられたという。Ocho apellidos vascos共演で意気投合、以来パートナーだったクララ・ラゴとの関係は、前年に終わっていた。リピーターを含めると約1000万人が映画館に足を運んだという、スペイン映画史上最高の収益をだした大ヒット作、二人で設立した慈善財団「Fundación Ochotumbao」の活動は続行している。それとこれは別ということです。クララの新恋人は歌手で俳優のホセ・ルセナということです。

 

 『ダニ・ロビラの嫌悪感』(原題Odio de Dani Rovira

★製作はNetflix、スタンダップコメディ、82分、ライブは20201114日、マラガのソーホー・カイシャバンク劇場 Teatro del Soho CaixaBank、今年のゴヤ賞2021のガラもこの劇場で開催された。2021212日から Netflix で配信が開始されている。

 

       

          (ソーホー・カイシャバンク劇場のライブ予告から)

 

★「パンデミックだけでなくがんと闘っている人々へのオマージュ」として企画された。称賛と批判あるいは嫌悪感は背中合わせであるのだが、かなりきわどい発言もあった。202011月といえばまだ新型コロナウイルスの真っただ中のはずですが、マスクこそしていましたが会場はほぼ満席に近かったように思え、コロナ禍対応の違いを感じさせた。ロビラが罹患したホジキンリンパ腫という癌は日本では多くないそうですが、治癒が難しいということです。多分本人的には九死に一生を得たということでしょう。40歳で迎えた第二の人生は幕が揚がったばかり、心身のバランスをとって、今後も私たちに笑いを届けてください。

 

ダニ・ロビラ198011月マラガ生れ、俳優、スタンダップコメディアン、TV司会者、慈善活動家。完全菜食主義者である。18歳で大学進学のためグラナダに移り、グラナダ大学では体育スポーツ科学を専攻した。26歳のとき本格的に俳優の道を目指してマドリードに移住、2004年テレビ界でスタートする。長編映画デビューは、2014年のエミリオ・マルティネス=ラサロのコメディOcho apellidos vascosの主役に起用され、一躍スターダムにのし上がった。ゴヤ賞2015の総合司会に抜擢され、自身も新人男優賞を受賞した。第2作は、台本を渡されたのはこちらのほうが先だったというマリア・リポルAhora o nunca15、邦題『やるなら今しかない!』)。ゴヤ賞ガラは3年連続で総合司会を務めたが、称賛と批判半々に疲労困憊、4回目は引き受けなかった。

 

        

        (ゴヤ賞2015新人男優賞のトロフィーを手にしたダニ・ロビラ)

    

以下に主な活躍を列挙すると(ゴチック体は当ブログ紹介作品)、

2015『オチョ・アペリードス・カタラネス』(「オチョ・アペリードス・バスコス」の続編)

2016100メートル』マルセル・バレナ監督

2017『ティ・マイ~希望のベトナム』パトリシア・フェレイラ監督

2018『スーパーロペス』ハビエル・ルイス・カルデラ監督

2018Miamor perdidaエミリオ・マルティネス=ラサロ監督

2019Taxi a Gibraltar」アレホ・フラ監督、マラガ映画祭2019のオープニング作品

2019Los Japón」アルバロ・ディアス・ロレンソ監督、マラガFF2019クロージング作品

2021『ジャングルクルーズ』ジャウム・コレット=セラ監督(ディズニー映画)

 

★邦題はネットフリックスで配信されたときのもの、『ジャングルクルーズ』の撮影は2018年と癌罹患前であるが、もともとの公開日(20207月)が、米国の新型コロナウイルス蔓延のため1年後に延期されていた。日米同時公開は20217月の予定。本作にはダニ・ロビラのほか、エドガー・ラミレス、キム・グティエレスなどがクレジットされている。キャリア詳細については、以下の作品で紹介しています。

  

Ocho apellidos vascos」の主な作品紹介は、コチラ20140327

『やるなら今しかない!』の作品紹介は、コチラ20150714

『オチョ・アペリードス・カタラネス』の作品紹介は、コチラ20151209

Miamor perdida」の作品紹介は、コチラ20181214

 

クロージング作品はムルガレンのコメディ*マラガ映画祭2021 ⑨2021年05月21日 15:32

        アナ・ムルガレンの第3作「García y García」はコメディ

 


 

★セクション・オフィシアル作品の全体像はまだ見えてきませんが、クロージング作品はアナ・ムルガレンの第3作めGarcía y Garcíaとアナウンスされました。前回のオープニング作品「El caver」で少し触れましたようにこちらもコメディ、新型コロナウイリス感染拡大による自粛ムードの憂さを晴らしたいようです。ムルガレン監督は、前作La higuera de los bastardosでキャリア&フィルモグラフィーを紹介しています。主演のホセ・モタペペ・ビジュエラの二人が同姓同名のハビエル・ガルシアに扮します。ホセ・モタはアレックス・デ・ラ・イグレシアの『刺さった男』とパブロ・ベルヘルの『アブラカダブラ』でお馴染みです。ペペ・ビジュエラはハビエル・フェセルの『モルタデロとフィレモン』のフィレモン・ピ役で既に登場していますが、当ブログは初登場です。

 

      

     (左から、ペペ・ビジュエラ、ホセ・モタ、二人のハビエル・ガルシア役)

 

La higuera de los bastardos」の監督&作品紹介は、コチラ20171203

『アブラカダブラ』の作品&ホセ・モタ紹介は、コチラ20170705

 

 

García y García2021年 コメディ

製作:Brogmedia / Claq Films  協賛RTVE / Amazon / EiTB / Aragón TV / ICAA

監督:アナ・ムルガレン

脚本:アナ・ムルガレン、アナ・ガラン

ストーリー:カルロス・ラメラ、ホアキン・トリンカド、(共著)マルコス・マス

音楽:アイツォル・サラチャガ

撮影:アルベルト・パスクアル

編集:アントニオ・フルトス、アナ・ムルガレン

キャスティング:フアナ・マルティネス、ホアキン・トリンカド

衣装デザイン:ネレア・トリホス

メイクアップ&ヘアー:(メイク&ヘアー主任)オルガ・クルス、(メイク主任)セシリア・エスコット)、ヘノベバ・ゴメス、ルベン・サモス

製作者:リカルド・マルコス・ブデ、カルロス・ラメラ、イグナシオ・サラサール=シンプソン、ホアキン・トリンカド、(エグゼクティブ)アナ・ムルガレン、ほか

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、アドベンチャー・コメディ、98分、撮影地アラゴン州のテルエル、サラゴサ、マドリード、ビルバオ、2020727日クランクイン、期間8週間。マラガ映画祭上映後アマゾンプライムビデオで上映、スペイン公開827日予定

 

キャスト:ホセ・モタ(顧問ハビエル・ガルシア)、ペペ・ビジュエラ(技術者ハビエル・ガルシア)、エバ・ウガルテ(クロエ)、マルティタ・デ・グラナ(エバ)、カルロス・アレセス(ダリオ)、ナイアラ・アルネド(ニナ)、ミケル・ロサダ(リッキー)、ジョルディ・サンチェス(アルフォンソ)、アントニオ・レシネス(アントニオ)、リカルド・カステーリャ(エクトル)、ヘスス・ビダル(ルベン)、Alexityアレクシティ(ブランカ)、ほかラモン・バレス、アリシア・フェルナンデス、パコ・コジャド、マルコス・マスなど多数

 

ストーリー:弱小の格安航空会社イスパビアは深刻な問題に直面している。彼らの数はバランスを欠き、飛行機が飛ぶこともありません。会社を救うために必死の博打をうつ。一流の航空会社のコンサルタントとメカニック部門のエキスパートを同時に雇うことにした。どちらもハビエル・ガルシアという名前でした。その偶然と会社の無秩序がもとで、最初から二人のガルシアは混乱に巻き込まれ、役割を交換することになるでしょう。技術者が会社のオーナーによって手配された高級ホテルに宿泊しているあいだ、一流コンサルタントは油じみた作業ズボンを着せられ格納庫に連れていかれます。何が起きているのか分からないまま、二人のガルシアが間違いに気づくまで、互いの難問に対処することになる。

 

    

         (二人のガルシア、テルエルの高級ホテルにて)

 

監督紹介アナ・ムルガレンAna Murugarrenは、1961年ナバラ州マルシーリャス生れ、監督、脚本家、編集者、製作者。バスク大学で情報科学を専攻、1980年代後半から始まったバスク・ヌーベルバーグの一人。グループにはエンリケ・ウルビス、パブロ・ベルヘル、アレックス・デ・ラ・イグレシア、ルイス・マリアス、ホアキン・トリンカドなどがいる。編集者としてスタート、エンリケ・ウルビスのコメディ「Tu novia está loca」や「Todo por la pasta」の編集を手掛けている。ホアキン・トリンカドのコメディ「Sálvate si puedes」の編集、ドキュメンターEsta no es la vida privada de Javier Kraheを共同で監督しており、今回もストーリーと製作を担っている。ウルビスのコメディ映画は、『貸し金庫507』でご紹介しています。

エンリケ・ウルビスのコメディの記事は、コチラ⇒2014年03月25日

 

 フィルモグラフィー 

1988年「Tu novia está loca」編集、監督はエンリケ・ウルビス

1988年「Mama」(短編)編集、監督はパブロ・ベルヘル

1991年「Todo por la pasta」編集、監督はエンリケ・ウルビス

    シネマ・ライターズ・サークル賞1991最優秀編集賞を受賞

1995年「Sálvate si puedes」編集、監督はホアキン・トリンカド

2005年「Esta no es la vida privada de Javier Krahe」ドキュメンタリー、監督・編集

   アキン・トリンカドとの共同監督、映画の創造性ボセント賞受賞

2011年「El precio de la libertad」監督・編集(TVミニシリーズ2話)

    スペシャル・イリス賞、女性インデペンデントFF2012メリット賞・編集賞

   (製作者ホアキン・トリンカドと受賞)

2012年「La dama guerrera」監督・編集(TVムービー

    バスクのEuskal Bobinak 賞を受賞

2014年「Tres mentiras」監督・編集、長編映画デビュー作

2017La higuera de los bastardos」監督・脚色・編集

2021年「García y García」本作付き省略

 

     

       (ホアキン・トリンカドと監督、女性インデペンデントFF2012にて

     

長編受賞歴

Tres mentirasは、サモラ県の15トゥデラ映画祭 20141回監督賞フィリピンのワールド・フィルム・フェス2015グランプリ、他に主役のノラ・ナバスが女優賞を受賞他にサラゴサ映画祭20151回監督Augusto受賞、ほかノミネート多数。

La higuera de los bastardosは、ハリウッド映画祭2018銀賞・審査員賞・映画アーティスト・エクセレンス賞を受賞、アルバカーキ映画音楽祭監督賞、シアトル・ラティノ特別審査員賞、テキサス州オースティンのファンタスティック・フェスに正式出品、批評家から高く評価されたことが、翌年のアメリカ公開、オンライン上映に繋がった。

 

     (カラ・エレハルデとカルロス・アレセス主演の第2作のポスター)

 

新作トレビア:監督によると、プロデューサーのホアキン・トリンカドと本作のそもそものアイデアマンのカルロス・ラメラが「García y García」を携えて訪ねてきた。「これはオリジナルでリメイクじゃない」と言ったとき、「いいね!」と思った。それは「自分の原点である「Tu novia está loca」を思い出したから」。エンリケ・ウルビスのコメディですね。ほかの人が持ち込んできた企画ならクレージーすぎてホンキにならなかったろうと。「私が出会った製作者のなかでも、もっともリスクを怖れない賢明なホアキン・トリンカドと、マドリードのバラハス空港のターミナル4,またはアムステルダムの新スキポール空港の建築家カルロス・ラメラだったから監督することにした。数日後、ホセ・モタとペペ・ビジュエラにガルシアとガルシアを体現してもらうことを提案したのです」と監督。

 

       

          (撮影中の監督、ホセ・モタとペペ・ビジュエラ)

 

★カルロス・ラメラが映画という冒険に乗り出すきっかけについて語っている。「2016年、私はカタールにいました。私のルーチンは10日ごとにバラハスに飛ぶことでした。出口には見知らぬ人を迎えに来た、見知らぬ人の名前が書かれた小さなボードを持って待っている一群が必ずいる。あるとき、<ハビエル・ガルシア>と書かれた看板をもっている別々の二人に気づいた。そこでピーンときた、これは映画になると。映画のことはチンプンカンプンだからアントニオ・レシネスに電話をした。するとビルバオのプロデューサーに連絡とれという、そのプロデューサーがトリンカドだったというわけです。私たちも二人のガルシアのように奇妙なカップルというわけですが、真実は、勇気、熱意、忍耐力が私たちを結びつけたのです」。ガルシアという苗字は日本で言うと<山田>さん、一番多いお名前です。ハビエルも多いから結構ありますよね。

 

★本作で映画デビューする女の子、ブランカ役のAlexityアレクシティはスペインで大人気のTouTuberインフルエンサーです。可愛くて生意気で小憎らしい、なによりもそのノンストップのお喋りにはびっくりする。本作で一番の人気者になるでしょう。YouTubeで愉しめます。

 

     

                  (アレクシティ)