ゴヤ賞2015ノミネーション*落ち穂拾い ①2015年02月02日 14:47

                    Marsella2個:主演女優賞助演女優賞

   

★「主演女優賞はバルバラ・レニーで決まり、助演女優賞はカルメン・マチに」と勝手に決めていますが、ベレン・マシアスの“Marsella”出演のマリア・レオンとゴヤ・トレドも公平を期してご紹介。前にも触れておりますが、特にカルメン・マチのライバルになると思われるのがゴヤ・トレド、『アモーレス・ペロス』や『ヌード狂時代/S指定』で既に登場しています。マリア・レオンは実母カルミナを主役にした実兄パコ・レオンの「カルミナ・シリーズ」で度々ご紹介。

 


   Marsella

主演女優賞:マリア・レオンMaría León

助演女優賞:ゴヤ・トレド  Goya Toledo

監督・脚本:ベレン・マシアス Belén Macias

 

データ:スペイン、スペイン語、2014、ロード・ムービー、95分、撮影地:マルセイユ他、スペイン公開718日、ゴヤ賞以外のノミネーション:マリア・レオン「シネマ・ライターズ・サークル賞」最優秀女優賞

 

キャスト:マリア・レオン(サラ)、ゴヤ・トレド(ビルジニア)、エドゥアルド・フェルナンデス(ヘスス)、ラシェル・ラスカル(ヴィオレト)、ノア・フォンタナルト Fontanalt(クレール)、オスカル・サフラ(アルベルト)、アレックス・モネルMonner(ナチョ)、他

カタルーニャ語とフランス語の日本語表記によったが正確かどうか。

 

★こんなオハナシです。生みの親サラと育ての親ビルジニアの物語。娘クレールが4歳のとき、サラはアルコールと薬物依存症のため裁判所から一時的に養育権を奪われてしまう。ビルジニアとアルベルトの夫婦に育てられたクレールは、二人を本当の親だと思っていた。5年後事態が急変する。裁判官が定職につき安定していたサラに娘を戻そうと決めたからだ。その夏、母子はクレールの本当の父親を探すためマルセイユに旅立つことにする。二人の旅は、失われた時間を回復させる旅、心を通わせる冒険の旅になるだろう。

 

★こういうロード・ムービーは、前に見たことあるよね、というヴィジャブ感があって一歩間違うと陳腐になります。成功のカギは二人の個性派女優の演技に負うところが大きいが、二人ともノミネーションを受けたということは合格点なのでしょう。クレール役の少女は本作がデビュー作だそうです。手堅いエドゥアルド・フェルナンデス、人気上昇中の青年アレックス・モネル、バルセロナを拠点に活躍するフランス女優ラシェル・ラスカルなどが脇を固めている。

 

マリア・レオンは、1984年セビーリャ生れ、女優。TVシリーズ“SMS, sin miedo a soñar”(200607)でデビュー、フェルナンド・ゴンサレス・モリナの“Fuga de cerebros”(2009)のチョイ役で映画デビュー。大きく飛躍したのがベニト・サンブラノの“La voz dormida”(2011)、本作でゴヤ賞2012新人女優賞を受賞した。スペイン内戦後、反フランコ活動をして収監されていた姉(インマ・クエスタ)が刑務所内で出産した姪を育てる妹に扮した。泣かせどころをわきまえた監督にのせられて不覚にも号泣してしまった作品。他にシネマ・ライターズ・サークル賞新人女優賞、サンセバスチャン映画祭2011最優秀女優賞、スペイン俳優組合賞などを受賞、フォルケ賞にもノミネーションされた。

母カルミナと兄パコの三人で5万ユーロで撮ったCarmina o revienta2012)でゴヤ賞2013助演女優賞ノミネーション、カルミナ第2Carmina y aménでフェロス賞2015助演にもノミネートされた。Marsellaでは、ゴヤ賞とシネマ・ライターズ・サークル賞主演にノミネートされている。そろそろ日本にも登場して欲しい女優です。 

  

              

                    (クレールとマルセイユに向かうサラ、映画から)

 

ゴヤ・トレドは、1969年カナリー諸島のランサロテ島生れ、女優、モデル。1993TVシリーズでデビュー、前述したようにゴンサレス・イニャリトゥの『アモーレス・ペロス』(2000)の第2話バレリア役があまりに有名だが、東京国際映画祭1998コンペ正式作品の『マラリア』で紹介されたのが最初、主役のマラリアを演じた。この映画の舞台が火の島ランサロテ島なので起用されたと思います。監督のアントニオ・ホセ・ベタンコルは1942年カナリア諸島サンタ・クルス・デ・テネリフェ生れ。テレビ界で活躍していて映画進出は遅いほう。長編第2作「Valentina(1982)、第3作「Cronica del Alba 1919」(1983)が代表作。本作が4作目と寡作だが、2006年に物故している。ドゥニャ・アヤソ&フェリクス・サブロソの『ヌード狂時代/S指定』(2008)は、ラテンビート2008で上映された。他にエンリケ・ウルビスの『貸し金庫507』、エミリオ・マルティネス≂ラサロの“Las 13 rosas”など。

受賞・ノミネーションは、ゴヤ賞1999『マラリア』で新人女優賞、同2012パコ・アランゴのMaktubで助演女優賞、ともにノミネーション。“Maktub”では「シネマ・ライターズ・サークル賞」助演女優賞受賞、スペイン俳優組合賞ノミネーション。フランスの高級ファッション誌のモデルから転身した。

   

                        

              (クレールとビルジニア、映画から)

 

★ノミネーションは受けていないがベレン・マシアス監督は、970年カタルーニャ州のタラゴナ生れ、監督、脚本家。2000年短編“El puzzle”がゴヤ賞2001短編部門にノミネート、2001年同“Mala espina”がアルカラ・デ・エナレス短編映画祭のアルカラ市賞受賞、マラケシュ映画祭ゴールデン・スター賞にノミネート。長編デビュー作“El patio de mi cárcer”がサンセバスチャン映画祭2008に正式出品、翌年ゴヤ賞新人監督賞にノミネートされた。

 

            

       (左から、ゴヤ・トレド、ベレン・マシアス、マリア・レオン)

 

*関連記事:管理人覚え

ゴヤ賞2013 Carmina o revienta2013818

マラガ映画祭2014Carmina y amén2014413

  

コメント

_ 可知 亮 ― 2015年11月06日 16:38

今年日本で公開された「La voz dormida」=「スリーピングボイス~沈黙の叫び~」を見て、マリア・レオンのファンになりました。絶対に世界的な女優になると確信したのですが、スペインでの評価は高そうですね。彼女の出ているほかの作品を日本で見ることはできなのでしょうか。

_ アリ・ババ ― 2016年01月20日 08:46

>可知 亮 さん

コメントありがとうございました。長いあいだコメントに気づかず、とんだ失礼をいたしました。

残念ながら、マリア・レオンの字幕入り映画はご覧になった1作しかありません。公開作品が増えたとはいえ、まだまだスペイン映画はマイナーです。

これからもコメント頂けたらと思います。

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