第17回ガウディ賞2025結果発表*作品賞は「El 47」と「Polvo seran」 ― 2025年01月21日 19:14
予想通りマルセル・バレナの「El 47」が7冠を制す

★1月19日、バルセロナ国際会議センターで第17回ガウディ賞2025の結果発表がありました。予想通りというか下馬評通りというか、カタルーニャ語部門はマルセル・バレナの「El 47」でした。カタルーニャ語以外では、カルロス・マルケス=マルセのミュージカル・ドラマ「Polvo serán / They Will Be Dust」、新作はスペイン語で撮りましたが、彼はバルセロナ生れのカタルーニャ語の監督です。両カテゴリーともバルセロナ派が受賞したことになった。ガウディ賞の選考母体はカタルーニャ映画アカデミーですから、当然の結果とも言えます。
★「El 47」は、作品賞のほか主演男優・助演女優・プロダクション・衣装デザイン・視覚効果・メイクアップ&ヘアーの7冠、観客特別賞を含めると8冠でした。主演男優賞のエドゥアルド・フェルナンデスは、フォルケ賞をアイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョの「Marco」で受賞しています。同じ年に主演と助演にノミネートされることはありますが、2作品で主演受賞は記憶にありません。助演女優賞のクララ・セグラは、昨年エレナ・マルティンの「Creatura」で受賞したばかりでした。今回は出席できず彼女の娘を演じたゾエ・ボナフォンテが代理でトロフィーを受け取りました。

(両手にトロフィーを手にしたマルセル・バレナ監督)
★「Polvo serán / They Will Be Dust」は、脚本はカルロス・マルケス=マルセ監督とクララ・ロケ(『リベルタード』)、コラル・クルス(『エクリプス』)の共同執筆、アンヘラ・モリーナ、スペインに移住したアルゼンチンのアルフレッド・カストロを主演に、人生の終末を描いた重いテーマをミュージカル・ドラマにした作品。トロント映画祭2024プラットフォーム賞、第69回バジャドリード映画祭銀の穂賞、ローマ映画祭ではアンヘラ・モリーナが女優賞を受賞している。作品賞以下、美術・編集・オリジナル音楽賞の4冠でした。

(カルロス・マルケス=マルセ監督)
★「Segundo premio」は、イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲスが監督賞、バダホス出身の日系人タクロウ・タケウチTakuro Takeuchiが撮影賞、他に録音賞の3冠を受賞した。
★「Casa en flames」(監督ダニ・デ・ラ・オルデン)は、エンマ・ビララサウの主演女優賞、エンリク・アウケルの助演男優賞、エドゥアルド・ソラのオリジナル脚本賞の3冠でした。今回は未だガラのビデオを観てないのですが、アンダルシアからの移住者である「チャルネゴ charnego」のエドゥアルド・ソラの受賞スピーチが会場を沸かせたようです。チャルネゴというのはスペイン国内の非カタルーニャ語圏から移住した人を指す単語、彼の家族は全員カタルーニャ語が話せず、移住者に手を差し伸べてくれた公共教育のお蔭で今日があると感謝のスピーチをして、会場から拍手喝采を受けたようです。脚本家の受賞スピーチが話題になるのは珍しい。
*第17回ガウディ賞2025結果発表*
◎作品賞(カタルーニャ語部門)
「El 47」(監督マルセル・バレナ、製作者ラウラ・フェルナンデス・エスペソ、
ハビエル・メンデス)

(マルセル・バレナ監督)

◎作品賞(非カタルーニャ語部門)
「Polvo serán / They Will Be Dust」(監督カルロス・マルケス=マルセ、
製作者トノ・フォルゲラ、アリアドナ・ドット、ジョバンニ・ポンピリ、ダビ・エピネイ、他)

(カルロス・マルケス=マルセ監督)

(アンヘラ・モリーナはエンマ・ビララサウに敗れました)
◎監督賞
イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス(「Segundo premio」)

(登壇したのはポル・ロドリゲス)
◎新人監督賞
セリア・ヒラルド(「Un lugar Común」)

◎主演女優賞
エンマ・ビララサウ(「Casa en flames」)

◎主演男優賞
エドゥアルド・フェルナンデス(「El 47」)

◎助演女優賞
クララ・セグラ(「El 47」)

(受賞者欠席のため代理でトロフィーを受け取ったゾエ・ボナフォンテ)
◎助演男優賞
エンリク・アウケル(「Casa en flames」)

◎新人俳優賞
ラウラ・ヴァイスマールWeissmahr(「Salve Maria」監督マル・コル)

◎オリジナル脚本賞
エドゥアルド・ソラ(「Casa en flames」)

(カタルーニャの手厚い公共教育に感謝の辞を述べた受賞者)
◎脚色賞
マル・コル&バレンティナ・ビソ(「Salve Maria」)

(受賞スピーチをするバレンティナ・ビソ)

(右が監督・脚本家のマル・コル)
◎編集賞
キアラ・ダイネゼ(「Polvo serán」)

◎オリジナル音楽賞
マリア・アルナル(「Polvo serán」)

◎撮影賞
タクロウ・タケウチ(「Segundo premio」)

◎プロダクション賞
カルロス・アポリナリオ「El 47」

◎美術賞
ライア・アテカ(「Polvo serán」)

◎衣装デザイン賞
オルガ・ロダル&イランツェ・オルティス(「El 47」)

(左オルガ・ロダル、イランツェ・オルテス)
◎メイクアップ&ヘアー賞
カロル・トルナリア(「El 47」)

◎録音賞
ディアナ・サグリスタ、アレハンドロ・カスティーリョ、アントニン・ダルマッソ、
エバ・バリニョ(「Segundo premio」)

(3人で登壇したが入手できたディアナ・サグリスタのフォト)

(エバ・バリニョ、アレハンドロ・カスティーリョ、ディアナ・サグリスタ)
◎視覚効果賞
ラウラ・カナルス&イバン・ロペス・エルナンデス(「El 47」)
◎ドキュメンタリー賞
「Diari de la meva sextorsió」(監督・脚本パトリシア・フランケサ、製作パトリシア・フランケサ、ミレイア・グラエル・ビバンコス)

◎アニメーション賞
「Mariposas negras」(監督ダビ・バウテ、製作エドモン・ロッチ、他多数)

◎短編映画賞
「El príncep」(監督・脚本アレックス・サルダ、
製作カルロタ・コロモ、アドリア・ラウエルタ、マルタ・クルアニャス、ハビ・バラ)

(左側がアレックス・サルダ)
◎ヨーロッパ映画賞
『落下の解剖学』フランス、2023年(監督ジュステーヌ・トリエ、脚本アルチュール・アラリ&トリエ監督、製作マリー・アンジュ・ルシアーニ&ダビド・ティオン)

(受賞者欠席のため映画 WebサイトFilminの創設者ジャウマ・リポルが代理で受け取った)
◎観客特別賞
「El 47」(マルセル・バレナ)

(モデルになったマノロ・ビダルの孫娘ジョアナ・ビダルも登壇した)
★以上です。ざっと見渡すと受賞作にはゴヤ賞にもノミネートされているカテゴリーが多そうですが、果たしてどのくらい重なるでしょうか。
★今回主要メンバーで参加しましたが無冠に終った、ピラール・パロメロの「Los destellos」のチームは、ゴヤ賞でも5カテゴリーにノミネートされています。脚色賞のパロメロ、主演女優賞のパトリシア・ロペス・アルナイス、助演男優賞のアントニオ・デ・ラ・トーレ、新人女優賞のマリナ・ゲロラなどです。

(ロペス・アルナイス、監督、デ・ラ・トーレ、製作者のバレリー・デルピエール)
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