ゴヤ映画コレクションのDVD発売*ゴヤ賞2022 ― 2022年03月03日 13:55
どこでゴヤ賞ノミネート作品を観ることができますか?
(イシアル・ボリャインの「Maixabel」のジャケット)
★第36回ゴヤ賞2022関連の映画は、おおかた映画館での上映は終了している。ではどこで観ることができるかといえばDVD、ということで受賞作品、ノミネート作品を含めて、エル・パイスによるコレクションCine Goya 2022の19作品が2月20日から9.95€(約1300円)で順次発売されることになった。DVDの価格は普通17.95~15.95€だから割安感ある。とにかく我が家で観ることができるようになります。単品のほか5作(または4作)1パックのまとめ買いをすると10%引きになる。しかしパックの中身が決まっているので10%引きでは人気がないかもしれない。
★作品賞受賞作品のフェルナンド・レオン・デ・アラノア「El buen patrón」は既に発売されていて含まれていないが、なかにはマルセル・バレナの「Mediterraneo」のように既発があっても含まれているものもある。仕様や解説の中身で違いが出るから懐と相談して選ぶことができる。第1弾はブランカ・ポルティーリョの主演女優賞を含めて3冠のイシアル・ボリャインの「Maixabel」が2月20日発売、続いてペドロ・アルモドバル「Madres paralelas」が2月27日に発売になりました。
★以下リストをアップしておきます。ヨーロッパ映画賞にノミネートされた3作が含まれています。(作品名、監督名、受賞あるいはノミネートのカテゴリー、主なキャスト、トレビアなど)
1「Maixabel」イシアル・ボリャイン、主演女優賞ブランカ・ポルティーリョ、助演男優賞ウルコ・オラサバル、新人女優賞マリア・セレスエラ、各受賞。発売日2月20日
*作品紹介は、コチラ⇒2021年08月05日
2「Madres paralelas」ペドロ・アルモドバル、作品賞以下ノミネーション8個でしたが無冠、ベネチア映画祭2021オープニング作品、発売日2月27日
*作品紹介は、コチラ⇒2021年09月04日
3「Chavalas」カロル・ロドリゲス・コラス、新人監督賞・新人女優賞にアンヘラ・セルバンテスがノミネートされたが叶わなかった。4人の女友達の物語、コメディドラマで若い観客に人気があった。
4「Libertad」(『リベルタード』)クララ・ロケ、新人監督賞と助演女優賞にノラ・ナバスが受賞、本作はラテンビート2021でオンライン配信された。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年10月12日/同年11月20日
5「Mediterraneo」マルセル・バレナ、作品賞ノミネート、撮影賞受賞キコ・デ・ラ・リカ受賞、オリジナル歌曲賞ノミネート。癌を克服したダニ・ロビラとエドゥアルド・フェルナンデスが主演した政治ドラマでもある。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年12月13日
6「La hija」(『ザ・ドーター』)マヌエル・マルティン・クエンカ、監督賞と主演男優賞にハビエル・グティエレスがノミネートされた。東京国際映画祭2021コンペティション部門上映。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年10月16日/同年11月07日
7「Un blues para Teherán」ハビエル・トレンティノ、製作アレハンドラ・モラ・ぺレス、 ルイス・ミニャロ、ドキュメンタリー賞にノミネートされた。
*作品紹介は、コチラ⇒2021年09月14日
8「Tres」フアンホ・ヒメネス・ペーニャ、録音賞受賞、オリジナル脚本賞に監督とペレ・アルタミラがノミネートされた。
9「Way Down」ジャウマ・バラゲロ、特殊効果賞にパウ・コスタ、ラウラ・ペドロが受賞した。
11「Pan de limon con semillas de amapola」ベニト・サンブラノ&クリスティナ・カンポス、脚色賞ノミネート
12「Una mujer prometedora」(『プロミシング・ヤング・ウーマン』)エメラルド・フェネル、イギリス、2020、キャリー・マリガン主演、米アカデミー賞2021オリジナル脚本賞、2021年公開、プライムビデオ配信。
13「Adiós idiota」アルベール・デュポンテル、フランス、2020、フレンチコメディ、監督自身が主役を演じている。セザール賞2021で作品賞以下、監督賞など総なめにした。
14「El amor en su lugar」ロドリゴ・コルテス、衣装デザイン賞にアルベルト・バルカルセル、プロダクション賞にオスカル・ビヒオラがノミネートされた。
17「Otra ronda」(『アナザーラウンド』)トマス・ヴィンターベア、ヨーロッパ映画賞受賞。デンマーク、2020、ブラックコメディ、マッツ・ミケルセン主演。米アカデミー賞2021国際長編映画賞受賞。
18「La vida era eso」(『マリアの旅』)ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス、新人監督賞、主演女優賞ペトラ・マルティネス、ノミネート。ラテンビート2020上映
*作品紹介は、コチラ⇒2020年10月27日/同年11月29日
19「Salvar el árbol」カルメロ・ビバンコ、エゴイツ・ロドリゲスほか、長編アニメーション賞ノミネート
★パック1はナンバー2,3,4,5、6の5作品、パック2は7、8、9、10の4作品、パック3は11、12、13、14、15の5作品、パック4は16、17、18、19の4作品。
ゴヤ賞ガラに参集したセレブたち*ゴヤ賞2022 ― 2022年02月21日 11:07
6冠のレオン・デ・アラノア・チーム、手ぶらだったアルモドバル・チーム
(スピーチをするスペイン映画アカデミー会長マリアーノ・バロッソ)
★去る2月12日、ルイス・ガルシア・ベルランガ生誕100周年記念行事の締めくくりとして、第36回ゴヤ賞ガラは彼の生地バレンシアで開催された。新型コロナ感染が一向に収束する気配のないなかで、観客を入れての厳しい開催だった。受賞者の面々は前回アップいたしましたので、今回は思い思いにドレスアップしてゴヤの夕べに参集したシネアストたちのフォトを集めてみました。最多受賞はフェルナンド・レオン・デ・アラノアの「El buen patrón」の6冠(作品・監督・オリジナル脚本・主演男優・編集・オリジナル作曲)、28カテゴリーのうち、1作品がマックスで貰えるのは20個ですから約3分の1を制覇したことになります。二番手はダニエル・モンソンの「Las leyes de la frontera」がテクニカル部門を含む4冠(脚色・新人男優・美術・衣装デザイン賞)と奮闘した。
★続くはイシアル・ボリャインの「Maixabel」の3冠(主演女優・助演男優・新人女優)、同じくマルセル・バレナの「Mediterráneo」の3冠(撮影・プロダクション・オリジナル歌曲賞)でした。そして無冠に終わったのがなんとペドロ・アルモドバルの「Madres paralelas」なのでした。明暗を分けた原因は何だったのでしょうか。監督は主役のペネロペ・クルスと今回新設された国際ゴヤ(Goya Internacional)に選ばれたオーストラリアの女優ケイト・ブランシェットのプレゼンターとして登壇しただけで、手ぶらで帰ることになったのでした。アルモドバルがプレゼンターになったのは、次回作にルシア・ベルリンの短編「Manual para mijeres de la limpieza」をベースに映画化する新作の主役にブランシェットを起用するからでした。英語映画になります。
「映画館でお会い致しましょう!」
★以下は赤絨毯に登場したシネアストのフォト集です。受賞者、候補者、プレゼンター、カップルも結構目につきましたが、ベストドレッサーに選ばれた女優さんを選んでみました。マスク着用が原則ですが、フォトコールはマスク無し、メディアのインタビューは有る無しに分かれました。では今度は「映画館でお会い致しましょう!」
(「幸せで呆然としています。今夜はゴヤの人形を頂きに参りました」とコメント)
(タキシードで正装したホセ・サクリスタンとアンパロ・パスクアル)
(イシアル・ボリャインと映画のモデルとなったマイシャベル・ラサ)
(アルモドバル・チームのアイタナ・サンチェス・ヒホン、ペネロペ・クルス、
監督、ミレナ・スミット)
(ベストドレッサー2位のケイト・ブランシェット、ジョルジオ・アルマーニ)
(主演男優、主演女優のハビエル・バルデムとブランカ・ポルティーリョ)
(フェロス賞主演女優賞を受賞したばかりのペトラ・マルティネス)
(主演女優賞ノミネートのエンマ・スアレス)
(主演男優ノミネートのルイス・トサールとマリア・ルイサ・マジョール、
ルイサのドレスはコルドバ出身のアンドリュー・ポクリッド)
(エドゥアルド・フェルナンデスと新しいパートナー?のアイノア・アルダノンド)
(ペドロ・アルモドバルとペネロペ・クルス)
(夫婦円満をアピールするバルデム、クルスのカップル)
(シャネル2021春夏コレクションのオートクチュール)
(アイタナ・サンチェス・ヒホン、ロベルト・ディスのデザイン、宝石はカルティエ)
(ミレナ・スミット、フランスの若手オリヴィエ・ルスタンのデザイン)
(短編映画賞受賞のベロニカ・エチェギとアレックス・ガルシア、ディオールの
2022春夏コレクション、Maria Grazia Chiuri)
(いつも奇抜な衣装でファンを楽しませるマカレナ・ゴメスとアルド・コマス、
バルセロナのデザイナー、テレサ・エルビグHelbig)
(歌手ルス・カサル、テレサ・エルビグ、次回のコンサートに着用する)
(ベストドレッサー1位のフアナ・アコスタ、オスカル・デ・ラ・レンタのデザイン)
(同3位のニエベス・アルバレス、リズ・テイラーが所有していた宝飾品、
ステファン・ロランドの春の最新パリ・オートクチュール)
(昨年のゴヤ栄誉賞受賞者アンヘラ・モリーナ、ディオール)
(ナイワ・ニムリ、スパンコールのドレス、ジバンシーのデザイン)
(金色のスカートが印象的なバルバラ・レニー、グッチ、宝石はカルティエ)
(インマ・クエスタ、ペドロ・デル・イエロのデザイン)
(カルメン・マチ)
(パンツルックに透明な広がったスカートのベレン・ルエダ、
デザインはバレンスエラ・アテリエル)
(パープルの袖なしに金のサンダル、パウラ・パラシオス監督)
(話題を呼んだパウラ・エチェバリアのドレスは、コルドバ出身
の若いデザイナー、アンドリュー・ポクリッドのデザイン)
(新人女優賞候補者アルムデナ・アモール、ヴァレンティノ)
(挑戦的なデザインのエドゥアルド・カサノバ、デザインはハイメ・アルバレス)
(マルタ・ニエト、ローマ出身のデザイナー、ジャンバティスタ・ヴァリ)
(流行の透け透けルック、クリスティナ・カスターニョ、ロベルト・ディス)
(新人男優賞ノミネートのホルヘ・モトス、デザインはパロモ・スペイン)
「El buen patron」が6冠*ゴヤ賞2022受賞結果 ― 2022年02月13日 18:23
やはり「El buen patrón」が主要カテゴリーを独占しました
★2月12日、第36回ゴヤ賞2022のガラがバレンシアのPalau de les Artes で開催され受賞結果は以下の通りになりました。取りあえず結果のみをアップしておきます。初めて知ったのですが今回から国際ゴヤ賞が新設され、ケイト・ブランシェットが受賞しました。プレゼンターはペドロ・アルモドバルとペネロペ・クルス、監督は新作「Manual para mijeres de la limpieza」(仮題)に起用するようです。ルシア・ベルリンの同名小説の映画化。ゴチック体が受賞者、フォトは入手できたものをアップしておきます。
(ケイト・ブランシェット、アルモドバル、ペネロペ・クルス)
*第36回ゴヤ賞2022受賞結果*
◎作品賞(5作品)
「Maixabel」* 監督イシアル・ボリャイン
「Madres paralelas」* 監督ペドロ・アルモドバル
「Libertad」* 監督クララ・ロケ(邦題『リベルタード』)
「Mediterráneo」* 監督マルセル・バレナ
「El buen patorón」* 監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア
製作者ジャウマ・ロウレス、ハビエル・メンデス、レオン・デ・アラノア
(スピーチするジャウマ・ロウレス、ハビエル・メンデス、レオン・デ・アラノア)
◎監督賞
マヌエル・マルティン・クエンカ 「La hija」*(邦題『ザ・ドーター』)
ペドロ・アルモドバル 「Madres paralelas」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」
◎新人監督賞
カロル・ロドリゲス・コラス 「Chavalas」
ハビエル・マルコ 「Josefina」*
ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス 「La vida era eso」*(邦題『マリアの旅』)
クララ・ロケ「Libertad」(邦題『リベルタード』)
◎オリジナル脚本賞
クララ・ロケ 「Libertad」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
フアンホ・ヒメネス・ペーニャ&ペレ・アルタミラ 「Tres」監督は脚本に同じ
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」
◎脚色賞
フリア・デ・パス・ソルバス&ヌリア・ドゥンホ・ロペス 「Ama」*
アグスティ・ビリャロンガ 「El vientre del mar」*
ベニト・サンブラノ&クリスティナ・カンポス 「Pan de limon con semillas de amapola」
ダニエル・モンソン&ホルヘ・ゲリカエチェバリア 「Las leyes de la frontera」
(脚本家ホルヘ・ゲリカエチェバリアとダニエル・モンソン監督)
◎主演男優賞
ハビエル・グティエレス 「La hija」(邦題『ザ・ドーター』)
ルイス・トサール 「Maixabel」
エドゥアルド・フェルナンデス 「Mediterráneo」
ハビエル・バルデム 「El buen patorón」
◎主演女優賞
エンマ・スアレス 「Josefina」
ペトラ・マルティネス 「La vida era eso」(邦題『マリアの旅』)
ペネロペ・クルス 「Madres paralelas」
ブランカ・ポルティリョ 「Maixabel」
◎助演男優賞
セルソ・ブガージョ 「El buen patorón」
フェルナンド・アルビス 「El buen patorón」
マノロ・ソロ 「El buen patorón」
ウルコ・オラサバル 「Maixabel」
◎助演女優賞
ソニア・アルマルチャ 「El buen patorón」
アイタナ・サンチェス=ヒホン 「Madres paralelas」
ミレナ・スミス 「Madres paralelas」
ノラ・ナバス 「Libertad」(邦題『リベルタード』)
◎新人男優賞
オスカル・デ・ラ・フエンテ 「El buen patorón」
タリク・ルミリ 「El buen patorón」
ホルヘ・モトス 「Lucas」* 監督アレックス・モントーヤ
チェチュ・サルガド 「Las leyes de la frontera」
◎新人女優賞
アンヘラ・セルバンテス 「Chavalas」
アルムデナ・アモール 「El buen patorón」
ニコル・ガルシア 「Libertad」(邦題『リベルタード』)
マリア・セレスエラ 「Maixabel」
◎オリジナル作曲賞
Fatima Al Qadiri 「La abuela」* 監督パコ・プラサ
アルベルト・イグレシアス 「Maixabel」
アルナウ・バタジェール 「Mediterráneo」
Zeltia Montes 「El buen patorón」
◎オリジナル歌曲賞
“Burst Out” 作曲家アンヘル・レイロ、ジャン=ポール・Dupeyron、ハビエル・カペリャス
「Album de posguerra」 監督アイリー・マラガル&アンヘル・レイロ
“Que me busquen por dentro” アントニオ・オロスコ、ジョルディ・コレル・ピニリョス
「El cover」* 監督セクン・デ・ラ・ロサ
“Las leyes de la frontera” アレハンドロ・ガルシア・ロドリゲス、A・モリネロ・レオン他 「Las leyes de la frontera」
“Te espera el mar” マリア・ホセ・リェルゴ 「Mediterráneo」
◎長編アニメーション賞
「Gora automatikoa」 カルロス・ゲレーロ、ダビ・ガラン・ガリンド、ほか
「Mironins」 アレックス・セルバンテス、アンヘル・コロナド、ほか
「Salvar el árbol (Zutik!)」 カルメロ・ビバンコ、エゴイツ・ロドリゲス、ほか
「Valentina」 ブランダン・デ・ブラノ、チェロ・ロウレイロ、ほか
(赤のドレスがチェロ・ロウレイロ)
◎ドキュメンタリー賞
「El retorno: La vida después del ISIS」 アルバ・ソトラ、カルレス・トラス、ベスナ・クディク
「Héroes, silencio y rock and roll」 ホセ・パストル、ミゲル・アンヘル・ラマタ、ほか
「Un blues para Teherán」* アレハンドラ・モラ・ペレス、ルイス・ミニャロ
「Quién lo impide」 ハビエル・ラフエンテ、ラウラ・レナウ、ロレナ・トゥデラ
(左から4人目がホナス・トゥルエバ監督)
◎短編映画賞
「Farrucas」 イアン・デ・ラ・ロサ
「Mindanao」 ボルハ・ソレル
「Votamos」サンティアゴ・レケホ
「Yalla」 カルロ・ドゥルシ
「Totem Loba」 ベロニカ・エチェギ
(女優&監督ベロニカ・エチェギ)
◎短編ドキュメンタリー賞
「Dajla: Cine y olvido」 アルトゥーロ・ドゥエニャス
「Figurante」 ナチョ・フェルナンデス
「Ulises」 ジョアン・ボヴェル
「Mamá」 パブロ・デ・ラ・チカ
◎短編アニメーション賞
「Nacer」 ロベルト・バリェ
「Proceso de selección」 カルラ・ペレイラ
「Umbrellas」 アルバロ・ロブレス、ホセ・プラツ
「The Monkey」 ロレンソ・デグルイノセンティ、ホセ・サパタ
◎撮影賞
パウ・エステベ・ビルバ 「El buen patorón」
グリス・ジョルダナ 「Libertad」
ホセ・ルイス・アルカイネ「 Madres paralelas」
キコ・デ・ラ・リカ 「Mediterráneo」
◎録音賞
イバン・マリン、ペラヨ・グティエレス、バレリア・アルシエリ 「El buen patorón」
セルヒオ・ビュルマン、ライア・カサノバス、マルク・オルス 「Madres paralelas」
アラスネ・アメスロイ、フアン・フェロ、カンデラ・パレンシア 「Maixabel」
ダニエル・フォンロドナ、オリオル・タラゴ、マルク・ビー、マルク・オルス「Tres」
◎編集賞
アントニオ・フルロス 「Bajocero」 監督リュイス・キレス(『薄氷』Netflix)
ミゲル・ドブラド 「Josefina」
ナチョ・ルイス・カピリャス 「Maixabel」
バネッサ・マリンベル 「El buen patorón」
◎特殊効果賞
ラウル・ロマニリョス、ミリアム・ピケル 「El buen patorón」
ラウル・ロマニリョス、フェラン・ピケル 「La abuela」
アレックス・ビリャグラサ 「Mediterráneo」
パウ・コスタ、ラウラ・ペドロ 「Way Down」「The Vault」 監督ジャウマ・バラゲロ
(パウ・コスタ、ラウラ・ペドロ)
◎美術賞
セサル・マカロン 「El buen patorón」
アンチョン・ゴメス 「Madres paralelas」
ミケル・セラーノ「Maixabel」
バルテル・ガリャル 「Las leyes de la frontera」
◎衣装デザイン賞
アルベルト・バルカルセル 「El amor en su lugar」 監督ロドリゴ・コルテス
フェルナンド・ガルシア 「El buen patorón」
クララ・ビルバオ「Maixabel」
Vinyel Escobal 「Las leyes de la frontera」
◎メイクアップ&ヘアー賞
アルムデナ・フォンセカ、マノロ・ガルシア 「El buen patorón」
エリ・アダネス、セルヒオ・ぺレス・ベルベル、ナチョ・ディアス 「Libertad」
カルメレ・ソレル、セルヒオ・ぺレス・ベルベル 「Maixabel」
サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス
「Las leyes de la frontera」
(サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス)
◎プロダクション賞
オスカル・ビヒオラ 「El amor en su lugar」
ルイス・グティエレス 「El buen patorón」
グアダルーペ・バラゲル・トレリス 「Maixabel」
アルベルト・エスペル、コスラス・セアキアナキス 「Mediterráneo」
◎イベロアメリカ映画賞
「Canción sin nombre」*(邦題『名もなき歌』)(ペルー、19)監督メリナ・レオン
「Las siamesas」 監督パウラ・エルナンデス(アルゼンチン、20)
「Los lobos」 監督サムエル・キシ(メキシコ、19)
「La cordillera de los sueños」*(邦題『夢のアンデス』)ドキュメンタリー
(チリ、19) 監督パトリシア・グスマン
◎ヨーロッパ映画賞(原題、英題、西題、邦題の順)
「Adieu les cons」「Bye Bye Morons」「Adiós, idiotas」(フランス、20)
監督アルベール・デュポンテル
「Ich bin dein Mensch」「I’m Your Man」「El hombre perfecto」
『私はあなたの男です』 (ドイツ、21) 監督マリア・シュラーダー
「Promising Young Woman」「Una joven prometedora」(UK、20)
『プロミシング・ヤング・ウーマン』 監督エメラルド・フェネル
「Dunk」「Another Round」「Otra ronda」『アナザーラウンド』(デンマーク、20)
監督トマス・ヴィンターベア
◎ゴヤ栄誉賞◎
*ホセ・サクリスタン、プレゼンターはスペイン映画アカデミー副会長のノラ・ナバスでした。彼女はクララ・ロケの『リベルタード』出演で助演女優賞を受賞しました。
(今宵の受賞者、バルデムとレオン・デ・アラノアと一緒に)
ダニエル・モンソンの新作はキンキ映画*ゴヤ賞2022 ④ ― 2022年01月10日 17:01
『プリズン211』の監督新作はキンキ映画「Las leyes de la frontera」
★オミクロン感染拡大で予定通り開催できるかどうか予測不能ですが、ゴヤ賞2022の6部門にノミネートされたダニエル・モンソンの新作「Las leyes de la frontera」(仮題「境界の原則」)のご紹介。2021年のサンセバスチャン映画祭 SSIFFセクション・オフィシアル(アウト・オブ・コンペティション)で初登場、ゴヤ賞のほか、フェロス賞ではチェチュ・サルガドの助演男優賞とミゲル・アンヘル・サンアントニオの予告編の2部門にノミネートされています。昨年10月8日に公開され、コロナ禍にもかかわらず、興行成績は製作費の2倍と順調、11月22日にはNetflixでの配信が始まっています。日本語版は準備中ということですが、スペイン語版のほか英語版などで視聴できます。準備中のまま何らかの事情で配信されないケースもありますが、1970年代のカタルーニャ州ジローナのバリオの時代考証の緻密さ、若者のスラングが頻出して興味深い。主演者たちの殆どが未だ此の世に存在しなかった時代の物語です。
(ベゴーニャ・バルガス、モンソン監督、チェチュ・サルガド、マルコス・ルイス
サンセバスチャン映画祭2021、9月25日フォトコール)
★前回ご紹介したように、本作はオリジナル脚本ではなくハビエル・セルカセの同名小説の映画化、好評を博し、2014年にMandarache 賞を受賞している。脚本は監督が長年二人三脚で映画製作をしているホルヘ・ゲリカエチェバリアとの共同執筆、共に脚色賞にノミネートされています。彼のように過去30年間にスペインで何が起きたかを熟知している脚本家はそう多くない。すでにゴヤ賞ノミネートはオリジナル脚本賞と脚色賞取りまぜて8回、2010年『プリズン211』で監督と共に脚色賞を受賞しています。原作 ”Las leyes de la frontera” の翻訳はなく、翻訳書としては2001年上梓の ”Soldados de Salamina” が『サラミスの兵士たち』として刊行されているだけです。2年後ダビ・トゥルエバが映画化した。
(ハビエル・セルカセの小説の表紙、モンダドリ社、2012年刊)
「Las leyes de la frontera」(The Laws of the Border)
製作:Atresmedia Cine / Ikiru Films / Las Leyes De La Frontera / La Terraza Films
監督:ダニエル・モンソン
脚本:ダニエル・モンソン、ホルヘ・ゲリカエチェバリア、原作ハビエル・セルカセ
音楽:Derby Motoreta’s Burrito Kachimba
撮影:カルレス・グシ
編集:マパ・パストル
キャスティング:エバ・レイラ、ヨランダ・セラーノ
プロダクション・デザイン(美術):バルテル・ガリャル
セット:ヌリア・ムニ
衣装デザイン:ベニェ・エスコバル(Venyet Escobar)
メイクアップ&ヘアー:サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス(特殊メイク)
製作者:ハビエル・ウガルテ、メルセデス・ガメロ、(エグゼクティブ)マリア・コントレラス、(アトレスメディア)アンドレア・バリオヌエボ、ロサ・ぺレス、(モガンボ)クレベル・ベレッタ・クストディオ、フランシスコ・セルマ、ほか共同製作者多数
データ:製作国スペイン、言語スペイン語・カタルーニャ語・フランス語、2021年、スリラードラマ、シネキンキ、129分、撮影地カタルーニャ州ジローナ、マンレナ、コスタ・デル・ガラフ、期間2020年9月~11月の約9週間、公開スペイン2021年10月8日、配給ネットフリックス(11月22日配信)、ワーナーブラザーズ
映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアル(アウト・オブ・コンペティション上映)、第36回ゴヤ賞2022脚色・助演男優・美術・衣装デザイン・メイクアップ&ヘアー・オリジナル歌曲賞(アレハンドロ・ガルシア・ロドリゲス、アントニオ・モリネロ・レオン、ダニエル・エスコルテル・ブランディノ、ホセ・マヌエル・カブレラ・エスコ、ミゲル・ガルシア・カンテロ)の6部門ノミネート、フェロス賞2022助演男優・予告編賞の2部門ノミネート
キャスト:マルコス・ルイス(イグナシオ・カーニャ/ナチョ/ガフィタス)、チェチュ・サルガド(エル・サルコ)、ベゴーニャ・バルガス(テレ)、ハビエル・マルティン(ゴルド)、カルロス・オビエド(ギレ)、ホルヘ・アパレシオ(チノ)、ダニエル・イバニェス(ピエルナス)、シンティア・ガルシア(リナ)、ビクトル・マヌエル・パハレス(ドラクラ)、シャビ・サエス(イダルゴ)、カルロス・セラーノ(クエンカ)、ペップ・トサール(刑事ビベス)、サンティアゴ・モレロ(イグナシオ)、アイノア・サンタマリア(ロサ)、エリザベト・カサノバス(クリスティナ)、ペップ・クルス(セニョール・トマス)、エステファニア・デ・ロス・サントス(メルチェ)、カタリナ・ソペラナ(パキ)、カロリナ・モントーヤ(テレの姉)、ハビエル・ベルトラン(成人したナチョ)、ほか多数
(G体がゴヤ賞でノミネートされた人)
(サルコのキンキ・グループ)
ストーリー:1978年夏ジローナ、中産階級出身の内向的な17歳の高校生ナチョは、上流階級の若者グループからいじめを受けている。ゲームセンターで犯罪が支配する貧しいチノ地区出身のサルコとテレに出会い、ナチョはこの新たな出会いで逃げ道を見つける。しかし知らず知らずのうちに自分が善と悪、正義と不正の境界を越えて、犯罪者になっていることに気づく。40年の長いフランコ体制が瓦解、民主主義への移行期に、ジローナで万引き、窃盗、強盗に専念した3人の非行青年に焦点を当てて物語は進行する。ナチョの視点を通してフィルターにかけ、思春期の脆さ、繊細さ、内面の葛藤、ラブストーリーが語られる。70年代のキンキ映画の特徴を復元し、一種の社会的リアリズムで描かれている。(文責:管理人)
(テレ役のベゴーニャ・バルガスとナチョ役のマルコス・ルイス、フレームから)
いくつかある境界の解釈――フランコ体制と没後の民主主義移行期
★キンキ映画Cine Quinquiというのは、1975年のフランコ没後から80年代後半の民主主義移行期に、犯罪が支配した貧しい労働者階級のアウトローの若者群像を描いたスペイン映画のジャンル。キンキは非行少年に由来するごろつき、チンピラの意。政治家が威厳を保とうと腐心しているあいだに、不満のはけ口を求めていた若者は、反対方向に振れていった。暴力、セックス、官憲の残虐行為、薬物特に70年代から80年代にかけてエスカレートしたヘロインが使用され、キンキ映画は吹き荒れる嵐の中で迷走するスペイン社会を掬い取っている。自由と快楽を手に入れた若者たちが辿りつく紆余曲折は予測通りになる。
★プロの俳優を見つけることが困難だったため、キンキ映画の監督たちは街中でスカウトしたアマチュアを起用、彼らは映画出演後には残念ながらドラッグの摂取過剰、あるいはエイズなどで若くしてこの世を去りました。彼らは犯罪者になりたかったわけではなく、社会の周辺にはじき出されて他の選択肢がなかったのである。殆どが低予算で製作され、アカデミー的には批評家の無理解もあってB級映画とされた。
★キンキ映画のジャンル分けが批評家によって異なるのは解釈の広狭によりますが、ホセ・アントニオ・デ・ラ・ロマがエル・トレテを起用して撮った「Perros Callejeros」(77、ストリートファイター)、キンキシネマの父とも称されるエロイ・デ・ラ・イグレシアがホセ・ルイス・マンサノを起用して1980年に製作した「Navajeros」や「Colegas」82「El Pico」83、またカルロス・サウラがベルリン映画祭1981で金熊賞を受賞した「急げ、急げ」(Deprisa, deprisa)などが代表作です。サウラは後に主演者たちが本物のキンキであったことを指摘され窮地に陥ったが、インタビューでは断固否定した。しかし実際は撮影中もドラッグが手放せなかったことが分かっています。ホセ・ルイス・マンサノもサウラの主演者もヘロイン過剰摂取やエイズで早世しています。
★エロイ・デ・ラ・イグレシアは、1983年から自身もヘロイン中毒となり解毒治療のため戦線離脱、復帰までに16年間かかった。キンキ映画の評価については再考が必要であると思っていたので、個人的にはモンソン監督の新作を歓迎したい。現代スペイン史を語るには、この民主主義移行期のスペイン社会の分析が重要と考えるからです。キンキには当時のスペイン社会の混沌が生の姿で描かれている。タイトルになった境界には、子供時代と成人期の境界、フランコ体制の残滓と没後の混乱、越えられない社会的階級の境界、善と悪、正義と不正の境界などいくつか考えられる。民主主義の社会と言えども出来ること・出来ないことがあり、その境界には原則あるいは基準が存在するはずです。
◎キャスト紹介:
*語り部イグナシオ・カーニャ役のマルコス・ルイスは子役出身、ダビ&トリスタン・ウジョア兄妹の「Pudor」(07)でデビュー、他に2013の「Zipi y Zape y el club de la canica」、2016の『スモーク・アンド・ミラーズ』に出演しているが、成人してからの出演は本作が初めてである。劇中ではイグナシオの愛称ナチョ、またキンキ・グループ間で使用された綽名ガフィタス(gafitasはメガネgafasの愛称)で呼ばれ、二つには微妙な使い分けがあるようです。
(ナチョ、フレームから)
(撮影中の3人、ベゴーニャ・バルガス、チェチュ・サルガド、マルコス・ルイス)
*グループの首領エル・サルコ役のチェチュ・サルガドは、1991年ガリシアのビゴ生れ、ビゴの演劇学校で学び、舞台俳優としてシェイクスピア劇にも出演、ガリシアTV、TVEのシリーズで活躍中。ガリシアのオーレンセ出身の監督イグナシオ・ピラールの「María Solinha」で映画デビュー、本作の言語はガリシア語である。成人して弁護士になったナチョは別の俳優ハビエル・ベルトランが演じたが、サルガドが特殊メイクをして一人でサルコを演じた。作家によると、サルコのキャラクターは当初、1980年代のスペインで有名だった犯罪者フアン・ホセ・モレノ・クエンカ、別名エル・バキーリャにインスパイアされたと語っているが、本作はモデル小説でもビオピックでもなくフィクションです。ゴヤ賞とフェロス賞ノミネートは共に初めてです。
(サルコ、ガフィタス、テレ、フレームから)
*テレ役のベゴーニャ・バルガスは、1999年マドリード生れ、女優、モデル、バレエダンサー。アルベルト・ピントの「Malazaña 32」(20)に主演、本作はホラー・ミステリーが幸いして『スケアリー・アパートメント』としてDVDが発売されている。他に Netflix で人気のTVコメディ『パキータ・サラス』やミステリー・シリーズ「Alta mar」(19~20)に出演、本作は邦題『アルタ・マール:公海の殺人』として配信され視聴できます。新作は犯罪映画ですが、サルコとガフィタスと愛の三角関係にあり、ラブストーリーでもある。今年公開が予告されているダニエル・カルパルソロのアクション「Centauro」にアレックス・モネールやカルロス・バルデムと共演している。新作は Netflix オリジナル作品、字幕入りで鑑賞可能か。
◎スタッフ紹介:ダニエル・モンソン監督、脚本家のホルヘ・ゲリカエチェバリアについては、2014年『エル・ニーニョ』で簡単ですが紹介しております。ただし『エル・ニーニョ』以降には触れておりません。
コチラ⇒2014年09月20日/同11月03日/2015年01月15日
★キンキ映画について、カルロス・サウラの「急げ、急げ」を、現在休眠中のカビナさんブログにコメントした記事をコンパクトに修正して次回アップします。
2022年スペイン語映画*新年のご挨拶 ― 2022年01月04日 17:11
「松七日」のうちに新年のご挨拶
★スペイン保健省は、コロナウイリス感染の第6波が加速して、新たな感染者372.000人は住民10万人当たり2295人に相当すると発表した。患者数の増加に伴って入院患者も当然のごとく大幅に増加しており、ICU占有率も上がっている。これは215.000人が検出されたクリスマスイブとクリスマス時よりはるかに高い発生率になる。さらに薬局の検査で分かる陽性者の報告にズレがあり、実態はもっと多いのではないかと危惧しているようです。オミクロン株の死亡率はデータが揃っていないようです。家族が集まって会食するクリスマス休暇と新年が続いていたので、ある程度予想されたことですが、もうそろそろベルトを締める時期がきたと警告している。教育現場では児童のマスク着用が義務づけられている。日本とは桁違いの数字ですが、こちらも連日感染者が増加しているから用心するに越したことはない。
(ワクチン接種をした子供にご褒美の飴を差し出す看護師、作年12月30日、マドリード)
★第36回ゴヤ賞ガラがどうなるか予測できませんが、開催まで未紹介の作品を少しずつアップしたい。ダニエル・モンソンの「Las leyes de la frontera」は、ハビエル・セルカセの同名小説の映画化、ジャンルは1970年代のキンキ映画。モンソンは『プリズン211』や『エル・ニーニョ』でファンを獲得している。ノミネーションは、脚色賞(監督と共同執筆したホルヘ・ゲリカエチェバリア)、新人男優賞(チェチュ・サルガド)、オリジナル歌曲賞(ダニエル・エスコルテル・ブランディノほか)、美術賞(バルテル・ガリャル)、衣装デザイン賞(Vinyel Escobal)、メイクアップ&ヘアー賞(サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレスほか)と6部門にノミネートされている。
(マルコス・ルイス、ベゴニャ・ロドリゲス、チェチュ・サルガドを配したポスター)
第36回ゴヤ賞2022前夜祭開催*ゴヤ賞2022 ③ ― 2021年12月28日 13:57
ゴヤ賞にノミネートされた候補者が集う前夜祭
★12月17日、ゴヤ賞にノミネートされた候補者が集う前夜祭が、マドリードのフロリダ・デル・レティロのサロンで開催されました。新型コロナ以前は3週間前くらいにミニカクテル・パーティのかたちで開催されていましたから大分前倒しになりました。以前は出席者も多く、特に新人たちは自分を売り込むチャンスでもありましたのでプレ・ガラの様相でした。今回はウイリス感染を懸念してか、海外にいる候補者たちは出席したくても隔離期間がクリアーできないということもあり少なめでした。映画アカデミー会長マリアノ・バロッソはベロニカ・フォルケへの想い出からスピーチを始め、「彼女は登場人物やファンに光と喜びをプレゼントして楽しませてくれた稀有な女優でした。彼女のために痛みを共有したいと思います」と挨拶した。
(夕べの集いの挨拶をするマリアノ・バロッソ映画アカデミー会長)
★昨年はパンデミアで開催されませんでした。アルモドバルの「Madres paralelas」出演のアイタナ・サンチェス=ヒホンとミレナ・スミス、「Maixabel」の監督イシアル・ボリャイン以下ルイス・トサールのキャストやスタッフ陣、既に2個のゴヤ胸像を持っているハビエル・グティエレス、などの常連さんが姿を見せておりました。昨年はスペイン映画アカデミーが主催する一大イベントでも無観客で行われましたが、今回はマスク着用、ソーシャルディスタンスなど衛生面の安全を確保して会場に観客を入れるようです。第36回ゴヤ賞のガラは2022年2月12日、ガルシア・ベルランガ生誕100周年を記念して、出身地バレンシアのPalau de les Arts Reina Sofia レイナ・ソフィア芸術宮殿です。総合司会者はおかない方針のようです。
*夕べの集いに参集した人々のフォトコール*
◎アイタナ・サンチェス=ヒホンとミレナ・スミス(助演女優賞ノミネート)、アルモドバルの「Madres paralelas」出演。本作のノミネートは、作品・監督賞以下8個。サンチェス=ヒホンは映画アカデミーのノミネーションに感謝し、「ペドロが私のためにこの魅力的な役柄を贈り物をしてくれたことを名誉なことだと思っている」と監督にも感謝の言葉を送った。長い女優歴にもかかわらず、アルモドバル映画は初参加、ゴヤ賞ノミネートも初めてにびっくりする。舞台に専念していた時期があるせいかもしれない。ミレナ・スミスは、昨年のダビ・ビクトリの「No matarás」(新人女優賞)に続いてのノミネート、アルモドバルに「永遠の感謝」を捧げた。
(アイタナ・サンチェス=ヒホン)
(ミレナ・スミス)
◎イシアル・ボリャイン、「Maixabel」の監督賞ノミネート、本作のノミネートは作品賞以下14個。彼女の監督賞ノミネートは4回目、受賞は『テイク・マイ・アイズ』のオリジナル脚本賞1個のみ、ノミネーションの山を築いている。彼女は女性シネアストのあいだの信頼度が高く、特に受賞が期待されている。
◎ルイス・トサール、「Maixabel」で主演男優賞ノミネート。最多ノミネート20個の「El buen patorón」が米アカデミー国際長編映画賞ショートリストに残り、そのプロモーションにてんやわんやのフェルナンド・レオン・デ・アラノアやハビエル・バルデムが欠席しているため、トサールの出席は歓迎された。
◎ハビエル・グティエレス、マヌエル・マルティン・クエンカの『ザ・ドーター』で主演男優賞ノミネート。既に『マーシュランド』と「El autor」で2個ゲットしている。今回は本命ではなさそうです。
◎ベロニカ・エチェギ、今宵の招待客の一人、今回はノミネートがありませんがベスト・ドレッサーを自他ともに認めている。この装いは2020年9月に行われた、シャネルの2021春夏コレクションのショーで着用したもので、60年代のフランス映画のプリマドンナにインスピレーションを受けたドレスだそうです。多分プレゼンターに選ばれているのかもしれない。
◎ペトラ・マルティネス、ダビ・マルティン・デ・ロス・サントスの「La vida era eso」邦題『マリアの旅』で主演女優賞ノミネート。本作は2020年製作。
◎歌手アントニオ・オロスコ、セクン・デ・ラ・ロサの「El cover」でオリジナル歌曲賞に ‘Que me busquen por dentro’ がノミネートされている。
★マリアノ・バロッソ会長は、開催を取りやめることなく、充分な衛生面のコロナ予防対策を講じて臨みたいと締めくくった。
マルセル・バレナの「Mediterraneo」*フォルケ賞2021 ― 2021年12月13日 20:27
フォルケ賞&ゴヤ賞にノミネートされた「Mediterráneo」
★マルセル・バレナの「Mediterráneo」は実話に基づいている。フォルケ賞とゴヤ賞の両方の作品賞にノミネートされながら作品紹介が未だでした。本作は第94回オスカー賞のスペイン代表作品の最終候補3作の一つでした。結果はフェルナンド・レオン・デ・アラノアの「El buen patorón」になりました。エドゥアルド・フェルナンデスが扮するオスカル・カンプス(バルセロナ1963)というライフガードがモデルです。地中海を横断する移民と難民を救助する人道支援組織NGO Proactiva Open Arms(プロアクティバ・オープン・アームズ)の設立者です。発端は2015年秋9月、トルコの海岸に打ち上げられたクルド出身のシリアの3歳児アイランの溺死体の画像でした。その映像が瞬く間に世界中を駆けめぐったのは、そんなに昔の話ではない。
★バルセロナのバダロナで人命救助の会社を所有していたカンプスは、ギリシャのレスボス島に辿りついたシリア難民支援を決意しました。資金は仲間と一緒に旅行するために節約して貯めた15,000ユーロでした。時間の経過とともに、ソーシャルネットやメディアの報道を通じて、オープン・アームズのインフラや支援能力を向上させていきました。映画はその活動の始りに焦点を当てています。
「Mediterráneo」(The Low of the Sea)
製作:Arcadia Motion Pictures / Cados Producciones / Fasten Films /
Lastor Media / Heretic 協賛RTVE / Movistar+/ TVC / ICAA / ICEC
監督:マルセル・バレナ
脚本:ダニエル・シュライフ、マルセル・バレナ
撮影:アルナウ・バタリェル
音楽:キコ・デ・ラ・リカ
編集:ナチョ・ルイス・カピリャス
キャスティング:マキス・ガジス
美術:マルタ・バザコ、ピネロプ・イ・バルティ、エレナ・バルダバ
衣装デザイン:デスピナ・チモナ
メイクアップ&ヘアー:(メイク)エレクトラ・Katsimicha、ロウラ・リアノウ、(ヘアー)マリオナ・トリアス、アンジェリキ・バロディモウ、他
プロダクション・マネージメント:アルベルト・アスペル、他
製作者:アドリア・モネス、イボン・コルメンザナ、イグナシ・エスタペ、セルジ・モレノ、トノ・フォルゲラ、(エグゼクティブ)サンドラ・タピア、他
データ:製作国スペイン=ギリシャ、言語スペイン語・ギリシャ語・英語・カタルーニャ語・アラビア語、2021年、アクション・スリラー、実話、112分、撮影地レスボス島、アテネ、バルセロナ、期間2020年9月4日~10月26日、スペイン公開2021年10月1日
映画祭・受賞歴:サンセバスチャン映画祭2021、オーレンセ映画祭観客賞受賞、ローマ映画祭観客賞受賞、パラブラ映画祭2021男優賞(エドゥアルド・フェルナンデス、ダニ・ロビラ)受賞、テッサロニキ映画祭、ノミネート:第27回フォルケ賞2021作品賞・男優賞(E.フェルナンデス)、ゴヤ賞2022(作品賞以下9カテゴリー)、フェロス賞主演男優賞(E.フェルナンデス)、他
キャスト:エドゥアルド・フェルナンデス(オスカル・カンプス)、ダニ・ロビラ(ジェラルド・カナルス)、アンナ・カスティーリョ(エステル)、セルジ・ロペス(ニコ)、メリカ・フォロタン(ラシャ)、パトリシア・ロペス・アルナイス(ラウラ・ラヌザ)、アレックス・モネル(サンティ・パラシオス)、コンスタンティン・シンシリス(バックパッカー)、バシリス・ビスビキス(マソウラス)、ヤニス・ニアロス(ロウカス)、ジオタ・フェスタ(ノラ)、スタティス・スタモウラカトス(ストラスト)、ロセル・ビリャ=アバダル(ジェラルドの妻)、他エキストラ多数
ストーリー:2015年秋、ライフガードのオスカルとジェラルドは、ギリシャのレスボス島に旅行に出掛け、地中海で溺死した幼児の写真に衝撃を受ける。武力抗争から逃れるため、何千人もの難民が不安定なボートで海を渡ってくる冷酷な現実に圧倒される。しかし誰も救助活動を行いません。エステルとニコ、他のメンバーと一緒に、彼らは救助を必要としている人々をサポートしようと決意する。この旅は全員にとって自身の人生を刻むオデッセイになるだろう。
(レスボス島に流れ着いた難民を救助するライフガードたち、フレームから)
地中海は地球上で最大の集団墓地になっていた!
★監督紹介:マルセル・バレナ、1981年バルセロナ生れ、監督、脚本家、俳優、製作者。2010年TVムービー「Cuatro estaciones」がガウディ賞を受賞、ドキュメンタリー「Món petit」(12)がアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭2013で受賞するなどした。またゴヤ賞2014ドキュメンタリー賞部門にノミネートされている。2016年に「100 metros」で長編デビュー、本作は『100メートル』の邦題でNetflixが配信した。多発性硬化症と診断されたラモン・アロヨ(ビルバオ1971)の実話がベースになっている。「Mediterráneo」が第2作目になり、本作について「ラブストーリーでもあるが、ロマンティックな愛ではなく、自分が人間であると感じることのできる人の物語」と語っている。現在オンライン上映の具体的な話はないそうだが、たとえばFilminが目下最有力候補ということです。ということは日本は無理かもしれない。
*ドキュメンタリー「Món petit」の紹介記事は、コチラ⇒2014年01月19日
(オープン・アームズの シャツを着た監督、サンセバスチャンFF2021フォトコール)
(左から、セルジ・ロペス、エドゥアルド・フェルナンデス、バレナ監督、
ダニ・ロビラ、アンナ・カスティーリョ、同上)
★エドゥアルド・フェルナンデス、1964年バルセロナ生れ、演劇、映画、TV俳優。バルセロナの演劇研究所(1913設立)でパントマイムを学ぶ。シェイクスピア劇(2006年「ハムレット」でフォトグラマス・デ・プラタ俳優賞)、ベケット、アーサー・ミラーのような現代劇にも出演、TVシリーズ出演は1985年、日本で公開された最初の映画はビガス・ルナの『マルティナの海』(01)ではないかと思います。三つの分野を両立させながら今日に至っている。
★当ブログ登場も多く、ゴヤ賞には「Fausto 5.0」(監督アレックス・オリェ、イシドロ・オルティス、カルルス・パドリサ)で2002主演男優賞、セスク・ゲイの「En la ciudad」(03)とアメナバルの『戦争のさなかで』(19)のミリャン・アストライ役で助演男優賞と3個のゴヤ胸像を手にしている。他にサンセバスチャン映画祭2016のアルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』で元諜報員フランシスコ・パエサを演じて銀貝男優賞、ガウディ賞も3個、マラガ映画祭でもビスナガ男優賞3個と受賞歴が多く、ノミネートは数えきれない。これまでも歴史上の人物を具現化してきた。上述したミリャン・アストライやフランシスコ・パエサの他に、フェリペ2世、ヘスス・デ・ガリンデスなどだが、キャラクターが生きている場合は「演じる人物の動機を知り、なぜそうしたか、その理由を理解することです」と語っている。私事になるが共演作もある、活躍目覚ましい女優グレタ・フェルナンデスは一人娘である。
*『戦争のさなかで』の作品紹介は、コチラ⇒2019年11月26日
*『スモーク・アンド・ミラーズ』の作品紹介は、コチラ⇒2016年09月24日
(オスカル・カンプス役のエドゥアルド・フェルナンデス、フレームから)
★ダニ・ロビラ、もう一人の主人公ジェラルド・カナルスを演じた。「オーチョ・アペジードス」の大ヒットで上昇気流に乗っていたさなかの2020年3月にホジキンリンパ腫という癌で闘病生活を余儀なくされた。本作出演は復帰第2作目になる(第1作目は夏公開されたジャウム・コレット=セラの『ジャングル・クルーズ』)。彼はマルセル・バレナ監督のデビュー作「100 metros」で主人公のラモン・アロヨを演じた。30代の若さで、100メートルさえ歩けないと言われたラモンが、トライアスロンの鉄人レースに挑戦した実話をベースにしたヒューマンドラマでした。既にキャリア&フィルモグラフィー紹介をしております。バレナ監督によると、新作の撮影は悪天候や新型コロナウイリス感染の影響で困難続きだったという。エキストラになってくれたシリア難民が収容キャンプ地に足止めされてしまった。しかしもっと大変だったのは、ダニのホジキンリンパ腫の罹患だったという。
*ダニ・ロビラのホジキンリンパ腫闘病&キャリア紹介は、コチラ⇒2021年05月24日
(エドゥアルド・フェルナンデス、ダニ・ロビラ、アンナ・カスティーリョ)
★オスカル・カンプスは、1963年バルセロナ生れ、人道支援組織NGO Proactiva Open Arms(プロアクティバ・オープン・アームズ)の設立者。23歳のときレンタカーの会社を立ち上げ成功させた。その後離婚したときに慰謝料として妻に渡した。赤十字に参加した経験をもとにライフガードの仕事に携わることになった。「ライフガードは、世界の他の地域では尊敬されていますが、ここではプールでごっこ遊びをしていると思われています」と語り、アイラン少年と同じ年齢の息子がいたこともNGOオープン・アームズ設立の動機の一つのようでした。「船員には漂流者を救助する義務があり、その後、彼らをどうするかは指導者の責任である」とも語っている。オープン・アームズは約10万人以上の難民を救助した。
(「私たちは子持ちの離婚経験者」と仲のいいフェルナンデスとカンプス)
第36回ゴヤ賞2022ノミネーション発表*ゴヤ賞2022 ② ― 2021年12月05日 17:09
最多ノミネーションの「El buen patorón」は史上初の20個
★去る11月29日、マドリードの映画アカデミー本部にて第36回ゴヤ賞2022のノミネーションは発表がありました。司会者はナタリエ・ポサとホセ・コロナドでした。作品賞は以下の通りですが、米アカデミー国際長編映画賞のスペイン代表になったフェルナンド・レオン・デ・アラノアの「El buen patorón」がゴヤ賞始まって以来のノミネート20個になりました。これまではイマノル・ウリベの『時間切れの愛』(94)の19個でした。イシアル・ボリャインの「Maixabel」が14個、ペドロ・アルモドバルの「Madres paralelas」の8個、続くはマルセル・バレナの「Mediterráneo」の7個、2021年のスペイン映画界に大きく貢献したというクララ・ロケの『リベルタード』と、キンキ映画のオマージュというダニエル・モンソンの「Las leyes de la frontera」の6個です。
(ノミネーション・プレゼンターのホセ・コロナドとナタリエ・ポサ)
★ノミネーションの数が受賞に正比例するわけではありませんが、一応流れはできたという印象です。うち助演男優賞に「El buen patorón」からセルソ・ブガージョ、フェルナンド・アルビス、マノロ・ソロの3人(!?)、助演女優賞に「Madres paralelas」からアイタナ・サンチェス=ヒホンとミレナ・スミスの2人が同作品から選ばれている。過去に2人はしばしば目にしましたが、3人となるとしらけます。初出には監督名を補いました。(*印は作品紹介をしたもの)
*第36回ゴヤ賞ノミネーション全28カテゴリー*
◎作品賞(5作品)
「El buen patorón」* 監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア
「Maixabel」* 監督イシアル・ボリャイン
「Madres paralelas」* 監督ペドロ・アルモドバル
「Libertad」* 監督クララ・ロケ(邦題『リベルタード』)
「Mediterráneo」* 監督マルセル・バレナ
◎監督賞
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」
マヌエル・マルティン・クエンカ 「La hija」*(邦題『ザ・ドーター』)
ペドロ・アルモドバル 「Madres paralelas」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
◎新人監督賞
カロル・ロドリゲス・コラス 「Chavalas」
ハビエル・マルコ 「Josefina」*
ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス 「La vida era eso」*(邦題『マリアの旅』)
クララ・ロケ「Libertad」(邦題『リベルタード』)
◎オリジナル脚本賞
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」
クララ・ロケ 「Libertad」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
フアンホ・ヒメネス・ペーニャ&ペレ・アルタミラ 「Tres」監督は脚本に同じ
◎脚色賞
フリア・デ・パス・ソルバス&ヌリア・ドゥンホ・ロペス 「Ama」*
アグスティ・ビリャロンガ 「El vientre del mar」*
ダニエル・モンソン&ホルヘ・ゲリカエチェバリア 「Las leyes de la frontera」*
ベニト・サンブラノ&クリスティナ・カンポス 「Pan de limon con semillas de amapola」
◎主演男優賞
ハビエル・バルデム 「El buen patorón」
ハビエル・グティエレス 「La hija」(邦題『ザ・ドーター』)
ルイス・トサール 「Maixabel」
エドゥアルド・フェルナンデス 「Mediterráneo」
◎主演女優賞
エンマ・スアレス 「Josefina」
ペトラ・マルティネス 「La vida era eso」(邦題『マリアの旅』)
ペネロペ・クルス 「Madres paralelas」
ブランカ・ポルティリョ 「Maixabel」
◎助演男優賞
セルソ・ブガージョ 「El buen patorón」
フェルナンド・アルビス 「El buen patorón」
マノロ・ソロ 「El buen patorón」
ウルコ・オラサバル 「Maixabel」
◎助演女優賞
ソニア・アルマルチャ 「El buen patorón」
ノラ・ナバス 「Libertad」(邦題『リベルタード』)
アイタナ・サンチェス=ヒホン 「Madres paralelas」
ミレナ・スミス 「Madres paralelas」
◎新人男優賞
オスカル・デ・ラ・フエンテ 「El buen patorón」
タリク・ルミリ 「El buen patorón」
チェチュ・サルガド 「Las leyes de la frontera」
ホルヘ・モトス 「Lucas」* 監督アレックス・モントーヤ
◎新人女優賞
アンヘラ・セルバンテス 「Chavalas」
アルムデナ・アモール 「El buen patorón」
ニコル・ガルシア 「Libertad」(邦題『リベルタード』)
マリア・セレスエラ 「Maixabel」
◎オリジナル作曲賞
Zeltia Montes 「El buen patorón」
Fatima Al Qadiri 「La abuela」* 監督パコ・プラサ
アルベルト・イグレシアス 「Maixabel」
アルナウ・バタジェール 「Mediterráneo」
◎オリジナル歌曲賞
“Burst Out” 作曲家アンヘル・レイロ、ジャン=ポール・Dupeyron、ハビエル・カペリャス「Album de posguerra」(ドキュメンタリー)監督アイリー・マラガル&アンヘル・レイロ
“Que me busquen por dentro” 同アントニオ・オロスコ、
ジョルディ・コレル・ピニリョス 「El cover」* 監督セクン・デ・ラ・ロサ
“Las leyes de la frontera” 同アレハンドロ・ガルシア・ロドリゲス、アントニオ・モリネロ・レオン他 「Las leyes de la frontera」
“Te espera el mar” 同マリア・ホセ・リェルゴ 「Mediterráneo」
◎長編アニメーション賞
「Gora automatikoa」 カルロス・ゲレーロ、ダビ・ガラン・ガリンド、ほか
「Mironins」 アレックス・セルバンテス、アンヘル・コロナド、ほか
「Salvar el árbol (Zutik!)」 カルメロ・ビバンコ、エゴイツ・ロドリゲス、ほか
「Valentina」 ブランダン・デ・ブラノ、チェロ・ロウレイロ、ほか
◎ドキュメンタリー賞
「El retorno: La vida después del ISIS」 アルバ・ソトラ、カルレス・トラス、
ベスナ・クディク 監督アルバ・ソトラ
「Héroes, silencio y rock and roll」 ホセ・パストル、ミゲル・アンヘル・ラマタ、ほか
監督アレシス・モランテ
「Quién lo impide」* ハビエル・ラフエンテ、ラウラ・レナウ、ロレナ・トゥデラ
監督ホナス・トゥルエバ
「Un blues para Teherán」* アレハンドラ・モラ・ペレス、ルイス・ミニャロ
監督ハビエル・トレンティノ
◎短編映画賞
「Farrucas」 イアン・デ・ラ・ロサ
「Mindanao」 ボルハ・ソレル
「Totem Loba」 ベロニカ・エチェギ
「Votamos」サンティアゴ・レケホ
「Yalla」 カルロ・ドゥルシ
◎短編ドキュメンタリー賞
「Dajla: Cine y olvido」 アルトゥーロ・ドゥエニャス
「Figurante」 ナチョ・フェルナンデス
「Mama」 パブロ・デ・ラ・チカ
「Ulises」 ジョアン・ボヴェル
◎短編アニメーション賞
「Nacer」 ロベルト・バリェ
「Proceso de selección」 カルラ・ペレイラ
「The Monkey」 ロレンソ・デグルイノセンティ、ホセ・サパタ
「Umbrellas」 アルバロ・ロブレス、ホセ・プラツ
◎撮影賞
パウ・エステベ・ビルバ 「El buen patorón」
グリス・ジョルダナ 「Libertad」
ホセ・ルイス・アルカイネ「 Madres paralelas」
キコ・デ・ラ・リカ 「Mediterráneo」
◎録音賞
イバン・マリン、ペラヨ・グティエレス、バレリア・アルシエリ 「El buen patorón」
セルヒオ・ビュルマン、ライア・カサノバス、マルク・オルス 「Madres paralelas」
アラスネ・アメスロイ、フアン・フェロ、カンデラ・パレンシア 「Maixabel」
ダニエル・フォンロドナ、オリオル・タラゴ、マルク・ビー、マルク・オルス「Tres」
◎編集賞
アントニオ・フルロス 「Bajocero」 監督リュイス・キレス(『薄氷』Netflix)
バネッサ・L・マリンベル 「El buen patorón」
ミゲル・ドブラド 「Josefina」
ナチョ・ルイス・カピリャス 「Maixabel」
◎特殊効果賞
ラウル・ロマニリョス、ミリアム・ピケル 「El buen patorón」
ラウル・ロマニリョス、フェラン・ピケル 「La abuela」
アレックス・ビリャグラサ 「Mediterráneo」
パウ・コスタ、ラウラ・ペドロ 「Way Down」「The Vault」 監督ジャウマ・バラゲロ
◎美術賞
セサル・マカロン 「El buen patorón」
バルテル・ガリャル 「Las leyes de la frontera」
アンチョン・ゴメス 「Madres paralelas」
ミケル・セラーノ「Maixabel」
◎衣装デザイン賞
アルベルト・バルカルセル 「El amor en su lugar」 監督ロドリゴ・コルテス
フェルナンド・ガルシア 「El buen patorón」
Vinyel Escobal 「Las leyes de la frontera」
クララ・ビルバオ「Maixabel」
◎メイクアップ&ヘアー賞
アルムデナ・フォンセカ、マノロ・ガルシア 「El buen patorón」
サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス 「Las leyes de la frontera」
エリ・アダネス、セルヒオ・ぺレス・ベルベル、ナチョ・ディアス 「Libertad」*
監督エンリケ・ウルビス
カルメレ・ソレル、セルヒオ・ぺレス・ベルベル 「Maixabel」
◎プロダクション賞
オスカル・ビヒオラ 「El amor en su lugar」
ルイス・グティエレス 「El buen patorón」
グアダルーペ・バラゲル・トレリス 「Maixabel」
アルベルト・エスペル、コスラス・セアキアナキス 「Mediterráneo」
◎イベロアメリカ映画賞
「Canción sin nombre」*(邦題『名もなき歌』)(ペルー、19)監督メリナ・レオン
「La cordillera de los sueños」*(邦題『夢のアンデス』)ドキュメンタリー(チリ、19)
監督パトリシア・グスマン
「Las siamesas」 監督パウラ・エルナンデス(アルゼンチン、20)
「Los lobos」 監督サムエル・キシ(メキシコ、19)
◎ヨーロッパ映画賞(原題、英題、西題、邦題の順)
「Adieu les cons」「Bye Bye Morons」「Adiós, idiotas」(フランス、20)
監督アルベール・デュポンテル、セザール賞2021作品賞・脚本賞ほか受賞
「Ich bin dein Mensch」「I’m Your Man」「El hombre perfecto」『私はあなたの男です』
(ドイツ、21)監督マリア・シュラーダー、ベルリンFF俳優賞マレン・エッゲルト、
第94回米アカデミー2022国際長編映画賞ドイツ代表作品
「Dunk」「Another Round」「Otra ronda」『アナザーラウンド』(デンマーク、20)
監督トマス・ヴィンターベア、SSIFF2020銀貝俳優賞(マッツ・ミケルセン以下4名)
オスカー賞2021国際長編映画賞受賞、デンマーク・アカデミー賞5冠、ほか受賞歴多数
「Promising Young Woman」「Una joven prometedora」『プロミシング・ヤング・ウーマン』 (イギリス、20)監督エメラルド・フェネル、オスカー賞2021オリジナル脚本賞(E・フェネル)
◎栄誉賞
ホセ・サクリスタン
★以上が全28カテゴリーのラインナップです。脚本賞にアルモドバルの「Madres paralelas」が選ばれなかったり、期待していたアイノア・ロドリゲスのデビュー作も、「Mediterráneo」と『マリアの旅』に出演していたアンナ・カスティーリョの名前も見当たりませんでした。クララ・ロケとエンリケ・ウルビスのタイトルが同じ「Libertad」だったりと紛らわしかった。
★イベロアメリカ映画賞とヨーロッパ映画賞は、2021年中にスペインで公開された作品が対象なのでかなりのタイムラグが生じています。パウラ・エルナンデスの「Las siamesas」はノーチェックでしたが、いずれ作品紹介をしたい。サムエル・キシの「Los lobos」は、スペインの映画祭にはノミネートされませんでしたが、ベルリンFF(ゼネレーション部門)の作品賞受賞を初めとして、メキシコを含めた国際映画祭の受賞歴が多数あります。ゴヤ賞のほかホセ・マリア・フォルケ賞2022にもノミネートされています。
★ゴヤ賞2022の授賞式は、ガルシア・ベルランガ生誕100周年を記念して、出身地バレンシアのPalau de les Arts で2022年2月12日(土)に開催、これまでのように総合司会者はおかないガラになるようです。これをもって <ベルランガ年> が締めくくられます。
ホセ・サクリスタンがゴヤ賞2022栄誉賞を受賞*ゴヤ賞2022 ① ― 2021年12月02日 15:13
映画国民賞2021に続くゴヤ栄誉賞にホセ・サクリスタン
★11月29日、いよいよ今年も残り少なくなったと実感するゴヤ賞のノミネーション発表がありました。作品賞5作品は、クララ・ロケの『リベルタード』以外は予想通りでした。アップは次回にまわすとして、まずは既に発表になっていました、ホセ・サクリスタン(チンチョン1937)の第36回ゴヤ栄誉賞受賞の話題から。時代に流されない彼のブレない人生哲学に共感して、当ブログにも度々登場して貰っています。例年サンセバスチャン映画祭期間中に授賞式が行われる2021年の映画国民賞受賞記事を書いたばかりでした。舞台に専念して映画から離れていた時期もありましたが、60年に及ぶ役者人生を考えると、未だ受賞していなかったとは意外でした。これからも来る者は拒まず、これからも現役を続ける由。
*サクリスタン映画国民賞2021受賞の記事は、コチラ⇒2021年07月13日
(ホセ・サクリスタン、映画国民賞2021の授賞式、サンセバスチャン映画祭9月)
★11月22日月曜日午前、スペイン映画アカデミー理事会より「ゴヤ賞2022の栄誉賞はホセ・サクリスタン」の発表がありました。アカデミーは「すべての若いシネアストに対する献身、情熱、倫理、プロ意識のモデルであること、60年にも及ぶスペイン映画の顔であり声であること、私たちの親密な記憶の一部である非常に多くの映画で、その独自のやり方で自分自身を表現することを知っていること、更に私たちの映画や社会が大きな展開期をむかえたなかでもスクリーンに止まって前進する方法を熟知している俳優に与えることにしました」と授賞理由を述べました。
★ニュースを知った84歳の俳優は「私の仕事は、彼の目標が達成されたのを見た子供の喜びであり、彼が学生、触れ役、新兵、移民、弁護士、医者、殺し屋であると人々に信じ込ませることでした、そして人々は信じたのです。幸運なことに友人たち、私の愛すべき人々、家族を取りまく人が仕事をしています。これ以上求めるものはありません」と語りました。また「とても興奮しています。それというのも収穫が順調で、年月が経ち、自分の道が間違っていなかった、と知らせてくれたからです」と。俳優という職業は常に不安定であることを知っているサクリスタンは、「仕事は常にありましたから文句をいうのは卑劣でしょう。時には仕事に見合っていないこともありましたが、それは私自身の問題でした。私は幸運に恵まれ、特権があることを認め感謝しています」
「継続は力なり」の実践者サクリスタンの若さの秘密
★主なキャリア&フィルモグラフィーについては既に記事にしていますが、1960年舞台デビュー、1965年に映画界に入り、125以上の作品に出演しています。政治的な発言と義務を果たすプロフェッショナルとして若さを感じさせます。好奇心が強く、撮影中でも遊びと仕事の部分のバランスを上手くとっている。継続性が重要であることを教えてくれたのは、「フェルナンド・フェルナン=ゴメスでした。そうすれば事柄の良し悪しの識別ができるようになるからです。しかし基本的なことは、人々が私の仕事を認めてくれるかどうかなんですが」と語っている。フェルナンド・フェルナン=ゴメスというのは、第1回ゴヤ賞1987の作品賞、監督賞、脚本賞をコメディ「El viaja a ninguna parte」で受賞したシネアスト、俳優としても出演していた。そして主役を演じたのがホセ・サクリスタンでした。
(左から、サクリスタン、フェルナン=ゴメス、ラウラ・デル・ソル、フレームから)
★36年前の映画アカデミー創設者の一人だったサクリスタンの頭に浮かんだのは「プロデューサーのアルフレッド・マタス氏だった」という。「彼が1985年に私たちに提案し話合いが始まった。そうして生まれたのが映画アカデミーでした」。11月12日の初会合に出席した13名のなかには、故ガルシア・ベルランガ以下カルロス・サウラ、ホセ・ニエト、女性では女優のチャロ・ロペスなど。翌年1月8日に公式に設立され、初代会長にホセ・マリア・ゴンサレス=シンデが就任した。草創期から参加したアカデミー、自身も副会長として尽力したことを誇りに思っているとも語っている。今回の受賞はひとしお感慨深いものがあるようです。
★ゴヤ賞はハビエル・レボーリョの「El muerto y ser feliz」(12)の雇れ殺し屋を飄々と演じて主演男優賞を受賞している他、サンセバスチャン映画祭で2回目となる銀貝男優賞を受賞している。第36回のゴヤ賞ガラは2022年2月12日、バレンシア出身のガルシア・ベルランガ生誕100周年の記念行事として、バレンシアのLes Arts de Valencia で開催されます。現在ミゲル・デリーベスの小説を舞台化した “Señora de rojo sobre fondo gris”(1991刊、脚色ホセ・サマノ)のツアー中、来年6月までの予定ということです。「母なる自然が許す限り、楽しみながら続けます。責任をもってね」
*『灰地に赤の夫人像』(彩流社、1995刊)の邦題で翻訳書が刊行されていますが、目下品切れです。
(ゴヤ賞2013主演男優賞の受賞スピーチをするサクリスタン)
イシアル・ボリャイン新作の反響*サンセバスチャン映画祭2021 ㉔ ― 2021年09月21日 11:41
「次世代の共存の基礎をつくるために議論を起すこと」とボリャイン
★セクション・オフィシアルのイシアル・ボリャインの「Maixabel」(マイシャベル)は、初日17日から19日にかけて6回上映され既に終了している(このセクションの上映回数は6回から5回)。映画祭が開催されているバスク州が舞台の実話、モデルとなった二人の登場人物は健在という微妙な映画のせいか、人々の関心は高く大きな反響を呼んでいる。主人公のマイシャベル・ラサは、2000年7月29日、ETAのテロリストの犠牲となった政治家フアン・マリア・ハウレギの未亡人、もう一人は暗殺者の一人イボン・エチェサレタ、それぞれブランカ・ポルティリョとルイス・トサールが演じている。マイシャベルの娘マリアに新人マリア・セレスエラが起用された。
*作品の解説及び内容紹介は、コチラ⇒2021年08月05日
(マリア・セレスエラ、ポルティリョ、ボリャイン監督、トサール、フォトコール)
(映画祭期間中毎日発行される新聞の一面を飾った「Maixabel」特集版)
★映画は暗殺された11年後に、マイシャベルはETAテロリストの組織との関係を絶ち服役中のイボンから会いたいという奇妙な要求を受け取る。犠牲者の家族と暗殺者のあいだに和解と共存が果たして可能なのか、というのがテーマ。現在でも対立が続く半面、話題にすることがタブーであるため、ETA が何であるか分からない、何が起こったかを知らない若い世代が増えている。バスクでは事件の犠牲者と暗殺者が半世紀の長きにわたって一緒に暮らしている。ETAメンバーに敬意を表している人もいるなかで、犠牲者の家族は耐えていなければならない。まずETA の英雄視を止めること、監督は「何が起こったかを忘れると、犠牲者を忘れることに繋がる。重要なのは議論を起すことだ」とエル・ムンド紙のインタビューに応えている。
(二人のマイシャベル、ブランカ・ポルティリョとマイシャベル・ラサ)
★本映画祭がワールドプレミアであるが、マドリードにあるスペイン映画アカデミー本部とバスク州の政治家や関係者を呼んで先行上映され、涙と拍手の大反響を引き起こしたという。エル・パイス紙による鑑賞者の出口インタビューでは、「マイシャベルとは個人的な付き合いはないが、これは必要な映画です」と60歳代の女性、または「自分の夫を殺した人の前に座りたくなどありません」と老婦人、「話し合わないと私たちはどうなるのでしょう、未来をどのように共有したらよいのですか」と若い女性、男性の声は聞こえてこない。見たい人も見たくない人もいるということです。「許しを求めることや、暴力と対決することが問題なのではなく、次世代の共存の基礎をつくる議論を起すことが問題なのです」とボリャイン監督。このテーマに取り組めたのは、マイシャベルという女性に魅了されたこと、自分がバスク出身者でなかったこともあるとコメントしている。
(イシアル・ボリャイン、9月18日)
(ゴヤ賞2022ノミネート確実のブランカ・ポルティリョとルイス・トサール)
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