第25回マラガ映画祭2022*受賞結果 ③2022年05月14日 14:53

      金のビスナガ賞は「Cinco lobitos」と「Utama」が受賞

        


       

3年ぶりに恒例の3月開催となったマラガ映画祭、セクション・オフィシアル作品をアップしただけで頓挫、作品紹介もスール賞以下の特別賞も未紹介のまま休眠してしまいました。去る327日、マラガ市のセルバンテス劇場で授賞式が開催されました。というわけで受賞結果くらいはと重い腰をあげた次第。最高賞の作品賞〈金のビスナガ〉は、スペイン映画とイベロアメリカ映画に分けて与えられ、それぞれ副賞として10.000ユーロが貰えます。今年はアラウダ・ルイス・デ・アスアCinco lobitosと、ウルグアイ映画のUtamaが受賞、ただしアレハンドロ・ロアイサ・グリス監督はボリビア出身です。作品賞以外は銀賞です。セクション・オフィシアルの主な受賞結果は以下の通りです。

  


                    (第25回マラガ映画祭の受賞者たち)

 

金のビスナガ(スペイン映画)

Cinco lobitos 製作国スペイン、2022年、104分、監督・脚本アラウダ・ルイス・デ・アスア

★他に監督が脚本賞、ベテランのスシ・サンチェスとライア・コスタが女優賞を受賞しています。初めて母親になったばかりの若いアマイアは、バスクで暮らす両親の元へ帰郷する。ラモン・バレアやミケル・ブスタマンテの男性陣が脇を固めています。

 

   

         (受賞スピーチをするルイス・デ・アスア監督)

   

      

 

金のビスナガ(イベロアメリカ映画)

Utama 製作国ウルグアイ=ボリビア=フランス、2022年、87分、ケチュア語・スペイン語、デビュー作、監督・脚本アレハンドロ・ロアイサ・グリス

★ボリビアの高原を舞台に、旱魃に襲われたケチュアの老夫婦を主人公にして、厳しい人生の岐路に立つ羊飼いの現実が語られる。ボリビアのマルコス・ロアイサ監督が父親、製作者の一人として現地入りしていた。サンティアゴ・ロアイサ・グリシは兄弟。他に監督賞、音楽賞、批評家賞を受賞している。

   

     

(左から3人の製作者、フェデリコ・モレイラ、サンティアゴ・ロアイサ・グリシ、

 スピーチしているのが監督の実父マルコス・ロアイサ)

   

 

  

 

審査員特別賞(銀賞)

Mi vacío y yo 製作国スペイン、2022年、89分、監督・編集アドリアン・シルベストレ

アドリアン・シルベストレはバレンシア生れ、オーディオビジュアル情報学、映画監督、現代芸術史をマドリード、ローマやハバナで学ぶ。2016年「Los objetos amorosos」で長編デビュー、セビーリャ映画祭でFIPRESCI国際映画批評家連盟賞を受賞した。本作は第2作目、ロッテルダム映画祭正式出品作品。他にドキュメンタリー「Sedimentos」(21)は、BFIロンドン、サンセバスチャン、マラガ、テッサロニキ、トゥールーズ・スパニッシュ、ほか国際映画祭に出品している。

 

        

 

    

審査員スペシャル・メンション

The Gigantes 製作国メキシコ=米国、2021年、94分、監督ベアトリス・サンチス、脚本はマーティ・ミニッチと共同執筆

★本作はロスアンジェルスやメキシコを舞台にしたロード・ムービー。他に撮影賞を受賞している。監督のベアトリス・サンチスはバレンシア生れ、本作は2014年の「Todos están muertos」に続く第2作目。デビュー作はマラガ映画祭2014審査員特別賞受賞作品、ゴヤ賞新人監督賞にノミネートされている。当時パートナーだったエレナ・アナヤがヒロイン、本作を機に5年間続いた関係を解消している。

紹介記事は、コチラ2014041120150130

 

   

    (ベアトリス・サンチス監督)

   

  

   (メキシコの製作者ロドリゴ・コヨテルと監督、フォトコールにて)

   

 

監督賞(銀賞)

 アレハンドロ・ロアイサ・グリス Utama

1985年ボリビア生れ、監督、脚本家、製作者。撮影監督としてスタートしたが、2016年からTVシリーズや短編、ビデオ「Laberinto」(17)を発表、今回長編デビューした。父マルコス・ロアイサの「Averno」の製作を手掛けている。

 

    

 

女優賞(銀賞)Hotel AC Málaga Palacio

ライア・コスタ スシ・サンチェス 「Cinco lobitos

★本作で母と娘を演じている。ライア・コスタ1985年生れ、2012年「Tengo ganas de ti」で映画デビュー、代表作はドイツのゼバスティアン・シッパーのスリラー「Victoria」で主役の家出娘ヴィクトリアを演じた。ベルリン映画祭の銀熊賞ほか国際映画祭のを多数受賞している。東京国際映画祭2015ワールドフォーカス部門に『ヴィクトリア』の邦題でエントリーされた。コスタはシネヨーロッパ賞にノミネート、ガウディ賞、サンジョルディ賞の女優賞を受賞している。カタルーニャ語、仏語、英語ができる。スシ・サンチェスは度々紹介しており割愛。

   

       

    

(金のビスナガ受賞作のシーンから、スシ・サンチェスとライア・コスタ)

 

男優賞(銀賞)

レオナルド・スバラグリア 「Almost in love」(Ámame)アルゼンチン=ブラジル=チリ=オランダ、112分、監督・脚本レオナルド・Brzezicki

★本人欠席のため、特別賞の一つレトロスペクティブ賞受賞のため現地入りしていたメルセデス・モランがトロフィーを受け取った。受賞者は本映画祭とは相性がよく、2017年のマラガ-スール賞、男優賞に続いて3個目をゲット、過去のトロフィーを手にしてビデオ・メッセージに参加した。

   

     

       (代理でトロフィーを受け取ったメルセデス・モラン)

 


    

助演女優賞(銀賞)

デボラ・マリア・ダ・シルヴァ 「La madre」(A mae)ブラジル、2021年、87分、ポルトガル語

監督クリスティアノ・ブルラン

★本作はポルトガル語、字幕入りで上映された。物売りをして家庭を支える移民の母親と突然行方不明になった息子の物語、生死の分からない息子を探し回る母親たちのブラジル版。デボラ・マリア・ダ・シルヴァは映画デビューしているが、ブラジルの〈五月の母親たち〉運動の創設者、ガラには欠席している。ブルラン監督は舞台演出家、教授。本作は長編デビュー作だが、短編20数本、ドキュメンタリー、2015年の戯曲4部作「Blanco y negro」を演出、ブラジル・フェスティバルで受賞している。

    

  

    (左から、製作者イヴァン・メロ、クリスティアノ・ブルラン監督、

     出演のダンスティン・ファリアス、フォトコールから

     

    

 

助演男優賞(銀賞)

ニコラス・ポブレテ 「Mensajes privados」チリ、2021年、77分、監督マティアス・ビセ

★コロナウイリス感染によるパンデミックのさなかにリモートで製作されたマティアス・ビセの新作。ニコラス・ポブレテは、今作では脚本にも参加、真実の物語と自伝的なことを独白、精神科医の叔父について妹と一緒に苦しんだ性暴力を非難した。

 

      

 

      

 

脚本賞(銀賞)

アラウダ・ルイス・デ・アスア 「Cinco lobitos

1978年バラカルド生れ、バスク自治州でオーディオビジュアル情報学を学び、後マドリードに移りECAMの映画監督科卒。2005年から数本短編を撮ったのち、今回長編デビューを果たした。

 

    

 

音楽賞(銀賞)

セルヒオ・プルデンシオ 「Utama

    

   

            (撮影中の監督と3人の主演者)

 

   

撮影賞(銀賞)

ニコラス・ウォン・ディアス 「The Gigantes

 

     

 

編集賞(銀賞)

ロドリゴ・サケル 「Mensajes privados

★受賞者は欠席。監督が代理で受け取った。

   

           

      

(左から、製作者アドリアン・ソラル、ビセンタ・ウドンゴ、ニコラス・ポブレテ、

 マティアス・ビセ監督、フォトコールから)

 

ZONAZINE部門も作品賞(銀賞)は、スペイン映画とイベロアメリカ映画に分かれており、副賞6.000ユーロ、監督賞、女優賞、男優賞、観客賞などがある。特別賞としてマラガ栄誉賞(カルロス・サウラ)、スール賞(現スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソ)、レトロスペクティブ賞(アルゼンチンの女優メルセデス・モラン)、マラガ才能賞(ロス・ハビことハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシ)などが受賞者でした。また〈金の映画〉には、1970年のペドロ・オレアの「El bosque del lobo」が選ばれていました。

 

<続>ホライズンズ・ラティノ部門*サンセバスチャン映画祭2020 ⑧2020年09月09日 17:28

 

★ホライズンズ・ラティノ部門の残り4作のラインナップ、女性シネアストの活躍が目につきました。既に他の先行映画祭でプレミアされています。

  

 Selva trágica Tragic Jungle)メキシコ=フランス=コロンビア 2020

監督:ユレネ・オライソラ、脚本:ルベン・イマス、ユレネ・オライソラ、撮影:ソフィア・Oggioni、音楽:アレハンドロ・オタオラ、編集:ルベン・イマス、ユレネ・オライソラ、イスラエル・カルデナス、他

映画祭・受賞歴:ベネチア映画祭オリゾンティ部門、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門正式出品

データ:ユレネ・オライソラ(メキシコシティ1983)の長編第3作目、ドキュメンタリーで出発評価を得る。他にルベン・イマスとの共同作品がある。ドラマ、96分、スペイン語、マヤ語、英語

キャスト:インディラ・ルビエ・アンドレウィン(アグネス)、ヒルベルト・バラサ(アウセンシオ)、Dale Carley(カシーケ)、ラサロ・ガビノ・ロドリゲス(エル・カイマン)、他

ストーリー1920年、メキシコとベリーズの国境地帯、マヤのジャングルの奥深く、そこには法は存在せず神話が支配していた。ゴム栽培で働くメキシコの労働者たちは、ベリーズのミステリアスな美貌のアグネスに魅了されていた。彼女の存在が男たちの性的興奮、幻想、欲望を掻き立てていた。新しい生命力に溢れた彼らは、ジャングルの中心から見張っている伝説のXtabayを目覚めさせたことにも気づかずに運命と向き合うことになる。

    

 

      

 

 Sin señas particulares Identifying Features)メキシコスペイン

監督:フェルナンダ・バラデス、脚本:フェルナンダ・バラデス、アストリッド・ロンデロ、撮影:クラウディア・べセリル・ブロス、編集:フェルナンダ・バラデス、アストリッド・ロンデロ、スーザン・コルダ、音楽:クラリス・ジェンセン

データ:フェルナンダ・バラデス(グアナフアト1981)は監督、脚本家、製作者、編集者、長編デビュー作、ドラマ、99

映画祭・映画賞SSIFF2019シネ・エン・コンストルクシオン36の受賞作、サンダンス映画祭2020ワールド・シネマ部門観客賞&審査員特別脚本賞受賞、他

キャスト:メルセデス・エルナンデス(マグダレナ)、ダビ・イジェスカス(ミゲル)、フアン・ヘスス・バレラ(ヘスス)、アナ・ラウラ・ロドリゲス、ラウラ・エレナ・イバラ、他

ストーリー:マグダレナは合衆国との国境沿いで行方不明になった息子を探すための旅に出る。マグダレナのメキシコの荒涼とした風景をめぐる道のりで、最近アメリカから退去を余儀なくされたという青年ミゲルに出会う。二人は連れ立って、マグダレナは息子を、ミゲルは失踪した母親を探す。二人の被害者は加害者たちが猛威を振るう不法地帯を一緒にさまよう。

追加情報『息子の面影』の邦題で、ラテンビート2020の上映が決定。

 

    

 

(マグダレナ、映画から)

  

 

 (ミゲル、映画から)

  

 

 

 Todos os mortos  All The Dead Ones)ブラジルフランス、2020

監督・脚本:カエタノ・ゴタルゴマルコ・デュトラ、撮影:Helena Louvarto、編集:カエタノ・ゴタルゴ、マルコ・デュトラ、ジュリアナ・ホジャス、Gui Braz

データ:カエタノ・ゴタルゴ(ビラ・ベルア1981)、マルコ・デュトラ(サンパウロ1980)、言語ポルトガル、ドラマ、120分、公開予定ブラジル、フランス

映画祭・受賞歴:ベルリン映画祭2020コンペティション部門正式出品、リスボン・インデーズ映画祭銀賞受賞、グラマド映画祭(ブラジル)ノミネート、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門ノミネート

キャスト:カロリナ・ビアンチ(アナ・ソアレス)、Mawusi Tulani(イナ・ナシメント)、クラリッサ・キステ(マリア・ソアレス)、タイア・ぺレス(アナの母イサベル)、Rogerio Brito(アントニオ)、Agyel Augusto(イナの息子)、他

ストーリー1899年サンパウロ、奴隷制が廃止されてから数十年経つ。町は急速に発展している。以前は領地と奴隷を所有していたソアレス一家の3人の女性がサンパウロに戻ってきたばかりである。最後の使用人が亡くなると、ブラジルの急激な変化に順応していけない。一方ソアレス農場で奴隷として働いていたナシメント一家は、自由の身にはなったが黒人の居場所がない社会に向き合っている。ブラジルの過去と現在の中で、すべての人々が生きる残るために闘っている。

 

   

              (主演者5人を配したポスター)

   

    

                       (アナ役のカロリナ・ビアンチ)

 

(母親イナと息子)

 

           

 

   

(マリア役のクラリッサ・キステと母イサベル役のタイア・ぺレス)

 

 

 Visión nocturnaNight Shot)チリ 2019

監督・撮影:カロリナ・モスコソ、脚本:カロリナ・モスコソ、マリア・パス・ゴンサレス、編集:フアン・エドゥアルド・ムリーリョ、音楽:カミラ・モレノ

データ:カロリナ・モスコソ(サンティアゴ1986)は監督、編集者、チリ大学、バルセロナのポンペウ・ファブラ大学で映画を学ぶ。ドキュメンタリー、80分、本作が長編デビュー作。

映画祭・受賞歴:バルディビア映画祭201910月)特別審査員賞、FIDマルセーユ映画祭20207月)インターナショナル部門グランプリ受賞、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門正式出品

ストーリー8歳のときサンティアゴ近郊の海辺で襲われた、若いシネアストが性暴力を受けた被害者の疵と沈黙について物語る。被害者は自分を責め、恥ずかしさのため沈黙する。実際にレイプとは一体何か、被害者に寄り添うにはどうしたらよいか、そして何時終わるのか、友情と援助、柔軟で親密さに溢れたドキュメンタリー。

   

  

 

   

 

 

 

★金貝賞を競うコンペティション部門のクロージング作品にフェルナンド・トゥルエバ監督のEl olvido que seremosForgotten We'll Be)が選ばれました。本作は最初のエントリーには含まれていなかった作品です。カンヌ映画祭2020にコロンビア映画としてノミネートされたものですが、結局カンヌは開催されませんでしたから想定内の決定と思われます。詳細についてはアップ済みです。

El olvido que seremos」の内容紹介は、コチラ20200614

   

    

ホライズンズ・ラティノ部門9作品*サンセバスチャン映画祭2020 ⑦2020年09月07日 16:37

      ホライズンズ・ラティノのオープニングはアルゼンチン映画「El prófugo

 

         

 

ホライズンズ・ラティノ部門は、長編映画のデビュー作あるいは第2作までの作品が対象です。従って情報が少なく予告編も未完成が含まれ、紹介するには情報不足が多い。特に今回は新型コロナウイリス感染者拡大もあって、なんとか滑り込みセーフで開催されたベルリン映画祭でプレミアされたものが目立っており、急ごしらえの感が否めない。ラテンアメリカ諸国といっても、今回は21ヵ国のうちアルゼンチン、チリ、メキシコに集中した9作品が選ばれている。取りあえず2回に分けてアップいたします。

 

         ホライズンズ・ラティノ部門

 

El prófugoThe Intruder アルゼンチン=メキシコ

監督・脚本:ナタリア・メタ、撮影:バルバラ・アルバレス、編集:エリアネ・カッツ 

データ2020年、サイコ・スリラー、90

映画祭・受賞歴:ベルリン映画祭2020コンペティション部門上映

キャスト:エリカ・リバス(イネス)、ナウエル・ぺレス・ビスカヤート(アルベルト)、セシリア・ロス(母マルタ)、ダニエル・エレンデル(レオポルド)、他

ストーリー:イネスは夢想好きな歌手だが映画の吹替をして働いている。楽園のような休暇のあいだ、立ち直れないほどのトラウマを抱えて苦しんでいる。それ以来、夢についてのトラブルを抱えている。容易に目が覚められない真に迫った悪夢を体験する。

作品&監督キャリア紹介はベルリンFF2020コチラ20200227

 

   

 

 

Edición ilimitadaUnlimited Edition アルゼンチン

監督:エドガルド・コサリンスキーサンティアゴ・ロサ

   ビルヒニア・コシンロミナ・パウラ

解説4人の作家、俳優、監督、劇作家などが映画で出会う。この多様性に富んだ仕事に関わる監督の4つの短編、4つの物語、4人の登場人物(男女2名ずつ)で構成されている。作品の内容は情報が入手できず分かりませんが、4人の顔ぶれだけで興味がもたれる。出身は別として現在はアルゼンチンで活動している。エドガルド・コサリンスキー(1939)もサンティアゴ・ロサ(1971)もベテラン級、ビルヒニア・コシン(カラカス1973)は5歳でアルゼンチンに移住して両方の国籍を持っている作家、映画デビューかもしれない。ロミナ・パウラは(1979)はサンセバスチャン映画祭2019のホライズンズ・ラティノ賞を受賞している。年齢からしても4人の組み合わせがユニークです。

サンティアゴ・ロサのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20190219

ロミナ・パウラのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20190910

 

 

La Verónica チリ

監督:レオナルド・メデル、エグゼクティブプロデューサー:フアン・パブロ・フェルナンデス

キャスト:マリアナ・ディ・ジロラモ(ベロニカ)、アントニア・Giesen、アリエル・マテルナ(ハビエル)、ホセフィナ・モンタネ、他

ストーリー:ベロニカはソーシャル・ネットワーク上の人気モデル、サッカー界の国際的なスター選手と結婚したが、10年前に起きた長女殺害の捜査のなかで第一容疑者であることが分かって窮地に陥る。捜査の圧力に晒され、夫婦関係も危機に見舞われていき、最近生まれた娘アマンダに嫉妬を感じるようになる。

 

   

       (マリアナ・ディ・ジロラモ扮するベロニカ、映画から)

 

 

Las Mil y UnaOne in a Thousand)アルゼンチン=ドイツ、2020120

監督・脚本:クラリッサ・ナバス(長編2作目)

映画祭・受賞歴:ベルリン映画祭2020パノラマ部門上映、チョンジュ映画祭作品賞受賞、グアダラハラ映画祭、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門など

キャスト:ソフィア・カブレラ(イリス)、アナ・カロリナ・ガルシア(レナタ)、マウリシオ・ビラ(ダリオ)、ルイス・モリナ(アレ)、他

ストーリー:イリスは複雑な過去をもつレナタと知り合ったとき、たちまち彼女の虜になった。恐怖を乗り越え、初恋を体験するための不安に直面しなければならないだろう。物語は敵意に張り巡らされているものの優しさに溢れている。うわさ話が時には武器にもなり変わるだろう。LGBTQIAがテーマの一つ。

   

     

 

 

Mamá, Mamá, MamáMum, Mum, Mum)アルゼンチン、202065

監督・脚本:ソル・ベルエソ・ピチョン=リビエレ、製作者:フロレンシア・デ・ムヒカ、エグゼクティブ:ラウラ・タブロン、撮影:レベッカ・シケイラ

映画祭・受賞歴:ベルリン映画祭2020ジェネレーション部門

キャスト:アグスティナ・ミルスタイン、マティルデ・クレイメル・チアブランド、シウマラ・カステーリョ、Chloe Cherchyk、カミラ・ソレッツィ、他

ストーリー:うだるような夏のある朝、一人の少女が自宅のプールで溺れて死んでしまう。彼女の体は母親が見つけるまでそのままにされている。母親はもう一人の娘クレオを部屋に何時間も一人にしておく。しばらくするとクレオの伯母が従姉妹3人を連れてやってくる。それぞれの少女たちは秘密のサインや儀式を共有し、特殊なミクロの宇宙に没入していく。

 

         

   (映画から)

   

      

 

『彷徨える河』の監督、8人の女性からセクシャルハラスメントで訴えられる2020年06月30日 14:42

          チロ・ゲーラ「悪意のこもった嘘八百」と法廷対決を辞さない構え

  

    

       (『彷徨える河』のポスターをバックにしたチロ・ゲーラ監督)

 

625日、エル・パイス紙以下の各新聞が一斉にコロンビアの監督チロ・ゲーラのセクシャルハラスメントと性的虐待の記事を報道しました。真偽のほどが分からない段階で、つまり性暴力の被害者側の話だけを信じてのブログアップは少々躊躇されますが、話半分としても事実なら残念の一言です。現在監督は、アマゾンプライムビデオのシリーズ「エルナン・コルテスとモクテスマ」撮影のためメキシコ入りしています。以前記事にしたようにハビエル・バルデムがコルテスに扮します。どうもケチがついて嫌な予感がします。

 

★各紙ともほぼ内容は似たり寄ったりです。発端はデジタルのフェミニスト雑誌Volcánicasに、コロンビアのジャーナリストであり作家でもあるマティルデ・デ・ロス・ミラグロス・ロンドニョと作家のカタリナ・ルイス・ナバロによって執筆されたレポートが掲載されたからです。マティルデによると、今年の初め、男性の友人から「チロ・ゲーラからセクシャルハラスメントを受けた事実を伝えたいという女性の連絡を受けた」という。すると次々に同じ経験をしたという声が入り合計8人に上った。それぞれお互いを知らない8人はチャットで出会い、その苦しみを語りあっていた。

 

8人のケースは似通っていて、すべて国際映画祭、カンヌ、ベルリン、コロンビア、カルタヘナのイベント中であることが分かった。女性たちは告発すると仕事を失う恐怖があると推察します。7人がセクシャルハラスメント、残る1人が性的虐待です。2013年から19年、特に『彷徨える河』(15)がアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた以降に集中していたことが分かり、ノミネートの名声を嵩にかけて強要したことがはっきりしたという。ある女性は監督から「私がカンヌ映画祭の批評家週間の審査員になったのを知ってるでしょ」と言って、強引にキスをされたという。被害者の調査に数ヵ月を費やし、データの事実確認をして公にしたという。勿論監督は告発を全面否定、自分を守るために法廷に行くと語っている。

 

★被害者の名前は、すべてテレサだのカロリナだの仮名で現れ、刑法上の裁判を望むものではないという。なぜなら被害者は過去に受けた自身の苦しみを法廷で公にすることの恐怖、大衆の嘲笑を望まないからである。ジェンダーの専門家であるビビアナ・ボールケス弁護士は「ここコロンビアの裁判官は少なく見積もっても70パーセントが男性だから、脚に触ったの、キスを無理強いされたの、虐待されたのと訴えても、誇張しているだけと考えます」。今年同じような事案6例を検察に提出しましたが、加害者をのさばらせる結果に終わりました。コロンビアの裁判制度に問題があるのですと弁護士は語っています。

 

★生々しいレイプ体験を語ったアドリアナ(仮名)は「彼の体重の重さに抵抗できず、頭を押し付けられたりしたことが蘇えり、頭で追体験したり、法廷で質問に答えたりしたくない」と加わるのを躊躇したという。昨年11月に開催されたボゴタ映画祭のときに起きたという。アドリアナのケースでは傷口がまだ開いたままだから尻込みするのは当然でしょう。

  

          チロ・ゲーラの事案は氷山の一角、映画界に蔓延するセクシャルハラスメント

 

★コロンビアのオーディオビジュアルの組合員にセクシャルハラスメントについてのアンケートを実施したところ、イエスが81%、そのうち報告しないで泣き寝入りをした人が84%という結果になった。うち一人は「プロデューサーはその事実を把握しているが、慣れろと言われただけ」という。非難した人は逆に嘲笑され、問題があるのはアナタとして村八分に会い、あげく解雇されることもある。失業したくなかったら黙るしかない。「一人では無力でも連帯すれば勝てるのだが、今不足しているのがその連帯」と、ボールケス弁護士。8人は告訴を望んでいないが、コロンビアのMe Too 運動の今後が試されます。

 

★メキシコに滞在している監督は「自身の名誉にかけて法廷闘争も辞さない」と決意のほどを語っていますが、潔白なら無実を証明していただきたい。『彷徨える河』の製作者、『夏の鳥』(18)を共同監督したクリスティナ・ガジェゴとのあいだに二人の子供がいるが、『夏の鳥』完成前に離婚していた。女性の権利拡大の推進者、イベロアメリカ・フェニックス賞2018で作品賞を受賞した折には、緑のハンカチを手に巻いて登壇していた。彼のセクシャルハラスメント問題が一因だったのだろうか。

 

   

  (緑のハンカチを手に巻いてイベロアメリカ・フェニックス賞2018授賞式に臨む

        クリスティナ・ガジェゴ監督、中央のグリーンのドレス)

 

 関連記事

『彷徨える河』の作品紹介記事は、コチラ2015052420161201

『夏の鳥』の作品紹介記事は、コチラ201805181117

 

続ホライズンズ・ラティノ部門*サンセバスチャン映画祭2019 ⑨2019年08月11日 18:48

          アレハンドロ・ランデルの問題作「Monos

 

La broncaペルー=コロンビア、ディエゴ&ダニエル・ベガ兄弟

 第23回リマ映画祭2019815日上映)、長編3作目、カナダで撮影された最初のペルー映画

キャスト:ホルヘ・ゲーラ、ロドリゴ・パラシオス、ロドリゴ・サンチェス・パティニョ、イサベル・ゲラード、Sandrine Poirier-Allard、シャーロット・オービン、ルナ・マセド、他

監督キャリア&作品紹介は、コチラ⇒2019年08月23日

          

    

 

 

Los sonámbulos / The Sleepwalkersアルゼンチン=ウルグアイ

  パウラ・エルナンデス

キャスト:エリカ・リバス、オルネジャ・デリア、マリル・マリーニ、ルイス・Ziembrowski、ダニエル・エンドレル、バレリア・ロイス、ラファエル・フェデルマン、他

パウラ・エルナンデスの第4作目、第3Un amor以来7年ぶりにメガホンをとった。

 

     

 

Los tiburones / The Sharksウルグアイ=アルゼンチン=スペイン

  ルシア・ガリバルディ

  Cine en Construcción 342018)の技巧賞、フィルム・ファクトリー賞受賞作品。他にサンダンスFFワールド・シネマ部門の監督賞、BAFICI審査員特別賞など受賞歴多数

キャスト:ロミナ・ベタンクール、フェデリコ・モロシニ、ファビアン・アレニジャス、バレリア・ロイス、他

監督キャリア&作品紹介は、コチラ⇒2019年09月04日

     

    

        

    

         

 

Monosコロンビア=アルゼンチン===スイス=ウルグアイ

  アレハンドロ・ランデス

 サンダンスFFワールド・シネマ部門の審査員特別賞受賞、ベルリンFFパノラマ部門上映作品、カルタヘナFFコロンビア作品賞受賞など受賞歴多数。

キャスト:ジュリアンヌ・ニコルソン、モイセス・アリアス、フリアン・ヒラルド、ソフィア・ブエナベントゥラ 、カレン・キンテロ、デイビー・ルエダ、他多数

デビュー作CocaleroLBFF2008『コカレロ』の邦題で上映されている。

長編3作目、ウィリアム・ゴールディングの小説『蠅の王』の映画化。過去に何回か映画化されている。別途作品紹介予定。

新作の紹介記事は、コチラ⇒2019年08月21日

       

          

   

                                                                 

 

Nuestras madres / Our Mothersグアテマラ=フランス=ベルギー

  セサル・ディアス  

 カンヌFF併催の「批評家週間」2019正式出品、カメラドール受賞作品、監督デビュー作

キャスト:アルマンド・エスピティア、エンマ・ディブ、アウレリア・カアルCaal、フリオ・セラノ、ビクトル・モレイラ、他

カメラドール受賞は、セサル・アセベド『土と影』15)以来4年ぶり。

監督キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ20190507

      

       

 

  

 

Temblores / Tremorsグアテマラ=フランス=ルクセンブルク

  ハイロ・ブスタマンテ  ベルリンFFのパノラマ部門上映作品

キャスト:フアン・パブロ・Olyslager、ディアネ・バザン・エバンズ、マウリシオ・アルマス・セバドゥア、他

長編第2作目、デビュー作は『火の山のマリア』、第3作目がクロージング作品La Llorona(コンペティション外)、別途作品紹介予定。

新作の紹介記事は、コチラ⇒2019年08月19日

    

   

 

 

La ola verde (Que sea ley)アルゼンチン=ウルグアイ=フランス

  フアン・ソラナス  コンペティション外特別上映作品、カンヌFF2019特別上映作品

アルゼンチンの妊娠中絶合法化運動のドキュメンタリー

ドキュメンタリー第2作目。長編映画デビュー作Nordesteは、カンヌFF2005「ある視点」正式出品作品、第2作目Upside Down12、カナダ=フランス合作)の言語は英語。別途作品紹介予定。

 

     

 (カンヌの赤絨毯を踏む中絶合法化のシンボル緑のハンカチ運動の女性たち、519日)

 

★以上がコンペティション部門13作、特別上映、コンペティション外各1作、合計15作のラインナップです。以後、公開が期待できる作品、話題作などをできるだけ紹介したいと思います。


ホライズンズ・ラティノ、全15作が発表*サンセバスチャン映画祭2019 ⑧2019年08月08日 14:52

       オープニング作品はパトリシオ・グスマンのドキュメンタリー

 

    

 

★去る86日、ホライズンズ・ラティノ部門15作品が一挙に発表されました。うちコンペティション外2作品を含んでいます。映画祭上映、または公開が期待できる映画も混じっているセクションです。既に終了している映画祭、カンヌやサンダンスの受賞作、ベルリンやベネチアでノミネートされた作品も目につきます。アルゼンチン、ブラジル、チリ、ウルグアイ、メキシコ、キューバ、グアテマラ、ペルーの監督作品、なかには当ブログで記事に取り上げた作品も含まれており、まずはタイトル名・製作国・監督名・キャスト名を列挙しておきます。

 

オープニング作品はパトリシオ・グスマンのドキュメンタリーLa cordillera de los sueñosが選ばれていますが、本作はカンヌFFで特別上映され、最優秀ドキュメンタリー賞(ゴールデン・アイ)を受賞した作品です。15作品のうちクロージング作品に選ばれたグアテマラのハイロ・ブスタマンテLa lloronaはコンペティション外作品、他にベルリンFFのパノラマ部門で上映された作品Temblores / Tremorsも選ばれるなど、これは珍しいケースではないでしょうか。

 

La cordillera de los sueños / The Cordillera of Dreamsチリ=フランス、

  パトリシオ・グスマン  オープニング作品

  カンヌFF2019特別上映作品、ドキュメンタリー、84

『光のノスタルジア』『真珠のボタン』に続く「ピノチェト三部作」の完結編

カンヌFF2019特別上映での作品紹介は、コチラ20190515

 

     

 

La lloronaグアテマラ=フランス、ハイロ・ブスタマンテ   クロージング作品

 コンペティション外、VIIヨーロッパ・アメリカラティナ共同製作フォーラム作品

キャスト:マリア・メルセデス・コロイ、サブリナ・デ・ラ・ホス、フリオ・ディアス、マルガリタ・ケネフィック、フアン・パブロ・Olyslager、アイラ・エレア・ウルタド、マリア・テロン

 デビュー作『火の山のマリア』の作品紹介は、コチラ201508281025

 

    

 

Agosto / Augustキューバ=コスタリカ=フランス、アルマンド・カポ

 IIIヨーロッパ・アメリカラティナ共同製作フォーラム、Cine en Construcción 32作品

キャスト:ダミアン・ゴンサレス・ゲレーロ、ロラ・アモレス・ロドリゲス、ラファエル・ラエラ・スアレス、ベロニカ・ライン・ロペス、グレンダ・デルガド・ドミンゲス、他

 

     

 

Araña / Spiderチリ=アルゼンチン=ブラジル、アンドレス・ウッド

キャスト:メルセデス・モラン、マリア・ベルベルデ、マルセロ・アロンソ、ペドロ・フォンテイン、ガブリエル・ウルスア、フェリペ・アルマス、他

『マチュカ 僕らの革命』『サンティアゴの光』『ヴィオレータ、天国へ』の監督

 監督キャリア&フィルモグラフィー紹介記事は、コチラ20180304

新作「Araña」の作品紹介は、コチラ⇒2019年08月16日

   

     

 

Así habló el cambista / The Moneychangerウルグアイ=アルゼンチン=独、

  フェデリコ・ベイロー

キャスト:ダニエル・エンドレル、ドロレス・フォンシ、ルイス・マチン、ベンハミン・ビクニャ、ヘルマン・デ・シルバ、他

『アクネ ACNE』『映画よ、さようなら』『信仰を捨てた男』「Belmonte」の監督

 監督キャリア&フィルモグラフィー紹介記事は、コチラ20180803

 

     

 

Chicuarotesメキシコ、ガエル・ガルシア・ベルナル

 カンヌ映画祭2019特別上映作品、2019年、監督第2作目

キャスト:ベニー・エマニュエル、ガブリエル・カルバハル、レイディ・グティエレス、ドロレス・エレディア、ダニエル・ヒメネス⋍カチョ、他

カンヌFF2019特別上映での作品紹介は、コチラ20190513

  
       

 

De nuevo otra ves / Again Once Againアルゼンチン、ロミナ・パウラ

 ロッテルダム映画祭2019上映作品、女優ロミナ・パウラの監督デビュー作

キャスト:ロミナ・パウラ、モニカ・ランク、ラモン・コーエン、マリアナ・チャウド、パブロ・シガルエステバン・ビリアルディ、デニーズ(ドゥニーズ)・Groesman、他

 

     

 

El príncipe / The Princeチリ=アルゼンチン=ベルギー

  セバスティアン・ムニョス

 Cine en Construcción 34作品、監督デビュー作、ベネチアFF「批評家週間」正式出品

キャスト:アルフレッド・カストロ、フアン・カルロス・マルドナド

 

   

 

★女性監督が少ないのが気になりますが、全15作と分量が多いので2回に分けて、⑨以下は次回にアップします。パトリシオ・グスマンのドキュメンタリー三部作の完結編、しばらく製作に没頭していたアンドレス・ウッドの監督復帰、ガエル・ガルシア・ベルナルの第2作、ハイロ・ブスタマンテの2作同時上映など、秋の映画祭が楽しみになってきました。

 

ホライズンズ・ラティノ部門ノミネーション*サンセバスチャン映画祭2018 ⑫2018年08月21日 21:22

      ノミネーション12作品、うち8作品がデビュー作か第2作目の若手監督

    

    

★老舗の映画祭ロカルノが終幕するとベネチア(829日~9月8日)、トロント(96日~16日)と秋の映画祭シーズンが始まります。ロカルノではチリのドミンガ・ソトマヨル・カスティリョTarde para morir joven(「Too Late to Die Young」)が監督賞を受賞(副賞2万スイスフラン)、着実に実力をつけているようです。デビュー作『木曜から日曜まで』が東京国際映画祭2012「ワールド・シネマ」部門で上映されるにつき来日して、Q&Aに出席しています。第2Mar14)はベルリン映画祭2015のフォーラム部門にエントリーされている。残念ながら新作はSSIFF2018にはノミネートされておりません。ロカルノは副賞として与えられる賞金が大きく、因みに作品賞は9万スイスフラン(約110113円)、若いシネアストたちには魅力的な映画祭です。

ドミンガ・ソトマヨルのフィルモグラフィー紹介記事は、コチラ20150304

 

★個別の作品&監督フィルモグラフィー紹介は別にアップするとして、ノミネーション12作品のタイトル名、製作国名、監督名を以下に列挙しておきます。先発の映画祭に出品され既にご紹介済みの作品もあり、うちオープニング作品に選ばれたマルセロ・マルティネシLas herederasも、ベルリン映画祭2018でアップいたしました。監督が「アルフレッド・バウアー賞」、主役のアナ・ブルンが女優賞、共に銀熊賞を受賞した作品です。

 

★昨年7作もあったサンセバスチャン映画祭20162017Cine en Construcciónに参加した作品が4作、Foro de Coproducción Europa-América Latina参加作品が3作、合計7作あります。

 

 

Las herederas(パラグアイ、独、ブラジル、ウルグアイ、ノルウェー、仏)

 オープニング作品  監督マルセロ・マルティネシ

 ベルリン映画祭2018コンペティション正式出品

作品紹介・監督フィルモグラフィーは、コチラ201802160227

 


     

 Cómprame un revólver(メキシコ) 監督フリオ・エルナンデス・コルドン

 カンヌ映画祭2018と併催の「監督週間」に正式出品 

 


     

El motoarrebatador(アルゼンチン、ウルグアイ、仏) 監督アグスティン・トスカノ

 カンヌ映画祭2018と併催の「監督週間」に正式出品 

IV Foro de Coproducción Europa-América Latina

 


     

Enigma(チリ) 監督イグナシオ・フリシク・メリジャン

 Cine en Construcción 33

   

 

   

Familia sumergida(アルゼンチン、ブラジル、独、ノルウェー) 監督マリア・アルチェ

  Cine en Construcción 32

    

   

   

 Ferrugem / Rust(ブラジル)ポルトガル語  監督Aly Muritiba

 Cine en Construcción 32

  


 

 Figuras(スペイン、アルゼンチン) 監督エウヘニオ・カネバリ

 

    

 

La noche de 12 años(スペイン、アルゼンチン、フランス、ウルグアイ)

  ベネチア映画祭2018オリゾンティ部門正式出品

  監督アルバロ・Brechner

 IV Foro de Coproducción Europa-América Latina

    

       

 

Los silencios(ブラジル、フランス、コロンビア) 監督ベアトリス・セニエ

 カンヌ映画祭2018と併催の「監督週間」に正式出品、ポルトガル語・スペイン語 

 Cine en Construcción 33

    

     

   

 Marilyn(アルゼンチン、チリ、2017) 監督マルティン・ロドリゲス・レドンド

 ベルリン映画祭2018「パノラマ」部門正式出品、監督デビュー作

 III Foro de Coproducción Europa-América Latina

作品紹介・監督フィルモグラフィーは、コチラ20180225

    

     

    

Nuestro tiempo(メキシコ、仏、独、デンマーク、スウェーデン)

 監督カルロス・レイガダス

 ベネチア映画祭2018コンペティション部門正式出品、ベネチアが先に上映されます。

   

    

     

 Sueño Florianópolis(アルゼンチン、ブラジル、フランス) 監督アナ・カッツ

 カルロヴィ・ヴァリ映画祭2018コンペティション正式出品、国際映画批評家連盟賞他受賞作品

     

    

   

 

ホライズンズ・ラティノ部門12作*サンセバスチャン映画祭2017 ③2017年08月24日 14:12

             ベルリン、カンヌ、ベネチアなどに重なるラインナップ

 

  

 

★ラテンビートに関係の深い作品群がこの「ホライズンズ・ラティノ」、製作国がラテンアメリカに特化している部門です。12作品で決定のようです。取りあえず映画の原題、監督名、製作国を列挙しておきます。12作中半分の6がカンヌ映画祭などで既にアップ済みです。サンセバスチャンは9月末と三大映画祭後の開催ということもあって、なかなかワールド・プレミア作品を選ぶのは難しい。また今年目立ったのが、サンセバスチャン映画祭201516Cine en Construcción部門に参加した作品が7作もあったことでした。この部門の受賞者には、副賞として35,000ユーロの賞金が与えられます。

 

 1)Una mujer fantástica  監督セバスティアン・レリオ チリ=ドイツ=スペイン=米国

  1. ベルリン映画祭2017銀熊脚本賞、テディー賞ほか受賞作品、トロント映画祭2017出品 

    内容&監督キャリア紹介は、コチラ2017126222

  2.  

  1.  

      

  2. 2)La familia 監督グスタボ・ロンドン・コルドバ ベネズエラ=チリ=ノルウェー 

    カンヌ映画祭2017「批評家週間」正式出品 

    Cine en Construcción 30参加作品

    内容&監督キャリア紹介は、コチラ2017428

  3.  

  1.  

       

    3La novia del desierto 監督セシリア・アタンバレリア・ピバト アルゼンチン=チリ

    カンヌ映画祭2017「ある視点」正式出品

    Cine en Construcción 31参加作品 

    内容&監督キャリア紹介は、コチラ2017514 

  2.  

  1.  

       

  1. 4)Las hijas de Abril ミシェル・フランコ メキシコ  

    カンヌ映画祭2017「ある視点」審査員賞受賞作品

    内容&監督キャリア紹介は、コチラ201758526

  2.  

  1.  

      

  2. 5)Los perros マルセラ・サイド チリ=フランス 

    カンヌ映画祭2017「批評家週間」正式出品

    Cine en Construcción 31参加作品

    内容&監督キャリア紹介は、コチラ201751

  3.  

     

  1.     

  1. 6)Temporada de caza ナタリア・ガラジオラ アルゼンチン 監督  

    ベネチア映画祭2017「国際批評家週間」正式出品

    Cine en Construcción 31参加作品

    内容&監督キャリア紹介は、コチラ2017812

  2.  

  1.  

    以上6作は新たなアップは割愛いたします。

     

    7Al desierto 監督ウリセス・ロセル アルゼンチン=チリ

     

  1.  

  2.     

    8Arábia / Araby 監督アフォンソ・ウチョアジョアン・ドゥアン ブラジル

  3.   

  4.  

  1.  

  2.      

  1. 9)Cocote ネルソン・カルロス・デ・ロス・サントス・アリアス 

      ドミニカ共和=アルゼンチン=ドイツ=カタール 長編初監督作品 

      

  1.   

     

  2. 10)La educación del rey 監督サンティアゴ・エステベス アルゼンチン=スペイン 

      Cine en Construcción 30参加作品 長編初監督作品

  3.     

  1.   

     

  2. 11)Las olas アドリアン・ビニエス ウルグアイ=アルゼンチン 

    Cine en Construcción 30参加作品

      

  1.   

     

  1. 12)Medea アレクサンドラ・ラティシェフ コスタリカ=アルゼンチン=チリ 

      Cine en Construcción 30参加作品 長編初監督作品

  2.   

  1.  

     

    ★ナンバー(7)以降は、何作可能か分かりませんが、賞に絡みそうな作品からプロット、監督紹介を予定しています。今年のラインナップは粒ぞろいの印象、エントリー(8)番のブラジル映画 Arábia / Araby は、年初開催のロッテルダム映画祭で話題になって以来、既に世界各地の映画祭で上映されて受賞もしています。予告編からも「これは・・・」と思わせる凄さがあります。多分何かの賞に絡むでしょう。エントリー(11)番 Las olas のアドリアン・ビニエスは、アルゼンチン出身ですが現在はウルグアイで活動しています。ラテンビート2010で『大男の秘め事』が上映されている監督の長編3作目です。



「批評家週間」にマルセラ・サイドの新作*カンヌ映画祭2017 ②2017年04月25日 13:32

         もう1作はベネズエラのグスタボ・ロンドン・コルドバの「La familia

 

★予定より早く「批評家週間」と「監督週間」のノミネーション発表がありました。今回は1962年から始まった前者のご紹介。カンヌ本体とは別組織が並行して開催する映画祭ですが、例年一括りにしてご紹介しています。長編第1作から2作目までが対象です。いわゆる<巨匠>などがエントリーされることがなくずっとスリリングです。昨年はガリシアの監督オリヴェル・ラセのデビュー作Mimosasがグランプリ、2015年はアルゼンチンのサンティアゴ・ミトレの『パウリーナ』(ラテンビート2015)がグランプリを受賞して結構勝率が高い。2015年は「監督週間」ですが、チロ・ゲーラの「El abrazo de la serpiente」(邦題『彷徨える河』で公開)が作品賞を受賞するなど、ラテンアメリカが頑張った年でした。今年の期間は518日から26日まで、カンヌ本体より先に結果発表があります。

 

★今年は、チリ=フランス合作のマルセラ・サイドの第2Los perros(ワールド・プレミア)とベネズエラ=チリ=ノルウェー合作のグスタボ・ロンドン・コルドバLa familia2作品、ラテンアメリカからは他にブラジルの作品も選出されました。

 

マルセラ・サイドは、1972年サンチャンゴ生れのチリの監督、脚本家、プロデューサー、女優。デビュー作El verano de los peces volandores2013年の「監督週間」に出品され、続いてトロント映画祭の「Discovery」部門で上映された監督です。新作「Los perros」の主人公は『ザ・クラブ』(パブロ・ラライン)のアントニア・セヘルスとアルフレッド・カストロとチリの大物二人が出演、いずれ作品と監督キャリア紹介はアップする予定です。

 

   

 

グスタボ・ロンドン・コルドバは、1977年カラカス生れのベネズエラの監督、脚本家、編集者、プロデューサー。本作は長編映画としては第1作目ですが、以前から短編がベルリン映画祭で注目を浴びていた監督、ということで次回はデビュー作La familiaのご紹介を予定しています。

 

  

 

金獅子賞はフィリピン映画*ベネチア映画祭2016結果発表 ④2016年09月17日 10:06

             初出品のアマ・エスカランテが監督賞!

 

 

オフィシャル・セレクション部門

★金獅子賞はフィリピンの監督ラブ・ディアスLav Diazの“The Woman Who Left”が受賞。スペイン語映画は、昨年の金獅子賞受賞者ロレンソ・ビガスの“Desde allá”(ベネズエラ)に続いて、今年はメキシコのアマ・エスカランテLa región salvaje監督賞、アルゼンチンのオスカル・マルティネス男優賞(マリアノ・コーン&ガストン・ドゥプラット“El ciudano ilustre”)、英語映画だがパブロ・ララインJackie脚本賞を受賞、今年もラテンアメリカ勢が気を吐いた。尚監督賞はロシアのアンドレイ・コンチャロフスキーと分けあった。

 

アマ・エスカランテ監督賞(“La región salvaje”、メキシコ=デンマーク)

初めてのベネチアで監督賞とは何て強運の持ち主なのだろう。本人も「どんな賞も期待しないよう自制していた。だってそのほうが賢明でしょ。初めてのベネチアにこうしていられて素晴らしい。この賞はケーキに載ってるサワーチェリーのようなものです」とトロフィーを指した。

 

   

         (トロフィーを手にしたアマ・エスカランテ)

 

オスカル・マルティネス男優賞(マリアノ・コーン&ガストン・ドゥプラット“El ciudadano ilustre”、アルゼンチン=西)

アルゼンチンはノーベル賞に縁のない国ですが、オスカル・マルティネス扮する作家は、ノーベル文学賞受賞者の「名誉市民」、如何にも皮肉たっぷりのコメディ。ホルヘ・ルイス・ボルヘスは何回も候補に挙げられたが、スウェーデン・アカデミーは選ばなかった。マルティネスは1949年ブエノスアイレス生れ、ダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』に出演している。「30代から40代の若い監督は、おしなべてとても素晴らしい」と、二人の若い監督に花を持たせた。

 

 

        (トロフィーを手にしたオスカル・マルティネス

 

パブロ・ラライン脚本賞(“Jackie”、米=チリ)

デビュー以来、弟フアン・デ・ディオス・ララインと二人三脚で映画作りをしている。脚本賞受賞のフォトが入手できなかったので、レッドカーペットに現れた3人で悪しからず。監督は授賞式前に帰国したのかもしれない。 

  

             (レッドカーペットに現れた監督とナタリー・ポートマン)

 

 

(レッドカーペットに現れたラライン兄弟)

 

ロレンソ・ビガスが審査員の一人だったせいとは思いたくありません。彼自身も画家だった父親オスラルド・ビガスを語ったドキュメンタリーEl vendedor de orquídeas(ベネズエラ、メキシコ)が特別上映された。Desde alláラテンビート2016に『彼方から』の邦題で上映が決定しているようです。以前にご紹介した4作のなかで無冠だったのは、クリストファー・ムライEl Cristo ciego(チリ=仏)だけという効率のよいベネチアでした。 

 

         ルス・ディアスが女優賞―ラウル・アレバロのデビュー作

 

  オリゾンティ部門

ルス・ディアス女優賞を受賞。「監督になるために、まず俳優から映画界に入った」と語っていたラウル・アレバロのデビュー作Tarde para la ira出演。主だったキャストとスタッフで乗り込んだベネチアで結果を出すことができて、ラウルもさぞかし満足していることでしょう。

「自分の名前が呼ばれたときには思わず涙が出てしまいました」と語っていたルス・ディアス、1975年カンタブリアのレイノサ市生れ、女優、監督。舞台女優として出発、1993年『フォルトゥナータとハシンタ』が初舞台、映画、テレビで活躍。チュス・グティエレスの『デリリオ―歓喜のサルサ―』に出演、他にジャウマ・バラゲロ、ハビエル・レボージョなどの監督とコラボしている。2013 Porsiemprejamón で短編デビュー、脚本も手がけた。ただし、「何よりもまず、私は女優」ときっぱり。

  

  

   (まずまずのファッションで登壇したルス・ディアス)

 

   

 (ベネチアでの三人組、アレバロ監督、アントニオ・デ・ラ・トーレ、ルイス・カジェホ)

 

ガストン・SolnickiKékszakallú(アルゼンチン)も国際批評家連盟賞を受賞、タイトルはハンガリー語で「青ひげ」、バルトーク・ベーラの1幕物オペラ「青ひげ公の城」(1911作曲)からインスピレーションを受けて製作した由。Solnicki(ソルニッキー?)の長編第2作。

 

       「国際批評家週間」の観客賞はコロンビアの“Los nadie

 

Los nadie(“The Nobody”)フアン・セバスチャン・メサ、コロンビア、201584

フアン・セバスチャン・メサの第1回監督作品、ベネチアでは2回上映された(831日、910日)。第56回カルタヘナ映画祭オープニング作品、トゥールーズ、サンティアゴなど各映画祭で上映されている。治安の悪い町として知られている通りで暮らしている。タトゥーで武装した5人兄妹(カミロ、メチャス、マヌ、アナ、ピパ)の愛と憎しみと常に破られる約束の物語。街路のグラフィティアート、音楽が楽しめる。スタッフ、キャストがオール若者の映画。コロンビア公開2016915

 

    

 

    

              (フアン・セバスチャン・メサ監督)