第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018*ノミネーション発表2018年09月30日 17:30

          ネットフリックスの存在が大きくなってきたフェニックス賞2018

 

★去る924日、5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018のノミネーション発表がメキシコシティでありました。カテゴリーと解説に齟齬があったりカテゴリーの数が違ったりと、サイトでノミネーション個数にばらつきがありますが、当たらずとも遠からずでいくと、最多ノミネーションは、コロンビアのチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano9個、アルゼンチンのルクレシア・マルテル『サマ』8個でした。作品・監督・脚本・男優女優・撮影・・・と両作とも主要カテゴリーに選ばれています。

  

★イベロアメリカとはいえ、旧宗主国のスペインとポルトガルは影が薄く、第4回までの作品賞はすべてラテンアメリカ映画が制しています(第1回メキシコの『金の鳥籠』、第2回から4回までの『ザ・クラブ』、『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』、『ナチュラルウーマン』と連続でチリが受賞しています)。今年スペインとポルトガルは主要カテゴリーのノミネーションがゼロでした。

 

      

  (イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表に集まったシネアストたち)

   

★チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴのPájaros de veranoは、カンヌ映画祭2018併催の「監督週間」のオープニング作品です。チロ・ゲーラ映画の製作者クリスティナ・ガジェゴの初監督作品です。2016年には夫婦二人三脚で『彷徨える河』などの力作を撮っています。9カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・衣装・オリジナル音楽、ゴッドマザーを演じたカルミナ・マルティネスが女優賞にノミネートされた(美術がないサイトあり)。

Pájaros de verano」の作品紹介は、コチラ20180518

 

      

   (女優賞ノミネートのカルミナ・マルティネスとラウラ・モラの「Matar a Jesús」から)

 

★ルクレシア・マルテルの『サマ』は、ベネチア映画祭2017のコンペティション外上映、国際映画祭に数多く出品され、ラテンビートでも昨年上映されました。しかし批評家の高い評価にもかかわらず今もって作品賞は受賞しておりません。イベロアメリカ諸国の公開が殆ど2018年だったことで、今年のノミネーションになりました。8カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・録音とダニエル・ヒメネス・カチョが男優賞にノミネートされました。

『サマ』の主な紹介記事は、コチラ20171013

   

      

     (サマを演じ男優賞ノミネートのダニエル・ヒメネス・カチョ、映画から)

 

2作に続いて、メキシコのアロンソ・ルイスパラシオスの第2Museo6個です。その内訳は、作品・監督・撮影・オリジナル音楽・録音、ガエル・ガルシア・ベルナルの男優賞です。ベルリン映画祭2018脚本賞受賞作品。

Museo」の作品紹介は、コチラ20180219

 

      

           (男優賞ノミネートのガエル・ガルシア・ベルナル、映画から)

 

★同じくパラグアイのマルセロ・マルティネシLas herederas6個です。その内訳は、作品・監督・脚本・撮影・美術・録音、ベルリン映画祭で女優賞を受賞したアナ・ブルンはノミネートされませんでした。ベルリン映画祭2018のアルフレッド・バウアー賞と国際映画批評家連盟賞受賞作品、サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」部門オープニング作品、ラテンビート2018上映作品です。

Las herederas」の作品紹介は、コチラ20180216

 

     

             (監督とアナ・ブルン)

 

★作品賞・監督賞のノミネーションだけアップしておきます。

作品賞7作品)

Alanis監督アナイ・ベルネリ、アルゼンチン

As boas maneirasフリアナ・ロハス&マルコ・ドゥトラ、ブラジル

Cocoteネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス、ドミニカ共和国

Las herederasマルセロ・マルティネシ、パラグアイ

Museo」同アロンソ・ルイスパラシオス、メキシコ

Pájaros de veranoチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴ、コロンビア

Zamaルクレシア・マルテル、アルゼンチン

 

監督賞7人)

アナイ・ベルネリAlanis

フリオ・エルナンデス・コルドンCómparame un Revólver」メキシコ

マルセロ・マルティネシLas herederas

ラウラ・モラMatar a Jesús」コロンビア

アロンソ・ルイスパラシオスMuseo

チロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano

ルクレシア・マルテルZama

 

★という具合でスペイン映画は作品賞にも監督賞にも見当たりませんでした。ドキュメンタリー部門にゴヤ賞2018受賞のMuchos hijos, un mono un castillo、男優賞に「El autor」のハビエル・グティエレス、脚本賞に「Petra」のハイメ・ロサレス、美術賞に「Handia」と「La libreria」他がありました。

 

 

TVシリーズ部門ではネットフリックスの存在の大きさが際立っています。昨年も『ナルコス』などが受賞しましたが、今年もノミネーション5作品のうち3作がネットフリックスがらみです。スペインのLa casa de papel(『ペーパー・ハウス』シーズン2)、メキシコ=米のNarcos(『ナルコス』シーズン3)、アメリカ製作のLuis Miguel:La serie(シーズン1)の3作です。ルイス・ミゲルというのは一名メキシコの「太陽El Sol」と言われるほどのプエルトリコ生れのメキシコの歌手、現在活躍中の歌手のビオピック、グラミー賞5回受賞でハリウッドのウォーク・オブ・フェームに星が刻まれています。しばらく活動を休むなど謎の多い歌手ですが昨年復活しました。ルイス・ミゲルをディエゴ・ボネタ、歌手だった父親をオスカル・ハエナダが演じています。シーズン113話)が20184月からメキシコ、米国、スペイン、生れ故郷プエルトリコでNetflix同時配信されました(日本は未配信のようです)。

 

    

   (『ペーパー・ハウス』から)

 

   

            (『ナルコス』シーズン3

 

   

                 (ディエゴ・ボネタ、Luis Miguel:La serie」から

 

★この映画賞の作品選考はメキシコの「シネマ23」が中心になって行なわれ、イベロアメリカ映画アカデミー連盟、メキシコ映画アカデミーが参画、第16回モレリア映画祭(102028日)で受賞結果発表があり、ガラは117、メキシコシティのエスペランサ・アイリス・シティシアターで開催される予定。


第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*結果発表2018年05月03日 09:33

        大賞はセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』が独占しました!

 

     

429日メキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで、イベロアメリカ・プラチナ賞の結果発表がありました。本賞は奇数回がスペイン、偶数回がラテンアメリカ諸国と持ち回りで開催されています。スペインが指導的役割を担っておりますが、ラテンアメリカ諸国の映画振興が目的の一つということもあって、受賞作品はそちらに流れる傾向があります。今回はメキシコがホスト国で、エウヘニオ・デルベスが総合進行役を務めました。栄誉賞はメキシコの大女優アドリアナ・バラサの手に渡りましたが、メキシコ映画は残念ながら振るいませんでした。大賞はチリの『ナチュラルウーマン』が独占、技術部門はアルゼンチンの『サマ』と、ほとんどをこの2国が制しました。主なカテゴリーの受賞者は以下の通り。

TVシリーズは割愛、当ブログ紹介作品)

ノミネーション発表は、コチラ20180320

 

        

         (メキシコのマルチ・アーティスト、エウヘニオ・デルベス)

 

作品賞(フィクション部門)

La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)

La librería(スペイン)

Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)

Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

    

      

    

   (中央トロフィーを手にしているのが製作者フアン・デ・ディオス・ラライン)

 

 

監督賞

アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)

フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

(セバスティアン・レリオ)

   

             

脚本賞

カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)

フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

オリジナル作曲賞

アルベルト・イグレシアス 「サミット」(監督サンティアゴ・ミトレ、アルゼンチン、西)

アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)

デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)

フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)

プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

 

                                                           

男優賞

アルフレッド・カストロ Los perros(マルセラ・サイド、チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)

ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)

ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

 

     

女優賞

アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)

マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン) 

ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)

     

(ダニエラ・ベガ)

              

              

作品賞(アニメーション部門)

Deep(スペイン)

El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)

Historia antes de uma historia(ブラジル)

Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)

Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(監督エンリケ・ガトダビ・アロンソ、スペイン)

 

                                                        

作品賞(ドキュメンタリー部門)

Dancing Beethoven(スペイン)

Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)

El pacto de Adriana(チリ)

Los niños(チリ)

Muchos hijos, un mono y un castillo(監督グスタボ・サルメロン、スペイン)

 

                                                

オペラ・プリマ初監督作品賞

El techo(ニカラグア、キューバ)

La defensa del dragón(コロンビア)

La llamada(スペイン)

La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)

Mala junta(チリ)

Verano 1993(監督カルラ・シモン、スペイン)

 

                                       

編集賞

アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)

エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)

ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー

 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

    

美術賞

エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ミケル・セラーノ  Handia

モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)

レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラSaiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

 

    

撮影賞

ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)

ルイ・ポサス欠席のためブラジル側の製作者バニア・カタニが受け取った(下の写真参照)。

 

        

録音賞

アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

   Verónica(「エクリプス」スペイン)

グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

  El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)

Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

 

   

(左から、各自トロフィーを手にしたソレダード・サルファテ、グイド・ベレンブルム、

 バニア・カタニ、レナータ・ピネイロ)

 

価値ある教育シネマ賞

Como nossos pais ブラジル

Handia (監督アイトル・アレギジョン・ガラーニョ)スペイン

La mujer del animal コロンビア

Mala junta チリ

Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

   

    

イベロアメリカ・プラチナ栄誉賞

アドリアナ・バラサ(日本ではバラッザと表記)Adriana Barrza1956年メキシコ州トルーカ生れ62歳、女優、監督、製作者。イベロアメリカ映画の若い世代にとっては師であり道しるべ的存在である。サム・ライミのスリラー・ホラー『スペル』09)の霊能者役から、アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥの『アモーレス・ぺロス』99、続いて『バベル』06)に出演、本作でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされたほか、ゴッサム賞「アンサンブル・パフォーマンス賞」に共演のブラッド・ピットやケイト・ブランシェット、G.G.ベルナルなどと受賞した。142分という長い疲れる映画でしたが大ヒットした。他の公開作品ではケネス・ブラナーが実写映画化した『マイティ・ソー』(11)、パトリシア・リヘンの『チリ33人、希望の軌跡』(15)に脇役で出演している。

 

     

     (『バベル』の第2部アメリカ・メキシコ編で家政婦アメリアを演じた)

 

★監督としてはTVシリーズのテレノベラを多く手掛けている。他に演劇では、『マクベス』のような古典劇の編集も手掛け、2011年には夫君であるブエノスアイレス出身の俳優、監督、プロデューサーArnaldo Pipkeと「アドリアナ・バラサ・アクティング・スタジオ」という俳優養成学校を米国で設立したほか、「アドリアナ・バラサ・ブラック・ボックス」というヒスパニック演劇フェスティバルが開催できる演劇空間をマイアミに設立している。夫君はメキシコ、マイアミ、ブエノスアイレスで幅広く活躍している。

 

      

        (栄誉賞のトロフィーを手にしたアドリアナ・バラサ、429日)


第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*ノミネーション発表2018年03月20日 14:23

             『ナチュラルウーマン』最多の9部門ノミネーション

 

★第5イベロアメリカ・プラチナ賞のガラが、昨年の7月から4月に前倒しになったせいか、ノミネーション発表も2月下旬と早まりました。目下、ガラはラテンアメリカ諸国とスペインとで交互に開催されています。パナマ、スペインのマルベージャ、ウルグアイのプンタ・デル・エステ、マドリード、今回はメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤ(グラン・ティラッコ劇場Teatro Gran Tlachco de Xcaret 1800人収容)で429日です。総合進行役はメキシコの俳優・監督・製作者・脚本家と多才なエウヘニオ・デルベス、彼は第1回プラチナ賞男優賞の受賞者です。

1回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式の記事は、コチラ2014417

 

★映画賞は過去の作品に贈られる賞だから受賞結果だけでもと思いつつ、まだ5回目という歴史の浅い映画賞、イベロアメリカ諸国以外では話題にならないことも考慮して、やはりアップしておくことにしました。開催時期が3月から4月になった21回マラガ映画祭413日~22日)の各賞発表が五月雨式にアップされています。ギレルモ・デル・トロマラガ賞受賞を手始めに、そろそろ紹介していく予定です。71回カンヌ映画祭58日~19日)も未だ発表になっておりません。今回の審査委員長は女性と予想しておりましたが、ケイト・ブランシェットに決定したようです。スペイン語映画がノミネートされるようでしたら記事にしたい。

 

★主なカテゴリー

 (製作国はイベロアメリカ諸国限定。「」は公開または映画祭上映時の邦題 当ブログ紹介)

作品賞(フィクション部門)

La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)

La librería(スペイン)

Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)

Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

 

「サマ」

     

監督賞

アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)

フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

イサベル・コイシェ

     

脚本賞

カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)

フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

「ナチュラルウーマン」

      

オリジナル作曲賞

アルベルト・イグレシアス 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)

デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)

フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)

プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

 

「サミット」

                                                             

 男優賞

アルフレッド・カストロ Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)

ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)

ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

 

ハビエル・グティエレス

       

女優賞

アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)

マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン) 

ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)

 

アントニア・セヘルス

                                                   

作品賞(アニメーション部門)

Deep(スペイン)

El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)

Historia antes de uma historia(ブラジル)

Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)

Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(スペイン)

  

                                                            

             「Lino-Uma aventura de sete vidas

 

作品賞(ドキュメンタリー部門)

Dancing Beethoven(スペイン)

Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)

El pacto de Adriana(チリ)

Los niños(チリ)

Muchos hijos, un mono y un castillo(スペイン)

 

                                               

           「Muchos hijos, un mono y un castillo

 

オペラ・プリマ初監督作品賞

El techo(ニカラグア、キューバ)

La defensa del dragón(コロンビア)

La llamada(スペイン)

La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)

Mala junta(チリ)

Verano 1993(スペイン)

 

 「El techo

                                     

 編集賞

アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)

エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)

ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー

 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

La mujer del animal

       

美術賞

エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ミケル・セラーノ  Handia

モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)

レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラ Saiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

 

Handia

      

撮影賞

ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)

 

 「夏、1993

    

 

録音賞

アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

   Verónica(「エクリプス」スペイン)

グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

  El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)

Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

「エクリプス」

        

価値ある教育シネマ賞

Como nossos pais ブラジル

Handia スペイン

La mujer del animal コロンビア

Mala junta チリ

Una mujer fantástica 「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン

    

(ブラジル)

    

テレビ・シリーズのノミネーションは割愛、受賞作品はアップします。

掲載写真は各国から適当に選んだものです。

 

★ざっと眺めただけで単独合作含めてスペインのノミネーションが多い。作品・監督・脚本賞のいずれにも顔を出している。ドキュメンタリーやアニメーションを合計すると20作ぐらいになるか。メキシコが開催国だがいささか寂しい印象です。メキシコ、ブラジル、チリなど除くと、ラテンアメリカ諸国は1国だけで製作するのは難しいことが分かります。少しはマシなスペインの資金提供となる。

 

★今回の参加国は23ヵ国だそうですが(ノミネーションを受けた国は11ヵ国)、ゴヤ賞2018イベロアメリカ映画賞にノミネートさえされなかったフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」が、7カテゴリーでノミネートされている。悪くはなかったが、個人的には少し奇異な印象をもちました。


イベロアメリカ映画の将来を模索する*第4回フェニックス賞20172017年12月13日 16:51

            影の薄いかつての宗主国スペインとポルトガル

 

           

★授賞式の1日だけでなく「フェニックス週間Semana Fénix」(122日~9日)と銘打って、各種のシンポジウムが開催されました。せっかく各国のシネアストが一堂に会したのだから唯のお祭り騒ぎに終わらせたくないという思いがあるようです。「シネマ23」というメキシコ主導の映画賞とはいえ、ラテンアメリカ諸国の映画によりスポットを当てたい。どちらかというとかつての宗主国イベリア半島のスペインとポルトガルは裏方の印象が強い。それは結果を見れば歴然です。第1回の作品賞受賞国はメキシコのケマダ=ディエスの『金の鳥籠』、第2回と3回はチリのパブロ・ララインの『ザ・クラブ』と『ネルーダ』、第4回の『ナチュラルウーマン』とチリが3連続受賞しています。監督賞は順次、メキシコのアマ・エスカランテ、チリのパブロ・ララインとコロンビアのチロ・ゲーラ、ブラジルのクレベール・メンドンサ・フィリオ、チリのセバスティアン・レリオと、スペイン、ポルトガルの影は薄い。ここいら辺が同じイベロアメリカを対象にしたプラチナ賞との大きな違いです。

 

       ノミネーションされた監督&脚本家のディスカッション

 

★シンポジウムの一つは監督と脚本家のグループ、出席者は、パブロ・ラライン、アマ・エスカランテ、ダビ・プリド(スペインの脚本家、『物静かな男の復讐』)、ガストン・ドゥプラットマリアノ・コーン(アルゼンチン、『笑う故郷』共同監督)、カルラ・シモン(スペインの監督、『夏、1993』)の6人。「イベロアメリカ映画というジャンルが実際に存在するのかどうか?」「イベロアメリカで製作された映画が共有しているスタイル、テーマがあるのかどうか?」などについて、かなりざっくばらんに語り合ったということです。メキシコ市のトナラTonalá 映画館で開催された。 

     

   (左から、ガストン・ドゥプラット、アマ・エスカランテ、マリアノ・コーン、他)

 

★今回は監督としてではなく『ナチュラルウーマン』のプロデューサーの一人としてメキシコにやってきたパブロ・ラライン、今のチリで一番国際的な知名度のあるシネアストの一人だと思います。どうやら監督賞ノミネーションのセバスティアン・レリオ(受賞した!)が来墨できなかったようで、弟フアン・デ・ディオスと設立した制作会社「ファブラ」の代表者として兄弟でチームをアシストしていた。「誰しも居心地のいい箱の中にいたほうがいいとは思っていません。私たちの映画は常に他の映画とは別に分類されます。それは映画の存在を知ってもらえるよう、定義してもらえるような箱が必要なんです」とラライン。まだ各国単独で立ち向かうには力不足ということでしょうか。 

      

         (左から、パブロ、フアン・デ・ディオスのラライン兄弟)

 

★今回は最新作La región salvaje(英題「The Untamed」)の作品・監督・脚本賞のノミネーションを受けたアマ・エスカランテ、国際的なデビューでは一番の古株になります。本作は初めて参加したベネチア映画祭2016の監督賞受賞作品、製作国はメキシコ、デンマーク、仏、独以下9ヵ国に及ぶという。「私は自分のアイディアを誰にも売らなくてよかった。誤りや適切な判断を含めて、私たちは自由をもっている」とエスカランテ。本作のテーマは「メキシコに存在する偽善、ホモ嫌い、マチスモについてのSF仕立ての映画です。各国のプロデューサーが意見を述べ、最終的には私が映画の売上高も考慮して決めた」と語っている。共同執筆者ヒブラン・ポルテラと物語の信憑性や要素を損なわずに維持することができた。ポルテラは『金の鳥籠』やアロンソ・ルイスパラシオスのデビュー作『グエロス』(東京国際映画祭2014)の脚本も各監督と共同で手掛けているライター。

IMDbによるとLa región salvaje」の公開が2018227日とアナウンスされていますが、邦題は未定のようで公式サイトも検索できませんでした。公開確実なら初めてとなります。デビュー作『サングレ』以下は映画祭上映です。

      

  

           (本作のプレゼンをするアマ・エスカランテ監督)

 

★製作資金も大きなテーマの一つだった。ガストン・ドゥプラットマリアノ・コーン1993年に出会い、11年前から今日までコンビを組んでドキュメンタリーを含めて長編6作を撮っている。批評家の絶賛にもかかわらずデビュー作以来今日まで彼らの作品にどこからも資金提供を得られなかったという。『ル・コルビュジエの家』(09)の成功後もそれは変わらず、ノミネート作品『笑う故郷』完成に5年間要したと語っている。「年率35%のインフレでは誰も映画に投資する気になれない。着手する前に疲労困憊してしまう」とコーン監督。アルゼンチンで映画を作ろうとするなら、まず会計業務や経済学を学んでからというわけです。

 

★初期の映画は社会イベントにカメラを持ち込んで製作した。その後『ル・コルビュジエの家』を12万ドルの資金で4週間で撮った。「観客が新鮮な視点やテーマのもつ力強さに興味をもってくれた」とドゥプラット監督、「ある地域的な物語かもしれないが、普遍的なパンチ力があった」とコーン監督。これは最新作『笑う故郷』にもいえることでしょう。個人的には『ル・コルビュジエの家』の不気味さのほうに惹かれますが。

 

          一番の難題は映画産業の拡大と流通のギャップ

  

★アマ・エスカランテがデビュー作『サングレ』(東京国際映画祭2005)を撮ったころのメキシコでは、メキシコ全体で20作ばかりしか製作されなかった。厳しさは相変わらずだが2017年には170作にも上るということです。1国だけで製作することは難しく、この10年間でいっても56ヵ国を超えるのは珍しくない。充分とは言えないが資金援助を利用することもできるようになっている。「警告しておきたいのは、販売ディーラーなしで映画を作るべきではない」とラライン。とは言っても、それが見つけられないのではないでしょうか。

 

★一番の問題は、映画産業の拡大はあっても、その作品がラテンアメリカ諸国間に流通しないということがある。他の国の映画を観ようとしても配給会社が手を出さない。危険を冒してまで賭けをしようとはしない。映画は映画館で観る時代ではなく、何か他のプラットフォームを考える時期に来ている。それは一つには「多分webウェブサイト」と、昨年の作品賞『ネルーダ』の監督。ラテンアメリカ諸国も変化の秋を迎えている。スペインから参加したダビ・プリドとカルラ・シモンは聞き役だったのでしょうか。

 

★もう一つのシンポジウムは俳優のグループ、男優賞・女優賞各5名のうち、レオナルド・スバラグリア(アルゼンチン、『キリング・ファミリー 殺し合う一家』)、エドゥアルド・フェルナンデス(スペイン、『スモーク・アンド・ミラーズ』)、エドゥアルド・マルティネス(キューバ、「Santa y Andrés」)、パウリナ・ガルシア(チリ、「La novia del desierto」)、アントニア・セヘレス(チリ、「Los perros」)、リリアナ・ビアモンテ(コスタリカ、「Medea」)、各3名が参加した(国名と出演映画タイトル)。

 

★作家性のある映画は消えていく傾向にあること、どうやって観客と出会えることができるのか、映画祭に出品される映画はともかく、そうでない作品はどうやって国境を越えて観客に届けることができるのか、コスタリカのようにプロジェクトがそもそも少ない小国で映画を作る厳しさ、ハリウッドで噴き出しているセクハラ問題には触れなかったようだが、男性のロジックが常にまかり通ってしまうラテンアメリカでは、全世代の女性たちに興味をもってもらえる役柄があるのではないかなど、ハリウッドのステレオタイプ的な映画を前にして、やるべき事柄は山積していることが異口同音に述べられた。

 

   

 (左から、P. ガルシア、E. フェルナンデス、司会者K. GidiE. マルティネス、L. スバラグリア、

    A. セヘレス、L. ビアモンテ)

 

当ブログで6作とも紹介記事をアップしております。


第4回イベロアメリカ・フェニックス賞2017*結果発表2017年12月09日 14:24

          最優秀作品賞はセバスティアン・レリオの「Una mujer fantástica

   

    

★昨年はパブロ・ララインの『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』が作品賞以下多数のフェニックスのタマゴを独占しましたが、今年もセバスティアン・レリオUna mujer fantásticaが作品賞を受賞、他にセバスティアン・レリオが監督賞、主演のダニエラ・ベガが女優賞と連続でチリ映画が大賞を制しました(126日発表)。本作は『ナチュラルウーマン』の邦題で2018年2月公開が決定しています。政治的にも経済的にも各国問題を抱えていますから、単なるフィエスタに終わらせず、この映画賞を機にイベロアメリカ諸国が一堂に会して映画の未来を議論する場にしようと模索しているようでした。受賞作品並びに受賞者は以下の通り、作品賞のみノミネート作品を列挙しました。

3回イベロアメリカ・フェニックス賞の記事は、コチラ20161215

 

   

       (女性に性転換したマリナ・ビダルを演じたダニエラ・ベガ、映画から)

 

 映画部門

◎作品賞(このカテゴリーのみ7作品ノミネーション)

Viejo calavera  ボリビア=カタール、2016、監督キロ・ルッソ

 本作の内容・監督紹介記事は、コチラ201695

 

La región salvaje メキシコ=独=仏=デンマーク、2016、監督アマ・エスカランテ

  本作の内容・監督紹介記事は、コチラ2016917

 

Verano 1993 『夏、1993』スペイン、2017、監督カルラ・シモン

  本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ2017222

 

Una mujer fantástica チリ=スペイン=米国、2017、監督セバスティアン・レリオ

  本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ2017126

 

   

 (左橋がプレゼンターのディエゴ・ルナ、トロフィーを手にしているのがプロデューサーの

  フアン・デ・ディオス・ラライン、右端がヒロインのダニエラ・ベガ)

 

El ciudadano ilustre 『笑う故郷』アルゼンチン=西、2016

  監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

  本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ20161013

 

O Ornitologo ブラジル=ポルトガル=フランス、2016、監督ジョアン・ペドロ・ロドリゲス

 

A fábrica de nada ポルトガル、2017監督ペドロ・ピニュ

  本作の内容・監督紹介記事は、コチラ20171115

 

◎監督賞

セバスティアン・レリオ Una mujer fantastica

 

◎男優賞

オスカル・マルティネス 『笑う故郷』

 

◎女優賞

ダニエラ・ベガ Una mujer fantastica

*家族の理解もあって自らも10代のころから徐々に性転換していったというダニエラ・ベガ、これからが役者としての正念場を迎えねばならない。

 

   

           (フェニックスのタマゴを手に喜びのダニエラ)

 

◎脚本賞

カルラ・シモン 『夏、1993 

 

    

   

◎撮影賞

ラミロ・シビタ El invierno 監督エミリアノ・トレス(アルゼンチン)

 本作の内容・監督紹介記事は、コチラ2016926

 

   

◎オリジナル音楽賞

キンカス・モレイラLa libertad del diablo メキシコ、2017、監督エベラルド・ゴンサレス

 

◎編集賞

クラウディア・オリヴェイラエドガー・フェルドマンルイサ・Homem A fábrica de nada

    

 (クラウディア・オリヴェイラ) 

 

 ◎美術デザイン賞

エウヘニオ・カバリェロ 『怪物はささやく』 監督フアン・アントニオ・バヨナ(米、西)

    

  

◎衣装賞

Ro Nascimento Joaquim 監督マルセロ・ゴメス(ブラジル、ポルトガル、スペイン)

 

◎録音賞

Marc Orts(マーク・オーツ)、オリオル・タラゴピーター・グロソップ 『怪物はささやく』

 

◎長編ドキュメンタリー賞

La libertad del diablo 監督エベラルド・ゴンサレス

 本作の内容・監督紹介記事は、コチラ2017222

 

   

◎ドキュメンタリー撮影賞

マリア・セッコ La libertad del diablo 

 

    

  (ディエゴ・ケマダ=ディエス『金の鳥籠』でも注目されたウルグアイのマリア・セッコ)

 

★他にTVシリーズ部門としてドラマコメディ俳優アンサンブル3カテゴリーがあり、ネットフリックスのオリジナル作品『ナルコス』(クリス・ブランカト、カルロ・ベルナルド、他、コロンビア=米)がドラマ部門と俳優アンサンブルで2賞、Club de Cuervos(ガス・アラスラキ、ミケ・ラム、メキシコ)がコメディ部門を受賞、ネットフリックスの存在の大きさを見せつけた夕べとなった。メキシコは合計4賞したこともあって、お茶の間も盛り上がったようでした。

 

  

      (タマゴを手にした『ナルコス』アンドレス・バイス監督、右側パウリナ・ガルシア)

      

         

              (喜びに沸いた「Club de Cuervos」のスタッフとキャスト一同)

 

★その他、特別賞として、キャリア賞ノルマ・アレアンドロ)、批評家賞アイザック・レオン・フリアス)、Exhibidoresという 展示者賞にフアン・アントニオ・バヨナ(欠席)の『怪物はささやく』が受賞した。

 

    

   (アルゼンチンの『オフィシャル・ストーリー』の主演女優ノルマ・アレアンドロ)

 

★エミリアノ・トレスのデビュー作「El invierno」は、サンセバスチャン映画祭2016の審査員特別賞受賞作品。時間切れで作品紹介はできませんでしたが、サンセバスチャンでもラミロ・シビタは撮影賞を受賞しています。

 

★ポルトガル映画ジョアン・ペドロ・ロドリゲスのO Ornitologoと、ブラジル映画マルセロ・ゴメスのJoaquimは当ブログ未紹介作品です。前者はロッテルダム映画祭2016の監督賞受賞を皮切りに国際映画祭の受賞歴多数、サンセバスチャン映画祭2016「サバルテギ」部門でも上映されました。後者はベルリン映画祭2017正式出品です(主要言語がポルトガル語)。

 

★イベロアメリカ・フェニックス映画賞は参加国が23ヵ国と多いせいか公開時期が各国異なるので、どうしても2016年と2017年が混在が避けられません。大分以前の作品もノミネーションされている印象を受けます。  (クラウディア・オリヴェイラ)

  

ウエルバ映画祭2017結果発表*アルゼンチンの「La novia del desierto」2017年11月24日 14:05

             二人の女性監督のデビュー作が「金のコロン」作品賞を受賞

  

   

★第43回を迎えたイベロアメリカ・ウエルバ映画祭2017の結果発表がありました(1118日)。本映画祭紹介は初めてですが、今年は当ブログで紹介したアルゼンチンのセシリア・アタンバレリア・ピバトの長編デビュー作La novia del desierto(アルゼンチン=チリ合作)が最優秀作品賞「金のコロン」(ゴールデン・コロンブス賞)、主演のパウリナ・ガルシアが女優賞「銀のコロン」、同じく共演者のクラウディオ・リッシが男優賞、さらに合作映画に与えられる共同製作賞などの大賞を独り占めしたのでアップいたします。カンヌ映画祭2017「ある視点」ノミネーション作品。

La novia del desierto」の紹介記事は、コチラ2017514

 

 

(パウリナ・ガルシアとクラウディオ・リッシ)

 

 

                 (二人の監督、セシリア・アタンとバレリア・ピバト) 

 

★授賞式には両監督は欠席、主役のパウリナ・ガルシアがメッセージを代読、配給元のプロデューサーロレア・エルソが「世界のすべてのテレサたちに捧ぐ」とコメントした(テレサとはパウリナが演じた54歳になる身寄りのない家政婦の名前)。プレゼンテーターは今回の審査委員長メキシコの監督ルシア・カレーラス、日本では『うるう年の秘め事』(マイケル・ロウ、LB2011)や『金の鳥籠』(ディエゴ・ケマダ=ディエス、難民映画祭2014の脚本家として認知されているが、2011年「Nos vemos, papa」で監督デビューを果たし、2016年の第2作「Tamara y la Catarina」は評価も高く、今回の審査委員長指名になった。

 

   

   (左から、ルシア・カレーラス、パウリナ・ガルシア、ロレア・エルソ、授賞式にて)

 

★ウエルバ市はアンダルシア州ウエルバ県の県都、隣県セビーリャ、カディス、バダホス、ポルトガルに接し、南はカディス湾に面している。どちらかというと芸術文化には縁の薄い産業と農業の町です。作品賞に命名された「コロン」は、1492年にコロンブスが最初の航海に出た港がウエルバ県のパロス・デ・ラ・フロンテラだったからです。まだフランコ体制だった1974年設立、第1回開催が1975年、インターナショナルではなくスペイン語とポルトガル語映画に特化した映画祭、イベロアメリカの発展振興を世界に向けて発信するのが目的です。今年の受賞国アルゼンチンが10回、続くブラジルとチリが7回、他スペイン、ポルトガル、メキシコ、キューバ、ウルグアイなどが各35回、時代によってかなり変化があります。

 

★オフィシャル・セレクションはドキュメンタリーを含む長編と短編に分かれ、長編部門の最高賞が「金のコロン」、短編が「銀のカラベラ」です。カラベラcarabela156世紀の航海時代に使用された3本マストの快速小型帆船のことで、コロンブスの第1回航海に使用されたことに因んで命名された。従って金賞は長編作品賞のみです。他にコンペティション部門とは関係なく選ばれる、栄誉賞にあたる「ウエルバ市賞」(1998年より)、アンダルシア出身の監督作品に与えられる「フアン・ラモン・ヒメネス賞」、新人監督賞、観客賞(El eco de los aplausos)他があります。

 

★今年は12作がノミネートされ、そのうち当ブログで紹介した作品は、受賞作の他、ベルリン映画祭2017の銀熊脚本賞に輝いたセバスティアン・レリオUna mujer fantástica(チリ)、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」に正式出品されたマルセラ・サイド2Los perros(チリ)、エベラルド・ゴンサレスのメキシコの闇を切り取った問題作La libertad del díablo(メキシコ、ドキュメンタリー)などがあります。賞に絡んだのは、マルセラ・サイドの「Los perros」が「イベロアメリカの現実を反映した映画」として、ラジオ・エクステリアRadio Exterior de España賞、主役を演じたダニエラ・ベガが女優賞を取るかと予想した、セバスティアン・レリオのUna mujer fantástica」は観客賞を受賞した。既にベルリンやカンヌでワールド・プレミアした作品ですが、チリの躍進が目立った印象でした。

  

「Una mujer fantástica」の紹介記事は、コチラ⇒2017年1月26日同年2月22日

「Los perros」の紹介記事は、コチラ⇒2017年5月1日

「La libertad del diablo」の紹介記事は、コチラ⇒2017年2月22日

 

 

 

 (アントニア・セヘルスとアルフレッド・カストロ、ポスターから)

 

(マルセラ・サイド監督)

 

 

(女性に性転換したマリアを演じたダニエラ・ベガ、映画から)

  

  

             (La libertad del díablo」のエベラルド・ゴンサレス監督)

  

★栄誉賞「ウエルバ市賞」をアルゼンチンの俳優ダリオ・グランディネッティが受賞、登壇したハイメ・チャバリにエスコートされたアナ・フェルナンデスの手からトロフィーを受け取った。1959年サンタ・フェ生れの58歳、アルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』や『ジュリエッタ』、ダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』で知名度を高めている。2016年の受賞者はキューバのホルヘ・ぺルゴリア、2015年はベレン・ルエダアイタナ・サンチェス=ヒホンの複数、年によって数がまちまちです。他にアルゼンチンからは、アドルフォ・アリスタライン監督、ベテラン俳優のフェデリコ・ルッピ、レオナルド・スバラグリア、エルネスト・アルテリオなどが受賞者。

 

   

            (トロフィーを手にダリオ・グランディネッティ)

 

第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*結果発表2017年07月25日 18:36

         作品賞は『笑う故郷』、アルモドバルが『ジュリエッタ』で監督賞!

 

★ノミネーション発表(531日)から大分時間が空いて気が抜けてしまっていた授賞式が、去る722日にマドリードのカハ・マヒカで開催されました。作品賞は予想通り、本作はラテンビート上映時の邦題『名誉市民』が『笑う故郷』と笑えないタイトルになって公開されます。監督賞J.A.バヨナアルモドバルか迷いましたが、後者に軍配が上がりました。当夜いちばん光が当たった人がアルモドバルでした。彼の授賞式参加は初めて、つまりガラでの発言は皆無でした。「この受賞を市民戦争中に行方不明になった家族を探し続けている人々に」捧げるとスピーチした。えっ『ジュリエッタ』ってそんな映画でした? これにはかなり説明が必要なので別にアップいたします。というのもフランコ時代に無実の罪で23年間服役していた詩人マルコス・アナ(19202016)の回想録の映画化と関係があるからです(アルモドバルはこの回想録の映画化権を持っている)。いずれアップします。

 

   

★ドラマ部門の女優賞はブラジルのソニア・ブラガ、本作で第3回イベロアメリカ・フェニックス賞でも女優賞を受賞している。なお彼女は第1回プラチナ賞の栄誉賞受賞者でもありました。観客賞部門の女優賞ナタリア・オレイロは、ウルグアイ出身であるが主にアルゼンチンで活躍している。前回ウルグアイで開催された第3回ではサンティアゴ・セグラと総合司会者を務めました。ということで今回はベテラン女優が気を吐きました。男優賞のオスカル・マルティネスについてはもう書きすぎました。

 

作品賞(ドラマ部門)

Aquarius アクエリアス」(ブラジル)監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ

『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)監督:ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)監督:アルベルト・ロドリゲス

『ジュリエッタ』(スペイン)監督:ペドロ・アルモドバル

「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)監督:パブロ・ラライン

 

  

 (左から、アンドレス・ドゥプラット、ガストン・ドゥプラット、オスカル・マルティネス、

  マリアノ・コーン、受賞者一同)

 

監督賞

フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)

クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)

パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)

 

(ペドロ・アルモドバル

             

脚本賞

アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

アンドレス・ドゥプラット『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン

パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante

 (キューバ、ベネズエラ、コロンビア)

 

 

女優賞

アンジー・セペダLa semilla del silencio」(コロンビア)

エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)

フアナ・アコスタAnna」(コロンビア・フランス)ジャックToulemondeビダル監督

ナタリア・オレイロGilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)

          ロレナ・ムニョス監督

◎ソニア・ブラガAquarius」(ブラジル)

 

 (ソニア・ブラガ)

  

男優賞

アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)

ダミアン・カサレスLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

オスカル・マルティネス『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

 

 (オスカル・マルティネス)

 

 

オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)

『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス

La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア

Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン

Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ

『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ

 

音楽賞

アルベルト・イグレシアス『ジュリエッタ』

ゴヤ賞の胸像を10個、オスカー賞ノミネーション3回、今回プラチナ賞をゲットして、トロフィーのコレクター。アルモドバル作品を一手に引き受けている。

 

美術賞

エウヘニオ・カバジェロ『怪物はささやく』

 

撮影賞

オスカル・ファウラ『怪物はささやく』

 

編集賞

Bernat Vinapiana / Jaune Marti『怪物はささやく』

 

録音賞

Peter Glossop / Marc Orts / オリオル・タラゴ『怪物はささやく』

『怪物はささやく』は言語が英語のため、作品賞から外されました。興行的にはナンバーワンの功労者でしたが残念でした。バヨナ自身は監督賞を逃しましたが、技術部門4個を制しました。 

 

 (フアン・アントニオ・バヨナ)

 

  

ミニシリーズ&テレビシリーズ賞

Cuatro estaciones en La Habana(西、キューバ)監督:フェリックス・ビスカレット

キューバの推理作家レオナルド・パドゥラのマリオ・コンデ警部補が活躍する「四季シリーズ」がベースになっている。

 

ドキュメンタリー賞

2016, Nacido en Siria(スペイン)監督:エルナン・シン

現在ヨーロッパで起きている、各政府が目を背けている証言で綴られている。よりよい生活を求めて旅を続けるシリアの子供たち20人と14か月間、監督は行を共にして作ったドキュメンタリー。

 

アニメーション賞

Psiconautas, los niños olvidados (スペイン)監督:アルベルト・バスケス&ペドロ・リベロ

 

意義のある教育賞

Esteban(キューバ、スペイン)

 

 

作品賞(観客賞部門)

『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

 

女優賞(観客賞部門)

◎ナタリア・オレイロ Gilda, no me arrepiento de esta amor

 

 (ナタリア・オレイロ)

     

  

男優賞(観客賞部門)

オスカル・マルティネス『笑う故郷』

 

ポスター賞(観客賞部門)

『ジュリエッタ』アルモドバル

 

プラチナ栄誉賞

エドワード・ジェームズ・オルモス

EGEDA会長エンリケ・セレソがプレゼンターでした。1947年ロサンゼルス生れのメキシコ系アメリカ人俳優。スペインUSA合作『ロルカ、暗殺の丘』(1997、監督マルコス・スリナガ)、代表作は『ブレードランナー』、TVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』(198489)のマーティン・キャステロ主任警部役がもっとも有名でしょうか。本作で1985年にゴールデングローブ賞、エミー賞を受賞している。531日にロスで開催されたノミネーション発表会のプレゼンターを務めていた。   

 

★記者会見では「時差ボケで睡眠がとれずくたくたです。・・・国ではラテン芸術の理解に奮闘しています。彼らは私たちラテン系に恐怖をもっているのです」と、今や国民の20パーセントを占めるに至ったヒスパニック系アメリカ人に対する差別が増加していると語っていた。トランプが演出する反オバマ政策を支持する一部の人々が存在していること、そういう米国人はアフロ系大統領には我慢できなかった。「しかし私はオプティミストです」と希望も語っていた。

 

★第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018はラテンアメリカに戻って、メキシコのリビエラ・マヤで、4月開催がアナウンスされました。有名なリゾート地カンクンより南へ車で90分ほどにある、外国人セレブに人気のあるリゾート地です。

4回イベロアメリカ・プラチナ賞ノミネーション発表の記事は、コチラ201765

 

アリエル賞2017*メキシコ・アカデミー賞の結果発表2017年07月15日 16:30

        メキシコ未公開映画が最優秀作品賞以下10冠の不思議

 

★デビュー作(が目立った今年のアリエル賞711日に発表になりました。カテゴリーはまた増えて28個、うち10冠(ノミネート20個)を制したLa 4a compañíaが、未だにメキシコでは公開されていないのに受賞しました。グアダラハラ映画祭201636日)で上映こそされましたが、アカデミー会員の多くはスクリーンでは観てないはずです。今後の公開を期待したのかもしれませんが、配給会社はまだ決まっていないようです。受賞カテゴリーは、作品・男優(アドリアン・ラドロン)・クアドロ男優(エルナン・メンドサ)・編集・視覚効果・特殊効果・美術デザイン・録音・衣装・メイクアップの10個です。Tempestadがドキュメンタリーということからある程度は予想されていましたが、未公開作品が作品賞を取るという結果になりました。

 

           

              (La 4a compañíaのポスター)

 

★アリエル賞はメキシコの社会情勢を反映して、政治的メッセージの強い映画が選ばれる傾向にあると思います。2016年ダビ・パブロスの『選ばれし少女たち』2015年アロンソ・ルイスパラシオスの『グエロス』2014年ディエゴ・ケマダ=ディエスの『金の鳥籠』と、切りこむ角度は違ってもメキシコやラテンアメリカの闇を抉るという意味では同じでした。今年の受賞作も実話をベースにした刑務所が舞台になっている。制度的革命党PRIのホセ・ロペス・ポルティーリョが大統領だった時代(197682)、メキシコ・ペソの大暴落で世界を混乱させた頃の物語です。実現までに10年以上もかかったプロジェクト全員が、待ちに待った受賞者のアナウンスに酔いしれた夕べとなりました。

La 4a compañía」ほかノミネーション発表の記事は、コチラ20176月9日

  

 最優秀作品賞(メキシコ)

『夜を彩るショーガール』Bellas de noche)ドキュメンタリー

                        監督マリア・ホセ・クエバス

『彼方から』(ベネズエラ合作)監督ロレンソ・ビガス

『ノー・エスケープ自由への国境』(フランス合作)監督ホナス・キュアロン

Tempestad」ドキュメンタリー 監督タティアナ・ウエソ

Me estás matando, Susana監督ロベルト・スネイデル

La 4a compañía(スペイン合作)

                  監督アミル・ガルバン・セルベラ&ミッチ・バネッサ・アレオラ

El sueño del Mara'akame監督フェデリコ・Cecchetti

 

   

        (ミッチ・バネッサ・アレオラとアミル・ガルバン・セルベラ)

 

 監督賞&長編ドキュメンタリー賞

タティアナ・ウエソTempestad」ドキュメンタリー

女性で監督賞を受賞した第1号となり、当夜のもう一人の華だった。アリエル賞は1947年、16のカテゴリーで始まったメキシコ・アカデミー賞、その長い歴史にもかかわらず、ウエソ監督が初とは驚きを通りこして沈黙あるのみです。女性への暴力が処罰されないメキシコの現在が語られる。パウラ・マルコビッチ監督の自伝的デビュー作「El premio」(メキシコ、仏、独、ポーランド)が、2013年に作品賞を受賞したことがあります。しかし彼女はメキシコで活動しているアルゼンチン出身の脚本家でした。

 

 

        (監督賞のトロフィーを手にしたタティアナ・ウエソ)

 

 オペラ・プリマ第1回作品賞&と音楽賞

El sueño del Mara'akame」監督:フェデリコ・Cecchetti

 

    

                (出演者と一緒に)

 

 男優賞(二人)

アドリアン・ラドロンLa 4a compañía

ホセ・カルロス・ルイスAlmacenados監督:ジャック・サグア・カバビエZagha Kababie確認

若手とベテランが賞を分け合いました。

 

 

      (左から、ホセ・カルロス・ルイスとアドリアン・ラドロン)

 

 女優賞

ベロニカ・ランガー(ランヘル)La calidas監督:マロエイリノ・イスラス・エルナンデス

 

   

               (貫禄の受賞者ベロニカ・ランガー)

 

 助演男優賞

オセHoze・メレンデスAlmacenados

 

 

 助演女優賞

アドリアナ・パスLa calidas

 

  

 新人男優賞

パコ・デ・ラ・フエンテEl alien y yo監督:ヘスス・マガニャ・バスケス

 

 新人女優賞

マリア・エボリTenemos la carne」監督:エミリアノ・ロチャ・ミンター

  

 

 クアドロ男優賞

エルナン・メンドサLa 4a compañía

 

 

 クアドロ女優賞

マルタ・クラウディア・モレノ 「Distancias cortas」

 

 

 

 オリジナル脚本賞

ホアキン・デル・パソルシー・PawlakMaquinaria Panamericana監督ホアキン・デル・パソ

 

 脚色賞

ダビ・デソラAlmacenados

 

 撮影賞

エルネスト・パルドTempestad

 

 編集賞

ミッチ・バネッサ・アレオラフランシスコ・リベラカミロ・アバディアLa 4a compañía

 

   

  (欠席したカミロ・アバディアのトロフィーも手にアレオラ、フランシスコ・リベラ)

 

 視覚効果賞

リカルド・ロブレスLa 4a compañía

 

 特殊効果賞

ルイス・エドゥアルド・アンブリスLa 4a compañía

 

 美術デザイン賞

ジェイ・エロエスティカルロス・コッシオLa 4a compañía

 

 

 音楽賞

エミリアノ・モッタEl sueño del Mara'akame

 

 衣装賞 

ベルタ・ロメロホセ・グアダルーペ・ロペスLa 4a compañía

 

 

 メイクアップ賞

カルラ・ティノコアルフレッド・ガルシアLa 4a compañía

 

 

 録音賞2作)

ハビエル・ウンピエレスイサベル・ムニョスLa 4a compañía

フェデリコ・ゴンサレス・ホルダンカルロス・コルテスTempestad

 

 短編賞(フィクション)

El ocaso de Juan監督:オマル・デネド・フアレス

 

 

 短編賞(ドキュメンタリー)

Aurelia y Pedro監督:オマル・ロブレスホセ・ペルマル

 

 

 短編アニメーション(長編は該当作なし)

Los aeronautas監督:レオン・ロドリゴ・フェルナンデス

 

    

 イベロアメリカ映画賞

『セカンド マザー』(ブラジル)監督アナ・ミュイラート

笑う故郷(アルゼンチン、スペイン)監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

Anna」(フランス、コロンビア)監督ジャック・トゥールモンド・ビダル

Sin muertos no hay carraval」(エクアドル、メキシコ、 監督セバスティアン・コルデロ

『物静かな男の復讐』(スペイン)監督ラウル・アレバロ

(ブラジルとアルゼンチンが分け合いました)

 

 ゴールデン・アリエル賞(二人)

イセラ・ベガ(女優、脚本家、製作者、シンガー・ソング・ライター)

1939年生まれ。アリエル賞では、女優賞を1984年にアルトゥーロ・リプスタインのLa viuda negra」で受賞しているが、本作は1977年製作、メキシコ公開が1983年でした。他に2000年「La ley del Herodes」でも受賞、他に助演女優賞も受賞している。サム・ペキンパーの米国メキシコ合作映画『ガルシアの首』に出演、これは1975年公開されている。

 

 

ルセロ・イサック(美術監督)

 

 

 

La 4a compañía10個、Tempestad4個、Almacenados」が3個、「El sueño del Mara'akame

La calidas2個ずつ、他は1カテゴリーという結果になりました。既に公開、映画祭上映、ネットフリックスなどで見ることのできる作品もありますが、この他どのくらい日本で見られるでしょうか。マリア・エボリが新人賞を取ったホラー・ファンタジーTenemos la carne」(エミリアノ・ロチャ・ミンター)あたりは期待できそうです。

  

第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*ノミネーション発表2017年06月05日 14:31

 「オスカーに匹敵する」賞とケイト・デル・カスティージョがノミネーション発表

 

 

★先月31日(水)、ハリウッド映画の中心地ロスアンゼルス(ビバリーヒルトン・ホテル)でイベロアメリカ・プラチナ賞2017のノミネーション発表がありました。ビバリーヒルトンは、例年オスカー賞候補者の昼食会やゴールデン・グローブ賞のガラが開催されるホテル、それでケイト・デル・カスティージョの開会の辞が「オスカーに匹敵する」云々になったようです。デル・カスティージョ(女優1969メキシコ・シティ、現ロス在住)、その他、エドワード・ジェームズ・オルモス(俳優1947ロス)、アンジー・セペダ(女優1974カルタヘナ、現マドリード在住)、ミゲル・アンヘル・シルベストレ(俳優1982カステジョン)の4人(写真中央はCNNの司会者フアン・カルロス・アルシニエガス)が各カテゴリーのノミネーション発表を行った。今年の授賞式会場は、722日(土)、マドリードの屋内競技場カハ・マヒカCaja Mágicaで開催される。ここは2020年のオリンピック誘致ではテニス会場になるはずだった。スポーツだけでなく音楽祭なども開催されている。

 

 

 (左から、エドワード・ジェームズ・オルモス、ケイト・デル・カスティージョ、一人置いて

       アンジー・セペダ、ミゲル・アンヘル・シルベストレ)

 

★最多ノミネーションは、フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』の7(監督・美術・録音・撮影・編集・オリジナル音楽・価値ある映画と教育)、ただしメインの作品賞には、オリジナル版が英語作品だったため、「言語はスペイン語・ポルトガル語」という条件を満たせず該当外となった。続くパブロ・ラライン「ネルーダ」5個(2017秋公開が予定されているが、邦題は未定)、ロレンソ・ビガス『彼方から』ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』アルモドバル『ジュリエッタ』アルベルト・ロドリゲス『スモーク・アンド・ミラーズ』セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla4個でした。当ブログではセルソ・ガルシア作品以外は既にアップ済み。なお写真掲載は1カテゴリー1個に絞った。

 

   

           (最多ノミネーション7個の『怪物はささやく』)

 

  主要カテゴリーのノミネーション

作品賞(ドラマ部門)

Aquarius」(ブラジル)クレベール・メンドンサ・フィリオ監督

『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督

『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)アルベルト・ロドリゲス監督

『ジュリエッタ』(スペイン)ペドロ・アルモドバル監督

「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)パブロ・ラライン監督

 

『スモーク・アンド・ミラーズ』

  

           

監督賞

フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)

クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)

パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)

 

クレベール・メンドンサ・フィリオ監督

   

          

脚本賞

アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

アンドレス・ドゥプラット『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)

セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン

パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante」(キューバ、ベネズエラ、

  コロンビア)

 

 (「El acompañante」)

  

女優賞

アンジー・セペダLa semilla del silencio」(コロンビア)

エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)

フアナ・アコスタAnna」(コロンビア・フランス)ジャック・トゥールモンド・ビダル監督

ナタリア・オレイロGilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)

                   ロレナ・ムニョス監督

ソニア・ブラガAquarius」(ブラジル)

  

(アンジー・セペダ)

  

             

男優賞

アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)

ダミアン・カサレスLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

オスカル・マルティネス『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)

  

(ダミアン・カサレス)

  

 

オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)

『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス

La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア

Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン

Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ

『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ

   

 

             (ペパ・サン・マルティンの「Rara」)

 

 

★女優賞ノミネートのナタリア・オレイロは、ウルグアイで開催された第3回目の総合司会者、ウルグアイ出身ですが主にアルゼンチンで活躍している(『ワコルダ』)。「Gilda, no me arrepiento de este amor」は1996年交通事故死したアルゼンチンの歌姫ヒルダのビオピック。ソニア・ブラガは第1回プラチナ賞2014の栄誉賞受賞者、「Aquarius」はカンヌ映画祭2016正式出品を皮切りに世界各地の映画祭巡りをした。アンジー・セペダは、今回ノミネーション発表をしたコロンビア出身の女優だが、本拠地をマドリードに移している。ノミネーション発表をした先輩ケイト・デル・カスティージョとは親友同士だそうです。フアナ・アコスタが出演した「Anna」(西語・仏語)は、ゴヤ賞2017のイベロアメリカ映画部門にノミネートされた。2015年製作とやや古い。フアナ・アコスタはエルネスト・アルテリオと結婚、スペイン映画出演も多く、当ブログ登場も多いほうか。エンマ・スアレス他、男優賞ノミネートの紹介は不要ですね。

 

(「Anna」のフアナ・アコスタ)

 

 

★その他のカテゴリーとして、オリジナル音楽、撮影、美術、録音、ドキュメンタリー、アニメーション、シリーズのテレビドラマその他がありますが割愛、受賞結果はアップいたします。

 

EGEDA (Entidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales FIPCAFederación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales) が主催します。いわゆる視聴覚製作に携わる人々の権利を守るための管理交渉団体です。EGEDA1990年創設、活動は1993年から。スペイン、チリ、コロンビア、US、ペルー、ウルグアイ他などが参加しております。

 

 

BAFICI第19回作品賞はアドリアン・オルの「Ninato」*ドキュメンタリー2017年05月23日 15:44

           受賞作のテーマは多様化する家族像と古典的?

 

  

★インターナショナル・コンペティションの最優秀作品賞は、アドリアン・オルOrrのデビュー作Niñato2017)、どうやら想定外の受賞のようでした。本映画祭はデビュー作から3作目ぐらいまでの監督作品が対象で、4月下旬開催ということもあって情報が限られています。今年は20本、日本からもイトウ・タケヒロ伊藤丈紘の長編第2作「Out There」(日本=台湾、日本語142分)がノミネートされ話題になっていたようです。昨年のマルセーユ映画祭やトリノ映画祭、今年のロッテルダムに続く上映でした。審査員も若手が占めるからお互いライバル同士になります。スペインが幾つも大賞を取ったので審査員を調べてみましたら、以下のような陣容でした。

 

エイミー・ニコルソン(米国監督)、アンドレア・テスタ(亜監督)、ドゥニ・コテ(カナダ監督)、ニコラスWackerbarth(独俳優・監督)、フリオ・エルナンデス・コルドン(メキシコ監督)の5人、最近話題になった若手シネアストたちでした。アルゼンチンのアンドレア・テスタは、カンヌ映画祭2016「ある視点」に夫フランシスコ・マルケスと共同監督したデビュー作「La larga noche de Francisco Sanctis」がノミネートされた監督、ニコラスWackerbarthは、間もなく劇場公開されるマーレン・アデのコメディ『ありがとう、トニ・エルドマン』に脇役として出演しています。フリオ・エルナンデス・コルドンは、米国生れですが両親はメキシコ人、彼自身もスペイン語で映画を撮っています。2015年の「Te prometo anarquía」がモレリア映画祭でゲレロ賞、審査員スペシャル・メンション、ハバナ映画祭脚本賞、他を受賞している監督です。ということでスペインの審査員はゼロでした。

A・テスタ& F・マルケス「La larga noche de Francisco Sanctis」紹介は、コチラ2016511

 

Niñatoドキュメンタリー、スペイン、2017 

製作:New Folder Studio / Adrián Orr PC

監督・脚本・撮影:アドリアン・オル

編集:アナ・パーフ(プファップ)Ana Pfaff

視覚効果:ゴンサロ・コルト

録音:エドゥアルド・カストロ

カラーグレーディングetalonaje:カジェタノ・マルティン

製作者:ウーゴ・エレーラ(エグゼクティブ)

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2017年、ドキュメンタリー、72分、撮影地マドリード

映画祭・受賞歴:スイスで開催されるニヨン国際ドキュメンタリー映画祭Visions du Réel2017でワールド・プレミア、「第1回監督作品」部門のイノベーション賞受賞、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭Bafici2017「インターナショナル・コンペティション」で作品賞受賞

 

キャスト:ダビ・ランサンス(父親、綽名ニニャト)、オロ・ランサンス(末子)、ミア・ランサンス(次女)、ルナ・ランサンス(長女)

 

プロット・解説:ダビは3人の子供たちとマドリードの両親の家で暮らしている。定職はないが子育てをぬってラップ・シンガーとして収入を得ている。彼の夢は自分の音楽ができること、3人の子供たちを養育できること、自分の時間がもてて、それぞれあくびやおならも自由にできれば満足だ。重要なのは経済的な危機にあっても家族が一体化すること、粘り強さも必要だ。しかし時は待ってくれない、ダビも34歳、子供たちもどんどん大きくなり難しい年齢になってきた。特に末っ子のオロには然るべき躾と教育が必要だ。何時までも友達親子をし続けることはできない、ランサンス一家も曲がり角に来ていた。およそ伝統的な家族像とはかけ離れている、風変わりな日常が淡々と語られる。3年から4年ものあいだインターバルをとって家族に密着撮影できたのは、ダビと監督が年来の友人同士だったからだ。

 

           短編第3作「Buenos dias resistencia」の続編?

 

アドリアン・オルAdrián Orrは、マドリード生れ、監督。助監督時代が長い。ハビエル・フェセルの成功作『カミーノ』2008)、ハビエル・レボージョの話題作La mujer sin piano09、カルメン・マチ主演)、父親の娘への小児性愛という微妙なテーマを含むモンチョ・アルメンダリスのNo tengas miedo11)、劇場公開されたアルベルト・ロドリゲスの『ユニット7/麻薬取締第七班』12)と『マーシュランド』14)、フェデリコ・ベイロフのコメディEl apóstata15)などで経験を積んでいる。

 

    

★今回の受賞作は2013年に撮った同じ家族を被写体にしたドキュメンタリーBuenos dias resistencia20分)の続きともいえます。つまり何年かにわたってランサンス一家を追い続けているわけです。同作は2013年開催のロッテルダム映画祭、テネリフェ映画祭、Bafici短編部門などで上映、トルコのアダナ映画祭(Adana Film Festivali)の金賞、イタリア中部のポーポリ映画祭(Festival dei Popoli)、ポルトガルのヴィラ・ド・コンデ短編映画祭(Vila do Conde)ほかで受賞している。Bafici 2013の短編部門に出品されたことも今回の作品賞につながったのではないでしょうか。下の子供3人の写真は、短編のものです。他に短編「Las hormigas07)とDe caballeros11)の2作がある。 

 

      

(ランサンス家の3人の子供たち、中央がルナ)

 

     

                (ポーポリ映画祭でインタビューを受ける監督、201312月)

 

★タイトルになったniñatoは、若造、青二才の意味、普通は蔑視語として使われる。親がかりだから一人前とは評価されない。2013年ごろはスペインは経済危機の真っ最中、「EUの重病人」と陰口され、若者の失業率50パーセント以上、失業者など掃いて捨てるほどというご時世でした。しかし3人子持ちの父子家庭は珍しかったでしょう。少しは改善されたでしょうが、スペイン経済は道半ばです。別段エモーショナルというわけでなく、ダビが子供たちを起こし、着替えや食事をさせ、一緒に遊び、ベッドに入れるまでの日常を淡々と映しだしていく。オロがシャワーを浴びながら父親譲りのラッパーぶりを披露するのがYouTubeで見ることができます。現在予告編は多分まだのようです。 

      

               (niñatoダビ・ランサンス)

 

★純粋なドキュメンタリー映画というよりフィクション・ドキュメンタリーficdocまたはドキュメンタリー・フィクションficdocと呼ばれるジャンルに入るのではないかと思います。ドキュメンタリーもフィクションの一部と考える管理人は、ジャンルには拘らない。今カンヌで議論されているネットフリックスが拾ってくれないかと期待しています。