第32回グアダラハラ映画祭2017*結果発表2017年04月01日 17:30

      エベラルド・ゴンサレス、作品賞とドキュメンタリー賞のダブル受賞

 

    

★グアダラハラ映画祭 FICG については、作品賞を受賞しても公開されるチャンスがないこともあり、目についた受賞作品をピックアップするだけです。昨年は作品賞を受賞したコロンビアのフェリペ・ゲレーロOscuro animalをご紹介しました。コロンビアにはびこる暴力について、コロンビア内戦の犠牲者3人の女性に語らせました。今年のメキシコ映画部門は、エベラルド・ゴンサレスLa libertad del DiabloDevils Freedom)が最優秀作品賞とドキュメンタリー賞の2冠に輝き、マリア・セッコが撮影賞を受賞しました。フィクション部門とドキュメンタリー部門の両方にノミネーションされていたなど気づきませんでした。プレゼンターは今回栄誉賞受賞のメキシコの大女優オフェリア・メディナ、これは最高のプレゼンターだったでしょう。

 

  

     (オフェリア・メディナからトロフィーを手渡されるエベラルド・ゴンサレス)

 

 

★ベルリン映画祭2017「ベルリナーレ・スペシャル」部門で、アムネスティ・インターナショナル映画賞を受賞した折に少しご紹介いたしました。こちらはメキシコのいとも簡単に振るわれる「メキシコの暴力の現在」について、犠牲者、殺し屋、警察官、軍人などに語らせています。各自報復を避けるため覆面を被って登場しています。衝撃を受けたベルリンの観客は固まって身動きできなかったと報じられたドキュメンタリーです。おそらく公開は期待できないでしょう。

 

    

     (覆面を着用した証言者、映画から)

 

Oscuro animal」の紹介記事は、コチラ2016319

La libertad del Diablo」の紹介記事は、コチラ2017222

 

     イベロアメリカ作品賞はカルロス・レチュガの「Santa y Andrés」が受賞

 

カルロス・レチュガSanta y Andrésは、サンセバスチャン映画祭2016「ホライズンズ・ラティノ」部門に正式出品されたキューバ、コロンビア、フランスの合作。他に脚本賞とサンタ役のローラ・アモーレスが女優賞を受賞。1983年のキューバが舞台、体制に疑問をもち、山間に隠棲しているゲイ作家のアンドレス、彼を見張るために体制側から送り込まれた農婦のサンタ、いつしか二人の間に微妙な変化が起きてくる。本作の物語並びに監督紹介、当時のキューバについての記事をアップしています。このカテゴリーには、同じキューバのフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」やアルゼンチンの『名誉市民』、スペインからはアレックス・デ・ラ・イグレシアの『クローズド・バル』もノミネートされておりました。

 

 

★女優賞のローラ・アモーレスはシンデレラ・ガール、本作のため監督が街中でスカウトした。必要な時にはいつも留守の神様も、時として運命的な出会いを用意しています。人生は捨てたものではありません。本作のような体制批判の映画は、ラウル・カストロ体制下のキューバ映画芸術産業庁ICAICでは歓迎されないが、サンセバスチャンやグアダラハラ映画祭は評価した。この落差をどう受け取るかがキューバ映画の今後を占うと思います。

 

 

            (サンタとアンドレス、映画から)

 

Santa y Andrés」の作品紹介記事は、コチラ2016827

 

★早くもカンヌの季節が巡ってきました。第70回カンヌ映画祭2017の正式ポスターが発表され、今年のカンヌの顔はイタリアの往年の大スターCCことクラウディア・カルディナーレ、コンペティション審査委員長はペドロ・アルモドバル、期間は517日~26日です。

 

    

   (踊って笑って生き生きしたフェリーニのミューズ、クラウディア・カルディナーレ)


マラガ映画祭2017*結果発表2017年03月27日 16:16

       作品賞は「Verano 1993」と「Ultimos días en La Habana」が受賞

 

    

   (マラガ生れのポスター制作者ハビエル・カジェハとマラガ映画祭2017のポスター)

 

★マラガ映画祭2017の結果発表がありました。スペインとラテンアメリカの垣根が取り払われた最初のフェスティバルでしたが、結局のところ最優秀作品賞は両方から1作ずつ選ばれました。スペイン最優秀作品賞金のビスナガは、カルラ・シモンのデビュー作Verano 1993、イベロアメリカ最優秀作品賞金のビスナガは、キューバのフェルナンド・ぺレスUltimos días en La Habanaが受賞しました。副賞としてそれぞれに12.000ユーロの賞金が与えられます(昨年まではラテンアメリカの作品賞だけに与えられていたものです)。金賞は作品賞だけで、その他はすべて銀賞です。

 

 

  

 

★当日にアントニオ・バンデラスの「名誉金のビスナガ」の授与式も行われましたが、これは次回に回します。ガラに先だって昼間行われたプレス会見の席上、126日に心臓発作を起こして療養していたことを明かしました。大変だったようです。受賞スピーチを含めて別途アップします。

 

   

(プレス会見席上のアントニオ・バンデラス、325日)

 

受賞結果は以下の通り、審査員はご紹介済みですが再度アップしますと、審査委員長にエミリオ・マルティネス=ラサロ、以下パブロ・ベルヘル監督(1963年ビルバオ、『ブランカニエベス』)、マリア・ボトー(アルゼンチン出身のスペイン女優)、イバン・ヒロウド・ガラテ19942010までハバナ映画祭ディレクター)、エレナ・ルイス1997年バルセロナのカルドナ、編集者)、アレハンドラTrolles1974モンテビデオ、ウルグアイのプロデューサー)の6名です。国名表記なしはスペイン。


作品賞金のビスナガ(スペイン)
Verano 1993 カルラ・シモン 

監督&作品紹介は、コチラ2017222


作品賞金のビスナガ(イベロアメリカ)
Últimos días en La Habana  フェルナンド・ぺレス(キューバ)
その他、Gas Natural Fenosa観客賞(銀のビスナガ)を受賞

作品紹介は、コチラ201738


審査員特別賞(銀のビスナガ)

No sé decir adiós リノ・エスカレラ
その他、審査員スペシャル・メンションを受賞


監督賞(銀のビスナガ)
ビクトル・ガビリア  La mujer del animal (コロンビア)

女優賞(銀のビスナガ)
ナタリエ・ポサ  No sé decir adiós

男優賞(銀のビスナガ)

レオナルド・スバラグリア  El otro hermano(監督:アドリアン・カエタノ、アルゼンチン)
邦題『キリング・ファミリー 殺し合う一家』の紹介は、コチラ2017220
「シネ・エスパニョーラ」2週間限定公開中(325日~47日)


助演女優賞(銀のビスナガ)
ガブリエラ・ラモス  Últimos días en La Habana(監督:フェルナンド・ぺレス)

助演男優賞(銀のビスナガ)
フアン・ディエゴ  No sé decir adiós(監督:リノ・エスカレラ)


脚本賞(銀のビスナガ)
パブロ・レモンリノ・エスカレラ  No sé decir adiós(監督:リノ・エスカレラ)

音楽賞(銀のビスナガ)
パスカル・ゲイニュ  Plan de fuga(監督:イニャキ・ドロンソロ)

邦題『クリミナル・プラン 完全なる強奪計画』の紹介は、コチラ201734

「シネ・エスパニョーラ」2週間限定公開中(325日~47日)


撮影賞(デラックス銀のビスナガ)
Walter Carvalho Redemoinho(監督:ホセ・ルイス・ビリャマリン、ブラジル)

編集賞(銀のビスナガ)
エチエンヌ・ブサック La mujer del animal(監督:ビクトル・ガビリア、コロンビア)

ブサックはチロ・ゲーラの『彷徨える河』を手掛けている。

審査員スペシャル・メンション

 Selfie ビクトル・ガルシア・レオン .

その他、批評審査員特別賞(銀のビスナガ)を受賞。

 

★以上が長編コンペティションの受賞者。他にANEXOとして、受賞作品に協力した製作会社、テレビ局、関連機関、協力団体などに付属賞が与えられました。

EL OTRO HERMANO, イスラエル・アドリアン・カエタノ
Rizoma Films (アルゼンチン), Oriental Films (ウルグアイ), MOD Producciones (西) , Gloria Films ()

LA MUJER DEL ANIMAL, ビクトル・ガビリア
Polo a Tierra  Viga Producciones (コロンビア)

NO SÉ DECIR ADIÓS, リノ・エスカレラ
Lolita Films, Mediaevs, White Leaf Producciones (スペイン)

PLAN DE FUGA イニャキ・ドロンソロ
Atresmedia Cine, Runaway Films AIE, Lazona Films y Sonora Estudios (スペイン)

REDEMOINHO ホセ・ルイス・ビジャマリン
Vania Catani (ブラジル)

SELFIE ビクトル・ガルシア・レオン 
Apaches, Gonita, II Acto (スペイン)

ÚLTIMOS DÍAS EN LA HABANA フェルナンド・ぺレス
ICAIC (キューバ) & Wanda Visión (スペイン)

VERANO 1993 カルラ・シモン
Inicia Films, Avalon P.C., con el apoyo de Media, ICAA, ICEC, y la participación de TVE y TV3 (西)

★ドキュメンタリー部門の受賞者は以下の通り:

ドキュメンタリー賞(長編、銀のビスナガ)

La balada del Oppenheimaer Park フアン・マヌエル・セプルベダ(メキシコ)賞金8.000ユーロ

ドキュメンタリー3作目、ラテンビート2011マイケル・ロウの『うるう年の秘め事』の撮影監督を手掛けている。

 

監督賞(銀のビスナガ)

ダビ・アラティベル Converso(スペイン、61分)

ドキュメンタリー2作目、コンベルソはユダヤ教やイスラム教からキリスト教への改宗者をさし、教会オルガン、家族、調和についてのフィルム。デビュー作は2013年の「Oírse

 

審査員スペシャル・メンション

Al otro lado del muro パウ・オルティス(メキシコ、67分)

デビュー作、ホンジュラスからメキシコに移民してきた4人兄弟のドキュメンタリー。母親は10年の刑で収監中、幼い兄弟の面倒を見なければならない13歳のロシオと18歳のアレは、厳しい状況を打開するために米国行きを考えている。

 

観客賞(銀のビスナガ)

Donkeyoto チコ・ペレイラ(ドイツ、スペイン、イギリス、スペイン語、86分)

長編第2作目、マノロとロバのゴリオンは西部への旅を計画する。ロッテルダム映画祭2017128日)上映、サンフランシスコ映画祭2017415日)上映予定。

 

★短編(フィクション、ドキュメンタリー、アニメーション)その他は割愛します。受賞スピーチや時間切れでアップが間に合わなかった作品、例えば脚本賞・女優賞・助演男優賞を受賞したリノ・エスカレラの「No sé decir adiós」など、秋の映画祭を視野に入れて紹介するつもりです。

第20回マラガ映画祭2017*ノミネーション発表2017年03月09日 16:27

               オフィシャル・セクションに大きな変更がありました

 

 

★昨年秋から五月雨式に発表になっていたオフィシャル・セクションの全容が、3月に入ってやっと見えてきました。大きな変更というのは、前回までスペインとイベロアメリカ諸国にざっくり分かれていたのを一つにまとめたことです。昨今のように1国だけで製作することが資金的に難しくなっていることが背景にあるのかもしれません。どうしても合作になるから、どちらに振り分けるか迷う作品が多くなってきていた。ということでオフィシャル・セクションは23が最終的に残り、うちコンペティションは17、コンペ外が6です。正式出品作品のうち、一応スペインが製作国なのは9、イベロアメリカが8とほぼ半分ずつになりました。以下、作品名監督名・主なる製作国、今年は珍しいことに公開作品も含まれているので邦題も入れました。

 

     コンペティション17(順不同、ゴチック体は紹介済み作品)

 

Selfie ビクトル・ガルシア・レオン85分、2017年、スペイン)

 

Nieves Negra マルティン・オダラ Hodara87分、2017年、アルゼンチン=西)

 

Amar エステバン・クレスポ 100分、2016年、スペイン)

 

La niebra y la doncella アンドレス・M・コペル 104分、2017年、スペイン)

 

No sé decir adiós リノ・エスカレラ 96分、2016年、スペイン)

 

Brava ロセル・アギラル 91分、2016年、スペイン)

  追加で紹介記事をアップ、コチラ⇒2017年3月11日

 

La mujer del animal ビクトル・ガビリア120分、2016年、コロンビア)

 

Verano 1993 カルラ・シモン97分、2015年、スペイン、カタルーニャ語、吹替)

 紹介記事は、コチラ2017222

 

El otro hermano イスラエル・アドリアン・カエタノ

    (113分、アルゼンチン・ウルグアイ・スペイン・フランス)

 『キリング・ファミリー 殺し合う一家』の紹介記事は、コチラ2017220

 

Ültimos días en La Habana フェルナンド・ぺレス92分、2016年、キューバ)

 紹介記事は、コチラ201738

 

Plan de fuga イニャキ・ドロンソロ 105分、2017年、スペイン)

 『クリミナル・プラン 完全なる強奪計画』の紹介記事は、コチラ201734

 

Pieles エドゥアルド・カサノバ 74分、2016年、スペイン)

 

El jugador de ajedrez ルイス・オリベロス 98分、2016年、スペイン)

 

 El candidato ニエル・エンドレル84分、2016年、ウルグアイ=アルゼンチン)

 

Me estas matanto Susana ロベルト・スネイデル101分、2016年、メキシコ)

 紹介記事は、コチラ2016322

 

La memoria de mi padre ロドリゴ・バシガルーペ Bacigalupe (87分、2016年、チリ)

 

Redemoinho ホセ・ルイス・Villamarim100分、ブラジル、ポルトガル語、吹替)

 

 

       コンペティション外6

 

El Intercambio イグナシオ・ナチョ (84分、2016年、スペイン)

 

Señor, dame paciencia アレバロ・ディアス・ロレンソ2016年、スペイン)

 

El bar アレックス・デ・ラ・イグレシア102分、2017年、スペイン) オープニング作品

 『クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的』の記事は、コチラ2017226

 

Maniac Tales キケ・メサロドリゴ・サンチョ、他 (107分、2017年、スペイン)

 

Gilda, no me arrepiento de este amor ロレーナ・ムニョス118分、2016年、アルゼンチン)

 

Me casé con un boludo フアン・タラトゥトTaratuto (2016年、アルゼンチン)

 

★今回はとりあえずラインナップだけアップ、時間が許す限り、賞に絡みそうな、または初監督の話題作などをご紹介していきます。23作中女性監督が3人とは寂しい限り、手始めにバルセロナ派のロセル・アギラルBravaを紹介したい。2007年のオペラ・プリマLa mejor de miをロッテルダム映画祭に正式出品、ヒロインのマリアン・アルバレスが最優秀女優賞を受賞したほか、アギラル監督もサンジョルディ賞、トゥリア賞などを受賞したが、スペインでの評価は分かれた。

 

★美男俳優として活躍しているエドゥアルド・カサノバのデビュー作Pielesも不思議な印象を残す作品、今年のゴヤ賞ガラに初めて出席して、その妖しげな雰囲気で話題を集めた。

 

★マラガ賞(俳優オナルド・スバラグリア)、レトロスペクティブ賞(監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア)、エロイ・デ・ラ・イグレシア賞(監督クラウディア・リョサ)、リカルド・フランコ賞(メイクアップ・アーティスト、シルヴィ・インベール)他、各賞は既にアナウンスされています。


第3回イベロアメリカ・フェニックス賞*結果発表2016年12月15日 15:58

             こんな作品が受賞しましたが・・・

 

 

★去る127日の夜(現地時間2030)、メキシコシティの「Ciudad Esperanza Iris劇場」で授賞式が開催されました。ガラはアルゼンチンのフィト・パエス、メキシコの「Zoé」のボーカリストで作曲家のレオン・ラレギ、今回栄誉賞受賞のアレハンドロ・ホドロフスキーの4アダノフスキーのような豪華なミュージシャンが出演、かなり賑やかだったようです。カテゴリーは13個(その他として栄誉賞、プロダクションと批評家に与えられるフェニックス賞が追加されている)。Nerudaネルーダ」が最多4賞、メキシコのドキュメンタリー「Tempestad」が3賞を制して閉幕いたしました。ノミネーション発表記事で「ブラジルの健闘が目につく2016年」と書きましたが、予想通りの結果になりました(ブラジルからの出席も多かったようです)。結果は以下の通り:

 

    

              (音楽を担当したフィト・パエス)

 

作品賞(作品賞のみ7作品)

Nerudaネルーダ」チリ、アルゼンチン、スペイン、フランス合作、パブロ・ラライン監督

 製作:Fabula / AZ Films / Funny Balloons / setembre Cine9個ノミネーション、4

『エル・クラン』アルゼンチン他、監督パブロ・トラペロ(9個ノミネーション、2

『彼方から』ベネズエラ他、同ロレンソ・ビガス(4個ノミネーション)

Aquariusアクエリアス」ブラジル他、クレベル・メンドンサ・フィリオ

   (4個ノミネーション、2

Boi Neon」ブラジル他、ガブリエル・マスカロ(8個ノミネーション、2

La muerte de Luis XIVルイ14世の死」スペイン他、アルベルト・セラ(4個ノミネーション)

Te prometo anarquia」メキシコ他、同フリオ・エルナンデス・コルドン(1個ノミネーション)

 

   

   (製作者フアン・デ・ディオス・ラライン監督弟、GG・ベルナル、ルイス・ニェッコ

 

監督賞

クレベル・メンドンサ・フィリオAquariusアクエリアス」

パブロ・トラペロ『エル・クラン』

パブロ・ラライン「Nerudaネルーダ」

ガブリエル・マスカロ「Boi Neon

アルベルト・セラ「La muerte de Luis XIVルイ14世の死」

 

   

脚本賞

ガブリエル・マスカロBoi Neon」(ポルトガル語)

 

   

 

男優賞

ギジェルモ・フランセージャ『エル・クラン』

 

 

       (『エル・クラン』から)

 

女優賞

◎ソニア・ブラガAquariusアクエリアス」

 

   

            (トロフィーを手にしたソニア・ブラガ)

 

撮影賞

ディエゴ・ガルシアBoi Neon

 

録音賞

レアンドロ・デ・ロレド&ビセンテ・デリア『エル・クラン』

 

衣装賞

ムリエル・パラNerudaネルーダ」

 

編集賞

Hervé SchneidNerudaネルーダ」

 

美術賞

◎エステファニア・ララインNerudaネルーダ」

 

長編ドキュメンタリー賞

Tempestad(メキシコ)Pimienta Films / Cactus Films / Terminal 

  監タティアナ・ウエソ 

オリジナル音楽賞

レオ・エイブルムハコボ・リエベルマンTempestad

 

ドキュメンタリー撮影賞

エルネスト・パルドTempestad

 

   

 

栄誉賞 アレハンドロ・ホドロフスキー

 

   

  (父親の代理でトロフィーを受け取ったミュージシャンのアダン・ホドロフスキー)

 

プロダクション・フェニックス賞 パトリシア・リヘン監督のLos 33のプロダクション

 

批評家フェニックス賞 スペインのミゲル・マリアス

 

★どの映画賞にも言えることですが、結果に対する不満不平はつきものです。特に「イベロアメリカ」と称しながら、新大陸メキシコ開催ということで旧大陸スペインとポルトガルの影が薄い印象は否めません。今年はゼロだったこともあり、この映画の集いに各地から馳せつけた700人近い出席者の中には、この結果では「誰をも満足させられない」という愚痴がつぶやかれたようです。もともとメキシコのモレリア映画祭2013に集ったシネアストたちのお喋りから始まった映画賞。ラテンアメリカ諸国、スペイン、ポルトガルの合計23カ国を網羅して「Cinema 23」を起ち上げた。ディレクターは設立者の一人リカルド・ヒラルド。全地域から集められた映画に携わるプロフェッショナル約550人が選考に当たった。

 

   

        (今年のノミネーション作品を紹介するリカルド・ヒラルド)

 

フェニックス賞受賞は配給元にインパクトを与えられるか?

 

★イベロアメリカ諸国のアーチストの才能発掘、23カ国全地域の庶民がイベロアメリカ諸国製作の映画を観られる環境を作ること、という大きな2本の柱を掲げて始まった映画賞だが、当初から雑音入りだった。例えば13個のカテゴリー、撮影賞がフィクションとドキュメンタリーの両方にありながら特殊効果アニメーション短編が除外され、才能発掘を目指しながら新人枠の監督、俳優、助演者などのカテゴリーを設けなかったことなどが挙げられる。

 

★一口にイベロアメリカといっても公開時期がまちまちだから(未公開も多い)、ノミネートされていても観ていないケースが出てくる。というわけで、「本当にちゃんと観ていて選んだのですか?」という不満がくすぶることになる。これは映画賞全般に言えることでフェニックスに限りません。しかし「シネマ23」の権力が幅を利かすようでは困るということが背景にあるのかもしれません。会場ではアメリカ次期大統領ドナルド・トランプが、ラテンアメリカ諸国に対してどのような政策を打ち出してくるか、その危険性を警戒する声も聞かれたという。映画産業も政治と無縁では成り立たないですから、当然でしょう。

 

★賞には全く絡みませんでしたが、スペインからはセスク・ゲイの「トルーマン」(リカルド・ダリンの男優賞)、ホセ・ルイス・ゲリンの『ミューズ・アカデミー』(編集・脚本)、アルベルト・セラの「ルイ14世の死」(作品・監督・美術・衣装)がノミネートされたことが話題になったようです。3監督とも世界的な評価の高さに比してスペインでは傍流に属しているからでしょうか。フェニックス賞が配給元にインパクトを与えられるかどうかが今後の課題です。

 

★昨年の作品賞を受賞したチロ・ゲーラの『彷徨える河』はアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、それなりの成果を出しました。今年のガラで特に脚光を浴びたのがGG・ガエルと「ネルーダ」関係者だったようですが、果たして期待通りに行くでしょうか。アメリカ映画アカデミーも今までノミネートしたことのない国から選ぶ傾向にあるようで、チリは既に第85回アカデミー賞2012にララインのNoがノミネートされています。


第3回イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表2016年12月04日 17:36

      Nerudaネルーダ」と『エル・クラン』が同数の9個ノミネーション

 

   

               (2016年のポスター)

 

2014年晩秋、イベロアメリカの「オスカー賞」という触れ込みで始まった映画賞「Los Premios Fénix」も今年で3回めを迎えました。イベロアメリカですからスペイン、ポルトガルも入りますが、どちらかと言うとラテンアメリカ諸国にシフトしています。第2回めの作品賞はパブロ・ララインの『ザ・クラブ』、他に監督賞・脚本賞・男優賞(アルフレッド・カストロ)と大賞を独占、『彷徨える河』のチロ・ゲーラが監督賞をララインと分け合い、その他ダビ・ガジェゴ(撮影賞)・カルロス・ガルシア他(録音賞)・ナスクイ・リナレス(音楽賞)の4賞と、2作品でほぼ決まりでした。 

        

           (イベロアメリカ・フェニックス賞のトロフィー)

 

★スペインはアルベルト・ロドリゲスの『マーシュランド』が美術デザイン賞(ぺぺ・ドミンゲス)の1賞のみ、ハイロ・ブスタマンテの『火の山のマリア』の衣装賞(ソフィア・ランタン)、サンティアゴ・ミトレの『パウリーナ』が女優賞(ドロレス・フォンシ)、パトリシオ・グスマンの『真珠のボタン』がドキュメンタリー撮影賞(カテル・ジアン)、ポルトガル語映画では、エドゥアルド・コウチーニョ19332014)の遺作となったUltimas Conversas(ブラジル)がドキュメンタリー賞をとりました。製作途中の20142月に精神を病んでいた息子に刺殺されるという痛ましい事件の犠牲者となりました。というわけで最終的に作品を完成させたのはジョアン・モレイラ・サレス、授賞には長年の彼の功績を讃える意味もあったのではないでしょうか。

 

   

        (左側中段のコウチーニョ監督とインタビューを受けた学生)

 

★さて、2016年は間もなく結果が発表になりますので(127日)、ノミネーションは作品賞と監督賞にして、後は結果が出ましたらアップいたします。

 

作品賞(作品賞のみ7作品)

『エル・クラン』アルゼンチン他、監督パブロ・トラペロ(9個ノミネート)

『彼方から』ベネズエラ他、同ロレンソ・ビガス(4個ノミネート)

Nerudaネルーダ」チリ他、同パブロ・ラライン(9個ノミネート)

Aquariusアクエリアス」ブラジル他、クレベル・メンドンサ・フィリオ(4個ノミネート)

Boi Neon」ブラジル他、ガブリエル・マスカロ(8個ノミネート)

La muerte de Luis XIVルイ14世の死」スペイン他、アルベルト・セラ(4個ノミネート)

Te prometo anarquia」メキシコ他、同フリオ・エルナンデス・コルドン(1個ノミネート)

 

監督賞

パブロ・トラペロ『エル・クラン』

パブロ・ラライン「Nerudaネルーダ」

ガブリエル・マスカロ「Boi Neon

クレベル・メンドンサ・フィリオ「Aquariusアクエリアス」

アルベルト・セラ「La muerte de Luis XIVルイ14世の死」

 

★「Boi Neon」の8個、「Aquariusアクエリアス」の4個とブラジルの健闘が目につく2016年です。黒い不死鳥の卵は誰の手に渡るのでしょうか。開催地メキシコ・シティでは「フェニックス週間」(121日~10日)としてノミネーションされた作品、または過去の受賞作品の上映会のほか、「Boi Neon」(脚本・編集)や『エル・クラン』(編集)、『モンスター・ウィズ・オブ・サウザン・ヘッズ』(脚本)など、各担当者が出席しての討論会も企画されているようです。