第6回イベロアメリカ・プラチナ賞2019*結果発表2019年05月17日 15:59

        予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占!

 

      

★開催したばかりのカンヌ映画祭はしばらくお休みして、去る512日に結果発表があった第6回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式のご報告。今回は偶数回なのでスペイン開催のはずですが、今回も昨年に引き続いてメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで行われました。気温が高く赤絨毯を踏んだシネアスト、セレブたちは汗ダクダクだったとか。総合司会は今回で2回目となるスペインのサンティアゴ・セグラTVシリーズ女優賞を受賞したメキシコのセシリア・スアレスでした。

 

      

        (総合司会者のセシリア・スアレスとサンティアゴ・セグラ)

 

★もう受賞作品はやる前から決まっていたようなもので、予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占し、サプライズ零%のガラ、作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞・録音賞の5カテゴリーです。メキシコ開催の授賞式でしたが、受賞が100%分かっていたにもかかわらず御大は姿を現しませんでした。どんな理由があったにせよ白けます。外野から「メキシコには住んでないよ」の声あり。2月にあった米アカデミー賞で外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3冠を受賞していましたが、格が違うということでしょう。因みに外国語映画賞は来年から国際映画賞と名称が変わりますが、ルール変更はないそうです。

 

             

           (第6回イベロアメリカ・プラチナ賞の受賞者一同)

 

 

17カテゴリーの受賞作品・受賞者名は以下の通りです。

 

作品賞(フィクション)

Roma(『ROMA/ローマ』20181214日よりNetflix配信)メキシコ

 

    

       (製作者ガブリエラ・ロドリゲスと共同製作者ニコラス・セリス)

 

監督賞

アルフォンソ・キュアロン(『ROMA/ローマ』)

 

オペラ・プリマ初監督作品賞

Las herederas(『相続人』)パラグアイ、監督マルセロ・マルティネシ

 

     

             (右端がマルセロ・マルティネシ監督)

 

女優賞

アナ・ブルン(『相続人』) 

 

     

               (喜びが爆発したアナ・ブルン)

 

男優賞

アントニオ・デ・ラ・トーレ (「El Reino」)スペイン、監督ロドリゴ・ソロゴジェン

 

     

 

脚本賞

アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)

 

 

 

撮影賞

アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)

 

編集賞

アルベルト・デ・カンポ (「El Reino」)

 


 

美術賞

アンヘリカ・ぺレア (「Pájaros de verano」『夏の鳥』)コロンビア、

          監督クリスティナ・ガジェゴチロ・ゲーラ

       

 

   

オリジナル音楽賞

アルベルト・イグレシアス (「Yuli」)スペイン、監督イシアル・ボリャイン

 

    

 

録音賞

セルヒオ・ディアススキップ・リーヴセイホセ・アントニオ・ガルシア

クレイグ・ヘニガン(『ROMA/ローマ』)

 

    

            (『ROMA/ローマ』のキャスト&スタッフ一同)

 

作品賞(アニメーション)

Un día más con vida(『アナザー・デイ・オブ・ライフ』)スペイン、

 監督ラウル・デ・ラ・フエンテダミアン・ネノウ

 

   

 

作品賞(ドキュメンタリー)

El silencio de otrosスペイン、監督ロバート・バハルアルムデナ・カラセド

 

     

 

価値あるシネマ教育プラチナ賞

Campeonesスペイン、監督ハビエル・フェセル

 

  

 

TVミニシリーズ賞

Arde Madridスペイン

 

     

  (インマ・クエスタ、パコ・レオン、製作者アンナ・R・コスタ、アンナ・カスティーリョ)

 

TVシリーズ女優賞

セシリア・スアレス (「La casa de las flores」『ハウス・オブ・フラワーズ』

     2018810日よりNetflix 配信)メキシコ、ブラックコメディ、制作マノロ・カーロ

 

     

 

TVシリーズ男優賞

ディエゴ・ルナ (「Narcos: México」『ナルコス:メキシコ編』

     20181116日よりNetflix 配信)米国の犯罪ドラマ、製作総指揮カルロ・ベルナルド他

 

     

 

プラチナ栄誉賞

ラファエル(スペインのシンガーソングライター、俳優)

 

  

                                                  (喉もご披露したラファエル)

 

   

 

   

 (左から、プラチナ賞ディレクターのエンリケ・セレソ、栄誉賞受賞者ラファエル、

  総ディレクターのミゲル・アンヘル・ベンサル、アドリアン・ソラル)

       

★ざっと以上のようでした。第12014年(『グロリアの青春』)と2018年(『ナチュラルウーマン』)の受賞国チリ、2015年(『人生スイッチ』)と2017年(『笑う故郷』)の受賞国アルゼンチンは、ゼロ個と沈黙を強いられました。2016年はコロンビアの『彷徨う大河』、今回コロンビアは『夏の鳥』が美術賞を受賞して面目を施しました。昨年はメキシコ開催でしたがメキシコはゼロ個、今年はTVシリーズを含めると7個でした。録音賞のみがグループ受賞で、他はアルフォンソ・キュアロンの一人勝ちでした。

 

★スペインは作品賞を受賞したことはありませんが、今回は男優賞・オリジナル音楽賞・編集賞・ドキュメンタリー賞・アニメーション賞・価値あるシネマ教育プラチナ賞・TVシリーズ作品賞の7カテゴリー、さらにプラチナ栄誉賞をイベリア半島に運んできましたから、もう言うことなしです。

 

★『ROMA/ローマ』に限ったことではありませんが、Netflixや米国の制作会社の存在感はTVシリーズの受賞作品にみられるように顕著になってきました。映画祭のコンペティション部門にノミネートされたばかりなのに、映画祭が終わると1ヵ月もしないでお茶の間で見られる。その速さには実際驚きます。最初からNetflixオリジナル作品なら分かりますが。

 

イベロアメリカ・フェニックス賞財政難で一旦休止のニュース2019年04月07日 15:29

             ない袖は振れない苦しい台所事情も政治がらみか?

 

      

                               (黒いフェニックスの卵)

 

★毎年初冬の11月に開催されていた「イベロアメリカ・フェニックス賞」が、メキシコ当局による財政援助が難しくなり、やむなく休止に追い込まれてしまいました。第1回が2014年でしたから、たったの5回しか開催されなかったことになります。イベロアメリカと銘打たれておりましたが、選考母体は2012年創設されたばかりの「Cinema 23」でメキシコ主導の映画賞、授賞式開催国は持ち回りでなくメキシコと決まっていました。元宗主国のスペインとポルトガルも参加してノミネーションはされましたが、グランプリに輝くことはついぞありませんでした。

 

     

      (第1回グランプリ作品ディエゴ・ケマダ=ディエスの「金の鳥籠」、授賞式から)

 

2017年には、TVシリーズ部門にNetflixオリジナル作品の参加を開始、Netflixに門戸を開いた。麻薬王エスコバルの誕生から死までを描いた『ナルコス』がドラマ部門で、コメディ部門でも『クラブ・デ・クエルボス』が受賞した。第5回の2018年には『ペーパー・ハウス』が受賞、さらに「ネットフリックス・プリマ・オペラ賞」を設けて盛上げに協力し始めていたのですが、所詮焼け石に水だったようです。

 

       

                (TVシリーズ部門、2018年受賞作『ペーパー・ハウス』Netflix

 

★本映画賞の二大資金援助はメキシコの連邦政府と地方政府だったようで、主催者によると両者の折合いが難航、回答が貰えなかったことが休止の主たる理由だという。メキシコ新大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドルは、一部の反汚職運動のような市民団体への助成金カットを数週間前に発表していた。政権批判をして論争のタネを振りまくNGOや文化団体には援助したくないのでしょう。そういう意味では本映画賞は、受賞作品を一瞥すれば一目瞭然、かなり政治的な色合いが濃く、援助カットの標的になってもおかしくない。第1回授賞式は、メキシコの麻薬密売組織に関係している政治家や警察関係者による学生43名の失踪殺害事件を厳しく批判、第5回はフェミニズム運動、特にアルゼンチンでの妊娠中絶合法化のシンボル緑のハンカチ運動など、毎年ラテンアメリカ諸国政府への「No」を鮮明にしている。

 

1回作品賞2014『金の鳥籠』(メキシコ)ディエゴ・ケマダ=ディエス監督

2回作品賞2015『ザ・クラブ』(チリ)パブロ・ラライン監督

3回作品賞2016『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』(チリ)パブロ・ラライン監督

4回作品賞2017『ナチュラルウーマン』(チリ)セバスティアン・レリオ監督

5回作品賞2018『夏の鳥』(コロンビア)クリスティナ・ガジェゴ&チロ・ゲーラ共同監督

   

      

(第3回作品賞『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』の製作者フアン・デ・ディオス・ラライン、

    トロフィーを手にしたネルーダ役のルイス・ニェッコ、刑事役のG.G.ベルナル)

      

     

   

 (第4回作品賞『ナチュラルウーマン』で女優賞に輝いたダニエラ・ベガ)

  

 

     

(第5回作品賞『夏の鳥』ガラ、緑のハンカチを巻いたクリスティナ・ガジェゴ監督とスタッフ)

 

★残念なニュースですが、再開を願って2020年を待ちましょうか。

 

第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018*結果発表2018年11月20日 15:18

        コロンビアの『夏の鳥』が作品賞と女優賞にカルミニャ・マルティネス

 

     

★去る117日、メキシコシティのエスペランサ・アイリス・シティシアターで授賞式が行われました。今年は結果発表とラテンビートが重なり大分遅れのアップになりました。作品賞がラテンビート上映の『夏の鳥』だったので、部分的にはラテンビートに絡めて触れております。フェニックス賞はメキシコの「シネマ23」主導の映画賞で、過去4回ともラテンアメリカ諸国の作品が受賞しています。元の宗主国スペインとポルトガルから選ばれたことはなく、今年はそもそも作品賞・監督賞にノミネーションさえありませんでした。映画部門とTVシリーズ部門に分かれています。ノミネーションは以下にアップしています。

イベロアメリカ・フェニックス賞2018ノミネーション発表の記事は、コチラ20180930

 

  *映画部門*

作品賞長編7作品)

Alanis監督アナイ・ベルネリアルゼンチン

As boas maneirasフリアナ・ロハスマルコ・ドゥトラブラジル

Cocoteネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアスドミニカ共和国

Las herederasマルセロ・マルティネシパラグアイ) 邦題『相続人』

Museoアロンソ・ルイスパラシオスメキシコ

Pájaros de veranoチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴコロンビア)邦題『夏の鳥』

Zamaルクレシア・マルテルアルゼンチン) 邦題『サマ』

 

      

          (クリスティナ・ガジェゴを囲んで喜びの関係者一同)

 

監督賞7人)

アナイ・ベルネリAlanis

フリオ・エルナンデス・コルドンCómparame un Revólverメキシコ

マルセロ・マルティネシLas herederas

ラウラ・モラMatar a Jesúsコロンビア

アロンソ・ルイスパラシオスMuseo

チロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano

ルクレシア・マルテルZama

 

   

          (『相続人』のマルセロ・マルティネシ監督)

 

女優賞

カルミニャ・マルティネス 『夏の鳥』

 

   

男優賞

ロレンソ・フェロ 「El Angel」監督ルイス・オルテガ(アルゼンチン、西)

 

       

     (トランプ大統領とアルゼンチン大統領マクリを批判したロレンソ・フェロ

 

脚本賞

ラウラ・モラアロンソ・トレスMatar a Jesúsコロンビア

 

(アロンソ・トレス)

 

    

撮影賞

ルイ・ポサス Zama

 

    

        (ミゲル・アンヘル・シルベストルからトロフィーを受け取るルイ・ポサス)

 

美術デザイン賞

レナータ・ピネイロ Zama

 

   

衣装賞

メルセ・パロマ 「La librería」 監督イサベル・コイシェ(スペイン、イギリス)

 

◎録音賞

グイド・ベレンブラムエマニュエル・クロセットZama

 

(エマニュエル・クロセット)

     

 編集賞

ミゲル・シュアードフィンガーカレン・ハーレー Zama

    

     

オリジナル音楽賞

レオナルド・Heiblum 『夏の鳥』

 

長編ドキュメンタリー賞

Muchos hijos, un mono y un castillo 監督グスタボ・サルメロン(スペイン)

   

   

              (左から2人目の監督とヒロインの母親)

 

ドキュメンタリー撮影賞

フアン・サルミエント G. Central Airport THF」監督カリム・アイノズ(ブラジル、独、仏)

 

    

 

ネットフリックス・オペラ・プリマ賞

『相続人』マルセロ・マルティネシ(パラグアイ、独、ブラジル、ウルグアイ、ノルウェー、仏)

 

     

批評家賞

ルシアノ・モンテアグド(アルゼンチンの映画批評家)

 

     

 

シネアスト賞

ルイス・カルロス・バヘット(ブラジルの映画プロデューサー)

 

    

    

Exhibidores

Perfectos desconocidos」監督アレックス・デ・ラ・イグレシア(スペイン)

 

 

  *テレビ部門*

TVシリーズ

La casa de Papel」シーズン2 (スペイン) 邦題『ペーパー・ハウス』

 

   

俳優アンサンブル賞

Aquí en la tierraシーズン1(メキシコ)

 

    

        

(ダニエル・ヒメネス・カチョ)

     
    
                             (ガエル・ガルシア・ベルナル) 
     

(テノチ・ウエルタ)

  

★写真は入手できたもの。

  

第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018*ノミネーション発表2018年09月30日 17:30

          ネットフリックスの存在が大きくなってきたフェニックス賞2018

 

★去る924日、5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018のノミネーション発表がメキシコシティでありました。カテゴリーと解説に齟齬があったりカテゴリーの数が違ったりと、サイトでノミネーション個数にばらつきがありますが、当たらずとも遠からずでいくと、最多ノミネーションは、コロンビアのチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano9個、アルゼンチンのルクレシア・マルテル『サマ』8個でした。作品・監督・脚本・男優女優・撮影・・・と両作とも主要カテゴリーに選ばれています。

  

★イベロアメリカとはいえ、旧宗主国のスペインとポルトガルは影が薄く、第4回までの作品賞はすべてラテンアメリカ映画が制しています(第1回メキシコの『金の鳥籠』、第2回から4回までの『ザ・クラブ』、『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』、『ナチュラルウーマン』と連続でチリが受賞しています)。今年スペインとポルトガルは主要カテゴリーのノミネーションがゼロでした。

 

      

  (イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表に集まったシネアストたち)

   

★チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴのPájaros de veranoは、カンヌ映画祭2018併催の「監督週間」のオープニング作品です。チロ・ゲーラ映画の製作者クリスティナ・ガジェゴの初監督作品です。2016年には夫婦二人三脚で『彷徨える河』などの力作を撮っています。9カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・衣装・オリジナル音楽、ゴッドマザーを演じたカルミナ・マルティネスが女優賞にノミネートされた(美術がないサイトあり)。

Pájaros de verano」の作品紹介は、コチラ20180518

 

      

   (女優賞ノミネートのカルミナ・マルティネスとラウラ・モラの「Matar a Jesús」から)

 

★ルクレシア・マルテルの『サマ』は、ベネチア映画祭2017のコンペティション外上映、国際映画祭に数多く出品され、ラテンビートでも昨年上映されました。しかし批評家の高い評価にもかかわらず今もって作品賞は受賞しておりません。イベロアメリカ諸国の公開が殆ど2018年だったことで、今年のノミネーションになりました。8カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・録音とダニエル・ヒメネス・カチョが男優賞にノミネートされました。

『サマ』の主な紹介記事は、コチラ20171013

   

      

     (サマを演じ男優賞ノミネートのダニエル・ヒメネス・カチョ、映画から)

 

2作に続いて、メキシコのアロンソ・ルイスパラシオスの第2Museo6個です。その内訳は、作品・監督・撮影・オリジナル音楽・録音、ガエル・ガルシア・ベルナルの男優賞です。ベルリン映画祭2018脚本賞受賞作品。

Museo」の作品紹介は、コチラ20180219

 

      

           (男優賞ノミネートのガエル・ガルシア・ベルナル、映画から)

 

★同じくパラグアイのマルセロ・マルティネシLas herederas6個です。その内訳は、作品・監督・脚本・撮影・美術・録音、ベルリン映画祭で女優賞を受賞したアナ・ブルンはノミネートされませんでした。ベルリン映画祭2018のアルフレッド・バウアー賞と国際映画批評家連盟賞受賞作品、サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」部門オープニング作品、ラテンビート2018上映作品です。

Las herederas」の作品紹介は、コチラ20180216

 

     

             (監督とアナ・ブルン)

 

★作品賞・監督賞のノミネーションだけアップしておきます。

作品賞7作品)

Alanis監督アナイ・ベルネリ、アルゼンチン

As boas maneirasフリアナ・ロハス&マルコ・ドゥトラ、ブラジル

Cocoteネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス、ドミニカ共和国

Las herederasマルセロ・マルティネシ、パラグアイ

Museo」同アロンソ・ルイスパラシオス、メキシコ

Pájaros de veranoチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴ、コロンビア

Zamaルクレシア・マルテル、アルゼンチン

 

監督賞7人)

アナイ・ベルネリAlanis

フリオ・エルナンデス・コルドンCómparame un Revólver」メキシコ

マルセロ・マルティネシLas herederas

ラウラ・モラMatar a Jesús」コロンビア

アロンソ・ルイスパラシオスMuseo

チロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano

ルクレシア・マルテルZama

 

★という具合でスペイン映画は作品賞にも監督賞にも見当たりませんでした。ドキュメンタリー部門にゴヤ賞2018受賞のMuchos hijos, un mono un castillo、男優賞に「El autor」のハビエル・グティエレス、脚本賞に「Petra」のハイメ・ロサレス、美術賞に「Handia」と「La libreria」他がありました。

 

 

TVシリーズ部門ではネットフリックスの存在の大きさが際立っています。昨年も『ナルコス』などが受賞しましたが、今年もノミネーション5作品のうち3作がネットフリックスがらみです。スペインのLa casa de papel(『ペーパー・ハウス』シーズン2)、メキシコ=米のNarcos(『ナルコス』シーズン3)、アメリカ製作のLuis Miguel:La serie(シーズン1)の3作です。ルイス・ミゲルというのは一名メキシコの「太陽El Sol」と言われるほどのプエルトリコ生れのメキシコの歌手、現在活躍中の歌手のビオピック、グラミー賞5回受賞でハリウッドのウォーク・オブ・フェームに星が刻まれています。しばらく活動を休むなど謎の多い歌手ですが昨年復活しました。ルイス・ミゲルをディエゴ・ボネタ、歌手だった父親をオスカル・ハエナダが演じています。シーズン113話)が20184月からメキシコ、米国、スペイン、生れ故郷プエルトリコでNetflix同時配信されました(日本は未配信のようです)。

 

    

   (『ペーパー・ハウス』から)

 

   

            (『ナルコス』シーズン3

 

   

                 (ディエゴ・ボネタ、Luis Miguel:La serie」から

 

★この映画賞の作品選考はメキシコの「シネマ23」が中心になって行なわれ、イベロアメリカ映画アカデミー連盟、メキシコ映画アカデミーが参画、第16回モレリア映画祭(102028日)で受賞結果発表があり、ガラは117、メキシコシティのエスペランサ・アイリス・シティシアターで開催される予定。


第60回アリエル賞2018*結果発表2018年06月15日 18:34

   「私たち(の国)は病んでいます。どうか早く健康になりますように」とアマ・エスカランテ

 

    

★第60回を迎えたアリエル賞2018(メキシコ映画アカデミーAMACC)の標語はNo somxs tres, somos todxs(我々は3人ではない、みんな一緒です)、これは去る319日に行方不明になったメディオス・オーディオビジュアルス大学の3人の学生の追悼というか連帯を込めたスローガンです。マフィアと警察と政治家が三位一体のようなメキシコでは、一般人が日常的に暴力や生命の危険に晒されている現状がうかがい知れます。3人だけでなく過去に起きた全ての誘拐拉致被害者を追悼しているようです。2018年の監督賞を受賞したアマ・エスカランテは「私たち(の国)は病んでいます。どうか早く健康になりますように」とスピーチしました。

(結果発表、メキシコ6月5日)

 

       

     (「No somxs tres, somos todxs」のスローガンが掲げられた授賞式会場)

 

★授賞式のハイライト最高賞の作品賞は、エルネスト・コントレラス1969、ベラクルス)のSueños en otro idiomaが受賞、他オリジナル脚本賞、オリジナル音楽賞、撮影賞などトータル6冠に輝きました。彼はアリエル賞を主催するAMACC会長201711月就任したばかりです(任期は2年、201910月まで)。

 

          

          (AMACC会長エルネスト・コントレラス、授賞式にて)

 

★監督賞以下、編集賞、助演女優賞、特殊効果賞など5冠がアマ・エスカランテLa región salvaje『触手』の邦題で、短期間(20183月)ながら公開された作品。本邦では『サングレ』『よそ者』『エリ』と、カンヌやベネチアで評価されたこともあって比較的認知度のある監督でしょうか。当ブログ紹介作品は、イベロアメリカ映画賞を受賞したセバスティアン・レリオ『ナチュラルウーマン』、アナ・バレリアが新人女優賞を受賞したミシェル・フランコ『母という名の女』、ドキュメンタリー賞を受賞したエベラルド・ゴンサレス「La libertad del diablo」の4作品です。

 

『よそ者』の紹介記事は、コチラ20131010

『エリ』の紹介記事は、コチラ20131008

La región salvaje」(『触手』)の紹介記事は、コチラ20160804

『ナチュラルウーマン』の紹介記事は、コチラ20180316

『母という名の女』の紹介記事は、コチラ20170508

 

 主な受賞結果

◎作品賞

 Sueños en otro idioma」 エルネスト・コントレラス

 

   

◎監督賞

 アマ・エスカランテ La región salvaje『触手』) 

 

    

◎男優賞

 エリヒオ・メレンデス(「Sueños en otro idioma」)

 

 

◎女優賞

 カリナ・ヒディGidi (Los adioses

   


  

◎長編ドキュメンタリー賞

 La libertad del diablo」 (監督エベラルド・ゴンサレス

 

   

◎新人男優賞

 フアン・ラモン・ロペス (Vuelven

 

  

◎新人女優賞

 アナ・バレリア・べセリル (Las hijas de Abril」 邦題『母という名の女』) 

 

   

◎イベロアメリカ映画賞

 『ナチュラルウーマン』 (監督セバスティアン・レリオ)

  

 

  (製作者フアン・デ・ディオス・ララインと主演のダニエラ・ベガ)

 

◎撮影賞

 トナティウ・マルティネス (「Sueños en otro idioma」)

 


   

◎オペラ・プリマ(初監督作品)賞

 El vigilante (監督ディエゴ・ロス

 

 

◎編集賞

 フェルナンダ・デ・ラ・ペサJacob Secher Schulsingaer (「La región salvaje」)

 

  

 フェルナンダ・デ・ラ・ペサ

  

◎特殊効果賞

 ホセ・マヌエル・マルティネス (「La región salvaje」)

 

   

◎視覚効果賞

 Peter Hjorth (「La región salvaje」)

 

◎オリジナル脚本賞

 カルロス・コントレラス (「Sueños en otro idioma」)

 

   

◎美術デザイン賞

 アントニオ・モニョイエロ (El elegido

 カルロス・ハケス (La habitación

 

◎メイクアップ賞

 アダム・ソリェル (「Vuelven」)

 

    

◎衣装賞

 マリエステラ・フェルナンデスガブリエラ・ディアケ (「La habitación」)

 

 

     マリエステラ・フェルナンデス

     

◎助演男優賞

 アンドレス・アルメイダ (Tiempo compartido

 

     

◎助演女優賞

 ベルナルダ・トゥルエバ (「La región salvaje」)

 

     

◎短編アニメーション賞

 Cerulia (監督ソフィア・カリージョ

 

    

◎短編映画賞

 Oasis (監督アレハンドロ・スノ

 

  

◎短編ドキュメンタリー賞

 La muñeca tetona (監督ディエゴ・エンリケ・オソルノアレハンドロ・アルドレテ) 

 

   

◎録音賞

 エンリケ・グレイネルパブロ・タメスライムンド・バジェステロス 

(「Sueños en otro idioma」)

   

   

◎オリジナル音楽賞

 アンドレス・サンチェス・マエル (「Sueños en otro idioma」)

 

   

◎脇役男優賞(coactuación

 ミゲル・ロダルテ (「Sueños en otro idioma」)

 

   

◎脇役女優賞(coactuación

 ベロニカ・トゥサンToussaint (Oso Polar

 

      

「金のアリエル」(栄誉賞)

 Queta Lavat (メキシコの女優)

 

      

 Toni Khun (スウェーデン出身メキシコの撮影監督)

 

 

    

★フォトは入手できたものです。

 

第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*結果発表2018年05月03日 09:33

        大賞はセバスティアン・レリオの『ナチュラルウーマン』が独占しました!

 

     

429日メキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで、イベロアメリカ・プラチナ賞の結果発表がありました。本賞は奇数回がラテンアメリカ諸国、偶数回がスペイン各都市と持ち回りで開催されています。スペインが指導的役割を担っておりますが、ラテンアメリカ諸国の映画振興が目的の一つということもあって、受賞作品はそちらに流れる傾向があります。今回はメキシコがホスト国で、エウヘニオ・デルベスが総合進行役を務めました。栄誉賞はメキシコの大女優アドリアナ・バラサの手に渡りましたが、メキシコ映画は残念ながら振るいませんでした。大賞はチリの『ナチュラルウーマン』が独占、技術部門はアルゼンチンの『サマ』と、ほとんどをこの2国が制しました。主なカテゴリーの受賞者は以下の通り。

TVシリーズは割愛、当ブログ紹介作品)

ノミネーション発表は、コチラ20180320

 

        

         (メキシコのマルチ・アーティスト、エウヘニオ・デルベス)

 

作品賞(フィクション部門)

La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)

La librería(スペイン)

Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)

Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

    

      

    

   (中央トロフィーを手にしているのが製作者フアン・デ・ディオス・ラライン)

 

 

監督賞

アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)

フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

(セバスティアン・レリオ)

   

             

脚本賞

カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)

フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

オリジナル作曲賞

アルベルト・イグレシアス 「サミット」(監督サンティアゴ・ミトレ、アルゼンチン、西)

アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)

デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)

フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)

プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

 

                                                           

男優賞

アルフレッド・カストロ Los perros(マルセラ・サイド、チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)

ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)

ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

 

     

女優賞

アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)

マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン) 

ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)

   

     

(ダニエラ・ベガ)

              

              

作品賞(アニメーション部門)

Deep(スペイン)

El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)

Historia antes de uma historia(ブラジル)

Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)

Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(監督エンリケ・ガトダビ・アロンソ、スペイン)

 

                                                        

作品賞(ドキュメンタリー部門)

Dancing Beethoven(スペイン)

Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)

El pacto de Adriana(チリ)

Los niños(チリ)

Muchos hijos, un mono y un castillo(監督グスタボ・サルメロン、スペイン)

 

                                                

オペラ・プリマ初監督作品賞

El techo(ニカラグア、キューバ)

La defensa del dragón(コロンビア)

La llamada(スペイン)

La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)

Mala junta(チリ)

Verano 1993(監督カルラ・シモン、スペイン)

 

                                       

編集賞

アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)

エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)

ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー

 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

    

美術賞

エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ミケル・セラーノ  Handia

モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)

レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラSaiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

 

    

撮影賞

ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)

ルイ・ポサス欠席のためブラジル側の製作者バニア・カタニが受け取った(下の写真参照)。

 

        

録音賞

アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

   Verónica(「エクリプス」スペイン)

グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

  El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)

Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

     

 

   

(左から、各自トロフィーを手にしたソレダード・サルファテ、グイド・ベレンブルム、

 バニア・カタニ、レナータ・ピネイロ)

 

価値ある教育シネマ賞

Como nossos pais ブラジル

Handia (監督アイトル・アレギジョン・ガラーニョ)スペイン

La mujer del animal コロンビア

Mala junta チリ

Una mujer fantástica「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

   

    

イベロアメリカ・プラチナ栄誉賞

アドリアナ・バラサ(日本ではバラッザと表記)Adriana Barrza1956年メキシコ州トルーカ生れ62歳、女優、監督、製作者。イベロアメリカ映画の若い世代にとっては師であり道しるべ的存在である。サム・ライミのスリラー・ホラー『スペル』09)の霊能者役から、アレハンドロ・ゴンサロ・イニャリトゥの『アモーレス・ぺロス』99、続いて『バベル』06)に出演、本作でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞助演女優賞にノミネートされたほか、ゴッサム賞「アンサンブル・パフォーマンス賞」に共演のブラッド・ピットやケイト・ブランシェット、G.G.ベルナルなどと受賞した。142分という長い疲れる映画でしたが大ヒットした。他の公開作品ではケネス・ブラナーが実写映画化した『マイティ・ソー』(11)、パトリシア・リヘンの『チリ33人、希望の軌跡』(15)に脇役で出演している。

 

     

     (『バベル』の第2部アメリカ・メキシコ編で家政婦アメリアを演じた)

 

★監督としてはTVシリーズのテレノベラを多く手掛けている。他に演劇では、『マクベス』のような古典劇の編集も手掛け、2011年には夫君であるブエノスアイレス出身の俳優、監督、プロデューサーArnaldo Pipkeと「アドリアナ・バラサ・アクティング・スタジオ」という俳優養成学校を米国で設立したほか、「アドリアナ・バラサ・ブラック・ボックス」というヒスパニック演劇フェスティバルが開催できる演劇空間をマイアミに設立している。夫君はメキシコ、マイアミ、ブエノスアイレスで幅広く活躍している。

 

      

        (栄誉賞のトロフィーを手にしたアドリアナ・バラサ、429日)


第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018*ノミネーション発表2018年03月20日 14:23

             『ナチュラルウーマン』最多の9部門ノミネーション

 

★第5イベロアメリカ・プラチナ賞のガラが、昨年の7月から4月に前倒しになったせいか、ノミネーション発表も2月下旬と早まりました。目下、ガラはラテンアメリカ諸国とスペインとで交互に開催されています。パナマ、スペインのマルベージャ、ウルグアイのプンタ・デル・エステ、マドリード、今回はメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤ(グラン・ティラッコ劇場Teatro Gran Tlachco de Xcaret 1800人収容)で429日です。総合進行役はメキシコの俳優・監督・製作者・脚本家と多才なエウヘニオ・デルベス、彼は第1回プラチナ賞男優賞の受賞者です。

1回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式の記事は、コチラ2014417

 

★映画賞は過去の作品に贈られる賞だから受賞結果だけでもと思いつつ、まだ5回目という歴史の浅い映画賞、イベロアメリカ諸国以外では話題にならないことも考慮して、やはりアップしておくことにしました。開催時期が3月から4月になった21回マラガ映画祭413日~22日)の各賞発表が五月雨式にアップされています。ギレルモ・デル・トロマラガ賞受賞を手始めに、そろそろ紹介していく予定です。71回カンヌ映画祭58日~19日)も未だ発表になっておりません。今回の審査委員長は女性と予想しておりましたが、ケイト・ブランシェットに決定したようです。スペイン語映画がノミネートされるようでしたら記事にしたい。

 

★主なカテゴリー

 (製作国はイベロアメリカ諸国限定。「」は公開または映画祭上映時の邦題 当ブログ紹介)

作品賞(フィクション部門)

La cordillera(「サミット」アルゼンチン、スペイン)

La librería(スペイン)

Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

Una mujer fantástica(「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン)

Zama(「サマ」アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

 

「サマ」

     

監督賞

アレックス・デ・ラ・イグレシア Perfectos desconocidos(スペイン)

フェルナンド・ぺレス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

イサベル・コイシェ

     

脚本賞

カルラ・シモン Verano 1993 「夏、1993」(スペイン)

フェルナンド・ぺレス&アベル・ロドリゲス Ultimos días en La Habana(キューバ、西)

イサベル・コイシェ La librería(スペイン)

ルクレシア・マルテル 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・レリオ&ゴンサロ・マサ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

「ナチュラルウーマン」

      

オリジナル作曲賞

アルベルト・イグレシアス 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

アルフォンソ・ビラリョンガ La librería(スペイン)

デルリスA. ゴンサレス Los buscadores(パラグアイ)

フアン・アントニオ・レイバ&マグダ・ロサ・ガルバン El techo(ニカラグア、キューバ)

プリニオ・プロフェタ O filme da minha vida(ブラジル)

 

「サミット」

                                                             

 男優賞

アルフレッド・カストロ Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエル・ヒメネス・カチョ「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

ハビエル・バルデム Loving Pablo(スペイン)

ハビエル・グティエレス El autor(スペイン、メキシコ)

ホルヘ・マルティネス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

 

ハビエル・グティエレス

       

女優賞

アントニア・セヘルス Los perros(チリ、アルゼンチン、ポルトガル)

ダニエラ・ベガ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

エンマ・スアレス Las hijas de Abril(メキシコ)

マリベル・ベルドゥ Abracadabra(スペイン) 

ソフィア・ガラ Alanis(アルゼンチン)

 

アントニア・セヘルス

                                                   

作品賞(アニメーション部門)

Deep(スペイン)

El libro de lila(コロンビア、ウルグアイ)

Historia antes de uma historia(ブラジル)

Lino-Uma aventura de sete vidas(ブラジル)

Tadeo Jones 2. El secretodel Rey Midas(スペイン)

  

                                                            

             「Lino-Uma aventura de sete vidas

 

作品賞(ドキュメンタリー部門)

Dancing Beethoven(スペイン)

Ejercicios de memoria(パラグアイ、アルゼンチン)

El pacto de Adriana(チリ)

Los niños(チリ)

Muchos hijos, un mono y un castillo(スペイン)

 

                                               

           「Muchos hijos, un mono y un castillo

 

オペラ・プリマ初監督作品賞

El techo(ニカラグア、キューバ)

La defensa del dragón(コロンビア)

La llamada(スペイン)

La novia del desierto(アルゼンチン、チリ)

Mala junta(チリ)

Verano 1993(スペイン)

 

 「El techo

                                     

 編集賞

アナ・プファフ&ディダク・パロウ 「夏、1993」(スペイン)

エティエンヌ・ボーザック La mujer del animal(コロンビア)

ミゲル・シュアードフィンガー&カレン・ハーレー

 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

ロドルフォ・バロス Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ソレダード・サルファテ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

La mujer del animal

       

美術賞

エステファニア・ラライン「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ミケル・セラーノ  Handia

モニカ・ベルヌイ 「夏、1993」(スペイン)

レナタ・ピネイロ 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

セバスティアン・オルガンビデ&ミカエラ Saiegh 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

 

Handia

      

撮影賞

ベンハミン・エチャサレッタ 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

ハビエル・フリア 「サミット」(アルゼンチン、スペイン)

ラウル・ペレス・ウレタ Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ルイ・ポサス 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、スペイン、メキシコ、ポルトガル)

サンティアゴ・ラカ 「夏、1993」(スペイン)

 

 「夏、1993

    

 

録音賞

アイトル・ベレングエラ、ガブリエル・グティエレス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

   Verónica(「エクリプス」スペイン)

グイド・ベレンブルム 「サマ」(アルゼンチン、ブラジル、西、メキシコ、ポルトガル)

セルヒオ・ブルマン、ダビ・ロドリゲス、ニコラス・デ・ポウルピケ 

  El bar(「クローズド・バル~街角の狙撃手と8人の標的」スペイン、アルゼンチン)

Sheyla Pool Ultimos días en La Habana(キューバ、スペイン)

ティナ・Laschke 「ナチュラルウーマン」(チリ、スペイン)

 

「エクリプス」

        

価値ある教育シネマ賞

Como nossos pais ブラジル

Handia スペイン

La mujer del animal コロンビア

Mala junta チリ

Una mujer fantástica 「ナチュラルウーマン」チリ、スペイン

    

(ブラジル)

    

テレビ・シリーズのノミネーションは割愛、受賞作品はアップします。

掲載写真は各国から適当に選んだものです。

 

★ざっと眺めただけで単独合作含めてスペインのノミネーションが多い。作品・監督・脚本賞のいずれにも顔を出している。ドキュメンタリーやアニメーションを合計すると20作ぐらいになるか。メキシコが開催国だがいささか寂しい印象です。メキシコ、ブラジル、チリなど除くと、ラテンアメリカ諸国は1国だけで製作するのは難しいことが分かります。少しはマシなスペインの資金提供となる。

 

★今回の参加国は23ヵ国だそうですが(ノミネーションを受けた国は11ヵ国)、ゴヤ賞2018イベロアメリカ映画賞にノミネートさえされなかったフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」が、7カテゴリーでノミネートされている。悪くはなかったが、個人的には少し奇異な印象をもちました。


イベロアメリカ映画の将来を模索する*第4回フェニックス賞20172017年12月13日 16:51

            影の薄いかつての宗主国スペインとポルトガル

 

           

★授賞式の1日だけでなく「フェニックス週間Semana Fénix」(122日~9日)と銘打って、各種のシンポジウムが開催されました。せっかく各国のシネアストが一堂に会したのだから唯のお祭り騒ぎに終わらせたくないという思いがあるようです。「シネマ23」というメキシコ主導の映画賞とはいえ、ラテンアメリカ諸国の映画によりスポットを当てたい。どちらかというとかつての宗主国イベリア半島のスペインとポルトガルは裏方の印象が強い。それは結果を見れば歴然です。第1回の作品賞受賞国はメキシコのケマダ=ディエスの『金の鳥籠』、第2回と3回はチリのパブロ・ララインの『ザ・クラブ』と『ネルーダ』、第4回の『ナチュラルウーマン』とチリが3連続受賞しています。監督賞は順次、メキシコのアマ・エスカランテ、チリのパブロ・ララインとコロンビアのチロ・ゲーラ、ブラジルのクレベール・メンドンサ・フィリオ、チリのセバスティアン・レリオと、スペイン、ポルトガルの影は薄い。ここいら辺が同じイベロアメリカを対象にしたプラチナ賞との大きな違いです。

 

       ノミネーションされた監督&脚本家のディスカッション

 

★シンポジウムの一つは監督と脚本家のグループ、出席者は、パブロ・ラライン、アマ・エスカランテ、ダビ・プリド(スペインの脚本家、『物静かな男の復讐』)、ガストン・ドゥプラットマリアノ・コーン(アルゼンチン、『笑う故郷』共同監督)、カルラ・シモン(スペインの監督、『夏、1993』)の6人。「イベロアメリカ映画というジャンルが実際に存在するのかどうか?」「イベロアメリカで製作された映画が共有しているスタイル、テーマがあるのかどうか?」などについて、かなりざっくばらんに語り合ったということです。メキシコ市のトナラTonalá 映画館で開催された。 

     

   (左から、ガストン・ドゥプラット、アマ・エスカランテ、マリアノ・コーン、他)

 

★今回は監督としてではなく『ナチュラルウーマン』のプロデューサーの一人としてメキシコにやってきたパブロ・ラライン、今のチリで一番国際的な知名度のあるシネアストの一人だと思います。どうやら監督賞ノミネーションのセバスティアン・レリオ(受賞した!)が来墨できなかったようで、弟フアン・デ・ディオスと設立した制作会社「ファブラ」の代表者として兄弟でチームをアシストしていた。「誰しも居心地のいい箱の中にいたほうがいいとは思っていません。私たちの映画は常に他の映画とは別に分類されます。それは映画の存在を知ってもらえるよう、定義してもらえるような箱が必要なんです」とラライン。まだ各国単独で立ち向かうには力不足ということでしょうか。 

      

         (左から、パブロ、フアン・デ・ディオスのラライン兄弟)

 

★今回は最新作La región salvaje(英題「The Untamed」)の作品・監督・脚本賞のノミネーションを受けたアマ・エスカランテ、国際的なデビューでは一番の古株になります。本作は初めて参加したベネチア映画祭2016の監督賞受賞作品、製作国はメキシコ、デンマーク、仏、独以下9ヵ国に及ぶという。「私は自分のアイディアを誰にも売らなくてよかった。誤りや適切な判断を含めて、私たちは自由をもっている」とエスカランテ。本作のテーマは「メキシコに存在する偽善、ホモ嫌い、マチスモについてのSF仕立ての映画です。各国のプロデューサーが意見を述べ、最終的には私が映画の売上高も考慮して決めた」と語っている。共同執筆者ヒブラン・ポルテラと物語の信憑性や要素を損なわずに維持することができた。ポルテラは『金の鳥籠』やアロンソ・ルイスパラシオスのデビュー作『グエロス』(東京国際映画祭2014)の脚本も各監督と共同で手掛けているライター。

IMDbによるとLa región salvaje」の公開が2018227日とアナウンスされていますが、邦題は未定のようで公式サイトも検索できませんでした。公開確実なら初めてとなります。デビュー作『サングレ』以下は映画祭上映です。

      

  

           (本作のプレゼンをするアマ・エスカランテ監督)

 

★製作資金も大きなテーマの一つだった。ガストン・ドゥプラットマリアノ・コーン1993年に出会い、11年前から今日までコンビを組んでドキュメンタリーを含めて長編6作を撮っている。批評家の絶賛にもかかわらずデビュー作以来今日まで彼らの作品にどこからも資金提供を得られなかったという。『ル・コルビュジエの家』(09)の成功後もそれは変わらず、ノミネート作品『笑う故郷』完成に5年間要したと語っている。「年率35%のインフレでは誰も映画に投資する気になれない。着手する前に疲労困憊してしまう」とコーン監督。アルゼンチンで映画を作ろうとするなら、まず会計業務や経済学を学んでからというわけです。

 

★初期の映画は社会イベントにカメラを持ち込んで製作した。その後『ル・コルビュジエの家』を12万ドルの資金で4週間で撮った。「観客が新鮮な視点やテーマのもつ力強さに興味をもってくれた」とドゥプラット監督、「ある地域的な物語かもしれないが、普遍的なパンチ力があった」とコーン監督。これは最新作『笑う故郷』にもいえることでしょう。個人的には『ル・コルビュジエの家』の不気味さのほうに惹かれますが。

 

          一番の難題は映画産業の拡大と流通のギャップ

  

★アマ・エスカランテがデビュー作『サングレ』(東京国際映画祭2005)を撮ったころのメキシコでは、メキシコ全体で20作ばかりしか製作されなかった。厳しさは相変わらずだが2017年には170作にも上るということです。1国だけで製作することは難しく、この10年間でいっても56ヵ国を超えるのは珍しくない。充分とは言えないが資金援助を利用することもできるようになっている。「警告しておきたいのは、販売ディーラーなしで映画を作るべきではない」とラライン。とは言っても、それが見つけられないのではないでしょうか。

 

★一番の問題は、映画産業の拡大はあっても、その作品がラテンアメリカ諸国間に流通しないということがある。他の国の映画を観ようとしても配給会社が手を出さない。危険を冒してまで賭けをしようとはしない。映画は映画館で観る時代ではなく、何か他のプラットフォームを考える時期に来ている。それは一つには「多分webウェブサイト」と、昨年の作品賞『ネルーダ』の監督。ラテンアメリカ諸国も変化の秋を迎えている。スペインから参加したダビ・プリドとカルラ・シモンは聞き役だったのでしょうか。

 

★もう一つのシンポジウムは俳優のグループ、男優賞・女優賞各5名のうち、レオナルド・スバラグリア(アルゼンチン、『キリング・ファミリー 殺し合う一家』)、エドゥアルド・フェルナンデス(スペイン、『スモーク・アンド・ミラーズ』)、エドゥアルド・マルティネス(キューバ、「Santa y Andrés」)、パウリナ・ガルシア(チリ、「La novia del desierto」)、アントニア・セヘレス(チリ、「Los perros」)、リリアナ・ビアモンテ(コスタリカ、「Medea」)、各3名が参加した(国名と出演映画タイトル)。

 

★作家性のある映画は消えていく傾向にあること、どうやって観客と出会えることができるのか、映画祭に出品される映画はともかく、そうでない作品はどうやって国境を越えて観客に届けることができるのか、コスタリカのようにプロジェクトがそもそも少ない小国で映画を作る厳しさ、ハリウッドで噴き出しているセクハラ問題には触れなかったようだが、男性のロジックが常にまかり通ってしまうラテンアメリカでは、全世代の女性たちに興味をもってもらえる役柄があるのではないかなど、ハリウッドのステレオタイプ的な映画を前にして、やるべき事柄は山積していることが異口同音に述べられた。

 

   

 (左から、P. ガルシア、E. フェルナンデス、司会者K. GidiE. マルティネス、L. スバラグリア、

    A. セヘレス、L. ビアモンテ)

 

当ブログで6作とも紹介記事をアップしております。


第4回イベロアメリカ・フェニックス賞2017*結果発表2017年12月09日 14:24

          最優秀作品賞はセバスティアン・レリオの「Una mujer fantástica

   

    

★昨年はパブロ・ララインの『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』が作品賞以下多数のフェニックスのタマゴを独占しましたが、今年もセバスティアン・レリオUna mujer fantásticaが作品賞を受賞、他にセバスティアン・レリオが監督賞、主演のダニエラ・ベガが女優賞と連続でチリ映画が大賞を制しました(126日発表)。本作は『ナチュラルウーマン』の邦題で2018年2月公開が決定しています。政治的にも経済的にも各国問題を抱えていますから、単なるフィエスタに終わらせず、この映画賞を機にイベロアメリカ諸国が一堂に会して映画の未来を議論する場にしようと模索しているようでした。受賞作品並びに受賞者は以下の通り、作品賞のみノミネート作品を列挙しました。

3回イベロアメリカ・フェニックス賞の記事は、コチラ20161215

 

   

       (女性に性転換したマリナ・ビダルを演じたダニエラ・ベガ、映画から)

 

 映画部門

◎作品賞(このカテゴリーのみ7作品ノミネーション)

Viejo calavera  ボリビア=カタール、2016、監督キロ・ルッソ

 本作の内容・監督紹介記事は、コチラ201695

 

La región salvaje メキシコ=独=仏=デンマーク、2016、監督アマ・エスカランテ

  本作の内容・監督紹介記事は、コチラ2016917

 

Verano 1993 『夏、1993』スペイン、2017、監督カルラ・シモン

  本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ2017222

 

Una mujer fantástica チリ=スペイン=米国、2017、監督セバスティアン・レリオ

  本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ2017126

 

   

 (左橋がプレゼンターのディエゴ・ルナ、トロフィーを手にしているのがプロデューサーの

  フアン・デ・ディオス・ラライン、右端がヒロインのダニエラ・ベガ)

 

El ciudadano ilustre 『笑う故郷』アルゼンチン=西、2016

  監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

  本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ20161013

 

O Ornitologo ブラジル=ポルトガル=フランス、2016、監督ジョアン・ペドロ・ロドリゲス

 

A fábrica de nada ポルトガル、2017監督ペドロ・ピニュ

  本作の内容・監督紹介記事は、コチラ20171115

 

◎監督賞

セバスティアン・レリオ Una mujer fantastica

 

◎男優賞

オスカル・マルティネス 『笑う故郷』

 

◎女優賞

ダニエラ・ベガ Una mujer fantastica

*家族の理解もあって自らも10代のころから徐々に性転換していったというダニエラ・ベガ、これからが役者としての正念場を迎えねばならない。

 

   

           (フェニックスのタマゴを手に喜びのダニエラ)

 

◎脚本賞

カルラ・シモン 『夏、1993 

 

    

   

◎撮影賞

ラミロ・シビタ El invierno 監督エミリアノ・トレス(アルゼンチン)

 本作の内容・監督紹介記事は、コチラ2016926

 

   

◎オリジナル音楽賞

キンカス・モレイラLa libertad del diablo メキシコ、2017、監督エベラルド・ゴンサレス

 

◎編集賞

クラウディア・オリヴェイラエドガー・フェルドマンルイサ・Homem A fábrica de nada

    

 (クラウディア・オリヴェイラ) 

 

 ◎美術デザイン賞

エウヘニオ・カバリェロ 『怪物はささやく』 監督フアン・アントニオ・バヨナ(米、西)

    

  

◎衣装賞

Ro Nascimento Joaquim 監督マルセロ・ゴメス(ブラジル、ポルトガル、スペイン)

 

◎録音賞

Marc Orts(マーク・オーツ)、オリオル・タラゴピーター・グロソップ 『怪物はささやく』

 

◎長編ドキュメンタリー賞

La libertad del diablo 監督エベラルド・ゴンサレス

 本作の内容・監督紹介記事は、コチラ2017222

 

   

◎ドキュメンタリー撮影賞

マリア・セッコ La libertad del diablo 

 

    

  (ディエゴ・ケマダ=ディエス『金の鳥籠』でも注目されたウルグアイのマリア・セッコ)

 

★他にTVシリーズ部門としてドラマコメディ俳優アンサンブル3カテゴリーがあり、ネットフリックスのオリジナル作品『ナルコス』(クリス・ブランカト、カルロ・ベルナルド、他、コロンビア=米)がドラマ部門と俳優アンサンブルで2賞、Club de Cuervos(ガス・アラスラキ、ミケ・ラム、メキシコ)がコメディ部門を受賞、ネットフリックスの存在の大きさを見せつけた夕べとなった。メキシコは合計4賞したこともあって、お茶の間も盛り上がったようでした。

 

  

      (タマゴを手にした『ナルコス』アンドレス・バイス監督、右側パウリナ・ガルシア)

      

         

              (喜びに沸いた「Club de Cuervos」のスタッフとキャスト一同)

 

★その他、特別賞として、キャリア賞ノルマ・アレアンドロ)、批評家賞アイザック・レオン・フリアス)、Exhibidoresという 展示者賞にフアン・アントニオ・バヨナ(欠席)の『怪物はささやく』が受賞した。

 

    

   (アルゼンチンの『オフィシャル・ストーリー』の主演女優ノルマ・アレアンドロ)

 

★エミリアノ・トレスのデビュー作「El invierno」は、サンセバスチャン映画祭2016の審査員特別賞受賞作品。時間切れで作品紹介はできませんでしたが、サンセバスチャンでもラミロ・シビタは撮影賞を受賞しています。

 

★ポルトガル映画ジョアン・ペドロ・ロドリゲスのO Ornitologoと、ブラジル映画マルセロ・ゴメスのJoaquimは当ブログ未紹介作品です。前者はロッテルダム映画祭2016の監督賞受賞を皮切りに国際映画祭の受賞歴多数、サンセバスチャン映画祭2016「サバルテギ」部門でも上映されました。後者はベルリン映画祭2017正式出品です(主要言語がポルトガル語)。

 

★イベロアメリカ・フェニックス映画賞は参加国が23ヵ国と多いせいか公開時期が各国異なるので、どうしても2016年と2017年が混在が避けられません。大分以前の作品もノミネーションされている印象を受けます。  (クラウディア・オリヴェイラ)

  

ウエルバ映画祭2017結果発表*アルゼンチンの「La novia del desierto」2017年11月24日 14:05

             二人の女性監督のデビュー作が「金のコロン」作品賞を受賞

  

   

★第43回を迎えたイベロアメリカ・ウエルバ映画祭2017の結果発表がありました(1118日)。本映画祭紹介は初めてですが、今年は当ブログで紹介したアルゼンチンのセシリア・アタンバレリア・ピバトの長編デビュー作La novia del desierto(アルゼンチン=チリ合作)が最優秀作品賞「金のコロン」(ゴールデン・コロンブス賞)、主演のパウリナ・ガルシアが女優賞「銀のコロン」、同じく共演者のクラウディオ・リッシが男優賞、さらに合作映画に与えられる共同製作賞などの大賞を独り占めしたのでアップいたします。カンヌ映画祭2017「ある視点」ノミネーション作品。

La novia del desierto」の紹介記事は、コチラ2017514

 

 

(パウリナ・ガルシアとクラウディオ・リッシ)

 

 

                 (二人の監督、セシリア・アタンとバレリア・ピバト) 

 

★授賞式には両監督は欠席、主役のパウリナ・ガルシアがメッセージを代読、配給元のプロデューサーロレア・エルソが「世界のすべてのテレサたちに捧ぐ」とコメントした(テレサとはパウリナが演じた54歳になる身寄りのない家政婦の名前)。プレゼンテーターは今回の審査委員長メキシコの監督ルシア・カレーラス、日本では『うるう年の秘め事』(マイケル・ロウ、LB2011)や『金の鳥籠』(ディエゴ・ケマダ=ディエス、難民映画祭2014の脚本家として認知されているが、2011年「Nos vemos, papa」で監督デビューを果たし、2016年の第2作「Tamara y la Catarina」は評価も高く、今回の審査委員長指名になった。

 

   

   (左から、ルシア・カレーラス、パウリナ・ガルシア、ロレア・エルソ、授賞式にて)

 

★ウエルバ市はアンダルシア州ウエルバ県の県都、隣県セビーリャ、カディス、バダホス、ポルトガルに接し、南はカディス湾に面している。どちらかというと芸術文化には縁の薄い産業と農業の町です。作品賞に命名された「コロン」は、1492年にコロンブスが最初の航海に出た港がウエルバ県のパロス・デ・ラ・フロンテラだったからです。まだフランコ体制だった1974年設立、第1回開催が1975年、インターナショナルではなくスペイン語とポルトガル語映画に特化した映画祭、イベロアメリカの発展振興を世界に向けて発信するのが目的です。今年の受賞国アルゼンチンが10回、続くブラジルとチリが7回、他スペイン、ポルトガル、メキシコ、キューバ、ウルグアイなどが各35回、時代によってかなり変化があります。

 

★オフィシャル・セレクションはドキュメンタリーを含む長編と短編に分かれ、長編部門の最高賞が「金のコロン」、短編が「銀のカラベラ」です。カラベラcarabela156世紀の航海時代に使用された3本マストの快速小型帆船のことで、コロンブスの第1回航海に使用されたことに因んで命名された。従って金賞は長編作品賞のみです。他にコンペティション部門とは関係なく選ばれる、栄誉賞にあたる「ウエルバ市賞」(1998年より)、アンダルシア出身の監督作品に与えられる「フアン・ラモン・ヒメネス賞」、新人監督賞、観客賞(El eco de los aplausos)他があります。

 

★今年は12作がノミネートされ、そのうち当ブログで紹介した作品は、受賞作の他、ベルリン映画祭2017の銀熊脚本賞に輝いたセバスティアン・レリオUna mujer fantástica(チリ)、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」に正式出品されたマルセラ・サイド2Los perros(チリ)、エベラルド・ゴンサレスのメキシコの闇を切り取った問題作La libertad del díablo(メキシコ、ドキュメンタリー)などがあります。賞に絡んだのは、マルセラ・サイドの「Los perros」が「イベロアメリカの現実を反映した映画」として、ラジオ・エクステリアRadio Exterior de España賞、主役を演じたダニエラ・ベガが女優賞を取るかと予想した、セバスティアン・レリオのUna mujer fantástica」は観客賞を受賞した。既にベルリンやカンヌでワールド・プレミアした作品ですが、チリの躍進が目立った印象でした。

  

「Una mujer fantástica」の紹介記事は、コチラ⇒2017年1月26日同年2月22日

「Los perros」の紹介記事は、コチラ⇒2017年5月1日

「La libertad del diablo」の紹介記事は、コチラ⇒2017年2月22日

 

 

 

 (アントニア・セヘルスとアルフレッド・カストロ、ポスターから)

 

(マルセラ・サイド監督)

 

 

(女性に性転換したマリアを演じたダニエラ・ベガ、映画から)

  

  

             (La libertad del díablo」のエベラルド・ゴンサレス監督)

  

★栄誉賞「ウエルバ市賞」をアルゼンチンの俳優ダリオ・グランディネッティが受賞、登壇したハイメ・チャバリにエスコートされたアナ・フェルナンデスの手からトロフィーを受け取った。1959年サンタ・フェ生れの58歳、アルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』や『ジュリエッタ』、ダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』で知名度を高めている。2016年の受賞者はキューバのホルヘ・ぺルゴリア、2015年はベレン・ルエダアイタナ・サンチェス=ヒホンの複数、年によって数がまちまちです。他にアルゼンチンからは、アドルフォ・アリスタライン監督、ベテラン俳優のフェデリコ・ルッピ、レオナルド・スバラグリア、エルネスト・アルテリオなどが受賞者。

 

   

            (トロフィーを手にダリオ・グランディネッティ)