ウエルバ映画祭2017結果発表*アルゼンチンの「La novia del desierto」2017年11月24日 14:05

             二人の女性監督のデビュー作が「金のコロン」作品賞を受賞

  

   

★第43回を迎えたイベロアメリカ・ウエルバ映画祭2017の結果発表がありました(1118日)。本映画祭紹介は初めてですが、今年は当ブログで紹介したアルゼンチンのセシリア・アタンバレリア・ピバトの長編デビュー作La novia del desierto(アルゼンチン=チリ合作)が最優秀作品賞「金のコロン」(ゴールデン・コロンブス賞)、主演のパウリナ・ガルシアが女優賞「銀のコロン」、同じく共演者のクラウディオ・リッシが男優賞、さらに合作映画に与えられる共同製作賞などの大賞を独り占めしたのでアップいたします。カンヌ映画祭2017「ある視点」ノミネーション作品。

La novia del desierto」の紹介記事は、コチラ2017514

 

 

(パウリナ・ガルシアとクラウディオ・リッシ)

 

 

                 (二人の監督、セシリア・アタンとバレリア・ピバト) 

 

★授賞式には両監督は欠席、主役のパウリナ・ガルシアがメッセージを代読、配給元のプロデューサーロレア・エルソが「世界のすべてのテレサたちに捧ぐ」とコメントした(テレサとはパウリナが演じた54歳になる身寄りのない家政婦の名前)。プレゼンテーターは今回の審査委員長メキシコの監督ルシア・カレーラス、日本では『うるう年の秘め事』(マイケル・ロウ、LB2011)や『金の鳥籠』(ディエゴ・ケマダ=ディエス、難民映画祭2014の脚本家として認知されているが、2011年「Nos vemos, papa」で監督デビューを果たし、2016年の第2作「Tamara y la Catarina」は評価も高く、今回の審査委員長指名になった。

 

   

   (左から、ルシア・カレーラス、パウリナ・ガルシア、ロレア・エルソ、授賞式にて)

 

★ウエルバ市はアンダルシア州ウエルバ県の県都、隣県セビーリャ、カディス、バダホス、ポルトガルに接し、南はカディス湾に面している。どちらかというと芸術文化には縁の薄い産業と農業の町です。作品賞に命名された「コロン」は、1492年にコロンブスが最初の航海に出た港がウエルバ県のパロス・デ・ラ・フロンテラだったからです。まだフランコ体制だった1974年設立、第1回開催が1975年、インターナショナルではなくスペイン語とポルトガル語映画に特化した映画祭、イベロアメリカの発展振興を世界に向けて発信するのが目的です。今年の受賞国アルゼンチンが10回、続くブラジルとチリが7回、他スペイン、ポルトガル、メキシコ、キューバ、ウルグアイなどが各35回、時代によってかなり変化があります。

 

★オフィシャル・セレクションはドキュメンタリーを含む長編と短編に分かれ、長編部門の最高賞が「金のコロン」、短編が「銀のカラベラ」です。カラベラcarabela156世紀の航海時代に使用された3本マストの快速小型帆船のことで、コロンブスの第1回航海に使用されたことに因んで命名された。従って金賞は長編作品賞のみです。他にコンペティション部門とは関係なく選ばれる、栄誉賞にあたる「ウエルバ市賞」(1998年より)、アンダルシア出身の監督作品に与えられる「フアン・ラモン・ヒメネス賞」、新人監督賞、観客賞(El eco de los aplausos)他があります。

 

★今年は12作がノミネートされ、そのうち当ブログで紹介した作品は、受賞作の他、ベルリン映画祭2017の銀熊脚本賞に輝いたセバスティアン・レリオUna mujer fantástica(チリ)、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」に正式出品されたマルセラ・サイド2Los perros(チリ)、エベラルド・ゴンサレスのメキシコの闇を切り取った問題作La libertad del díablo(メキシコ、ドキュメンタリー)などがあります。賞に絡んだのは、マルセラ・サイドの「Los perros」が「イベロアメリカの現実を反映した映画」として、ラジオ・エクステリアRadio Exterior de España賞、主役を演じたダニエラ・ベガが女優賞を取るかと予想した、セバスティアン・レリオのUna mujer fantástica」は観客賞を受賞した。既にベルリンやカンヌでワールド・プレミアした作品ですが、チリの躍進が目立った印象でした。

  

「Una mujer fantástica」の紹介記事は、コチラ⇒2017年1月26日同年2月22日

「Los perros」の紹介記事は、コチラ⇒2017年5月1日

「La libertad del diablo」の紹介記事は、コチラ⇒2017年2月22日

 

 

 

 (アントニア・セヘルスとアルフレッド・カストロ、ポスターから)

 

(マルセラ・サイド監督)

 

 

(女性に性転換したマリアを演じたダニエラ・ベガ、映画から)

  

  

             (La libertad del díablo」のエベラルド・ゴンサレス監督)

  

★栄誉賞「ウエルバ市賞」をアルゼンチンの俳優ダリオ・グランディネッティが受賞、登壇したハイメ・チャバリにエスコートされたアナ・フェルナンデスの手からトロフィーを受け取った。1959年サンタ・フェ生れの58歳、アルモドバルの『トーク・トゥ・ハー』や『ジュリエッタ』、ダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』で知名度を高めている。2016年の受賞者はキューバのホルヘ・ぺルゴリア、2015年はベレン・ルエダアイタナ・サンチェス=ヒホンの複数、年によって数がまちまちです。他にアルゼンチンからは、アドルフォ・アリスタライン監督、ベテラン俳優のフェデリコ・ルッピ、レオナルド・スバラグリア、エルネスト・アルテリオなどが受賞者。

 

   

            (トロフィーを手にダリオ・グランディネッティ)

 

第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*結果発表2017年07月25日 18:36

         作品賞は『笑う故郷』、アルモドバルが『ジュリエッタ』で監督賞!

 

★ノミネーション発表(531日)から大分時間が空いて気が抜けてしまっていた授賞式が、去る722日にマドリードのカハ・マヒカで開催されました。作品賞は予想通り、本作はラテンビート上映時の邦題『名誉市民』が『笑う故郷』と笑えないタイトルになって公開されます。監督賞J.A.バヨナアルモドバルか迷いましたが、後者に軍配が上がりました。当夜いちばん光が当たった人がアルモドバルでした。彼の授賞式参加は初めて、つまりガラでの発言は皆無でした。「この受賞を市民戦争中に行方不明になった家族を探し続けている人々に」捧げるとスピーチした。えっ『ジュリエッタ』ってそんな映画でした? これにはかなり説明が必要なので別にアップいたします。というのもフランコ時代に無実の罪で23年間服役していた詩人マルコス・アナ(19202016)の回想録の映画化と関係があるからです(アルモドバルはこの回想録の映画化権を持っている)。いずれアップします。

 

   

★ドラマ部門の女優賞はブラジルのソニア・ブラガ、本作で第3回イベロアメリカ・フェニックス賞でも女優賞を受賞している。なお彼女は第1回プラチナ賞の栄誉賞受賞者でもありました。観客賞部門の女優賞ナタリア・オレイロは、ウルグアイ出身であるが主にアルゼンチンで活躍している。前回ウルグアイで開催された第3回ではサンティアゴ・セグラと総合司会者を務めました。ということで今回はベテラン女優が気を吐きました。男優賞のオスカル・マルティネスについてはもう書きすぎました。

 

作品賞(ドラマ部門)

Aquarius アクエリアス」(ブラジル)監督:クレベール・メンドンサ・フィリオ

『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)監督:ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)監督:アルベルト・ロドリゲス

『ジュリエッタ』(スペイン)監督:ペドロ・アルモドバル

「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)監督:パブロ・ラライン

 

  

 (左から、アンドレス・ドゥプラット、ガストン・ドゥプラット、オスカル・マルティネス、

  マリアノ・コーン、受賞者一同)

 

監督賞

フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)

クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)

パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)

 

(ペドロ・アルモドバル

             

脚本賞

アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

アンドレス・ドゥプラット『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン

パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante

 (キューバ、ベネズエラ、コロンビア)

 

 

女優賞

アンジー・セペダLa semilla del silencio」(コロンビア)

エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)

フアナ・アコスタAnna」(コロンビア・フランス)ジャックToulemondeビダル監督

ナタリア・オレイロGilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)

          ロレナ・ムニョス監督

◎ソニア・ブラガAquarius」(ブラジル)

 

 (ソニア・ブラガ)

  

男優賞

アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)

ダミアン・カサレスLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

オスカル・マルティネス『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

 

 (オスカル・マルティネス)

 

 

オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)

『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス

La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア

Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン

Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ

『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ

 

音楽賞

アルベルト・イグレシアス『ジュリエッタ』

ゴヤ賞の胸像を10個、オスカー賞ノミネーション3回、今回プラチナ賞をゲットして、トロフィーのコレクター。アルモドバル作品を一手に引き受けている。

 

美術賞

エウヘニオ・カバジェロ『怪物はささやく』

 

撮影賞

オスカル・ファウラ『怪物はささやく』

 

編集賞

Bernat Vinapiana / Jaune Marti『怪物はささやく』

 

録音賞

Peter Glossop / Marc Orts / オリオル・タラゴ『怪物はささやく』

『怪物はささやく』は言語が英語のため、作品賞から外されました。興行的にはナンバーワンの功労者でしたが残念でした。バヨナ自身は監督賞を逃しましたが、技術部門4個を制しました。 

 

 (フアン・アントニオ・バヨナ)

 

  

ミニシリーズ&テレビシリーズ賞

Cuatro estaciones en La Habana(西、キューバ)監督:フェリックス・ビスカレット

キューバの推理作家レオナルド・パドゥラのマリオ・コンデ警部補が活躍する「四季シリーズ」がベースになっている。

 

ドキュメンタリー賞

2016, Nacido en Siria(スペイン)監督:エルナン・シン

現在ヨーロッパで起きている、各政府が目を背けている証言で綴られている。よりよい生活を求めて旅を続けるシリアの子供たち20人と14か月間、監督は行を共にして作ったドキュメンタリー。

 

アニメーション賞

Psiconautas, los niños olvidados (スペイン)監督:アルベルト・バスケス&ペドロ・リベロ

 

意義のある教育賞

Esteban(キューバ、スペイン)

 

 

作品賞(観客賞部門)

『笑う故郷』(アルゼンチン、スペイン)

 

女優賞(観客賞部門)

◎ナタリア・オレイロ Gilda, no me arrepiento de esta amor

 

 (ナタリア・オレイロ)

     

  

男優賞(観客賞部門)

オスカル・マルティネス『笑う故郷』

 

ポスター賞(観客賞部門)

『ジュリエッタ』アルモドバル

 

プラチナ栄誉賞

エドワード・ジェームズ・オルモス

EGEDA会長エンリケ・セレソがプレゼンターでした。1947年ロサンゼルス生れのメキシコ系アメリカ人俳優。スペインUSA合作『ロルカ、暗殺の丘』(1997、監督マルコス・スリナガ)、代表作は『ブレードランナー』、TVドラマ『特捜刑事マイアミ・バイス』(198489)のマーティン・キャステロ主任警部役がもっとも有名でしょうか。本作で1985年にゴールデングローブ賞、エミー賞を受賞している。531日にロスで開催されたノミネーション発表会のプレゼンターを務めていた。   

 

★記者会見では「時差ボケで睡眠がとれずくたくたです。・・・国ではラテン芸術の理解に奮闘しています。彼らは私たちラテン系に恐怖をもっているのです」と、今や国民の20パーセントを占めるに至ったヒスパニック系アメリカ人に対する差別が増加していると語っていた。トランプが演出する反オバマ政策を支持する一部の人々が存在していること、そういう米国人はアフロ系大統領には我慢できなかった。「しかし私はオプティミストです」と希望も語っていた。

 

★第5回イベロアメリカ・プラチナ賞2018はラテンアメリカに戻って、メキシコのリビエラ・マヤで、4月開催がアナウンスされました。有名なリゾート地カンクンより南へ車で90分ほどにある、外国人セレブに人気のあるリゾート地です。

4回イベロアメリカ・プラチナ賞ノミネーション発表の記事は、コチラ201765

 

アリエル賞2017*メキシコ・アカデミー賞の結果発表2017年07月15日 16:30

        メキシコ未公開映画が最優秀作品賞以下10冠の不思議

 

★デビュー作(が目立った今年のアリエル賞711日に発表になりました。カテゴリーはまた増えて28個、うち10冠(ノミネート20個)を制したLa 4a compañíaが、未だにメキシコでは公開されていないのに受賞しました。グアダラハラ映画祭201636日)で上映こそされましたが、アカデミー会員の多くはスクリーンでは観てないはずです。今後の公開を期待したのかもしれませんが、配給会社はまだ決まっていないようです。受賞カテゴリーは、作品・男優(アドリアン・ラドロン)・クアドロ男優(エルナン・メンドサ)・編集・視覚効果・特殊効果・美術デザイン・録音・衣装・メイクアップの10個です。Tempestadがドキュメンタリーということからある程度は予想されていましたが、未公開作品が作品賞を取るという結果になりました。

 

           

              (La 4a compañíaのポスター)

 

★アリエル賞はメキシコの社会情勢を反映して、政治的メッセージの強い映画が選ばれる傾向にあると思います。2016年ダビ・パブロスの『選ばれし少女たち』2015年アロンソ・ルイスパラシオスの『グエロス』2014年ディエゴ・ケマダ=ディエスの『金の鳥籠』と、切りこむ角度は違ってもメキシコやラテンアメリカの闇を抉るという意味では同じでした。今年の受賞作も実話をベースにした刑務所が舞台になっている。制度的革命党PRIのホセ・ロペス・ポルティーリョが大統領だった時代(197682)、メキシコ・ペソの大暴落で世界を混乱させた頃の物語です。実現までに10年以上もかかったプロジェクト全員が、待ちに待った受賞者のアナウンスに酔いしれた夕べとなりました。

La 4a compañía」ほかノミネーション発表の記事は、コチラ20176月9日

  

 最優秀作品賞(メキシコ)

『夜を彩るショーガール』Bellas de noche)ドキュメンタリー

                        監督マリア・ホセ・クエバス

『彼方から』(ベネズエラ合作)監督ロレンソ・ビガス

『ノー・エスケープ自由への国境』(フランス合作)監督ホナス・キュアロン

Tempestad」ドキュメンタリー 監督タティアナ・ウエソ

Me estás matando, Susana監督ロベルト・スネイデル

La 4a compañía(スペイン合作)

                  監督アミル・ガルバン・セルベラ&ミッチ・バネッサ・アレオラ

El sueño del Mara'akame監督フェデリコ・Cecchetti

 

   

        (ミッチ・バネッサ・アレオラとアミル・ガルバン・セルベラ)

 

 監督賞&長編ドキュメンタリー賞

タティアナ・ウエソTempestad」ドキュメンタリー

女性で監督賞を受賞した第1号となり、当夜のもう一人の華だった。アリエル賞は1947年、16のカテゴリーで始まったメキシコ・アカデミー賞、その長い歴史にもかかわらず、ウエソ監督が初とは驚きを通りこして沈黙あるのみです。女性への暴力が処罰されないメキシコの現在が語られる。パウラ・マルコビッチ監督の自伝的デビュー作「El premio」(メキシコ、仏、独、ポーランド)が、2013年に作品賞を受賞したことがあります。しかし彼女はメキシコで活動しているアルゼンチン出身の脚本家でした。

 

 

        (監督賞のトロフィーを手にしたタティアナ・ウエソ)

 

 オペラ・プリマ第1回作品賞&と音楽賞

El sueño del Mara'akame」監督:フェデリコ・Cecchetti

 

    

                (出演者と一緒に)

 

 男優賞(二人)

アドリアン・ラドロンLa 4a compañía

ホセ・カルロス・ルイスAlmacenados監督:ジャック・サグア・カバビエZagha Kababie確認

若手とベテランが賞を分け合いました。

 

 

      (左から、ホセ・カルロス・ルイスとアドリアン・ラドロン)

 

 女優賞

ベロニカ・ランガー(ランヘル)La calidas監督:マロエイリノ・イスラス・エルナンデス

 

   

               (貫禄の受賞者ベロニカ・ランガー)

 

 助演男優賞

オセHoze・メレンデスAlmacenados

 

 

 助演女優賞

アドリアナ・パスLa calidas

 

  

 新人男優賞

パコ・デ・ラ・フエンテEl alien y yo監督:ヘスス・マガニャ・バスケス

 

 新人女優賞

マリア・エボリTenemos la carne」監督:エミリアノ・ロチャ・ミンター

  

 

 クアドロ男優賞

エルナン・メンドサLa 4a compañía

 

 

 クアドロ女優賞

マルタ・クラウディア・モレノ 「Distancias cortas」

 

 

 

 オリジナル脚本賞

ホアキン・デル・パソルシー・PawlakMaquinaria Panamericana監督ホアキン・デル・パソ

 

 脚色賞

ダビ・デソラAlmacenados

 

 撮影賞

エルネスト・パルドTempestad

 

 編集賞

ミッチ・バネッサ・アレオラフランシスコ・リベラカミロ・アバディアLa 4a compañía

 

   

  (欠席したカミロ・アバディアのトロフィーも手にアレオラ、フランシスコ・リベラ)

 

 視覚効果賞

リカルド・ロブレスLa 4a compañía

 

 特殊効果賞

ルイス・エドゥアルド・アンブリスLa 4a compañía

 

 美術デザイン賞

ジェイ・エロエスティカルロス・コッシオLa 4a compañía

 

 

 音楽賞

エミリアノ・モッタEl sueño del Mara'akame

 

 衣装賞 

ベルタ・ロメロホセ・グアダルーペ・ロペスLa 4a compañía

 

 

 メイクアップ賞

カルラ・ティノコアルフレッド・ガルシアLa 4a compañía

 

 

 録音賞2作)

ハビエル・ウンピエレスイサベル・ムニョスLa 4a compañía

フェデリコ・ゴンサレス・ホルダンカルロス・コルテスTempestad

 

 短編賞(フィクション)

El ocaso de Juan監督:オマル・デネド・フアレス

 

 

 短編賞(ドキュメンタリー)

Aurelia y Pedro監督:オマル・ロブレスホセ・ペルマル

 

 

 短編アニメーション(長編は該当作なし)

Los aeronautas監督:レオン・ロドリゴ・フェルナンデス

 

    

 イベロアメリカ映画賞

『セカンド マザー』(ブラジル)監督アナ・ミュイラート

笑う故郷(アルゼンチン、スペイン)監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

Anna」(フランス、コロンビア)監督ジャック・トゥールモンド・ビダル

Sin muertos no hay carraval」(エクアドル、メキシコ、 監督セバスティアン・コルデロ

『物静かな男の復讐』(スペイン)監督ラウル・アレバロ

(ブラジルとアルゼンチンが分け合いました)

 

 ゴールデン・アリエル賞(二人)

イセラ・ベガ(女優、脚本家、製作者、シンガー・ソング・ライター)

1939年生まれ。アリエル賞では、女優賞を1984年にアルトゥーロ・リプスタインのLa viuda negra」で受賞しているが、本作は1977年製作、メキシコ公開が1983年でした。他に2000年「La ley del Herodes」でも受賞、他に助演女優賞も受賞している。サム・ペキンパーの米国メキシコ合作映画『ガルシアの首』に出演、これは1975年公開されている。

 

 

ルセロ・イサック(美術監督)

 

 

 

La 4a compañía10個、Tempestad4個、Almacenados」が3個、「El sueño del Mara'akame

La calidas2個ずつ、他は1カテゴリーという結果になりました。既に公開、映画祭上映、ネットフリックスなどで見ることのできる作品もありますが、この他どのくらい日本で見られるでしょうか。マリア・エボリが新人賞を取ったホラー・ファンタジーTenemos la carne」(エミリアノ・ロチャ・ミンター)あたりは期待できそうです。

  

アリエル賞2017*ノミネーション発表2017年06月09日 12:13

         メキシコ版アカデミー賞、作品賞候補にドキュメンタリーも

 

         

★アリエル賞2016の結果発表は5月中だったが、今年は711日ということです。昨年の授賞式は『選ばれし少女たち』の監督ダビ・パブロスが両手に花でしたが、今年も同じような結果でしょうか。ざっと見た限りですが、ノミネーションは昨年12月の「イベロアメリカ・フェニックス賞」、11月開催の「ロス・カボス映画祭」受賞作品などと、当然ですがダブっているようです。最優秀作品賞ノミネーションには、公開、映画祭上映、ネットフリックスと、既に日本語字幕入り作品も交じっています。カテゴリーの数が多く、監督賞・脚本賞などはダブるので、最優秀作品賞とイベロアメリカ映画賞だけアップしておきます。ゴチック体は当ブログで扱った作品です。

 

   

             (最優秀作品賞ノミネーションの7作品)

 

最優秀作品賞(メキシコ)

『夜を彩るショーガール』Bellas de noche)ドキュメンタリー

                        監督マリア・ホセ・クエバス

『彼方から』(ベネズエラ合作)監督ロレンソ・ビガス

『ノー・エスケープ自由への国境』(フランス合作)監督ホナス・キュアロン

Tempestad」ドキュメンタリー、監督タティアナ・ウエソ

Me estás matando, Susana監督ロベルト・スネイデル

La 4a compañía(スペイン合作)

                  監督アミル・ガルバン・セルベラ&ミッチ・バネッサ・アレオラ

El sueño del Mara'akame監督フェデリコ・Cecchetti

印はデビュー作

 

マリア・ホセ・クエバスの『夜を彩るショーガール』は、カンヌ映画祭で物議をかもしたネットフリックスで放映されている作品、ディスコ全盛期の1970年代から80年代にかけて活躍した5人のショーガールvedette(リン・メイ、ワンダ・セウス、プリンセサ・ジャマル、ロッシー・メンドサ、オルガ・ブレースキン)の数奇な人生を語るドキュメンタリー。ショー場面が続く前半よりオール60歳代になった後半が胸を打つ。彼女たちの栄光と転落がホンネで語られるからです。vedette というのはフランス語起源のバラエティーショーのセックス・シンボル的な女性スター、踊れて歌えて演技もできるアーティスト。モレリア映画祭2016メキシコ・ドキュメンタリー賞、ロス・カボス映画祭、パナマ映画祭などで受賞している。本作はドキュメンタリー部門でもノミネートされている。

 

 

アミル・ガルバン・セルベラ&ミッチ・バネッサ・アレオラの「La 4a compañía」は、最多の20カテゴリーでノミネートされている。本作についてはミシェル・フランコの「Las hijas de Abril」に出演していたエルナン・メンドサの紹介記事で少しだけ触れています。両監督のデビュー作。

 

 

タティアナ・ウエソの「Tempestad」は8部門ノミネーション、分類はドキュメンタリーだがドラマでもある。監督はこの二つのジャンルは区別できないと語っている。暴力が処罰されることのないメキシコ、二人の犠牲者の物語。ミリアムは人身売買の濡れ衣を着せられて収監中、アデラは移動サーカスで働いている。闇が支配する世界への旅は同時に自由への旅でもある。一種のロードムービー。ベルリン映画祭2016フォーラム部門上映で高い評価を受け、12月開催の「フェニックス賞」ではドキュメンタリー賞やエルネスト・パルドの素晴らしい映像が撮影賞などを受賞している。『夜を彩るショーガール』同様、本作もドキュメンタリー部門でノミネートされている。審査員の評価は高いと思います。

 

 

★「El sueño del Mara'akame」はフェデリコ・Cecchettiの長編第1作、タイトルのMara'akameはウイチョル族のシャーマンを指すようです。オースティン映画祭観客賞とスペシャル・メンション、モレリア映画祭第1回・2回作品賞受賞、シカゴ映画祭他で上映されている。今年のアリエル賞は新人監督が目立つ印象です。4作とも第1回監督賞にノミネートされている。

 

 

 

『彼方から』の紹介記事は、コチラ2016930

『ノー・エスケープ自由への国境』は、コチラ2017年4月23

Me estás matando, Susana」は、コチラ2016322

La 4a companía」は、コチラ201758

 

イベロアメリカ映画賞

Anna」(フランス、コロンビア)監督ジャック・トゥールモンド・ビダル

Sin muertos no hay carraval」(エクアドル、メキシコ、ドイツ)

                 監督セバスティアン・コルデロ

『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン

 追記:公開邦題『笑う故郷』として岩波ホールで9月16日から

『物静かな男の復讐』(スペイン)監督ラウル・アレバロ

『セカンド マザー』(ブラジル)監督アナ・ミュイラート

 

★「Anna」は、ゴヤ賞2017のイベロアメリカ映画賞ノミネート、これから発表になる第4回イベロアメリカ・プラチナ賞には主演のフアナ・アコスタが候補者となっている。映画賞、映画祭で目にするが受賞にまで至らない。「Sin muertos no hay carnaval」は、セバスティアン・コルデロが生れ故郷エクアドルで撮った話題作、いつかご紹介したいと思っている映画の一つ。

 

 

 

アナ・ミュイラートの長編第4作目『セカンドマザー』(Que Horas Ela Volta?)は、英題「The Second Mother」の片仮名起こし、東海地方で展開しているコロナシネマワールドでのみ上映される「メ~シネマ」作品として今年1月公開された。ミュイラート監督は1964年サンパウロ生れの53歳、サンパウロ大学で映画を学ぶ。脚本家としてキャリアを出発させた。主にテレビ界での活躍が目立っていたが、短編中編を手掛けた後、2002年「Durval Discos」で長編デビューを果たす。日本ではカオ・アンブルゲールの『1970、忘れられない夏』(2006シネフィル・イマジカ放映、当時ハンバーガーと表記された)や『シングー』(2011ラテンビート2012)の脚本家の一人として紹介されているが、もっと注目されていい監督の一人。またベテラン女優のヘジーナ・カゼRegina Caseが母親役を演じているのも見逃せない。レジーナ・ケースという英語読みがあり、ポルトガル語はスペイン語以上に人名表記が定まっていない。古い話だが、アンドルッシャ・ワッディントンの佳作『エゥ・トゥ・エリス』(東京国際映画祭2000上映)で日本初登場、これは『私の小さな楽園』の邦題で公開された。

 

  

               (母と娘、ブラジル版ポスター)

 

『名誉市民』の主な紹介記事は、コチラ20161013

『物静かな男の復讐』の主な紹介記事は、コチラ2017年1月9日

  

第4回イベロアメリカ・プラチナ賞2017*ノミネーション発表2017年06月05日 14:31

 「オスカーに匹敵する」賞とケイト・デル・カスティージョがノミネーション発表

 

 

★先月31日(水)、ハリウッド映画の中心地ロスアンゼルス(ビバリーヒルトン・ホテル)でイベロアメリカ・プラチナ賞2017のノミネーション発表がありました。ビバリーヒルトンは、例年オスカー賞候補者の昼食会やゴールデン・グローブ賞のガラが開催されるホテル、それでケイト・デル・カスティージョの開会の辞が「オスカーに匹敵する」云々になったようです。デル・カスティージョ(女優1969メキシコ・シティ、現ロス在住)、その他、エドワード・ジェームズ・オルモス(俳優1947ロス)、アンジー・セペダ(女優1974カルタヘナ、現マドリード在住)、ミゲル・アンヘル・シルベストレ(俳優1982カステジョン)の4人(写真中央はCNNの司会者フアン・カルロス・アルシニエガス)が各カテゴリーのノミネーション発表を行った。今年の授賞式会場は、722日(土)、マドリードの屋内競技場カハ・マヒカCaja Mágicaで開催される。ここは2020年のオリンピック誘致ではテニス会場になるはずだった。スポーツだけでなく音楽祭なども開催されている。

 

 

 (左から、エドワード・ジェームズ・オルモス、ケイト・デル・カスティージョ、一人置いて

       アンジー・セペダ、ミゲル・アンヘル・シルベストレ)

 

★最多ノミネーションは、フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』の7(監督・美術・録音・撮影・編集・オリジナル音楽・価値ある映画と教育)、ただしメインの作品賞には、オリジナル版が英語作品だったため、「言語はスペイン語・ポルトガル語」という条件を満たせず該当外となった。続くパブロ・ラライン「ネルーダ」5個(2017秋公開が予定されているが、邦題は未定)、ロレンソ・ビガス『彼方から』ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』アルモドバル『ジュリエッタ』アルベルト・ロドリゲス『スモーク・アンド・ミラーズ』セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla4個でした。当ブログではセルソ・ガルシア作品以外は既にアップ済み。なお写真掲載は1カテゴリー1個に絞った。

 

   

           (最多ノミネーション7個の『怪物はささやく』)

 

  主要カテゴリーのノミネーション

作品賞(ドラマ部門)

Aquarius」(ブラジル)クレベール・メンドンサ・フィリオ監督

『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン監督

『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)アルベルト・ロドリゲス監督

『ジュリエッタ』(スペイン)ペドロ・アルモドバル監督

「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)パブロ・ラライン監督

 

『スモーク・アンド・ミラーズ』

  

           

監督賞

フアン・アントニオ・バヨナ『怪物はささやく』(スペイン)

クレベール・メンドンサ・フィリオ「Aquarius」(ブラジル)

ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』(アルゼンチン・スペイン)

パブロ・ラライン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』(スペイン)

 

クレベール・メンドンサ・フィリオ監督

   

          

脚本賞

アルベルト・ロドリゲス&ラファエル・コボス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

アンドレス・ドゥプラット『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)

セルソ・ガルシアLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

ギジェルモ・カルデロン「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン

パベル・ヒロウド&アレハンドロ・ブルゲス他「El acompañante」(キューバ、ベネズエラ、

  コロンビア)

 

 (「El acompañante」)

  

女優賞

アンジー・セペダLa semilla del silencio」(コロンビア)

エンマ・スアレス『ジュリエッタ』(スペイン)

フアナ・アコスタAnna」(コロンビア・フランス)ジャック・トゥールモンド・ビダル監督

ナタリア・オレイロGilda, no me arrepiento de este amor」(アルゼンチン)

                   ロレナ・ムニョス監督

ソニア・ブラガAquarius」(ブラジル)

  

(アンジー・セペダ)

  

             

男優賞

アルフレッド・カストロ『彼方から』(ベネズエラ、チリ)

ダミアン・カサレスLa delgada línea amarilla」(メキシコ)

エドゥアルド・フェルナンデス『スモーク・アンド・ミラーズ』(スペイン)

ルイス・ニェッコ「ネルーダ」(チリ・アルゼンチン・スペイン)

オスカル・マルティネス『名誉市民』(アルゼンチン、スペイン)

  

(ダミアン・カサレス)

  

 

オペラ・プリマ(第1回監督作品、ドラマ部門)

『彼方から』(ベネズエラ、チリ)ロレンソ・ビガス

La delgada línea amarilla」(メキシコ)セルソ・ガルシア

Rara」(アルゼンチン、チリ)ペパ・サン・マルティン

Viejo calavera」(ボリビア)キロ・ルッソ

『物静かな男の復讐』(スペイン)ラウル・アレバロ

   

 

             (ペパ・サン・マルティンの「Rara」)

 

 

★女優賞ノミネートのナタリア・オレイロは、ウルグアイで開催された第3回目の総合司会者、ウルグアイ出身ですが主にアルゼンチンで活躍している(『ワコルダ』)。「Gilda, no me arrepiento de este amor」は1996年交通事故死したアルゼンチンの歌姫ヒルダのビオピック。ソニア・ブラガは第1回プラチナ賞2014の栄誉賞受賞者、「Aquarius」はカンヌ映画祭2016正式出品を皮切りに世界各地の映画祭巡りをした。アンジー・セペダは、今回ノミネーション発表をしたコロンビア出身の女優だが、本拠地をマドリードに移している。ノミネーション発表をした先輩ケイト・デル・カスティージョとは親友同士だそうです。フアナ・アコスタが出演した「Anna」(西語・仏語)は、ゴヤ賞2017のイベロアメリカ映画部門にノミネートされた。2015年製作とやや古い。フアナ・アコスタはエルネスト・アルテリオと結婚、スペイン映画出演も多く、当ブログ登場も多いほうか。エンマ・スアレス他、男優賞ノミネートの紹介は不要ですね。

 

(「Anna」のフアナ・アコスタ)

 

 

★その他のカテゴリーとして、オリジナル音楽、撮影、美術、録音、ドキュメンタリー、アニメーション、シリーズのテレビドラマその他がありますが割愛、受賞結果はアップいたします。

 

EGEDA (Entidad de Gestión de Derechos de los Productores Audiovisuales FIPCAFederación Iberoamericana de Productores Cinematográficos y Audiovisuales) が主催します。いわゆる視聴覚製作に携わる人々の権利を守るための管理交渉団体です。EGEDA1990年創設、活動は1993年から。スペイン、チリ、コロンビア、US、ペルー、ウルグアイ他などが参加しております。

 

 

BAFICI第19回作品賞はアドリアン・オルの「Ninato」*ドキュメンタリー2017年05月23日 15:44

           受賞作のテーマは多様化する家族像と古典的?

 

  

★インターナショナル・コンペティションの最優秀作品賞は、アドリアン・オルOrrのデビュー作Niñato2017)、どうやら想定外の受賞のようでした。本映画祭はデビュー作から3作目ぐらいまでの監督作品が対象で、4月下旬開催ということもあって情報が限られています。今年は20本、日本からもイトウ・タケヒロ伊藤丈紘の長編第2作「Out There」(日本=台湾、日本語142分)がノミネートされ話題になっていたようです。昨年のマルセーユ映画祭やトリノ映画祭、今年のロッテルダムに続く上映でした。審査員も若手が占めるからお互いライバル同士になります。スペインが幾つも大賞を取ったので審査員を調べてみましたら、以下のような陣容でした。

 

エイミー・ニコルソン(米国監督)、アンドレア・テスタ(亜監督)、ドゥニ・コテ(カナダ監督)、ニコラスWackerbarth(独俳優・監督)、フリオ・エルナンデス・コルドン(メキシコ監督)の5人、最近話題になった若手シネアストたちでした。アルゼンチンのアンドレア・テスタは、カンヌ映画祭2016「ある視点」に夫フランシスコ・マルケスと共同監督したデビュー作「La larga noche de Francisco Sanctis」がノミネートされた監督、ニコラスWackerbarthは、間もなく劇場公開されるマーレン・アデのコメディ『ありがとう、トニ・エルドマン』に脇役として出演しています。フリオ・エルナンデス・コルドンは、米国生れですが両親はメキシコ人、彼自身もスペイン語で映画を撮っています。2015年の「Te prometo anarquía」がモレリア映画祭でゲレロ賞、審査員スペシャル・メンション、ハバナ映画祭脚本賞、他を受賞している監督です。ということでスペインの審査員はゼロでした。

A・テスタ& F・マルケス「La larga noche de Francisco Sanctis」紹介は、コチラ2016511

 

Niñatoドキュメンタリー、スペイン、2017 

製作:New Folder Studio / Adrián Orr PC

監督・脚本・撮影:アドリアン・オル

編集:アナ・パーフ(プファップ)Ana Pfaff

視覚効果:ゴンサロ・コルト

録音:エドゥアルド・カストロ

カラーグレーディングetalonaje:カジェタノ・マルティン

製作者:ウーゴ・エレーラ(エグゼクティブ)

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2017年、ドキュメンタリー、72分、撮影地マドリード

映画祭・受賞歴:スイスで開催されるニヨン国際ドキュメンタリー映画祭Visions du Réel2017でワールド・プレミア、「第1回監督作品」部門のイノベーション賞受賞、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭Bafici2017「インターナショナル・コンペティション」で作品賞受賞

 

キャスト:ダビ・ランサンス(父親、綽名ニニャト)、オロ・ランサンス(末子)、ミア・ランサンス(次女)、ルナ・ランサンス(長女)

 

プロット・解説:ダビは3人の子供たちとマドリードの両親の家で暮らしている。定職はないが子育てをぬってラップ・シンガーとして収入を得ている。彼の夢は自分の音楽ができること、3人の子供たちを養育できること、自分の時間がもてて、それぞれあくびやおならも自由にできれば満足だ。重要なのは経済的な危機にあっても家族が一体化すること、粘り強さも必要だ。しかし時は待ってくれない、ダビも34歳、子供たちもどんどん大きくなり難しい年齢になってきた。特に末っ子のオロには然るべき躾と教育が必要だ。何時までも友達親子をし続けることはできない、ランサンス一家も曲がり角に来ていた。およそ伝統的な家族像とはかけ離れている、風変わりな日常が淡々と語られる。3年から4年ものあいだインターバルをとって家族に密着撮影できたのは、ダビと監督が年来の友人同士だったからだ。

 

           短編第3作「Buenos dias resistencia」の続編?

 

アドリアン・オルAdrián Orrは、マドリード生れ、監督。助監督時代が長い。ハビエル・フェセルの成功作『カミーノ』2008)、ハビエル・レボージョの話題作La mujer sin piano09、カルメン・マチ主演)、父親の娘への小児性愛という微妙なテーマを含むモンチョ・アルメンダリスのNo tengas miedo11)、劇場公開されたアルベルト・ロドリゲスの『ユニット7/麻薬取締第七班』12)と『マーシュランド』14)、フェデリコ・ベイロフのコメディEl apóstata15)などで経験を積んでいる。

 

    

★今回の受賞作は2013年に撮った同じ家族を被写体にしたドキュメンタリーBuenos dias resistencia20分)の続きともいえます。つまり何年かにわたってランサンス一家を追い続けているわけです。同作は2013年開催のロッテルダム映画祭、テネリフェ映画祭、Bafici短編部門などで上映、トルコのアダナ映画祭(Adana Film Festivali)の金賞、イタリア中部のポーポリ映画祭(Festival dei Popoli)、ポルトガルのヴィラ・ド・コンデ短編映画祭(Vila do Conde)ほかで受賞している。Bafici 2013の短編部門に出品されたことも今回の作品賞につながったのではないでしょうか。下の子供3人の写真は、短編のものです。他に短編「Las hormigas07)とDe caballeros11)の2作がある。 

 

      

(ランサンス家の3人の子供たち、中央がルナ)

 

     

                (ポーポリ映画祭でインタビューを受ける監督、201312月)

 

★タイトルになったniñatoは、若造、青二才の意味、普通は蔑視語として使われる。親がかりだから一人前とは評価されない。2013年ごろはスペインは経済危機の真っ最中、「EUの重病人」と陰口され、若者の失業率50パーセント以上、失業者など掃いて捨てるほどというご時世でした。しかし3人子持ちの父子家庭は珍しかったでしょう。少しは改善されたでしょうが、スペイン経済は道半ばです。別段エモーショナルというわけでなく、ダビが子供たちを起こし、着替えや食事をさせ、一緒に遊び、ベッドに入れるまでの日常を淡々と映しだしていく。オロがシャワーを浴びながら父親譲りのラッパーぶりを披露するのがYouTubeで見ることができます。現在予告編は多分まだのようです。 

      

               (niñatoダビ・ランサンス)

 

★純粋なドキュメンタリー映画というよりフィクション・ドキュメンタリーficdocまたはドキュメンタリー・フィクションficdocと呼ばれるジャンルに入るのではないかと思います。ドキュメンタリーもフィクションの一部と考える管理人は、ジャンルには拘らない。今カンヌで議論されているネットフリックスが拾ってくれないかと期待しています。


ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭2017*結果発表2017年05月20日 15:51

               スペイン映画が作品賞と監督賞を受賞しました!

 

     

        (映画祭ポスターを背にした作品賞受賞者アドリアン・オル)

 

★カンヌ映画祭も開幕、オープニング作品、アルノー・デプレシャンの「Ismael's Ghost」が評判を呼んでいるようです。出演者はマチュー・アマルリック以下キラキラ星だから話題性に事欠かない。翌日には「ある視点」のオープニング作品「Barbara」も上映され、今年のアマルリックは何かの賞に絡みそうですね。カンヌに比べればブエノスアイレス・インディペンデント映画祭BAFICIなど吹けば飛ぶような存在ですが、今年は当ブログに登場させたスペイン映画が作品賞や監督賞を受賞したのでアップいたします。

 

BAFICIBuenos Aires Festival Internacional de Cine Independiente)ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭、長いのでBAFICIで表記されることが多い。ブエノスアイレス市で1999年から始まった国際映画祭。今年19回を迎え、年々内容を充実させておりますが、国際映画製作者連盟FIAPF公認ではなく、現在に近い陣容になったのは2008年の第10回からです。最初はインターナショナル部門の作品賞・監督賞・男優賞・女優賞・観客賞の5個だけでした。現在のオフィシャル・セレクションインターナショナル部門とアルゼンチン部門に大別され、ほかにコンペティションは、ラテンアメリカアバンギャルド&ジャンル人権アルゼンチン短編6部門、回によってカテゴリーの名称変更が目まぐるしい。そのほか賞には絡まない特別上映があります。今年は昨年死去したイランのアッバス・キアロスタミ、生誕100&没後50年のビオレタ・パラ(チリ、191767)、没後25年のアストル・ピアソラ(アルゼンチン、1992)についてのドキュメンタリー映画が上映されたようです。2016年の入場者は約38万人、今年は大台の40万台に達しました。

 

★主な受賞作品、インターナショナル・コンペティション部門の作品賞は、アドリアン・オルOrrの長編ドキュメンタリーNiñato(西)の驚きの受賞、本作は当ブログ初登場です。マラガ映画祭2017の「金のビスナガ」受賞を果たしたカルラ・シモンのデビュー作Verano 1993(西)が監督賞とワールド・カトリックメディア協議会によるSIGNIS賞、さらに観客賞も受賞しました。オリジナル・タイトルはカタルーニャ語の「Estiu 1993です。キロ・ルッソViejo calavera(ボリビア=カタール)は審査員特別賞、撮影監督パブロ・パニアグアの撮影賞ADF受賞、これは納得です。本作はサンセバスチャン映画祭2016「ホライズンズ・ラティノ」部門のスペシャル・メンション受賞作、カルタヘナ映画祭2017の作品賞も受賞している。アルゼンチン・コンペティション部門の作品賞は、BAFICIの常連受賞者アレホ・モギジャンスキーLa vendedora de fósforosでした。またアバンギャルド&ジャンルでは、ガリシアのオリべル・ラシェ(またはオリヴェル・ラセ)のMimosas(モロッコ=西==カタール)がスペシャル・メンションを受賞、カンヌ映画祭2016「批評家週間」でのグランプリ受賞を皮切りに国際映画祭巡りをした異色作でした。 

   

カルラ・シモンの「Verano 1993」の紹介記事は、コチラ2017222

 

 

(今では本当の家族のようになったというシモン監督を囲む出演者たち、マラガ映画祭にて)

 

キロ・ルッソの「Viejo calavera」の紹介記事は、コチラ201695

 

 

                      (撮影賞を受賞した美しい映像、映画から)

 

オリベル・ラシェの「Mimosas」の紹介記事は、コチラ2016522

 

  

 

★次回に未紹介の主な受賞作、作品賞受賞のアナウンスに会場は驚きに包まれたというアドリアン・オルOrrの長編ドキュメンタリーNiñato」やアレホ・モギジャンスキーLa vendedora de fósforos」などのプロットや監督キャリア紹介をいたします。

  

第32回グアダラハラ映画祭2017*結果発表2017年04月01日 17:30

      エベラルド・ゴンサレス、作品賞とドキュメンタリー賞のダブル受賞

 

    

★グアダラハラ映画祭 FICG については、作品賞を受賞しても公開されるチャンスがないこともあり、目についた受賞作品をピックアップするだけです。昨年は作品賞を受賞したコロンビアのフェリペ・ゲレーロOscuro animalをご紹介しました。コロンビアにはびこる暴力について、コロンビア内戦の犠牲者3人の女性に語らせました。今年のメキシコ映画部門は、エベラルド・ゴンサレスLa libertad del DiabloDevils Freedom)が最優秀作品賞とドキュメンタリー賞の2冠に輝き、マリア・セッコが撮影賞を受賞しました。フィクション部門とドキュメンタリー部門の両方にノミネーションされていたなど気づきませんでした。プレゼンターは今回栄誉賞受賞のメキシコの大女優オフェリア・メディナ、これは最高のプレゼンターだったでしょう。

 

  

     (オフェリア・メディナからトロフィーを手渡されるエベラルド・ゴンサレス)

 

 

★ベルリン映画祭2017「ベルリナーレ・スペシャル」部門で、アムネスティ・インターナショナル映画賞を受賞した折に少しご紹介いたしました。こちらはメキシコのいとも簡単に振るわれる「メキシコの暴力の現在」について、犠牲者、殺し屋、警察官、軍人などに語らせています。各自報復を避けるため覆面を被って登場しています。衝撃を受けたベルリンの観客は固まって身動きできなかったと報じられたドキュメンタリーです。おそらく公開は期待できないでしょう。

 

    

     (覆面を着用した証言者、映画から)

 

Oscuro animal」の紹介記事は、コチラ2016319

La libertad del Diablo」の紹介記事は、コチラ2017222

 

     イベロアメリカ作品賞はカルロス・レチュガの「Santa y Andrés」が受賞

 

カルロス・レチュガSanta y Andrésは、サンセバスチャン映画祭2016「ホライズンズ・ラティノ」部門に正式出品されたキューバ、コロンビア、フランスの合作。他に脚本賞とサンタ役のローラ・アモーレスが女優賞を受賞。1983年のキューバが舞台、体制に疑問をもち、山間に隠棲しているゲイ作家のアンドレス、彼を見張るために体制側から送り込まれた農婦のサンタ、いつしか二人の間に微妙な変化が起きてくる。本作の物語並びに監督紹介、当時のキューバについての記事をアップしています。このカテゴリーには、同じキューバのフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」やアルゼンチンの『名誉市民』、スペインからはアレックス・デ・ラ・イグレシアの『クローズド・バル』もノミネートされておりました。

 

 

★女優賞のローラ・アモーレスはシンデレラ・ガール、本作のため監督が街中でスカウトした。必要な時にはいつも留守の神様も、時として運命的な出会いを用意しています。人生は捨てたものではありません。本作のような体制批判の映画は、ラウル・カストロ体制下のキューバ映画芸術産業庁ICAICでは歓迎されないが、サンセバスチャンやグアダラハラ映画祭は評価した。この落差をどう受け取るかがキューバ映画の今後を占うと思います。

 

 

            (サンタとアンドレス、映画から)

 

Santa y Andrés」の作品紹介記事は、コチラ2016827

 

★早くもカンヌの季節が巡ってきました。第70回カンヌ映画祭2017の正式ポスターが発表され、今年のカンヌの顔はイタリアの往年の大スターCCことクラウディア・カルディナーレ、コンペティション審査委員長はペドロ・アルモドバル、期間は517日~26日です。

 

    

   (踊って笑って生き生きしたフェリーニのミューズ、クラウディア・カルディナーレ)


第3回イベロアメリカ・フェニックス賞*結果発表2016年12月15日 15:58

             こんな作品が受賞しましたが・・・

 

 

★去る127日の夜(現地時間2030)、メキシコシティの「Ciudad Esperanza Iris劇場」で授賞式が開催されました。ガラはアルゼンチンのフィト・パエス、メキシコの「Zoé」のボーカリストで作曲家のレオン・ラレギ、今回栄誉賞受賞のアレハンドロ・ホドロフスキーの4アダノフスキーのような豪華なミュージシャンが出演、かなり賑やかだったようです。カテゴリーは13個(その他として栄誉賞、プロダクションと批評家に与えられるフェニックス賞が追加されている)。Nerudaネルーダ」が最多4賞、メキシコのドキュメンタリー「Tempestad」が3賞を制して閉幕いたしました。ノミネーション発表記事で「ブラジルの健闘が目につく2016年」と書きましたが、予想通りの結果になりました(ブラジルからの出席も多かったようです)。結果は以下の通り:

 

    

              (音楽を担当したフィト・パエス)

 

作品賞(作品賞のみ7作品)

Nerudaネルーダ」チリ、アルゼンチン、スペイン、フランス合作、パブロ・ラライン監督

 製作:Fabula / AZ Films / Funny Balloons / setembre Cine9個ノミネーション、4

『エル・クラン』アルゼンチン他、監督パブロ・トラペロ(9個ノミネーション、2

『彼方から』ベネズエラ他、同ロレンソ・ビガス(4個ノミネーション)

Aquariusアクエリアス」ブラジル他、クレベル・メンドンサ・フィリオ

   (4個ノミネーション、2

Boi Neon」ブラジル他、ガブリエル・マスカロ(8個ノミネーション、2

La muerte de Luis XIVルイ14世の死」スペイン他、アルベルト・セラ(4個ノミネーション)

Te prometo anarquia」メキシコ他、同フリオ・エルナンデス・コルドン(1個ノミネーション)

 

   

   (製作者フアン・デ・ディオス・ラライン監督弟、GG・ベルナル、ルイス・ニェッコ

 

監督賞

クレベル・メンドンサ・フィリオAquariusアクエリアス」

パブロ・トラペロ『エル・クラン』

パブロ・ラライン「Nerudaネルーダ」

ガブリエル・マスカロ「Boi Neon

アルベルト・セラ「La muerte de Luis XIVルイ14世の死」

 

   

脚本賞

ガブリエル・マスカロBoi Neon」(ポルトガル語)

 

   

 

男優賞

ギジェルモ・フランセージャ『エル・クラン』

 

 

       (『エル・クラン』から)

 

女優賞

◎ソニア・ブラガAquariusアクエリアス」

 

   

            (トロフィーを手にしたソニア・ブラガ)

 

撮影賞

ディエゴ・ガルシアBoi Neon

 

録音賞

レアンドロ・デ・ロレド&ビセンテ・デリア『エル・クラン』

 

衣装賞

ムリエル・パラNerudaネルーダ」

 

編集賞

Hervé SchneidNerudaネルーダ」

 

美術賞

◎エステファニア・ララインNerudaネルーダ」

 

長編ドキュメンタリー賞

Tempestad(メキシコ)Pimienta Films / Cactus Films / Terminal 

  監タティアナ・ウエソ 

オリジナル音楽賞

レオ・エイブルムハコボ・リエベルマンTempestad

 

ドキュメンタリー撮影賞

エルネスト・パルドTempestad

 

   

 

栄誉賞 アレハンドロ・ホドロフスキー

 

   

  (父親の代理でトロフィーを受け取ったミュージシャンのアダン・ホドロフスキー)

 

プロダクション・フェニックス賞 パトリシア・リヘン監督のLos 33のプロダクション

 

批評家フェニックス賞 スペインのミゲル・マリアス

 

★どの映画賞にも言えることですが、結果に対する不満不平はつきものです。特に「イベロアメリカ」と称しながら、新大陸メキシコ開催ということで旧大陸スペインとポルトガルの影が薄い印象は否めません。今年はゼロだったこともあり、この映画の集いに各地から馳せつけた700人近い出席者の中には、この結果では「誰をも満足させられない」という愚痴がつぶやかれたようです。もともとメキシコのモレリア映画祭2013に集ったシネアストたちのお喋りから始まった映画賞。ラテンアメリカ諸国、スペイン、ポルトガルの合計23カ国を網羅して「Cinema 23」を起ち上げた。ディレクターは設立者の一人リカルド・ヒラルド。全地域から集められた映画に携わるプロフェッショナル約550人が選考に当たった。

 

   

        (今年のノミネーション作品を紹介するリカルド・ヒラルド)

 

フェニックス賞受賞は配給元にインパクトを与えられるか?

 

★イベロアメリカ諸国のアーチストの才能発掘、23カ国全地域の庶民がイベロアメリカ諸国製作の映画を観られる環境を作ること、という大きな2本の柱を掲げて始まった映画賞だが、当初から雑音入りだった。例えば13個のカテゴリー、撮影賞がフィクションとドキュメンタリーの両方にありながら特殊効果アニメーション短編が除外され、才能発掘を目指しながら新人枠の監督、俳優、助演者などのカテゴリーを設けなかったことなどが挙げられる。

 

★一口にイベロアメリカといっても公開時期がまちまちだから(未公開も多い)、ノミネートされていても観ていないケースが出てくる。というわけで、「本当にちゃんと観ていて選んだのですか?」という不満がくすぶることになる。これは映画賞全般に言えることでフェニックスに限りません。しかし「シネマ23」の権力が幅を利かすようでは困るということが背景にあるのかもしれません。会場ではアメリカ次期大統領ドナルド・トランプが、ラテンアメリカ諸国に対してどのような政策を打ち出してくるか、その危険性を警戒する声も聞かれたという。映画産業も政治と無縁では成り立たないですから、当然でしょう。

 

★賞には全く絡みませんでしたが、スペインからはセスク・ゲイの「トルーマン」(リカルド・ダリンの男優賞)、ホセ・ルイス・ゲリンの『ミューズ・アカデミー』(編集・脚本)、アルベルト・セラの「ルイ14世の死」(作品・監督・美術・衣装)がノミネートされたことが話題になったようです。3監督とも世界的な評価の高さに比してスペインでは傍流に属しているからでしょうか。フェニックス賞が配給元にインパクトを与えられるかどうかが今後の課題です。

 

★昨年の作品賞を受賞したチロ・ゲーラの『彷徨える河』はアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、それなりの成果を出しました。今年のガラで特に脚光を浴びたのがGG・ガエルと「ネルーダ」関係者だったようですが、果たして期待通りに行くでしょうか。アメリカ映画アカデミーも今までノミネートしたことのない国から選ぶ傾向にあるようで、チリは既に第85回アカデミー賞2012にララインのNoがノミネートされています。


第3回イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表2016年12月04日 17:36

      Nerudaネルーダ」と『エル・クラン』が同数の9個ノミネーション

 

   

               (2016年のポスター)

 

2014年晩秋、イベロアメリカの「オスカー賞」という触れ込みで始まった映画賞「Los Premios Fénix」も今年で3回めを迎えました。イベロアメリカですからスペイン、ポルトガルも入りますが、どちらかと言うとラテンアメリカ諸国にシフトしています。第2回めの作品賞はパブロ・ララインの『ザ・クラブ』、他に監督賞・脚本賞・男優賞(アルフレッド・カストロ)と大賞を独占、『彷徨える河』のチロ・ゲーラが監督賞をララインと分け合い、その他ダビ・ガジェゴ(撮影賞)・カルロス・ガルシア他(録音賞)・ナスクイ・リナレス(音楽賞)の4賞と、2作品でほぼ決まりでした。 

        

           (イベロアメリカ・フェニックス賞のトロフィー)

 

★スペインはアルベルト・ロドリゲスの『マーシュランド』が美術デザイン賞(ぺぺ・ドミンゲス)の1賞のみ、ハイロ・ブスタマンテの『火の山のマリア』の衣装賞(ソフィア・ランタン)、サンティアゴ・ミトレの『パウリーナ』が女優賞(ドロレス・フォンシ)、パトリシオ・グスマンの『真珠のボタン』がドキュメンタリー撮影賞(カテル・ジアン)、ポルトガル語映画では、エドゥアルド・コウチーニョ19332014)の遺作となったUltimas Conversas(ブラジル)がドキュメンタリー賞をとりました。製作途中の20142月に精神を病んでいた息子に刺殺されるという痛ましい事件の犠牲者となりました。というわけで最終的に作品を完成させたのはジョアン・モレイラ・サレス、授賞には長年の彼の功績を讃える意味もあったのではないでしょうか。

 

   

        (左側中段のコウチーニョ監督とインタビューを受けた学生)

 

★さて、2016年は間もなく結果が発表になりますので(127日)、ノミネーションは作品賞と監督賞にして、後は結果が出ましたらアップいたします。

 

作品賞(作品賞のみ7作品)

『エル・クラン』アルゼンチン他、監督パブロ・トラペロ(9個ノミネート)

『彼方から』ベネズエラ他、同ロレンソ・ビガス(4個ノミネート)

Nerudaネルーダ」チリ他、同パブロ・ラライン(9個ノミネート)

Aquariusアクエリアス」ブラジル他、クレベル・メンドンサ・フィリオ(4個ノミネート)

Boi Neon」ブラジル他、ガブリエル・マスカロ(8個ノミネート)

La muerte de Luis XIVルイ14世の死」スペイン他、アルベルト・セラ(4個ノミネート)

Te prometo anarquia」メキシコ他、同フリオ・エルナンデス・コルドン(1個ノミネート)

 

監督賞

パブロ・トラペロ『エル・クラン』

パブロ・ラライン「Nerudaネルーダ」

ガブリエル・マスカロ「Boi Neon

クレベル・メンドンサ・フィリオ「Aquariusアクエリアス」

アルベルト・セラ「La muerte de Luis XIVルイ14世の死」

 

★「Boi Neon」の8個、「Aquariusアクエリアス」の4個とブラジルの健闘が目につく2016年です。黒い不死鳥の卵は誰の手に渡るのでしょうか。開催地メキシコ・シティでは「フェニックス週間」(121日~10日)としてノミネーションされた作品、または過去の受賞作品の上映会のほか、「Boi Neon」(脚本・編集)や『エル・クラン』(編集)、『モンスター・ウィズ・オブ・サウザン・ヘッズ』(脚本)など、各担当者が出席しての討論会も企画されているようです。