アルモドバル新作”Julieta”*女性ドラマに回帰2016年02月19日 17:54

    短いながら公式の予告編がアップされました

            

    

               (二人のフリエタ、ポスター)

 

★スペイン公開は予定より3週間遅れの48とアナウンスされました。途中でタイトルが“Silencio”から“Julieta”に変更されるなどのアクシデントもありましたが、いよいよ公開です。アルモドバルの第20作目となる本作は、1985年と2015年をつなぐ女性の人生が語られます。ヒロインのフリエタを二人の女優が演じます。その一人エンマ・スアレスをゴヤ賞ノミネーションのプレゼンターに送り込むなど準備万端、アルモドバル・アレルギーの辛口批評が楽しみです。最近ではコラムニストだけでなく覆面ツイッターも無視できなくなりました。ゴヤ賞授賞式の総合司会者ダニ・ロビラが血祭りにあげられたばかりです。ダビ・トゥルエバやホルヘ・サンスが「よくやったよ、ダニ」と援護射撃をしていましたが、空恐ろしい世の中になりました。トゥルエバが「君のために言うけど、ツイッターは見るな」と賢い助言をしていました。今年も200分の長時間、並の知力や体力では引き受けられません。

 

       Julieta” 2016

製作:エル・デセオ

監督・脚本・製作者:ペドロ・アルモドバル

製作者:アグスティン・アルモドバル、エステル・ガルシア

音楽:アルベルト・イグレシアス

撮影:ジャン=クロード・ラリュー

編集:ホセ・サルセド

プロダクション・デザイン:antxonアンチョン・ゴメス

美術:カルロス・ボデロン

衣装デザイン:ソニア・グランデ

メイクアップ:アナ・ロペス=プイグセルベル、マリア・マヌエラ・クルス

プロダクション・マネージメント:トニ・ノベリャ

録音:ホセ・ルイス・フェルナンデス、ミゲル・バルボサ、他

視覚効果:ネストル・キンタナ、ラモン・ラモス、他

 

データ:スペイン、スペイン語、“Silencio”を改題、2016年、撮影地:マドリード、リアス・アルタス(ア・コルーニャ)、ラ・カンピーニャ・デ・セビーリャ、ラ・シエラ・デ・ウエルバ、ピレネー(アラゴン)など。配給ソニー・ピクチャーズ・クラシックス、公開:スペイン48日、ポルトガル421日、メキシコ56日、フランス518日、イギリス826日が予定されている。

 

キャスト紹介

エンマ・スアレス2015年、現代を生きる円熟期のフリエタ)

アドリアナ・ウガルテ1985年の若いフリエタ)

ミシェル・ジェンナー(子供時代の友達、現在モード雑誌の編集者ベア)

サラ・ヒメネス(若い頃のベア)

ロッシ・デ・パルマ(無愛想で気の強い使用人)

スシ・サンチェス(フリエタの母)

ホアキン・ノタリオ(フリエタの父)

インマ・クエスタ(ショアンの愛人、フリエタの友人、彫刻家)

ダリオ・グランディネッティ(円熟期のフリエタの恋人ロレンソ)

ナタリエ・ポサ(妥協しないモラルを重んじる女性)

ダニエル・グラオ(フリエタの夫ショアン、ガリシアの漁師)

プリスシリャ・デルガド(フリエタとショアンの娘アンティア)

ブランカ・パレス(成人したアンティア)

ピラール・カストロ(旅の途中に偶然出会った道連れ)

マリア・メラ、他

 

                   

                                           (エンマ・スアレスとミシェル・ジェンナー)

 

解説2015年マドリード、フリエタは解決の糸口が見えない喪失の痛みを抱えて暮らしていた。彼女が一番幸せであった1980年代、ガリシアの漁師とのあいだに生まれた小さい娘アンティア、しかし幸せは思いがけない悲劇的な結末を迎える。大切な人々の愛を諦めて生きるフリエタ、奇跡しかフリエタを救えない、しかし奇跡も時には起きるのである。狂気の瀬戸際にいるフリエタは、どうやって痛みを乗り越えていくのだろうか。「沈黙」を守ることが彼女の引きずっている不幸の源なのか、運命に翻弄されて彷徨するフリエタ、罪の複雑さ、はかりしれない秘密をめぐる物語。                                 (文責:管理人)

 

        3年ぶりの新作、日本公開は2017年でしょうか

 

100秒足らずの予告編を見るかぎりプロットの詳細はまだ推測の域を出ない。出演者がロッシ・デ・パルマしかアナウンスされていなかった時からご紹介してきました。最近では失望させられることが多かったアルモドバル作品の第20作目、女性メロドラマ回帰とはいえ、いわゆるアルモドバル学校の生徒さん総出演ではないことに期待してのご紹介でした。サプライズはあるのかないのか。もともとプロットの新鮮さで勝負する監督ではないのでそれは問わないことにします。ロケ地に北スペインを選んでいることに興味が惹かれます。ピレネー山脈、ガリシアの海は殊のほか美しいが、ヒロインが訪れる場所だそうです。

 

      

               (最近のペドロ・アルモドバル)

 

★以下は当ブログで未紹介、プロット上、重要と思われる出演者のキャリア紹介です。

ダニエル・グラオ1976年バルセロナ生れ、ギリェム・モラレスの『ロスト・アイズ』、フェルナンド・ゴンサレス・モリーナの“Palmeras en la nieves”ではアドリアナ・ウガルテと共演している。

ブランカ・パレス1991年生れ、2011年テレビ・ドラマでデビュー、ルベン・ドス・サントスの“Pasion criminal ”(2015)で映画デビュー、本作が2作目。

プリスシリャ・デルガド2002年、プエルトリコのサンフアン生れ、2009年テレビでデビュー、『スガラムルディの魔女』にエキストラ出演、ラモン・テルメンスの“The Evil That Men Do”(2015、製作はスペイン、言語は英語)でメキシカン・カルテルのボスの娘役で出演、対立カルテルから誘拐される。本作が2作目。

 

★既に当ブログで折りにふれご紹介してきたキャストは以下の通りです。

エンマ・スアレスコチラ⇒201545

アドリアナ・ウガルテコチラ⇒201545

ロッシ・デ・パルマ:キャリア紹介と「アルモドバル新作発表」の記事をアップしております。

コチラ⇒2015315

 

    

             (気難しい使用人、ロッシ・デ・パルマ)

 

インマ・クエスタ 1980年バレンシア生れ。舞台出身、2006年テレドラ出演、映画デビューはシリーズ・テレドラ“Aguila Roja”(2011)の映画化に出演、ダニエル・サンチェス・アレバロ『マルティナの住む街』、ベニト・サンブラノの『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び』、パブロ・ベルヘルの『ブランカニエベス』他、ダニエル・カルパルソロの『インベーダー・ミッション』、ハビエル・ルイス・カルデラのコメディ“Tres bodas de más”、最新作はフェロス賞2016主演女優賞受賞、ゴヤ賞2016主演女優賞ノミネーションのパウラ・オルティスの“La novia”など、コメディもこなせる実力派。

La novia”の記事は、コチラ⇒201615

 

      

          (フリエタの誠実で不実な女友達、インマ・クエスタ)

 

スシ・サンチェス1955年バレンシア生れ、大柄で主役には恵まれないが、映画、演劇、テレビと活躍の場は広い。公開作品ではベニト・サンブラノの『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び』、ビセンテ・アランダの『女王フアナ』のイサベル女王役、同監督の『カルメン』、ラモン・サラサールの『靴に恋して』。アルモドバルの『私が、生きる肌』と『アイム・ソー・エキサイテッド』は本作と同じ母親役だった。ラモン・サラサールの最新作“10.000 noches en ninguna parte”でアルコール中毒の母親を演じて、ゴヤ賞2014助演女優賞にノミネーションされた。クラウディア・リョサの『悲しみのミルク』にヒロインのマガリ・ソリエルを家政婦として雇うピアニスト役、これは主役級に近かった。

『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び』の記事は、コチラ⇒201559

    

      

            (母親役のスシ・サンチェスとフリエタのアドリアナ・ウガルテ)

 

ダリオ・グランディネッティ1959年アルゼンチンのサンタフェ生れ。アルモドバル作品では『トーク・トゥ・ハー』に出演、ダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』の第1話など。『人生スイッチ』の劇場公開に合わせた記事で若干載せておりますが、公式サイトにキャリア紹介があります。

『人生スイッチ』の記事は、コチラ⇒2015729

 

ナタリエ・ポサ 1972年マドリード生れ。テレビ界で活躍の後El otro lado de la cama”(2002で映画デビュー、マヌエル・マルティン・クエンカの“La flaquesa del bolchevique”に出演。ゴヤ賞はダビ・セラノの“Días de fútbol”(2003)で助演女優賞、マヌエル・マルティン・クエンカの“Malas temporadas”(2005)で主演女優賞、マリアノ・バロソの“Todas las mujeres”(2013)で助演女優賞にノミネートされている実力派。守りに入らない女優です。以上はマルティン・クエンカの“Malas temporadas”(邦題『不遇』は仮題)で紹介した記事を再構成したものです。

『不遇』の記事は、コチラ⇒201461172

 

     

             (ナタリエ・ポサとエンマ・スアレス)

 

タイトル変更の記事は、コチラ⇒20151121

 

★スペイン公開後の記事がアップされたら再登場させます。


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