期待のスペイン映画2016のリスト ① ― 2016年02月21日 18:26
素晴らしい年になることを願って
★前回、アルモドバルの新作“Julieta”公開の記事をアップしましたが、エコヒイキなく他の監督作品もご紹介したい。2016年公開作品だけでなく、今年クランクインする作品も含めます。リストの中には既に関連記事として題名や監督名、キャスト名をご紹介しているものもあります。劇場公開、映画祭上映、DVD発売など、かつて日本語字幕で鑑賞できた監督中心のリストです。つまり日本公開が期待できるもの、公開してほしいものを選んでいます。(順不同)
*ペドロ・アルモドバル “Julieta”(4月8日公開)、紹介記事は、コチラ⇒2016年02月18日
*フェルナンド・レオン・デ・アラノア “Podemos”、IMDbはアップされていないが、2014年1月17日設立の政党「ポデモス」についてのドキュメンタリー、政党のポジションは左派。現在国民党PP、社会労働党PSOEに続く第3党、ソーシャルネットを利用する若い層の支持者が増加中。党首はパブロ・イグレシアス、1978年マドリード生れの37歳、マドリードのコンプルテンセ大学政治科学の博士号取得。監督談によると、「政党キャンペーン映画ではない」ということです。エイミー・ライス&アリシア・サムズのドキュメンタリー『バラク・オバマ 大統領への軌跡』(2009、WOWOW放映)に近い作品のようです。公開は厳しいと思いますが、スペインは昨年12月の総選挙後、PPもPSOEも過半数に及ばなかったので未だに組閣できないでいます。どこかと連立を組むしかないのですが、2カ月の期限が目前、そうすると再選挙になります。PSOEとポデモスも隔たりがあって組閣は難航しています。
*ゴヤ賞2016授賞式の記事紹介は、コチラ⇒2016年2月7日

(党首パブロ・イグレシアス)
*アルベルト・ロドリゲス“El hombre de las mil caras”(9月23日公開、スリラー)。『マーシュランド』の監督、キャスト:エドゥアルド・フェルナンデス(パエサ役)、カルロス・サントス(ロルダン役)、ホセ・コロナド(ヘスス・カモエス)、マルタ・エトゥラ(ロルダン妻)。スペイン秘密諜報員フランシスコ・パエサと治安警備隊長ルイス・ロルダンの関係をめぐる実話物。いわゆる1994年の「ロルダン事件」(147万ユーロの横領事件)にテーマを絞っているようです。パエサは偽の死亡説を流して生き延び、現在パリに在住、ロルダンは1995年禁錮31年の刑で服役したが15年に減刑され、2010年出所した。いずれ作品紹介を予定しています。

(中央がロルダン役のカルロス・サントス 映画から)

(スペイン秘密諜報員フランシスコ・パエサ本人)
*アレックス・デ・ラ・イグレシア“El bar”(今秋公開、コメディ・スリラー)。早撮りで有名な監督だから、まだ撮影中なのに秋公開が決定しています。今作もデ・ラ・イグレシア映画お馴染みの顔ぶれ、マリオ・カサス、ブランカ・スアレス、テレレ・パベス、セクン・デ・ラ・ロサ、カロリナ・バングの他に、ホセ・サクリスタン、カルメン・マチなども出演している。コアなファンをもっている監督ゆえ映画祭上映、劇場公開は期待していいでしょう。

(監督とマリオ・カサス、カルメン・マチなどの出演者)
*イシアル・ボリャイン“El olivo”(5月6日公開、コメディ)。脚本は『ザ・ウォーター・ウォー』と同じポール・ラヴァティ、キャスト:ハビエル・グティエレス(アルマの叔父)、アナ・カスティージョ(アルマ)、ニコライ・ウィル、マヌエル・クカラ、フアンマ・ララ、他。アルマは数年前から口を利かなくなった祖父をとても愛していた。遂に食事を摂らなくなったとき、かつて家族が売ってしまった樹齢千年のオリーブの木を取り戻そうと決心する・・・。

(アルマと祖父、オリーブの木の下で)

(イシアル・ボリャイン監督とハビエル・グティエレス)
*フアン・アントニオ・バヨナ“Un monstruo viene a verme”(10月7日、米国=スペイン合作、英語、『怪物はささやく』仮題)。既に記事をアップしております。
コチラ⇒2014年3月17日・12月13日、2015年11月26日

(イチイの大木を見上げるコナー少年、映画から)
*ダニエル・カルパルソロ “Cien años de perdón”(3月4日公開、アルゼンチン=西=仏合作、犯罪サスペンス)。『インベーダー・ミッション』の監督、脚本ホルヘ・ゲリカエチェバリア、キャスト:ルイス・トサール(エル・ガジェーゴ)、ロドリゴ・デ・ラ・セルナ(エル・ウルグアージョ)、ラウル・アレバロ、ホセ・コロナド、マリアン・アルバレス、妻のパトリシア・ビコ、他。ある雨の朝、武装した6人の男たちがバレンシアの銀行本部に侵入した・・・。これは公開が期待できるでしょうか。

(出演者を配したポスター)
★来年あたり、日本で公開できそうな作品を選びました。J. A. バヨナ以外はスペイン語映画です。秋公開が多いのは、サンセバスチャン、シッチェス、バジャドリードなどの映画祭を意識しているせいかと思います。アルベルト・ロドリゲスの新作は1980年代から90年代後半を背景にしている。スペイン現代史の中でも、特に激動の時代でした。生存している実在のスパイや政治家が登場するので興味がわきます。フランスの監督ミゲル・クルトワがスペイン語で撮った政界、司法界、警察を巻き込んでの一大スキャンダルをテーマにした“GAL”(2006)と時代が重なります。ルイス・ロルダンもスクリーンには顔を出しませんが名前が出てきます。そんなに昔の話ではないですね。
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