フェルナンド・レオンの新作「El buen patrón」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑩2021年08月10日 15:31

       フェルナンド・レオンの新作コメディEl buen patrón

 

       

 

フェルナンド・レオン・デ・アラノアのサンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアルのノミネートは3回目になる。1998年のBarrio銀貝監督賞FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞ほかを受賞、続く2002年の『月曜日にひなたぼっこ』金貝賞とカトリックメディア協議会SIGNISほかを受賞した。そして今年、長編10作目のEl buen patrón3回目のノミネーションとなる。新作の主役は『月曜日にひなたぼっこ』主演のハビエル・バルデム18年ぶりの再会などと言われるが、2017年にコロンビアのメデジン・カルテルの麻薬王パブロ・エスコバルに扮した「ラビング・パブロ Loving Pabloでタッグを組み、本祭のペルラス部門のクロージング作品に選ばれている。共演の愛人役ペネロペ・クルスと監督の3人でベロドロモの大会場に現れ、3000人の観衆を沸かせた。ということで二人がタッグを組むのも3回目になる。

 

       

   (製作者ジャウマ・ロウレス、フェルナンド・レオン監督、ハビエル・バルデム)

   

     

         (「ラビング・パブロ」撮影中の監督とバルデム)

 

El buen patrón / The Good Boss

製作:Reposado P.C. / The MediaPro Studio  協賛RTVE / TV3

監督・脚本:フェルナンド・レオン・デ・アラノア

音楽:セルティア・モンテス

撮影:パウ・エステベ・ビルバ

メイク&ヘアー:(メイク)アルムデナ・フォンセカ、(ヘアー)パブロ・モリリャス

プロダクション・マネージメント:ルイス・グティエレス、チュス・サン・パスクアル

美術:ダニエル・エルナンデス、ハビエル・ロペス・アンティア、パブロ・トラサンコス

音響:アナ・カパロス、エドゥアルド・カストロ、ダニエル・フング・マッチ、他

特殊効果:ダビ・カンポス、スサナ・コンテラ、ホアキン・ドラド、他

視覚効果:ミラグロス・ガルシア、他

製作者:ジャウマ・ロウレス、フェルナンド・レオン・デ・アラノア、(エグゼクティブ)ピラール・エラス、マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、エバ・ガリード、カルレス・モンティエル、パトリシア・デ・ムンス、ハビエル・メンデス

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ブラックコメディ、120分、撮影地マドリード、モストレス、期間20201020日~12月終了。スペイン公開20211015日、配給Tripictures、海外販売MK2 Films

映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアルに正式出品

 

キャスト:ハビエル・バルデム(バスクラス・ブランコ)、マノロ・ソロ、アルムデナ・アモール、オスカル・デ・ラ・フエンテス、ソニア・アルマルチャ、マリア・デ・ナティ(アンヘラ)、ダニエル・チャモロ(新聞記者)、セルソ・ブガーリョ、フェルナンド・アルビス、ヤエル・ベリチャ、マラ・ギル(アウロラ)、ラファ・カステジョン、タリク・ルミリ、マルティン・パエス、ダリト・ストリット・テハダ、他

 

ストーリー:スペインの地方都市で工業用秤を製造する会社のカリスマ的な経営者ブランコは、ある委員会の決定を心待ちにしている。それは優秀な企業家に贈られる地元のビジネス・エクセレンス賞、それにはすべてに完璧でなければならないし、委員会の訪問は彼の運命を決定することになるだろう。しかしながら状況は反対方向を指しているようだ。ブランコは大至急で対策を立てはじめる、従業員の問題を解決しようとするあまり考えられる全ての境界線を越えてしまう。予期せぬことが原因で、不測の結果をもたらすとんでもない出来事が立て続けに起きてしまう。個人と労働の関係についての厳しい視点が語られる監督得意のブラックコメディ。

 

      

       (ブランコ社のオーナー役のハビエル・バルデム、映画から)

 

フェルナンド・レオン・デ・アラノア(マドリード1968)は、監督、脚本家、製作者、作家、コンプルテンセ大学情報科学部卒。デビュー作Familia96)がスペイン映画祭98にエントリーされ、『ファミリア』の邦題で字幕入りで見ることができた。今は亡き名優フアン・ルイス・ガリアルドを主役に、往年の大スターのアンパロ・ムニョス、そしてエレナ・アナヤが銀幕デビューした作品でした。上述した「Barrio」も『月曜日にひなたぼっこ』も当ブログがなかった頃の作品で、最初に登場させたのが2015年の戦争コメディA Perfect Day、大分経ってから『ロープ 戦場の生命線』の邦題で公開された。多分これが最初の劇場公開映画だったのではないか。ベニチオ・デル・トロとティム・ロビンスの大物俳優が共演した、基本が英語映画だったからかもしれない。

A Perfect Day」の紹介記事は、コチラ20150517

 

       

      (名優フアン・ルイス・ガリアルド主演の「Familia」のポスター)

 

★受賞歴のない作品は一つもないほど数が多すぎるので、ゴヤ賞に限ってアップします。

1996Familia」(ファミリア)ゴヤ賞1998の新人監督賞受賞、脚本賞ノミネート

1998Barrio」ゴヤ賞1999の監督賞・オリジナル脚本賞受賞

2002Los lunes al sol」(月曜日にひなたぼっこ)ゴヤ賞2003監督賞受賞、

   脚本賞ノミネート

2005Prinsesas」ゴヤ賞2006脚本賞ノミネート

2007Invisibles」ゴヤ賞2008ドキュメンタリー映画賞(イサベル・コイシェ他5人合作)

2015A Perfect Day」(ロープ 戦場の生命線)ゴヤ賞2016脚色賞受賞、監督賞ノミネート

 

       

  (ルイス・トサールとバルデムを配した『月曜日にひなたぼっこ』のポスター)

 

★以上が監督の受賞歴ですが、「Los lunes al sol」のように、作品賞(エリアス・ケレヘタ、ジャウマ・ロウレス)、主演男優賞(ハビエル・バルデム)、助演男優賞(ルイス・トサール)、新人男優賞(ホセ・アンヘル・エヒド)を含めると5冠を制したことになる。MediaProジャウマ・ロウレスは、新作でのメイン製作者です。バルデムについては何回か中途半端だがキャリア紹介をしておりますが、いずれ賞に絡んだらアップします。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの『ビューティフル』(10)の受賞以来、ゴヤ賞から遠ざかっている。

イシアル・ボリャインの「Maixabel」*サンセバスチャン映画祭2021 ⑧2021年08月05日 18:35

          ボリャインの4回目の金貝賞を狙う映画はETAの犠牲者の実話

  

          

           (主役のブランカ・ポルティリョとルイス・トサールを配したポスター)

 

★セクション・オフィシアルの最初のスペイン映画の紹介は、イシアル・ボリャインが今回で4回目となる金貝賞に挑戦するMaixabelです。原題はブランカ・ポルティリョ扮する主人公マイシャベル・ラサからとられている。2000729日トロサのバルで、ETAのテロリストによって暗殺された社会主義政治家フアン・マリア・ハウレギの未亡人である。2019年にはジョン・システィアガアルフォンソ・コルテス=カバニリャスによってドキュメンタリーETA, el final de silencio: Zubiakも製作され、第67回サンセバスチャン映画祭で上映された。ETAの犠牲者は854人といわれるが、マイシャベルは他の犠牲者家族とどこが違うのか、物語はスリラーとして始り人間の物語として終わります。

 

   

 (左から、監督、マイシャベル・ラサ、ブランカ・ポルティリョ、20212月)

 

Maixabel

製作:Kowalski Films / FeelGood 参画RTVE / EiTB / Movistar+  

      協賛ICAA / バスク州政府 / ギプスコア州議会 / ギプスコア・フィルムコミッション

監督:イシアル・ボリャイン

脚本:イシアル・ボリャイン、イサ・カンポ

音楽:アルベルト・イグレシアス、EuskadikoOrkestra

撮影:ハビエル・アギーレ

編集:ナチョ・ルイス・カピリャス

美術:ミケル・セラーノ

音響:アラスネ・アメストイ

衣装デザイン:クララ・ビルバオ

メイクアップ:カルメレ・ソレル、セルヒオ・ぺレス

キャスティング:ミレイア・フアレス

プロダクション・マネージメント:イケル・G・ウレスティ、イツィアル・オチョア

製作者:コルド・スアスア(Kowalski Films)、フアン・モレノ、ギジェルモ・センペレ( FeelGood)、(ラインプロデューサー)グアダルペ・バラゲル・トレジェス

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、115分、実話、撮影地主にバスク自治州ギプスコア県、アラバ、撮影期間20212月~3月、配給ブエナビスタ・インターナショナル、販売フィルムファクトリー。公開SSIFFの第1回上映後の924に決定。

映画祭・受賞歴:第69回サンセバスチャン映画祭2021セクション・オフィシアルノミネート、917日と25日に上映 

 

キャスト:ブランカ・ポルティリョ(マイシャベル・ラサ)、ルイス・トサール(イボン・エチェサレタ)、マリア・セレスエラ(マイシャベルの娘マリア)、ウルコ・オラサバル(ルイス)、ブルノ・セビリャ(ルイチ)、ミケル・ブスタマンテ(パチ・マカサガ)、パウレ・バルセニリャ(友人)、他

 

ストーリー:夫が暗殺された11年後、マイシャベルは暗殺者の一人、イボン・エチェサレタから奇妙な要求を受け取る。彼はETAのテロリスト集団と関係を絶ち刑に服していた。服役中のアラバ県はナンクラレス・デ・ラ・オカ刑務所内でのインタビューを受けたいという。マイシャベルは多くの疑念と辛い痛みにも拘わらず、16歳のときから仲間になった自分の人生を終わらせたいという人物の面談を受け入れる。夫を殺害した人間と面と向かって会うことの理由を質問された彼女は「誰でも二度目のチャンスに値する」と答えた。「主人公への敬意をこめて、私たちの最近の過去を伝えたい」とイシアル・ボリャイン。

 

   

     (2000729日に殺害されたフアン・マリア・ハウレギの葬儀)

 

 

  バスク自治政府テロ犠牲者事務局長だったマイシャベル・ラサの人生哲学

 

★バスクではなくマドリード生れの監督がETAのテロリズムをテーマに映画を撮り、サンセバスチャン映画祭4度目の金貝賞に挑戦する。第1回目の『テイク・マイ・アイズ』(Te doy mis ojos03)では、主演のルイス・トサールが銀貝男優賞、ライア・マルルが銀貝女優賞を受賞した。2回目が2007年のMataharis2018Juliで脚本審査員賞、そして今回作品賞をローラン・カンテテレンス・デイビスと金貝賞を競うことになる。監督のキャリア&フィルモグラフィーについては2016年の『オリーブの樹は呼んでいる』2020年のLa boda de Rosaで紹介しています。

『オリーブの樹は呼んでいる』の紹介記事は、コチラ20160719

La boda de Rosa」の紹介記事は、コチラ20200321

 

       

     (Juli」ノミネートでインタビューを受けるボリャイン監督、SSIFF 2018

 

★上述したように報道ジャーナリストのジョン・システィアガとアルフォンソ・コルテス=カバニリャス監督のドキュメンタリーETA, el final de silencio7編)が製作され、20191031日から1212日まで毎週放映された。第1編がこの「Zubiak」で<>という意味です。ルポルタージュとして放映されたのでIMDbには登録されていないようだが、マイシャベル・ラサとイボン・エチェサレタの和解を描いている。システィアガはバスク大学でジャーナリズムを専攻、国際関係学の博士号を取得している。ルワンダ、北アイルランド、コロンビア、コソボ、アフガニスタン他、世界各地の紛争地に赴いてルポルタージュを制作している。

 

       

       

   (マイシャベルの家で語り合うマイシャベルとエチェサレタ、ドキュメンタリー)

 

 

ブランカ・ポルティリョ(マドリード1963)が、グラシア・ケレヘタSiete mesas de billar francés07)で銀貝女優賞を受賞して以来、14年ぶりにSSIFF に戻ってきました。翌年のゴヤ賞主演女優賞はノミネートに終り、目下ゴヤ受賞歴はありません。もともと舞台女優として出発、ギリシャ悲劇、シェイクスピア劇、ロルカ劇に出演、演劇の最高賞といわれるMax5回受賞している。最近ではTVシリーズ出演や監督業に専念していた。「マイシャベルになるのは名誉なことです」とツイートしている。

 

      

         (マイシャベルに扮したポルティリョ、映画から)

 

★映画は上述以外では、主な代表作としてマルコス・カルネバル『エルサ&フレド』ミロス・フォアマン『宮廷画家ゴヤ』ペドロ・アルモドバル『ボルベール』(カンヌ映画祭グループで女優賞)や『抱擁のかけら』、アグスティン・ディアス・ヤネス『アラトリステ』では異端審問官役で男性に扮した。他にアレックス・デ・ラ・イグレシア『刺さった男』2020年にはグラシア・ケレヘタのInvisiblesにカメオ出演している。多彩な芸歴で紹介しきれないがアウトラインだけでお茶をにごしておきます。

 

       

         (二人の主役、ポルティリョとトサール、映画から)

 

ルイス・トサール(ルゴ1971)は、フェルナンド・レオン・デ・アラノア『月曜日にひなたぼっこ』で助演男優賞、ボリャインの『テイク・マイ・アイズ』とダニエル・モンソンの『プリズン211ゴヤ賞主演男優賞と3回受賞している。脇役時代が長かったので出演作は3桁に及ぶ。何回も登場させているので割愛したいが、本作のように実在しているモデルがいる役柄は多くないのではないか。舞台俳優としても活躍、最近Netflixで配信されたTVシリーズ『ミダスの手先』(6話)では主役のメディア会社の社長を演じていた。製作者デビューも果たしている。最近の当ブログ登場は、アリッツ・モレノのブラック・コメディ『列車旅行のすすめ』、パラノイア患者役の怪演ぶりで楽しませた。

簡単なキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2016年07月03日

『列車旅行のすすめ』の紹介記事は、コチラ20191014

 

    

            (撮影中の監督とルイス・トサール)


★サウンドトラックは、ゴヤ胸像のコレクター、11個を手にしたアルベルト・イグレシアス、オスカー賞にも3回ノミネートされている。キャスト陣では、マイシャベルの娘に新人マリア・セレスエラ、監督、脚本家のウルコ・オラサバルミケル・ブスタマンテと、バスクを代表するシネアストを俳優として起用している。ブルーノ・セビリャは、エレナ・トラぺ映画やTVシリーズ、ホラー映画『スウィート・ホーム』に出演している。


タマラ・カセリャスとフリア・デ・パスの「Ama」*マラガ映画祭2021 ㉔2021年07月07日 13:26

        タマラ・カセリャスが「Ama」主演で銀のビスナガ女優賞を受賞

 

      

 

フリア・デ・パス監督のデビュー作Amaは、主役のタマラ・カセリャス銀のビスナガ女優賞をもたらしました。本作は2019年にESCAC(カタルーニャ映画視聴覚上級学校、マラガ映画祭が注目している映画学校)の卒業制作として撮られた同名の短編がベースになっています。当時フリアは「あまり良い状態ではなかった」とマラガのEFEインタビューに応えている。監督はまだ25歳、母親に借金をして製作したようですが、マラガで母親に最大級のプレゼントを贈ることができました。ハリウッドや男性シネアストたちが、長年にわたって作り続けてきたスーパー家父長制の映画は害をもたらし続けている。監督は、あってはならない「母性神話」の打ち壊しに挑戦しました。何故なら「母性は一つでなく、母親の数だけあり、それぞれ違っていていい」と監督。

    

       

(タマラ・カセリャス、レイレ・マリン・バラ、監督、マラガFF2021フォトコール)

 

     

 Ama2021

製作:La Dalia Films / Ama Movie AIE

監督:フリア・デ・パス・ソルバス

脚本:フリア・デ・パス・ソルバス、ヌリア・ドゥンホ・ロペス

撮影:サンドラ・ロカ

音楽:マルティン・ソロサバル

編集:オリオル・ミロン

美術:ラウラ・ロスタレ

衣装デザイン:クリスティナ・マルティン

メイクアップ:メルセデス・ルハン、タニア・ロドリゲス

プロダクション・マネージメント:リチャード・ファブレガ、マメン・トルトサ

音響:ヤゴ・コルデロ、ほか

視覚効果:ギレム・ラミサ・デ・ソト(短編)

製作者:(エグゼクティブ)シルビア・メレロ、ホセ・ルイス・ランカニョ

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ドラマ、90分、撮影地バレンシアのアリカンテ、撮影期間20203月から6月、パンデミックで中断、2021年完成させた。配給&販売Filmax、スペイン公開2021716

映画祭・受賞歴:第24回マラガ映画祭2021セクション・オフィシアル部門、銀のビスナガ女優賞受賞(タマラ・カセリャス)、AICE(スペイン映画ジャーナリスト協会)が選ぶフェロス・プエルタ・オスクラ賞を受賞。

 

キャスト:タマラ・カセリャス(ぺパ)、レイレ・マリン・バラ(娘レイラ)、エステファニア・デ・ロス・サントス(ロサリオ)、アナ・トゥルピン(アデ)、マヌエル・デ・ブラス(カルロス)、チェマ・デル・バルコ、パブロ・ゴメス=パンド(レイラの父ディエゴ)、マリア・グレゴリオ、バシレイオス・パパテオチャリス、カルメン・イベアス、エリン・ガジェゴ、シルビア・サンチェス、ほか

 

ストーリー:母性神話に縛られて孤独のなかにいる多くの女性たちの物語。さまざまな警告の末に、アデは友人のぺパを家から追い出してしまう。6歳になる娘のレイラと一緒に道路に佇んでいるぺパを目にしたのが最後だった。もう助けてくれる人は誰もいない、ぺパとレイラは生きるための場所を見つけるために闘わねばならない。困難に直面しながらも探求に取りかかる。それは遠い昔の今では存在しない関係との和解に耐えることでもあるだろう。母と娘の新たな絆を創りだすだろうが、それは間違いを許容するもので理想化とは異なるものだろう。あってはならない母性神話に挑戦する女性たちの物語。

 

       

            (路頭に迷うぺパと娘レイラ、映画から)

 

監督紹介フリア・デ・パス・ソルバスは、1995年バルセロナ生れの監督、脚本家。バルセロナのESCAC(カタルーニャ映画視聴覚上級学校)で映画演出を専攻する(201218)。2012年、短編「Atrapado」、助監督、キャスティング監督などをしながら、2017年に共同監督(11名)として撮った長編La filla dalgú19)は、マラガ映画祭2019モビスター+賞を全員で受賞した。2018ESCACの卒業制作である短編Ama1919分)は、アルカラ・デ・エナレス短編映画祭にノミネートされた。今回、初の単独監督として本作「Ama」で長編デビューした。テーマは不平等、特に女性が受けている社会的地位の格差、フィクションとドキュメンタリーの接続点を求めている。鼻ピアスに耳の後ろから剃り上げたライオン・ヘアー、エイミー・ワインハウス風のアイライン、このタフでぶっ飛んだ監督は、映画祭に旋風を巻き起こした。

 

    

    (「まだ私は25歳の青二才です」と応えるデ・パス監督、プレス会見)

 

★短編Ama」の登場人物で重なるのはぺパ、ディエゴ、レイラ(別の子役エンマ・エルナンデス・ぺレス)、アデ(ロランダ・パテルノイ)と多くない。監督とぺパ役のタマラ・カセリャスは長編デビューに4年の歳月を掛けたという。映画はこんな風に始まる。ディスコで踊り明かした若い女性が帰宅する、既に新しい一日が始まっており、テーブルでお絵描きをしていた小さな女の子が迎える、女性は動じる風もなくおはようと言う。娘の育児放棄に耐えきれない友人から家を追い出されてしまう。

 

     

               (短編「Ama」のポスター)

 

★監督は「これまでのぺパの人生を説明しない方針にした。町中を子連れで放浪するぺパを無責任な母親と呼ぶこともできます」。しかし監督は、ぺパを理解するためのモラルやアリバイを提供しない。またぺパを裁かないし、観客に許しを求めない。このような状況に至るまでの経済的社会的なリソースを提供しないシステムを描くだけです。母性は存在してはならない神話であってそれは一つでなく、母親の数だけあり、それぞれ違っていていい」と監督。製作者のホセ・ルイス・ランカニョは、「芸術的品質、若くて才能あふれる制作チームの努力、何よりも映画が語る物語の力強さのため」と、製作意図に挙げている。

 

     

      (マラガ入りした監督、タマラ・カセリャス、レイレ・マリン・ベラ)

 

★ぺパを演じて、銀のビスナガ女優賞受賞タマラ・カセリャス(カセジャス)は、セビーリャ生れの35歳、舞台女優を目指し、セビーリャのViento Sur Teatroの演劇学校で学ぶ。その後18歳でバルセロナに移り、バルセロナの演劇学校Nancy Tuñonで学んでいる。2010年映画デビュー、2015年アルバル・アンドレス・エリアスの短編「4 días de octubre」(ESCAC Films)に出演、ハビエル・チャカルテギのコメディ「La estación」(18)、ホセチョ・デ・リナレスの「Desaparecer」(18ESCAC Films)で長編デビュー。他に上記の短編&長編の「Ama」、デ・パス監督との接点はESCACのようです。

 

      

        (銀のビスナガを手に喜びを全開するタマラ・カセリャス)

 

★ウェイトレスの仕事を終えて映画祭に馳せつけたタマラは、「私はぺパのように感じたことはないとはいえ、もし彼女が傷ついていると信じれば、すべての家族に言えることですが、まさかそんなことだったとは気づかなかったと言うのです」と語っている。事件後に親戚やご近所さんがメディアに語る定番ですね。またタマラは映画が絶えず深層に潜めているライトモチーフ、放棄または怠慢について「それぞれモードは異なりますが、それは私たち二人が感じている何かです」と。この映画には私にとって父や母が何であるかの分析があり、映画を見れば感動すると語っている。

    

     

           (自分とは違うぺパを演じたタマラ、映画から)

 

★ぺパが遊びまわっているあいだ、娘レイラの世話を押しつけられている友人アデ(アナ・トゥルピン)は、二人が彼ら自身の人生を見つけるために敢えて路頭に送り出す。レイラを演じたレイレ・マリン・ベラは自然体で、本当に難しいシーンをカバーしてくれたと監督は少女を絶賛している。タマラと同郷の先輩ロサリオ役のエステファニア・デ・ロス・サントスは幼女の祖母役、セクション・オフィシアル部門のアウトコンペティションで上映された、ビセンテ・ビジャヌエバのコメディ「Sevillanas de Brrooklyn」で活躍しています。短編「Ama」にもディエゴ役で出演していたパブロ・ゴメス=パンドは、幼女の父親役です。

 

        

  (意見の異なる友人アデとぺパ)

 

      

         (撮影中のレイラ、ぺパ、ロサリオ、20203月)

 

   

                    (新たな絆を模索するレイラとぺパ)

 

★マラガFF ESCAC出身のシネアストを重視している。2017年のカルラ・シモン(『悲しみに、こんにちは』)、2018年のエレナ・トラぺ(「Las distancias」)が金のビスナガを受賞している。2020年のピラール・パロメロ(「Las niñas」)はサラゴサ出身で卒業生ではないが、ゴヤ賞2020新人監督賞のベレン・フネス(「La hija de un ladorón」)もESCACで学んでいる。4作とも作品紹介をしていますが、今のスペインはマドリードよりバルセロナが熱い。マラガFFESCACが女性監督の採石場と称される所以です。1994年バルセロナ自治大学の付属校としてバルセロナで設立、2003年に本部をバルセロナ州テラサ(タラサ)に移した。活躍中の卒業生は、J.A. バヨナマル・コルキケ・マイジョオスカル・ファウラハビエル・ルイス・カルデラなど数えきれない。生徒に非常に厳しい要求をする学校として有名ですが、それなりの成果をあげているということでしょう。

 

★マラガ映画祭はとっくの昔に終幕しましたが、ゴヤ賞2022の新人監督賞、主演女優賞のノミネートを視野に入れて紹介いたしました。デ・パス監督の次回作は、児童虐待をテーマにした短編、目下準備中ということです。

クラウディア・ピントの「Las consecuencias」*マラガ映画祭2021 ㉓2021年07月01日 20:31

      クラウディア・ピント、第2作「Las consecuencias」で批評家審査員特別賞

   

       

 

クラウディア・ピントはベネズエラ出身ですが、本作Las consecuenciasはスペイン=オランダ=ベルギー合作の映画です。ご存知の通り故国ベネズエラは政情不安が続いて映画製作どころではありません。主演女優のフアナ・アコスタはコロンビアのカリ生れ、共演者アルフレッド・カストロはチリ出身、今回助演女優賞を受賞したマリア・ロマニジョスカルメ・エリアスソニア・アルマルチャはスペイン、エクトル・アルテリオはアルゼンチン、とキャスト陣も国際的です。音楽監督、撮影監督、編集はデビュー作と同じ布陣、監督と共同で脚本を執筆したビンセント・バリエレ以下、音響、美術などスタッフは概ねベネズエラ・サイドが担当しています。

 

         

       (本作をプレゼンするクラウディア・ピント、525日マドリード)

 

 

Las consecuencias2021

製作:Sin Rodeos Films / Las Consecuencias AIE / N279 Entertaiment(オランダ)/

        Potemkino(ベルギー)/ Erase Una Vez Films(スペイン)

     協賛:TVE / TV3 / A Punto Media / バレンシア州TV

監督:クラウディア・ピント・エンペラドール

脚本:クラウディア・ピント・エンペラドール、エドゥアルド・サンチェス・ルへレス

撮影:ガボ(ガブリエル)・ゲーラ

音楽:ビンセント・バリエレ

編集:エレナ・ルイス

美術:フロリス・ウィレム・ボス

音響:ダーク・ボンベイ

キャスティング:アナ・サインス=トロパガ、パトリシア・アルバレス・デ・ミランダ

衣装デザイン:マノン・ブロム

メイクアップ&ヘアー:アランチャ・フェルナンデス(ヘアー)、サライ・ロドリゲス(メイク)

製作者:ジョルディ・リョルカ・リナレス(エグゼクティブ/プロデューサー)、

        エルス・ヴァンデヴォルスト(オランダ)、クラウディア・ピント・エンペラドール、

        アンヘレス・エルナンデス、ヤデラ・アバロス他

 

データ:製作国スペイン=オランダ=ベルギー、スペイン語、2021年、サイコ・スリラー、96分、撮影地カナリア諸島のラ・ゴメラ、ラ・パルマ、バレンシア州のアリカンテ、ベニドルム、撮影期間2019518日~627日、スペイン公開2021917日。販売Film Factory


映画祭・受賞歴:第24回マラガ映画祭セクション・オフィシアル部門プレミアム(611日)、銀のビスナガ批評家審査員特別賞、同助演女優賞(マリア・ロマニジョス)受賞

 

キャスト:フアナ・アコスタ(ファビオラ)、アルフレッド・カストロ(父)、カルメ・エリアス(母)、マリア・ロマニジョス(娘ガビ)、エクトル・アルテリオ、ソニア・アルマルチャ、クリスティアン・チェカ、エンリケ・ヒメノ・ペドロス、他

 

ストーリー:最近夫をダイビング中の事故で亡くしたファビオラは、思春期の娘ガビと一緒に人生をやり直そうと家族の住むカナリア諸島に浮かぶ小さな火山島へ、長らく疎遠だった父親と連れ立って旅に出る。家族は再会するが、ファビオラは家族になにか秘密があるように感じる。確かな証拠があるわけではないが、彼女の直感はすべてが見た目通りでないといっている。しかし彼女は見つかるかもしれないものへの怖れと、その答えを知る必要があるのかどうかで引き裂かれている。他人の私事に何処まで踏み込めるでしょうか。愛する人を守るための嘘は何処までなら許されるのでしょうか。母性への恐れから生まれたエモーショナルなサイコ・スリラー。怖れ、愛、嫉妬、そして火山島の風景も重要なテーマの一つ。

 

         

              (小さな火山島を目指すファビオラと父親、映画から)

   

  

      文化の混合は物語を豊かにし、映画を普遍的なものにする

     

監督紹介クラウディア・ピント・エンペラドール1977年カラカス生れ、監督、脚本家、製作者。1998年、カラカスのアンドレス・ベジョ・カトリック大学で視聴覚社会情報学を専攻、卒業する。現在はスペインのバレンシアに移って映画製作をしている。短編「Una voz tímida en un concierto hueco」(01)、「El silencio de los sapos」(06)、「Todo recto」(07)、長編デビュー作La distancia más larga13、ベネズエラ=スペイン合作)など。

   

La distancia más largaについては、モントリオール映画祭2013で優れたラテンアメリカ映画に贈られるグラウベル・ローシャ賞受賞を皮切りに国際映画祭で17賞している。映画賞はイベロアメリカ・プラチナ賞2015オペラ・プリマ賞、ゴヤ賞2015イベロアメリカ映画賞部門ノミネート。映画祭受賞歴はモントリオールのほか、ウエルバ・ラテンアメリカ2013観客賞、パナマ2015観客賞、クリーブランド女性監督賞、ヘルシンキ・ラテンアメリカ観客賞、トリエステ・イベロアメリカ批評家特別賞などを受賞。ハバナ、トゥールーズ・ラテンアメリカ、ヒホン、各映画祭にノミネートされた。

La distancia más larga」紹介は、コチラ2013090520150207

   

               

                  (数々の受賞歴を配したデビュー作のポスター)

 

2作目が本作「Las consecuensias」である。サンセバスチャン映画祭の合作フォーラムに参加、ユーリマージュ賞Eurimages(欧州評議会文化支援基金、1989年設立)を受賞した。「このフォーラムに参加して、オランダやベルギーのシネアストと交流したことは、私にとって非常に興味深いものでした。文化と見解の混合は物語を豊かにし、映画を普遍的なものにします。それは私の望んだことでもあったのです」と語っている。2006年からTVシリーズの監督と映画製作を両立させている。

 

 

    8年ぶりの長編2作目――「彼らは愛する方法を知りません」と監督

 

8年ぶりの新作というのも驚きですが、ピント監督によると「製作には多額の資金が必要ですから、それが私にとって本当に重要な何かをもっているかどうか自問します。新作は母性への怖れから生まれました。というのも丁度妊娠していて完成できるか分かりませんでした。間違ったことをして娘を危険に晒してしまう母親はどうなるのだろう。娘がドアを閉めて沈黙してしまうとしたら最悪です。物語は娘が危険に晒されていると想像している母親と娘の闘いを描きますが、母親に確信はなく、それは不確実な怖れから生まれてきます」とRTVEスペイン国営放送で語っています。

 

     

  (撮影中のフアナ・アコスタ、マリア・ロマニジョス、監督、アルフレッド・カストロ)

 

★家族の秘密が語られますが、「私たちは敷物の下に隠しているものについては表立って話しません。多くの場合、他人を守るためには沈黙は金なのです。こうして秘密は正当化されます。まだ傷は癒えていません。正しいことをしたいと思っていますが、その方法が分かりません、彼らは愛する方法を知らないのです」と監督。キャスティングについて「フアナ(・アコスタ)はとても勇気のある女優と言わざるを得ません。彼女のことはよく知りませんでしたが、素晴らしい女優、とてもラッキーでした。彼女はこの島の人だと直ぐに私に気づかせたのです。外観だけでなく印象的なオーラを放っていました。私は『あなたと一緒にやりたい、二人なら何でもできる』と言いました」とアコスタの第一印象を語っています。

 

キャスト紹介:主役ファビオラ役のフアナ・アコスタは、1976年コロンビアのカリ生れ、監督と同世代の女優、昨年のマラガ映画祭にベルナベ・リコEl inconvenienteで現地入り、主役のキティ・マンベールが女優賞を受賞している。デビューはコロンビアのTVシリーズでしたが、2000年ごろからスペインに軸足をおいている。シリアス・ドラマ(Tiempo sin aireAnna)からコメディ(Jefe)まで演技の幅は広い。既にキャリア&フィルモグラフィーを紹介をしています。受賞歴はアレックス・デ・ラ・イグレシアの「Perfectos desconocidos」でフォトグラマス・デ・プラタ2018女優賞、ジャック・トゥールモンド・ビダルの「Anna」の主演でコロンビアのマコンド賞2016、ウエルバ映画祭2019ウエルバ市賞などを受賞している。まだゴヤ賞はノミネートもない。

 

★2003年、彼女の一目惚れで始まったエルネスト・アルテリオとの間に一人娘がいますが、2018年にパートナーを解消、正式には結婚していなかった。新恋人はパリ在住のフランスの実業家チャールズ・アラゼット、幼児を含む4人の子供がいる。本作出演のエクトル・アルテリオは実父です。

フアナ・アコスタのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ20180711

 

       

                        (ファビオラと父親、映画から)

   


   (オシドリ夫婦といわれていた頃のフアナとエルネスト・アルテリオ、20172月)

 

★父親役のアルフレッド・カストロは、1955年チリのサンティアゴ生れ、俳優、舞台演出家。1982TVシリーズでスタート、既に50本以上に出演しているチリを代表する俳優。人間の暗部を掘り起こす登場人物を演じつづけ、チリ国内だけでなくラテンアメリカ各国で活躍している。今年のマラガでは、フアン・パブロ・フェリックスKarnawal(アルゼンチン)もセクション・オフィシアル部門にノミネートされ、予想通り銀のビスナガ助演男優賞を受賞している。

 

        

        (銀のビスナガ男優賞受賞のプレス会見、613日)

 

パブロ・ラライン映画(『トニー・マネロ』『ザ・クラブ』『No)出演が有名だが、ラテンアメリカに初の金獅子賞をもたらしたベネズエラのロレンソ・ビガスとタッグを組んだ『彼方から』15)に主演している。『ザ・クラブ』でイベロアメリカ・フェニックス2015主演男優賞、マルセラ・サイドのLos perros17)でイベロアメリカ・プラチナ2018男優賞など受賞歴多数。俳優に贈られるマラガ―スール賞がラテンアメリカから選ばれるとしたら、カストロを一番にあげておきたい。

2018年のギレルモ・デル・トロ、今年のアメナバルの監督受賞は異例です)

   

Karnawal」の紹介記事は、コチラ20210613

『ザ・クラブ』『No』の紹介記事は、コチラ20150222同年1018

『彼方から』の紹介記事は、コチラ20160930

Los perros」の紹介記事は、コチラ20170501

 

  

(カナリア諸島のラ・ゴメラの浜辺に佇むアルフレッド・カストロ)

 

       

     (父と娘、アコスタとカストロ、中央はロマニジョス、映画から)

 

★母親役のカルメ・エリアスは、1951年バルセロナ生れ、舞台俳優を目指し、ニューヨークのリー・ストラスバーグ演劇学校でメソッド演技法を学んでいる本格派。ハビエル・フェセルの『カミーノ』のオプス・デイの敬虔だが頑迷な信者を演じきって、ゴヤ賞2009主演女優賞、ほかサンジョルディ賞、トゥリア賞、スペイン俳優組合の各女優賞を受賞している。今年のガウディ栄誉賞を受賞している。クラウディア・ピントのデビュー作「La distancia más larga」で死出の旅に出る主役マルティナを好演し、第2作にも起用された。カルロス・ベルムトの『シークレット・ヴォイス』(18)では歌えなくなった歌手の冷静なマネージャー役だった。

ガウディ栄誉賞でキャリア&フィルモグラフィーを紹介、コチラ20210329

 

    

        (ファビオラの母、ファビオラ、ファビオラの娘、映画から)

    

   

       (ゴヤ賞2009主演女優賞のトロフィーを手に喜びのカルメ・エリアス)

 

★ファビオラの娘ガビを演じたマリア・ロマニジョスは、2004年マドリード生れ、Teatro Cuerta ParedCine Primera Toma の学校で演技を学んでいる。2019年本作起用がアナウンスされ映画デビューした。先述したようにデビュー作で銀のビスナガ助演女優賞を受賞している。モビスター+のTVシリーズ、フェルナンド・ゴンサレス・モリナParaíso7話)にも抜擢され、続いてフェリックス・ビスカレットのスリラーDesde la sombraでは、パコ・レオンやレオノル・ワトリングと共演している。まだ17歳、小柄で、172センチという長身のアコスタと並ぶと幼さが残る。目下のところ上昇気流に乗っているようだが、願わくば今回の受賞が吉となりますように。

 

         

                (銀のビスナガ助演女優賞のトロフィーを手にしたマリア)

 

    

 (クロージングに出席したアコスタとロマニジョス、612日)

 

スタッフ紹介:オランダのエルス・ヴァンデヴォルストは、『アイダよ、何処へ?』でオスカー賞2021国際長編映画賞にノミネートされた製作者。他『ジグザグキッドの不思議な旅』(12)、『素敵なサプライズ』(15)、『ドミノ 復讐の咆哮』(19)などが公開されている。カタルーニャのジョルディ・リョルカ・リナレスは『少年は残酷な弓を射る』の製作者、ヤディラ・アバロスはメキシコ出身だがスペインでTVシリーズ『エリーテ』や、エドゥアルド・カサノバの『スキン あなたに触らせて』などを手掛けている。

 

★撮影監督のガボ・ゲーラは、彼女の映画では「風景が重要な意味をもっています。前作のジャングルの撮影も過酷でしたが、今回は危険に晒されることが度々だった」と語っている。ラパルマ島で最も壮観な場所で撮影したが、困難が付きまとった。アコスタは「入り江のなかでも最も遠いところを選び、そこに到達するにはかなりのオデュッセイアでした」と。潮の流れに翻弄され、数時間中断することもあり、毎日が冒険だったようです。監督も「本当に美しい風景を手に入れましたが、それなりの代償を払いました。しかし払っただけのことはありました。物語の厳しさと風景の美しさのコントラストの映画でもあるからです」と。

 

          

                         (本作撮影中のピント監督)

 

        

    (撮影地のカナリア諸島ラ・ゴメラ島、フォト:サウル・サントス)

 

写真提供のサウル・サントスは、1979年ラパルマ島フエンカリエンテ生れ、世界最高を誇る『ナショナルジオグラフィック』誌の表紙を飾る写真家として、国際的に有名です。


マラガ映画祭<落穂ひろい>*マラガ映画祭2021 ㉑2021年06月20日 15:07

         Zonazineセクションのオープニング作品「Lucas」が作品賞

 

      

 

Zonazine部門というのはコンペティションの次に重要なセクションであるが、今年のオープニング作品のアレックス・モントーヤLucasがスペイン語映画の作品賞観客賞、主役のルカスを演じた新人ホルヘ・モトス男優賞3冠を制した(全て銀賞です)。2021年、スリラードラマ、92分。

 

         

      (Zonazine部門の作品賞銀のビスナガを受賞したアレックス・モントーヤ)

 

         

     (男優賞銀のビスナガを受賞して言葉をつまらせる新人ホルヘ・モトス)

 

ストーリー:最近父親を失ったばかりの若者ルカスと小児性愛者のアルバロ(ホルヘ・カブレラ)の関係を描いたスリラー仕立てのドラマ。父親の死によって自分の居場所が崩壊した若者に、罪のない写真と引き換えにお金を払うとアルバロが近寄ってくる。アルバロは偽のプロフィールを制作してソーシャルネットで利用したい欲望をもっているが、若い女の子と一緒にお喋りするだけだともちかける。今の状況に苛立っていたルカスは、彼の要求を受け入れる。

 

   

                    (ルカス役のホルヘ・モトス、映画から)

   

      

          (アルバロ役のホルヘ・カブレラ、映画から)

 

監督紹介アレックス・モントーヤは、1973年バレンシア生れの監督、脚本家、製作者、編集者。15歳のときから短編を撮っており10編以上に及ぶ。マラガFFの監督紹介によると、内外の映画祭受賞歴が170賞とある。本作は長編第2作目、2012年に製作した短編Lucas28分)がベースになっている。マラガ映画祭2013で監督賞を受賞、ゴヤ賞2014の短編ドラマ部門にノミネートされた(キャストは別の俳優が演じている)。202149日にインスティトゥト・セルバンテスのVimeoチャンネルで48時間限定でオンライン上映されている。

 

     

                (短編「Lucas」のポスター)

 

★長編デビュー作Asamblea18)は、アリカンテ映画祭2019審査員賞、主演のフランセスク・ガリードが男優賞を受賞、バレンシア・オーディオビジュアル賞の音響賞を受賞したほか、監督賞、撮影賞などにノミネートされた。2020年にスペインでリスナーの多いFilminでオンライン上映、好評につきその後の公開に繋がった。第2作目である本作はオープニング作品に選ばれ64日に上映された。以来メディア各社の取材攻勢に追われていたが、銀のビスナガ受賞となって慌ただしさも増したようだ。スペイン公開も間もなくの525日に決定した。

 

       

        (長編デビュー作「Asamblea」のインタビューを受ける監督)

 

★テーマの今日性、ルカス役の初々しい好青年ぶりもあいまって今後が期待できそう。ホルヘ・モトスは上映後のプレス会見で「台本を読んで直ぐにルカスを演じたいと思った」と語っていた。一方アルバロ役のホルヘ・カブレラは「登場人物を裁かないように、また理性を可能なかぎり避けながら、あるレベルまで彼と繋がれるように彼の人間性に頼ることにした」とコメント、小児性愛者という難役に挑戦した。マラガ入りしてプレス会見にも出席していたイレネ・アヌラは、モントーヤの「Asamblea」や短編Vampiro16)でメデジン映画祭女優賞、サンダンス映画祭出品のCómo conocí a tu padre08)でイベロアメリカ短編映画祭女優賞をそれぞれ受賞している。

 

   

 (左から、二人のホルヘ、モントーヤ監督、イレネ・アヌラ、64日のプレス会見)

 

  

  

  

                      (作品賞受賞後のプレス会見、6月13日)

 

★今年のマラガは全体像が間際まで見えてこなかった。コンペティション作品でさえ半分もご紹介できなかった。アグスティ・ビリャロンガが大賞を独占、他作品が脇に押しやられてしまった感が否めない。審査委員長のノラ・ナバスとビリャロンガ監督は旧知の仲、大ヒット作『ブラック・ブレッド』(10)主演で、サンセバスチャン映画祭、ゴヤ賞、フォルケ賞とスペイン映画賞の主要な女優賞をゲットしていた。知らんぷりはできず、何かの賞に絡むと予想していましたが、ベテラン監督作品が6回もコールされるとは思いませんでした。というのもマラガは新人の登竜門的役目をもっているからでした。2022年は通常の3月開催がアナウンスされています。いよいよ第69回サンセバスチャン映画祭2021のニュースが聞こえてきました。こちらは通常に戻って9月開催です。

  

ダニ・デ・ラ・トーレの冒険映画「Live is Life」*マラガ映画祭2021 ⑰2021年06月11日 11:56

      監督の原点、1980年代映画のオマージュ、5人の少年の冒険映画

    

      

 

★特別賞の授賞式に追われて、肝心の作品紹介が後手になっていました。映画祭4日めに第1回上映があったダニ・デ・ラ・トーレの長編3Live is Lifeの紹介です。デビュー作『暴走車ランナウェイ・カー』、第2『ガン・シティ~動乱のバルセロナ』で本邦でも比較的知名度のある監督です。第3作は夏休みに再会した5人の少年の冒険と、その家族に目を注ぎます。監督は「私の原点である80年代の映画へのオマージュです」と語っています。少し大人っぽくなった5人の少年たちと現地入り、上映日のプレス会見にも揃って登壇しました。

『暴走車ランナウェイ・カー』作品&監督キャリア紹介は、コチラ20160122

 

      

 (プレス会見に登壇した監督と出演者たち、マラガ映画祭2021

  

   

        (監督以下主演者の少年たち、マラガFFフォトコール、66日)

 

 

 Live is Life2020

製作:4 Cats Pictures / Atresmedia Cine / Live is Life AIE

監督:ダニ・デ・ラ・トーレ

脚本:アルベルト・エスピノサ

撮影:ホス・インチャウステギ

音楽:マヌエル・リベイロ

編集:フアン・ガリニャネス

キャスティング:エバ・レイラ、ヨランダ・セラーノ

メイクアップ:クリスティナ・アセンホ、ペドロ・ラウル・デ・ディエゴ、アントニオ・ナランホ

セット装置:ヌリア・グアルディア

プロダクション・マネージメント:フェデリコ・ロサディリャス

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2020年、アドベンチャードラマ、109分、撮影地ガリシアのリベイラ・サクラを中心に、ルゴ県のパントン、ソベル、キロガ、モンフォルテ・デ・レモス、他オウレンセ、エスゴス、バルセロナなど。クランクイン2019年、期間7週間、配給ワーナー・ブラザース・エンターテインメント(スペイン)、販売Film Factory、マラガ映画祭2021プレミア、スペイン公開2021813

 

キャスト:ラウル・デル・ポソ(マサ)、ダビ・ロドリゲス(スソ)、アドリアン・バエナ(ロドリ)、ハビエル・カセリャス(ガリガ)、フアン・デル・ポソ(アルバロ)、マルク・マルティネス、シルビア・ベル(以上初出演)、カルロス・アルベルト・アロンソ(プール付きハウスのオーナー)、ルア・カルテロン(ロドリの姉妹)、他

 

ストーリー1985年の夏、ロドリはカタルーニャを離れて、いつものように両親が住んでいるガリシアの町に、仲間と再会するために戻ってくる。しかし今年は5人の仲間にとって別の夏休みになりそうだ。現実世界の問題が彼らを襲い、揺るぎないと思われていた彼らの関係が脅威にさらされようとしている。5人はそれぞれ友情にしがみつき、仲間の連帯を守るため、ある冒険を計画する。土地の伝説によると、山の頂上に生え、願いを叶えてくれる魔法の花があるという。聖ヨハネの夜、5人は夜陰に紛れて魔法の花探索に出発する。何故なら彼らの唯一の願いは、苦しんでいる友人の問題を解決し、一緒にいられることだけなのだ。Live is Life」が歌われた夏の思い出は永遠だ。自分探しの少年たちの旅、子供が大人を、子供であることを止めようとしない大人を発見する感動と希望に満ちたロードムービー。

 

      

             (主演の 5 人の少年たち、映画から)

   

 

      初めて映画に連れて行ってくれた、敬愛する母親へのオマージュ

 

★「監督として私がここにいられるのは、1980年代の家族と冒険の映画です」と語るガリシアの監督ダニエル・デ・ラ・トーレ(モンフォルテ・デ・レモス1975)は、前2作とは打って変わって、家族と少年の冒険物語をテーマに選びました。最初、監督に提案された脚本は、「とても気に入ったのですが、長いあいだ決めかねていました。というのも今までの私のコードとは違っていたからです。複雑なのに非常に感傷的な部分があり、それをどういうふうに処理するか迷っていました」。監督の肩を押したのは脚本を読んだ母親が映画化を勧めたからで、それから間もなく母は旅立ちました。「私のなかで何かが起きたのです。それでイエスを出しました。だからこれは母親へのオマージュでもあります。私を最初に映画に連れて行ってくれたのが彼女でした」と映画化の経緯を語っている。

 

          

             (撮影中のダニ・デ・ラ・トーレ監督)

 

★「夏の少年たちの生活、他の都市、例えばバルセロナやマドリードからやってくる子供と、ガリシアの子供という異なった世界の子供が集まる物語を作りたかった。子供から大人への移行、例えば1980年代のスピルバーグやゼメキスの映画に影響を受けています」と監督。『E.T.』(82)とか『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)を指しているのでしょうか。

 

★プレス会見では「80年代のハリウッド映画『グーニーズ』とインスピレーションを共有しています」と語っている。1985年製作のリチャード・ドナーの作品、伝説の海賊が隠した財宝を探して窮地に陥っている家族を助けようとする4人の少年たちの冒険映画のことです。新作は観客を楽しませ、ノスタルジーを呼び起こそうとする冒険は、成熟への道、友情の大切さ、少年それぞれの個人的な成長を、アクション、伝説を取り込んで、決して忘れることのない夏を描いている。そのために当時のシンボリックな要素を盛り込んだとコメントした。それを担ったのがエスピノサ、「彼がキーパーソンで、彼の創造のプロセスは、エモーショナルで魔法にかけられたようだった」と脚本家を讃えた。 

   

★さまざまなバックグランドをもつ5人の少年は、アクセントや話し方などを考えて、1000人以上の子供たちの中から選んだという。マサ、アルバロ役のラウル&フアン・デル・ポソは双子の兄弟ということです。ロケ地に私の生まれ育ったルゴ県のリベイラ・サクラを選んだのは、自身の少年時代を追体験する必要があったからだと明かしている。1980年代にワープするため、少年たちには今日のテクノロジー機器から切り離したようです。ゲームやスマホなしの生活体験はどうだったのでしょうか。

 

         

                     (クランクイン当時の監督と5人の少年)

   

   

     (マラガ入りした現在の5人、デル・ポソの髪も伸びたようです)     

  

★また会見では「この映画には明らかに楽観的なメッセージがあるのは分かっています。さまざまな障害にもかかわらず目標は達成される。夢のためには希望を捨てずに根気よくポジティブに活動すれば達成できるというメッセージです」。最初簡単で単純な仕事のようにみえたのに「これまでで最も困難な仕事でしたが貴重な体験ができ、人生最高の仕事の一つです」と述べた。最後に監督は「複雑な思春期を過ごしたが、映画の中に自由を見つけ、いわば映画は避難場所、物語に没頭することが好きだった」と告白、「成長して自分に自身がもてるようになった、それを映画で達成したいと思っている」と締めくくった。今日では珍しくなった飾らない人柄が魅力的です。

 

★脚本を執筆したアルベルト・エスピノサは、1973年バルセロナ生れ、劇作家、脚本家、監督、俳優、日刊紙「カタルーニャ新聞」の記者など多才な顔をもつ。1994年の戯曲Los Pelonesが、2003アントニオ・メルセロによってPlanta 4 aのタイトルで映画化され、自身も脚本を手掛けた。マラガ映画祭審査員特別メンション、モントリオール映画祭で観客賞、メルセロが監督賞受賞、ゴヤ賞2004にもノミネートされた。2010年にリリースされ内外の映画祭の受賞歴をもつHéroes以来、10年ぶりに長編映画に戻ってきた。この間はTVシリーズを主に執筆している。両作とも子供のグループが主人公の映画でした。

    

         

                (アルベルト・エスピノサ)


クロージング作品はムルガレンのコメディ*マラガ映画祭2021 ⑨2021年05月21日 15:32

        アナ・ムルガレンの第3作「García y García」はコメディ

 


 

★セクション・オフィシアル作品の全体像はまだ見えてきませんが、クロージング作品はアナ・ムルガレンの第3作めGarcía y Garcíaとアナウンスされました。前回のオープニング作品「El caver」で少し触れましたようにこちらもコメディ、新型コロナウイリス感染拡大による自粛ムードの憂さを晴らしたいようです。ムルガレン監督は、前作La higuera de los bastardosでキャリア&フィルモグラフィーを紹介しています。主演のホセ・モタペペ・ビジュエラの二人が同姓同名のハビエル・ガルシアに扮します。ホセ・モタはアレックス・デ・ラ・イグレシアの『刺さった男』とパブロ・ベルヘルの『アブラカダブラ』でお馴染みです。ペペ・ビジュエラはハビエル・フェセルの『モルタデロとフィレモン』のフィレモン・ピ役で既に登場していますが、当ブログは初登場です。

 

      

     (左から、ペペ・ビジュエラ、ホセ・モタ、二人のハビエル・ガルシア役)

 

La higuera de los bastardos」の監督&作品紹介は、コチラ20171203

『アブラカダブラ』の作品&ホセ・モタ紹介は、コチラ20170705

 

 

García y García2021年 コメディ

製作:Brogmedia / Claq Films  協賛RTVE / Amazon / EiTB / Aragón TV / ICAA

監督:アナ・ムルガレン

脚本:アナ・ムルガレン、アナ・ガラン

ストーリー:カルロス・ラメラ、ホアキン・トリンカド、(共著)マルコス・マス

音楽:アイツォル・サラチャガ

撮影:アルベルト・パスクアル

編集:アントニオ・フルトス、アナ・ムルガレン

キャスティング:フアナ・マルティネス、ホアキン・トリンカド

衣装デザイン:ネレア・トリホス

メイクアップ&ヘアー:(メイク&ヘアー主任)オルガ・クルス、(メイク主任)セシリア・エスコット)、ヘノベバ・ゴメス、ルベン・サモス

製作者:リカルド・マルコス・ブデ、カルロス・ラメラ、イグナシオ・サラサール=シンプソン、ホアキン・トリンカド、(エグゼクティブ)アナ・ムルガレン、ほか

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、アドベンチャー・コメディ、98分、撮影地アラゴン州のテルエル、サラゴサ、マドリード、ビルバオ、2020727日クランクイン、期間8週間。マラガ映画祭上映後アマゾンプライムビデオで上映、スペイン公開827日予定

 

キャスト:ホセ・モタ(顧問ハビエル・ガルシア)、ペペ・ビジュエラ(技術者ハビエル・ガルシア)、エバ・ウガルテ(クロエ)、マルティタ・デ・グラナ(エバ)、カルロス・アレセス(ダリオ)、ナイアラ・アルネド(ニナ)、ミケル・ロサダ(リッキー)、ジョルディ・サンチェス(アルフォンソ)、アントニオ・レシネス(アントニオ)、リカルド・カステーリャ(エクトル)、ヘスス・ビダル(ルベン)、Alexityアレクシティ(ブランカ)、ほかラモン・バレス、アリシア・フェルナンデス、パコ・コジャド、マルコス・マスなど多数

 

ストーリー:弱小の格安航空会社イスパビアは深刻な問題に直面している。彼らの数はバランスを欠き、飛行機が飛ぶこともありません。会社を救うために必死の博打をうつ。一流の航空会社のコンサルタントとメカニック部門のエキスパートを同時に雇うことにした。どちらもハビエル・ガルシアという名前でした。その偶然と会社の無秩序がもとで、最初から二人のガルシアは混乱に巻き込まれ、役割を交換することになるでしょう。技術者が会社のオーナーによって手配された高級ホテルに宿泊しているあいだ、一流コンサルタントは油じみた作業ズボンを着せられ格納庫に連れていかれます。何が起きているのか分からないまま、二人のガルシアが間違いに気づくまで、互いの難問に対処することになる。

 

    

         (二人のガルシア、テルエルの高級ホテルにて)

 

監督紹介アナ・ムルガレンAna Murugarrenは、1961年ナバラ州マルシーリャス生れ、監督、脚本家、編集者、製作者。バスク大学で情報科学を専攻、1980年代後半から始まったバスク・ヌーベルバーグの一人。グループにはエンリケ・ウルビス、パブロ・ベルヘル、アレックス・デ・ラ・イグレシア、ルイス・マリアス、ホアキン・トリンカドなどがいる。編集者としてスタート、エンリケ・ウルビスのコメディ「Tu novia está loca」や「Todo por la pasta」の編集を手掛けている。ホアキン・トリンカドのコメディ「Sálvate si puedes」の編集、ドキュメンターEsta no es la vida privada de Javier Kraheを共同で監督しており、今回もストーリーと製作を担っている。ウルビスのコメディ映画は、『貸し金庫507』でご紹介しています。

エンリケ・ウルビスのコメディの記事は、コチラ⇒2014年03月25日

 

 フィルモグラフィー 

1988年「Tu novia está loca」編集、監督はエンリケ・ウルビス

1988年「Mama」(短編)編集、監督はパブロ・ベルヘル

1991年「Todo por la pasta」編集、監督はエンリケ・ウルビス

    シネマ・ライターズ・サークル賞1991最優秀編集賞を受賞

1995年「Sálvate si puedes」編集、監督はホアキン・トリンカド

2005年「Esta no es la vida privada de Javier Krahe」ドキュメンタリー、監督・編集

   アキン・トリンカドとの共同監督、映画の創造性ボセント賞受賞

2011年「El precio de la libertad」監督・編集(TVミニシリーズ2話)

    スペシャル・イリス賞、女性インデペンデントFF2012メリット賞・編集賞

   (製作者ホアキン・トリンカドと受賞)

2012年「La dama guerrera」監督・編集(TVムービー

    バスクのEuskal Bobinak 賞を受賞

2014年「Tres mentiras」監督・編集、長編映画デビュー作

2017La higuera de los bastardos」監督・脚色・編集

2021年「García y García」本作付き省略

 

     

       (ホアキン・トリンカドと監督、女性インデペンデントFF2012にて

     

長編受賞歴

Tres mentirasは、サモラ県の15トゥデラ映画祭 20141回監督賞フィリピンのワールド・フィルム・フェス2015グランプリ、他に主役のノラ・ナバスが女優賞を受賞他にサラゴサ映画祭20151回監督Augusto受賞、ほかノミネート多数。

La higuera de los bastardosは、ハリウッド映画祭2018銀賞・審査員賞・映画アーティスト・エクセレンス賞を受賞、アルバカーキ映画音楽祭監督賞、シアトル・ラティノ特別審査員賞、テキサス州オースティンのファンタスティック・フェスに正式出品、批評家から高く評価されたことが、翌年のアメリカ公開、オンライン上映に繋がった。

 

     (カラ・エレハルデとカルロス・アレセス主演の第2作のポスター)

 

新作トレビア:監督によると、プロデューサーのホアキン・トリンカドと本作のそもそものアイデアマンのカルロス・ラメラが「García y García」を携えて訪ねてきた。「これはオリジナルでリメイクじゃない」と言ったとき、「いいね!」と思った。それは「自分の原点である「Tu novia está loca」を思い出したから」。エンリケ・ウルビスのコメディですね。ほかの人が持ち込んできた企画ならクレージーすぎてホンキにならなかったろうと。「私が出会った製作者のなかでも、もっともリスクを怖れない賢明なホアキン・トリンカドと、マドリードのバラハス空港のターミナル4,またはアムステルダムの新スキポール空港の建築家カルロス・ラメラだったから監督することにした。数日後、ホセ・モタとペペ・ビジュエラにガルシアとガルシアを体現してもらうことを提案したのです」と監督。

 

       

          (撮影中の監督、ホセ・モタとペペ・ビジュエラ)

 

★カルロス・ラメラが映画という冒険に乗り出すきっかけについて語っている。「2016年、私はカタールにいました。私のルーチンは10日ごとにバラハスに飛ぶことでした。出口には見知らぬ人を迎えに来た、見知らぬ人の名前が書かれた小さなボードを持って待っている一群が必ずいる。あるとき、<ハビエル・ガルシア>と書かれた看板をもっている別々の二人に気づいた。そこでピーンときた、これは映画になると。映画のことはチンプンカンプンだからアントニオ・レシネスに電話をした。するとビルバオのプロデューサーに連絡とれという、そのプロデューサーがトリンカドだったというわけです。私たちも二人のガルシアのように奇妙なカップルというわけですが、真実は、勇気、熱意、忍耐力が私たちを結びつけたのです」。ガルシアという苗字は日本で言うと<山田>さん、一番多いお名前です。ハビエルも多いから結構ありますよね。

 

★本作で映画デビューする女の子、ブランカ役のAlexityアレクシティはスペインで大人気のTouTuberインフルエンサーです。可愛くて生意気で小憎らしい、なによりもそのノンストップのお喋りにはびっくりする。本作で一番の人気者になるでしょう。YouTubeで愉しめます。

 

     

                  (アレクシティ)


オープニング&クロージング作品の発表*マラガ映画祭2021 ⑧2021年05月18日 18:34

          オープニング作品はセクン・デ・ラ・ロサのミュージカルコメディ

 

      

            (202155日公開されたばかりのポスター)

 

513日、オープニングとクロージング作品が同時に発表されました。前者は俳優セクン・デ・ラ・ロサの監督デビュー作El cover、後者はアナ・ムルガレンの長編3作目、コメディGarcía y García」です。今回はミュージカルコメディEl cover」のご紹介。監督のセクン・デ・ラ・ロサは、エミリオ・マルティネス=ラサロのコメディ、アレックス・デ・ラ・イグレシアの『スガラムルディの魔女』や『クローズド・バル』に出演、映画、TV、舞台出演に監督業が加わった。アナ・ムルガレン(ナバラ1961)の新作は、ハビエル・ガルシアという同姓同名の二人の男性の物語、ムルガレン監督のキャリア&フィルモグラフィーは、前作La higuera de los bastardos17)でご紹介しています。

 

  

 El cover2021 ミュージカルコメディ

製作:Nadie es Perfecto / Universal Music Group / Amazon Prime Video / Entertainment One

監督・脚本:セクン・デ・ラ・ロサ

撮影:サンティアゴ・ラカ、

編集:ハビ・フルトス

製作者:キコ・マルティネス、ホセ・ルイス・ヒメネス、レオネル・ビエイラ

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ミュージカルコメディ、撮影地アリカンテのベニドルム、マドリード、2020219日クランクインするもコロナウィルス感染によるパンデミックで626日まで中断、71日に再開、期間6週間。マラガ映画祭2021オープニング作品(63日上映)、スペイン公開723日予定

 

キャスト:アレックス・モネール(ダニ)、マリナ・サラス(サンドラ)、カロリナ・ジュステ(エイミー)、ランデル・オタオラ、マリア・エルバス(モニ)、フアン・ディエゴ(ダニの祖父)、カルメン・マチ、スシ・サンチェス、ホルヘ・カルボ、ペペ・オシオ(セバスティアン)、リディア・ミンゲス(マドンナ)、オスカル・デ・ラ・フエンテ(ダニの代父)、他

 

ストーリー:心に葛藤を抱えた若者ダニの物語。音楽への愛は限りないが、父親のように挫折することを怖れている。また祖父のようにありふれた人にはなりたくないと思っている。いまは両親と同じようにウェイターとして働きながら、夢を捨てて生きねばならないジレンマに苦しんでいる。今年もベニドルムに夏がめぐってきた。成功を求めてバルやホテル、ナイトクラブに歌いに来るミュージシャンで溢れている。やがてサンドラと出会うことになるが、二人は無名の歌手たちの日々の闘いや愛を見つけ、取るに足りない人間とは何か、そうならないためにどうすればいいか学ぶことになる。

 

    

    (左から、マリナ・サラス、アレックス・モネール、セクン・デ・ラ・ロサ監督、

   フアン・ディエゴ、カロリナ・ジュステ、マリア・エルバス)

 

★監督紹介:セクン・デ・ラ・ロサは、19691223日、バルセロナのCanyellesカニエル工業地帯生稀る(父はマラガ出身、母はカタルーニャ)、映画、TV、舞台俳優、監督、脚本家。20歳のときマドリードに移り、有名な俳優養成学校クリスティナ・ロタで演技を学ぶ。最近20年間の活躍でスペインではコメディ俳優としての揺るぎない位置を得ている。並行して戯曲家、舞台演出家のキャリアも積んでいおり、「Los años rápides」、「El disco de cristal」「Clara Bow」は、観客と批評家から受け入れられた成功作。

 

     

              (セクン・デ・ラ・ロサ監督)

 

★俳優としては、大方が脇役だからTVシリーズ、短編を含めると3桁に近づいている。アレックス・デ・ラ・イグレシアの『クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的『スガラムルディの魔女』ほか、オスカー監督マイケル・ラドフォードの「La mula」、エミリオ・マルティネス=ラサロのミュージカルコメディ「El otro lado de la cama」、「El 2 lados de la cama」(ミニ映画祭で『ベッドサイド物語』)、ホアキン・オリストレルの「¡Hay motivo!」ほか、ボルハ・コベアガの実話をベースにしたヒット作Negociadorほか、アントニア・サン・フアンの「Del lado del verano」ほか、若手監督のハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシのミュージカル『ホーリー・キャンプ!』エドゥアルド・カサノバ『スキン あなたに触らせてTVシリーズでは長寿TVシリーズ「Aída」、『パキータ・サラス』、ミュージカルコメディ「Paco y Veva」、最近ではファンタジーホラー「30 monedas」(20)と引っ張り凧である。

ゴチック体は、当ブログで作品紹介をしている映画です。

 

        

             (『クローズド・バル』の1シーンから

 

受賞歴として、スペイン俳優連盟賞を2004年にダビ・セラーノDías de fútbol」と2011年にTVシリーズ部門の「Aída」で受賞している。ほかに1917年の短編サディ・ドゥアルテの「Enchufados」(15分、コメディ)でロスアンゼルス俳優賞を共演のアレバロとデュオ賞、翌年インデペンデント短編賞のゴールド賞、ニューヨーク・フィルム賞、トップ短編映画祭アンサンブル部門February賞、2019年にも同監督の「Cuando la Música Deja de Sonar」(15分)でアンサンブル男優賞、シネマワールドフェス助演男優賞、インデペンデント短編賞アンサンブル部門のオナラブル・メンション、トップ短編映画祭アンサンブル部門December賞、ワールドプレミアフィルム賞の助演男優賞部門審査員賞を受賞している。ノミネーションは多数につき割愛しました。

 

★上述したように2020219日にクランクインしたが、新型コロナウィルス感染によるパンデミックで626日まで中断、なんとか71日に再開できた。いろいろ縛りはあったが、とにかく完成できたから「ホントに、ホントに、運がよかった!」と監督。マラガ映画祭終了後の723日に劇場公開されたあと、アマゾン・プライム・ビデオでオンライン上映される予定。ザ・キラーズ、エイミー・ワインハウス、レディ・ガガ、シャーリー・バッシー、グロリア・ゲイナー、ラ・マレール、アントニオ・ベガ、ラファエルなどなど、世界の偉大なミュージシャンの楽曲がカバーされるということです。

 

★若いアレックス・モネールマリナ・サラスカロリナ・ジュステを脇から支えるフアン・ディエゴカルメン・マチスシ・サンチェスなどの豪華キャストに驚かされます。映画、TV、舞台俳優としての長年の実績と信頼の賜物でしょう。舞台となるバレンシアのアリカンテ県コスタブランカの海岸沿いににあるベニドルムという新興リゾート地は、イサベル・コイシェがイギリス俳優ティモシー・スポールを起用して撮ったスリラー仕立てのラブロマンスNieva en Benidormで紹介しています。海外から押しよせる観光客で賑わうスペインきっての大歓楽街です。本作にはカルメン・マチが警察官として出演している。

Nieva en Benidorm」の作品紹介は、コチラ20210211

 

     

                  (ダニとサンドラ、灯りの消えない街ベニドルム)

 

   

  (サンドラ役のマリナ・サラス)

 

   

              (監督とアレックス・モネール、本作の舞台ベニドルムにて)

 

   

       (左から、カルメン・マチ、監督、アレックス・モネール)

 

★制作会社「Nadie es Perfecto」のメインプロデューサー、キコ・マルティネは、アレックス・デ・ラ・イグレシアとカロリナ・バングとのコラボで『クローズド・バル』、『トガリネズミの巣』(『ネスト』)、「Perfectos desconocidos」などヒット作を製作しています。


セクション・オフィシアル作品*マラガ映画祭2021 ⑥2021年05月13日 11:50

★前回に続いてセクション・オフィシアル作品の紹介。511日にはマラガ映画祭の最高賞マラガ―スール賞にアレハンドロ・アメナバルの発表があり慌ただしくなってきました。開幕まであと3週間となりましたので作品列挙を優先して、その後時間が許す範囲で作品紹介をいたします。メキシコからはオスカー監督アルフォンソ・キュアロンの実弟カルロス・キュアロンの長編第3作となるブラック・コメディ「Amalgama」がノミネートされています。

 

        セクション・オフィシアル

 

③「Destello bravío」(英題「Mighty Frash」)スペイン 2021

製作:Tentación Cabiria / Eddie Saeta

協賛:バダホス地方自治体、カセレス地方自治体、エストレマドゥーラ女性協会、

   エストレマドゥーラ農村基金、エストレマドゥーラ・チャンネル、他

監督・脚本:アイノア・ロドリゲス(マドリード1982

製作者:ルイス・ミニャロ、(エグゼクティブ)アイノア・ロドリゲス

撮影:ウィリー・ハウレギ

編集:ホセ・ルイス・ピカド

キャスト:グアダルペ・グティエレス、カルメン・バルベルデ、イサベル・マリア・メンドサ、

    

       

               (アイノア・ロドリゲス監督)

 

解説:過疎化の進む南スペインの小さな町の女性たちは、特別なことは何も起こらない日常の無関心と、自分たちは幸せであると信じこんでいる場所から解放されたいと願っている。イサ、シタ、マリアの3人の中年女性を焦点にして、美しさの探求と子供のころの憧れが語られる。悪の根源としての家父長制と押しよせるグローバリゼーション、人々が自分の存在の意味を見つけるための寓話。アマチュアの女優を起用して、ドキュメンタリーの手法を採用している。長編デビュー作。

ロッテルダム映画祭2021セクション・オフィシアルのタイガー部門上映(22日)、メキシコのFicuname映画祭(326日)上映、ミステリアス・ドラマ、98分、ティエラ・デ・バロスで撮影。後日作品&監督紹介予定。

 

    

   

     (孤独を抱えた女性たちがスイーツを味わいながら恐怖を語る。映画から)

 

 

④「Las mejores familias」ペルー=コロンビア合作 2020

製作:El Caivo Films / Dynamo

監督:ハビエル・フエンテス=レオン

キャスト:タティアナ・アステンゴ(ルスミラ)、ガブリエラ・ベラスケス(ペタ)、グラシア・オラヨ(カルメン)、グラパ・パオラ、ジェリー・レアテギ、ソニア・セミナリオ、ジョバンニ・Ciccia、セサル・リッター、マルコ・スニノ、ロベルト・カノ、バネッサ・サバ、ヒメナ・リンド、他

 

解説:ルスミラとペタの姉妹は、ペルーの貴族階級のアリシアとカルメンの家で使用人として働いている。彼女たちはファミリーの一員と見なされていた。或る日のこと、町なかでは暴力的な抗議行動が起きているさなかに誕生会が開かれた。ファミリーのメンバー全員がお祝いに集まった。両方のファミリーによって長らく封印されていた秘密が明らかになると、完璧だったはずの貴族階級の世界が泡のように永遠に砕け散った。ペルー社会の構造上の問題、階級主義や人種差別に取り組んだブラック・コメディ。

  

 

      

    

   

            (誕生会に集まった二つの家族)

 

監督紹介ハビエル・フエンテス=レオンは、1968年ペルーのリマ生れ、監督、脚本家、製作者。大学では医学を専攻、映画はロスアンゼルスのカリフォルニア芸術学院で学んだ。デビュー作Contracorriente09)は、サンセバスチャン映画祭2010で新人監督に贈られるセバスティアン賞、サンダンスFF、マイアミ各映画祭観客賞を含む50以上の映画祭で受賞、ゴヤ賞2011ノミネート、オスカー賞2011のペルー代表作品に選ばれている。東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で『波に流れて』の邦題で上映された。主役を演じたのがタティアナ・アステンゴ、第2作アクション・スリラーEl elefante desaparecido14)にもバネッサ・サバと出演している。トロントFFを皮切りに映画祭巡りをした。本作のブラック・コメディが第3作目になる。他にコロンビアを舞台にしたゲリラをテーマにしたTVシリーズDistrito salvaje186話)を手掛けている。

   

   

        (ローマ映画祭2020でのフォトコール、1017日)

 

 

 

⑤「Amalgama」メキシコ 2020

製作:Besos Cosmicos / 11:11 films / LOKAL

監督:カルロス・キュアロン

脚本:カルロス・キュアロン、ルイス・ウサビアガ

撮影:アルフレッド・アルタミラノ

編集:ソニア・サンチェス

製作者:フアンチョ・カルドナ、マノロ・カルドナ、カルロス・キュアロン、(エグゼクティブ)フランシスコ・カルドナ、ホルヘ・ロンバ

 

キャスト:マノロ・カルドナ(ホセ・マリア・チェマ・ゴメス医師)、ミゲル・ロダルテ(ウーゴ・ベラ医師)、トニー・ダルトン(サウル・ブラボ医師)、スティファニー・カヨ(エレナ・ドゥラン医師)、フランシス・クルス(アベリノ・マガニャ医師)、アレハンドロ・カルバ(オマル)、ヒメナ・エレラ(タマラ)、他

   

    

       

    

      (悩み多き4人の歯科医)

 

解説:ゴメス、ベラ、ブラボ、ドゥランの4人の歯科医は、メキシコ有数のリゾート地リビエラ・マヤで開催される歯科学会で偶然出会うことになる。彼らは彼女に惹きつけられるが、彼女は胸中に何か問題を抱えているようだった。もっとも全員がそれぞれの痛みから逃れようとしていた。こうしてカリブの小さな島で、嫉妬、妬みなど、理性を失った週末を一緒に過ごした彼らは、それぞれの人生に深い傷あとを残すことになる。

18回モレリア映画祭2020正式出品(1031日上映)

 

監督紹介:カルロス・キュアロン(クアロン)1966年メキシコシティ生れ、監督、脚本家、製作者。メキシコ国立自治大学で英文学を専攻した。TV、映画、舞台の脚本家としてスタート、実兄アルフォンソの長編デビュー作Sólo con tu pareja91)を共同執筆、アリエル賞脚本賞を揃って受賞した。同じくアルフォンソの『天国の口、終りの楽園』01Y tu mamá también」)で脚本をコラボしている。他にホセ・ルイス・ガルシア・アグラスの「El misterio del Trinidad」(03)の脚本、カルロス・マルコヴィッチのドキュメンタリー「¿ Quién diablos es Juliette ?」(97)を監督とコラボしている。監督長編デビュー作『ルド and クルシ』は、『天国の口、終りの楽園』でブレークしたガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナのコンビを起用して大ヒット、アリエル賞8部門ノミネーション、メキシコ映画史上第3位となる興行成績を打ち立てた。

   

   

      

          

      (GG・ベルナルとディエゴ・ルナに挟まれたカルロス・キュアロン監督)

  

以下に短編・TVシリーズを除く監督作品を列挙すると、

2008Rudo y Cursi」(『ルド and クルシ』)監督、脚本、

   ニューポートビーチ映画祭2009観客賞受賞、

2013Besos de Azúcal」監督、脚本(ルイス・ウサビアガとの共同執筆)、

   ファンタスポルト2014監督賞受賞

2020Amalgama」監督、脚本、製作

   

セクション・オフィシアルの発表始まる*マラガ映画祭2021 ⑤2021年05月09日 17:32

          スペイン映画3作、ラテンアメリカ映画2作がアナウンスされました

 

        

63日に開幕する第24回マラガ映画祭のセクション・オフィシアルの5作品が発表になりました。スペイン映画3作、ラテンアメリカ映画2作(ペルー=コロンビア合作、メキシコ)、合計5作品と僅かで全体像は見えませんが、とにかくアナウンスされました。いずれ詳細は個別に紹介するとしてタイトル名、監督名ほかを紹介しておきます。今回はスペイン映画2作の紹介。

 

     セクション・オフィシアル

①「El vientre del mar」スペイン 

製作:Testamento / La Periferica Produccions / Filmin / Turkana Films /

   Link-up Barcelona / Bastera Films

協賛:TV3 / IB3 / ICAA / ICEC / Fundació Mallorca Turisme / Mallorca Film Commission /

   Ramón Llull

監督・脚本:アグスティ・ビリャロンガ(パルマ・デ・マジョルカ1953)、代表作『ブラック・ブレッド』10)、『ザ・キング・オブ・ハバナ』15)など。

キャスト:ロジェール・カザマジョール、オスカル・カポジャ、ムミヌ・ディアリョ(ディアヨ)

 

解説:ビリャロンガの新作は、イタリアの作家アレッサンドロ・バリッコ(トリノ1958)が実話に基づいて書いた小説 Oceano Mare1993刊)に着想を得ており、タイトルはその1章から採られている。181675日フランス海軍のフリゲート艦メデューズ号がモーリタニア沖で座礁、生き残りを賭けた乗組員147名が急ごしらえの筏で漂流したが、13日後に救出されたのは僅か15名、一大スキャンダルとなった事件。当時の画家テオドール・ジェリコーが描いた、あの有名な「メデューズ号の筏」(181819)の油彩画は、ルーブル美術館が所蔵している。

『ザ・キング・オブ・ハバナ』の監督&作品紹介は、コチラ201509171024

        

   

 (ビリャロンガ監督とテオドール・ジェリコーの油彩画「メデューズ号の筏」から)

 

    

              (主演のロジェール・カザマジョールとオスカル・カポジャ)

 

    

    (主演の二人と監督)

 

 

②「La casa del caracol」スペイン、ペルー=メキシコ=米国合作

製作:Esto También Pasará / Casita Colora Producciones / Bowfinger Internacional

   Pictures / Basque Filmms / Producciones Tondero S.A.C.(ペルー)/

   Hippo Entertainment(メキシコ=米国)

協賛:ICAA / アンダルシア同盟 / アマゾンプライムビデオ

監督:マカレナ・アストルガ(マラガ生れ)

製作者:マリア・ルイサ・グティエレス(エグゼクティブ)、アルバロ・アリサ、カルロス・フアレス、ミゲル・バリャダルセ(ペルー)、他

キャストハビエル・レイ(アントニオ)、パス・ベガ(ベルタ)、カルロス・アルコンタラ、ノルマ・マルティネス、ルナ・フルヘンシオ(子役)、アバ・サラサール(子役)、フェルナンド・テヘロ、ビセンテ・ベルガラ、ペドロ・カサブランク、エルビラ・ミンゲス、ヘスス・カロサ、アンパロ・アルカラス、他

   


 

   

            (アントニオ役のハビエル・レイ)

 

解説:マカレナ・アストルガの長編映画デビュー作、サンドラ・ガルシア・ニエトの同名小説の映画化、脚本は作家自身が執筆した。小説家のアントニオ・プリエトは、マラガの山岳地方の村でこの夏を過ごそうと決めていた。次の小説の構想を練るために静けさが必要だったからだ。そこで一目で惹きつけられたベルタという女性と知り合った。アントニオは、この一風変わった雰囲気の女性を登場人物にしようと取材を始めると、この地方には多くの秘密が隠され、神秘的な伝説にとり囲まれていることに気付き始める。村で過ごしていると、時には現実が神話を乗り越えていく感覚を覚えていく。過去と現実の亡霊が浮遊しているサイコスリラー。配給Filmax、スペイン公開2021611日が決定している。

 

 

トレビア2人の子役のうちルナ・フルヘンシオはサンティアゴ・セグラの最新作コメディがヒットして今や有名子役、もう一人アバ・サラサールパス・ベガの実の娘、母親似だが演技はどうか。本作でデビューした。

   

   

                        (ベルタ役のパス・ベガ)

 

   

        (左から、ルナ・フルヘンシオ、アバ・サラサール)

   


  (撮影中のパス・ベガ母娘)

 

監督紹介:マラガ生れ、監督、脚本家、プロデューサー。マラガ大学で視聴覚コミュニケーションと教育科学を専攻。2004年よりマルベリャのグアダルピン教育センターで映像と音響学の教授。2019年、アンダルシアの優秀な監督に授与されるASFAAN賞を受賞している。フアン・ルイス・モレノの「Last memory」(15)、マチュ・ラトレの「La pérdida」(18)の助監督も務めている。今回の「La casa del caracol」が長編デビュー作となる。

     


              (本作クランクイン当時のマカレナ・アストルガ監督)

       


  (撮影中のハビエル・レイとアストルガ監督)

  

1990年代のスペイン女性監督についてのドキュメンタリー「Mujeres que dicen acción」「La memoria dormida」「Voces contra el silencio」などを発表する。2011年の短編ビデオ・ドキュメンタリーLos ojos de Brahim29分)が第15回マラガ映画祭短編ドキュメンタリー部門の銀のビスナガ賞RTVA賞を受賞した。旧スペイン領サハラ出身の先天性全盲のブラヒム・モハマドの人生を追ったドキュメンタリー。2013年、初となる短編ドラマTránsito13分)もマラガFF銀のビスナガ賞RTVA賞、アンダルシア最優秀短編賞を受賞、ゴヤ賞2014の短編映画部門にノミネートされた。短編Marta no viene a senarはナタリア・デ・モリーナとセリア・デ・モリーナを起用、同じくマラガFF2017に出品された。

   

       

             (短編ドラマTránsito」のポスター

 

★当ブログ初登場のシネアスト、長編第1作とはいえかなりのキャリアがある。マラガ映画祭の常連ということもあって若干長い監督紹介になりました。何かの賞に絡むと予想します。