オープニング&クロージング作品の発表*マラガ映画祭2021 ⑧ ― 2021年05月18日 18:34
オープニング作品はセクン・デ・ラ・ロサのミュージカルコメディ
(2021年5月5日公開されたばかりのポスター)
★5月13日、オープニングとクロージング作品が同時に発表されました。前者は俳優セクン・デ・ラ・ロサの監督デビュー作「El cover」、後者はアナ・ムルガレンの長編3作目、コメディ「García y García」です。今回はミュージカルコメディ「El cover」のご紹介。監督のセクン・デ・ラ・ロサは、エミリオ・マルティネス=ラサロのコメディ、アレックス・デ・ラ・イグレシアの『スガラムルディの魔女』や『クローズド・バル』に出演、映画、TV、舞台出演に監督業が加わった。アナ・ムルガレン(ナバラ1961)の新作は、ハビエル・ガルシアという同姓同名の二人の男性の物語、ムルガレン監督のキャリア&フィルモグラフィーは、前作「La higuera de los bastardos」(17)でご紹介しています。
「El cover」2021 ミュージカルコメディ
製作:Nadie es Perfecto / Universal Music Group / Amazon Prime Video / Entertainment One
監督・脚本:セクン・デ・ラ・ロサ
撮影:サンティアゴ・ラカ、
編集:ハビ・フルトス
製作者:キコ・マルティネス、ホセ・ルイス・ヒメネス、レオネル・ビエイラ
データ:製作国スペイン、スペイン語、2021年、ミュージカルコメディ、撮影地アリカンテのベニドルム、マドリード、2020年2月19日クランクインするもコロナウィルス感染によるパンデミックで6月26日まで中断、7月1日に再開、期間6週間。マラガ映画祭2021オープニング作品(6月3日上映)、スペイン公開7月23日予定
キャスト:アレックス・モネール(ダニ)、マリナ・サラス(サンドラ)、カロリナ・ジュステ(エイミー)、ランデル・オタオラ、マリア・エルバス(モニ)、フアン・ディエゴ(ダニの祖父)、カルメン・マチ、スシ・サンチェス、ホルヘ・カルボ、ペペ・オシオ(セバスティアン)、リディア・ミンゲス(マドンナ)、オスカル・デ・ラ・フエンテ(ダニの代父)、他
ストーリー:心に葛藤を抱えた若者ダニの物語。音楽への愛は限りないが、父親のように挫折することを怖れている。また祖父のようにありふれた人にはなりたくないと思っている。いまは両親と同じようにウェイターとして働きながら、夢を捨てて生きねばならないジレンマに苦しんでいる。今年もベニドルムに夏がめぐってきた。成功を求めてバルやホテル、ナイトクラブに歌いに来るミュージシャンで溢れている。やがてサンドラと出会うことになるが、二人は無名の歌手たちの日々の闘いや愛を見つけ、取るに足りない人間とは何か、そうならないためにどうすればいいか学ぶことになる。
(左から、マリナ・サラス、アレックス・モネール、セクン・デ・ラ・ロサ監督、
フアン・ディエゴ、カロリナ・ジュステ、マリア・エルバス)
★監督紹介:セクン・デ・ラ・ロサは、1969年12月23日、バルセロナのCanyellesカニエル工業地帯生稀る(父はマラガ出身、母はカタルーニャ)、映画、TV、舞台俳優、監督、脚本家。20歳のときマドリードに移り、有名な俳優養成学校クリスティナ・ロタで演技を学ぶ。最近20年間の活躍でスペインではコメディ俳優としての揺るぎない位置を得ている。並行して戯曲家、舞台演出家のキャリアも積んでいおり、「Los años rápides」、「El disco de cristal」「Clara Bow」は、観客と批評家から受け入れられた成功作。
(セクン・デ・ラ・ロサ監督)
★俳優としては、大方が脇役だからTVシリーズ、短編を含めると3桁に近づいている。アレックス・デ・ラ・イグレシアの『クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的』、『スガラムルディの魔女』ほか、オスカー監督マイケル・ラドフォードの「La mula」、エミリオ・マルティネス=ラサロのミュージカルコメディ「El otro lado de la cama」、「El 2 lados de la cama」(ミニ映画祭で『ベッドサイド物語』)、ホアキン・オリストレルの「¡Hay motivo!」ほか、ボルハ・コベアガの実話をベースにしたヒット作「Negociador」ほか、アントニア・サン・フアンの「Del lado del verano」ほか、若手監督のハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシのミュージカル『ホーリー・キャンプ!』、エドゥアルド・カサノバの『スキン あなたに触らせて』、TVシリーズでは長寿TVシリーズ「Aída」、『パキータ・サラス』、ミュージカルコメディ「Paco y Veva」、最近ではファンタジーホラー「30 monedas」(20)と引っ張り凧である。
*ゴチック体は、当ブログで作品紹介をしている映画です。
(『クローズド・バル』の1シーンから)
★受賞歴として、スペイン俳優連盟賞を2004年にダビ・セラーノの「Días de fútbol」と2011年にTVシリーズ部門の「Aída」で受賞している。ほかに1917年の短編サディ・ドゥアルテの「Enchufados」(15分、コメディ)でロスアンゼルス俳優賞を共演のアレバロとデュオ賞、翌年インデペンデント短編賞のゴールド賞、ニューヨーク・フィルム賞、トップ短編映画祭アンサンブル部門February賞、2019年にも同監督の「Cuando la Música Deja de Sonar」(15分)でアンサンブル男優賞、シネマワールドフェス助演男優賞、インデペンデント短編賞アンサンブル部門のオナラブル・メンション、トップ短編映画祭アンサンブル部門December賞、ワールドプレミアフィルム賞の助演男優賞部門審査員賞を受賞している。ノミネーションは多数につき割愛しました。
★上述したように2020年2月19日にクランクインしたが、新型コロナウィルス感染によるパンデミックで6月26日まで中断、なんとか7月1日に再開できた。いろいろ縛りはあったが、とにかく完成できたから「ホントに、ホントに、運がよかった!」と監督。マラガ映画祭終了後の7月23日に劇場公開されたあと、アマゾン・プライム・ビデオでオンライン上映される予定。ザ・キラーズ、エイミー・ワインハウス、レディ・ガガ、シャーリー・バッシー、グロリア・ゲイナー、ラ・マレール、アントニオ・ベガ、ラファエルなどなど、世界の偉大なミュージシャンの楽曲がカバーされるということです。
★若いアレックス・モネールやマリナ・サラス、カロリナ・ジュステを脇から支えるフアン・ディエゴ、カルメン・マチ、スシ・サンチェスなどの豪華キャストに驚かされます。映画、TV、舞台俳優としての長年の実績と信頼の賜物でしょう。舞台となるバレンシアのアリカンテ県コスタブランカの海岸沿いににあるベニドルムという新興リゾート地は、イサベル・コイシェがイギリス俳優ティモシー・スポールを起用して撮ったスリラー仕立てのラブロマンス「Nieva en Benidorm」で紹介しています。海外から押しよせる観光客で賑わうスペインきっての大歓楽街です。本作にはカルメン・マチが警察官として出演している。
*「Nieva en Benidorm」の作品紹介は、コチラ⇒2021年02月11日
(ダニとサンドラ、灯りの消えない街ベニドルム)
(サンドラ役のマリナ・サラス)
(監督とアレックス・モネール、本作の舞台ベニドルムにて)
(左から、カルメン・マチ、監督、アレックス・モネール)
★制作会社「Nadie es Perfecto」のメインプロデューサー、キコ・マルティネスは、アレックス・デ・ラ・イグレシアとカロリナ・バングとのコラボで『クローズド・バル』、『トガリネズミの巣』(『ネスト』)、「Perfectos desconocidos」などヒット作を製作しています。
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