アルモドバルの新作「Amarga Navidad」がカナリア諸島でクランクイン ― 2025年06月17日 19:12
アルモドバル新作「Amarga Navidad」は悲喜劇――痛みとユーモア

(ビクトリア・ルエンゴ、監督、パトリック・クリアド、バルバラ・レニー)
★6月9日、昨年10月に発表された新作「Amarga Navidad / Bitter Chrismas」が、カナリア諸島のランサローテ島でクランインした。ペドロ・アルモドバルの24作目となる本作は、監督自身の12編からなる短編集 “El último sueño”(Reservoir Books 2023年4月13日刊)におさめられた《Amarga Navidad》と、チャベラ・バルガスの歌曲 “Amarga Navidad” をミックスしたものがベースになっているそうです。短編集のタイトルになった《El último sueño》は、母親の死を題材にした短編集のなかでも最も完成度の高い、自身もお気に入りの1編とか。因みに第57回カンヌ映画祭2004のオープニングを飾った『バッド・エデュケーション』は、同短編集の《La visita》がベースになって映画化された。彼は2002年の自伝で既にカミングアウトしていた。

(短編集の表紙)
★イサベル・バルガス・リサノ(チャベラはイサベルの愛称)は、2019年コスタリカ生れ、17歳でメキシコに移住して活躍したメキシコの国民的な大歌手、ランチェラやボレロのシンガーソングライター、女優。2012年クエルナバカで93歳で死去するまで、メキシコの大衆に愛された歌謡を独自の解釈で個性的に歌い続けた。民間伝承の名曲「ラ・ジョローナ 泣き女」もリリースしている。50年代の後半にブレークする以前、メキシコを代表する画家ディエゴ・リベラとフリーダ・カーロ夫妻と1年ほどの短期間だが同居しており、フリーダと恋愛関係にあった。歌手でもあるアルモドバルは、チャベラに深い愛情と尊敬の念を抱いており、彼女の「優美なしわがれ声」のファンであった。新作でもサウンドトラックでチャベラの演奏が流れるようですが、既に『ジュリエッタ』や『ライブ・フレッシュ』などで採用している。


(フリーダ・カーロとチャベラ・バルガス)

(チャベラ・バルガスと監督)
★キャスト紹介:ストーリーは、クリスマスの日にパートナーに捨てられる女性エルサの物語。現在アナウンスされている出演者は、以下の通り。
バルバラ・レニー(エルサ、『神が描くは曲線で』『ペトラは静かに対峙する』
『マジカル・ガール』『日曜日の憂鬱』)
ビクトリア・ルエンゴ(『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』「Suro」)
アイタナ・サンチェス=ヒホン(『パラレル・マザーズ』『裸のマハ』『娼婦と鯨』)
ミレナ・スミット(『パラレル・マザーズ』「No matarás」TV『スノーガール』)
レオナルド・スバラリア(ラウル、『ペイン・アンド・グローリー』『UFOを愛した男』)
パトリック・クリアド(『レッド・バージン』『バード・ボックス・バルセロナ』
『ペーパー・ハウス』)
キム・グティエレス(『ラスト・デイズ』『SPY TIME スパイ・タイム』
『漆黒のような深い青』)




*バルバラ・レニーのキャリア紹介記事は、コチラ⇒2015年03月27日/2018年06月21日
*アイタナ・サンチェス=ヒホンのキャリア紹介は、コチラ⇒2024年12月17日
★スタッフ紹介:製作:El Deseo / Movister Plus+ 監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
製作者:アグスティン・アルモドバル 撮影:パウ・エステベ・ビルバ(『カニバル』『リミット』『アウェイクニング』) 美術:パブロ・ブラッティ(『抱擁のかけら』『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』『ジュリエッタ』)
★2026年公開予定、配給はワーナーブラザース・ピクチャーズ(スペイン)、公開後はモビスター・プラスのプラットフォームで独占的に配信される。カンヌに間にあえばだが、時間的にはベネチアでのプレミアの可能性が高いか。『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』で金獅子賞を受賞した折、「金獅子賞には中毒性がある」と語っていた。

(金獅子賞のトロフィーを手にして、ベネチア映画祭2024ガラ)
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