エドゥアルド・フェルナンデスが男優賞*サンセバスチャン映画祭2016 ⑮ ― 2016年09月26日 11:22
この日を待っていた『スモーク・アンド・ミラーズ』の主役フェルナンデス
(映画祭メイン会場のクルサール劇場)
★今年のラテンビートの目玉『スモーク・アンド・ミラーズ』の主役エドゥアルド・フェルナンデスが男優賞(銀貝賞)を受賞しました(作品賞以外はすべて銀貝賞)。ということは来年のゴヤ賞を期待していいということです。長年連れ添った妻と離婚したばかり、ガラで隣に座っていたのは愛娘、留学しているロンドンから駆けつけたようです。アルベルト・ロドリゲスの監督賞は残念ながら「二度あることは三度ある」になってしまいました。2年前の『マーシュランド』のハビエル・グティエレス男優賞受賞と同じ結果になり、道のりは険しいです。ただ「FEROZ Zinemaldia賞」(フェロス映画祭賞)を受賞しました。
*『スモーク・アンド・ミラーズ』の記事は、コチラ⇒2016年09月24日
(トロフィーを手に喜びのエドゥアルド・フェルナンデス)
★金貝賞(作品賞)は中国のフォン・シャオガンの“I’m not Madame Bovary”でした。こんな慎み深い控えめな作品が受賞すると予想した人がいたでしょうか。ヒロインファン・ビンビンの好感度が大きいというわけで、彼女の女優賞受賞は納得のようでした。監督賞には韓国のホン・サンスの“Yourself and yours”が受賞、これまた受賞を言い当てた人は少数派だった。鑑賞には辛抱強さが必要と、口さがないシネマニアはチクリ。しかし西洋人の東洋人蔑視などと深刻に考えないことです。
★審査員特別賞はスウェーデンとアルゼンチンの2作品が分け合いました。アルゼンチンのエミリアノ・トレスのデビュー作“El invierno”は、ラミロ・シビタが撮影賞も受賞しました。パタゴニアを舞台にして仕事を取り合う老若二人(アレハンドロ・シエベキング、クリスチャン・サルゲロ)の物語。時間切れでアップできませんでしたが撮影賞はあるかもと予想していました。しかし審査員特別賞を受賞するとは思いませんでした。
(主演の二人に挟まれたエミリアノ・トレス監督、サンセバスチャン映画祭にて)
(クリスチャン・サルゲロ、背後に見えるのが監督)
★脚本賞は、ロドリーゴ・ソロゴイェンの第3作“Que Dios nos perdone”、監督とイサベル・ペーニャの共同執筆。これまた脚本賞を受賞するとは思いませんでした。
*“Que Dios nos perdone”の記事は、コチラ⇒2016年08月11日
(ロドリーゴ・ソロゴイェンとイサベル・ペーニャ)
★ホライズンズ・ラティノのグランプリは、受賞はないだろうと割愛したペパ・サン・マルティンの“Rara”(チリ他)でした。他にスペシャル・メンションがアナ・クリスティナ・バラガンの“Alba”(エクアドル他)、スペイン協力賞にエリアネ・カッフェの“Hotel Cambrige”(ブラジル他)、キロ・ルッソの“Viejo calavera”(ボリビア他)でした。13本中割愛した3本のなかに2本も含まれているとは、今年は外れまくって的中率がすこぶる悪い。十人十色、テイストが合わなかったことにしておきます。
*アナ・クリスティナ・バラガン“Alba”の記事は、コチラ⇒2016年09月09日
*キロ・ルッソの“Viejo calavera”記事は、コチラ⇒2016年09月06日
(グランプリ受賞のペパ・サン・マルティン)
*特別栄誉賞*
★授賞式がサンセバスチャン映画祭と決っている「映画国民賞」のアンヘラ・モリーナ、ゴヤ賞とは比較にならない重さがある賞です。「国民賞」は文学、科学などさまざまな分野で活躍する人にそれぞれ与えられる。授賞式ではメンデス・デ・ビゴ文部大臣と”Más cine por favor”をデュエットとして会場を沸かせた。「映画、映画、映画、もっと映画、人生は映画です」と。
(アンヘラ・モリーナ、9月16日)
★サンセバスチャン映画祭のドノスティア栄誉賞は、米国のシガニー・ウィーバーとイーサン・ホーク、二人は別々の日にトロフィーを受け取りました。それにしてもシガニーの背の高さには目を見張ります。プレゼンターのフアン・アントニオ・バヨナは彼女の肩あたり、最も彼はスペイン人としても小柄ですが。彼の“A Monster Calls”(「怪物はささやく」)はSIGNISの特別メンションを受賞しました。そう言えば彼は、2012年の映画国民賞の最年少受賞者、『インポッシブル』の貢献が認められたのでした。
(シガニー・ウィーバー、9月23日)
★イーサン・ホークは、ビジネスマンらしく新作『マグニフィセント・セブン』のプロモーションを怠りませんでした。「この映画はドナルド・トランプも気に入るだろう」と冗談を飛ばしていました。昨年アメナバルの“Regression”(“Regresión”)がオープニング上映されたからスペインでの知名度は結構あります。
★「ラテンシネマ・ジャガー・ルクルト賞」受賞のガエル・ガルシア・ベルナル、第1回の栄誉に浴しました。
★「ZINEMIRA賞」受賞者ラモン・バレア(1949年ビルバオ生れ)、俳優、監督、戯曲家、製作者。この賞はバスク映画に貢献した人に与えられる賞。本人は欠席、代理が受け取りました。当ブログでは、ボルハ・コベアガのバスク・コメディ“Negociador”でご紹介しています。ラモン・バレア扮する交渉人マヌ・アラングレンには実在のモデルがいます。法学者で政治家、現在はバスク大学法学部で教鞭をとっているヘスス・マリア・エギグレン(1954年ギプスコア)。舞台背景となる2005~06年にはバスク社会党(PSE-EE)の党員だった。交渉は不発に終わったのだが「平和を取り戻そうとする」エギグレンの熱意がETAを終わらせたと評価されている。
(代理が受け取った授賞式)
*アンヘラ・モリーナの記事は、コチラ⇒2016年07月28日
*シガニー・ウィーバーの記事は、コチラ⇒2016年07月22日
*イーサン・ホークの記事は、コチラ⇒2016年09月12日
*ガエル・ガルシア・ベルナルの記事は、コチラ⇒2016年09月16日
*ラモン・バレアの記事は、コチラ⇒2015年01月11日
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