第27回マラガ映画祭2024結果発表*マラガ映画祭2024 ⑧2024年03月14日 15:16

       金のビスナガは「Segundo premio」と「Radical」が受賞

    

       

 

310日、第27回マラガ映画祭は、スペイン映画部門に「Segundo premio」(監督イサキ・ラクエスタ&ポル・ロドリゲス)、イベロアメリカ映画部門にメキシコの「Radical」(監督クリストファー・ザラ)を選んで閉幕しました。前者は受賞候補として一馬身抜けており、驚きはなかったでしょうか。驚いたのは登壇したスタッフ、キャスト陣の数の多さとラクエスタ監督のギター演奏でした。これには特別な理由がありました。家督と製作者イサ・カンポのひとり娘ルナが数ヵ月前に白血病で鬼籍入りしていたということなのでした。まだ小学生くらいだったルナも一緒に3人で来日したことがあり、管理人も驚きを隠せませんでした。ギター演奏と歌、トロフィーもルナとグラナダのバンド「ロス・プラネタス」に捧げられました。本作は監督賞と編集賞の3冠を受賞しました。後者はサンダンス映画祭でプレミアされ高評価を受けていたので何らかの賞に絡むとアップを予定しておりましたが、まさか金星取るとは思いませんでした。

    

   

           (ギターで娘ルナを偲ぶイサキ・ラクエスタ)

 

★総合司会者は、ジャーナリストでテレビ司会者のエレナ・サンチェスと、コメディアンで俳優のフリアン・ロペス、スペインでは二人を知らない人はいないでしょう。会場を楽しませたミュージシャンは、出演順に紹介すると、ピアニストのアレハンドロ・ペラヨは、カルロス・サウラの『カラスの飼育』で使用されたことで大ヒットとなったジャネットの Porque te vas やマリソルの Tómbola などで会場を盛り上げました。フラメンコ歌手のキキ・モレンテはルス・カサルの Piensa en mí、テネリフェ出身のシンガーソングライターのST. ペドロは自身のヒット曲 Dos extraños、インディーロックバンドのベトゥスタ・モルラは最新作 La sábana de mis fantasmas を演奏しました。

    

        

     (アレハンドロ・ペラヨ、フリアン・ロペス、エレナ・サンチェス)

 

★セクション・オフィシアルの審査員は、委員長がアルゼンチンの作家、脚本家、戯曲家のクラウディア・ピニェイロ、サンセバスチャン映画祭メインディレクターのホセ・ルイス・レボルディノス、チリの女優アントニア・セへレス、ボリビアの監督アレハンドロ・ロアイサ・グリシ、アルゼンチンの脚本家ダニエラ・フェヘルマン、スペインの監督ハビエル・ルイス・カルデラ6名でした。金のビスナガを発表するさい全員登場、クラウディア・ピニェイロ委員長とレボルディノスが挨拶しました。

    

     

          (左端が審査委員長クラウディア・ピニェイロ)

 

★金賞は製作者に与えられる作品賞のみで、以下はすべて銀賞です。最後の2カテゴリー、観客賞と批評家審査員特別賞は補完的な賞です。マラガ映画祭は他にソナチネ部門、ドキュメンタリー、短編映画など各部門ごとに受賞作が発表になっていますが割愛です。セクション・オフィシアルの受賞作、受賞者は以下の通りです。プレゼンターを分かる範囲でアップしています。

 

     27回マラガ映画祭セクション・オフィシアル受賞結果

 

金のビスナガ(スペイン映画)

プレゼンター:審査員ホセ・ルイス・レボルディノス

Segundo premio 製作BTeam Pictures / Capricc Films / Ikiru Films  他  

           監督イサキ・ラクエスタポル・ロドリゲス

   

 

 

(バスでマラガ入りしたスタッフとキャスト)

  


   

金のビスナガ(イベロアメリカ映画)

プレゼンター:審査委員長クラウディア・ピニェイロ

Radical 製作フェルナンド・リエラ

       監督クリストファー・ザラ(欠席、ビデオ出演)

       

         

 (受賞者を紹介するピニェイロ審査委員長)

      

     

               (フェルナンド・リエラ)  

        

     

 

審査員特別賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:ウナックス・ウガルデ&ネレア・バロス

Los pequeños amores 監督セリア・リコ

    

      

 

   

監督賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:ダニエル・モンソン&マリア・ボット

イサキ・ラクエスタポル・ロドリゲス 「Segundo premio

           

                   

                      (各自に1個ずつトロフィーが渡された)


     

    (ラクエスタ監督が共同監督ロドリゲスにトロフィーを、右はプレゼンター

  

主演女優賞(ホテルACマラガ・パラシオ銀のビスナガ)

プレゼンター:ルイサ・ガバサ、スシ・サンチェス、アントニア・サエラ(審査員)

ロラ・アモレス 「La mujer salvaje」 監督アラン・ゴンサレス

       

   

    (プレゼンターのベテラン女優) 

 

   

    

主演男優賞(銀のビスナガ、今回は2人)

プレゼンター:ハビエル・ペレイラ&マギー・シバントス

ルイス・サエラ(欠席、ビデオ出演) 「Pájaros」 監督パウ・ドゥラ

    

      

       (サエラは忙しくて、と代理でトロフィーを受け取った監督)

    

  

 (ルイス・サエラ右、共演者ハビエル・グティエレス、フレームから)

 

ホアキン・フリエル 「Descansar en paz」 監督セバスティアン・ボレンステイン

   

        

     

 (アルゼンチンのフォルクローレ、マランボを踊る受賞者)

 

助演女優賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:ゴヤ・トレド&フェリックス・ゴメス

アドリアナ・オソレス 「Los pequeños amores」 監督セリア・リコ・クラベリーノ

    

 

       

助演男優賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:リカルド・ペレイラ&ベレン・ロペス

ガブリエル・ゴイティ 「Descansar en paz

受賞者欠席で共演者のホアキン・フリエルが代理で受け取った。

        

                

                    (受賞者ガブリエル・ゴイティ、フレームから)

 

脚本賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:ホセ・コルバッチョ&マリア・アダネス

アレックス・モントーヤジョアナ・オルトゥエタ 「La casa

    

    

 

音楽賞オリジナルスコア(銀のビスナガ)

プレゼンター:アンドレ・ラモグリア&カルメン・アルファ

フェルナンド・ベラスケス 「La casa

    

      

  

撮影賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:ナタリア・サンチェス&アライン・エルナンデス

フアン・カルロス・マルティネス 「Golán」 監督オルランド・クルサト

     

  

           (受賞者欠席で監督が代理で受け取った)

 

   

   

編集賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:マリア・ロマニリョス&ガブリエル・ゲバラ

ハビ・フルトス 「Segundo premio

    

    

 

批評家審査員特別賞(銀のビスナガ)

プレゼンター:パウラ・エチェバリア&アルフォンソ・バサベ

Nina 監督アンドレア・ハウリエタ

    

 

   

   

観客賞(銀のビスナガ)

La casa 監督アレックス・モントーヤ

    

  

       


   

14カテゴリーのうち「Segundo premio」と「La casa」が3個ずつ、「Los pequeños amores」が2個とスペイン映画に偏っている。いずれも配給会社はLatido Films が手掛けている。これからカンヌ、ロカルノと映画祭が開催されるから忙しいことでしょう。「La casa」のアレックス・モントーヤは、マラガ映画祭2021ソナチネ部門に出品した「Lucas」が作品賞、観客賞、主演男優賞を受賞しており次作が待たれていました。新作はスタイリッシュな家族ドラマのようで紹介予定です。


★「Los pequeños amores」のセリア・リコ・クラベリーノは、前作「Viaje al cuarto de una madre」(18)で高い評価を受けゴヤ賞2019新人監督賞にノミネートされている。新作は3冠ですから紹介すべきでしょう。アルゼンチンの「Descansar en paz」のセバスティアン・ボレンステインは、リカルド・ダリン映画の監督としてお馴染みですが、今回はダリンの姿はありません。主演・助演男優賞を受賞しており、キャスト紹介もしたいところです。

 

★特別賞のレトロスペクティブ賞マルセロ・ピニェイロの授与式のアップも終わらないうちに閉幕してしまいました。依怙贔屓なく紹介したい。ガラは進行役のエレナ・サンチェスが「来年のマラガ映画祭は314日から23日まで、同じここセルバンテス劇場でお会いしましょう」でお開きになりました。

   

   

            (締めくくりをしたエレナ・サンチェス)