第14回ガウディ賞2022*結果発表 ― 2022年03月10日 17:48
世代交代が鮮明になったガウディ賞、若手女性監督が勝利の杯を手にした
★去る3月6日、ガウディ賞の授賞式がバルセロナのカタルーニャ美術館MNACで開催された。昨年もノミネーションを割愛、受賞作品&受賞者をアップしただけでした。ゴヤ賞、フォルケ賞、フェロス賞とは異なり、カタルーニャ映画アカデミーが選考母体、作品賞はカタルーニャ語映画、カタルーニャ語以外の映画に分かれている。後者も他の3賞とは視点が異なり、バルセロナ派のスペイン語映画がノミネートされる傾向にある。従って登壇してトロフィを受け取る顔ぶれも違ってくる。今年はロシアのウクライナ侵攻に反対する青と黄色のリボンを付けている人が目立ち、ノーモア戦争が鮮明の授賞式でした。
★カタルーニャ語作品賞にネウス・バリュスの「Sis dies corrents」(「Seis días corrientes」)、カタルーニャ語以外にはクララ・ロケの「Libertad」(『リベルタード』)が受賞、共に若手女性監督が大賞を制した。前者は作品・監督・主演男優・助演男優・編集の5冠、後者は作品・脚本・主演女優・撮影の4冠と、二人で主要カテゴリーを制した。カロル・ロドリゲス・コラスの「Chavalas」に出演したアンヘラ・セルバンテスが助演女優賞を受賞するなど、若手女性監督が輝いたガウディ賞の夕べでした。バリュス監督の新作は未紹介ですが、ロカルノ映画祭でプレミアしたおり、ヨーロッパシネマ賞や主演・助演男優賞などを受賞、バジャドリード映画祭では銀の麦の穂賞と観客賞、トロント映画祭では「The Odd-Job Men」の英題で出品された。いずれアップを予定しています。
(カタルーニャ語版のポスター)
(ヨーロッパ映画賞を受賞した監督と主演者、ロカルノ映画祭)
★ゴヤ賞では撮影賞にキコ・デ・ラ・リカが受賞しただけのマルセル・バレナの「Mediterraneo」は、プロダクション・オリジナル作曲・視覚効果・観客賞の4賞、ダニエル・モンソンの「Las leyes de la frontera」は、美術・衣装デザイン・メイクアップ&ヘアーの3賞、ゴヤ賞では監督とホルヘ・ゲリカエチェバリアが脚色賞、チェチュ・サルガドが新人男優賞を受賞していた。ほとんどカテゴリーの受賞者が一致しないのが特徴的でした。
*第14回ガウディ賞2022受賞結果*
◎作品賞(カタルーニャ語)
「Sis dies corrents」 監督ネウス・バリュス
(5冠制覇の「Seis días corrientes」チーム)
◎作品賞(カタルーニャ語以外)
「Libertad」(邦題『リベルタード』) 監督クララ・ロケ
(中央がクララ・ロケ監督)
◎監督賞
ネウス・バリュス、「Sis dies corrents」
◎脚本賞
クララ・ロケ、「Libertad」
◎主演女優賞
マリア・モレラ、「Libertad」
◎主演男優賞
モハメド・メラリ、「Sis dies corrents」
(息子と登壇した新人モハメド・メラリ)
◎助演女優賞
アンヘラ・セルバンテス、「Chavalas」
◎助演男優賞
バレロ・エスコラル、「Sis dies corrents」
◎撮影賞
グリス・ジョルダナ、「Libertad」
◎プロダクション賞
アルベルト・エスペル、Kostas Sfakianakis、「Mediterraneo」
◎美術賞 *
バルテル・ガリャル 「Las leyes de la frontera」
◎編集賞
ネウス・バリュス、アリアドナ・リバス、「Sis dies corrents」
◎オリジナル作曲賞
アルナウ・バタジェール、「Mediterraneo」
◎衣装デザイン賞 *
Vinyet Escobar 「Las leyes de la frontera」
◎録音賞 *
ダニエル・フォンロドナ、オリオル・タラゴ、マルク・ビー、マルク・オルス「Tres」
◎視覚効果賞
アレックス・ビリャグラサ 「Mediterraneo」
◎メイクアップ&ヘアー賞 *
サライ・ロドリゲス、ナチョ・ディアス、ベンハミン・ぺレス
「Las leyes de la frontera」
(3冠の「Las leyes de la frontera」のスタッフ、レッド・カーペット)
◎ドキュメンタリー賞
「El retorn:La vida després de l’ISIS」 監督アルバ・ソトラ
◎アニメーション賞
「Mironins」監督ミケル・マス、Txesco Montalt
◎短編映画賞
「Farrucas」 監督イアン・デ・ラ・ロサ
◎TV映画賞
「Frederica Montseuy, la dona que paela」 監督ラウラ・マニャ
◎ヨーロッパ映画賞 *
「Otra ronda」(デンマーク、邦題『アナザーラウンド』)監督トマス・ヴィンターベア
◎観客特別賞
「Mediterraneo」
★ガウディ栄誉賞
撮影監督のトマス・プラデバル・フォンタネ Tomas Pradevall Fontanet、プレゼンターはバルセロナ派を代表するベテラン俳優、ジョセップ・マリア・ポウとメルセ・サンピエトロでした。
(左から、ジョセップ・マリア・ポウ、受賞者、メルセ・サンピエトロ)
★以上が23カテゴリーの受賞者です。観客賞に選ばれた「Mediterraneo」は、バルセロナ出身のオスカル・カンプスが設立した人道支援組織オープン・アームズ NGO Proactiva Open Armsの活動を描いた実話、受賞はほぼ決定しておりました。(*印はゴヤ賞と結果が同じ)
★今年は8月下旬に開催されていたマラガ映画祭が、コロナウイリス以前の3月開催に決定(3月18日~27日)しており、ノミネーションも発表になっている。新作が揃ったマラガ優先にアップしたい。
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