第36回ゴヤ賞2022ノミネーション発表*ゴヤ賞2022 ② ― 2021年12月05日 17:09
最多ノミネーションの「El buen patorón」は史上初の20個
★去る11月29日、マドリードの映画アカデミー本部にて第36回ゴヤ賞2022のノミネーションは発表がありました。司会者はナタリエ・ポサとホセ・コロナドでした。作品賞は以下の通りですが、米アカデミー国際長編映画賞のスペイン代表になったフェルナンド・レオン・デ・アラノアの「El buen patorón」がゴヤ賞始まって以来のノミネート20個になりました。これまではイマノル・ウリベの『時間切れの愛』(94)の19個でした。イシアル・ボリャインの「Maixabel」が14個、ペドロ・アルモドバルの「Madres paralelas」の8個、続くはマルセル・バレナの「Mediterráneo」の7個、2021年のスペイン映画界に大きく貢献したというクララ・ロケの『リベルタード』と、キンキ映画のオマージュというダニエル・モンソンの「Las leyes de la frontera」の6個です。
(ノミネーション・プレゼンターのホセ・コロナドとナタリエ・ポサ)
★ノミネーションの数が受賞に正比例するわけではありませんが、一応流れはできたという印象です。うち助演男優賞に「El buen patorón」からセルソ・ブガージョ、フェルナンド・アルビス、マノロ・ソロの3人(!?)、助演女優賞に「Madres paralelas」からアイタナ・サンチェス=ヒホンとミレナ・スミスの2人が同作品から選ばれている。過去に2人はしばしば目にしましたが、3人となるとしらけます。初出には監督名を補いました。(*印は作品紹介をしたもの)
*第36回ゴヤ賞ノミネーション全28カテゴリー*
◎作品賞(5作品)
「El buen patorón」* 監督フェルナンド・レオン・デ・アラノア
「Maixabel」* 監督イシアル・ボリャイン
「Madres paralelas」* 監督ペドロ・アルモドバル
「Libertad」* 監督クララ・ロケ(邦題『リベルタード』)
「Mediterráneo」* 監督マルセル・バレナ
◎監督賞
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」
マヌエル・マルティン・クエンカ 「La hija」*(邦題『ザ・ドーター』)
ペドロ・アルモドバル 「Madres paralelas」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
◎新人監督賞
カロル・ロドリゲス・コラス 「Chavalas」
ハビエル・マルコ 「Josefina」*
ダビ・マルティン・デ・ロス・サントス 「La vida era eso」*(邦題『マリアの旅』)
クララ・ロケ「Libertad」(邦題『リベルタード』)
◎オリジナル脚本賞
フェルナンド・レオン・デ・アラノア 「El buen patorón」
クララ・ロケ 「Libertad」
イシアル・ボリャイン 「Maixabel」
フアンホ・ヒメネス・ペーニャ&ペレ・アルタミラ 「Tres」監督は脚本に同じ
◎脚色賞
フリア・デ・パス・ソルバス&ヌリア・ドゥンホ・ロペス 「Ama」*
アグスティ・ビリャロンガ 「El vientre del mar」*
ダニエル・モンソン&ホルヘ・ゲリカエチェバリア 「Las leyes de la frontera」*
ベニト・サンブラノ&クリスティナ・カンポス 「Pan de limon con semillas de amapola」
◎主演男優賞
ハビエル・バルデム 「El buen patorón」
ハビエル・グティエレス 「La hija」(邦題『ザ・ドーター』)
ルイス・トサール 「Maixabel」
エドゥアルド・フェルナンデス 「Mediterráneo」
◎主演女優賞
エンマ・スアレス 「Josefina」
ペトラ・マルティネス 「La vida era eso」(邦題『マリアの旅』)
ペネロペ・クルス 「Madres paralelas」
ブランカ・ポルティリョ 「Maixabel」
◎助演男優賞
セルソ・ブガージョ 「El buen patorón」
フェルナンド・アルビス 「El buen patorón」
マノロ・ソロ 「El buen patorón」
ウルコ・オラサバル 「Maixabel」
◎助演女優賞
ソニア・アルマルチャ 「El buen patorón」
ノラ・ナバス 「Libertad」(邦題『リベルタード』)
アイタナ・サンチェス=ヒホン 「Madres paralelas」
ミレナ・スミス 「Madres paralelas」
◎新人男優賞
オスカル・デ・ラ・フエンテ 「El buen patorón」
タリク・ルミリ 「El buen patorón」
チェチュ・サルガド 「Las leyes de la frontera」
ホルヘ・モトス 「Lucas」* 監督アレックス・モントーヤ
◎新人女優賞
アンヘラ・セルバンテス 「Chavalas」
アルムデナ・アモール 「El buen patorón」
ニコル・ガルシア 「Libertad」(邦題『リベルタード』)
マリア・セレスエラ 「Maixabel」
◎オリジナル作曲賞
Zeltia Montes 「El buen patorón」
Fatima Al Qadiri 「La abuela」* 監督パコ・プラサ
アルベルト・イグレシアス 「Maixabel」
アルナウ・バタジェール 「Mediterráneo」
◎オリジナル歌曲賞
“Burst Out” 作曲家アンヘル・レイロ、ジャン=ポール・Dupeyron、ハビエル・カペリャス「Album de posguerra」(ドキュメンタリー)監督アイリー・マラガル&アンヘル・レイロ
“Que me busquen por dentro” 同アントニオ・オロスコ、
ジョルディ・コレル・ピニリョス 「El cover」* 監督セクン・デ・ラ・ロサ
“Las leyes de la frontera” 同アレハンドロ・ガルシア・ロドリゲス、アントニオ・モリネロ・レオン他 「Las leyes de la frontera」
“Te espera el mar” 同マリア・ホセ・リェルゴ 「Mediterráneo」
◎長編アニメーション賞
「Gora automatikoa」 カルロス・ゲレーロ、ダビ・ガラン・ガリンド、ほか
「Mironins」 アレックス・セルバンテス、アンヘル・コロナド、ほか
「Salvar el árbol (Zutik!)」 カルメロ・ビバンコ、エゴイツ・ロドリゲス、ほか
「Valentina」 ブランダン・デ・ブラノ、チェロ・ロウレイロ、ほか
◎ドキュメンタリー賞
「El retorno: La vida después del ISIS」 アルバ・ソトラ、カルレス・トラス、
ベスナ・クディク 監督アルバ・ソトラ
「Héroes, silencio y rock and roll」 ホセ・パストル、ミゲル・アンヘル・ラマタ、ほか
監督アレシス・モランテ
「Quién lo impide」* ハビエル・ラフエンテ、ラウラ・レナウ、ロレナ・トゥデラ
監督ホナス・トゥルエバ
「Un blues para Teherán」* アレハンドラ・モラ・ペレス、ルイス・ミニャロ
監督ハビエル・トレンティノ
◎短編映画賞
「Farrucas」 イアン・デ・ラ・ロサ
「Mindanao」 ボルハ・ソレル
「Totem Loba」 ベロニカ・エチェギ
「Votamos」サンティアゴ・レケホ
「Yalla」 カルロ・ドゥルシ
◎短編ドキュメンタリー賞
「Dajla: Cine y olvido」 アルトゥーロ・ドゥエニャス
「Figurante」 ナチョ・フェルナンデス
「Mama」 パブロ・デ・ラ・チカ
「Ulises」 ジョアン・ボヴェル
◎短編アニメーション賞
「Nacer」 ロベルト・バリェ
「Proceso de selección」 カルラ・ペレイラ
「The Monkey」 ロレンソ・デグルイノセンティ、ホセ・サパタ
「Umbrellas」 アルバロ・ロブレス、ホセ・プラツ
◎撮影賞
パウ・エステベ・ビルバ 「El buen patorón」
グリス・ジョルダナ 「Libertad」
ホセ・ルイス・アルカイネ「 Madres paralelas」
キコ・デ・ラ・リカ 「Mediterráneo」
◎録音賞
イバン・マリン、ペラヨ・グティエレス、バレリア・アルシエリ 「El buen patorón」
セルヒオ・ビュルマン、ライア・カサノバス、マルク・オルス 「Madres paralelas」
アラスネ・アメスロイ、フアン・フェロ、カンデラ・パレンシア 「Maixabel」
ダニエル・フォンロドナ、オリオル・タラゴ、マルク・ビー、マルク・オルス「Tres」
◎編集賞
アントニオ・フルロス 「Bajocero」 監督リュイス・キレス(『薄氷』Netflix)
バネッサ・L・マリンベル 「El buen patorón」
ミゲル・ドブラド 「Josefina」
ナチョ・ルイス・カピリャス 「Maixabel」
◎特殊効果賞
ラウル・ロマニリョス、ミリアム・ピケル 「El buen patorón」
ラウル・ロマニリョス、フェラン・ピケル 「La abuela」
アレックス・ビリャグラサ 「Mediterráneo」
パウ・コスタ、ラウラ・ペドロ 「Way Down」「The Vault」 監督ジャウマ・バラゲロ
◎美術賞
セサル・マカロン 「El buen patorón」
バルテル・ガリャル 「Las leyes de la frontera」
アンチョン・ゴメス 「Madres paralelas」
ミケル・セラーノ「Maixabel」
◎衣装デザイン賞
アルベルト・バルカルセル 「El amor en su lugar」 監督ロドリゴ・コルテス
フェルナンド・ガルシア 「El buen patorón」
Vinyel Escobal 「Las leyes de la frontera」
クララ・ビルバオ「Maixabel」
◎メイクアップ&ヘアー賞
アルムデナ・フォンセカ、マノロ・ガルシア 「El buen patorón」
サライ・ロドリゲス、ベンハミン・ぺレス、ナチョ・ディアス 「Las leyes de la frontera」
エリ・アダネス、セルヒオ・ぺレス・ベルベル、ナチョ・ディアス 「Libertad」*
監督エンリケ・ウルビス
カルメレ・ソレル、セルヒオ・ぺレス・ベルベル 「Maixabel」
◎プロダクション賞
オスカル・ビヒオラ 「El amor en su lugar」
ルイス・グティエレス 「El buen patorón」
グアダルーペ・バラゲル・トレリス 「Maixabel」
アルベルト・エスペル、コスラス・セアキアナキス 「Mediterráneo」
◎イベロアメリカ映画賞
「Canción sin nombre」*(邦題『名もなき歌』)(ペルー、19)監督メリナ・レオン
「La cordillera de los sueños」*(邦題『夢のアンデス』)ドキュメンタリー(チリ、19)
監督パトリシア・グスマン
「Las siamesas」 監督パウラ・エルナンデス(アルゼンチン、20)
「Los lobos」 監督サムエル・キシ(メキシコ、19)
◎ヨーロッパ映画賞(原題、英題、西題、邦題の順)
「Adieu les cons」「Bye Bye Morons」「Adiós, idiotas」(フランス、20)
監督アルベール・デュポンテル、セザール賞2021作品賞・脚本賞ほか受賞
「Ich bin dein Mensch」「I’m Your Man」「El hombre perfecto」『私はあなたの男です』
(ドイツ、21)監督マリア・シュラーダー、ベルリンFF俳優賞マレン・エッゲルト、
第94回米アカデミー2022国際長編映画賞ドイツ代表作品
「Dunk」「Another Round」「Otra ronda」『アナザーラウンド』(デンマーク、20)
監督トマス・ヴィンターベア、SSIFF2020銀貝俳優賞(マッツ・ミケルセン以下4名)
オスカー賞2021国際長編映画賞受賞、デンマーク・アカデミー賞5冠、ほか受賞歴多数
「Promising Young Woman」「Una joven prometedora」『プロミシング・ヤング・ウーマン』 (イギリス、20)監督エメラルド・フェネル、オスカー賞2021オリジナル脚本賞(E・フェネル)
◎栄誉賞
ホセ・サクリスタン
★以上が全28カテゴリーのラインナップです。脚本賞にアルモドバルの「Madres paralelas」が選ばれなかったり、期待していたアイノア・ロドリゲスのデビュー作も、「Mediterráneo」と『マリアの旅』に出演していたアンナ・カスティーリョの名前も見当たりませんでした。クララ・ロケとエンリケ・ウルビスのタイトルが同じ「Libertad」だったりと紛らわしかった。
★イベロアメリカ映画賞とヨーロッパ映画賞は、2021年中にスペインで公開された作品が対象なのでかなりのタイムラグが生じています。パウラ・エルナンデスの「Las siamesas」はノーチェックでしたが、いずれ作品紹介をしたい。サムエル・キシの「Los lobos」は、スペインの映画祭にはノミネートされませんでしたが、ベルリンFF(ゼネレーション部門)の作品賞受賞を初めとして、メキシコを含めた国際映画祭の受賞歴が多数あります。ゴヤ賞のほかホセ・マリア・フォルケ賞2022にもノミネートされています。
★ゴヤ賞2022の授賞式は、ガルシア・ベルランガ生誕100周年を記念して、出身地バレンシアのPalau de les Arts で2022年2月12日(土)に開催、これまでのように総合司会者はおかないガラになるようです。これをもって <ベルランガ年> が締めくくられます。
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