パラグアイの「Las herederas」が2個の銀熊賞*ベルリン映画祭2018 ⑤ ― 2018年02月27日 19:11
マルティネシ監督がアルフレッド・バウアー賞、アナ・ブルンが女優賞
★ベルリナーレ初参加のパラグアイ映画「Las herederas」が銀熊トロフィーを2個ゲットしました。マルセロ・マルティネシ監督の「アルフレッド・バウアー賞」(銀熊)とFIPRESCI国際映画批評家連盟賞、アナ・ブルンの女優賞(銀熊)、更にLGBTをテーマの一つにしたテディー賞、貰いすぎではないでしょうか。ベルリナーレは映画発展途上国の振興に寄与するという意図をもつ映画祭、かつてはウルグアイ、チリ、コロンビアなどの事例があります。アカデミー賞外国語映画賞でもそういう傾向を最近感じていますが。個人的には作品紹介が無駄にならなくてよかった。秋開催のラテンビート2018に期待したい。
*「Las herederas」の紹介記事は、コチラ⇒2018年2月16日
(バウアー賞のトロフィーを手にしたマルセロ・マルティネシ)
(女優賞のトロフィーを手にスピーチするアナ・ブルン)
(監督と主演女優、アナ・イヴァノヴァ、マルガリータ・イルン、アナ・ブルン)
メキシコからもアロンソ・ルイスパラシオスの「Museo」が脚本賞(銀熊)を受賞
★コンペティション部門のもう1作、メキシコのアロンソ・ルイスパラシオスの「Museo」が脚本賞(銀熊)を受賞しました。マヌエル・アルカラとの共同執筆、二人で登壇しました。プレゼンターは審査員の一人スペイン・フィルモテカのディレクター、ホセ・マリア(チェマ)・プラドからトロフィーが手渡されました。下馬評は中くらいでしたが、G.G.ガエルが主演ということで字幕入りで観られるかな。最初プレス会見に姿がなかったので主役不在かと思っていたら、遅れて出席、すると会場の雰囲気ががらりと変わった。メキシコを代表する俳優になりました。
*「Museo」の紹介記事は、コチラ⇒2018年2月19日
(抱き合って喜ぶ脚本賞受賞の二人)
(ガエル・ガルシア・ベルナル)
◎金熊賞は、ルーマニアの女性監督アディナ・ピンティリエの「Touch Me Not」(ルーマニア、独、チェコ、ブルガリア、仏)でした。星取表は最下位とは言わないが下から数えたほうが早かった。他に初監督作品賞も受賞した。ロシアの「Dovlatov」を予想していた批評家たちからはどよめきが起きたとか。カルロス・レイガダスの『闇のあとの光』(12)がカンヌ映画祭で監督賞を受賞したときはブーイングだったのでした。
(金熊賞受賞のアディナ・ピンティリエ)
(出演者トーマス・レマルキス、車椅子に乗っているのが Christian Bayerlein)
◎芸術貢献賞(銀熊)衣装デザインは、ロシアのエレナ・オコプナヤ Elena Okopnaya が受賞した。金熊賞受賞の予想の大方はこのアレクセイ・ゲルマンJr. の「Dovlatov」(ロシア、ポーランド、セルビア)でしたが、こればかりは蓋を開けてみないと分からない。ロシアの作家セルゲイ・ドヴラートフ(1941~90)のビオピック、1971年レニングラード(現サンクトペテルブルク)の数日間を描いている。これは金熊賞を逃しましたが公開されますね。
(芸術貢献賞のエレナ・オコプナヤ)
(アレクセイ・ゲルマン・ジュニア監督とエレナ・オコプナヤ)
◎第2席となる審査員グランプリ(銀熊)は、マウゴシュカ・シュモフスカ(Malgorzata Szumowska別名マウゴジャタ・シュモフスカ、1973年クラクフ)の「Mug」(ポーランド)が受賞した。ベルリン映画祭2015の『君はひとりじゃない』で監督賞を受賞している。ということで今年の大賞は二人の女性監督の手に落ちた。
(審査員グランプリ受賞のマウゴシュカ・シュモフスカ)
◎監督賞(銀熊)は、今春公開が決定しているアニメーション、オープニング作品でもあったウェス・アンダーソンの『犬ヶ島』が受賞した。既に本作のヨーロッパ・プロモーション活動のためベルリンを後にしており、犬のボイスを担当したビル・マーレイが例によって冗談を飛ばしながら代理で受け取った。
(代理でトロフィーを受け取ったビル・マーレイ)
◎男優賞(銀熊)は、セドリック・カーンの「The Prayer」(フランス)出演のアントニー・バジョン、以上が銀熊賞の受賞者でした。
(男優賞アントニー・バジョン)
★「パノラマ」部門で少しご紹介した、アルムデナ・カラセド&ロバート・バハーのフランコ時代のドキュメンタリー「El silencio de los otros」(「The Silence of Others」米・西)が、ピース賞とドキュメンタリー観客賞を受賞しました。
(ロバート・バハー、アルムデナ・カラセド、プレゼンターのアナ・ダビ)
★「フォーラム」部門ノミネーション、話題になっていたチリのストップモーション・アニメ、ホアキン・コシーニャ&クリストバル・レオンの「La casa lobo」(「The Wolf House」)がカリガリ賞を受賞しました。他にご紹介しませんでしたが、マルビナス(フォークランド)戦争をテーマにしたロラ・アリアスの「Teatro de guerra」(「Theatre of War」アルゼンチン、西)が、エキュメニカル審査員賞とCICAE(Confederacion Internacional de Cines de Arte y Ensayo)賞を受賞しました。
(アニメーション「La casa lobo」から)
(眼鏡がホアキン・コシーニャ、クリストバル・レオンの両監督)
(「Teatro de guerra」の監督ロラ・アリアス)
★スペインのラモン・サラサールの「La enfermedad del domingo」は残念でした。
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