第3回イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表 ― 2016年12月04日 17:36
「Nerudaネルーダ」と『エル・クラン』が同数の9個ノミネーション

(2016年のポスター)
★2014年晩秋、イベロアメリカの「オスカー賞」という触れ込みで始まった映画賞「Los Premios Fénix」も今年で3回めを迎えました。イベロアメリカですからスペイン、ポルトガルも入りますが、どちらかと言うとラテンアメリカ諸国にシフトしています。第2回めの作品賞はパブロ・ララインの『ザ・クラブ』、他に監督賞・脚本賞・男優賞(アルフレッド・カストロ)と大賞を独占、『彷徨える河』のチロ・ゲーラが監督賞をララインと分け合い、その他ダビ・ガジェゴ(撮影賞)・カルロス・ガルシア他(録音賞)・ナスクイ・リナレス(音楽賞)の4賞と、2作品でほぼ決まりでした。

(イベロアメリカ・フェニックス賞のトロフィー)
★スペインはアルベルト・ロドリゲスの『マーシュランド』が美術デザイン賞(ぺぺ・ドミンゲス)の1賞のみ、ハイロ・ブスタマンテの『火の山のマリア』の衣装賞(ソフィア・ランタン)、サンティアゴ・ミトレの『パウリーナ』が女優賞(ドロレス・フォンシ)、パトリシオ・グスマンの『真珠のボタン』がドキュメンタリー撮影賞(カテル・ジアン)、ポルトガル語映画では、エドゥアルド・コウチーニョ(1933~2014)の遺作となった「Ultimas Conversas」(ブラジル)がドキュメンタリー賞をとりました。製作途中の2014年2月に精神を病んでいた息子に刺殺されるという痛ましい事件の犠牲者となりました。というわけで最終的に作品を完成させたのはジョアン・モレイラ・サレス、授賞には長年の彼の功績を讃える意味もあったのではないでしょうか。

(左側中段のコウチーニョ監督とインタビューを受けた学生)
★さて、2016年は間もなく結果が発表になりますので(12月7日)、ノミネーションは作品賞と監督賞にして、後は結果が出ましたらアップいたします。
◎作品賞(作品賞のみ7作品)
『エル・クラン』アルゼンチン他、監督パブロ・トラペロ(9個ノミネート)
『彼方から』ベネズエラ他、同ロレンソ・ビガス(4個ノミネート)
「Nerudaネルーダ」チリ他、同パブロ・ラライン(9個ノミネート)
「Aquariusアクエリアス」ブラジル他、クレベル・メンドンサ・フィリオ(4個ノミネート)
「Boi Neon」ブラジル他、ガブリエル・マスカロ(8個ノミネート)
「La muerte de Luis XIVルイ14世の死」スペイン他、アルベルト・セラ(4個ノミネート)
「Te prometo anarquia」メキシコ他、同フリオ・エルナンデス・コルドン(1個ノミネート)
◎監督賞
パブロ・トラペロ『エル・クラン』
パブロ・ラライン「Nerudaネルーダ」
ガブリエル・マスカロ「Boi Neon」
クレベル・メンドンサ・フィリオ「Aquariusアクエリアス」
アルベルト・セラ「La muerte de Luis XIVルイ14世の死」
★「Boi Neon」の8個、「Aquariusアクエリアス」の4個とブラジルの健闘が目につく2016年です。黒い不死鳥の卵は誰の手に渡るのでしょうか。開催地メキシコ・シティでは「フェニックス週間」(12月1日~10日)としてノミネーションされた作品、または過去の受賞作品の上映会のほか、「Boi Neon」(脚本・編集)や『エル・クラン』(編集)、『モンスター・ウィズ・オブ・サウザン・ヘッズ』(脚本)など、各担当者が出席しての討論会も企画されているようです。
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