第4回フェロス賞2017のノミネーション発表 ― 2016年12月18日 17:35
総合司会者にアントニオ・デ・ラ・トーレ、授賞式は1月23日

(第4回フェロス賞ポスター)
★フェルナンド・トゥルエバの“La Reina de Espanña”のゼロ個が、アルベルト・ロドリゲスの『スモーク・アンド・ミラーズ』(ラテンビート2016上映)の10個以上に話題になっています。ゼロ個ということはヒロインのペネロペ・クルスもノミネートされなかったということで、何があったかを探ると、かなり複雑な現実が見えてきそうです(これは別の話なのでここでは触れません)。ゴヤ賞2017のノミネーションも発表になり、付き合わせると90パーセントは重なるようです。こちらにはさすがにPPも主演女優賞に名前が載っておりました。
★総合司会者にアントニオ・デ・ラ・トーレ、アルゼンチン出身の女優マレナ・アルテリオ、AICE会長パドロ・バリンの3人が進行役です。マレナ・アルテリオはエクトル・アルテリオの娘、“Una palabra tuya”(08)で共演したルイス・ベルメホ(『マジカル・ガール』『KIKI』)と結婚、国籍はスペイン。

(総合司会者アントニオ・デ・ラ・トーレ)
★正式名は「Premios Feroz AICE」(スペイン映画記者協会)が米国のゴールデン・グローブ賞と同じ位置づけで2013年11月に設立した映画賞。当初カテゴリーは栄誉賞と特別賞を除く11部門でしたが、増加する傾向にあります。ノミネーション発表は11月下旬から12月初旬、授賞式は翌年1月下旬、映画記者協会のメンバー約170人が選定する。前年度の各映画祭での受賞作、劇場公開された作品(全国展開でなくても大都市公開なら対象とし、オンライン配信も含まれる)、さらに国際映画祭受賞作品ながら配給元が見つからないケースも対象になる。
★基本カテゴリーは、作品賞(ドラマ)/作品賞(コメディ)/監督賞/脚本賞/主演男優賞/主演女優賞/助演男優賞/助演女優賞/オリジナル音楽賞/トレーラー賞(ゴヤ賞にはない)/映画ポスター賞(ゴヤ賞にはない)の11部門、今年から助演男優賞/助演女優賞/ドキュメンタリー賞が入り、更にTVドラシリーズの作品賞(ドラマ&コメディ)/男優賞/女優賞/助演男優賞/助演女優賞の6賞も追加されることになりました。規模が拡大する傾向にあり、内容が似通った映画賞ばかり増えても映画産業の発展や集客率にはつながらないと危惧します。
★今回2017年のの栄誉賞は、チチョ・イバニェス・セラドール Chicho Narciso Ibáñez Serrador がアナウンスされました。駆け足で紹介すると、映画界とテレビ界の結合、発展に寄与した人物、1935年モンテビデオ生れの81歳、舞台監督、俳優、脚本家、監督、製作者、国籍はウルグアイとスペイン。舞台監督、俳優だったナルシソ・イバニェスの一人息子。1960年“Obras maestras del terror”の脚本で映画界デビュー、同年“Todo el año es Navidad”に俳優出演、監督作品としてはホラー映画“La residencia”(69)と“¿Quién puede matar a un niño?”(76)が代表作。TVドラシリーズでは、“Historias para no dormir”、“Historia de la frivolidad”、“Un, dos, tres….responda otra vez”など1960年代後半から80年代にかけてヒット作を多数お茶の間に送り届けています。
★2001年舞台監督に復帰、“Aprobado en castidad”を演出、2002年“El aguila y la niebla”でロペ・デ・ベガ賞を受賞、2004年新バージョン“Un , dos, tres…a leer esta vez”、2005年、アレックス・デ・ラ・イグレシア、ジャウマ・バラゲロ、マテオ・ヒル、エンリケ・ウルビスのような若手監督を起用して“Películas para no dormir”をテレシンコで企画・監修して成功させた。このTVシリーズは日本でも「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」としてテレビ放映され、ホラー好きに歓迎されました。2010年、文化・教育・スポーツ省が授与する最高賞「国民賞(テレビジョン部門)」を受賞しています。

(ナルシソ・イバニェス・セラドール)
★今回TVドラ部門のカテゴリーが追加されたのと無関係ではないでしょう。栄誉賞と特別賞は、主にAICEの執行部が中心になって決めるようです。因みに過去の受賞者は、カルロス・サウラ、昨年はロサ・マリア・サルダでした。
*主なフェロス賞ノミネーション*
作品賞(ドラマ部門)
「El hombre de
las mil caras」『スモーク・アンド・ミラーズ』 監督アルベルト・ロドリゲス(10個)
「Julieta」『ジュリエッタ』 監督ペドロ・アルモドバル(9個)
「Que Dios nos perdone」 監督ロドリゴ・ソロゴイェン(7個)
「Tarde para la ira」 監督ラウル・アレバロ(8個)
「Un monstruo viene a verme」 監督フアン・アントニオ・バヨナ(7個)
作品賞(コメディ部門)
「Kiki, el
amor se hace」 『KIKI~愛のトライ&エラー』 監督パコ・レオン
「María (y los demás)」監督ネリー・レゲラ
「La noche que
mi madre mató a mi padre」 監督イネス・パリス
「La puerta
abierta」 監督マリナ・セレセスキー
「El rey
tuerto」 監督マルク・クレウエトCrehuet
監督賞
ペドロ・アルモドバル『ジュリエッタ』
ラウル・アレバロ 「Tarde para la ira」
フアン・アントニオ・バヨナ「Un
monstruo viene a verme」
アルベルト・ロドリゲス 『スモーク・アンド・ミラーズ』
ロドリゴ・ソロゴイェン「Que Dios nos perdone」
主演女優賞
アナ・カスティージョ「El olivo」『The Olive Tree』
バルバラ・レニー 「María (y los demás)」
カルメン・マチ「La puerta abierta」
エンマ・スアレス『ジュリエッタ』
アドリアナ・ウガルテ『ジュリエッタ』
主演男優賞
ロベルト・アラモ「Que Dios nos perdone」
エドゥアルド・フェルナンデス 『スモーク・アンド・ミラーズ』
アライン・エルナンデス 「El rey
tuerto」
ルイス・マクドゥーガル 「Un
monstruo viene a verme」
アレックス・モネール 「La
propera pell」
アントニオ・デ・ラ・トーレ「Tarde
para la ira」
助演女優賞
ルス・ディアス 「Tarde
para la ira」
マルタ・エトゥラ 『スモーク・アンド・ミラーズ』
ロッシ・デ・パルマ『ジュリエッタ』
テレレ・パベス 「La puerta abierta」
カンデラ・ペーニャ 『KIKI~愛のトライ&エラー』
助演男優賞
カルロス・サントス 『スモーク・アンド・ミラーズ』
ルイス・カジェホ 「Tarde para la ira」
ホセ・コロナド 『スモーク・アンド・ミラーズ』
ハビエル・ペレイラ「Que Dios
nos perdone」
マノロ・ソロ 「Tarde para la ira」
脚本賞
アルベルト・ロドリゲス、ラファエル・コボス 『スモーク・アンド・ミラーズ』
ペドロ・アルモドバル 『ジュリエッタ』
パトリック・ネス 「Un
monstruo viene a verme」
イサベル・ペニャ、ロドリゴ・ソロゴジェン 「Que
Dios nos perdone」
ダビ・プリド、ラウル・アレバロ 「Tarde para la ira」
オリジナル音楽賞
シルビア・ペレス・クルス 「Cerca de
tu casa」
フリオ・デ・ラ・ロサ 『スモーク・アンド・ミラーズ』
アルベルト・イグレシアス 『ジュリエッタ』
フェルナンド・ベラスケス 「Un
monstruo viene a verme」
オリビエル・アルソン「Que Dios
nos perdone」
予告編賞
「El hombre de las mil caras」『スモーク・アンド・ミラーズ』
「Julieta」 『ジュリエッタ』
「Kiki, el amor se hace」 『KIKI~愛のトライ&エラー』
「Un monstruo viene a verme」
「Que Dios nos perdone」
ポスター賞
「El hombre de las mil caras」 『スモーク・アンド・ミラーズ』
「Julieta」 『ジュリエッタ』
「Kiki, el amor se hace」 『KIKI~愛のトライ&エラー』
「Monstruo viene a verme」
「Tarde para la ira」
★予告編賞とポスター賞は未決定らしく、なかで1作が脱落するようです。当ブログでは、TVドラマ・シリーズ部門は省略します。
*第3回フェロス賞ノミネーションは、コチラ⇒2015年12月18日
*第3回フェロス賞受賞結果は、コチラ⇒2016年1月21日
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