カンヌ映画祭2014*リサンドロ・アロンソ国際批評家連盟賞受賞2014年05月27日 12:51

★「ある視点」部門のもう一つの受賞がアルゼンチンのリサンドロ・アロンソJauja、「国際批評家連盟賞Fipresci」を受賞しました。写真はカンヌに勢揃いしたスタッフとキャスト陣、ヴィゴ・モーテンセン、エステバン・ビッリアルディ、デンマーク女優ギタ・ナービュ、監督、デンマーク女優Viilbjork Malling、詩人で共同脚本執筆者のファビアン・カサス。本作のストーリー、監督フィルモグラフィー、キャスト、「ある視点」部門の審査委員長パブロ・トラペロについてのご紹介はコチラ56日)です。 


★エル・パイスのインタビューアーに対して、「まず最初に、シサコにお祝いを言いたい」と。モーリタニアのアブデラマン・シサコのTimbuktu(マリ=仏合作)がコンペティション部門でエキュメニカル審査員賞を受賞したことにエールを送った。これは星取表で高い評価を得ていた作品でもっと上位の賞を受賞してもおかしくないという評が目につきました。カンヌも若返りが必要な時代になっているんです。ゴダールと審査員賞を分け合ったグザヴィエ・ドランの涙は、嬉し涙じゃなく悔し涙だと思いますね、もっと大きい賞を狙っていたんだから。

 

★ギタ・ナービュは、デンマークで愛されている国民的女優とか。78歳とは思えない若々しさです(1935年生れ)。ヴィゴ(1958年生れ)の娘になるのですが、勿論年をとってからの娘役、若い時代はViilbjork Mallingが演じました。監督によるとファビアン・カサスとは34年前からの友人で、二人で脚本を練り、ヴィゴも交えて完成させた。ヴィゴからは観客を惹きつけるコツみたいなものを教えてもらった。

                                                                                     

                         (娘の Malling と父親ヴィゴ)

★アロンソ監督は過去の作風から「エイリアン*宇宙人」のラベルが張られたグループと思われているが、彼自身は当然そういうレッテル張りを拒否している。「映画祭用の映画を作ろうとは考えていないし、多くの観客に見てもらいたい。しかしプロモーション用のお金が残っていない」、完成したときには用意した資金40万ユーロは底をつき、まだヴィゴには一銭も支払っていないんだとか(笑)。映画祭そのものが宣伝になるから映画祭にエントリーされることは、若い監督には重要です。思いがけない出会いもあるからね。前に書いたことだけど、アロンソとヴィゴの出会いは2006年のトロント映画祭でした。

 

★「自分の仕事は映画を撮ること、同時代の人の作品を見ている時間がない」が、注目している同時代の監督として、ミゲル・ゴメス、アマ・エスカランテ、カルロス・レイガーダスを挙げた。

当ブログで未紹介なのがミゲル・ゴメス1972年リスボン生れのポルトガルの監督、第3作目Tabu2012モノクロ)がベルリン映画祭2012でバウアー賞と国際批評家連盟賞を受賞したおかげで、2013年夏『熱波』の邦題で公開され、コアなファンが行列した。他に「ポルトガル映画祭2010」で第2作『私たちの好きな八月』(2008)、「ポルトガル映画の巨匠たち2013」でデビュー作『自分に見合った顔』(2004)と全作が上映されている。

 

                      (ポルトガルのミゲル・ゴメス監督)


★今回の受賞は審査員間で揉めることなく、上映後の拍手喝采が功を奏してか「満場一致」だったらしい。日本でも人気のあるヴィゴ・モーテンセンが主役だから、来年あたりの公開を期待してもよさそう。