エミリオ・マルティネス=ラサロの新作が記録更新中2014年05月13日 15:36

★新作というのはコメディOcho apellidos vascos2014)です。既に監督、ストーリー、キャスト陣など結構詳しくご紹介しています(327UP)。まだスペイン国内しか公開されていないので英語題も決まっていません。多分スペインの南(アンダルシア)と北(バスク)の文化の相違が分からないと面白くないのかもしれません。

 


★そもそもスペインには4つの言語が公用語として話されています。いわゆるスペイン語という共通語としてのカスティーリャ語、バルセロナを中心にカタルーニャ地方で話されているカタルーニャ語、ポルトガルと国境を接しているガリシア地方のガリシア語、それにバスク州のバスク語の4つ。バイリンガルの人が多い。北スペインでは隣国のフランス語を話せる人が多いようです。なかで他の3つとは似ても似つかない、ルーツ不明の(ケルト語説あり)バスク語は特異な存在です。フランコ時代には使用が禁じられていたので末期には話せる人も老人だけの言語と言われました。しかしフランコ没後の1978年憲法で公用語として認められてから次第にバスク語人口は増加しています。フランス側にも3つの町でバスク語が話され、スペインの1とフランスの3を足して一つの国家を作ろうという運動が、いわゆる「1+31運動」です。ビスカヤ湾を臨むサンセバスチャンの東方20キロにあるフエンテラビア(バスク語でオンダリビア)からはフランスに渡る定期の船便があり、両国民は自由に行き来しています。このブログに時々登場するビアリッツ映画祭の開催される都市ビアリッツは、ここから北東約25キロ先、日本なら通勤距離ですね。

 

(写真:演技指導をするマルティネス=ラサロ監督)

★本作は314日、320館で封切られてからほぼ満席状態で記録を塗り替えています。封切り当時はフアン・アントニオ・バヨナの『インポッシブル』は到底抜けないだろうと予想されましたが、なんと5週間目にあっさり抜いてしまいました。

劇場公開された主な作品の記録は以下の通り(Rentrak España 調べ):

2014Ocho apellidos vascos  観客数6,525,919人 興行収入38,154,471ユーロ

2001『アザーズ』        同   6,410,561人 同    27,254,163ユーロ

2012『インポッシブル』     同   6,124,698人 同    42,386,171ユーロ

2003『モルタデロとフィレモン』           4,985,983人 

2007『永遠のこどもたち』       同   4,420,636

 

このデータはあくまで海外を含めないスペイン国内に限った数字です。海外の興行収入を含めればアメナバルの『アザーズ』の209,947,037米ドル、『インポッシブル』の172,477,293米ドルには追いつけないでしょう。興行収入は消費税や入場料の違いで観客数と一致しません。それに第4回を迎えた「映画の日」(今年は331日~4月2日)が間に挟まったことも後押ししたかもしれない。これは3日間に限りスペインの映画館350館(3038スクリーン)が約三分の一の2ユーロ90セントで見られるという画期的な企画です。日本も消費税増税で入場料が上がりましたが(大人1800円は据置き)、ホントに高いですよね。ちょっとサンダル履きで近くの映画館にぶらり、という気にはなりません。 

                    (写真は初日にマドリードの映画館に集まった観客)

 

いつ50,000,000ユーロを超えるかが話題でしたが、依然勢いは止まらず、とうとう封切りから2ヵ月めに突破してしまいました(円換算だと70億ぐらいになる?)。消費税は20%を超えるから約1050万ユーロが国家の懐に転げこんだ計算になるそうです。それでエル・パイスのコラムニストでもあるダビ・トゥルエバ(ゴヤ賞2014の監督賞受賞)が「さぞかし収税官は濡れての粟で大金をがっぽがっぽ手に入れて、シャンパンでお祝いしてることだろう。しかるに現政権がここ3年間、我々シネアストに対してやってくれたことと言ったら予算削減だけじゃないか」という怒りのコメントを書くことになりました。3年前(20115月)に文化事業に理解のあった社会労働党PSOEから文化軽視のシブチン国民党PPに変わったことを指しているのだと思います。まあ、EUの重病人と腐され、国家存亡の危機にあるのだからPPとしても仕方がないのかもしれません。


それでOcho apellidos vascosの最終数字はどのくらいになる?