セクション・オフィシアル作品*マラガ映画祭2021 ⑥2021年05月13日 11:50

★前回に続いてセクション・オフィシアル作品の紹介。511日にはマラガ映画祭の最高賞マラガ―スール賞にアレハンドロ・アメナバルの発表があり慌ただしくなってきました。開幕まであと3週間となりましたので作品列挙を優先して、その後時間が許す範囲で作品紹介をいたします。メキシコからはオスカー監督アルフォンソ・キュアロンの実弟カルロス・キュアロンの長編第3作となるブラック・コメディ「Amalgama」がノミネートされています。

 

        セクション・オフィシアル

 

③「Destello bravío」(英題「Mighty Frash」)スペイン 2021

製作:Tentación Cabiria / Eddie Saeta

協賛:バダホス地方自治体、カセレス地方自治体、エストレマドゥーラ女性協会、

   エストレマドゥーラ農村基金、エストレマドゥーラ・チャンネル、他

監督・脚本:アイノア・ロドリゲス(マドリード1982

製作者:ルイス・ミニャロ、(エグゼクティブ)アイノア・ロドリゲス

撮影:ウィリー・ハウレギ

編集:ホセ・ルイス・ピカド

キャスト:グアダルペ・グティエレス、カルメン・バルベルデ、イサベル・マリア・メンドサ、

    

       

               (アイノア・ロドリゲス監督)

 

解説:過疎化の進む南スペインの小さな町の女性たちは、特別なことは何も起こらない日常の無関心と、自分たちは幸せであると信じこんでいる場所から解放されたいと願っている。イサ、シタ、マリアの3人の中年女性を焦点にして、美しさの探求と子供のころの憧れが語られる。悪の根源としての家父長制と押しよせるグローバリゼーション、人々が自分の存在の意味を見つけるための寓話。アマチュアの女優を起用して、ドキュメンタリーの手法を採用している。長編デビュー作。

ロッテルダム映画祭2021セクション・オフィシアルのタイガー部門上映(22日)、メキシコのFicuname映画祭(326日)上映、ミステリアス・ドラマ、98分、ティエラ・デ・バロスで撮影。後日作品&監督紹介予定。

 

    

   

     (孤独を抱えた女性たちがスイーツを味わいながら恐怖を語る。映画から)

 

 

④「Las mejores familias」ペルー=コロンビア合作 2020

製作:El Caivo Films / Dynamo

監督:ハビエル・フエンテス=レオン

キャスト:タティアナ・アステンゴ(ルスミラ)、ガブリエラ・ベラスケス(ペタ)、グラシア・オラヨ(カルメン)、グラパ・パオラ、ジェリー・レアテギ、ソニア・セミナリオ、ジョバンニ・Ciccia、セサル・リッター、マルコ・スニノ、ロベルト・カノ、バネッサ・サバ、ヒメナ・リンド、他

 

解説:ルスミラとペタの姉妹は、ペルーの貴族階級のアリシアとカルメンの家で使用人として働いている。彼女たちはファミリーの一員と見なされていた。或る日のこと、町なかでは暴力的な抗議行動が起きているさなかに誕生会が開かれた。ファミリーのメンバー全員がお祝いに集まった。両方のファミリーによって長らく封印されていた秘密が明らかになると、完璧だったはずの貴族階級の世界が泡のように永遠に砕け散った。ペルー社会の構造上の問題、階級主義や人種差別に取り組んだブラック・コメディ。

  

 

      

    

   

            (誕生会に集まった二つの家族)

 

監督紹介ハビエル・フエンテス=レオンは、1968年ペルーのリマ生れ、監督、脚本家、製作者。大学では医学を専攻、映画はロスアンゼルスのカリフォルニア芸術学院で学んだ。デビュー作Contracorriente09)は、サンセバスチャン映画祭2010で新人監督に贈られるセバスティアン賞、サンダンスFF、マイアミ各映画祭観客賞を含む50以上の映画祭で受賞、ゴヤ賞2011ノミネート、オスカー賞2011のペルー代表作品に選ばれている。東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で『波に流れて』の邦題で上映された。主役を演じたのがタティアナ・アステンゴ、第2作アクション・スリラーEl elefante desaparecido14)にもバネッサ・サバと出演している。トロントFFを皮切りに映画祭巡りをした。本作のブラック・コメディが第3作目になる。他にコロンビアを舞台にしたゲリラをテーマにしたTVシリーズDistrito salvaje186話)を手掛けている。

   

   

        (ローマ映画祭2020でのフォトコール、1017日)

 

 

 

⑤「Amalgama」メキシコ 2020

製作:Besos Cosmicos / 11:11 films / LOKAL

監督:カルロス・キュアロン

脚本:カルロス・キュアロン、ルイス・ウサビアガ

撮影:アルフレッド・アルタミラノ

編集:ソニア・サンチェス

製作者:フアンチョ・カルドナ、マノロ・カルドナ、カルロス・キュアロン、(エグゼクティブ)フランシスコ・カルドナ、ホルヘ・ロンバ

 

キャスト:マノロ・カルドナ(ホセ・マリア・チェマ・ゴメス医師)、ミゲル・ロダルテ(ウーゴ・ベラ医師)、トニー・ダルトン(サウル・ブラボ医師)、スティファニー・カヨ(エレナ・ドゥラン医師)、フランシス・クルス(アベリノ・マガニャ医師)、アレハンドロ・カルバ(オマル)、ヒメナ・エレラ(タマラ)、他

   

    

       

    

      (悩み多き4人の歯科医)

 

解説:ゴメス、ベラ、ブラボ、ドゥランの4人の歯科医は、メキシコ有数のリゾート地リビエラ・マヤで開催される歯科学会で偶然出会うことになる。彼らは彼女に惹きつけられるが、彼女は胸中に何か問題を抱えているようだった。もっとも全員がそれぞれの痛みから逃れようとしていた。こうしてカリブの小さな島で、嫉妬、妬みなど、理性を失った週末を一緒に過ごした彼らは、それぞれの人生に深い傷あとを残すことになる。

18回モレリア映画祭2020正式出品(1031日上映)

 

監督紹介:カルロス・キュアロン(クアロン)1966年メキシコシティ生れ、監督、脚本家、製作者。メキシコ国立自治大学で英文学を専攻した。TV、映画、舞台の脚本家としてスタート、実兄アルフォンソの長編デビュー作Sólo con tu pareja91)を共同執筆、アリエル賞脚本賞を揃って受賞した。同じくアルフォンソの『天国の口、終りの楽園』01Y tu mamá también」)で脚本をコラボしている。他にホセ・ルイス・ガルシア・アグラスの「El misterio del Trinidad」(03)の脚本、カルロス・マルコヴィッチのドキュメンタリー「¿ Quién diablos es Juliette ?」(97)を監督とコラボしている。監督長編デビュー作『ルド and クルシ』は、『天国の口、終りの楽園』でブレークしたガエル・ガルシア・ベルナルとディエゴ・ルナのコンビを起用して大ヒット、アリエル賞8部門ノミネーション、メキシコ映画史上第3位となる興行成績を打ち立てた。

   

   

      

          

      (GG・ベルナルとディエゴ・ルナに挟まれたカルロス・キュアロン監督)

  

以下に短編・TVシリーズを除く監督作品を列挙すると、

2008Rudo y Cursi」(『ルド and クルシ』)監督、脚本、

   ニューポートビーチ映画祭2009観客賞受賞、

2013Besos de Azúcal」監督、脚本(ルイス・ウサビアガとの共同執筆)、

   ファンタスポルト2014監督賞受賞

2020Amalgama」監督、脚本、製作