パコ・レオン*フアナ・マシアスのコメディに出演 ― 2014年12月27日 23:34
パコ・レオン、後ろを振り向かない
★監督業と俳優業の「二足の草鞋」人生もバランスよく進行中、レオン家のサーガ<カルミナ>シリーズ第2弾“Carmina y amén”の収益200万ユーロは、充分お釣りがきた(製作費65万)。しかしデビュー作“Carmina o revienta”の製作費はたったの5万ユーロ、収益66万4000ユーロを弾きだした。内訳は、インターネット配信6万回、DVD7万部、映画館が20館で1万7000人だったという。この数字は確実に映画を映画館で見ないという人々が増えてきたことを物語っている。第2作はTelecinco Cinema など製作会社との問題をクリアーして、1日限定無料上映に漕ぎつけた(公開1日前の4月29日、125館)が、これで映画館に観客が戻ってくるとは思えない。しかし映画という「製品販売の新しい革新的な方法」の一つかもしれないし、「初めてのケースは上手くいったように見える、少なくとも多くの人々が映画を見に行ったのだから。この試みが興行収益に寄与したかどうかは知らないが、やってみることに価値がある」と、エルパイス紙の映画コラムニストのカルロス・ボジェロは語っている。
(レオン監督、妹マリア、母親カルミナ、マラガ映画祭2014にて)
(劇場公開前の1日限定無料上映のポスター)
パコ・レオン、ルイスマに別れを告げる
★2005年から始まり今年4月末にクランクアップしたTVシリーズ“Aída”のルイスマLuisma 役にとうとう別れを告げた。本名のパコ・レオンよりルイスマ・ガルシア・ガルシアのほうが有名だった。それもそのはず全237話に出ずっぱり、主役のカルメン・マチ(アイーダ役)だって101話なのだ。特にテレビしか見ない人はルイスマしか知らないとインタビューに答えている。最近の10年間でもっとも成功した俳優の一人に挙げられている。「多くを学び、素晴らしい仲間に出会えた、慌ただしかったことを否定しないが、私は過去を振り返らない主義なんだ」と、元麻薬常用者でいささか脱線気味だったお茶の間のヒーロー、ルイスマを振り返っていた。この長期にわたったTVシリーズの成功は、「ひとえにルイスマを演じたパコ・レオンの魅力、本人とはまったく対照的な人格だったが」とボジェロも評価する。
(ルイスマ役のパコ・レオン)
★テレビ出演前は演劇でもダンスでも、交替で出演する「その他大勢の一人」にすぎなかった。成功のステップは、2003年の暮れから始まったTVシリーズ“Home Zapping”(~2006、41話)に出演したことで、ここでの演技が認められてルイスマ役を射止めた。2007年には別のTVシリーズに掛け持ちで出演していたから慌ただしかったに違いない。
パコ・レオン、カルミナの第3部は撮りますか?
★映画出演では、既に日本に登場しています。ミゲル・マルティの『セクシー・キラー リベンジ・オブ・デッド』(2008、未公開、DVD)、2009年にはホアキン・オリストレルの“Dieta mediterránea”(邦題『地中海式 人生のレシピ』2013年10月公開)の2作。2014年のゴヤ賞作品賞ノミネーション確実と予想していたのに洩れてしまった、ハビエル・ルイス・カルデラのコメディ“Tres bodas de más”などに出演しています。そして6月にフアナ・マシアスの第2作コメディ“Embarazados”に出演が予告されておりましたが、予告通り11月中旬にサンセバスチャン入り、撮影が開始されました。
★クランクインしたばかりですが、サンセバスチャン撮影のあとマドリードに移る。40歳になって初めて親になろうと決心する夫婦の混乱ぶりが語られる。フアナ・マシアス監督によると、「今まで観客が見たことのないパコ・レオンの魅力をお見せする」らしい。お相手は来年には本作を含めて4本の新作に出演、目下引っ張り凧のアレクサンドラ・ヒメネス、公開作品はナチョ・G・ベリジャの『シェフズ・スペシャル』(08)、ハビエル・ルイス・カルデラの『ゴースト・スクール』(12)や『最終爆笑計画』(09、未公開DVD)など、コメディ・ファンにはお馴染みです。完成したら改めてアップいたします。脇役にカラ・エレハルデ、イングリッド・ガルシア・ヨンソン、二人とも第2回フェロス賞にノミネートされています(コチラ⇒2014・12・23)。この第1回の総合司会者がアレクサンドラ・ヒメネスでした。
(ヒメネス、監督、レオン、“Embarazados”記者会見、サンセバスチャンにて)
★カルミナ・シリーズの第3部はないとアナウンスされたようですが、カルミナに代表されるようなアンチ・ブルジョアへの挑発が好きなレオン監督だから期待する向きもあるようだ。いずれにしろコメディ・ドラマを内面化する才能に優れているから、撮るにしろ撮らないにしろ今後が楽しみな40歳です。“Carmina
y amén”はマラガ映画祭で紹介しておりますが(コチラ⇒2014・4・13)、フェロス賞にも7部門ノミネーション、予想通りならゴヤ賞も期待できますので、ラテンビート2015上映を願って再度アップいたします。
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