第17回マラガ映画祭2014*審査員特別賞、他2014年04月11日 19:18

★最優秀作品賞の次に大きい賞が審査員特別賞、こちらもベアトリス・サンチスデビュー作Todos están muertos が受賞しました。他に最優秀女優賞にエレナ・アナヤ、オリジナル・サウンドトラック賞にAkrobats  が受賞。またマラガ大学が選ぶ青年審査員特別賞も受賞しています。330日スペイン公開。

 

*ストーリー、若いころポップ・ロック歌手として輝かしい成功をおさめていたルぺの15年後が語られる。彼女の人生に過去のある幻影が忍び寄ってくる。一方、ちょうど思春期を迎えたテーンエイジャーの息子パンチョとの関係がぎくしゃくしてイライラが募ってくる。
(写真:エレナ・アナヤ、映画から)

 


ベアトリス・サンチスは監督、脚本家、アート・ディレクター。エレナ・アナヤとの5年間(200813)のパートナー関係を昨年の夏解消した。本作がデビュー作、2010年の短編 Mi otra mitad  がワルシャワ映画祭にノミネートされている。Todos están muertos はドイツ、メキシコ、スペイン合作、327日に上映された。他にパブロ・ベルヘルの『ブランカニエベス』のマカレナ・ガルシアが出演している。

(写真:授賞式でのベアトリスとエレナのツーショット)

      


エレナ・アナヤの紹介はもういいかな、アルモドバル『私が、生きる肌』(2011)やフリオ・メデム『ローマ、愛の部屋』(2010)などで認知度バツグンだから。2012年のマラガ賞受賞者でもある(写真は自分の記念碑の前で)。

 


最優秀男優賞受賞のフアン・ディエゴのゴヤ賞受賞が早くも取りざたされているのが、チェマ・ロドリゲスの Anochece en la India です。これも長編映画としてはデビュー作です。他にホセ・マヌエル・ガルシア・モヤノが最優秀編集賞を受賞している。411日スペイン公開。

 


*ストーリー、下半身不随の老ヒッピーの車椅子冒険ロード・ムービー。リカルド(フアン・ディエゴ)は人生の最期をインドで迎えようと、ルーマニア女性ダナ(クララ・ボダ)を介助者にして車椅子での旅を決心する。ヨーロッパを横断、トルコ、パキスタンとインドに向かうが本当に辿りつけるのでしょうか。

(写真:映画のワンシーンから、右が実際もルーマニア人のクララ・ボダ)

 


チェマ・ロドリゲスは、1967年セビリャ生れ、作家、監督、脚本家。テレビのドキュメンタリー映画ではベテラン。2006年の Estrellas de la Linea が、ベルリン映画祭パノラマ部門で観客賞を受賞している。また2006年のマラガ映画祭で審査員特別メンション、サンセバスチャン映画祭でセバスチャン賞、カルロヴィ・ヴァリ、モントリオール、エジンバラ、シカゴ等々に正式出品は多数。その他 Coyote 2009)、El abrazo de los peces 2011)が代表作。

(写真:左からディエゴ、監督、共演のハビエル・ペレイラ。記者会見にて)

 


フアン・ディエゴ1942年セビリャ生れ)が下半身不随の老ヒッピーのリカルドを演じます。車椅子で出発、ヨーロッパを横断してインドに到達しようと旅に出る。勿論死出の旅ですよ。わざわざ何でインドまで行って死にたいのか。ずっと車椅子の撮影だから、ディエゴは断るだろうと思ったと監督。ディエゴ自身も「自分とかけ離れたもの、下半身不随とかヒッピーとかね、そういう役は好きじゃない」と。まず撮影前の5カ月間、車椅子で暮らしてみることにした。散歩も車椅子、知り合いやファンが「どうしたんだい?」と()。座りづめで体は浮腫むし、車椅子から転落しそうになるしで恐怖だったそうです。しかしそうこうしているうちに何故リカルドがインドにまで旅して死にたいかが理解できるようになったと。萎えた足で椅子に縛り付けられた人生がどんなものか、飽き飽きしてたんだよ。

 

「死を望むのは、人生をこよなく愛しているから」なんですね。愛と失われた時間の取り戻しがテーマでしょうか。館内が一番沸いた映画だったそうで、早く見たい1本です。最近ディエゴが出演したマリオ・カムスの『無垢なる聖者』(1984)をUPしましたが、もう演技は言うことなし。いずれ日本上陸、きちんとご紹介できる機会が必ず訪れると思います。

 

★今年は観客賞もエンリケ・ガルシアのデビュー作 321 dias en Michigan が選ばれた。助演男優賞にもサルバ・レイナエクトル・メディナが同時受賞、新人監督が際立った年だった。

 

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