金貝賞はジョージア映画「Dasatskisi / Beginning」が受賞*サンセバスチャン映画祭2020 ⑮ ― 2020年09月28日 10:58
フランス合作のジョージア映画が金貝賞以下4冠の快挙
★9月26日、第68回サンセバスチャン映画祭の結果発表がありました。進行役の総合司会はエドゥルネ・オルマサバル(バスク語)とフアン・ディエゴ・ボト(スペイン語)のコンビでした。作品賞に当たる金貝賞は、フランス合作のジョージア映画「Dasatskisi / Beginning」が受賞、その他、監督賞にデア・クルムベガシュビリ、女優賞イア・スクヒタシュビリ、脚本賞デア・クルムベガシュビリとラティ・オネリの2人と、主要7部門の4冠をゲット、これは本映画祭の作品賞(金貝賞)と監督賞(銀貝賞)はダブらせないという基本ルールを逸脱しています。よほど素晴らしかったのか、あるいは他作品がよほど見劣りしていたのかどちらでしょうか。
(金貝賞受賞の「Dasatskisi / Beginning」のプロデューサー)
(両手でも4個はさすがに重いとデア・クルムベガシュビリ)
★68回開催された本映画祭でも、作品賞と監督賞がダブルで受賞したのは2014年以来、それはカルロス・ベルムトのオタク映画『マジカル・ガール』が受賞したとき以来です。その際は会場がざわめき、結果を疑問視する声が聞かれるほどでしたが、ダブル受賞3度目となる今回はどうだったのでしょう。映画賞ではなく国際映画祭の賞なのですから腑に落ちません。審査員はオープニング・セレモニーでアップ済みですが、審査委員長ルカ・グァダニーノ、ミシェル・フランコ、ジョー・アルウィン、マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、レナ・Mossumの5名でした。
*セクション・オフィシアルの審査員については、コチラ⇒2020年09月21日
★既に報道されているようですが、最優秀撮影賞に佐藤快磨監督のデビュー作『泣く子はいねぇが』の月永雄太が受賞、2人とも来サンセバスティアンできず、動画で感謝のメッセージを送りました。デビュー作がセクション・オフィシアルにノミネートされること自体が珍しく受賞は尚更のこと、是枝監督企画が功を奏しているか。公開が11月20日に決定しています。
★審査員特別賞には、ジュリアン・テンプルの音楽ドキュメンタリー「Crock of Gold: A Few Rounds With Shane MacGowan」が受賞しました。製作者と出演者を兼ねたジョニー・デップは既に帰国、登壇しませんでした。残る男優賞には、カンヌ映画祭にノミネートされていたトマス・ヴィンターベアの「Druk / Another Round」出演の、マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、マグヌス・ミラング、ラース・ランゼの4名が受賞しましたが、4人とも動画出演でした。以上がシェル賞と作品賞に次ぐ大賞審査員特別賞を含めた主要7部門の受賞者です。
◎金貝賞(作品賞)
「Dasatskisi / Beginning」(フランス=ジョージア)
製作:FIRST PICTURE(Ilan Amouyal, David Zerat)/ O. F. A.(ラティ・オネリ)
*プレゼンターは、審査委員長ルカ・グァダニーノ
(ルカ・グァダニーノからトロフィーを受け取るDavid Zerat)
◎審査員特別賞
「Crock of Gold: A Few Rounds With Shane MacGowan」(ドキュメンタリー、イギリス)
監督:ジュリアン・テンプル
*プレゼンターは、審査委員長ルカ・グァダニーノ
(製作者ジョニー・デップは帰国して欠席)
◎監督賞(銀貝賞)
デア・クルムベガシュビリ Dea Kulumbegashvili
(ジョージア映画「Dasatskisi / Beginning」)
*プレゼンターは、審査員ミシェル・フランコ
(ミシェル・フランコからトロフィーを受け取るデア・クルムベガシュビリ)
◎女優賞(銀貝賞)
イア・スクヒタシュビリ Ia Sukhitashvili
(ジョージア映画「Dasatskisi / Beginning」)
*プレゼンターは、審査員イギリスの俳優ジョー・アルウィン
(受賞後のプレス会見のイア・スクヒタシュビリ、トロフィーは代理が受け取った)
(イア・スクヒタシュビリ、映画から)
◎男優賞(銀貝賞)
マッツ・ミケルセン、トマス・ボー・ラーセン、マグヌス・ミラング、ラース・ランゼ
(デンマーク映画「Druk / Another Round」(トマス・ヴィンターベア監督、デンマーク=スウェーデン=オランダ)。動画出演のため、ポスター。
*プレゼンターは、審査員レナ・Mossum
(カンヌ映画祭のマークが入ったポスター)
◎脚本賞(審査員賞)
デア・クルムベガシュビリ&ラティ・オネリ
(ジョージア映画「Dasatskisi / Beginning」)
*プレゼンターは、審査員マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス
(ラティ・オネリは欠席、マスク姿のクルムベガシュビリ)
◎撮影賞(審査員賞)
月永雄太
(日本映画、佐藤快磨『泣く子はいねぇが』)
(撮影賞受賞後に作成されたポスター)
★4冠受賞のデア・クルムベガシュビリ監督の「Dasatskisi / Beginning」を製作し、今回脚本賞も受賞したラティ・オネリは、「ジョージア映画祭2018」で上映されたドキュメンタリー『陽のあたる町』(17)の監督、翌年公開もされた。先述したように男優賞受賞のトマス・ヴィンターベアの「Druk / Another Round」は、カンヌ映画祭2020のコンペティション部門ノミネートされていた作品でした。カンヌFFのディレクター、ティリー・フレモーも現地入りした甲斐がありました。
*金貝賞の発表後、クロージング作品「El olvido que seremos / Forgotten We’ll Be」(コロンビア)のフェルナンド・トゥルエバ監督と主役エクトル・アバド・ファシオリンセを演じたハビエル・カマラが登壇してお行儀良かった会場も少し盛り上がりました。座席も半分ほどに制限され、例年とは違う寂しい授賞式でした。最後に受賞者全員と審査員たちが登壇して幕となりました。まだ適当なフォトが入手できませんが、後ほど追加します。
(ハビエル、白いワイシャツがトゥルエバ監督)
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