<続>ホライズンズ・ラティノ部門*サンセバスチャン映画祭2020 ⑧ ― 2020年09月09日 17:28
★ホライズンズ・ラティノ部門の残り4作のラインナップ、女性シネアストの活躍が目につきました。既に他の先行映画祭でプレミアされています。
◎ Selva trágica (Tragic Jungle)メキシコ=フランス=コロンビア 2020年
監督:ユレネ・オライソラ、脚本:ルベン・イマス、ユレネ・オライソラ、撮影:ソフィア・Oggioni、音楽:アレハンドロ・オタオラ、編集:ルベン・イマス、ユレネ・オライソラ、イスラエル・カルデナス、他
映画祭・受賞歴:ベネチア映画祭オリゾンティ部門、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門正式出品
データ:ユレネ・オライソラ(メキシコシティ1983)の長編第3作目、ドキュメンタリーで出発評価を得る。他にルベン・イマスとの共同作品がある。ドラマ、96分、スペイン語、マヤ語、英語
キャスト:インディラ・ルビエ・アンドレウィン(アグネス)、ヒルベルト・バラサ(アウセンシオ)、Dale Carley(カシーケ)、ラサロ・ガビノ・ロドリゲス(エル・カイマン)、他
ストーリー:1920年、メキシコとベリーズの国境地帯、マヤのジャングルの奥深く、そこには法は存在せず神話が支配していた。ゴム栽培で働くメキシコの労働者たちは、ベリーズのミステリアスな美貌のアグネスに魅了されていた。彼女の存在が男たちの性的興奮、幻想、欲望を掻き立てていた。新しい生命力に溢れた彼らは、ジャングルの中心から見張っている伝説のXtabayを目覚めさせたことにも気づかずに運命と向き合うことになる。

◎ Sin señas particulares (Identifying Features)メキシコ=スペイン
監督:フェルナンダ・バラデス、脚本:フェルナンダ・バラデス、アストリッド・ロンデロ、撮影:クラウディア・べセリル・ブロス、編集:フェルナンダ・バラデス、アストリッド・ロンデロ、スーザン・コルダ、音楽:クラリス・ジェンセン
データ:フェルナンダ・バラデス(グアナフアト1981)は監督、脚本家、製作者、編集者、長編デビュー作、ドラマ、99分
映画祭・映画賞:SSIFF2019シネ・エン・コンストルクシオン36の受賞作、サンダンス映画祭2020ワールド・シネマ部門観客賞&審査員特別脚本賞受賞、他
キャスト:メルセデス・エルナンデス(マグダレナ)、ダビ・イジェスカス(ミゲル)、フアン・ヘスス・バレラ(ヘスス)、アナ・ラウラ・ロドリゲス、ラウラ・エレナ・イバラ、他
ストーリー:マグダレナは合衆国との国境沿いで行方不明になった息子を探すための旅に出る。マグダレナのメキシコの荒涼とした風景をめぐる道のりで、最近アメリカから退去を余儀なくされたという青年ミゲルに出会う。二人は連れ立って、マグダレナは息子を、ミゲルは失踪した母親を探す。二人の被害者は加害者たちが猛威を振るう不法地帯を一緒にさまよう。
追加情報:『息子の面影』の邦題で、ラテンビート2020の上映が決定。



◎ Todos os mortos (All The Dead Ones)ブラジル=フランス、2020
監督・脚本:カエタノ・ゴタルゴ、マルコ・デュトラ、撮影:Helena Louvarto、編集:カエタノ・ゴタルゴ、マルコ・デュトラ、ジュリアナ・ホジャス、Gui Braz
データ:カエタノ・ゴタルゴ(ビラ・ベルア1981)、マルコ・デュトラ(サンパウロ1980)、言語ポルトガル、ドラマ、120分、公開予定ブラジル、フランス
映画祭・受賞歴:ベルリン映画祭2020コンペティション部門正式出品、リスボン・インデーズ映画祭銀賞受賞、グラマド映画祭(ブラジル)ノミネート、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門ノミネート
キャスト:カロリナ・ビアンチ(アナ・ソアレス)、Mawusi Tulani(イナ・ナシメント)、クラリッサ・キステ(マリア・ソアレス)、タイア・ぺレス(アナの母イサベル)、Rogerio Brito(アントニオ)、Agyel Augusto(イナの息子)、他
ストーリー:1899年サンパウロ、奴隷制が廃止されてから数十年経つ。町は急速に発展している。以前は領地と奴隷を所有していたソアレス一家の3人の女性がサンパウロに戻ってきたばかりである。最後の使用人が亡くなると、ブラジルの急激な変化に順応していけない。一方ソアレス農場で奴隷として働いていたナシメント一家は、自由の身にはなったが黒人の居場所がない社会に向き合っている。ブラジルの過去と現在の中で、すべての人々が生きる残るために闘っている。

(主演者5人を配したポスター)

(アナ役のカロリナ・ビアンチ)

(マリア役のクラリッサ・キステと母イサベル役のタイア・ぺレス)
◎ Visión nocturna(Night Shot)チリ 2019
監督・撮影:カロリナ・モスコソ、脚本:カロリナ・モスコソ、マリア・パス・ゴンサレス、編集:フアン・エドゥアルド・ムリーリョ、音楽:カミラ・モレノ
データ:カロリナ・モスコソ(サンティアゴ1986)は監督、編集者、チリ大学、バルセロナのポンペウ・ファブラ大学で映画を学ぶ。ドキュメンタリー、80分、本作が長編デビュー作。
映画祭・受賞歴:バルディビア映画祭2019(10月)特別審査員賞、FIDマルセーユ映画祭2020(7月)インターナショナル部門グランプリ受賞、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門正式出品
ストーリー:8歳のときサンティアゴ近郊の海辺で襲われた、若いシネアストが性暴力を受けた被害者の疵と沈黙について物語る。被害者は自分を責め、恥ずかしさのため沈黙する。実際にレイプとは一体何か、被害者に寄り添うにはどうしたらよいか、そして何時終わるのか、友情と援助、柔軟で親密さに溢れたドキュメンタリー。



★金貝賞を競うコンペティション部門のクロージング作品にフェルナンド・トゥルエバ監督の「El olvido que seremos」(Forgotten We'll Be)が選ばれました。本作は最初のエントリーには含まれていなかった作品です。カンヌ映画祭2020にコロンビア映画としてノミネートされたものですが、結局カンヌは開催されませんでしたから想定内の決定と思われます。詳細についてはアップ済みです。
*「El olvido que seremos」の内容紹介は、コチラ⇒2020年06月14日

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