ゴヤ栄誉賞2019にナルシソ・イバニェス・セラドール*ゴヤ賞2019 ② ― 2018年12月03日 11:51
ホラーとファンタジー映画の草分けチチョ・イバニェス・セラドールに栄誉賞
★11月27日、ゴヤ栄誉賞に ’チチョ’ の愛称で親しまれている監督、脚本家、俳優のナルシソ・イバニェス・セラドール受賞をスペイン各紙が一斉に報じました。栄誉賞の便りが届くと「やれやれ今年も終わりか」と年の瀬を実感します。2017年はアナ・ベレンの9月初め、2018年はマリサ・パレデスの10月中頃と発表が早かったが、今年は例年に戻ったようです。女優が2年続きましたので今年は男性かなと予想していました。12月中頃にはゴヤ賞全体のノミネーションも発表になるでしょう。2019年のガラはマドリードを離れてセビーリャで2月2日開催が既に決定しています。
(ナルシソ・イバニェス・セラドール、2017年ごろ)
★スペインのホラー、ファンタジー映画に筋道をつけたシネアスト、後に続くフアン・アントニオ・バヨナ、ロドリゴ・コルテス、アレハンドロ・アメナバル、アレックス・デ・ラ・イグレシア、ジャウマ・バラゲロ、マテオ・ヒル、エンリケ・ウルビス、パコ・プラサほか多くの若手監督に影響を与えた。いずれも当ブログでもお馴染みのシネアストたちです。第4回フェロス賞2017栄誉賞を受賞した際には、車椅子で登場、デ・ラ・イグレシアからトロフィーを受け取りました。
*第4回フェロス賞2017の受賞の記事は、コチラ⇒2017年01月29日
(デ・ラ・イグレシアからフェロス賞栄誉賞のトロフィーを受け取るチチョ)
★ナルシソ ’チチョ’ イバニェス・セラドールNarciso ‘Chicho’ Ibañez Serradorは、1935年ウルグアイのモンテビデオ生れの監督、TVシリーズ製作者、脚本家(ペンネーム、ルイス・ペニャフィエル)、俳優。当時アルゼンチンで仕事をしていたスペインの舞台監督ナルシソ・イバニェス・メンタとアルゼンチン女優ペピータ・セラドールの一人息子。ウルグアイとスペインの二重国籍を持っている。幼少期は両親のラテンアメリカ諸国巡業について回り子役としてステージにも立っていたが、丈夫でなかったせいか本好きの子供だった。1940年両親が離婚、1947年スペインに渡りサラマンカの高校で学ぶ。50年代は母親が所属していた劇団で俳優として働き、テネシー・ウィリアムズのヒット戯曲『ガラスの動物園』で舞台演出家としてデビューを果たした。
★1957年アルゼンチンTVで仕事をしていた父親とのコラボを開始、エドガー・アラン・ポーやロバート・ルイス・スティーブンソンのTVシリーズを制作、舞台演出、ラジオなど共同で働いた。演劇は彼の学校であり大学でもあったが、次第に「役者より監督や脚本に魅了されていった」と語っている。1963年スペインに戻り、TV界で仕事を得る。ユーモアをちりばめたホラー・シリーズ「Historias para no dormir」(66)が1967年モンテカルロ・テレビ・フェスティバルで脚本賞を受賞、これはスペイン初のテレビ番組の国際賞だった。1968年、先輩監督ハイメ・デ・アルミニャンと共同執筆した「Historia de la frivolidad」が、最初はなかば秘密裏に放映されていたにも拘わらず批評家からも認められた。検閲制度をコミカルにパロディー化したもので、モンテカルロでも高評価だった。当時スペインはフランコ体制で、いかに検閲を潜り抜けるかに神経をすり減らしていた。ハイメ・デ・アルミニャンは、2014年にゴヤ賞栄誉賞を受賞している。
*ハイメ・デ・アルミニャンのゴヤ栄誉賞受賞の記事は、コチラ⇒2014年01月17日
(「Historias para no dormir」のポスター)
(「Historias para no dormir」撮影中のチチョ)
★ホラー・ファンタジー映画の代表作は、1969年の「La residencia」(英仏との合作)は、フアン・テバールの小説の映画化、ミステリー・ホラーということもあって邦題『象牙色のアイドル』として1972年6月に公開された。1976年の「¿ Quién puede matar a un niño ?」(「Who Can Kill A Child?」)は、2001年『ザ・チャイルド』の邦題でDVD化され、2008年に30周年特別版も発売されている。2013年にはメキシコでリメイクされているが、オリジナル版にあった政治的なテーマが消え、ホラー色が強くなっている。
(「La residencia」のポスター)
(オリジナル版「¿ Quién puede matar a un niño ?」のシーンから)
★また2006年TVムービー「Pelicula para no dormir」6作品の監修を手掛け、自身も「La culpa」(『産婦人科』)を監督した。このシリーズは「スパニッシュ・ホラー・プロジェクト」として全6作がWOWOWで放映され、スパニッシュ・ホラーのファンに歓迎された。因みに他の監督は、現在スペイン映画界を牽引している、アレックス・デ・ラ・イグレシア、エンリケ・ウルビス、ジャウマ・バラゲロ、パコ・プラサ、マテオ・ヒルの5人です。
(「La culpa」のポスター)
★愛煙家としてもつとに有名で、葉巻を常に手にしている。1970年制作会社「Prointel」を設立、今や伝説化している長寿TVゲームショー「Un dos tres.....responda otra vez」(1972~2004)をプロデュースした。上記のフェロス賞2017の他、2002年演劇賞ロペ・デ・ベガ賞、テレビ国民賞2010他、「Hablemos de sexo」で最優秀プログラム賞、金のアンテナ賞、アイリス賞など受賞歴は多数。
(葉巻を手放さないチチョ・イバニェス・セラドール)
★「チチョにとって何が怖い?」「仕事に挫折することだね」「じゃ、死は?」「もう怖くないよ」「生まれ変わったら何になりたい?」「同じ仕事を選ぶが、もっと良いのを作りたい」と「エル・ムンド」のインタビューに応えていた。
第24回ホセ・マリア・フォルケ賞2019*ノミネーション発表 ― 2018年12月06日 15:35
ベテランに交じってアランチャ・エチェバリアの『カルメン&ロラ』も
★ラテンビート2018で上映されたアランチャ・エチェバリアのデビュー作『カルメン&ロラ』がフィクション部門の作品賞にノミネーション、ちょっとしたサプライズです。他はベテランのハビエル・フェセル、常に問題作を撮っているロドリゴ・ソロゴジェン、サンセバスチャン映画祭の話題を攫ったイサキ・ラクエスタと知名度も抜群の監督たちです。昨年のノミネーションには、パブロ・ベルヘルの『アブラカダブラ』、カルラ・シモンの『悲しみに、こんにちは』が入り、スペイン映画では重要な映画賞、続くフェロス賞やゴヤ賞の前哨戦の意味愛があります。スペインの映画賞としては年明け早々もっとも早く、授賞式は2019年1月12日、開催地は昨年に引き続きホセ・マリア・フォルケの生れ故郷、北スペインのサラゴサです。昨年カルロス・サウラが受賞した栄誉賞は間もなく発表になる予定です。
(中央が EGEDA エンリケ・セレソ会長)
★選考母体はEGEDA、1990年創設された視聴覚著作権管理協会、初代会長ホセ・マリア・フォルケの功績を讃えて製作者に与えられる映画賞です。従って監督賞はありませんが、昨今では監督が製作者の一人というケースが多く、知名度が低い製作者ではなく、監督名でアナウンスされるようです。カテゴリーは栄誉賞を含めて8部門です。(★印は当ブログ紹介作品)
*第23回フォルケ賞2018の記事は、コチラ⇒2017年12月24日/2018年01月15日
◎長編映画賞(フィクション&アニメーション、副賞30,000ユーロ)
「Campeones」ハビエル・フェセル(アカデミー外国語映画賞スペイン代表作品) ★
「Carmen y Lola」『カルメン&ロラ』アランチャ・エチェバリア
(カンヌ映画祭「監督週間」) ★
「El reino」ロドリゴ・ソロゴジェン(サンセバスチャン映画祭コンペティション) ★
「Entre dos aguas」イサキ・ラクエスタ(サンセバスチャン映画祭金貝賞・監督賞受賞) ★
(「Entre dos aguas」が抜けていますが、「El reino」「Campeones」「Carmen y Lola」)
◎長編ドキュメンタリー賞(同6,000ユーロ)
「El silencio de otros」ロバート・バハー&アルムデナ・カラセド
(ベルリン映画祭「パノラマ」)
「Apuntes para una película de atracos」エリアス・レオン・シミニアニ
「Dessenterrando Sad Hill」『サッド・ヒルを掘り返せ』(2017)ギジェルモ・デ・オリベイラ
「Camarón: flamenco y revolución」アレシス・モランテ
◎短編映画賞(同3,000ユーロ)
「Nueve pasos」マリサ・クレスポ&モイセス・ロメラ
「Cerdita」カルロタ・ペレダ
「Matria」アルバロ・ガゴ
◎男優賞(同3,000ユーロ、Aisge*基金より)
アントニオ・デ・ラ・トーレ「El reino」★
ハビエル・グティエレス「Campeones」★
ハビエル・バルデム「Todos lo saben」『エブリバディ・ノウズ』アスガー・ファルハディ
(カンヌ映画祭オープニング作品)★
ホセ・コロナド「Tu hijo」ミゲル・アンヘル・ビバス
(バジャドリード映画祭オープニング作品)★
◎女優賞(同3,000ユーロ、Aisge基金より)
アレクサンドラ・ヒメネス「Las distancias」エレナ・トラペロ
(マラガ映画祭「金のビスナガ」)★
エバ・リョラチ「Quién te cantará」カルロス・ベルムト
(サンセバスチャン映画祭コンペティション)★
ペネロペ・クルス「Todos lo saben」★
バルバラ・レニー「Petra」ハイメ・ロサーレス(カンヌ映画祭「監督週間」、
サンセバスチャン映画祭「ペルラス」)★
◎長編イベロアメリカ映画賞(同6,000ユーロ)
「Roma」『ローマ』アルフォンソ・キュアロン(ベネチア映画祭「金獅子賞」)メキシコ
「Las herederas」『相続人』マルセロ・マルティネシ
(ベルリン映画祭「アルフレド・バウアー」賞他)パラグアイ他 ★
「La noche de 12 años」アルバロ・ブレッヒナー(ベネチア映画祭「オリゾンティ」、
サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」)ウルグアイ他 ★
「Sergio y Serguei」『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』エルネスト・ダラナス
(サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」)キューバ他 ★
◎Cine y Educación en Valores(副賞なし)
「Campeones」★
「Carmen y Lola」★
「La enfermrdad del domingo」『日曜日の憂鬱』ラモン・サラサール
(ベルリン映画祭「パノラマ」)★
◎EGEDA 金のメダル(栄誉賞)
*12月06日段階では未発表
*Aisgeは、声優、舞踊家を含む全アーティストの権利を守る非営利団体。
*管理人覚え*
*「Campeones」の紹介記事は、コチラ⇒2018年06月12日
*「Carmen y Lola」『カルメン&ロラ』の紹介記事は、コチラ⇒2018年05月13日
*「El reino」の紹介記事は、コチラ⇒2018年07月25日
*「Entre dos aguas」の紹介記事は、コチラ⇒2018年07月25日
*「Todos lo saben」『エブリバディ・ノウズ』の紹介記事は、コチラ⇒2018年05月08日
*「Tu hijo」の紹介記事は、コチラ⇒2018年10月27日
*「Las distancias」の紹介記事は、コチラ⇒2018年04月27日
*「Quién te cantará」の紹介記事は、コチラ⇒2018年07月25日
*「Petra」の紹介記事は、コチラ⇒2018年08月08日
*「Las herederas」『相続人』の紹介記事は、コチラ⇒2018年02月16日/02月27日
*「La noche de 12 años」の紹介記事は、コチラ⇒2018年08月27日
*「Sergio y Serguei」『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』の紹介記事は、
コチラ⇒2018年04月12日
*「La enfermrdad del domingo」『日曜日の憂鬱』の紹介記事は、
コチラ⇒2018年02月22日/06月21日
*「Roma」『ローマ』Netflixにて12月14日配信開始
第6回フェロス賞2019*ノミネーション発表 ― 2018年12月07日 18:32
ロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」が最多の10個ノミネーション
★12月5日「フェロス賞」2019のノミネーションが発表になりました。「フォルケ賞」の次に開催され、ゴヤ賞の前哨戦といわれていますがカテゴリーが異なっていたり、TVシリーズがあったりと重なりません。選考母体のAICE(スペイン映画ジャーナリスト協会)は、ゴールデン・グローブ賞と同じ批評家やジャーナリストなどプロの団体ですから、自ずとゴヤ賞とは評価の視点が違っています。第6回は2019年1月19日、マドリードを離れてバスク州の州都ビルバオで開催されます。2019年はゴヤ賞がセビーリャ、フォルケ賞がサラゴサ、ガウディ賞がバルセロナと、マドリード開催は一つもないという異例の年になります。下の写真は、昨年『ホーリー・キャンプ!』でコメディ部門の受賞者となったハビエル・アンブロシとハビエル・カルボのコンビ、通称「ロス・ハビ」と、マリア・ゲーラAICE会長です。
(ロス・ハビに挟まれたマリア・ゲーラ会長、2018年12月5日)
★今年のサンセバスチャン映画祭「金貝賞」の受賞作品、フォルケ賞にもノミネーションされていたイサキ・ラクエスタの「Entre dos aguas」がゼロ個というのはサプライズです。今回最多の10個をノミネートされた「El reino」は、反対にSSIFFでは無冠に終ったのでした。下の写真は、左上段「El reino」のアントニオ・デ・ラ・トーレと「Arde Madrid」のパコ・レオン、インマ・クエスタ、アンナ・カスティーリョ、下段「Quién te cantará」のナイワ・ニムリと「El día de mañana」のオリオル・プラ、アウラ・ガリード、この4作がどうやら映画部門(ドラマ)とTVシリーズ部門の有力候補のようです。
(ドラマ部門とTVシリーズ部門の有力候補)
* 第5回フェロス賞の結果発表は、コチラ⇒2018年01月23日
*映画部門ノミネーション*(初出に監督名、★印は当ブログ紹介作品)
◎作品賞(ドラマ)
「Carmen y Lola」『カルメン&ロラ』 監督アランチャ・エチェバリア 4個 ★
「Petra」 監督ハイメ・ロサーレス 5個 ★
「Quién te cantará」 監督カルロス・ベルムト 8個 ★
「El reino」 監督ロドリゴ・ソロゴジェン 10個 ★
「Todos lo saben」『エブリバディ・ノウズ』 監督アスガー・ファルハディ 6個 ★
「Viaje al cuarto de una madre」 監督セリア・リコ・クラベリーノ 3個
◎作品賞(コメディ)
「Campeones」 監督ハビエル・フェセル ★
「Casi 40」 監督ダビ・トゥルエバ ★
「Mi querida cofradía」 監督マリア・ディアス・デ・ロペ
「Superlópez」 監督ハビエル・ルイス・カルデラ
「Tiempo después」 監督ホセ・ルイス・クエルダ
◎監督賞
アランチャ・エチェバリア「Carmen y Lola」★
ハビエル・フェセル「Campeones」 ★
ラモン・サラサール「La enfermedad del domingo」『日曜日の憂鬱』★
ロドリゴ・ソロゴジェン「El reino」★
カルロス・ベルムト「Quién te cantará」★
◎主演女優賞
ペネロペ・クルス 「Todos lo saben」★
ロラ・ドゥエニャス 「Viaje al cuarto de una madre」
アレクサンドラ・ヒメネス 「Las distancias」★
バルバラ・レニー 「Petra」★
エバ・リョラチ 「Quién te cantará」★
◎主演男優賞
ハビエル・バルデム 「Todos lo saben」★
ホセ・コロナド「Tu hijo」 監督ミゲル・アンヘル・ビバス ★
ハビエル・グティエレス「Campeones」★
ハビエル・レイ「Sin fin」 監督セサル=ホセ・エステバン・アレンダ ★
アントニオ・デ・ラ・トーレ「El reino」★
◎助演女優賞
アンナ・カスティーリョ「Viaje al cuarto de una madre」
バルバラ・レニー「Todos lo saben」★
ナタリア・デ・モリーナ「Quién te cantará」★
マリサ・パレデス「Petra」★
アナ・ワヘネル「El reino」★
◎助演男優賞
ジョアン・ボテイ「Petra」★
エドゥアルド・フェルナンデス「Todos lo saben」★
イグナシオ・マテオス「Animales sin collar」 監督ホタ・リナレス
ホセ・マリア・ポウ「El reino」★
ルイス・サエラ「El reino」★
◎脚本賞
アランチャ・エチェバリア 「Carmen y Lola」★
ハイメ・ロサーレス、ミシェル・ガスタンビデ、クララ・ロケ「Petra」★
カルロス・ベルムト「Quién te cantará」★
ロドリゴ・ソロゴジェン、イサベル・ペニャ「El reino」 ★
セリア・リコ・クラベリーノ「Viaje al cuarto de una madre」
◎オリジナル音楽賞
ルカス・ビダル「El árbol de la sangre」 監督フリオ・メデム
ニコ・カサル「La enfermedad del domingo」★
アルベルト・イグレシアス「Quién te cantará」★
オリビエル・アルソンOlivier Arson「El reino」★
アルベルト・イグレシアス「Yuli」 監督イシアル・ボリャイン ★
◎予告編賞
ミゲル・アンヘル・トゥルドゥ、ラファ・マルティネス「Campeones」★
ペドロ・ヒメネス「Carmen y Lola」★
ミゲル・アンヘル・トゥルドゥ「Quién te cantará」★
ラファ・マルティン「El reino」★
アスガー・ファルハディ「Todos lo saben」★
◎ポスター賞
バルバラ・マグダレナ「Ana de día」 監督アンドレア・ハウリエタJaurrieta
エレナ・カスティーリョ「Las distancias」 ★
ジョルディ・リン「La enfermedad del domingo」★
カルロス・ベルムト「Quién te cantará」★
ゴンサロ・ルテ「El reino」★
*TVシリーズ部門ノミネーション*
◎ドラマ部門
「El día de mañana」(シーズン1)
「Élite」(シーズン1)『エリート』の邦題でNetflix配信中
「Fariña」(シーズン1)
「Gigantes」(シーズン1)監督エンリケ・ウルビス&ホルヘ・ドラド ★
「La peste」(シーズン1)
◎コメディ部門
「Arde Madrid」(シーズン1)監督パコ・レオン&アンナ・R・アコスタ ★
「Paquita Salas」(シーズン2)
「Vergüenza」 (シーズン2)
◎主演女優賞
マレナ・アルテリオ「Vergüenza」
インマ・クエスタ「Arde Madrid」
アウラ・ガリード「El día de mañana」
ナイワ・ニムリ「Vis a vis」
エバ・ウガルテ「Mira lo que has hecho」
◎主演男優賞
Brays Efe「Paquita Salas」
ハビエル・グティエレス「Vergüenza」
パコ・レオン「Arde Madrid」
オリオル・プラ「El día de mañana」
ハビエル・レイ「Fariña」
◎助演女優賞
アンナ・カスティーリョ 「Arde Madrid」
ベレン・クエスタ 「Paquita Salas」
ファビアナ・ガルシア「Arde Madrid」
デビ・マサール「Arde Madrid」
リディア・サン・ホセ「Paquita Salas」
◎助演男優賞
ヘスス・カロサ「El día de mañana」
カラ・エレハルデ「El día de mañana」
アントニオ・ドゥラン・’モリス’「Fariña」
ミゲル・レリャン「Vergüenza」
マノロ・ソロ「La peste」
フリアン・ビリャグラン「Arde Madrid」
*「Gigantes」の紹介記事は、コチラ⇒2018年07月29日
*「Arde Madrid」の紹介記事は、コチラ⇒2018年08月19日
マルティネス=ラサロが三度ダニ・ロビラとタッグを組んだ「Miamor perdido」 ― 2018年12月14日 15:10
二人は法的に結婚していませんが「事実上のカップル」です!
(ダニ・ロビラとミシェル・ジェンネルを配した「Miamor perdido」)
★エミリオ・マルティネス=ラサロ(マドリード、1945)の新作「Miamor perdido」は、「オチョ・アペリードス・バスコス」、『オチョ・アペリードス・カタラネス』と三部作の体裁をとっているようです。監督はステージでダニ・ロビラ(マラガ、1980)の2時間に及ぶ独演会を見てからというものぞっこんで、浮気もせずにひたすらダニを想っている。「私たちは映画では事実上のカップルです。それで(彼を主役に)長編3作をひたすら撮り続けています。つまり彼より私のほうが誠実だということです」。それなのにダニは「僕は、若気の至りというか、ちょっぴり尻軽で、あっちこっちつまみ食いが必要なんです」と自己分析。たくさんの監督からオファーを受けて、エミリオ一筋とはいかないのです(笑)。
(ミシェル・ジェンネル、エミリオ・マルティネス=ラサロ、ダニ・ロビラ)
★ロビラは Netflix で配信された『オチョ・アペリードス・カタラネス』のあと本作まで5作に出演しています。なかで先月下旬500館で封切られた、スーパーマンのパロディ「Superlópez」は20年ぶりの新バージョン、批評家の評価も高く、興行成績もバツグンとくれば言うことなしです。1973年Janによって造形されたコミックの映画化。監督は『SPY TIMEスパイタイム』のハビエル・ルイス・カルデラがメガホンをとりました。ルイス・カルデラもダニ・ロビラにご執心で、「オチョ・アペリードス・バスコス」撮影中から交渉していたと語っています。共演者にアレクサンドラ・ヒメネス、フリアン・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ペドロ・カサブランクなど芸達者が勢揃い、脚本は「オチョ・アペリードス」の二人組ボルハ・コベアガ&ディエゴ・サン・ホセですから、面白くならないはずがありません。
(髭を生やしたスーパーロペスことフアン・ロペス役のダニ・ロビラ)
★一方「Miamor perdido」は、12月14日に封切られる。ダニ・ロビラのお相手はアルモドバルの『ジュリエッタ』に出演していたミシェル・ジェンネル(ジェナー)の他、コメディの大ベテランを自負しているアントニオ・レシネス、人気上昇中のビト・サンス、アントニオ・デチェント、ウィル・シェファード、ハビビ(『アブラカダブラ』)、エトセトラ。ビト・サンスはマテオ・ヒルのロマンティック・コメディ「Las leyes de la termodinámica」(Netflix 邦題『熱力学の法則』)で主役を演じているほか、ダビ・トゥルエバの新作「Casi 40」にも起用されている。ウィル・シェファードはラ・コルーニャ生れの黒人俳優、大御所フェルナンド・コロモが久々に撮ったコメディ「La tribu」(Netflix『ダンシング・トライブ』)に、パコ・レオンやカルメン・マチと共演している。パコの母親にカルメンが扮して両人とも達者なダンスを披露している。
(マリオ役のダニとオリビア役のミシェル)
(この飼い猫も主役らしい?)
★ミシェル・ジェンネルMichelle Jenner(1986)は、声優の父親がミゲル・アンヘル・ジェナーと表記されていることからジェナーが多く、『ジュリエッタ』の公式カタログではジェネール、バルセロナ出身なのでジェネ(ー)ルかジェンネル、日本語表記は定まっていない。父親同様アニメーション(「タデオ・ジョーンズの冒険」など)の声優として活躍しているほか、「ハリー・ポッター・シリーズ」や『美女と野獣』では、エマ・ワトソンの吹替を担当している。長編映画の主役としては、ダニエル・サンチェス・アレバロ&ボルハ・コベアガのSF「En tu cabeza」、ダニ・デ・ラ・トーレのサスペンス「La sombra de la ley」ではルイス・トサールと共演、アナーキストの活動家として登場している。本作は1920年代のバルセロナの銃社会の裏側を描いている。スペイン公開後直ぐに『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』の邦題で10月31日から Netflix 配信されている。シリアス・ドラマもコメディもこなせる女優として、将来が期待されている。
(スペイン題「La sombra de la ley」のポスター)
(父ミゲル・アンヘル・ジェナーと、2012年8月)
★「現代社会は誤解からくる怒りや傷つけられたと過度に感じやすくなっている。だからユーモアの限界について語るときにはよく検討しないといけない。・・・何がユーモアで何がそうでないか議論することはできますが、人に余裕がないときは直ぐ限界がきてしまう」と監督。ユーモアの匙加減が難しい時代になってきたようです。音楽はロケ・バニョス、撮影フアン・モリナ、編集は「オチョ・アペリードス」を手掛けたベテランのアンヘル・エルナンデス・ソイド。いよいよスペインで封切られます。
アルフォンソ・キュアロンの新作『ROMA/ローマ』① ― 2018年12月17日 15:16
ビエンナーレ2018金獅子賞受賞作品「ROMA」を見る
★アルフォンソ・キュアロンの長編8作目になる「ROMA」は、第75回ベネチア映画祭の金獅子賞受賞作品、Netflixプレゼンツ作品が初金星という記念碑を打ち立てた。本邦では東京国際映画祭TIFFで邦題『ROMA/ローマ』で特別上映されただけです。メキシコでは9月1日メキシコシティのトナラ館でプレミア後、「ロス・カボス映画祭」(11月7日~11日)で11月8日に特別上映された。スペインではほんの短期間(12月5日~14日)マドリード、バルセロナ各2館、マラガの1館だけで上映された。
(金獅子賞のトロフィーを手にしたアルフォンソ・キュアロン)
(左から、ナンシー・G・ガルシア、ヤリッツァ・アパリシオ、監督、マリナ・デ・タビラ)
★4月にNetflixの配給権がアナウンスされると、フランス国内での公開ができない作品は、コンペティションから除外するという法律のためカンヌ映画祭は本作の上映を見送った。監督はカンヌを希望していたということでしたが、結果的にベネチア映画祭でプレミアされることになった。フランスではグラン・リヨン映画祭で10月15日上映されたが、カンヌが直面している問題は、公開後3年間はVOD(ビデオ・オンデマンド)での使用権を取得できないというフランスの法律の厳格さであり、これはいかにも長すぎるのではないか。Netflixで12月14日から世界同時配信されたが、190ヵ国、ユーザー1億3000万人という数字は、監督のみならず関係者にとって実に魅力的ではないだろうか。フランスとNetflixが共に合意点を見つける努力を拒否していないが、詳細は明らかになっていない。今や巨人となったNetflixのストリーミングと大手配給会社との闘いは、今後どうなっていくのだろうか。
『ROMA/ローマ』(原題「ROMA」)
製作:Esperanto Filmoj(メキシコ)/ Participant Media(米)
監督・脚本・製作・撮影・編集:アルフォンソ・キュアロン(クアロン)
編集:(共)アダム・ゴGough
キャスティング:ルイス・ロサーレス
美術:カルロス・ベナシーニ、オスカル・テジョ
プロダクション・デザイナー:エウヘニオ・カバジェロ
衣装デザイナー:アンナ・テラサス
音響:セルヒオ・ディアス、スキップ・リーヴセイ、クレイグ・ヘニガン
製作者:ガブリエラ・ロドリゲス、ニコラス・セリス、(以下エグゼクティブ)ジョナサン・キング、デヴィッド・リンド、ジェフ・スコール
データ:製作国メキシコ=米国、スペイン語・ミシュテカ語・英語、2018年、ドラマ、135分、モノクロ、撮影地メキシコシティ、ゴールデン・グローブ賞2019(作品・脚本・監督)ノミネーション、第91回アカデミー外国語映画賞メキシコ代表作品、Netflixプレゼンツ作品(配信開始2018年12月14日)
映画祭・映画賞:ベネチア映画祭2018金獅子賞、SIGNIS賞受賞、テルライド映画祭にて北米プレミア、トロント映画祭観客賞受賞、サンセバスチャン映画祭、アトランタ映画批評家サークル賞(トップテンフィルム・外国語映画・監督・撮影)受賞、ワシントンDC映画批評家協会賞(作品・監督・撮影・外国語映画)受賞、ハリウッド映画賞(ヤリッツァ・アパリシオがニューハリウッド賞)、ニューヨーク映画批評家サークル賞(作品・監督・撮影)受賞、パームスプリングス映画祭、TIFF特別上映、他多数
キャスト:
ヤリッツァ・アパリシオ(オアハカ出身の乳母クレオ・グティエレス)
マリナ・デ・タビラ(ソフィア夫人)
マルコ・グラフ(三男ペペ)
ダニエラ・デメサ(長女ソフィ)
ディエゴ・コルティナ・Autrey (長男トーニョ)
カルロス・ペラルタ(次男パコ)
ベロニカ・ガルシア(ソフィアの母テレサ夫人)
ナンシー・ガルシア・ガルシア(家政婦アデラ)
フェルナンド・グレディアガ(ソフィアの夫アントニオ氏)
ホルヘ・アントニオ・ゲレーロ(クレオの恋人フェルミン、ラモンの従兄弟)
アンディ・コルテス(使用人で運転手のイグナシオ)
ホせ・マヌエル・ゲレーロ・メンドサ(アデラの恋人ラモン)
エノック・レアニョ(政治家)
ラテン・ラヴァー(武術の先生ソベック)
ホセ・ルイス・ロペス・ゴメス(小児科医)
サレラ・リスベス・チノジャ・アレジャノ(ベレス産婦人科医)
パメラ・トレド(クレオの代役)
他、飼い犬ボラスなど
ストーリー:政治的混迷に揺れる1970年、メキシコシティのローマ地区に暮らす、ある裕福な医師家族の1年間が若い乳母クレオ――下層階級、先住民、女性という三重の社会的経済的圧力のなかで生きている――の視点を通して語られる。ローマ地区は中産階級が多く住んでおり、コミュニティの名前がタイトルになった。キュアロン映画に特徴的なテーマ、寛容、愛、感謝、孤独、別離、裏切り、移動、そして希望も語られるだろう。監督自身の記憶に基づく半自叙伝的な家族史であるが、同時にメキシコ現代史の一面が切りとられている。 (文責:管理人)
政治的混迷を深める1970年初頭のメキシコを描く
A: 開けてびっくり玉手箱とばかり、配信開始を首を長くして待っておりました。待ってる間に雑音が入りすぎてしまいましたが、待っただけの甲斐がありました。モノクロ映画の新作を見るのは、パブロ・ベルヘルの『ブランカニエベス』以来でしょうか。
B: 残念なニュースが目立った2018年でしたが、年の瀬にささやかなクリスマス・プレゼントが贈られてきました。
A: 『オクジャ』でも感じたことですが、こういう映画こそ最初は劇場で見たかった。チケットがアッという間に完売になった東京国際映画祭で鑑賞できた人が羨ましいかぎりです。
B: 特に冒頭のクレジット部分の静謐さは、さぞかし大画面だったら素晴らしかったろうと思いますね。長編映画としては、キュアロンが初めてカメラを回した作品でもありました。
A: 短編では数多く撮影を手掛けています。デビュー作「Sólo con tu pareja」(92『最も危険な愛し方』)以来、監督と二人三脚でカメラを回し続けているエマニュエル・ルベツキではなかった。モノクロで撮るには撮影期間が短すぎてスケジュールが合わなかったということでしたが、他にも事情があるらしい。前作の『ゼロ・グラビティ』(13)では、キュアロンが監督賞、ルベツキが撮影賞と両人ともオスカー像を手に、トータルで7個のオスカー像をゲットした。結果的にはキュアロンで良かったのではないか。
B: 前作からだと5年のブランクがありますが、大成功の後の次回作は、どの監督にとっても厳しい。
A: 監督によると、成功のあと、大きな製作会社からより多くの資金、大物スターのラインナップでオファーを受けたが、受けるべきではない考えた。「ROMA」が彼を待っていたからでした。
B: 賞は素晴らしいがそれなりの副作用がありますね。今度は故国メキシコに戻り、自分の記憶にある子供時代をスペイン語とミシュテカ語で、更にはモノクロで撮ると決めていた。
ミシュテカ生れの乳母リボに捧げられた『ROMA/ローマ』
A: 『ROMA/ローマ』は、生後9ヵ月のときから監督の乳母であったリボ、リボリア・ロドリゲスに捧げられています。本作は自分の人格形成に最も寄与してくれた女性の一人、体を張って育ててくれたリボへの謂わばラブレターです。メキシコでもっとも貧しいと言われるオアハカ州の先住民ミシュテカ出身、母語はミシュテカ語です。
B: ヤリッツァ・アパリシオが演じたクレオ・グティエレスのモデルというか分身です。劇中では同じ先住民の家政婦アデラとミシュテカ語で喋っていた。アパリシオ自身も村を出て、クレオの役を射止めてデビューしたということです。
A: アデラはクレオ同様使用人ですが、主に料理を担当する家政婦です。ブルジョア階級の家庭は必ず乳母nanaを雇っている。乳母というのは、掃除洗濯のような家事一般の他、笑顔を絶やさずに子供たちを躾け、忍耐強く世話をする、もう一人のママ、家じゅうで一番早く起き、一番最後に寝る人です。欧米の家政婦メイドとは違うのです。
B: クレオは家の戸締り、消灯をして最後に自室に戻っていた。まだ小さい末っ子のペペには母親より大事な人みたいで「クレオが大好き」を連発していた。
(幼稚園の帰り道、ランランのペペとクレオ)
(今「死んでるもん」とペペ、「死んでるのもイイね」とクレオ、印象深い洗濯場のシーン)
A: ミシュテカの子守歌を歌ってソフィを寝かしつけていたのもクレオでした。彼女は下層階級出身の先住民女性という三重の差別を受けている。女性であることがそもそも差別の対象なのです。マリナ・デ・タビラが扮した雇い主のソフィア夫人も、後ろ盾となっていた夫に捨てられたことで侮辱的なセクハラを受ける。
B: 男性の不実は許されている。上層階級の女性であるソフィア奥様も夫あっての存在でしかない。現代も半世紀前の1970年も大して変わっていないかもしれない。
(テレビを楽しむ最後の家族団欒シーン、翌日父親が家を去るのを知らない子供たち)
(走り去る夫アントニオの車を怒りを込めて睨むソフィア)
A: 貧しさに圧しつぶされてパラミリタールに入ったクレオの恋人フェルミン、クレオの妊娠を知った途端手のひらを返すようにクレオを捨てる。無責任に貧富の差は関係ない。
B: クレオの妊娠を受け入れたソフィア夫人、女性が子供を授かることは自然とクレオを咎めない先住民女性の大らかさ、総じて女性たちの強さ、勇気、優しい団結が印象的でした。
A: 一人として堕胎を強要しない。望まぬ妊娠でも生まれてくる子供に罪はない。それだけにクレオが最後に発する言葉「生まれて欲しくなかったの」は衝撃的、クレオがどんな心境で大きなお腹を抱えて過ごしていたのかと想像すると、その辛さの大きさに涙を禁じえなかった。本作の凄さは映像よりも、観客が見落としてしまうような台詞の巧みさです。ソフィア夫人も最後には新たなチャレンジを子供たちに宣言、希望を抱かせるラストでした。
(一番素晴らしかった海辺のシーンを使用したポスター)
B: 家族史だけでなく暴力が根幹にあるメキシコ社会についても映画は語っています。
A: マチスモ、不平等、偽善、パラミリタールという私設軍隊、特に1971年6月10日に起きた「聖体の祝日の木曜日の虐殺」を、記憶に残る事件として監督は挙げている。日本で「血の木曜日事件」といわれる反政府デモを軍隊が弾圧した事件、次回に回します。
アルフォンソ・キュアロンの新作『ROMA /ローマ』② ― 2018年12月21日 14:39
(モード雑誌『ヴォーグ』の表紙を飾ったヤリッツァ・アパリシオ)
★ゴヤ賞2019イベロアメリカ賞ノミネーション、アカデミー外国語映画賞プレセレクション9作品のなかに『夏の鳥』と一緒に選ばれたほか、ラスベガス映画批評家賞(作品・監督・撮影・編集)の4賞、女性映画批評家オンライン協会賞(作品・監督・撮影)の3賞など、続々と受賞結果が入ってきました。スペインではNetflix配信と同時に期間限定で劇場公開も始まったようです。Netflixと大手配給会社が折り合ったわけです。更にはクレオ役のヤリッツァ・アパリシオがなんと『ヴォーグ』の表紙になるなど、びっくりニュースも飛び込んできましたが、確かこの雑誌は映画雑誌ではなかったはずですよね(笑)。冗談はさておき、前回の続きに戻ります。
子供の記憶に残る「血の木曜日」事件
A: 1961年11月生れのキュアロンは、1971年6月10日に起きた「聖体の祝日の木曜日の虐殺」当時9歳半になっていた。反政府デモの虐殺事件としては、300人以上の死者を出した1968年メキシコオリンピック10日前に起きた「トラテルコ事件」(10月2日)のほうが有名です。
B: 当時メキシコは一党独裁の制度的革命党PRIが政権をとっており、時の大統領はルイス・エチェベリア、反政府運動が日常的な時代だった。スラムの水不足解消のため視察に来た政治家の演説の中に一度だけ名前が出てきた。
(政治家の演説も空しい水溜りだらけの水不足地域)
A: 皮肉なことに水溜まりが散在する土地柄だった。政府に批判的な学生や知識人などの動きを封じるため、政権が私設軍隊パラミリタールを組織し、そこにクレオの恋人フェルミンが加入していた。正規の軍隊とは別で、軍隊、警察、パラミリタールが民間人を殺害した。監督の「聖体の祝日の木曜日の虐殺」の記憶は鮮明のようです。
(1971年6月10日に起きた「聖体の祝日の木曜日の虐殺」を背景にしたポスター)
B: ソフィアの母テレサ夫人とベビーベッドを買いに家具屋を訪れていたクレオは、ここで民間人殺害に加担していたフェルミンと遭遇、衝撃で破水してしまう。
A: 本作ではスラムの水溜まりに限らず、タイル敷きの床を洗い流す汚水は排水口に上手く流れ込まない、水道栓からぽたぽた漏れる水、排水管が詰まっているのかシンクに溜まる水、森林火事の前時代的なバケツリレー、極め付きは子供たちに襲いかかる獰猛な高波、制御できない水が時代の流れを象徴するかのように一種のメタファーになっている。
飛行機、外階段、地震、森林火災、高波、犬の糞が象徴するもの
B: 水だけでなく、飼い犬の糞のメタファーは、メキシコが吐き出す悪の象徴ともいえる。久しぶりに帰宅した父親アントニオが糞の不始末に文句を言っていたが、彼の車の吸殻入れは満杯だ。
A: ファーストとラストカットに現れる飛行機は円環的な構成になっており、クレオとの関係も面白い。最初は洗剤の泡が混じった汚水に映る飛行機、ラストは外階段を上っていくクレオが見上げる飛行機。どちらもカメラは動かない。
B: カメラの位置は定点か、動いても回り灯篭のようにゆっくりと水平か斜めに動き、もっぱら動くのは被写体です。ロングショットが多く、したがってクローズアップは少ないのがいい。
A: 劇場公開を念頭において撮っていたからです。結果的にはNetflixプレゼンツになってしまったが、しつこく言いますがスクリーンで見たい映画です。
B: 日本の家屋に比べると、建物の構造が大分変わっている。門を開けると両側に建物があり、中央が車庫を兼ねた通路になっている。自家用車のフォードギャラクシーを止めるにはぎりぎりの幅しかなく、夫婦とも駐車に苦労している。
A: いわば身の丈に合わない生活をしているわけです。パティオというスペイン建築に典型的な中庭があり、母屋と使用人の住居が囲んでいる。洗濯場は3階の屋上にあって外階段で昇降している。中流家庭なのに洗濯機がないのにはびっくりした。
B: 日本では60年代後半には既に一般家庭に普及していましたね。
(ヤリッツァ・アパリシオに演技指導をする監督)
A: クレオが病院の新生児室を覗いているときに起きた小さな地震は、9500人の犠牲者を出した1985年のメキシコ大地震を予感させる。
B: ブルジョア家族たちが新年を過ごすトウスパン大農園の森林火災の意味はいろいろ想像できますが、大航海時代にやって来て以来、先住民を支配し続けている大農場主階級の終焉、さらにはこのアシエンダに集って新年を楽しむブルジョア階級の将来像でもあるでしょう。1970年代はメキシコの転換期でもあった。
やはり本作は乳母リボに捧げられたフィクション
A: 監督が生後9ヵ月のときにキュアロン家に乳母として雇われたリボ、リボリア・ロドリゲスに捧げられている。監督はあるインタビューで「ショットの90パーセントは自分の記憶だ」と語っている。記憶は時間とともに創作され変容していく。半自叙伝的と銘打っていますが、自分の幼少時代にインスパイアーされたフィクションでしょうね。
B: しかし、マリナ・デ・タビラが扮したソフィア夫人の人格は自分の母親に近いとも語っています。プロの俳優は少なく、彼女の他、クレオを侮辱した恋人、フェルミン役のホルヘ・アントニオ・ゲレーロ、武術の指導者ソベック先生のラテン・ラヴァーくらいでしょうか。
A: ビクトル・マヌエル・レセンデス・ヌニオが本名で、90年代から今世紀にかけてルチャリブレの人気プロレスラーだった人。引退後モデルになり、本作で映画デビューした。劇中では武術のほか力自慢のテレビ番組にも出演しているショットがありました。
(武術の先生ソベック役のラテン・ラヴァー)
B: 父親役のフェルナンド・グレディアガも新人、実父についての情報は検索できませんでした。
A: スペイン語ウィキペディアには名前だけしか載っていない。父親が原子物理学者で国際原子力機関に務めているという情報は英語版に載っていましたが、他に原子核医学を専門とする科学者と情報もあり、病院勤務をしていたのかもしれません。母親はクリスティナ・オロスコといい、今年3月に亡くなっています。1961年生れの監督は3人兄弟の長男ですが、劇中の長男トーニョに重ねていいのかどうかです。
B: 監督はトーニョであり、やんちゃなパコでもあり、末っ子のペペであるのかもしれない。
A: 主役はあくまでクレオ、つまり純粋で寛大だったリボ、時には生みの親より育ての親というように、彼女は家族にとっていなくてはならない存在だった。またセットに使った家具の70パーセントは自分の家にあったものをかき集め、残りはメンバーたちの家族のものだそうです。
B: あんな古いテレビがよくありましたね。ちゃんと映っていた。見ていた番組は「三馬鹿大将」シリーズですか。
A: 分かりませんでしたが、テレサお祖母さまとクレオに付き添われて子供たちが見に行った映画は、1964年にマーティン・ケイディンが発表した小説をもとに、ジョン・スタージェスが映画化したアメリカ映画『宇宙からの脱出』(69)、これが『ゼロ・グラビティ』(13)に繋がったのでしょう。
B: 売却することになったフォードギャラクシーで家族がベラクルス近くのトゥスパン村に旅行に出かける。そこで父親がケベックのオタワに住んでないことが子供たちに知らされる。
A: 次男のパコは電話の盗み聞きで、トーニョは映画を観に行ったとき、若い女性と手をつないでいる父親を偶然目撃して事実を知っていた。
B: 父親に愛されていると思っていた子供たちには辛すぎる話です。兄弟は互いに知っていることを秘密にしているが、口にできない辛さや父親への怒りは、取っ組み合いの兄弟喧嘩として発散される。
(子供たちに「パパはもう帰ってこない」と話すソフィア夫人)
A: こういう巧みな描写が至るところに散らばっている。プロットだけを読むと平凡すぎて食指が動きませんが、今年見たお薦め映画5本に入ります。監督が『ゼロ・グラビティ』の成功後、新作の構想を話しても誰も乗ってこなかったという。なかでカンヌ映画祭の総指揮者ティエリー・フレモーも首を傾げた一人ということでした。
B: 勿論映画ですから映像が良くなくては話になりませんが、モノクロなのに奥行きがあり、繰り返し見たくなります。その都度新しい発見がある。
B: 少ない台詞、ストーリーの流れの自然さ、対立する明るさと暗さ、残酷と優しさ、穏やかさと暴力、日常を淡々と描きながら突然襲う非日常が鮮やか。
A: シンプルのなのに複雑なのが人生というものでしょう。監督は自分が幼少期に過ごした家に帰る必要があったのだと思います。前述したように、アカデミー外国語映画賞プレセレクション9作に『ROMA/ローマ』と『夏の鳥』が残った。『万引き家族』も残った。多分『夏の鳥』は選ばれないと思いますが、他の2作は脈ありです。
B: しかし最近の米国アカデミー外国語映画賞は、初参加国が選ばれる傾向もあり分かりません。同じモノクロで撮ったポーランドのパヴリコフスキの「Cold War」も手強い。
A: キュアロンは既にオスカー監督ですが、メキシコ代表作品が受賞したことはありません。受賞すればメキシコ初となります。
(本作撮影中のアルフォンソ・キュアロン)
*監督の主なフィルモグラフィー*
1991『最も危険な愛し方』(「Sólo con tu pareja」スペイン語)
1995『リトル・プリンセス』
1998『大いなる遺産』
2001『天国の口、終りの楽園。』(「Y tu mamá también」スペイン語)
2004『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
2006『トゥモロー・ワールド』
2013『ゼロ・グラビティ』
2018『ROMA/ローマ』(「ROMA」スペイン語)
* ベネチア映画祭金獅子賞受賞の記事は、コチラ⇒2018年09月12日
* ホナス・キュアロンに関する記事は、コチラ⇒2015年09月25日/2017年04月23日
第33回ゴヤ賞2019ノミネーション発表 ③ ― 2018年12月23日 17:42
★12月12日(水)第33回ゴヤ賞2019のノミネーション発表がありました。プレゼンターはパコ・レオンとロッシ・デ・パルマ、スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソと書記エバ・サンス、プレセレクションはフィクション84作、ドキュメンタリー63作、アニメーション4作の151作品、イベロアメリカ映画賞16作だったことが報告されました。当然のことですがフォルケ賞、フェロス賞と重なっております。カテゴリーによってはドキュメンタリー賞のようにフォルケ賞と全く同じです。
(パルマ・デ・ロッシとパコ・レオン)
★今年は「El reino」の13個が最高、続いて「Campeones」の11個が続きますが、数の多さは当てになりません。ダブルノミネートはアントニオ・デ・ラ・トーレのみ、彼はノミネーションの数こそダントツですが、受賞は『漆黒のような深い青』(07)の助演賞のみと最近は不運続き、ダブル受賞はないと思いますがそろそろ主演が欲しいところです。今年の主演男優賞はことのほか混戦状態です。なお読みが分からない人名はママにしてあります。
(左から、エバ・サンス、マリアノ・バロッソ、ロッシ・デ・パルマ、パコ・レオン)
★ゴヤ賞28部門の内訳は以下の通り。(★印は当ブログ紹介作品)
◎作品賞
「Campeones」 ★
「Carmen y Lola」『カルメン&ロラ』 ★
「El reino」 ★
「Entre dos aguas」 ★
「Todos lo saben」『エブリバディ・ノウズ』 ★
◎監督賞
ハビエル・フェセル「Campeones」
ロドリゴ・ソロゴジェン「El reino」
イサキ・ラクエスタ「Entre dos aguas」
アスガー・ファルハディ『エブリバディ・ノウズ』「Todos lo saben」
◎新人監督賞
アンドレア・ハウリエタ「Ana de día」
セリア・リコ・クラベリーノ「Viaje al cuarto de una madre」★
アランチャ・エチェバリア『カルメン&ロラ』
ホセ&セサル・エステバン・アレンダ兄弟「Sin fin」 ★
◎オリジナル脚本賞
ダビ・マルケス&ハビエル・フェセル「Campeones」
アランチャ・エチェバリア『カルメン&ロラ』
イサベル・ペニャ&ロドリゴ・ソロゴジェン「El Reino」
アスガー・ファルハディ『エブリバディ・ノウズ』
◎脚色賞
マルタ・ソフィア・マルティンス&ナチョ・ロペス「Jefe」セルヒオ・バレホン ★
アルバロ・ブレッヒナー「La noche en 12 años」『12年の長い夜』アルバロ・ブレッヒナー ★
ボルハ・コベアガ&ディエゴ・サン・ホセ「Superlópez」エミリオ・マルティネス=ラサロ ★
ポール・ラヴァティ「Yuli」イシアル・ボリャイン ★
◎オリジナル作曲賞
オリビエル・アルソン「 El reino」
イバン・パロマレス「En las estrellas」 ソエ・ベリアトゥア
マヌエル・リベイロ&ハビ・フォント「La sombra de la ley」『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』ダニ・デ・ラ・トーレ
アルベルト・イグレシアス 「Yuli」
◎オリジナル歌曲賞
「Este es el momento」 コケ・マリャ「Campeones」
「Me vas a extrañar」パコ・デ・ラ・ロサ 『カルメン&ロラ』
「Tarde azul de abril」ロケ・バニョス&テシィ・ディエス・マルティン「El hombre que mató a Don Quijote」
「Una de esas noches sin final」 ハビエル・リモン 『エブリバディ・ノウズ』
◎主演男優賞
ハビエル・グティエレス「Campeones」
アントニオ・デ・ラ・トーレ「El reino」
ハビエル・バルデム 『エブリバディ・ノウズ』
ホセ・コロナド「Tu hijo」ミゲル・アンヘル・ビバス ★
◎主演女優賞
スシ・サンチェス「La enfermedad del domingo」『日曜日の憂鬱』ラモン・サラサール ★
ナイワ・ニムリ「Quién te cantará」『シークレット・ヴォイス』カルロス・ベルムト ★
ペネロペ・クルス『エブリバディ・ノウズ』
ロラ・ドゥエニャス「Viaje al cuarto de una madre」
◎助演男優賞
フアン・マルガーリョ 「Campeones」
ルイス・サエラ 「El reino」
アントニオ・デ・ラ・トーレ 「La noche de 12 años」『12年の長い夜』
エドゥアルド・フェルナンデス『エブリバディ・ノウズ』
◎助演女優賞
カロリナ・ジュステ『カルメン&ロラ』
アナ・ワヘネル「El reino」
ナタリア・デ・モリーナ「Quién te cantará」『シークレット・ヴォイス』
アンナ・カスティーリョ「Viaje al cuarto de una madre」
◎新人男優賞
ヘスス・ビダル「Campeones」
モレノ・ボルハ 『カルメン&ロラ』
フランシスコ・レイェス 「El reino」
カルロス・アコスタ 「Yuli」
◎新人女優賞
グロリア・ラモス 「Campeones」
ロシー・ロドリゲス 『カルメン&ロラ』
サイラ・ロメロ 『カルメン&ロラ』
エバ・リョラチ 「Quién te cantará」『シークレット・ヴォイス』
◎プロダクション賞
ルイス・フェルナンデス・ラゴ 「Campeones」
エドゥアルド・バジェス&Hanga Kurucz「El fotógrafo de Mauthausen」 マル・タルガロナ
ヨーサフ・ボカリYousaf Bokhari「El hombre que mató a Don Quijote」テリー・ギリアム
イニャキ・ロス「El reino」
◎撮影監督賞
アレハンドロ・デ・パブロ「El reino」
Josu Incháustegui 『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』
エドゥアルド・グラウ 「Quién te cantará」
アレックス・カタラン 「 Yuli」
◎編集賞
ハビエル・フェセル「Campeones」
アルベルト・デル・カンポ 「El reino」
Hayedeh Safiyari 『エブリバディ・ノウズ』
フェルナンド・フランコ 「Viaje al cuarto de una madre」
◎美術賞
ロサ・ロス 「El fotógrafo de Mauthausen」
ベンハミン・フェルナンデス 「El hombre que mató a Don Quijote」
フアン・ペドロ・デ・ガスパル 『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』
バルテル・ガジャルト「Superlópez」
◎衣装デザイン賞
メルセ・パロマ「El fotógrafo de Mauthausen」
レナ・モスム「El hombre que mató a Don Quijote」
クララ・ビルバオ 『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』
アナ・ロペス・コボス「Quién te cantará」『シークレット・ヴォイス』
◎メイクアップ&ヘアー賞
Caitlin Acheson, ヘスス・マルトス 、パブロ・ペロナ El fotógrafo de Mauthausen
シルビエ・インベルト、アンパロ・サンチェス、パブロ・ペロナ
「El hombre que mató a Don Quijote」
ラケル・フィダルゴ、ノエ・モンテス、アルベルト・オルタス
『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』
ラファエル・モラ&アナベル・ベアト「Quién te cantará」『シークレット・ヴォイス』
◎録音賞
アルマン・シウダド、チャーリー・Schmukler、アルフォンソ・ラポソ「Campeones」
ロベルト・フェルナンデス&アルフォンソ・ラパソ 「El reino」
ダニエル・デ・サヤス&マリオ・ゴンサレス 「Quién te cantará」『シークレット・ヴォイス』
エバ・バリニョ、ペラヨ・グティエレス、アルベルト・オベヘロ 「Yuli」
◎特殊効果賞
オスカル・アバデス&Helmuth Barnert「El reino」
ホン・セラノ&ダビ・エラス「Errementari 」(El herrero y el Diablo)
リュイス・リベラ&フェリクス・ベルヘス 『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』
リュイス・リベラ&ラウラ・ペドロ「Superlópez」
◎アニメーション賞
「Azahar」 Granada Film Factory
「Bikes The Movie」Animation Bikes / A.I.E.
「Memorias de un hombre en pijama」 Dream Team Concept / Ézaro Films S.A./ Hampa Studio
「Un día más con vida」 Kanaki Films / Platige Films 『アナザー・デイ・オブ・ライフ』
◎ドキュメンタリー賞
「Apuntes para una película con atracos」 Avalon Productora Cinematográfica, S.L.
「Camarón: flamenco y revolución」 Media Events / Lolita Films
「Desenterrando Sad Hill」 Sadhill Desenterrado, A.I.E / Zapruder Pictures
「El silencio de otros」 Semilla Verde Productions / Lucernam Films
◎イベロアメリカ映画賞
「El ángel 」 (2018アルゼンチン) ルイス・オルテガ ★
「La noche de 12 años 」『12年の長い夜』(2018ウルグアイ) アルバロ・ブレッヒナー ★
「Los perros」 (2017チリ) マルセラ・サイド ★
「ROMA」『ROMA/ローマ』 (2018メキシコ) アルフォンソ・キュアロン ★
◎ヨーロッパ映画賞
「Cold War」(2018ポーランド) パヴェウ・パヴリコフスキ
「El hilo invisible」(2018米国)『ファントム・スレッド』ポール・トーマス・アンダーソン
「Girl」(2018ベルギー) Lukas Dhont
「The Party」(2017イギリス) サリー・ポッター
◎短編作品賞
「9 pasos」 マリア・クレスポ&モイセス・ロメラ
「Bailaora」 ルビン・ステイン
「Cerdita」 カルロタ・ペレダ
「El niño que quería volar」 ホルヘ・ムリエル
「Matria」 アルバロ・ガゴ
◎短編ドキュメンタリー賞
「El tesoro」 マリサ・ラフエンテ&ネストル・デル・カスティーリョ
「Gaza」 カルレス・ボベル・マルティネス&フリオ・ペレス・デル・カンポ
「Kyoko」 ジョアン・ボベル&マルコス・カボタ
「Wan Xia. La última luz del atardecer」 シルビア・レイ・カヌド
◎短編アニメーション賞
「Cazatalentos」 ホセ・エレーラ
「El olvido」 クリスティナ・バエリョ&Xenia Grey
「I Wish...」ビクトル・L.ピネル
「Soy una tumba」 Khris Cembe
- ★イベロアメリカ映画賞のうちチリのマルセラ・サイドの「Los perros」(17)が選ばれているのは、スペイン公開が2018年6月という理由によります。想定していたパラグアイのマルセロ・マルティネシの『相続人』は未公開で対象外になりました。ゴヤ賞も米国アカデミー賞と同様の縛りがあり、公開が重要です。
★第33回ゴヤ賞授賞式は、2月2日、マドリードを離れてセビーリャ開催、総合司会者は女優のシルビア・アブリルとTV司会者のアンドレウ・ブエナフエンテのコメディアン夫婦が務めます。
(コメディアン夫婦シルビア&アンドレウ)
最近のコメント