第28回ゴヤ賞2014*栄誉賞ハイメ・デ・アルミニャン2014年01月17日 11:54

 栄誉賞

★最初にご紹介すべきセクションでした。受賞の知らせを受けたハイメ・デ・アルミニャン、「もう映画撮ってないから栄誉賞をあげようと思ったんだね」とジョークを飛ばしたとか。「シネアストに引退なんて言葉はないんだ」が口癖、現在も日刊紙「エル・ムンド」や「ABC」の寄稿家、執筆中のコメディがほぼ完成しているそうです。

 


Jaime de Armiñan Oliver 192739日マドリード生れの86歳、作家、戯曲家、映画とテレビの監督・脚本家。父方の祖父は戯曲家・彫刻家、父はジャーナリストで政治家、祖母と母は女優という一家に生れた。1927年生れということは≪内戦時代の子供≫、サンセバスチャンで過ごした。マドリードのコンプルテンセ大学法学部卒、最初は“Fotos”や“Digame”のような出版物のコラムニストとして出発、同時に演劇の脚本を執筆している。1956年エレナ・サントンハと結婚、長男アルベルト、次男エドゥアルドもTVと映画の監督・脚本家として活躍している。(写真上:アルベルトとのツーショット)

 

1959年に脚本家としてテレビ界へ、ブランクはあるが引き続きTVにも携わっている。映画デビューも脚本家としてホセ・マリア・フォルケ監督のEl secreto de Mónica1961)を執筆、彼とのタッグは7作に及ぶ(フォルケ賞は監督の功績を讃えて設けられた賞です)。監督第1作がCarola de día, Carola de noche1961)、2008年の14, Fabian Road17作を撮っている。Mi querida señorita1972、ホセ・ルイス・ボラウとの共同執筆で、1973年ハリウッドのオスカー賞にノミネート)、『エル・ニド』(1980)でも再度ノミネートされた。14, Fabian Roadはアンヘラ・モリーナ、アナ・トレント、アルゼンチンのフリエタ・カルディナリを起用、マラガ映画祭で次男エドゥアルドと共同執筆した脚本が銀賞を受賞、興行的にも成功している。老いても現役です。

 

★一番知られているのが『エル・ニド』、モントリオール映画祭で女優賞受賞(アナ・トレント)、翌年のオスカー賞ノミネート。日本でも「第1回スペイン映画祭1984」に『巣』の邦題で上映、1987年の公開時に『エル・ニド』と改題されたもの(この映画祭は画期的なものでエリセの『エル・スール』やマリオ・カムスの『無垢なる聖者』などスペイン映画史に残る名作が上映され、後に一般公開された)。写真は『エル・ニド』のワンシーンから、アルゼンチン映画の『オフィシャル・ストーリー』(1985ルイス・プエンソ)で馴染みのあるエクトル・アルテリオと。

 


上記以外の代表作

1974El amor del capitán Brando:監督・脚本、ベルリン映画祭1974でヒューチャー賞にあたるモルゲンポスト賞を受賞、フェルナンド・フェルナン・ゴメスが主役を演じた。

1984Stico 監督・脚本、フェルナン・ゴメスが脚本と主演。

1987Mi general:監督・脚本、フェルナン・ゴメスやフェルナンド・レイが出演。モントリオール映画祭「審査員特別賞」受賞。

1994Al otro lado del túnel:監督・脚本、次男エドゥアルドが初めて脚本を共同執筆。フェルナンド・レイの遺作となり、他にマリベル・ベルドゥ出演。ベルリン映画祭コンペ出品作品。

1995El Palomo cojo:監督・脚本、ゴヤ脚色賞ノミネート、サンセバスチャン金貝賞ノミネート。マリア・バランコ、カルメン・マウラ、パコ・ラバル出演。

 

★テレビ・シリーズJuncal1989)は、パコ・ラバルを主役にした人気ドラマ。1990年ベスト・シリーズ賞、オンダス賞を受賞している。当時はまだビデオテープ時代だったが、ボックス版が発売されるほどの人気を博した。