マルティネス=ラサロが三度ダニ・ロビラとタッグを組んだ「Miamor perdido」2018年12月14日 15:10

        二人は法的に結婚していませんが「事実上のカップル」です!

 

   

        (ダニ・ロビラとミシェル・ジェンネルを配した「Miamor perdido」)

 

エミリオ・マルティネス=ラサロ(マドリード、1945)の新作Miamor perdidoは、「オチョ・アペリードス・バスコス」『オチョ・アペリードス・カタラネス』と三部作の体裁をとっているようです。監督はステージでダニ・ロビラ(マラガ、1980)の2時間に及ぶ独演会を見てからというものぞっこんで、浮気もせずにひたすらダニを想っている。「私たちは映画では事実上のカップルです。それで(彼を主役に)長編3作をひたすら撮り続けています。つまり彼より私のほうが誠実だということです」。それなのにダニは「僕は、若気の至りというか、ちょっぴり尻軽で、あっちこっちつまみ食いが必要なんです」と自己分析。たくさんの監督からオファーを受けて、エミリオ一筋とはいかないのです(笑)。

 

         

         (ミシェル・ジェンネル、エミリオ・マルティネス=ラサロ、ダニ・ロビラ)

 

★ロビラは Netflix で配信された『オチョ・アペリードス・カタラネス』のあと本作まで5作に出演しています。なかで先月下旬500館で封切られた、スーパーマンのパロディSuperlópez20年ぶりの新バージョン、批評家の評価も高く、興行成績もバツグンとくれば言うことなしです。1973Janによって造形されたコミックの映画化。監督は『SPY TIMEスパイタイム』のハビエル・ルイス・カルデラがメガホンをとりました。ルイス・カルデラもダニ・ロビラにご執心で、「オチョ・アペリードス・バスコス」撮影中から交渉していたと語っています。共演者にアレクサンドラ・ヒメネスフリアン・ロペスマリベル・ベルドゥペドロ・カサブランクなど芸達者が勢揃い、脚本は「オチョ・アペリードス」の二人組ボルハ・コベアガ&ディエゴ・サン・ホセですから、面白くならないはずがありません。

 

           

        (髭を生やしたスーパーロペスことフアン・ロペス役のダニ・ロビラ)

 

★一方Miamor perdido」は、1214日に封切られる。ダニ・ロビラのお相手はアルモドバルの『ジュリエッタ』に出演していたミシェル・ジェンネル(ジェナー)の他、コメディの大ベテランを自負しているアントニオ・レシネス、人気上昇中のビト・サンスアントニオ・デチェントウィル・シェファードハビビ(『アブラカダブラ』)、エトセトラ。ビト・サンスはマテオ・ヒルのロマンティック・コメディLas leyes de la termodinámica(Netflix 邦題『熱力学の法則』)で主役を演じているほか、ダビ・トゥルエバの新作Casi 40にも起用されている。ウィル・シェファードはラ・コルーニャ生れの黒人俳優、大御所フェルナンド・コロモが久々に撮ったコメディLa tribuNetflix『ダンシング・トライブ』)に、パコ・レオンカルメン・マチと共演している。パコの母親にカルメンが扮して両人とも達者なダンスを披露している。 

  

       

                                  (マリオ役のダニとオリビア役のミシェル)

   

      

           (この飼い猫も主役らしい?)

 

ミシェル・ジェンネルMichelle Jenner1986)は、声優の父親がミゲル・アンヘル・ジェナーと表記されていることからジェナーが多く、『ジュリエッタ』の公式カタログではジェネール、バルセロナ出身なのでジェネ(ー)ルかジェンネル、日本語表記は定まっていない。父親同様アニメーション(「タデオ・ジョーンズの冒険」など)の声優として活躍しているほか、「ハリー・ポッター・シリーズ」や『美女と野獣』では、エマ・ワトソンの吹替を担当している。長編映画の主役としては、ダニエル・サンチェス・アレバロ&ボルハ・コベアガSFEn tu cabezaダニ・デ・ラ・トーレのサスペンスLa sombra de la leyではルイス・トサールと共演、アナーキストの活動家として登場している。本作は1920年代のバルセロナの銃社会の裏側を描いている。スペイン公開後直ぐに『ガン・シティ~動乱のバルセロナ~』の邦題で1031日から Netflix 配信されている。シリアス・ドラマもコメディもこなせる女優として、将来が期待されている。

 

       

           (スペイン題La sombra de la ley」のポスター

         

               

            (父ミゲル・アンヘル・ジェナーと、20128月)

 

★「現代社会は誤解からくる怒りや傷つけられたと過度に感じやすくなっている。だからユーモアの限界について語るときにはよく検討しないといけない。・・・何がユーモアで何がそうでないか議論することはできますが、人に余裕がないときは直ぐ限界がきてしまう」と監督。ユーモアの匙加減が難しい時代になってきたようです。音楽はロケ・バニョス、撮影フアン・モリナ、編集は「オチョ・アペリードス」を手掛けたベテランのアンヘル・エルナンデス・ソイド。いよいよスペインで封切られます。