ドノスティア賞の授賞式*サンセバスチャン映画祭2017 ⑭ ― 2017年09月30日 13:31
そろそろ閉幕します、3人のドノスティア賞ガラも終了しました
★ドノスティア賞は1986年に始まった栄誉賞、第1回はグレゴリー・ペックとハリウッド・スターでした。受賞者の出身国は別として米国で活躍している俳優が大半を占めています。スペイン自体がフェルナンド・フェルナン・ゴメス(99)、パコ・ラバル(01)、アントニオ・バンデラス(08)、最後が2013年のカルメン・マウラの4人だけだから多いとは言えない。フランスでは受賞順にカトリーヌ・ドヌーヴ、ジャンヌ・モロー、イザベル・ユペールの女優陣、アニエス・ヴァルダを含めて4人と同数です。年を追うごとに米国頼みがどの映画祭でもはっきりしてきましたが、見てもらえなければ話にならないということです。ガラには敬意を払って、映画祭総ディレクターのホセ・ルイス・レボルディノスが出迎えました。
(トロフィーを手にしたアニエス・ヴァルダ、9月24日のガラから)
(現地入りしたアニエス・ヴァルダ、9月22日)
★アルゼンチンからの初受賞がリカルド・ダリンだったのは納得でしょうか。「ホライズンズ・ラティノ」というスペイン語・ポルトガル語に特化したセクションがありながら、ラテンアメリカからは初めての受賞者でした。授賞式前のプレス会見で「リカルド・ダリンとは何者?」という質問には、「いつも真実を語っている嘘つき」と応えていました(笑)。トロフィーは『サミット』で共演したエレナ・アナヤと一緒に登壇したドロレス・フォンシの手から受け取りました。今年のラテンビートで『サミット』が上映されるので、そちらでトレビアをアップいたします。
(リカルド・ダリン、9月26日のガラから)
(現地入りしたリカルド・ダリン、9月25日)
★イタリアからはモニカ・ベルッチ、内面から滲みだしてくるような美しさ、年々若返りしているのではないか。「私も間もなく53歳になります。仕事を続けているのは美しさだけとは思わない」とベルッチ。素晴らしい体形を維持するのは口で言うほど楽ではない。美しさとインテリジェンスを調和させながら25年以上も闘ってきたんですよね。「映画はそのほかの芸術を理解する機会を与えてくれた。女優としてでなく、それ以上に人間として大きくしてくれた」と。授賞式は3000人が収容できるベロドロモで、1998年のドノスティア賞受賞者にして今年の審査委員長ジョン・マルコヴィッチの手から渡された。たったの5分間でしたが3000人の観客が彼女の美に酔いしれました。
(英語とスペイン語で短いスピーチをしたモニカ・ベルッチ、9月27日のガラから)
(現地入りしてファンの歓迎に応えるモニカ・ベルッチ)
★ドノスティア賞以外の栄誉賞の一つ「ジャガー・ルクルト賞*」にパス・ベガが選ばれました。昨年から始まり、第1回の受賞者はガエル・ガルシア・ベルナルでした。パス・ベガはアントニオ・バンデラスが受賞した「映画国民賞」のガラにも姿を見せていました。フリオ・メデムの『ルシアとSEX』(01)でカンヌ映画祭新人賞、ゴヤ賞新人女優賞などを受賞した。『トーク・トゥ・ハー』(02)他、アルモドバル映画、ビセンテ・アランダの『カルメン』(03)でカルメンを演じた。2008年からロスアンゼルスを本拠地にして主にハリウッド映画やTVで活躍している。
(トロフィーにキスをするパス・ベガ)
*正式名は「Premio Jaeger-LeCoultre al Cine Latino」、2007年からベネチア映画祭で始まった「Premio Jaeger-LeCoultre Glory to the Filmmaker」と同じ、1933年創業のスイスの高級時計マニュファクチュール、ジャガー・ルクルト社が与える賞。「10年以上のキャリアがあり、かつ将来的にも活躍が期待できるシネアスト」に贈られます。ジャガー・ルクルト社は、サンセバスチャン映画祭のパトロンの一つです。
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