第70回カンヌ映画祭2017*ノミネーション発表 ①2017年04月16日 16:43

           スペイン語映画は予想通りというかゼロでした!

 

    

 

★先週木曜日(現地時間13日)にコンペティション部門18作と「ある視点」部門のノミネーション発表がありました。「アルモドバルが審査委員長に決定」の記事をアップした折に、これが吉と出るか凶と出るか気になっておりましたが、コンペはゼロでした。最も期待していたパブロ・ベルヘルAbracadabraは落選、『ブランカニエベス』熱も覚めたようです。本作は大枠をご紹介していますがいずれアップいたします。気になるもう1作がカルロス・ベルムトQuién te cantaráです。カンヌに間に合ったものの残れず、『マジカル・ガール』のマジック効果もありませんでした。久々のナイワ・ニムリ、ナタリア・デ・モリーナ、インマ・クエバス、カルメ・エリアスなど演技派女優を揃えており、カンヌと関係なくご紹介したい作品です。

 

★今年のようにフランス(6作)と米国(5作)の作品をこれほど多くエントリーした年があったかどうか調べても意味がありませんが、なかには下馬評にもなかった作品が結構選ばれておりました。フランスは開催国ですから目を瞑るとして、映画大国とはいえ米国の5作は何か経済的力学が働いたのかと勘繰りたくなります。残るは韓国2作、以下イギリス、ハンガリー、日本、ドイツ、ロシアが各1作ずつです。まだ増えるのかもしれません。カンヌ常連のフランソワ・オゾン、ミヒャエル・ハネケ、ミシェル・アザナヴィシウス、ジャック・ドワイヨン、トット・ヘインズ、ソフィア・コッポラ、ファティ・アキン、韓国の二人はポン・ジュノとホン・サンス、日本の1作は河瀨直美の『光』でした。ということで当ブログでのコンペティションの作品紹介はしないですみます。

 

★節目の70回という重要な年に審査委員長に選ばれたのは「名誉なことですが、少し重荷です。この重要な仕事に身も心を捧げるつもりです」と語っていたペドロ・アルモドバル、どんな采配を振るのでしょうか。オスカー像をスペインにもたらした『オール・アバウト・マイ・マザー』は、カンヌ映画祭1999の監督賞受賞作品でした。すべてがカンヌから始まったのでした。以来カンヌに焦点を合わせて製作しており、重荷でも頑張ってもらいたい。「私に生き方を教えてくれたのは、学校でも教会でもなく映画館」と語っていた監督、スペイン国内では常に雑音が聞こえてきますが、スペイン・フィルモテカの名誉あるオープニング作品に彼の『欲望の法則』が選ばれました。スペインでカンヌの審査委員長になるのはアルモドバルが初めてです。

 

  

 (髪も髭も真っ白なアルモドバルとカルメン・マウラ、フィルモテカ開会式にて、20173月)

 

★今年のカンヌの顔は、イタリアの女優クラウディア・カルディナレ1938チュニジア)ですが、ポスターの評判がイマイチです。本人は「生き生きと踊っているのが気に入っている」ようですが、カメラマンの名前は誰も覚えていないとか。撮影は1959年、ローマの屋根の上で踊っているモノクロ写真。映画界入りしたばかりでルキノ・ビスコンティにもフェデリコ・フェリーニにも出会わなかった頃の写真です。イタリア映画はゼロですが、モニカ・ベルッチが今年はセレモニーに登場するようです。

 

★コンペティション外には、オスカー監督のアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥCarne y arenaが突然アナウンスされました。ただし長編ではなく630秒の短編、身分証明書を持たずにメキシコから米国に渡ろうとする不法移民がテーマ、撮影はこちらもオスカー像のコレクター、いつものエマニュエル・ルベツキです。トランプ以後、国境の壁は厚くなる一方です。5月の連休に公開されるアルフォンソ・キュアロンの息ホナス・キュアロンの『ノー・エスケープ 自由への国境』と同テーマです。 

   

★「ある視点」のオープニング作品は、監督と俳優の二足の草鞋派マチュー・アマルリックBarbaraに決定しています。フランスの歌手のビオピックだそうです。英語映画でしたが『ある終焉』が公開されたメキシコのミシェル・フランコLas hijas de Abrilがエントリーされ、今度はスペイン語で撮りました。エンマ・スアレスやエルナン・メンドサ、イバン・コルテスが出演しています。他にアルゼンチンの二人の女性監督セシリア・アテンバレリア・ピバトLa novia del desiertoがデビュー作ながら選ばれました。アルゼンチン=チリ合作、『グロリアの青春』でブレークしたチリのパウリナ・ガルシアとアルゼンチンのクラウディオ・リッシがタッグを組んだようです。本作はカメラ・ドールの対象作品でもあり、結果が楽しみです。既にアルゼンチン映画アカデミーINCAA3月に開催した「オペラ・プリマ・コンクール」で受賞しております。なおカンヌだけを視野に入れて製作しているカルロス・レイガダスDonde nace la vidaは空振りでした。

 

   

  (クラウディオ・リッシを挟んで2人の監督、製作者、オペラ・プリマ・コンクールにて)

 

★「ある視点」には、ほかにローラン・カンテ、俳優のほうが有名かもしれないがセルジオ・カステリットFortunata黒沢清『散歩する侵略者』が選ばれています。ベテランと新人が競り合うことになります。70周年の特別上映としてデヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』(92)やジェーン・カンピオンの「Top of the Lake」(16、第2シーズン)が上映される予定です。テレドラが上映される時代になり感無量です。

 

★カンヌ映画祭と並行して開催される「監督週間」「批評家週間」のノミネーションは、映画祭事務局によると2週間以内に発表する由、受賞歴もあるサンティアゴ・ミトレ、ディエゴ・レルマン、ルクレシア・マルテルなどのアルゼンチン組が選ばれるかもしれません。

 

★映画祭は517日から28までと長い。開催前までにピックアップして、ご紹介していきます。