アントニオ・バンデラスに「名誉金のビスナガ」*マラガ映画祭20172017年04月01日 10:11

            ジュネーブで心臓の外科手術を受けていた!

   

      

          (名誉金のビスナガ受賞、セルバンテス劇場、325日)

      

★俳優、監督、プロデューサー、マラガの名誉市民アントニオ・バンデラス「名誉金のビスナガ」が贈られた。真っ白の顎髭にびっくりしたファンもいたでしょうか。授賞式に先立って行われる恒例の記者会見は、彼の健康不安についての質問から始まった。「凄い痛みであったが、幸いにも大事に至らずダメージは残っていない・・・冠状動脈の中に3本のステント(人体の管状部分を広げる医療機器)を挿入する手術を受けた。ずっと以前から不整脈があったが、報道されているような大げさなことじゃないですよ」と。マラガに来る前の先週、手術の経過の検査のためジュネーブにいた由、病気とはうまく付き合っていくしかないでしょう。

 

        

        (プレス会見席上でのバンデラス、アルベニス映画館、325日)

 

★去る126日、ロンドン近郊サリーにある自宅でのトレーニング中、激しい心臓の痛みに襲われ病院に駆けつけたニュースは、日本の一部のメディアでも報道された。軽い心臓発作ということで入院することもなかったが、その後大事をとってジュネーブにある世界有数の心臓病病院で外科手術を受けていたことを明かした。 自身もそれほど深刻でないとツイートしていたから報道が間違っていたわけではないが、かなり重症だったようですね。授賞式にも間に合い現在は健康も回復して仕事に復帰できるということです。 現在のパートナーは、20歳年下のオランダの投資銀行家ニコール・ケンプルさん、あるパーティで知り合ったとか。 バンデラスは投資家としてのキャリアが長い。    

 

 

2年前からの新ガールフレンド、ニコール・ケンプルに付き添われて、スイスの病院前)

 

      「故郷で有名人でいるのは何はともあれ大変なことです」とバンデラス

 

★マラガは生れ故郷、ピカソの次くらいに有名、マラガ名誉市民、マラガ映画祭の初めからの資金提供者、大兄弟会連合の会員にしてセマナ・サンタのプレゴネロでもあるバンデラスが、第20回という節目に「名誉金のビスナガ」をもらうについて異存はないでしょう。今回事務局からの借金返済の申し出を断ったようです。返してもらうつもりはないし、マラガがあってこそ今の自分があるのだから、自分に対して借りなど何もないというわけです。「故郷では有名人もただの人」という格言はもじって、「故郷で有名人でいるのは何か大変なこと、心づかいに大いに感激しています」と語ったバンデラス。渡米直後のラテン・コミュニティーのこと、ハリウッドに到着したころのヒスパニック系の人間関係の複雑さ、さらに闘いについても語った。現在でも解消されていない、反対に強まっていると思える偏見、差別に晒されていたことは語らずとも分かります。

 

★恩師アルモドバル監督について、「とっても」も恩義を感じています。「仕事に関してはとても厳しく、凝り性で気難しい」と。なぜなら撮影は「豊かな想像力のせいで地獄にいるような状況」に変えてしまうからと語っていた。今後やりたいことは、再び監督に戻って3作目を撮りたいらしく、過去の2作品は多分、自分の経験不足もあって「あまりに未熟」だったとも。2作品とは、元妻メラニー・グリフィスを主人公にしたコメディCrazy in Alabama99『クレイジー・イン・アラバマ』ビデオ2001)、マーク・チャイルドレスの小説の映画化、翻訳書も出版されている。第2作目がスペイン語で撮ったEl camino de los inglesesは、200611月マラガでプレミアした後、サンダンスやベルリン映画祭2007に英題「Summer Rain」として出品され、同年ラテンビートでも『夏の雨』の邦題で上映されている。

 

         「ゲルニカ」制作中のピカソと同じ56歳になった!

 

カルロス・サウラの「ゲルニカ」出演について。まだIMDbもアップされていませんが、サウラは以前からパブロ・ピカソが「ゲルニカ」制作に打ち込んだ33日間を軸にした映画を企画していて、ピカソ役に同郷のバンデラス起用をアナウンスしていた。バンデラスによると、「まだ詳しいことは分からないが、新しい脚本の権利問題がクリアーできたと聞いている。カルロスの前の脚本には自分も関わっており、奥の深いエモーショナルなインパクトがあった。制作中のドン・パブロ・ピカソの年齢が56歳、自分も同じ年になり、映画を撮るには理想的な年齢に達した。今は最初の脚本が推敲されてクランクインされるのを待っています」ということです。どんなピカソが見られるのか、しかし今年中のクランクインはなかなか難しいかもしれない。

 

第32回グアダラハラ映画祭2017*結果発表2017年04月01日 17:30

      エベラルド・ゴンサレス、作品賞とドキュメンタリー賞のダブル受賞

 

    

★グアダラハラ映画祭 FICG については、作品賞を受賞しても公開されるチャンスがないこともあり、目についた受賞作品をピックアップするだけです。昨年は作品賞を受賞したコロンビアのフェリペ・ゲレーロOscuro animalをご紹介しました。コロンビアにはびこる暴力について、コロンビア内戦の犠牲者3人の女性に語らせました。今年のメキシコ映画部門は、エベラルド・ゴンサレスLa libertad del DiabloDevils Freedom)が最優秀作品賞とドキュメンタリー賞の2冠に輝き、マリア・セッコが撮影賞を受賞しました。フィクション部門とドキュメンタリー部門の両方にノミネーションされていたなど気づきませんでした。プレゼンターは今回栄誉賞受賞のメキシコの大女優オフェリア・メディナ、これは最高のプレゼンターだったでしょう。

 

  

     (オフェリア・メディナからトロフィーを手渡されるエベラルド・ゴンサレス)

 

 

★ベルリン映画祭2017「ベルリナーレ・スペシャル」部門で、アムネスティ・インターナショナル映画賞を受賞した折に少しご紹介いたしました。こちらはメキシコのいとも簡単に振るわれる「メキシコの暴力の現在」について、犠牲者、殺し屋、警察官、軍人などに語らせています。各自報復を避けるため覆面を被って登場しています。衝撃を受けたベルリンの観客は固まって身動きできなかったと報じられたドキュメンタリーです。おそらく公開は期待できないでしょう。

 

    

     (覆面を着用した証言者、映画から)

 

Oscuro animal」の紹介記事は、コチラ2016319

La libertad del Diablo」の紹介記事は、コチラ2017222

 

     イベロアメリカ作品賞はカルロス・レチュガの「Santa y Andrés」が受賞

 

カルロス・レチュガSanta y Andrésは、サンセバスチャン映画祭2016「ホライズンズ・ラティノ」部門に正式出品されたキューバ、コロンビア、フランスの合作。他に脚本賞とサンタ役のローラ・アモーレスが女優賞を受賞。1983年のキューバが舞台、体制に疑問をもち、山間に隠棲しているゲイ作家のアンドレス、彼を見張るために体制側から送り込まれた農婦のサンタ、いつしか二人の間に微妙な変化が起きてくる。本作の物語並びに監督紹介、当時のキューバについての記事をアップしています。このカテゴリーには、同じキューバのフェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」やアルゼンチンの『名誉市民』、スペインからはアレックス・デ・ラ・イグレシアの『クローズド・バル』もノミネートされておりました。

 

 

★女優賞のローラ・アモーレスはシンデレラ・ガール、本作のため監督が街中でスカウトした。必要な時にはいつも留守の神様も、時として運命的な出会いを用意しています。人生は捨てたものではありません。本作のような体制批判の映画は、ラウル・カストロ体制下のキューバ映画芸術産業庁ICAICでは歓迎されないが、サンセバスチャンやグアダラハラ映画祭は評価した。この落差をどう受け取るかがキューバ映画の今後を占うと思います。

 

 

            (サンタとアンドレス、映画から)

 

Santa y Andrés」の作品紹介記事は、コチラ2016827

 

★早くもカンヌの季節が巡ってきました。第70回カンヌ映画祭2017の正式ポスターが発表され、今年のカンヌの顔はイタリアの往年の大スターCCことクラウディア・カルディナーレ、コンペティション審査委員長はペドロ・アルモドバル、期間は517日~26日です。

 

    

   (踊って笑って生き生きしたフェリーニのミューズ、クラウディア・カルディナーレ)