サンセバスチャン映画祭2016*ノミネーション発表(スペイン映画) ③2016年08月11日 15:59

      コンペティションの目玉はアルベルト・ロドリゲスの新作か?

 

 

7月末にオフィシャル・セレクション(セクション・オフィシアル)を含むノミネーションの全体像が姿を現しました。当ブログでは、スペインが関わった作品「15作」を取り敢えずご紹介します。うちコンペティションに正式出品されるのが3作、コンペ外1作、特別プロジェクション2作です。ニューディレクターズ部門1作、ホライズンズ・ラティノ部門1作、パールズ部門1作、サバルテギ部門3作、国際フィルム学生の出会い部門に短編2作、他に3000人収容の大型スクリーンで上映されるベロドロモに、短編12作です。参加監督はコルド・アルマンドス、アシエル・アルトゥナ、ルイソ・ベルデホ、ダニエル・カルパルソロ、ボルハ・コベアガ、グラシア・ケレヘタ、イマノル・ウリベなどベテラン、中堅、新人が名を連ねています。映画際上映後に公開された『スガラムルディの魔女』(アレックス・デ・ラ・イグレシア)や『暴走車 ランナウェイ・カー』(ダニ・デ・ラ・トーレ)が上映されたのも、このベロドロモでした。

 

オフィシャル・セレクション、コンペティション部門

El hombre de las mil caras(英題“Smoke and Mirrors”)

  アルベルト・ロドリゲス

実在のスパイを主人公にしたスリラー、現代史に基づいていますがマヌエル・セルドンの小説“Paesa: El espía de las mil caras”の映画化、というわけでワーキング・タイトルは“El espía de las mil caras”でした。実話に着想を得たフィクション。諜報員フランシスコ・パエサにエドゥアルド・フェルナンデス、フランコ独裁体制を支えた治安警備隊長ルイス・ロルダンにカルロス・サントス、その妻ニエベスにマルタ・エトゥラ、ヘスス・カモエスにホセ・コロナド、と演技派を揃えている。 

   

    

         (パエサに扮したエドゥアルド・フェルナンデス)

 

A・ロドリゲス(1971、セビーリャ)の第7作め、本映画祭は『マーシュランド』2014)に続いて3度め、三度目の正直となるか。下馬評では今年の目玉です。

監督紹介と『マーシュランド』の紹介記事は、コチラ⇒2015124

   

  

    (左から、E・フェルナンデス、J・コロナド、M・エトゥラ、C・サントス)

 

Que Dios nos perdone(“May God Save Us”)ロドリーゴ・ソロゴイェン

経済危機の2011年夏、猛暑のマドリード、折しも首都はローマ教皇のマドリード到着を待ちわびる150万人の巡礼者でかつてないほどごった返していた。二人の刑事ベラルデ(アントニオ・デ・ラ・トーレ)とアルファロ(ロベルト・アラモ)は、できるだけ速やかにそれも目立たずに連続殺人犯を見つけ出さねばならない。しかし二人は犯人追跡が考えていたほど簡単でないことに気付かされる、二人のどちらも犯人像がひどく異なっていたからだ。

  

 

  (映画から、アントニオ・デ・ラ・トーレとロベルト・アラモ)

 

R・ソロゴイェン(ソロゴジェン)(1981、マドリード)の長編映画第3作、本映画祭オフィシャル・セレクションは初登場の監督。前作Stockholm2013)でマラガ映画祭2013の監督賞(銀賞)を受賞、ゴヤ賞2014では新人監督賞にノミネーション、国際映画祭での受賞歴多数、次回作が待たれていた監督。二人の刑事にベテランを揃えた。

監督紹介と“Stockholm”の記事は、コチラ⇒2014617

 

  

      (左から、ロベルト・アラモ、監督、アントニオ・デ・ラ・トーレ)

 

La Reconquista(“The Reunion”)ホナス・トゥルエバ

マヌエラとオルモは初めて恋をし、二人は15年後の再会を約して青春に別れを告げた。冬のマドリード、ある夜二人は再会する。これは現実には失われた時を求める物語であるが、意識の流れ、失われた時間の回復についての物語である。我々自身のなかにも思い出せない記憶、言葉や行為、感情やパッションがあり、記憶は修正されながら正確さは次第にあやふやになっていく。現在のマヌエラにイチャソ・アラナ、オルモにフランセスコ・カリルが扮する。カリルはJ・トゥルエバ作品の常連。 

   

    

        (映画から、イチャソ・アラナ、フランセスコ・カリル)

 

J・トゥルエバ(1981、マドリード)の長編映画第4作め、本映画祭オフィシャル・セレクションは初登場。フェルナンド・トゥルエバが父、製作会社「フェルナンド・トゥルエバP.C.S.A」の責任者クリスティナ・ウエテが母、ダビ・トゥルエバが叔父と、実に恵まれた環境で映画作りをしている。しかし前作Los exiliados románticos2015)では親離れして、自身が設立した製作会社「Los Ilusos Films」で撮り、マラガ映画祭で特別審査員賞(銀賞)を受賞した。ロドリーゴ・ソロゴイェンと同世代、サンセバスチャンも世代交代が進んでいる。

監督紹介並びに“Los exiliados románticos”の記事は、コチラ⇒2015423

 

    

         (撮影中のJ・トゥルエバ監督、右側は主役の二人)

 

コンペティション外

A Monster Calls(“Un monstruo viene verme”)フアン・アントニオ・バヨナ

作品紹介済みにつき割愛。

    

 ★映画祭に間にあうよう、コンペ作品だけでもキャスト&スタッフ、ストーリーなどの詳細をアップ致します。

追記:ホナス・トゥルエバ「La Reconquista」が邦題『再会』で Netflix 配信された。

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