『雑魚』のコンビ監督の第2作*マラガ映画祭2015 ⑧ ― 2015年04月26日 17:43
『雑魚』の監督アンドレス・ルケ&サムエル・マルティン・マテオス
★2009年、両監督が初めてタッグを組んで撮った“Agallas”は未公開ですが2010年にDVDが発売されました。邦題『雑魚』はそのときのもの。『時間切れの愛』の主役カルメロ・ゴメスとTVドラのお茶の間アイドルから早く抜け出したいウーゴ・シルバが共演したスリラー仕立てのブラック・コメディ。ルケ監督はボーイ役、マテオス監督は司祭役で二人揃って俳優デビューを果たした(笑)。共作第2弾“Tiempo sin aire”はコロンビアとの合作、前世紀から延々と続いていた複雑なコロンビア内戦が背景にあります。アルベルト・アルベロの『解放者ボリバル』(ラテンビート2014)出演のフアナ・アコスタと久々に主役を演じたカルメロ・ゴメスの共演に惹かれてご紹介する次第です。

“Tiempo sin aire”
監督:アンドレス・ルケ&サムエル・マルティン・マテオス
製作:スペイン=コロンビア、2015年、撮影地カナリア諸島テネリフェ
スペイン公開4月30日決定
製作:Tornasol
Films / Zebra Producciones / Hernández y Fernández 参画TVE 他
監督・脚本(共):アンドレス・ルケ&サムエル・マルティン・マテオス
共同脚本:ハビエル・エチャニス、フアン・ヒル・ベンゴア
キャスト:フアナ・アコスタ(マリア)、カルメロ・ゴメス(ゴンサロ)、フェリックス・ゴメス(イバン)、アドリアナ・ウガルテ(ベロ)、フアン・パブロ・シュク(フェレール)他

(左から、F.ゴメス、J.アコスタ、C.ゴメス、A.ウガルテ マラガ映画祭にて)
解説:マリアはコロンビア人の看護師、かつて一人娘を3人のパラミリタールに殺害された。ここサンタ・クルス・デ・テネリフェに隠れ住んでいるらしい暗殺者を見つけ出し復讐するため、小さな息子を連れてコロンビアからやってきた。入手できた一枚の顔写真には「イバン」と書かれていた。ゴンサロは学校の心理学者、マリアと知り合った日に人生が一変する。絶え間ない追い立てられるような探索にマリアと共に巻き込まれていく。そんなこととは知らないイバンと恋人のベロはカナリア島の中心都市で暮らしていたが、二人の人生はまさに永遠に変わろうとしていた。
★監督紹介&フィルモグラフィー
*アンドレス・ルケ Andrés Luque Péresは、ドキュメンタリー製作者、監督、脚本家。フェリックス・フェルナンデス・デ・カストロのドキュメンタリー“Maria y yo”(2010)、イサキ・ラクエスタの同“El cuaderno de barro”(2011)、アルベール・カサルスの同“Món petit”(2012“Mundo pequeño”)などを共同製作している。3作ともゴヤ賞のドキュメンタリー賞やプロダクション賞にノミネーションされている。当ブログでは“Món petit”が2014「長編ドキュメンタリー賞」部門にノミネートされたとき、作品・監督紹介をしております。監督デビュー作は上記の“Agallas”、本作は第2作目になる。

(アコスタ、マルティン・マテオス、アンドレス・ルケ マラガ映画祭記者会見にて)
*サムエル・マルティン・マテオス Samuel Martin Mareosは、監督、脚本家。監督デビューは上記の“Agallas”、本作が第2作目となる。他にTVドラのシリーズものや、1995年から始まったTVEの“Gente”という長寿インタビュー番組のホスト役を1996年までしていた。ゲストの多くはシネアストで、そういう関係で映画人に知己が多い。
★キャスト紹介
*フアナ・アコスタJuana Acostaは、1976年コロンビアのカリ生れ、女優。コロンビアでは女優としての地位を確立している。パートナー(あるいは夫)エルネスト・アルテリオ(1970ブエノスアイレス)との間に8歳の娘がいる。1998年セルヒオ・カブレラの“Golpe de estadio”のチョイ役で映画デビュー、代表作にラウル・ガルシア“Kalibre 35”(2000コロンビア)、カルロス・モレノ“El cartel de los sapo”(11コロンビア)、アルベルト・アルベロの“Libertador”(12)は『解放者ボリバル』の邦題でラテンビート2014で上映された。2005年ごろからスペイン映画に出演、エミリオ・マルティネス≂ラサロの“Los 2 lados de la cama”(『ベッドサイド物語』スペイン映画祭2008上映)を皮きりに両国で幅広く活躍(本作にはエルネスト・アルテリオが出演している)。

(最近のフアナ・アコスタとエルネスト・アルテリオ 2015年)
*カルメロ・ゴメスCarmelo Gómez Celadaは、1962年レオン県のサアグン生れ、俳優。最初サラマンカへ移住して3年間、舞台俳優の仕事に専念、クラリンの代表作『裁判官夫人』(“La Regenta”)などの舞台に立つ。その後マドリードに出て、演技学校Escuela de Arte Dramático に入学、その後Compañia Nacional de Teatro Clásicoへの加入を許可された。
*映画デビューはフェルナンド・フェルナン・ゴメスの“El viaje a ninguna parte”(86)、フェルナンド・コロモのコメディ“Bajarse al moro”(88)に小さい役で出演した。フリオ・メデムのバスク三部作の第1部『バカス』(91“Vacas”)、第2部『赤いリス』(93)、第3部『ティエラ―地』(96)、3作ともエンマ・スアレスと共演、日本の観客を魅了したのは劇場公開されたイマノル・ウリベの『時間切れの愛』(94)でしょう。同監督の『キャロルの初恋』(02)も第1回ラテンビート上映後、劇場公開された。ピラール・ミロの『愛の虜』(96)、モンチョ・アルメンダリスの『心の秘密』(97)、アントニオ・ホセ・ベタンコルの『マラリア』(98)、マヌエル・ゴメス・ペレイラの『スカートの奥で』(99)エトセトラ、彼ほど公開、映画祭上映、ビデオ発売、テレビ放映の違いはあるが、日本語字幕入りで見られた俳優はそう多くない。
*『時間切れの愛』でゴヤ賞1995主演男優賞、マルセロ・ピニェイロの“El método”でゴヤ賞2006助演男優賞を受賞した他、『愛の虜』で主演男優賞、ゴンサロ・スアレスの“El portero”(00)で助演男優賞にノミネートされている。その他受賞歴多数につき割愛。

(『時間切れの愛』のシーンから)
*ヘラルド・エレーロの青の旅団をテーマにした“Silencio en la nieve”(11)に出演後、エレーロ作品に連続出演しておりますが、そろそろ振り出しに戻って舞台に専念したいと「エル・ムンド」のインタビューに答えている。一人娘ラウラ(21歳)が女優志願、これについて「自分としては打つ手がない」と親心をのぞかせていました。どこの家も「親の心子知らず」です。
★関連記事・管理人覚え
“Món petit”の記事はコチラ⇒2014年1月19日
『解放者ボリバル』の記事はコチラ⇒トロント映画祭2013年9月16日/2014年10月27日
“El método”の記事はコチラ⇒2013年12月19日
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