オフィシャル・セレクション13作品*マラガ映画祭2015 ③2015年04月11日 12:26

       収益が伸びた2014年を超えられるか?

★昨年が特別だったのかもしれませんが、映画祭主催者は「よし、今年も頑張るぞ」と勢い込んでいます。2013年の収益88.746ユーロに対し、2014年は111.837ユーロと26%も伸びました。この映画イベントでマラガ市が得た経済効果は実に大きく、昨年は1.200.000ユーロと算出しています。内訳は企業や個人の出資、ホテルやレストランの利用、プロダクションが契約したモジュール、テント、オーディオビジュアル機器、開催に伴う雇用の増加、マラガの内外から集まった観客が落としていったお金はバカにならない。Web TVを通じて21カ国に配信された中に日本も入っています。アメリカは勿論、英仏独伊、アルゼンチン、メキシコ、コロンビア、中国、カナダ、オーストラリアなどなど。何でもいいから、とにかくスペインに元気になって欲しい。

 

 (映画祭ディレクターのフアン・A・ビガルとマラガ市議会文化担当のダミアン・カネダ)

 

      ベテランと新人が競うコンペティション13作品

★前回オープニング作品ホアキン・オリストレルの“Hablar”を少しばかり紹介しました(321)。賞に絡むかどうか分かりませんが、話題作を何本か発表(426日)に間に合うまでアップしていきます。昨年の「金のジャスミン」賞は新人カルロス・マルケス≂マルセのコメディ“10.000 km”でした。彼はゴヤ賞新人監督賞を受賞し、第2回イベロアメリカ・プラチナ賞のプレセレクション5作品の中にも選ばれています。マラガでプレミアした良作は9月のサンセバスチャン映画祭の「メイド・イン・スペイン」部門で上映され、翌年のゴヤ賞ノミネーション&受賞に繋がっていきます。今年はシビアなドラマが多そうですが、何作ぐらい生き残れるでしょうか。

 


Hablar”  ホアキン・オリストレル 2015 スペイン 75

製作Aquí y Allá Films / Sabre Producciones  支援:Producciones Cristina Rota / Canal +

監督:ホアキン・オリストレル

脚本(共同)ホアキン・オリストレル、クリスティナ・ロタ

キャスト:セルヒオ・ペリス・メンチェタ、エステファニア・デ・ロス・サントスマリア・ボトー、ラウル・アレバロ、マルタ・エトゥラ、ディエゴ・ボトー、アストリド・ホネス、ダフニス・バルドゥス、メルセデス・サンピエトロ、ヌル・レビ、ミゲル・アンヘル・ムニョス、カルメン・バラゲゴヤ・トレド、セクン・デ・ラ・ロサ、アレックス・ガルシア、アントニオ・デ・ラ・トーレ、メラニエ・オリバレス、ほか

 

                         (ラウル・アレバロ)

解説20148月のある蒸し暑い夜、舞台は経済的政治的危機にあるマドリードのラバピエス地区、20人ほどの登場人物が繰り広げる群像劇。口論し、泣いて笑って、脅して、つぶやいて、盗んで、怒って、ハグして・・・そして言葉が持つ計り知れない力について熟慮を観客に提案する。‘Hablar’とは「話す」こと。

 

監督紹介&フィルモグラフィーホアキン・オリストレル Joaquín Oristrell Venturaは、1953年バルセロナ生れの監督、脚本家。哲学と文学を専攻。TVドラマUn, dos, tres....responda otra vez1982)の共同脚本家としてデビュー、テレビ界ではよく知られている脚本家。コメディを得意とし、現在のスペイン映画でも成功作が多い。例えば、マヌエル・ゴメス・ペレイラのTodos los hombres sois igualesを監督と共同執筆、ゴヤ賞1994オリジナル脚本賞を受賞している。イマノル・アリアスや今度の映画アカデミー新会長となるアントニオ・レシネスが達者な演技を披露した。他にゴヤ賞がらみでは、監督と脚本を共同執筆した“Sin verguenza”(2001)で、オリジナル脚本賞をクリスティナ・ロタ、その他2名と受賞している。ベテラン女優ロサ・マリア・サルダが助演女優賞を貰った。また本作はマラガ映画祭の監督・脚本賞及びベロニカ・フォルケが最優秀女優賞を受賞している。他の代表作に“Inconscientes”(04)レオノル・ワトリングやルイス・トサール、Hablar出演のメルセデス・サンピエトロも出演、“Nadie es perfecto”(06)、“Dieta mediterránea”(08)、後者は『地中海式人生のレシピ』の邦題で公開、DVDも発売されています。今回エロイ・デ・ラ・イグレシア賞を受賞するパコ・レオンが出演してました。新作出演のカルメン・バラゲと結婚、子供が二人いる。

 


トレビア:マドリードのラバビエス地区を舞台に約20人ほどの若手、中堅、ベテランが織りなす群像劇ラバビエス地区はマドリード南部、ラストロとソフィア王妃美術館の中間あたりに位置し、古くはユダヤ人街だったという。地下鉄の駅名も広場名もラバピエス、庶民の街ですね。あまり馴染みのない俳優が出たり入ったりだとプロットが追えなくてややこしいが、いくら群像劇でもキイパーソンはいるわけですから、それが誰かを捉えることです。ラウル・アレバロ(『マルティナの住む街』)、フアン・ディエゴ・ボトー(『フリアよみがえり少女』)、マルタ・エトゥラ(『プリズン211』)、そのほか今年の「マラガ賞」受賞者アントニオ・デ・ラ・トーレもクレジットされています。