ドキュメンタリー『激情の時』*ラテンビート2018 ④2018年10月12日 10:49

         アーカイブ映像で綴った激動の1960年代―パリ、中国、プラハ、リオ

 

★邦題『激情の時』は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2017で上映されたときに付けられたもの、審査員特別賞を受賞した。ジョアン・モレイラ・サレス監督はドキュメンタリー映像作家として国際的に認知されている(現在のところフィクションは撮っていない)。『激情の時』2007年のSantiago以来、5年の歳月を掛けて10年ぶりに完成させたもの。1966年文化大革命初期の中国、1968年ソビエト連邦のプラハ侵攻、パリ1968年五月革命(フランスの五月危機)、軍事独裁時代(196485)のリオデジャネイロなどのアーカイブ映像で綴ったドキュメンタリー。

 

         

 

 『激情の時』(原題No Intenso Agora、英題「In the Intense Now」) 

製作:Videofilmes Producoes Artististicas Ltda.

監督・脚本:ジョアン・モレイラ・サレス

編集:エドゥアルド・エスコレル、Lais Lifschitz

音楽:ホドリゴ・レアンRodrigo Leao

 

データ:製作国ブラジル、言語ポルトガル語、2017年、127分、ドキュメンタリー、現代史、モノクロ&カラー、公開ブラジル201711月、他2018年に米国、ポーランド、コロンビアなどで公開

 

映画祭・受賞歴:シネマ・ドゥ・リール2017オリジナル音楽賞(ホドリゴ・レアン)、サンティアゴ映画祭SANFICスペシャル・メンション、山形国際ドキュメンタリー映画祭2017審査員特別賞、サンパウロ美術評論家協会2018APCA賞、以上受賞。ベルリン映画祭2017、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭BAFICI、パリ・ブラジル映画祭、エルサレム、サンセバスチャン(サバルテギ-タバカレラ部門)、サンティアゴ、リマ、シカゴ、ウィーン、アムステルダム・ドキュメンタリー、各映画祭に出品。シネマ・ブラジル大賞2018(ドキュメンタリー、編集)、イベロアメリカ・フェニックス賞2017(作品・音楽)にノミネートされた。

 

      

     (来日した監督と司会の荒井幸博、山形国際ドキュメンタリー映画祭2017

 

解説:ブラジル軍事独裁時代のリオデジャネイロ、文化大革命初期の中国、フランス五月危機のパリ、ソビエト連邦のチェコスロバキアのプラハ侵攻、激動の1966年から1968年を切りとったアーカイブ映像と、中国を訪れた監督の母親が撮ったアマチュアのフッテージで構成されている。1968年という年は世界的規模で一般大衆、特に若者が社会に不服従を申し立てをした年だった。旧態依然の父権性、白人男性優位、階級区分、兵役拒否など、特にフランスの五月危機は60年代後半の若者の怒りに点火して、その後の社会意識に変化をもたらした。監督独自の視点で纏められている。手持ちの16ミリ、スーパー 8mm フィルムなどで撮られている。まだ iPhone SNS がなかった時代の記録。                                                            (文責:管理人)

      

       

(文化大革命初期の中国、1966年)

 

    

      (当時の中国を訪問した監督の母親のグループのフッテージ)

 

       

               (ソビエト連邦のチェコスロバキアのプラハ侵攻、1968年)

 

       

    (フランスの名門大学ソルボンヌの学生、パリ五月革命、1968年)

 

       

(石畳を粉砕した投石で警察の催涙弾や放水に対抗したフランスの学生たち)

 

    

         (軍事独裁時代のリオデジャネイロ、19683月)

 

 監督キャリア&フィルモグラフィー

ジョアン・モレイラ・サレスJoan Moreira Salles1962年リオデジャネイロ生れ、監督、製作者、脚本家、編集者。ブラジルのセレブの出身。リオデジャネイロ・カトリック大学で経済学を専攻、ニュージャージー州のプリンストン大学卒。『セントラル・ステ-ション』(98)、『ビハインド・ザ・サン』(01)、『モーターサイクル・ダイアリーズ』(04)のウォルター・サレス監督は実兄、ブランカ・ビアナ・サレスは夫人。

 

      

         (モレイラ・サレス監督とブランカ・ビアナ・サレス夫人)

 

1987China, o Imperio do Centro」(104分、デビュー作)

1990Blues(アフリカンアメリカ人の音楽)

1999Noíicias de una Guerra Particular

     (スペイン合作、57分、カティア・ルンドとの共同監督)

    マラガ映画祭2001スペシャル・メンション

2003Nelson Freire102分、ピアニスト、ネルソン・フレイレのビオピック)

    ACIE賞ブラジル04、シネマ・ブラジル大賞04、サンパウロ美術評論家協会賞04受賞

2004Entreatos117分)

    2002年大統領選挙の候補者ルーラ・ダ・シルヴァに同行して撮った政治キャンペーン

    ACIE賞ブラジル05、ハバナ映画祭05サンゴ2席、サンパウロ美術評論家協会賞05受賞   

2007Santiago80分、モノクロ)

    サレス家で30年間に亘って働いた執事サンティアゴについてのドキュメンタリー

    シネマ・ドゥ・リール賞2007、リマ・ラテンアメリカ映画祭071席、

    マイアミ映画祭08審査員大賞受賞

2017No Intenso Agora省略

 

      

 

              

       (マルタ・アルゲリッチと連弾するネルソン・フレイレ、

 訪日回数も多く2017年、2018年連続で「すみだトリフォニーホール」でリサイタルを開催)

  

     

(ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァをあしらった「Entreatos」)

 

     

                    (執事サンティアゴをあしらった「Santiago」)

 

アニメーション『アナザー・デイ・オブ・ライフ』*ラテンビート2018 ③2018年10月08日 16:42

     カンヌ映画祭からサンセバスチャン映画祭へ、アニメファンを魅了した!

      

★ポーランドの作家リシャルト・カプシチンスキによるノンフィクションAnother Day of Lifeの映画化。原作はポーランド語だが映画は1976年に刊行された英訳本によっている。時代背景は、冷戦時代の米ソ代理戦争の典型と言われるアンゴラ内戦、首都ルアンダに赴いて3ヵ月間取材したときの記録。内戦は19753月勃発、2002年までつづいた紛争だが、本作は内戦初期に限られている。脆弱だったアンゴラ解放人民運動MPLAの分析、1976年までのアンゴラの簡単な外史で構成されている。当時アンゴラは、ソ連・キューバ主導のMPLA 、米国・南ア・ザイール・中国主導のアンゴラ民族解放戦線FNLA、アンゴラ全面独立民族同盟ウニタUNITAの三つ巴の闘争が続いていた。しかしアンゴラは19753月、宗主国ポルトガルとの休戦協定に調印した。現実はソ連主導のMPLAと米国主導のFNLAの対立により混迷を深めていたが、形式的には一応独立を果たした。

 

      

             (サンセバスチャン映画祭用のポスター)

 

★原作者のリシャルト・カプシチンスキ19322007)は、当時ポーランド領だったミンスク出身のジャーナリスト、報道記者、作家。現在のミンスク市はベラルーシ共和国の都市。家族は1945年ポーランドに移住、ワルシャワ大学で歴史学を学んだ。「ジャーナリズムの巨人」または「20世紀の最も偉大な報道記者」とも称されるが、当然毀誉褒貶は避けられないようです。ノーベル文学賞の候補に数回選ばれており、翻訳書も多数あるが、「Another Day of Life」は未訳のようです。関連翻訳書としては、40年に亘ってアフリカ諸国を取材して綴ったルポルタージュ「Heban」(2001)が、『黒檀』の邦題で刊行されている(著作目録・年譜付き)。

 

   

             (リシャルト・カプシチンスキ)

 

 『アナザー・デイ・オブ・ライフ』(原題「Another Day of Life」)アニメーション+実写

製作:Kanaki Films(西)/ Platige Image(ポーランド)/ Puppetworks Animation(ハンガリー)/

   Walking The Dog(ベルギー)/ Umedia(ベルギー)/ Animationsfabrik(独)、他

監督:ラウル・デ・ラ・フエンテ&ダミアン・ネノウ

脚本:ラウル・デ・ラ・フエンテ、アマイア・レミレス、ニール・ジョンソン、他

原作:リシャルト・カプシチンスキ著「Another Day of Life

撮影:ゴルカ・ゴメス・アンドリュー、ラウル・デ・ラ・フエンテ

編集:ラウル・デ・ラ・フエンテ

音楽:ミケル・サラス

製作者:アマイア・レミレス(西)、Jaroslaw Sawko(ポーランド)、Ole Wendorff Ostergaad、他

 

データ:製作国スペイン・ポーランド・ハンガリー・ベルギー・ドイツ、言語ポーランド語・英語・ポルトガル語・スペイン語、2018年、アニメーション+実写、86分、3D-CG、ビオピック、内戦。撮影地アンゴラ・キューバ・ポルトガル。公開ポーランド2018112日、ポルトガル118日、フランス2019123

映画祭・受賞歴:カンヌ映画祭2018コンペティション外出品ワールドプレミア、アヌシー・アニメーション映画祭、ビオグラフィルム・フェスティバル(伊)観客賞受賞、ポーランド映画祭「他の視点」出品、サンセバスチャン映画祭「ペルラス」部門、観客賞受賞、副賞として50.000ユーロが授与された。

 

出演:ミロスワフ・ハニシェフスキ(リシャルト・カプシチンスキ)、Vergil J. Smith(ケイロツQueiroz/ルイス・アルベルト/ネルソン)、Tomasz Zietek(ファルスコ少佐Farrusco)、オルガ・Boladz(カルロタ)ほか(以上実写部分)。ケリー・シェール(リシャルト・カプシチンスキ)、ダニエル・フリン(ケイロツ)、Youssef Kerkour(ファルスコ)、リリー・フリン(カルロタ)ほか(以上アニメーション部分のボイス)

 

ストーリー:ポーランドの報道記者カプシチンスキは、冷戦時代の1975年、危険なミッションを受けてアフリカの戦場アンゴラへ出発する。カリスマ的な女性ゲリラのカルロタと知り合うが、混沌とした内部への旅は理想主義者のジャーナリストを永遠に作家に変えてしまう。映画はカプシチンスキの経験に基づいており、私たちは40年前の恐怖に向き合うことになるだろう。主人公はジャーナリスト自身というより革命家カルロタのようで、彼女を女性が公正に評価され、新しい社会の中核的な存在であることの象徴として描いている。アニメ部分80パーセント、残りが実写部分だが、二つの境界はぼやけていく。

   

     

                              

      

 

 

    

     

        

 監督キャリア&フィルモグラフィー

ラウル・デ・ラ・フエンテ Raul de la Fuente、監督、脚本家、編集者、製作者。ナバラ大学オーディオビジュアル・コミュニケーション科卒業。1996年よりTV番組やドキュメンタリーを手掛ける。2006年長編ドキュメンタリーNomadak Tx(パブロ・イラブル他との共同監督、89分)がサンセバスチャン映画祭SSIFF2006に出品される。2013年短編ドキュメンタリーMinerita28分、ボリビアとの合作)が同じくSSIFFのシネミラ部門の短編映画Kimuakに出品、翌年のゴヤ賞短編ドキュメンタリー賞を受賞する。ボリビアのポトシ鉱山で働く女性労働者たちに寄り添い、自らも坑内に入って撮影、暴力、セクハラ、希望を語らせて胸を打つ。ポーランドのクラクフ映画祭2014ゴールデン・ドラゴン賞のスペシャル・メンション、サンディエゴ・ラテン映画祭コラソン賞を受賞している。 

        

 

       

     (中央の二人が製作者アマイア・レミレスと監督、ゴヤ賞2014授賞式にて)

 

2014年ドキュメンタリーI am Haiti60分、ハイチとの合作、仏語)はSSIFF「シネミラ」部門のイリサルIrizarを受賞、2017年短編ドキュメンタリーLa fiebre del oro25分「Gold Fever」モザンビークとの合作)もSSIFFKimuakに出品、以上でドキュメンタリー三部作になっている。3作とも脚本家で制作会社Kanaki Filmsの代表者アマイア・レミレスが手掛けている(2009年にデ・ラ・フエンテと設立、本部はサンセバスチャン)。二人は公私ともにパートナーであり、レミレスの視点が注目される。

 

    

        (ラウル・デ・ラ・フエンテとアマイア・レミレス)

 

最新作『アナザー・デイ・オブ・ライフ』は上記の通りカンヌ映画祭でワールド・プレミアした。製作の発端は10年ほど前に読んだ原作に二人が同時に感銘を受けたこと、本格始動は「7年前のアンゴラ取材旅行」とインタビューに応えている。最初の構想はアニメーションと実写のミックスではなかったが、シュールなシーンはアニメのほうが適切だったこと、また将来の可能性に賭けたかったことの2つを上げている。「カプシチンスキがポーランド人だったので、制作会社 Platige Imageにコンタクトを取り、最終的にダミアン・ネノウとのコラボが決定した」とレミレス。距離的に遠く離れていたので専らスカイプで連絡を取り合った。カプシチンスキの時代のテレックスとは様変わりしている。カプシチンスキについては「ジャーナリストというより、活動家だった」と監督。カンヌよりも緊張すると話していたサンセバスチャンで、見事「観客賞」を受賞した。

 

    

(デ・ラ・フエンテ、ダミアン・ネノウ、アマイア・レミレス、カンヌ映画祭フォトコール)

 

   

  (観客賞受賞のデ・ラ・フエンテとレミレス、ネノウ監督は帰国、SSIFF2018ガラ)

 

ダミアン・ネノウDamian Nenow1983年ポーランドのクヤヴィ=ポモージェ県都ビドゴシュチ生れ、監督、脚本、編集、視覚効果、アニメーター。ポーランド第2の都市ウッチのウッチ映画学校卒、2005Platige Image Film Studioに入り、3Dによるアニメーションの制作、監督、編集を手掛ける。短編アニメーションThe Aimでデビュー、ウッチの国際アニメーション映画祭で若い才能に贈られるオナラブル・メンションを受賞、2006The Great Escapeが多くの国際映画祭に出品される。2010Paths of Hate10分)がコルドバ国際アニメーション映画祭2011で審査員賞、アヌシー国際アニメーション映画祭2011スペシャル栄誉賞、サンディエゴ・インディペンデント映画祭審査員チョイス、札幌国際短編映画祭で『パス・オブ・ヘイト』の邦題で上映され、最優秀ノンダイアログ賞を受賞している。第84回アカデミー賞2011のプレセレクション10作にも選ばれている。

 

       

    

   

(アニメーション『パス・オブ・ヘイト』から

 

2011City of Ruins5分、ポーランド題「Miasto ruin」)は、ワルシャワ映画祭出品、2015年ホラー・アニメFly for Your Life5分、米国)はインターネットで配信された。

 

 (ダミアン・ネノウ)

      

 

    

  (カンヌではしゃぐ、ダミアン・ネノウとラウル・デ・ラ・フエンテ)

  

     

       (ラウル・デ・ラ・フエンテ、ダミアン・ネノウ、アマイア・レミレス、

         ポーランド製作者Jaroslaw Sawko、サンセバスチャン映画祭2018

   

上映作品14作が出揃いました*ラテンビート2018 ②2018年10月06日 10:26

      アニメーション+ドキュメンタリー『アナザー・デイ・オブ・ライフ』

 

      

★前回アナウンスされていた6作品だけアップしましたが、追加の8作が発表されました。一瞥しての感想は、例年に比べて元気なブラジル映画(合作を含めて5作)と公開が難しいドキュメンタリー(短編を含めて4作)の多さです。いつものラテンビートとは違った貌が見られるかもしれません。取りあえず上映邦題・原題・製作国・言語・監督などを列挙しておきます(紹介作品はゴチック体、順不同)。

 

1『カルメン&ロラ』Carmen y Lola」スペイン、スペイン語、アランチャ・エチェバリア

作品紹介は、コチラ⇒20180513

    

     

 

2I Hate New YorkI Hate New York」(ドキュメンタリー)スペイン、西語・英語、

  グスタボ・サンチェス

作品紹介は、コチラ⇒20180905

   

 

    

  

3『相続人』Las herederas」パラグアイ・ウルグアイ・独・ノルウェー・ブラジル・仏、

  スペイン語・グアラニー語、マルセロ・マルティネシ

作品紹介は、コチラ⇒20180216

    

   

 

4『夢のフロリアノポリス』Sueño Florianopolis」アルゼンチン・ブラジル・仏、

  スペイン語・ポルトガル語、アナ・カッツ

作品紹介は、コチラ20180921

    

    

 

5『アブラカダブラ』ABRACADABRA」スペイン・メキシコ・アルゼンチン、スペイン語、

パブロ・ベルヘル

作品紹介は、コチラ20170705

   

    

 

  1. 6)『サビ』「Ferrugem」ブラジル、ポルトガル語、アリ・ムルチバ

       

  1.         

  2.  

     以下は追加作品

  3. 7)『アワ・マン・イン・トーキョー ~ザ・バラッド・オブ・シン・ミヤタ』

      OUR MAN IN TOKYO (THE BALLAD OB SHIN MIYATA)」(短編ドキュメンタリー、18分)米国、

     アキラ・ボック、『I Hate New York』と同時上映

     

  4.  8)『夏の鳥』Pájaros de verano」コロンビア・メキシコ・仏・デンマーク、スペイン語、

        クリスティナ・ガジェゴ&チロ・ゲーラ

  5. 作品紹介は、コチラ20180518

        

  1.      

     

  2. 9)『ローマ法王フランシスコ』「Pope Francis: A Man of His Word」(ドキュメンタリー)

      スイス・バチカン市国・伊・独・仏、伊語・西語・独語・英語、ヴィム・ヴェンダース

  3.    

  1.        

        
  1.  10)『アナザー・デイ・オブ・ライフ』「ANOTHER DAY OF LIFE」

  2.      ポーランド・西・独・ベ ルギー・ハンガリー、英語・ポルトガル語・ポーランド語・西語

  3.    ラウル・デ・ラ・フエンテ&ダミアン・ネノウ 

  4. 追記:作品紹介は、コチラ⇒2018年10月08日

            

  1.      

     

    11)『エルネスト』日本・キューバ、日本語、阪本順治

     

  1. 12)『ベンジーニョ』Benzinho」ブラジル・ウルグアイ・独、ポルトガル語、

  2.    グスタボ・ピッツィ

    作品紹介は、コチラ20180430  

        

  1.      

     

  2. 13)『ハード・ペイント』「Tinta burta」ブラジル、ポルトガル語、

      フィリペ・マッツェンバシェル&マルシオ・ヘオロン

         

  1.  

     

  2. 14)『激情の時』「No Intenso Agora」(ドキュメンタリー)ブラジル、ポルトガル語、

       ジョアン・モレイラ・サレス

        

  1.     

     

    ★第66回サンセバスチャン映画祭2018「ペルラス」部門に出品され、このほど「観客賞」(ドノスティア市)を受賞した『アナザー・デイ・オブ・ライフ』の作品紹介の予定。SSIFFではスペイン語題のUn día más con vidaで上映されました。ほかにビオピック作品に特化したイタリアのBiografilmビオグラフィルム・フェスティバルでも観客賞を受賞しています(原作はリシャルト・カプシチンスキの同名の著作)。3D-CG使用したアニメと実写をミックスさせた映像が楽しめそうです。


第66回サンセバスチャン映画祭2018*結果発表 ㉕2018年10月03日 14:37

         まさかの金貝賞、イサキ・ラクエスタの「Entre dos aguas」が受賞しました!

 

 

   

★受賞結果発表が929日(現地時間2100~)、メイン会場のクルサールでありましたが、イサキ・ラクエスタEntre dos aguas」金貝賞には大分驚かされました。スペイン映画の受賞は2014年の『マジカル・ガール』以来4年ぶりです。スペイン映画が選ばれるならロドリゴ・ソロゴジェンEl reinoと予想、もし当たれば男優賞はアントニオ・デ・ラ・トーレでしたが、両方ともかすりもしませんでした(笑)。ラクエスタは2011年(第59回)にLos pasos doblesで受賞していますから2度目、6人目の2回受賞者になりました。スペイン人ではマヌエル・グティエレス・アラゴン(『庭の悪魔』『天国の半分』)とイマノル・ウリベ(『時間切れの愛』『ブワナ』)の二人、他の三人はフォード・コッポラアルトゥーロ・リプスタインバフマン・ゴバディです。

 

       

    (感謝の受賞スピーチをする監督と、左から監督夫人で脚本家のイサ・カンポ、

     イスラを演じたイスラエル・ゴメス、製作者アレックス・ラフエンテ、授賞式にて)

 

★作品賞のみならず疑問を投げかける記事が目に付きますし、ガラをざっと見ただけですが盛り上がりに欠ける印象でした。未鑑賞の段階であれこれコメントはできませんが、紹介されているストーリーを読むかぎり、テーマも新鮮味に欠け個人的には腑に落ちない結果発表でした。審査委員長アレクサンダー・ペインに対する雑音も聞こえてきました。

 

★今年から金貝賞(作品賞)・銀貝賞(監督・男優・女優)のトロフィーのデザインが変わりました。ガラの進行は、女優のマリベル・ベルドゥがスペイン語で、タバカレラ理事会総ディレクター、エドゥルネ・オルマサバルがバスク語で総合司会をしました。

 

    

        (マリベル・ベルドゥとエドゥルネ・オルマサバル)

 

 セクション・オフィシアル

作品賞(金貝賞)

Entre dos aguas(スペイン)イサキ・ラクエスタ

プレゼンターは、セクション・オフィシアル審査委員長アレクサンダー・ペイン

Entre dos aguas」の紹介記事は、コチラ20180725

          

       

(スピーチする監督と涙で挨拶できなかった主役イスラエル・ゴメス)

 

    

審査員特別賞

Alpha, The Right To Kill(フィリピン)監督ブリジャンテ・メンドサ

プレゼンターは、作品賞と同じアレクサンダー・ペイン

メンドサ監督はスマホを覗きながらスピーチしておりました。ガラ風景も様変わりしました。

 

    

監督賞(銀貝賞)

ベンハミン・ナイシュタットRojo」(アルゼンチン、ブラジル、仏、オランダ、独)

プレゼンターは、審査員のコンスタンティン・ポペスク

Rojo」は他に男優賞・撮影賞と3賞をゲットしました。

Rojo」の紹介記事は、コチラ20180725

 

    

女優賞(銀貝賞)

Pia TjeltaBlind Spot」(ノルウェー)監督は女優歴の長いツヴァ・ノヴォトニーのデビュー作

プレゼンターは、審査員のアグネス・ヨハンセン

スピーチは英語、準備してきた紙を読み上げていましたが、ツヴァ・ノヴォトニー監督に感謝を述べる段階で涙、会場にいた監督も涙、涙なみだの受賞スピーチでした。

   

   

            (やはり涙の受賞となりました)

 

男優賞(銀貝賞)

ダリオ・グランディネッティRojo」監督ベンハミン・ナイシュタット

プレゼンターは、審査員のナウエル・ペレス・ビスカヤート、彼はアルゼンチン出身です。

 

   

 (見知らぬ人からの脅迫に苦しむ弁護士役を演じたダリオ・グランディネッティ)

 

撮影賞

ペドロ・ソテロRojo」同上

プレゼンターは、審査員のBet Rourich

『アクエリアス』を撮ったブラジルの撮影監督です。

 

     

 

脚本賞(2作品)

ポール・ラヴァティYuli」(西・キューバ・英・独)監督イシアル・ボリャイン

プレゼンターは、審査員のロッシ・デ・パルマ、今日は華やかな赤いドレスでした。

ポール・ラヴァティはスペイン語で一番長いスピーチをしました。

Yuli」の紹介記事は、コチラ20180725

  

     

 

     

(現地入りしたボリャイン監督、主役のカルロス・アコスタなど) 

 

ルイ・ガレルジャン=クロード・カリエールL'homme fidele」(フランス)ルイ・ガレル監督

ジャン=クロード・カリエールは帰国してしまったのか登壇しませんでした。ルイ・ガレルは監督・脚本・主演と3役をこなした。

 

   

セクション・オフィシアル審査員紹介は、コチラ20180918

 

 

 その他の受賞結果

ニューディレクターズ部門

『僕はイエス様が嫌い』(日本)奥山大史

奥山監督は日本語でスピーチ、ガラ唯一の同時通訳が付きでした。金貝賞より驚いたのが奥山大史の『僕はイエス様が嫌い』、現在22歳とかで史上最年少受賞者になりました。来年日本公開が決定しているなど、既に日本メディアでも報道されています。

『僕はイエス様が嫌い』の紹介記事は、コチラ20180721

 

    

          (トロフィーを手にして受賞スピーチをする奥山監督)

 

Viaje al cuarto de una madre(西仏)監督セリア・リコ・クラベリーノ

スペシャル・メンションを受賞、本作はユース賞も受賞しました。

    

     

ホライズンズ・ラティノ部門

Familia sumergida(アルゼンチン、ブラジル、独、ノルウェー)監督マリア・アルチェ

 

   

 

El motoarrebatador(アルゼンチン、ウルグアイ、仏)監督アグスティン・トスカノ

スペシャル・メンションを受賞。なら国際映画祭2018「ゴールデンSHIKA賞」受賞作品、『ザ・スナッチ・シィーフ』の邦題で上映された。

El motoarrebatador」の作品紹介は、コチラ2018年09月07日

    

 

サバルテギ-タバカレラ部門

Song For The Jungle(フランス)監督ジャン・ガブリエル・ペリオト

 

  

 

Los que desean(スイス、スペイン)短編ドキュメンタリー、監督エレナ・ロペス・リエラ

スペシャル・メンションを受賞

 

  

観客賞(ドノスティア-サンセバスチャン市)

Un día más con vida(西、ポーランド、ベルギー、独)アニメーション(ペルラス部門出品)監督ラウル・デ・ラ・フエンテダミアン・ネノウ

ラテンビート2018 『アナザー・デイ・オブ・ライフ』(原題)で上映決定 

 

     

            (ラウル・デ・ラ・フエンテと製作者のアマイア・レミレス) 

 

 

   

観客賞(ヨーロッパ映画)

Girl(ベルギー、オランダ)(ペルラス部門出品)監督Lukos Dhont

 

    

ユース賞(ニューディレクターズ部門出品)

Viaje al cuarto de una madre(スペイン、フランス)監督セリア・リコ・クラベリノ

 

    

      (母娘を演じた、ロラ・ドゥエニャスとアナ・カスティジャーノ)

 

国際映画批評家連盟賞 FIPRESCI(セクション・オフィシアル出品)

Hight Life(独仏英ポーランド他)監督クレール・ドニ

Hight Life」の作品紹介は、コチラ20180716

 

TVE「他の視点」賞(ニューディレクターズ部門出品)

The Third Wife(ベトナム) 監督Ash Mayfair

 

     

IRIZARバスク映画賞

Oreina(スペイン)監督コルド・アルマンドス

 

     

スペイン協力賞(ホライズンズ・ラティノ部門出品)

「Los silencios」(ブラジル、仏、コロンビア)ベアトリス・セニエ

  

 

★大体以上が主な受賞結果、以下バスク映画賞など結構ありますが割愛。

  

第5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018*ノミネーション発表2018年09月30日 17:30

          ネットフリックスの存在が大きくなってきたフェニックス賞2018

 

★去る924日、5回イベロアメリカ・フェニックス賞2018のノミネーション発表がメキシコシティでありました。カテゴリーと解説に齟齬があったりカテゴリーの数が違ったりと、サイトでノミネーション個数にばらつきがありますが、当たらずとも遠からずでいくと、最多ノミネーションは、コロンビアのチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano9個、アルゼンチンのルクレシア・マルテル『サマ』8個でした。作品・監督・脚本・男優女優・撮影・・・と両作とも主要カテゴリーに選ばれています。

  

★イベロアメリカとはいえ、旧宗主国のスペインとポルトガルは影が薄く、第4回までの作品賞はすべてラテンアメリカ映画が制しています(第1回メキシコの『金の鳥籠』、第2回から4回までの『ザ・クラブ』、『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』、『ナチュラルウーマン』と連続でチリが受賞しています)。今年スペインとポルトガルは主要カテゴリーのノミネーションがゼロでした。

 

      

  (イベロアメリカ・フェニックス賞ノミネーション発表に集まったシネアストたち)

   

★チロ・ゲーラ&クリスティナ・ガジェゴのPájaros de veranoは、カンヌ映画祭2018併催の「監督週間」のオープニング作品です。チロ・ゲーラ映画の製作者クリスティナ・ガジェゴの初監督作品です。2016年には夫婦二人三脚で『彷徨える河』などの力作を撮っています。9カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・衣装・オリジナル音楽、ゴッドマザーを演じたカルミナ・マルティネスが女優賞にノミネートされた(美術がないサイトあり)。

Pájaros de verano」の作品紹介は、コチラ20180518

 

      

   (女優賞ノミネートのカルミナ・マルティネスとラウラ・モラの「Matar a Jesús」から)

 

★ルクレシア・マルテルの『サマ』は、ベネチア映画祭2017のコンペティション外上映、国際映画祭に数多く出品され、ラテンビートでも昨年上映されました。しかし批評家の高い評価にもかかわらず今もって作品賞は受賞しておりません。イベロアメリカ諸国の公開が殆ど2018年だったことで、今年のノミネーションになりました。8カテゴリーの内訳は、作品・監督・脚本・撮影・編集・美術・録音とダニエル・ヒメネス・カチョが男優賞にノミネートされました。

『サマ』の主な紹介記事は、コチラ20171013

   

      

     (サマを演じ男優賞ノミネートのダニエル・ヒメネス・カチョ、映画から)

 

2作に続いて、メキシコのアロンソ・ルイスパラシオスの第2Museo6個です。その内訳は、作品・監督・撮影・オリジナル音楽・録音、ガエル・ガルシア・ベルナルの男優賞です。ベルリン映画祭2018脚本賞受賞作品。

Museo」の作品紹介は、コチラ20180219

 

      

           (男優賞ノミネートのガエル・ガルシア・ベルナル、映画から)

 

★同じくパラグアイのマルセロ・マルティネシLas herederas6個です。その内訳は、作品・監督・脚本・撮影・美術・録音、ベルリン映画祭で女優賞を受賞したアナ・ブルンはノミネートされませんでした。ベルリン映画祭2018のアルフレッド・バウアー賞と国際映画批評家連盟賞受賞作品、サンセバスチャン映画祭「ホライズンズ・ラティノ」部門オープニング作品、ラテンビート2018上映作品です。

Las herederas」の作品紹介は、コチラ20180216

 

     

             (監督とアナ・ブルン)

 

★作品賞・監督賞のノミネーションだけアップしておきます。

作品賞7作品)

Alanis監督アナイ・ベルネリ、アルゼンチン

As boas maneirasフリアナ・ロハス&マルコ・ドゥトラ、ブラジル

Cocoteネルソン・カルロ・デ・ロス・サントス・アリアス、ドミニカ共和国

Las herederasマルセロ・マルティネシ、パラグアイ

Museo」同アロンソ・ルイスパラシオス、メキシコ

Pájaros de veranoチロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴ、コロンビア

Zamaルクレシア・マルテル、アルゼンチン

 

監督賞7人)

アナイ・ベルネリAlanis

フリオ・エルナンデス・コルドンCómparame un Revólver」メキシコ

マルセロ・マルティネシLas herederas

ラウラ・モラMatar a Jesús」コロンビア

アロンソ・ルイスパラシオスMuseo

チロ・ゲーラクリスティナ・ガジェゴPájaros de verano

ルクレシア・マルテルZama

 

★という具合でスペイン映画は作品賞にも監督賞にも見当たりませんでした。ドキュメンタリー部門にゴヤ賞2018受賞のMuchos hijos, un mono un castillo、男優賞に「El autor」のハビエル・グティエレス、脚本賞に「Petra」のハイメ・ロサレス、美術賞に「Handia」と「La libreria」他がありました。

 

 

TVシリーズ部門ではネットフリックスの存在の大きさが際立っています。昨年も『ナルコス』などが受賞しましたが、今年もノミネーション5作品のうち3作がネットフリックスがらみです。スペインのLa casa de papel(『ペーパー・ハウス』シーズン2)、メキシコ=米のNarcos(『ナルコス』シーズン3)、アメリカ製作のLuis Miguel:La serie(シーズン1)の3作です。ルイス・ミゲルというのは一名メキシコの「太陽El Sol」と言われるほどのプエルトリコ生れのメキシコの歌手、現在活躍中の歌手のビオピック、グラミー賞5回受賞でハリウッドのウォーク・オブ・フェームに星が刻まれています。しばらく活動を休むなど謎の多い歌手ですが昨年復活しました。ルイス・ミゲルをディエゴ・ボネタ、歌手だった父親をオスカル・ハエナダが演じています。シーズン113話)が20184月からメキシコ、米国、スペイン、生れ故郷プエルトリコでNetflix同時配信されました(日本は未配信のようです)。

 

    

   (『ペーパー・ハウス』から)

 

   

            (『ナルコス』シーズン3

 

   

                 (ディエゴ・ボネタ、Luis Miguel:La serie」から

 

★この映画賞の作品選考はメキシコの「シネマ23」が中心になって行なわれ、イベロアメリカ映画アカデミー連盟、メキシコ映画アカデミーが参画、第16回モレリア映画祭(102028日)で受賞結果発表があり、ガラは117、メキシコシティのエスペランサ・アイリス・シティシアターで開催される予定。


ジュディ・デンチ、ドノスティア賞授賞式*サンセバスチャン映画祭2018 ㉔2018年09月28日 13:37

               ジュディ・デンチ、貫禄のドノスティア賞授賞式

 

      

★去る925日メイン会場のクルサールで、3人目の受賞者ジュディ・デンチのドノスティア賞授賞式がありました。当日にサー・トレバー・ナンRed Joanの上映がありました。スタンディングオベーションに感激の涙、若い観客が多い印象を受けました。プレゼンターはアレクサンダー・ペイン(セクション・オフィシアル審査委員長)がスペイン語でスピーチ、サラマンカ大学で学んでおりスペイン語は堪能。デンチの61年に及ぶキャリア、今年84歳になるという女優の受賞は、遅きに失した感がありました。英国女優ではデンチよりずっと若いエミリー・ワトソン2015年に受賞してるほか、大分前にヴァネッサ・レッドグレイヴが受賞しています。

 

       

    (アレクサンダー・ペインからトロフィーを受けるジュディ・デンチ)

 

★例のごとく出演映画のダイジェスト版が流れると、長いキャリアのこともあってか見ていた映画の多さに驚きました。『あるスキャンダルの覚え書き』から『Queen Victoria至上の恋』、エリザベスⅠ世に扮した『恋におちたシェイクスピア』、『ヘンリー5世』、『ショコラ』、英国映画アカデミー女優賞を受賞した『アイリス』、『ヘンダーソンの贈り物』、『マリリンとの7日間』、スランプに陥っているグイドを励ますリリー役を演じた『NINE』、勿論「007シリーズ」のM、当日上映されたRed Joan」など、新作は来年には公開されるでしょうね。

ジュディ・デンチのキャリア&フィルモグラフィーの紹介記事は、コチラ20180831

 

 

 

Red Joan」の監督、トレバー・ナンと一緒のプレス会見では、「私は今も現役の女優で、いつもオファーを待っています。断った仕事はありません」と。記者からの映画界に長年巣くっているセクハラについての質問には「容認できませんが、複雑すぎて・・・誰ということではなく、以前はいたるところにあったのです」と。計り知れない援助を受けたというケビン・スペイシーを擁護しているようでしたが、常習犯だったらしいから、庇うのは苦しいです。

 

           

    (ジュディ・デンチにキスをしているのはトレバー・ナン監督、プレス会見で)


是枝監督、涙のドノスティア賞授賞式*サンセバスチャン映画祭2018 ㉓2018年09月27日 13:10

           アジアで初めての受賞者―樹木希林さんを忍んで涙のスピーチ

 

     

923日、是枝裕和監督のドノスティア賞授賞式がビクトリア・エウヘニア劇場で行われました。日本初どころかアジア初の受賞者です。バスク語のドノスティアはサンセバスチャンのことで、SSIFFが選ぶ映画栄誉賞・功労賞になります。生涯功労賞と紹介されていますが、現役バリバリのシネアストが貰うことが多い。ドノスティア賞は1986年の第34回から始まり、第1回受賞者はグレゴリー・ペック、今年の是枝裕和、ダニー・デヴィートジュディ・デンチ3人を含めて、受賞者の合計は64人になりますが、うち鬼籍入りした人は初期の十数人で、他は活躍中です。現役を退いた功成り名遂げた人が貰う賞ではない。是枝監督も受賞スピーチで「もう20年くらいは映画を撮りたい」と仰っていましたが、20年と言わずにファミリー映画だけでなく、コメディ、ホラーなど世界に発信してください。

 

    

           (涙、涙の是枝監督、右はティエリー・フレモー)

 

★授賞式会場は、メインのクルサールとは別のビクトリア・エウヘニア劇場で行なわれました。本映画祭の総ディレクターであるホセ・ルイス・レボルディノスから監督紹介があった後、プレゼンターのティエリー・フレモー(カンヌ映画祭総ディレクター)がスペイン語で是枝映画の魅力を語った。レボルディノス氏に「コレエダサーン」と呼ばれて登場した監督にトロフィーを渡したのは、なんとフレモー氏ではなく、レボルディノス氏でした。

 

     

   (トロフィーを手にしているのがレボルディノス氏、中央がフレモー氏)

 

★スタンディングオベーションになる前からもう目が潤んでいて、これはやばいと思いました。その前に是枝映画のダイジェスト版が流れて樹木希林さんの映像がたくさん流れたからでした。スピーチができないほど涙が止まらなかった受賞者は過去にいなかったのではないでしょうか。最後にリリー・フランキーさんが白いハンカチを持って現れましたが、そのときはさすがに涙は乾いていました(笑)。ふつう授賞式はトータルで10分程度ですが、今回は30分ぐらいかかったのも異例なことでした(是枝監督は日本語で、スペイン語の同時通訳)。

 

     

               (ティエリー・フレモーと並んで)

 

★何を語ったかは映画サイトでどうぞ。

エステル・ガルシア映画国民賞2018授与式はタバカレラ国際センターで2018年09月26日 17:15

    「私たち女性は製作に優れた才能を発揮しています」とエステル・ガルシア

 

エステル・ガルシア映画国民賞受賞の知らせをアップしたばかりですが、予定通り去る22日サバルテギ-タバカレラ部門が上映されるタバカレラ現代文化国際センターで、ホセ・ギラオ・カブレラ教育文化スポーツ相から賞状を受け取りました。プレゼンターを務めたカンヌ映画祭の総ディレクター、ティエリー・フレモー、映画産業界関係者が駆けつけ、大臣が賞状を授与したときには会場がどよめいた。昨年の受賞者アントニオ・バンデラスもタバカレラでした。授与式はサンセバスチャン映画祭開催中に行われるのが決まりです。

エステル・ガルシアの紹介記事は、コチラ20180917

 

           

           (文化大臣から賞状を受け取るエステル・ガルシア)

 

★今回のように深い愛のこもった感動的な授与式は稀れだったようです。紹介記事にも書いたように「女性プロデューサー初の受賞者」、表舞台には現れない縁の下の女性が受賞したことは、後ろに続く女性たちにも朗報だったに違いない。スターでない20人以上の女性たち、プロデューサー、脚本家、監督、技術部門のスタッフ・・・が壇上に上がって喜びを分かち合った。ホセ・ギラオ大臣は黒一点(?)でした。下の写真でエステル・ガルシアが手にしている赤い扇子には「もっと女性にチャンスを」と書かれている。今年のゴヤ賞ガラから登場している扇子です。

 

     

    (赤い扇子を手にしたガルシアと応援に馳せつけた女性シネアストたち)

 

★「私は製作者で女性です、両方とも順調だと感じています」、たいていの方は製作の仕事がどういうものか知らない。フィルム構成の複雑な手順など頭痛のタネは尽きません。「製作という仕事には才能が必要です。何を選ぶか決心するのはとても難しい。どんな映画が成功するか知るには、経済的な側面だけでなく何よりも芸術的な視点が必要です」と受賞者。石器時代から女性に課せられてきた仕事をしているが、男性も女性の仕事を分担して欲しい。人口の半分は女性、不平等の解決策は、家庭や学校での教育、これが「解決の揺るがない確信」だとも。

 

     

            (喜びのスピーチをするエステル・ガルシア)

 

★ホセ・ギラオ大臣によると、受賞の決めての一つになったのが、女性の地位向上・機会均等を目標にした女性シネアスト・グループ CIMA の活動を上げていた。「文化、芸術としての映画に対する支持は、これから後に続く世代のお手本になる」と授賞理由を述べた。

 

★エステルをエスコートしたのはアグスティン・アルモドバルとアルモドバル作品の常連ハビエル・カマラ、「映画界がまだ女性の平等など語ることのなかった前から仕事を始めた」とそのパイオニア性を語ったカマラ、エル・デセオで30年以上も共に仕事をしてきたアグスティン・アルモドバルは「優れた製作の鍵は、アーティストがその夢を叶えるために、彼ら自身の創造的な限界を超えた闘いを、良い方向に進めること、それを外部から課せられるのではなく、エステルが自らやっている」と、映画に対する情熱と倫理観を強調した。

 

    

  (30年以上の仕事仲間アグスティン・アルモドバルと、SSIFF2018ノミネーション発表時)

 

★ここに当然いるべき人で最大の欠席者ペドロ・アルモドバルは、次回作Dolor y gloria917日にクランクアップ、マドリードに戻って20日から編集に取りかかった途端、日夜働きづめで溜め込んでいたストレスでダウン、マドリードからの移動は無理だったということでした。エアゾール吸入剤で話せない状態とか、大分重症のようです。

 

★ガラの主な出席者は、スペイン映画アカデミー会長マリアノ・バロッソ、プロデューサーのヘラルド・エレロエドゥアルド・カンポイ、監督のイマノル・ウリベチュス・グティエレスマベル・ロサノCIMA新会長クリスティナ・アンドリュー監督(今年6月から)など。


第15回ラテンビート2018開催のニュース ①2018年09月24日 16:36

               東京会場は東京国際映画祭と日程が重なります

 

   

★なかなか発表にならなかったラテンビート映画祭の11月開催がアナウンスされました。例年より遅く開催されるようです。東京国際映画祭TIFF1029日~118日)と東京会場(バルト9)の前半は完全にかぶります。それはともかく上映予告作品は、目下は6作です。昨年の「夏、1993」(『悲しみに、こんにちは』)のようなドタキャンがあるかもしれませんが、スペイン語映画、ポルトガル語映画、うち5作は当ブログで既に内容紹介をしております。

東京会場バルト9  11月01日(木)~04日(日)/ 11月09日(木)~11日(日)

  

『アブラカダブラ/ABRACADABRAスペイン、2017年、パブロ・ベルヘル

★『ブランカニエベス』から5年ぶりに撮ったコメディ、マリベル・ベルドゥ、アントニオ・デ・ラ・トーレ、ホセ・モタ、ホセ・マリア・ポウなど演技派ベテランを揃えている。

紹介記事は、コチラ2016052920170705

 

 

I Hate New Yorkスペイン、2018年、グスタボ・サンチェス

★マラガ映画祭2018、サンセバスチャン映画祭「メイド・イン・スペイン」上映、ニューヨークのアンダーグラウンドで暮らすトランスジェンダーのアーティスト4人を描いたドキュメンタリー。J.A.バヨナ兄弟がエグゼクティブプロデューサーを務めている。

紹介記事は、コチラ20180905

  

 

 

 

       

(マラガ映画祭に駆けつけてプロモーションするJ.A.バヨナ)

 

「相続人/Las herederas(仮)パラグアイ、2018年、マルセロ・マルティネシ

★ベルリン映画祭2018アルフレッド・バウアー賞・国際映画批評家連盟賞・女優賞受賞作品、サンセバスチャン映画祭同「ホライズンズ・ラティノ」部門オープニング作品

紹介記事は、コチラ20182160227

 

      

(監督と主演のアナ・ブルン)

               

 

「サビ/Ferrugemブラジル、ポルトガル語、2018年、 アリ・ムルチバ

★英題「Rust」、サンダンス映画祭2018ワールドプレミア、第40回グラマド映画祭作品・脚本・録音賞受賞、シアトル映画祭イベロアメリカ部門作品賞受賞、サンセバスチャン映画祭2018ホライズンズ・ラティノ部門正式出品作品

    

        

     

(主演のティファニー・ドプケとクラリッサ・キスチに挟まれた監督、「Ferrugem」のイベント)

  

『夢のフロリアノポリス』(アルゼンチン、ブラジル、仏)2018年、アナ・カッツ 

紹介記事は、コチラ⇒2018年09月21日

  

 

『カルメン&ロラ』(スペイン)2018年、アランチャ・エチェバリア

紹介記事は、コチラ⇒2018年05月13日

  

   

オープニング・ガラ情報*サンセバスチャン映画祭2018 ㉒2018年09月23日 18:08

              921日、ベレン・クエスタの司会で開幕しました

 

 

          (映画祭メイン会場クルサール国際会議場)

 

★第66回サンセバスチャン映画祭2018が開幕しました。参加者の現地入りを待ち構えていたファンは、スマホでカシャカシャ。カンヌ映画祭は今年から赤絨毯に登場するシネアストたちとの自撮りを禁止しましたが、サンセバスチャンはオーケーです。ファンの要望に応えて握手やサイン、自撮り姿もあちこちで見られました。やはり若い女性がイケメン男優をお目当てに前列に陣取っているので賑やかです。

★場慣れしているはずの是枝裕和監督も単独のせいかシャイなのか、ファンの歓迎には控えめでした。『万引き家族』は合計5回上映されるなど人気のほどが分かります。第2回目23日にビクトリア・エウヘニア劇場で上映された後に、ドノスティア賞が授与される予定です。

 

★映画祭事務局が用意した開幕式当日の公式サイトのなかに、この夏717日鬼籍入りしたイボンヌ・ブレイクスペイン映画アカデミー名誉会長への哀悼と功績を讃えたビデオがありました。なりてのなかった会長職を引き受け、その激務の中で倒れたシネアストでした。

  

★オープニング・ガラ本番は、若手女優ベレン・クエスタの総合司会で、ほかベテランのカジェタナ・ギジェン・クエルボもアシスト、映画祭総ディレクター、ホセ・ルイス・レボルディノスのもと映画祭事務局の裏方としても重責を担っているナゴレ・アランブルがバスクを代表して進行役を務めました。ベレン・クエスタは『ホーリー・キャンプ』や『KIKI~恋のトライ&エラー~』、ナゴレ・アランブルは『フラワーズ』で既に当ブログに登場、カジェタナ・ギジェン・クエルボはご紹介するまでもありません。

   

                  

  

(ベレン・クエスタとナゴレ・アランブル)

 

      

                     (カジェタナ・ギジェン・クエルボ)

 

★オープニング作品「El amor menos pensado」のフアン・ベラ監督以下リカルド・ダリンメルセデス・モランほかスタッフ、セクション・オフィシアルの審査委員長アレクサンダー・ペイン以下審査員一同も登壇して、それぞれ短いスピーチをしました。ホライズンズ・ラティノの紹介は、オープニング作品に選ばれたLas herederasのパラグアイの監督マルセロ・マルティネシが登壇しました。  

  

     

   (挨拶のスピーチをするリカルド・ダリン、後方が共演のメルセデス・モラン、他)

 

         

              (セクション・オフィシアル審査委員長アレクサンダー・ペイン)

 

     

(なんといっても人気の高い審査員の一人ロッシー・デ・パルマ)

 

   

   (ホライズンズ・ラティノ部門を代表して登壇したマルセロ・マルティネシ監督)

 

 

★最初のドノスティア賞のトロフィーを手にしたダニー・デヴィートは、「今宵、クルサールの大舞台に登壇できて感激で興奮しています」と涙目で挨拶、プレゼンターのフアン・アントニオ・バヨナとハグしておりました。小柄なJ.A.バヨナが膝をまげておりましたから、公式な身長よりも更に低くなったようでした。2分も満たないスピーチも好感され、会場からスタンディング・オベーションを受けておりました。本当に素敵な男性です。インタビューでは故国の大統領について危惧しておりましたが、それは別の話です。

 

 

   

  (ドノスティア賞一番手ダニー・デヴィートとフアン・アントニオ・バヨナ)

 

★ダニー・デヴィートがボイスを担当する、カレイ・カークパトリックSmollfoot(スペイン語字幕)はメイン会場(2200~)で上映されました。本作は23日(1200)にバスク語字幕で、同日(1700)ベロドロモ・アントニオ・エロルサではスペイン語吹替で、都合3回上映される予定。 

    

   (ファンの歓声に応えるダニー、ボタンが1個ぐらい掛け違っていても気にしません)

 

  

関連記事(管理人覚え)

故イボンヌ・ブレイクの記事は、コチラ20180720

El amor menos pensado」の紹介記事は、コチラ20180830

 ダニー・デヴィートの紹介記事は、コチラ20180814

Las herederas」の紹介記事は、コチラ20180216