ダニエル・カルパルソロの最新スリラー*マラガ映画祭2020 ⑫ ― 2020年08月22日 06:27
セクション・オフィシアルにダニエル・カルパルソロの「Hasta el cielo」
(ミゲル・エランとカロリナ・ジュステを配したポスター)
★仕切り直しをして開催されることになったマラガ映画祭、新型コロナウイリスの第2波拡大は、スペイン含めて欧米諸国を襲っていますが、予告通りいよいよ8月21日にオープニングとなりました。3月開催のセクション・オフィシアルには含まれていなかったダニエル・カルパルソロの「Hasta el cielo」が、今回アナウンスされていました。実際にあった事件にインスパイアされて製作されたフィクション、若手のミゲル・エランを主人公に、カロリナ・ジュステやルイス・トサールが脇を固めています。マラガ上映後の8月28日にスペイン公開が決定しているようです(配給ユニバーサル・ピクチャー・インターナショナル・スペイン)。
(左から、カロリナ・ジュステ、ルイス・トサール、監督、ミゲル・エラン、アシア・オルテガ)
「Hasta el cielo」(「Sky High」)2020
製作:Vaca Films / RTVE / Movistaar+ / Telemaadrid / Canal+ / Netflix 協賛:ICAA / Programa Media
監督:ダニエル・カルパルソロ
脚本:ホルヘ・ゲリカエチェバリア(『プリズン211』『暴走車 ランナウェイ・カー』)
撮影:ホス・インチャウステギ(『Rec3』『ガン・シティ~動乱のバルセロナ』)
サウンドトラック:カルロス・ジャン(作曲)、C.Tangana、DJ Nano
編集:アントニオ・フルトス(「Cien años de perdón」『インベーダー・ミッション』『ワイルド・レーザー』)
製作者:ボルハ・ペナ(『プリズン211』『エル・ニーニョ』)、(エグゼクティブ)エンマ・ルストレス(『プリズン211』『暴走車 ランナウェイ・カー』)
データ:製作国スペイン、スペイン語、2020年、スリラー、実話に基づくフィクション、撮影地マドリード、イビサ、バレンシア、撮影2019年、配給ユニバーサル・ピクチャー・インターナショナル・スペイン、スペイン公開2020年8月28日
映画祭・受賞歴:第23回マラガ映画祭2020セクション・オフィシアル正式出品
キャスト:ミゲル・エラン(アンヘル)、カロリナ・ジュステ(エストレージャ)、ルイス・トサール(暗黒街のボス、ロヘリオ)、アシア・オルテガ(ロヘリオの娘ソーレ)、パトリシア・ビコ、フェルナンド・カヨ、セサル・マテオ、リチャード・ホームズ(ポリ)、Ayax(ラッパー)、Dollar Selmouni、Ramseys、他多数
ストーリー:マドリード育ちのアンヘルの愛の物語。ディスコでエストレージャと知り合った日を境に、アンヘルの人生は永遠に変わってしまった。彼女のボーイフレンドのポリとの諍いで、アンヘルがトラブルに熱しやすい非凡な才能の持ち主であることを見抜いたエストレージャは、マドリード警察のすべてに脅しをかけているショーウィンドウ荒らしのグループに加わるよう促した。アンヘルの野心は、マドリードからイビサに移送する怪しげな仕事を巧みにこなし、腐敗弁護士や胡散臭い取りまきがうごめく強盗団の頂点に立つことだった。彼は周囲の助言を無視して、闇市場を支配するマフィアのボスの一人ロヘリオに近づいていくが、権力の代価が如何に高いものであるかを思い知るだろう。エストレージャとカポの娘ソーレのどちらかを選ばねばならないだろう。もっとも汚れた下町で始まり、最も高い空への旅。
(アンヘル役のミゲル・エラン、ロヘリオ役のルイス・トサール、映画から)
激しいエモーション、セクシーで軽快にスペイン社会の深淵を描く
★ダニエル・カルパルソロ(バルセロナ1968)は、スリラー『インベーダー・ミッション』(12)や『ワイルド・レーザー』(13)が公開されているが、当ブログでは監督の代表作アドベンチャー・スリラー「Cien años de perdón」を記事にした折りに作品&監督キャリア紹介をしています。ルイス・トサールのキャリア紹介も兼ねています。
*「Cien años de perdón」の紹介記事は、コチラ⇒2016年07月03日
(「Cien años de perdón」のポスター)
★監督談によると、「Hasta el cielo」は実話にインスパイアされたもので「強盗事件を軸にしたスリラー映画、激しいエモーション、セクシーで、軽快にスペイン社会の深淵を描いている。不動産バブル時代に成長したチャンスを見逃さない非行少年たちの波乱にとんだ半生が語られる。スペイン社会に提供された喜びと贅沢、しかしそれを享受できたのは一握りの人に限られていた」とコメント。因みにショーウィンドウ荒らしのグループと翻訳した <alunicero> は、ショーウィンドウに車ごと突入させて破壊し強盗する <alunizaje> からの造語。
(ショーウィンドウ荒らしを実行する強盗団)
★脚本を執筆したホルヘ・ゲリカエチェバリア(アストゥリアス1964)は、ダニエル・モンソンの『プリズン211』(「Celda 211」)でゴヤ賞2010脚色賞を受賞、ゴヤ賞関連ではモンソンの『エル・ニーニョ』、アレックス・デ・ラ・イグレシアのデビュー作『ビースト 獣の日』『13みんなのしあわせ』『オックスフォード連続殺人』、カルパルソロの「Cien años de perdón」などでノミネートされている。
★アンヘル役のミゲル・エランは、ダニエル・グスマンのデビュー作「A cambio de nada」でゴヤ賞2016新人男優賞を受賞、NetflixのTVシリーズ『ペーパー・ハウス』のリオ役、同じく『エリート』のクリスティアン・バレラ役で若い俳優にしては認知度は高い。エストレージャ役のカロリナ・ジュステは、ラテンビート2018でも上映されたアランチャ・エチェバリアの『カルメン&ロラ』でゴヤ賞2019助演女優賞を受賞している。
(ゴヤ賞2016新人男優賞のミゲル・エラン)
(ゴヤ賞2019助演女優賞のカロリナ・ジュステ)
★ソーレ役のアシア・オルテガは、Netflixで配信されたミゲル・アンヘル・ビバスの『息子のしたこと』に出演している。パトリシア・ビコは2005年にカルパルソロと結婚、「Cien años de perdón」に出演している。フェルナンド・カヨはJ.A.バヨナの『永遠のこどもたち』、アルモドバル『私が、生きる肌』、TVシリーズ『ペーパー・ハウス』など。
*「A cambio de nada」の作品紹介は、コチラ⇒2015年04月12日
*『カルメン&ロラ』の作品紹介は、コチラ⇒2018年05月13日
★キャスティングのために街中でのスカウト作戦をして見つけた、ラッパーのAyaxは本作でデビュー、他に音楽シーンで参加したミュージシャンたちDollar SelmouniやRamseysは、本作が映画初出演ということです。Netflixが一枚噛んでいるようなので、もしかしたら本邦でも配信されるかもしれない。
追加情報:『ライジング・スカイハイ』の邦題で Netflix 配信された。
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