ペネロペ・クルスにドノスティア賞*サンセバスチャン映画祭2019 ㉘ ― 2019年10月04日 20:25
史上最年少45歳のドノスティア賞受賞者、ペネロペ・クルス

(純白のドレスに身を包んで誇りに満ち輝いていたペネロペ・クルス)
★映画祭最終日の9月28日、ギリシャ出身のフランスの監督コスタ・ガヴラス、カナダ出身の俳優ドナルド・サザーランドに続いて栄誉賞ドノスティア賞が、U2のボノによってペネロペ・クルスの手に渡されました。アイルランドのボーカリストは彼女の親しい友人の一人ということでしたが、ボノの登場には会場から驚きの声が上がりました。栄誉賞のプレゼンターは映画祭総ディレクターのホセ・ルイス・レボルディノスと決まっていたから当然でした。ボノは会場の脇から出し抜けに現れ、涙の受賞者がいる壇上に登ったのでした。アイルランドの歌手は「スクリーンの中のペネロペの人生は私を惹きつける、なぜなら家族ドラマだから。私を含めて我々のようなアーティストは自分自身を見失います。ペネロペは他人になって迷うので、我々は彼女の中で迷うことになる」とスピーチした。

(プレゼンターのボノと抱き合う受賞者ペネロペ・クルス)
★受賞者は受け取ったトロフィーを「わたしの夫ハビエル・バルデムと二人の子供たちに」とスピーチ、会場にいたバルデムは立ち上がって拍手、妻を祝福していました。彼女を育ててくれた、ビガス・ルナ、ペドロ・アルモドバル、フェルナンド・トゥルエバへの感謝の言葉に続いて、スペインでは2019年に夫や恋人によるDVで死亡した女性が44人もいたことに触れ、スペインの社会的病根マチスタの横行を批判しました。受賞スピーチとしてはちょっと破格だったかもしれませんが、彼女らしかったともいえます。

(受賞スピーチをするペネロペ・クルス)
★14歳でのデビュー、今は亡きビガス・ルナに見いだされ『ハモンハモン』を撮ったのは18歳、続くフェルナンド・トゥルエバがアカデミー外国語映画賞を受賞した『ベルエポック』(92)、アルモドバルが同じオスカー賞を受賞した『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)、カンヌ映画祭女優賞をグループで受賞した『ボルベール<帰郷>』(06)、アカデミー助演女優賞を受賞したウディ・アレンの『それでも恋するバルセロナ』(08)の出演など運にも恵まれましたが、運も実力のうちでしょう。3個のゴヤ賞、フランスのセザール栄誉賞、英国のバフタ助演女優賞など受賞歴も煌びやかです。45歳という破格の若さでの受賞も、その長い芸歴や国際的な活躍を考えれば、反論の余地がないということです。
◎主なペネロペ・クルスの関係記事
*セザール栄誉賞受賞の記事は、コチラ⇒2018年03月08日
*最近のキャリア紹介記事は、コチラ⇒2019年05月20日
*アスガー・ファルハディの『誰もがそれを知っている』は、コチラ⇒2019年06月23日
*アルモドバルの「Dolor y gloria」は、コチラ⇒2019年04月22日
最近のコメント