ペネロペ・クルス、第67回サンセバスチャン映画祭ドノスティア栄誉賞に ① ― 2019年05月20日 10:51
ドノスティア栄誉賞にペネロペ・クルス、映画祭の「顔」にもなりました!
(公式ポスターを披露するホセ・ルイス・レボルディノス、撮影者:ニコ・ブストス)
★去る5月10日、第67回サンセバスチャン映画祭2019(9月20日~28日)のドノスティア栄誉賞と公式ポスターの発表がありました。1986年から始まったドノスティア栄誉賞にスペイン人シネアストが選ばれるのは、ペネロペ・クルスで5人目、女性としては2013年のカルメン・マウラに続いて2人目となります。フェルナンド・フェルナン=ゴメス(1999)、パコ・ラバル(2001)、アントニオ・バンデラス(2008)、受賞年齢45歳は最年少受賞者となります。因みに昨年の受賞者はジュディ・デンチ、ダニー・デヴィート、それに『万引き家族』の是枝裕和監督とベテラン揃いでした。どこの国際映画祭でも宣伝も兼ねて栄誉賞は海外から選ばれることが多く、ドノスティア賞もアメリカ勢が目立つ。そんななかでキャリアは申し分ないとはいえこの若さで選ばれるのは異例かもしれない。昨年のセザール栄誉賞受賞が刺激になったのかもしれない。
*セザール栄誉賞授賞式及びキャリア紹介記事は、コチラ⇒2018年03月08日/02月03日
★受賞者の喜びの弁は「ドノスティア賞受賞というエモーショナルな知らせに接し、このような素晴らしい栄誉を与えてくれたサンセバスチャン映画祭に感謝いたします。・・・サンセバスチャンは尊敬すべき国際映画祭というだけでなく、わが国で最も重要な映画祭、さらに私自身とても特別な思い入れのあるところです。そういうわけで若いときから訪れており、今は喜びに浸っております。本当に心からありがとうございます」とコメントを寄せました。
1個のオスカーとカンヌ、3個のゴヤ賞、1個のBAFTA、そしてセザール栄誉賞
★ペネロペ・クルス・サンチェス(マドリード1974年4月28日、45歳)、今は亡きビガス・ルナの『ハモンハモン』(92)でデビュー、ステージパパだった父親に守られて10代から荒波を越えてきた。その父親も鬼籍入り、デビュー作で共演したハビエル・バルデムと2010年結婚、二人の子供を育てながら才能に磨きをかけている。オスカー賞助演女優賞(ウディ・アレン『それでも恋するバルセロナ』08)受賞を含むノミネーション2回(ロブ・マーシャル『NINE』助女、アルモドバル『ボルベール<帰郷>』主女)、カンヌ映画祭2006ではカルメン・マウラ以下グループ6人で女優賞を受賞した(『ボルベール<帰郷>』)。ゴヤ賞はフェルナンド・トゥルエバの『美しき虜』、『それでも恋するバルセロナ』と『ボルベール<帰郷>』の3個、2016年のフリオ・メデム『あなたのママになるために』では製作者としてもデビューした。
(ハビエル・バルデムと共演した『それでも恋するバルセロナ』から)
★サンセバスチャン映画祭との関りも深い。アルバロ・フェルナンデス・アルメロの「Todo es mentira」(94)、ビガス・ルナの『裸のマハ』(99)、イタリアのセルジオ・カステリット『ある愛へと続く旅』(12)、2017年フェルナンド・レオン・デ・アラノアの「ラビング・パブロLoving Pablo」では、コロンビアのメデジン・カルテルの麻薬王パブロ・エスコバルの愛人を演じた。ペルラス部門のクロージング上映には監督とパブロを演じたバルデムと一緒に登壇、3000人収容のベロドロモ・デ・アノエタの観客を沸かせた。
★昨年のカンヌ映画祭2018ではイランのアスガー・ファルハディの『誰もがそれを知っている』(本邦公開6月1日)がオープニング作品となり、今年はアルモドバルの「Dolor y gloria」がノミネートされ、監督、スタッフともども大勢でカンヌに押し掛けている。こちらはドノスティア賞受賞者のアントニオ・バンデラスが監督の分身を演じ、クルスは彼の子供時代の母親になる。18日に上映された評判はまずまず、上映後10分間のオベーションに一同涙ぐんだニュースが伝わってきました。アルモドバル映画がカンヌで好評なのは久しぶりでしょうか。スペインでは既に公開されており、こちらも珍しく高評価、今度こそ期待してもよいでしょうか。
(左から、ノラ・ナバス、監督、クルス、バンデラス、アシエル・エチェアンディア、
レオナルド・スバラグリア、カンヌ映画祭レッド・カーペットにて)
★来年公開が予定されているオリヴィエ・アサヤスの「Wasp Network」に、エドガー・ラミレスやガエル・ガルシア・ベルナルなどと共演する。1990年代後半に米国に潜入した5人のキューバ人諜報員の実話をベースにしたスリラーのようです。またサイモン・キンバーグの「355」では、ファン・ビンビン、マリオン・コティヤール、ジェシカ・チャステイン、ルピタ・ニョンゴなどオスカー女優たちと競演する。これもスパイ・スリラーということです。いずれもアメリカ映画ですから言語は英語です。主役ではなさそうですが、なかなか忙しい。
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