アルモドバルのカンヌ*カンヌ映画祭2017 ⑪2017年06月01日 18:18

          「民主的で友好的だった審査員」とアルモドバル

 

★パルム・ドールにスウェーデンのリューベン・オストルンド「スクエア」を選んだカンヌ映画祭も終了、同時に審査委員長という重責を負ったペドロ・アルモドバルのカンヌも終わりました。彼自身はフランスのロバン・カンピヨの第3作目120ビーツ・パー・ミニット」(グランプリ、国際批評家連盟賞、他)に票を入れたが、「民主的な方法で」審査員たちが選んだのは「スクエア」だった。「自分は9分の1でしかない」とプレス会見で語っていた。投票権は11票だったということです。委員長を含めて審査員はパオロ・ソレンティーノ、マーレン・アデ、ジェシカ・チャステイン、ウイル・スミス、ファン・ビンピン、アニエス・ジャウイ、パク・チャヌク、ガブリエル・ヤレドの9人でした。映画の「最初から最後まで英雄たちに感動した。翌日の各紙もパルマ・ドールを予想していたが、審査員が選んだのは・・・」違ったということです。

 

   

(パルム・ドールのリューベン・オストルンド

 

  

                     (120ビーツ・パー・ミニット」のポスター)

 

★審査員は「映画に対する見解はそれぞれ異なっていたが、友好的で、互いに敬意を払って審査に臨んだ」というわけで、血しぶきは上がらなかったらしい。そうはいっても個人的にはカンピヨにやりたかったようです。「私のようなLGTBの人も、そうでない人も関係なく、カンピヨは多くの人命を救った本物の英雄たちの物語を語ってくれた」・・・「多くの観客がカンピヨの映画を気に入ってくれると思うし、あらゆる場所で成功することを確信している」とも。下の字幕入り写真は、このときの発言部分、プレス会見の前半は英語、後半はスペイン語で、前半部分はスペイン語字幕入りだった。後方の女性は英語があまり得意でない監督のための助け舟的通訳者のようです。

レズビアン、ゲイ、性転換者、バイセクシアルの頭文字。

 

       

            (授賞式後のプレス会見に臨むアルモドバル)

 

★既に内容紹介の記事が出回っておりますが、まだエイズが治療薬が分からない未知の病気だった1990年代初めのパリが舞台、対エイズの活動家グループ「アクト・アップ」の活動を追った群集劇。握手だけで感染するという噂がまことしやかに流れ、世界を恐怖に陥れた時代でした。ロバン・カンピヨ監督は、ローラン・カンテのパルム・ドール受賞作『パリ20区、僕たちのクラス』08)の脚本家としてカンヌに登場しているが、監督としては第3作目となる本作が初めて。作りが『パリ20区~』に似ている印象を受けます。デビュー作「Les revenants」(04)はフランス映画祭2006で上映後、『奇跡の朝』の邦題で公開、第2作「Eastern Boys」(13)は、『イースタン・ボーイズ』の邦題でアンスティチュ・フランセ東京映画祭で上映された。

 

    

          (グランプリ受賞で登壇したロバン・カンピヨ)

 

★第4回イベロアメリカ・プラチナ賞のノミネーション発表が昨日31日(水)にありました。もうそんな季節かと暗澹たる思いです。時間は恐ろしい。2017年は722日、マドリードで開催されます。


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