アレハンドロ・G・イニャリトゥ、アカデミー賞連続監督賞受賞2016年03月02日 15:49

         3人目の連続受賞者となったメキシコ出身監督

 

★下馬評通りだったのかサプライズだったのか知りませんが、アレハンドロ・G・イニャリトゥ2回連続監督賞受賞『レヴェナント 蘇えりし者』)には驚きました。ジョン・フォードとジョセフ・L・マンキーウィッツに次ぐ「3人目」といっても、大昔のことだから記憶を辿れる人は現在では少数派です。後者についてはF・トゥルエバ新作の記事中、「スペインでロケされた」映画『去年の夏 突然に』(59)を紹介したばかりでした。テネシー・ウィリアムズの戯曲の映画化ですね。アルモドバルの『オール・アバウト・マイ・マザー』は、彼の『イヴの総て』(1950All about Eve、監督・脚本賞受賞)へのオマージュとして題名が付けられた話は有名です。昨年の『バードマン』は作品賞・監督賞・脚本賞のトリプル受賞、手は2本しかないから3個同時に持てなかったが、今年は片手で持てます。

 

       

          (お互い1個だから片手で十分です。レオ様と監督)

 

★もっとびっくりするのは、撮影監督のエマニュエル・ルベッキの3回連続受賞ではないでしょうか。こういう事例が過去にあるのかどうか調べる気にはなりませんが。彼もメキシコ出身、「メキシカン黄金時代の到来」は大げさでしょうか。本国メキシコでは「あれはハリウッド映画だから」と、逆に国民は冷めているのかもしれません。海外からの観光客には魅力的な国でも、そこでずっと生きていくのは大変な国ですから。

 

★三度目じゃなく六度目の正直、レオナルド・ディカブリオもやっとオスカー像を手にいたしました。「もう上げるべきだよ」と思ったアカデミー会員が多かったということです。シャーリー・マクレーン同様「遅ずぎました」。マーティン・スコセッシの『アビエイター』(04)で受賞できなかったのが実に不思議でした。1974年ハリウッド生れの41歳、5歳でテレビショーに出演したというから芸歴は長い。個人的には声が高いので好きになれないタイプの俳優、一番好きな映画はラッセ・ハルストレムの『ギルバート・グレイプ』93)、知的障害をもつ少年を演じた。少年役だから高い声が気にならなかったが、実際には20歳に近かった。すごい才能が現れたと思いました。これがアカデミー賞と関わりをもった最初の映画、兄ギルバートを好演したジョニー・デップも評価された。大ヒット『タイタニック』以前の映画のほうが好もしい。大ヒットがアダになって長年苦汁を強いられたが、本作では本当の大人の演技が見られるというわけです。

 

  

     (ヒュー・グラスに扮したディカブリオ、『レヴェナント 蘇えりし者』から)

 

アレハンドロ・G・イニャリトゥは、代表作5作がすべて日本語で鑑賞できる数少ない監督の一人。これを足すと6作になる。メキシコの監督とはいえ母国語のみはデビュー作『アモーレス・ペロス』だけ、このカンヌ映画祭2000での成功がアメリカ行きの切符を可能にしたわけだが、どうやら復路の切符は失くしてしまったらしい。ストーリーは実在した毛皮取りのワナ猟師ヒュー・グラス17801833)を主人公にした伝記小説の映画化。息子を殺された父親の復讐劇の一面をもつ。舞台は19世紀初頭のアメリカ、しかしカナダの雪原で自然光を使って撮影された(劇場公開422日予定)。

 

★外国語映画賞は、ハンガリー映画34年ぶり、2回めの受賞となった『サウルの息子』でした。コロンビア映画(ベネズエラ、アルゼンチン合作)、チノ・ゲーラの『大河の抱擁』は残念でした。しかし「ノミネートに意味がある」と思いたい。エル・デセオが手掛けた『人生スイッチ』が昨年ノミネートされたときのアグスティン・アルモドバルの言葉です。

 

『バードマン』オスカー賞3冠、監督キャリアなどの紹介記事は、コチラ⇒201536