Flowers / Loreak *ラテンビート2014 ③2014年09月22日 22:29

★サンセバスチャン映画祭2014正式出品作品、ラテンビートでの紹介を予告していた映画です。二人の監督は共にバスク出身、最初にタッグを組んだ“80 egunean”(2010、バスク語)が国際的にも高い評価を受け、本作は共同監督第2作目、言語はバスク語なのでスペイン語字幕または英語字幕、いずれかの翻訳になると思います。サンセバスチャン上映は間もなくの922日です。

 

Flowers / Loreak

 

製作:Irusoin / Moriarti Produkzioak

監督:ジョン・ガラーニョ& ホセ・マリ・ゴエナガ

脚本:アイトル・アレギAitor Arregi ジョン・ガラーニョ/ホセ・マリ・ゴエナガ

製作者:アイトル・アレギ/ハビエル・ベルソサ Berzosa/フェルナンド・ラレンドLarrendo

撮影:ハビエル・アギーレ

音楽:パスカル・Gaigne

データスペイン、2014バスク語、99分 スペイン公開1017

チューリッヒ映画祭(928日)、ロンドン映画祭(1018日)にエントリーされている。

 

キャスト:ナゴレ・アランブル(アネ)、イツィアル・アイツプル(テレ)、イツィアル・イトゥーニョ(ルルデス)、ジョセアン・ベンゴエチェア(ベニャト)、エゴイツ・ラサ(アンデル)、ジョックス・ベラサテギ(ヘスス)、アネ・ガバライン(ハイオネ)、他

 


解説:身体に不安を抱える中年女性アネのもとに、ある日、匿名の花束が届いた。以来花束は、毎週、同じ時間に届くが、贈り主はわからない。アネは謎の人物からの花束に密かなときめきを覚える。一方、ルルデスは口うるさい義母との関係に問題を抱えていた。心に傷を負った三人の女性の人生が、花束を軸につながっていく過程を、繊細なタッチで描いたヒューマン・ドラマ。
                           (ラテンビート公式サイトより引用)

 

監督紹介

ジョン・ガラーニョJon Garano 1974年サンセバスチャン生れ、監督、脚本家、製作者、編集者。2001年短編“Despedida”でデビュー、短編、ドキュメンタリー(TVを含む)多数、短編“Miramar Street”(2006)がサンディエゴ・ラティノ映画祭でCorazón賞を受賞。長編第1作“Perurena”(2010)のプロデューサーがホセ・マリ・ゴエナガ、彼とコラボして撮った第2作“80 egunean”(“80 Days2010)が、サンセバスチャン映画祭2010の「サンセバスチャン賞」を受賞したほか、トゥールーズ・シネ・エスパニャ2011観客賞女優賞イジアル・アイツプル、マリアスン・パゴアゴ)、脚本賞を受賞したほか、受賞多数。イジアル・アイツプルは3作“Loreakでテレを演じている。

 

ホセ・マリ・ゴエナガ Jose Mari Goenaga1976年バスクのギプスコア生れ、監督、脚本家、製作者、編集者。短編“Compartiendo Glenda”(2000)でデビュー、長編第1作“Supertramps”(2004)、第2作がジョン・ガラーニョとコラボした“80 egunean”、受賞歴は同じ。本作が3作目となる。

 

     

(左ジョン・ガラーニョと右ホセ・マリ・ゴエナガ)

 

プロット:平凡だったアネの人生に転機が訪れる。ある日、匿名の花束が家に贈り届けられ、それは毎週同じ曜日、それも同じ時刻に届けられる。やがて、その謎につつまれた花束は、ルルデスやテレの人生にも動揺を走らせることになる。彼女たちが大切にしていたある人の記憶に結びついていたからだ。忘れていたと思っていた優しい感情に満たされるが、夫婦の間には嫉妬や不信も生れてくる。結局、花束は花束でしかない。これはただの花束にしか過ぎないものが三人の女性の人生を変えてしまう物語です。                       (文責:管理人)

 

★以上のような地味な展開だと役者が上手くないと退屈して見てられない。じっくり見る映画ですね。女性たちが幸せな人生を送っているわけではないだけに、届けられる花束の上品な美しさのコントラストに魅了される。日本の生け花とは違う美しさだ。コラボして撮った“80 egunean”も老境に入った二人の女性が主人公(二人の監督にとっては母親世代になる)。

 

★本作とテイストが似ているので、80 eguneanを少しご紹介。少女だった遠い昔、親友だったアスンとマイテの二人はひょんなことから50年ぶりに邂逅する。アスンは農場をやっているフアン・マリと結婚するため田舎に引っ越して行き、両親と距離を置きたい娘は離婚を機にカリフォルニアに移り住んでいる。レズビアンのマイテはピアニストとして世界を飛び回ってキャリアを積んでいたが既に引退して故郷サンセバスチャンに戻ってきた。別々の人生を歩んだ二人も既に70歳、不思議な運命の糸に手繰り寄せられて再び遭遇する。この偶然の再会はアスンに微妙な変化をもたらすことになる、自分の結婚生活は果たして幸せだったのだろうか。マイテにサンタ・クララ島への旅を誘われると、アスンは自分探しの旅に出ることを決心する。

 

                     

                  (アスンとマイテ)

 

★アスンにイジアル・アイツプル、マイテにマリアスン・パゴアゴが扮した。前述したようにトゥールーズ・シネ・エスパニャ2011で揃って女優賞を受賞した。パゴアゴはこれがデビュー作だという。年輪を重ねた知性豊かな二人の女性のナチュラルな演技が観客賞に繋がった。2作のキャスト陣はダブっていないようですが、アイツプルのほかアネ・ガバラインの名がクレジットされています。

 

★キャスト紹介

ナゴレ・アランブル(アネ役)Nagore Aranmburu:バスクのギプスコア(アスペイティア)生れ。1998TVドラマでデビュー、フェルナンド・フランコの“La herida”(2013、ゴヤ賞2014作品賞受賞他)に出演している。 


イツィアル・アイツプル(テレ役)Itziar Aizpuru1939年生れ。2003TVドラマでデビュー、前述の作品以外の代表作はオスカル・アイバルの“El Gran Vazquez”(2010)、TVドラマ、短編多数。

 

イツィアル・イトゥーニョ(ルルデス役)Itziar Ituño1975年バスクのビスカヤ生れ。Patxi Barkoの“El final de la noche”(2003)の地方紙のデザイナー役でデビュー、サンセバスチャン映画祭のオフィシャル・コンペティション外にエントリーされているパブロ・マロの“Lasa y Zabala”に出演している(コンペ外なので未紹介、1983年のETAのテロリズムがテーマ)。バスク語のTVドラマに出演。 


*ラテンビート2014(東京バルト91013日、1回上映予定)