第16回ガウディ賞2024授賞式*受賞結果 ― 2024年02月11日 15:59
作品賞は「Creatura」と『ミツバチと私』と女性監督がトロフィー
★2月4日、第16回ガウディ賞2024の授賞式がバルセロナの国際会議センターで開催されました。開始は4日の22:00からでしたが、終了は翌日の午前1時半でした。受賞者全員が舞台に勢揃いしてお開きになりましたが、さっさと帰宅した人、夜が明けるまで粘った人もいたのでした。総合司会者はコメディアンのマリア・ロビラ(Oye Shermanオジェ・シェルマン)とアナ・ポロ(Oye Poloオジェ・ポロ)の二人、オーディオビジュアル界の男女不平等を訴えました。ガウディ栄誉賞2024の受賞者であるロザ・ベルジェスや作品賞(カタルーニャ語映画部門)受賞者のエレナ・マルティン監督なども性的暴行に反対するスピーチをして、今年のガウディ賞はフェミニスト色の濃いガラを印象づけました。
(左から、総合司会者のマリア・ロビラ、アナ・ポロ)
(午前2時まで帰宅しなかった受賞者全員)
★大賞に当たる作品賞には、カタルーニャ語部門とカタルーニャ語以外と2部門あり、前者はエレナ・マルティン(監督賞を含めて6部門受賞)の「Creatura」、後者はエスティバリス・ウレソラ・ソラグレン(新人監督賞も含めて3部門受賞)の『ミツバチと私』、共に女性の手に渡りました。しかし負けず劣らず気を吐いたのがダビ・トゥルエバの「Saben aquell」で、主演男優・主演女優賞を含めて7部門受賞、従ってこの3作で全25部門の3分の2を制覇したことになります。
*ノミネーションと受賞結果は以下の通りです。(*印は作品紹介作品)
*第16回ガウディ賞2024ノミネーションと受賞結果*
◎作品賞(カタルーニャ語)
「Saben aquell」 監督ダビ・トゥルエバ *
「Els encantats」 同エレナ・トラぺ *
「La imatge permanent」 同ラウラ・フェレス *
「Creatura」 同エレナ・マルティン *
(製作者と感極まるエレナ・マルティン)
(レッドカーペットに勢ぞろいしたクルー)
◎作品賞(カタルーニャ語以外)
「Un amor」(『ひとつの愛』) 監督イサベル・コイシェ *
「El maestro que prometió el mar」 同パトリシア・フォント
「Upon entry」 同フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス *
「20.000 especies de abejas」(『ミツバチと私』)
同エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン *
(左から5人目が監督、右隣が製作者バレリー・デルピエール)
◎監督賞
イサベル・コイシェ 「Un amor」
ダビ・トゥルエバ 「Saben aquell」
アグスティ・ビリャロンガ 「Loli tormenta」 *
エレナ・マルティン 「Creatura」
(監督賞に選ばれて共演のオリオル・プラと抱き合う監督)
◎新人監督賞
アレハンドロ・マリン 「Te estoy amando locamente」
フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス 「Upon entry」
ラウラ・フェレス 「La imatge permanent」 *
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 「20.000 especies de abejas」
◎主演男優賞
エンリク・アウケル 「El maestro que prometió el mar」
アルベルト・アンマン「Upon entry」
オリオル・プラ 「Creatura」
ダビ・ベルダゲル「Saben aquell」
(「Saben aquell」のクルー、後列4人目が監督)
◎主演女優賞
ブルナ・クシ 「Upon entry」
ライア・コスタ 「Un amor」
パトリシア・ロペス・アルナイス 「20.000 especies de abejas」
カロリナ・ジュステ 「Saben aquell」
(左から、ペドロ・カサブランク、監督、受賞者)
◎助演男優賞
ダニエル・ブリュール 「La contadora de películas」 監督ローン・シェルフィグ
ウーゴ・シルバ 「Un amor」
ペドロ・カサブランク 「Saben aquell」
アレックス・ブレンデミュール 「Creatura」
◎助演女優賞
アイナ・クロテト 「Els encantats」
アネ・ガバライン 「20.000 especies de abejas」
アナ・トレント 「Sobre todo de noche」 監督ビクトル・イリアルテ
クララ・セグラ 「Creatura」
◎新人俳優賞
アイナラ・エレハルデ 「Els encantats」
アリシア・ファルコ 「Las buenas compañías」 監督シルビア・ムント *
ラ・ダニ(ダニ・F.ポソ)「Te estoy amando locamente」
クラウディア・マラジェラダ 「Creatura」
◎アニメーション賞
「Dispararon al pianista」 監督フェルナンド・トゥルエバ、ハビエル・マリスカル *
「Hanna i els monstres」 同ロレナ・アレス
「Heavies tendres」 同ジョアン・トマス
「Robot dreams」(『ロボット・ドリームズ』) 同パブロ・ベルヘル *
(製作者サンドラ・タピアと監督)
(サンドラ・タピア、監督、アルフォンソ・デ・ビラリョンガ)
◎ドキュメンタリー賞
「Muyeres」 監督マルタ・ラジャナ
「Alteritats」 同アルバ・クロス、ノラ・ハダッド Haddad
「Hermano caballo」 同マルセル・バレナ
「Mientras seas tu, el aqui y el ahora」
同カルメ・エリアス、クラウディア・ピント *
(カルメ・エリアスとクラウディア・ピント)
◎オリジナル脚本賞
エレナ・マルティン「Creatura」
エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン「20.000 especies de abejas」
イサ・カンポ、アンドレア・ケラルト、ビクトル・イリアルテ 「Sobre todo de noche」
フアン・セバスティアン・バスケス、アレハンドロ・ロハス 「Upon entry」
(左がフアン・セバスティアン・バスケス)
(後列2人目主演男優賞ノミネートのアルベルト・アンマン、
隣が助演女優賞ノミネートのブルナ・クシ)
◎脚色賞
アルベルト・バル 「El maestro que prometió el mar」
ダビ・トゥルエバ、アルベルト・エスピノサ 「Saben aquell」
パブロ・ベルヘル 「Robot dreams」
イサベル・コイシェ、ラウラ・フェレロ 「Un amor」
(ラウラ・フェレロ欠席のため、一人で登壇したイサベル・コイシェ)
◎編集賞
アナ・ファフ Pfaff 「Sobre todo de noche」
ベルナト・アラゴネス 「La contadora de películas」
ラウル・バレラス 「20.000 especies de abejas」
アリアドナ・リバス 「Creatura」
◎オリジナル音楽賞
アンドレア・モティス 「Saben aquel」
クララ・アギラル 「Creatura」
マリア・アルナル、ノラ・ハダッド・カサデバル 「Alteritats」
アルフォンソ・デ・ビラリョンガ 「Robot dreams」
(フェロス賞に続いての受賞)
◎撮影賞
アラナ・メヒア・ゴンサレス 「Creatura」
アグネス・ピケ・コルベラ 「La imatge permanent」
ベト・ロウリッヒ 「Un amor」
ジナ・フェレル 「20.000 especies de abejas」
◎プロダクション賞
ドレス・メリーナス 「Creatura」
エリサ・シルベント、パトリシア・ペレイラ 「La contadora de películas」
エバ・タボアダ 「Un amor」
エドゥアルド・バジェス 「Saben aquell」
◎短編映画賞
「Blow!」 監督ネウス・バリュス
「La herida luminosa」 同クリスティアン・アビレス
「Tots els meus colors」 同アンナ・ソラナス、マルク・リバ
「El bus」 同サンドラ・レイナ
(左端バレリー・デルピエール、一人おいてサンドラ・レイナ監督)
◎テレビ・ムービー賞(ノミネート2作)
「Miró」 監督オリオル・フェレル
「Quico Sabate, sense destí」 同シルビア・ケル
◎美術賞
ジョセップ・ロセル 「El maestro que prometió el mar」
シルビア・ステインブレチェトSteinbrecht 「Creatura」
イサスクン・ウルキホ・アリホ 「20.000 especies de abejas」
マルク・ポウ 「Saben aquell」
◎衣装デザイン賞
イシス・ベラスコ 「Te estoy amando locamente」
マリア・アルメンゴル 「El maestro que prometió el mar」
マルセ・パロマ 「La contadora de películas」
ララ・ウエテ 「Saben aquell」
(受賞者欠席につき代理が受けとった)
◎メイクアップ&ヘアー賞
ダナエ・ガテル、アレックス・サルバト 「Creatura」
パトリシア・レイェス 「El maestro que prometió el mar」
パトリシア・レイェス、ヘスス・マルトス 「La contadora de películas」
ケイトリン・アチソン、ナチョ・ディアス、ベンハミン・ペレス 「Saben aquell」
◎視覚効果賞
クリスティナ・ガルモン 「Creatura」
ダビ・マルティ、モンセ・リベ 「Secaderos」2022年 監督ロシオ・メサ
Wesley Barnard、ミリアム・ピケル 「Saben aquell」
ベルナト・アラゴネス 「La contadora de películas」
◎録音賞
アルベルト・ガイ、エンリケ・G・ベルメホ、カルロス・ヒメネス 「Un amor」
エバ・バリニョ、コルド・コレリャ、シャンティ・サルバドール
「20.000 especies de abejas」
レオ・ドルガン、オリオル・ドナト、ライア・カサノバス 「Creatura」
シャビ・マス、エドゥアルド・カストロ、ヤスミナ・プラデラス 「Saben aquell」
(ヤスミナ・プラデラス)
◎ヨーロッパ映画賞(5作品)
「Aftersun」(『aftersun/アフターサン』)2022、英国 監督シャーロット・ウェルズ
「El triángulo de la tristeza」(『逆転のトライアングル』)2022、スウェーデン
同リューベン・オストルンド
「Las ocho montañas」(『帰れない山』)2022、イタリア
同フェリックス・フォン・グルーニンゲン、シャーロット・ヴァンダーメールシュ
「Close」(『CLOSE/クロース』)2022、ベルギー 同ルカス・ドント
「La sociedad de la nieve」(『雪山の絆』)2023、スペイン
同フアン・アントニオ・バヨナ *
(出演者サンティ・バカ、製作者サンドラ・エルミダ、監督)
◎観客特別賞
「El maestro que prometió el mar」
(パトリシア・フォント監督)
(左から3人目が主演男優賞ノミネートのエンリク・アウケル)
◎ミケル・プルテー栄誉賞(Miquel Porter)
ロザ・ベルジェスRosa(Roser)Vergés(バルセロナ1955)、バルセロナ派女性監督のパイオニア的存在であるロサ・ベルジェスが受賞した。代表作はゴヤ賞1991新人監督賞受賞の「Boom, Boom」(90)、他にカタルーニャ自治州映画賞、フォトグラマス・デ・プラタ作品賞などを受賞、「Tic Tac」(97)でシカゴ児童映画祭作品賞、イタリアのジッフォーニ児童映画祭ゴールデン・グリフォン賞などを受賞、「Iris」ではマラガ映画祭2004正式出品、本ガウディ賞の前身でもある2002年設立のバルセロナ映画賞2005の監督・脚本賞にノミネートされている。
(ゴヤ賞1991新人監督賞の「Boom, Boom」ポスター)
★スペインの映画賞でもカタルーニャ語映画に特化しているガウディ賞は、フォルケ賞、フェロス賞、先ほど受賞結果が発表になったゴヤ賞とはノミネーションからして異なっています。新人監督賞にノミネートされた「La imatge permanent」のラウラ・フェレスは、本賞以外どの映画賞にも名前が見当たりません。しかし作品紹介した折に、有望新人監督の一人と紹介しましたように2作目が待たれる監督です。昨年鬼籍入りしたアグスティ・ビリャロンガの遺作「Loli tormenta」も監督賞候補になりました。カタルーニャ映画アカデミー会員は数も少なく賞が僅差で左右されますので、ノミネートされることに意味があります。
(映画業界の低賃金年収12.000ユーロは国家の問題と語る、
カタルーニャ映画アカデミー会長ジュディス・コレル)
(珍しいツーショット、フアン・アントニオ・バヨナとダビ・トゥルエバ)
(カタルーニャ語以外の作品賞プレゼンター、
マリサ・パレデスとエドゥアルド・フェルナンデス)
最近のコメント