ダニエル・グスマン”A cambio de nada ”*マラガ映画祭2015 ④2015年04月12日 18:17

                  コンペティション第2弾


★オフィシャル・セレクション
13作品のなかで賞に絡みそうなダニエル・グスマンのデビュー作“A cambio de nada”のご紹介。ワーナー・ブラザーズが配給元になり早くも58日のスペイン公開が決まっています。

 

  A cambio de nada ダニエル・グスマン 2015 スペイン 114分 悲喜劇

製作La Competencia / El Nino produccioners / Ulula Films / La Mirada Oblicua
     y Zirco Cine
ほか

監督・脚本:ダニエル・グスマン

キャスト:ミゲル・エラン(ダリオ)、アントニオ・バチジェル(ルイスミ)、ルイス・トサール(ダリオの父)、マリア・ミゲル(ダリオの母)、アントニア・グスマン(アントニア)、フェリペ・ガルシア・ベレス(フスト‘カラリンピア’)、パトリシア・サントス、ミゲル・レジャン、フェルナンド・アルビス、マノロ・カロ、ルイス・サエラ、ロベルト・アルバレス、ほか

 

             

          (バイクで疾走するダリオと親友ルイスミ、映画から)

 

解説:マドリードの労働者地区で暮らす16歳の若者ダリオの物語。両親の別居でダリオは辛い日々を送っている。ルイスミは近所に住んでいる無二の親友。二人は盗んできたバイクの部品を落ちぶれた工場の経営者フスト‘カラリンピア’に売りつけている。見た目はこの界隈の成功者だが幸せとは言えない人生を送っている。ダリオは「棘の家」を逃れて.‘カラリンピア’の工場で働き始める。間もなく物忘れがひどくなっている年老いたアントニアと親しくなる。捨てられた家具を拾い集めて「蚤の市」で売っている。それぞれ自身の不幸には蓋をして一日一日を生き延びている。やがてダリオ=ルイスミ=アントニア=カラリンピア4人の三世代からなる疑似家族が大都市マドリードの片隅で始まる「ひと夏の物語」。

 

           

       (左から、ミゲル・エラン、ルイス・トサール、マリア・ミゲル)

 

監督紹介&フィルモグラフィーダニエル・グスマン Daniel Garcia-Pérez Gusmán1973年マドリード生れ、俳優、監督、脚本家。早くから演劇を学び1989年の“Sueño de una noche”で初舞台を踏む。TVドラマ“Colegio Mayor”(1995)でデビュー、俳優としてのキャリアは長い。よく知られるようになったのは、TVシリーズAquí no hay quien viva200306アンテナ3)の75話に出演してから。フェルナンド・テヘロのように、このTVシリーズをジャンプ台にして有名になった俳優は数多い。

映画デビューはイシアル・ボリャインのデビュー作Hola, ? estás sola ?95)、他にマリアノ・バロッソの“Extasis”(96)、フェルナンド・レオンの“Barrio”(98)にバルのボーイとしてカメオ出演している。セサル・マルティネス・エラーダのCuando todo esté en ordenでマラガ映画祭2003最優秀男優賞を受賞、ほかに“Extasis”ではスペイン俳優組合賞の新人男優賞にノミネートされた。現在も俳優として舞台、TV、映画を掛け持ちしている。


監督歴:2003年に撮った短編Sueñosがいきなりゴヤ賞2004短編映画賞、バリャドリード映画祭の短編映画部門で「金の穂」賞、トゥールーズ・スペイン映画祭スペシャル・メンションなどを受賞する。他にドキュメンタリー Mar de fondo”、短編“Inseguridad”、“Takeando”など。

 

トレビア:長編デビュー作、監督の自伝的な要素が含まれているようだが、ユーモア、楽観主義、喜び、痛みが溢れている悲喜劇。全く演技経験のないミゲル・エランとアントニオ・バチジェルの二人の青年、監督の実の祖母さんアントニア・グスマンを起用して、ルイス・トサール、マリア・ミゲル、フェリペ・ガルシア・ベレス、ミゲル・レジャンなどのベテラン勢が脇を固めている。構想9年、脚本に5年、プロジェクトを立ち上げ資金調達に奔走、撮影準備に3カ月、マドリードの数か所で6週間かけて撮影された。9年越しの「夢」がようやく叶えられた。

 

            

         (撮影中の祖母アントニアと孫のグスマン監督)

 

若いころは‘Tifon’(台風)のペンネームで湾岸戦争などに抗議する反戦絵画を描いていた。またスポーツマンでもあり、2005年にレオン市で開催された赤十字社チャリティー・ボクシング大会にプロの選手としてデビューしている。その後フアン・ビセンテ・コルドバの“A golpes”(05)ではボクサー役を演じた。オートバイレーサーとしてレースに参加、慈善オートレースにも出場している。本作のダリオもバイクでマドリードを疾走する(上記写真)。

 

                

               (ボクサー、ダニエル・グスマン)

 

本作にはスペイン国営テレビ(TVE)、Canal SurRTVA)、Canal +が参画している。