イベロアメリカ金のビスナガ「El ladrón de perros」*マラガ映画祭2025 ⑩ ― 2025年04月18日 16:28
イベロアメリカ映画部門の金のビスナガ受賞作「El ladrón de perros」

★もう一つの金のビスナガ作品賞に選ばれたビンコ・トミシックの「El ladrón de perros / The Dog Thief」は、2024年6月開催のトライベッカ映画祭でプレミアされるや、グアダラハラ、ミュンヘン、AFIラテンアメリカ、リオデジャネイロ、トルコのアンタルヤ・ゴールデン・オレンジ、インド、マル・デル・プラタ各映画祭、翌年にはスウェーデンのヨーテボリ、そしてマラガにやってきた。共同監督での長編はあるが本作がソロデビュー作品である。監督紹介は後述しますが、まずは作品紹介から。
*マラガ映画祭2025授賞式の記事は、コチラ⇒2025年03月28日
「El ladrón de perros / The Dog Thief」
製作:Color Monster / Zafiro Cinema / Calamar Cine / Easy Riders Films
監督:ビンコ・トミシック
脚本:ビンコ・トミシック、サム・ハイライ
撮影:セルヒオ・アームストロング
音楽:ウィサム・ホジェイ
編集:ウルスラ・バルバ・ホプフナー
製作者:アルバロ・マンサノ・サンブラナ、エダー・カンポス、マティアス・デ・ブルギニョンBourguignon、ガブリエラ・メーレMaire、(エグゼクティブ)ナディア・トゥリンチェフ、フランチェスカ・ノイア・ファン・デル・シュタイ、ほか
データ:製作国ボリビア=チリ=メキシコ=フランス=イタリア、2024年、スペイン語、ドラマ、90分、撮影ボリビアのラパス、配給販売 Luxbox、公開チリ2024年8月、ボリビア同年10月、他
映画祭・受賞歴:トライベッカ映画祭2024ワールドプレミア、グアダラハラ映画祭イベロアメリカ部門(アルフレッド・カストロが生涯功労賞、フランクリン・アロがメンション受賞)、ミュンヘン映画祭シネビジョン・コンペ、AFIラテンアメリカ映画祭、リオデジャネイロ映画祭、アンタルヤ・ゴールデン・オレンジ映画祭(フランクリン・アロ主演男優賞)、インド映画祭、マル・デル・プラタ映画祭、ケララ映画祭、以下2025年、ヨーテボリ映画祭、マラガ映画祭イベロアメリカ映画(金のビスナガ作品賞)、マイアミ映画祭(マリンバス賞ノミネート)、モスクワ映画祭、フォルケ賞2024ラテンアメリカ映画部門ノミネート、イベロアメリカ・プラチナ賞2025オペラ・プリマ賞&価値ある映画と教育プラチナ賞ノミネート、第20回サンティアゴ映画祭SANFIC(フランクリン・アロ男優賞)、ハバナ映画祭脚本賞、リマ映画祭審査員特別賞、プンタ・デル・エステ映画祭(ウルグアイ)監督賞受賞、他

(監督も出席したボリビア公開イベント、2024年10月15日)
キャスト:アルフレッド・カストロ(セニョール・ノボア)、フランクリン・アロ・ワスコ(マルティン)、テレサ・ルイス(セニョリータ・アンドレア)、マリア・ルケ(グラディス)、フリオ・セサル・アルタミラノ(ソンブラス)、ニノン・ダバロス(アンブロシア夫人)、クレベル・アロ(モネダス)、他
ストーリー:15歳の孤児マルティンは首都ラパスの広場で靴磨きをして働いている。先住民であることを隠すため毛糸の帽子を被っている。差別されないためである。亡くなった母親の友人グラディスの家で暮らしている。彼の上得意であるセニョール・ノボアは独り身の洋服仕立屋で、美しいジャーマンシェパードが唯一の友である。マルティンは彼を父親ではないかと思いはじめている。マルティンは彼に近づくため予想もしない行動に出る。

(ジャーマンシェパードを連れて靴磨きに来るセニョール・ノボア)

(セニョール・ノボアとマルティン)

(ジャーマンシェパードとマルティン)
★監督紹介:ビンコ・トミシック・サリナス、チリの監督、脚本家、製作者。2014年、初短編「Durmiente」(アルゼンチン、16分)が、フィクナム、グアダラハラ、カリ、サンパウロ、バンクーバー、各映画祭に出品される。同年制作会社「Calamar Cine」を設立、2016年、フランシスコ・エビアと共同監督した「El fumigador / Cockroach」(チリ=アルゼンチン、80分)が、第20回PÖFFタリン・ブラックナイツでプレミアされ、サンティアゴ映画祭SANFIC 2016で「ベスト・ナショナル・フィルム」を受賞する。2018年、短編「Aicha」(アルゼンチン=ボリビア=チリ、11分)は、ビアリッツ、グアダラハラ、シカゴ、ロカルノアカデミー2019で上映される。2024年「El ladrón de perros」で長編ソロデビューを果たした。本作はカンヌのシネフォンダシオン・レジデンシアとベネチアのビエンナーレ・カレッジ・シネマによって企画されました。短編は英語字幕入りで見ることができます。

(監督とフランクリン・アロ、グアダラハラ映画祭2024)

(「El fumigador / Cockroach」)
★キャスト紹介:ボリビアのラパスを舞台に監督と同胞である受賞歴を誇るアルフレッド・カストロとオーディションで起用されたボリビアのフランクリン・アロを軸に展開します。カストロはチリを離れてスペインの国籍を取り二重国籍(キャリア紹介は以下)。アロは12歳のときから実際に靴磨きをして働いていた。先住民は学校で差別される。何とか自分の人生を変えたいと考えていたときオーディションが開催されることを聞いて応募した。今は靴磨きを恥じていないし誇りを持つことができたが変えるのは簡単ではないと、マラガ映画祭のインタビューに答えていた。
*アルフレッド・カストロのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2024年05月23日

(フランクリン・アロ)

(時々学校にも行くマルティン)
★脇を固めるのはメキシコの女優テレサ・ルイス(ナタリア・ベルスタインの『ざわめき』)、マリア・ルケ(マテオ・ヒルの『ブラックソーン』)、アンブロシア夫人を演じるのはボリビアの女優ニノン・ダバロス、そのほかは本作でデビューしている。アルフレッド・カストロとテレサ・ルイスは、キャリア紹介をしています。
*テレサ・ルイスのキャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2023年01月28日
★スタッフ紹介:撮影監督のセルヒオ・アームストロングは、チリのパブロ・ララインのピノチェト三部作(08~12)(『トニー・マネロ』、『ポスト・モーテム』、『ノー No』)ほか、『ザ・クラブ』(15)、『ネルーダ大いなる愛の逃亡者』(16、ペドロ・シエナ賞)、『エマ、愛の罠』(19)などララインの代表作を手掛けている。また金獅子賞をラテンアメリカに初めてもたらしたロレンソ・ビガスとタッグを組んだ『彼方から/フロム・アファー』(15)、ベネズエラ出身だがメキシコに移住して撮った『箱』(21)などを手掛けている。他にチリを脱出してアメリカで製作しているセバスティアン・シルバやマイテ・アルベルディの『イン・ハー・プレイス』(24)も撮っている。
★音楽監督ウィサム・ホジェイは、レバノン出身だがフランスを拠点に活動している映画音楽の作曲家。カミラ・ベルトランのスリラー「Mi bestia」(24、コロンビア=フランス)を担当、映画はシッチェス映画祭イベロアメリカ映画賞を受賞している。製作者のアルバロ・マンサノ・サンブラナは、「映画はラテンアメリカの、またはボリビアの現実を反映している。資金不足で映画製作は難しいが、この映画の成功で力を得た」とマラガで語っている。

(アルバロ・マンサノとフランクリン・アロ、マラガ映画祭2025、プレス会見にて)
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://aribaba39.asablo.jp/blog/2025/04/18/9769345/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。