アメナバル新作ほか3作がノミネーション*サンセバスチャン映画祭2019 ②2019年07月23日 15:37

         金貝賞を競うコンペティション部門にスペイン映画は3作品

   

          

             (セクション・オフィシアルのポスター)

 

★去る719日、第67回サンセバスチャン映画祭2019920日~28日)の金貝賞を競うコンペティション部門他のノミネーションが一部発表になりました。映画祭総ディレクターのホセ・ルイス・レボルディノス、TVEの映画&TVムービーのサブディレクターマイテ・L.・ピソネロICAA総ディレクターベアトリス・ナバス、スペイン映画アカデミー副会長ラファエル・ポルテラ出席のもとスペイン映画のノミネーション3作、その他ニューディレクターズ以下のセクションが発表になりました。

 

      

      (左から、レボルディノス、ピソネロ、ナバス、ポルテラの4氏、719日)

 

★まだ全体像は見えてきませんが、スペインからはアレハンドロ・アメナバルの哲学者ウナムノの最晩年を描いたMientras dure la guerra、『フラワーズ』や『HANDIA アルツォの巨人』で話題を集めたバスク出身の監督トリオ、ジョン・ガラーニョアイトル・アレギホセ・マリ・ゴエナガLa trinchera infinitaベレン・フネスのデビュー作La hija de un ladrón3作です。映画祭に間に合うよう順次紹介していけるよう準備中です。

 

★アメナバルの新作Mientras dure la guerraについては、サラマンカでのクランクインに合わせて作品紹介をしておりますが、改めてアップしたいと考えています。主人公となるミゲル・デ・ウナムノの最後の数ヵ月、市民戦争勃発から最期までが語られます。ウナムノにカラ・エレハルデが扮します。アメナバルはキャストに同じ俳優は起用しないので、エレハルデ以下アメナバル映画にオール初出演となります。

Mientras dure la guerra」の作品紹介は、コチラ20180601

 

       

           (撮影中のアメナバル監督とカラ・エレハルデ)

 

 

★バスク出身の監督トリオの新作La trinchera infinitaは、スペイン内戦後30年間も隠れ住んでいた共和派のトポtopoといわれる人物の物語ということです。topoの第一義はモグラのことで普通は弱視の人やスパイを指しますが、スペイン史では内戦後隠れ住んでいた共和派のことです。主役のトポに15キロ体重を増やして臨んだアントニオ・デ・ラ・トーレ(『デブたち』では33キロ増量した実績がある)、移動が制限されたトポたちは一般に体重が増えてしまったそうです。妻役のベレン・クエスタは、28歳から60歳までを演じるのでメイクが大変だったとか。キャストからも分かるように今回はバスク語でなくスペイン語で撮った。今秋1031日公開が決定している。

 

        

   (トリオ監督、ホセ・マリ・ゴエナガ、アイトル・アレギ、ジョン・ガラーニョ)

 

        

        (撮影中のアントニオ・デ・ラ・トーレとベレン・クエスタ)

 

 

★当ブログ初登場のベレン・フネス(バルセロナ1984)は、長らく助監督をしながら短編を発表、今回長編デビューを果たした。La hija de un ladrón」は、主役の窃盗マヌエルにエドゥアルド・フェルナンデス、その娘サラにグレタ・フェルナンデスと実際の父と娘を起用している。父親フェルナンデスは、アメナバルの新作にウナムノと対立するミリャン・アストライ役を演じているから、今回はダブル出演となる。彼は既に『スモーク・アンド・ミラーズ』で男優賞(銀貝賞)を受賞している。目下売り出し中の娘フェルナンデスは『エリサ&マルセラ』のマルセラ役で知名度が上がってきた。本作では常に刑務所暮らしの父親をもつ22歳の子持ち役に挑戦している。

 

(ベレン・フネス監督)

 

                      

                  (父親マヌエル、娘サラ、年の離れた弟、映画から)

 

★コンペティション外には Netflix オリジナル作品、ダニエル・サンチェス・アレバロの新作Diecisieteが選ばれました。本作はいずれ Netflixでストリーミング配信になります。他に特別上映作品にアルゼンチン=スペイン合作のセバスティアン・ボレンステイン(ブエノスアイレス1963)のLa odesea de los gilesがアナウンスされた。本作はリカルド・ダリンが製作と出演を兼ねており、息子チノ・ダリンもクレジットされています。アルゼンチンが経済危機に陥り、ペソが大暴落した2001年が舞台。ボレンステインはリカルド・ダリンのために撮った辛口コメディUn cuento chino11)や当ブログで紹介したKóblic15)でもダリンとタッグを組んでいる監督です。

Diecisiete」の紹介記事は、コチラ20181029

Kóblic」の紹介記事は、コチラ20160430

 

    

(サンチェス・アレバロを挟んで主演のナチョ・サンチェスとビエル・モントロ、719)


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