キューバからエルネスト・ダラナスの新作*マラガ映画祭2018 ⑩ ― 2018年04月12日 15:40
『ビヘイビア』のエルネスト・ダラナスがマラガに戻ってきました!
★エルネスト・ダラナスの『ビヘイビア』のオリジナル・タイトルは「Conducta」(14)、邦題は埼玉県で開催される「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015」上映時に付けられたもので、グランプリと観客賞を受賞しました。本作は第17回マラガ映画祭2014のラテンアメリカ部門のグランプリでした。当時はスペインとラテンアメリカ諸国に大別されており、作品賞・監督賞、主役のアリーナ・ロドリゲスが女優賞受賞など大賞を独占した映画でした。今回ノミネートされた第4作目「Sergio & Serguéi」は、トロント映画祭2017でワールド・プレミアされ、既に釜山映画祭2017正式出品、ロン・パールマンも来ハバナしたハバナ映画祭2017、マイアミ映画祭2018正式出品(Knight Competition Grand Jury部門)、トゥールーズ映画祭2018などで上映されています。
「Sergio & Serguéi」
製作:Mediapro / RTV Comercial (キューバ) / ICAIC / Wing and a Prayer Pictures
監督:エルネスト・ダラナス・セラノ
脚本:エルネスト・ダラナス・セラノ、マルタ・ダラナス・セラノ
撮影:アレハンドロ・メネンデス
音楽:ミカ・ルナ
編集;ホルヘ・ミゲル・ケベド
美術:マイケル・マルティネス、ライア・コレト
衣装デザイン:アンナ・グエル、Yanelys Pérez
メイクアップ:ナタリア・アルベルト、Meilyn Ng de la Nuez
視覚効果:フェラン・ピケル、ホルヘ・セスペデス
録音:ホルヘ・マリン
製作者:(エグゼクティブ)ハビエル・メンデス、ロン・パールマン、ガブリエル・ベリスタイン、ダニロ・レオン、アドリアナ・モヤ、(プロデューサー)オマル・オラサバル・ロドリゲス、ラモン・サマダ
データ:製作国スペイン=キューバ=米、スペイン語・英語・ロシア語、2017年、ドラマ、89分、配給BTEAM Pictures、キューバ公開2018年1月
映画祭・受賞歴:トロント映画祭2017(9月8日)、釜山映画祭2017(10月13日)正式出品、ハバナ映画祭2017(ACAVキューバ視聴覚組合賞、エルネスト・ダラナスがステンドグラス賞)、マイアミ映画祭2018「Knight Competition Grand Jury部門」(3月)正式出品、トゥールーズ映画祭2018(観客賞)、マラガ映画祭(4月15日)
キャスト:トマス・カオ(セルヒオ・コリエリ)、エクトル・ノアス(セルゲイ)、ロン・パールマン(ピーター)、ジュリエト・クルス(リア)、マリオ・ゲーラ(ラミロ)、アナ・グロリア・ブドゥエン(カリダード)、カミラ・アルテチェ(パウラ)、アルマンド・ミゲル・ゴメス(ウリセス)、イダルミス・ガルシア(ソニア)、ローランド・ライヤーハノフ(イゴール)、アイリン・デ・ラ・カリダード・ロドリゲス(セルヒオの娘マリアナ)、ルイス・マヌエル・アルバレス(トマス)、A.J.バックリー(ホール刑事)他
(主要登場人物、ロン・パールマン、トマス・カオ、エクトル・ノアス)
プロット:1991年キューバ、旧ソビエト連邦が崩壊すると、キューバは経済危機に突入した。セルヒオはアマチュア無線家のマルクス主義の教師だが、さてこれから先、自分の人生を転換し、家族を養うには何を為すべきかが皆目分からない。一方、故障したソ連邦最後の宇宙飛行士セルゲイは、有人宇宙ステーション「ミール」のなかで、半ば忘れられた存在になっていた。セルヒオとセルゲイは無線装備のお蔭で出会い連絡し合ううちに、やがて二人の間に友情が生れる。二人はそれぞれの国家で起こるであろう劇的変化に互いに助け合うことになる。国境を越えた友情の物語。
(1991年、キューバ、映画から)
★物語からはロン・パールマン演じるピーターがどう絡んでくるのかさっぱり分からないし、国境を越えた友情物語では平凡すぎて、ドラマとしてのひねりが感じられない。しかしパールマンの映画祭開催中の来マラガがアナウンスされているからファンは待ち遠しいでしょう。テレビ版『美女と野獣』でゴールデン・グローブ賞を受賞しているが、なんといっても忘れられないのがギレルモ・デル・トロの『ヘルボーイ』です。デル・トロ監督も来訪が予定されているようです。他にフアン・アントニオ・バヨナとか、観光客が増えてくる時期だけにマラガもいよいよお祭りムードになってきたようです。
(打合せ中の撮影監督アレハンドロ・メネンデス、中央エルネスト・ダラナス監督、パールマン)
★キャスト陣もキューバ、スペイン、アメリカ、ロシアと国際色豊かです。ソ連崩壊後、援助を打ち切られたキューバの90年代前半は、まるで石器時代に戻ったかのようなナイナイ尽くしだった。現在は当時より少しは暮らし向きがよくなっていると思いたい。昨年のマラガ映画祭では、フェルナンド・ぺレスの「Ultimos días en La Habana」1作だけでしたが、今年は本作以外にヘラルド・チホーナの新作もノミネートされています。いずれアップしたい。
(前列左から、パウラ、ウリセス、マリアナ、後列左から、リア、ラミロ、カリダード)
(親子を演じたトマス・カオとアイリン・デ・ラ・カリダード・ロドリゲス、映画から)
*監督キャリア&フィルモグラフィー*
★エルネスト・ダラナス・セラノErnesto Daranas Serrano は、1961年ハバナ生れ、監督、脚本家。監督デビューは短編ドキュメンタリー「Los últimos gaiteros de La Habana」(04、26分)、スペイン国王ジャーナリズム国際賞を受賞、長編第2作「Los dioses rotos」(08、ラテンビート邦題『壊れた神々』)は、ハバナ映画祭2008観客賞、2008年度最優秀映画に選ばれ、オスカー賞キューバ代表作品になった。第3作が上述した「Conducta」(『ビヘイビア』14)です。マラガ映画祭上映後、世界各地の映画祭、例えばトロント、ボゴタ(作品賞)、釜山、ハイファ、ハバナ(作品賞)、ウエルバ(ラビダ賞)、パームスペリングス、ポートランド(観客賞)などを巡った。本作もオスカー賞キューバ代表作品に選ばれている。「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015」上映後に主役のアリーナ・ロドリゲスが癌に倒れてしまった(享年63歳)。
(エルネスト・ダラナス・セラノ)
(『ビヘイビア』のポスター)
*追記:『セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!』の邦題で2018年12月01日公開になります。
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