エステバン・アレンダ兄弟のデビュー作「Sin fin」*マラガ映画祭2018 ⑭2018年04月21日 17:24

       現在、過去、そして未来を飛び越えて旅するSFトーンのロマンス

     

     

 419日、セサル・エステバン・アレンホセ・エステバン・アレンダ兄弟の長編デビュー作Sin finが上映されました。父親は映画プロデューサーで配給を手掛けるホセ・エステバン・アレンダ(息子と同名)、1983年、スペインに初めてアカデミー賞外国語映画賞をもたらしたホセ・ルイス・ガルシの『黄昏の恋』のプロデューサーとして知られている。兄弟二人は子供のころから、この父親の影響を受けて育った。既に短編では国際的に多くの受賞歴の持ち主です。ストーリーが時間を飛び越えて進むので、不自然にならないよう編集に多くの時間を割いた、とプレス会見で語っていた。主人公ハビエルとマリアの愛と失われた愛の物語。2014年、兄弟二人で撮った同じタイトルの短編がもとになっており、主役の二人も同じハビエル・レイマリア・レオンが演じている。

 

      

          (右がセサル、左がホセ、マラガに現れた兄弟監督)

 

Sin fin」 2018

製作:Producciones Transatlanticas / Solita Films / Elamedia Estudios /

      協賛RTVE / ICAA / Canal Sur / Crea SGR / アンダルシア評議会文化部

監督・脚本:セサル・エステバン・アレンダ&ホセ・エステバン・アレンダ

撮影:アンヘル・マモロス

音楽:セルヒオ・デ・ラ・プエンテ

編集:セサル・エステバン・アレンダ

美術:ロシオ・ペーニャ

製作者:ホセ・エステバン・アレンダ、フェリックス・ブルゴス、ホセ・アントニオ・エルゲタ、ロベルト・ブトラゲーニョ

 

データ:製作国スペイン、スペイン語、ドラマ、SF97分、撮影地マドリード、マラガ、カディス(コニル・デ・ラ・フロンテラ)、マラガ映画祭2018正式出品419日上映、配給フィルマックス・インターナショナル

 

キャストハビエル・レイ(ハビエル)、マリア・レオン(マリア)、フアン・カルロス・サンチェス(70代のハビエル)、マリ・パス・サヤゴ(マリ・カルメン)、パコ・オチョア(アントニオ)、ロベルト・カンピジョ(ペドリート)、アセンシオ・サラス(祖父)、パコ・モラ(チャーリー)、クリスティアン・ガメロ(ルカス)、ほか

 

プロット:ハビエルはマリアへの失われた愛を取り戻すために未来からやって来る。一緒に知り合った魅惑的な日を思い出す。明け方にマドリードを発ち夕暮れどきのアンダルシアの海岸にやって来る。すべては、マリアがかつて愛しあった頃の活気あふれる女性に戻れるようにするためだ。マドリード、マラガ、カディスを巡る一種のロード・ムービー。

 

   

                       (カディスの浜辺の二人)

     

     

(かつてのマリアとハビエル)

 

★マリアを演ずるマリア・レオン1984セビーリャ)は、「マリアは旅が決して終わらないことを望んでいる」とプレス会見で語っている。ハビエル・レイ(ガリシア生れ)は、「マリア・レオンはマリアというとても複雑な人格を演じるのに相応しかった。この作品は時間の飛躍がずっと続くせいで、異なった側面をその都度切り替えて演じなければならなかった。綿密に検討しながら、結果的には満足したものになった」と語っている。マリア・レオンの公開作品は、ベニート・サンブラノの『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~』に出演、サンセバスチャン映画祭2011女優賞、ゴヤ賞2012新人女優賞を受賞している。批評家からは「映画はさておき、マリア・レオンという逸材を発掘した」と、その演技力が絶賛された。ハビエル・レイは、マリア・レオンの実兄パコ・レオンの『KIKI~愛のトライ&エラー』(16、ラテンビート上映)に小さな役で出演している。

 

『スリーピング・ボイス~沈黙の叫び~』の紹介記事は、コチラ20150509

KIKI~愛のトライ&エラー』の紹介記事は、コチラ20161008

  

     

               (現在のマリアとハビエル)

 

 監督キャリア&フィルモテカ

ホセ・エステバン・アレンダ(・ロドリゲス)は、監督、脚本家、製作者、俳優(クレジットはホセ・エステバン・ジュニア)。2003年ビジネス・スクールMEGAMaster Europeo en Gestion Audiovisual)卒業。セサル・エステバン・アレンダは、監督、製作者、脚本家、編集者。建築学を専攻。2004年、兄弟二人でアニメーション製作を主にした「Solita Films」を設立した。主な短編6作で500ヵ所の映画祭、100以上の受賞歴があるということです。他にドキュメンタリーなど他の監督作品を製作している。

 

主なフィルモグラフィーは以下の通り。

2008Manolo marca registrada」(9分、アニメ)監督・脚本セサル、製作ホセ

2008La increible historia del hombre sin sombra」(9分、アニメ)監督・脚本・製作ホセ、

   撮影・編集セサル。ゴヤ賞2009短編アニメーション賞受賞、

2010El orden de las cosas」(20分)共同監督・脚本・製作、ゴヤ賞短編映画賞ノミネート、

   エルチェ映画祭監督賞、、ワルシャワ映画祭短編賞スペシャル・メンション、

   ナント・スペイン映画祭短編賞、他受賞歴多数

2011Matar a un niño」(9分、アニメ)共同監督・脚本・製作、

   マラガ映画祭2011短編銀のビスナガ国際シネマ・バイア・デイズ短編賞受賞

2012Inertial Love」(6分)マラガ映画祭2013短編銀のビスナガ

   夕張ファンタスティック映画祭2014短編賞、他

2014Not the End」(29分)長編「Sin fin」のもとになった短編、

   ヒホン映画祭、セビーリャ・ヨーロッパ映画祭上映

2018Sin fin」省略

 

  

(左がホセ・エステバン・アレンダ、右セサル、ゴヤ賞2009短編アニメーション賞を受賞)

 

   

(アニメーション「La increible historia del hombre sin sombra」のポスター)